(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101016
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】ヒートシンク、活性エネルギ照射装置及び活性エネルギ照射システム
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20220629BHJP
H01L 23/427 20060101ALI20220629BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H01L23/46 B
H05K7/20 B
H05K7/20 G
H05K7/20 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215348
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】村山 恭一
(72)【発明者】
【氏名】梅野 圭太
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA11
5E322BA01
5E322BA03
5E322BB03
5E322BC02
5E322DB08
5E322FA04
5F136BA04
5F136CC17
5F136CC20
5F136CC24
5F136DA33
5F136GA02
(57)【要約】
【課題】冷却効率を高めることが可能なヒートシンク、活性エネルギ照射装置及び活性エネルギ照射システムを提供する。
【解決手段】ヒートシンク4は、LED素子32と熱的に接続されるベースプレート41と、ベースプレート41の上面上に立設されY方向に隙間をあけて並べられた複数の放熱フィン42と、複数の放熱フィン42と交差するように設けられX方向において複数の放熱フィン42を仕切る仕切り板44と、を備える。仕切り板44は、複数の放熱フィン42の間においてベースプレート41側がベースプレート41側とは反対側よりもエアがX方向に通過するように、複数の放熱フィン42を仕切る。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部と熱的に接続されるベースプレートと、
前記ベースプレートの表面上に立設され、前記表面に沿う第1方向に隙間をあけて並べられた複数の放熱フィンと、
複数の前記放熱フィンと交差するように設けられ、前記表面に沿い且つ前記第1方向と交差する第2方向において複数の前記放熱フィンを仕切る仕切り部材と、を備え、
前記仕切り部材は、複数の前記放熱フィンの間において前記ベースプレート側が前記ベースプレート側とは反対側よりもエアが前記第2方向に通過するように、複数の前記放熱フィンを仕切る、ヒートシンク。
【請求項2】
前記仕切り部材における前記ベースプレート側の端は、前記ベースプレートから離れている、請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記仕切り部材における前記ベースプレート側には、エアを通過させる通気部が設けられている、請求項1又は2に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記仕切り部材は、メッシュ部を有し、
前記メッシュ部における前記ベースプレート側は、前記メッシュ部における前記ベースプレート側とは反対側よりも開口率が大きい、請求項1~3の何れか一項に記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記仕切り部材は、複数の前記放熱フィンにロウ付けされている、請求項1~4の何れか一項に記載のヒートシンク。
【請求項6】
複数の前記放熱フィンには、前記ベースプレート側とは反対側に開口するスリットが形成され、
前記仕切り部材は、複数の前記放熱フィンの前記スリットに挟まっている、請求項1~5の何れか一項に記載のヒートシンク。
【請求項7】
前記第1方向から見て、前記スリットを構成する辺のうち、対向する一対の辺の少なくとも一方は、前記スリットの内側に入り込むように曲がっている、請求項6に記載のヒートシンク。
【請求項8】
前記仕切り部材は、互いに離れて一対設けられている、請求項1~7の何れか一項に記載のヒートシンク。
【請求項9】
複数の前記放熱フィンに埋め込まれるように設けられ、複数の前記放熱フィンと熱的に接続されたヒートパイプを備える、請求項1~6の何れか一項に記載のヒートシンク。
【請求項10】
前記ヒートパイプは、
複数の前記放熱フィンに埋め込まれるように互いに離れて一対設けられた第1ヒートパイプと、
複数の前記放熱フィンにおける一対の前記第1ヒートパイプの間に埋め込まれるように互いに離れて一対設けられ、前記第1ヒートパイプよりも長い第2ヒートパイプと、を有し、
前記仕切り部材は、隣り合う前記第1ヒートパイプの一方と前記第2ヒートパイプの一方との間、及び、隣り合う前記第1ヒートパイプの他方と前記第2ヒートパイプの他方との間のそれぞれに設けられている、請求項9に記載のヒートシンク。
【請求項11】
複数の前記放熱フィンのそれぞれには、前記ベースプレート側とは反対側に開口する溝が形成されている、請求項1~10の何れか一項に記載のヒートシンク。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載のヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記ベースプレートと熱的に接続され、少なくとも所定方向に沿って並ぶ複数の活性エネルギ照射部と、
前記ヒートシンク及び前記活性エネルギ照射部を収容する筐体と、を備え、
前記筐体内には、複数の前記放熱フィンの間に前記ベースプレート側とは反対側からエアを流入させる流路が設けられている、活性エネルギ照射装置。
【請求項13】
請求項8又は10に記載のヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記ベースプレートと熱的に接続され、少なくとも所定方向に沿って並ぶ複数の活性エネルギ照射部と、
前記ヒートシンク及び前記活性エネルギ照射部を収容する筐体と、を備え、
前記ヒートシンクの一対の前記仕切り部材は、前記ヒートシンクの複数の前記放熱フィンを、前記所定方向における外側に位置する一対の外側部分と、一対の前記外側部分の間に位置する内側部分と、に仕切り、
前記筐体内には、一対の前記外側部分における複数の前記放熱フィンの間に前記ベースプレート側とは反対側からエアを流入させる流路が設けられている、活性エネルギ照射装置。
【請求項14】
請求項11に記載のヒートシンクと、
前記ヒートシンクの前記ベースプレートと熱的に接続され、少なくとも所定方向に沿って並ぶ複数の活性エネルギ照射部と、
前記ヒートシンク及び前記活性エネルギ照射部を収容する筐体と、
前記筐体に設けられ、前記ヒートシンクを通過したエアを前記筐体外へ排出する排気部と、
前記筐体内における前記ヒートシンクと前記排気部との間に設けられ、前記ヒートシンクを通過したエアを前記排気部へ流通させるダクトと、を備え、
前記溝には、前記ダクトにおける前記ベースプレート側の一端部が差し込まれている、活性エネルギ照射装置。
【請求項15】
前記溝には、前記ダクトにおける前記ベースプレート側の一端部が、熱伝導材を介して差し込まれている、請求項14に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項16】
前記活性エネルギ照射部は、紫外線又は電子線を照射する、請求項12~15の何れか一項に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項17】
請求項12~16の何れか一項に記載の活性エネルギ照射装置を複数備え、
複数の前記活性エネルギ照射装置は、前記所定方向において互いに当接するように並べられている、活性エネルギ照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンク、活性エネルギ照射装置及び活性エネルギ照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発熱部と熱的に接続されるベースプレートと、ベースプレートの表面上に立設され表面に沿う第1方向に隙間をあけて並べられた複数の放熱フィンと、を備えるヒートシンクが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなヒートシンクでは、例えば発熱部の発熱量が増加する場合でも小型化及び軽量化を実現するべく、冷却効率を高めることが望まれる。
【0005】
本発明は、冷却効率を高めることが可能なヒートシンク、活性エネルギ照射装置及び活性エネルギ照射システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のヒートシンクは、発熱部と熱的に接続されるベースプレートと、ベースプレートの表面上に立設され、表面に沿う第1方向に隙間をあけて並べられた複数の放熱フィンと、複数の放熱フィンと交差するように設けられ、表面に沿い且つ第1方向と交差する第2方向において複数の放熱フィンを仕切る仕切り部材と、を備え、仕切り部材は、複数の放熱フィンの間においてベースプレート側がベースプレート側とは反対側よりもエアが第2方向に通過するように、複数の放熱フィンを仕切る。
【0007】
このヒートシンクでは、例えば、複数の放熱フィンにベースプレート側とは反対側からエアが流入した場合、仕切り部材の存在により、当該エアは、複数の放熱フィンの間において、ベースプレート側へ流れた後に第2方向に流れて折り返し、ベースプレートから離れる側へ流れる。したがって、複数の放熱フィンの間にエアを効果的に流すことができ、冷却効率を高めることが可能となる。
【0008】
本発明のヒートシンクでは、仕切り部材におけるベースプレート側の端は、ベースプレートから離れていてもよい。この場合、仕切り部材におけるベースプレート側の端とベースプレートとの間をエアが通過する空間とすることができる。複数の放熱フィンの間においてベースプレート側がその反対側よりもエアが第2方向に通過する構成を、具体的に実現することができる。
【0009】
本発明のヒートシンクでは、仕切り部材におけるベースプレート側には、エアを通過させる通気部が設けられていてもよい。この場合、通気部をエアが通過する空間とすることができる。複数の放熱フィンの間においてベースプレート側がその反対側よりもエアが第2方向に通過する構成を、具体的に実現することが可能となる。
【0010】
本発明のヒートシンクでは、仕切り部材は、メッシュ部を有し、メッシュ部におけるベースプレート側は、メッシュ部におけるベースプレート側とは反対側よりも開口率が大きくてもよい。この場合、メッシュ部をエアが通過する空間とすると共に、メッシュ部のベースプレート側をエアがより通過する空間とすることができる。複数の放熱フィンの間においてベースプレート側がその反対側よりもエアが第2方向に通過する構成を、具体的に実現することが可能となる。
【0011】
本発明のヒートシンクでは、仕切り部材は、複数の放熱フィンにロウ付けされていてもよい。これにより、複数の放熱フィンと仕切り部材とを熱的に接続し、仕切り部材により複数の放熱フィンの熱を効果的に拡散させることができる。
【0012】
本発明のヒートシンクでは、複数の放熱フィンには、ベースプレート側とは反対側に開口するスリットが形成され、仕切り部材は、複数の放熱フィンのスリットに挟まっていてもよい。この場合、仕切り部材を容易に設けることができる。
【0013】
本発明のヒートシンクでは、第1方向から見て、スリットを構成する辺のうち、対向する一対の辺の少なくとも一方は、スリットの内側に入り込むように曲がっていてもよい。この場合、仕切り部材をスリット内に挟まるように挿入したとき、当該辺が曲かっていることに起因してスリットの内面がバネ(かしめ)として働き、仕切り部材と放熱フィンとの接触を確実なものとし、これらの間で熱を効果的に伝わるようにすることができる。
【0014】
本発明のヒートシンクでは、仕切り部材は、互いに離れて一対設けられていてもよい。この場合、一対の仕切り部材により複数の放熱フィンを仕切ることができる。
【0015】
本発明のヒートシンクは、複数の放熱フィンに埋め込まれるように設けられ、複数の放熱フィンと熱的に接続されたヒートパイプを備えていてもよい。この場合、ヒートパイプを利用して効果的に放熱させること可能となる。
【0016】
本発明のヒートシンクでは、ヒートパイプは、複数の放熱フィンに埋め込まれるように互いに離れて一対設けられた第1ヒートパイプと、複数の放熱フィンにおける一対の第1ヒートパイプの間に埋め込まれるように互いに離れて一対設けられ、第1ヒートパイプよりも長い第2ヒートパイプと、を有し、仕切り部材は、隣り合う第1ヒートパイプの一方と第2ヒートパイプの一方との間、及び、隣り合う第1ヒートパイプの他方と第2ヒートパイプの他方との間のそれぞれに設けられていてもよい。この場合、例えば、複数の放熱フィンの間において、ベースプレート側へ流れるエアを第1ヒートパイプに接触させた後、折り返してベースプレートから離れる側へ流れるエアを第2ヒートパイプに接触させることが可能となる。つまり、複数の放熱フィンの間を流れるエアについて、温度がまだ比較的低い状態では第1ヒートパイプに接触させ、その後に温度が上がった状態では、放熱能が第1ヒートパイプよりも高い第2ヒートパイプに接触させることが可能となる。これにより、ヒートパイプを利用して均一的に放熱させることができる。
【0017】
本発明のヒートシンクでは、複数の放熱フィンのそれぞれには、ベースプレート側とは反対側に開口する溝が形成されていてもよい。この場合、溝を利用して、他の部材を放熱フィンに係合させることが可能となる。
【0018】
本発明の活性エネルギ照射装置は、上記ヒートシンクと、ヒートシンクのベースプレートと熱的に接続され、少なくとも所定方向に沿って並ぶ複数の活性エネルギ照射部と、ヒートシンク及び活性エネルギ照射部を収容する筐体と、を備え、筐体内には、複数の放熱フィンの間にベースプレート側とは反対側からエアを流入させる流路が設けられている。
【0019】
この活性エネルギ照射装置では、ヒートシンクに流入したエアは、複数の放熱フィンの間をベースプレート側に流れた後、第2方向に折り返し、複数の放熱フィンの間をベースプレートから離れる側へ流れる。したがって、複数の放熱フィンの間にエアを効果的に流すことができ、冷却効率を高めることが可能となる。
【0020】
本発明の活性エネルギ照射装置は、上記ヒートシンクと、ヒートシンクのベースプレートと熱的に接続され、少なくとも所定方向に沿って並ぶ複数の活性エネルギ照射部と、ヒートシンク及び活性エネルギ照射部を収容する筐体と、を備え、ヒートシンクの一対の仕切り部材は、ヒートシンクの複数の放熱フィンを、所定方向における外側に位置する一対の外側部分と、一対の外側部分の間に位置する内側部分と、に仕切り、筐体内には、一対の外側部分における複数の放熱フィンの間にベースプレート側とは反対側からエアを流入させる流路が設けられている。
【0021】
この活性エネルギ照射装置では、ヒートシンクの複数の放熱フィンに流入したエアは、一対の外側部分のそれぞれにおける複数の放熱フィンの間をベースプレート側に流れた後、第2方向に折り返して合流し、内側部分における複数の放熱フィンの間をベースプレートから離れる側へ流れる。したがって、複数の放熱フィンの間にエアを効果的に流すことができ、冷却効率を高めることが可能となる。
【0022】
本発明の活性エネルギ照射装置は、上記ヒートシンクと、ヒートシンクのベースプレートと熱的に接続され、少なくとも所定方向に沿って並ぶ複数の活性エネルギ照射部と、ヒートシンク及び活性エネルギ照射部を収容する筐体と、筐体に設けられ、ヒートシンクを通過したエアを筐体外へ排出する排気部と、筐体内におけるヒートシンクと排気部との間に設けられ、ヒートシンクを通過したエアを排気部へ流通させるダクトと、を備え、溝には、ダクトにおけるベースプレート側の一端部が差し込まれている。
【0023】
この活性エネルギ照射装置では、ヒートシンクの複数の放熱フィンに流入したエアは、第1部分及び第2部分の何れか一方における複数の放熱フィンの間をベースプレート側に流れた後、第2方向に折り返し、第1部分及び第2部分の何れか他方における複数の放熱フィンの間をベースプレートから離れる側へ流れる。したがって、複数の放熱フィンの間にエアを効果的に流すことができ、冷却効率を高めることが可能となる。また、溝を利用してダクトを放熱フィンに係合することができ、ダクトと放熱フィンとの接続においてパッキン等のシール部材を不要にすることが可能となる。
【0024】
本発明の活性エネルギ照射装置では、溝には、ダクトにおけるベースプレート側の一端部が、熱伝導材を介して差し込まれていてもよい。この場合、複数の放熱フィンからダクトへ熱を効果的に移動させることができる。
【0025】
本発明の活性エネルギ照射装置では、活性エネルギ照射部は、紫外線又は電子線を照射してもよい。これにより、活性エネルギ照射装置を紫外線又は電子線を照射する装置として用いることができる。
【0026】
本発明の活性エネルギ照射システムは、上記活性エネルギ照射装置を複数備え、複数の活性エネルギ照射装置は、所定方向において互いに当接するように並べられている。
【0027】
所定方向において互いに当接するように複数の活性エネルギ照射装置が並べられる場合、各活性エネルギ照射装置では、隣接する他の活性エネルギ照射装置の影響により、複数の活性エネルギ照射部が高温化(特に、複数の活性エネルギ照射部のうちの所定方向の両端部に半いされた活性エネルギ照射部が高温化)しやすい。この点、本発明の活性エネルギ照射システムでは、上記活性エネルギ照射システムを備えることから、冷却効率を高めることができるため、複数の活性エネルギ照射部が高温化することを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、冷却効率を高めることが可能なヒートシンク、活性エネルギ照射装置及び活性エネルギ照射システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、一実施形態の活性エネルギ照射システムの斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される活性エネルギ照射装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示される活性エネルギ照射装置を下側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示される活性エネルギ照射装置の分解斜視図である。
【
図5】
図5は、
図2に示される活性エネルギ照射装置における筐体の内部の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、
図2に示される活性エネルギ照射装置におけるエアの流れを示す正面図である。
【
図7】
図7は、
図6に示されるA-A線に沿っての活性エネルギ照射装置の断面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示されるB-B線に沿っての活性エネルギ照射装置の端面図である。
【
図11】
図11(a)は、
図4に示されるヒートシンクの第1ヒートパイプの正面図である。
図11(b)は、
図4に示されるヒートシンクの第2ヒートパイプの正面図である。
【
図12】
図12は、
図4に示されるヒートシンクの一部を拡大して示す正面図である。
【
図13】
図13は、
図1に示される活性エネルギ照射装置におけるLED基板の周辺のサーモカメラ画像を示す図である。
【
図14】
図14は、変形例に係るヒートシンクの正面図である。
【
図15】
図15は、変形例に係る活性エネルギ照射システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0031】
図1に示されるように、活性エネルギ照射システム100は、例えばUV(ultraviolet)プリンタに搭載されるシステムであって、複数の活性エネルギ照射装置1を備える。活性エネルギ照射装置1は、例えば印刷用途向けの高出力の空冷LED光源である。活性エネルギ照射装置1は、光(紫外線,活性エネルギ線)を被照射物に照射し、被照射物のインク乾燥等を行う。被照射物としては、例えば光硬化型インクが付着している印刷物が挙げられる。
【0032】
活性エネルギ照射装置1は、直方体状の外形を呈する。活性エネルギ照射装置1は、所定方向において互いに当接するように並べられている。所定方向に並べられた複数の活性エネルギ照射装置1は、固定プレート11に固定されて保持されている。
図2、
図3、
図4及び
図5に示されるように、活性エネルギ照射装置1は、筐体2、複数のLED基板3、ヒートシンク4、吸気部5、排気部6、ダクト7、不活性ガス供給部8及び不活性ガス吸引部9を備えている。
【0033】
なお、説明の便宜上、複数の活性エネルギ照射装置1が並ぶ所定方向を「X方向」とし、活性エネルギ照射装置1の光出射方向であってX方向と垂直な方向を「Z方向」とし、X方向及びZ方向に直交する方向を「Y方向」とする。活性エネルギ照射装置1が光を出射する側を「下側」とし、その反対側を「上側」とする。Y方向の一方側を「前側」とし、Y方向の他方側を「後側」とする。
【0034】
筐体2は、Z方向に長尺状の矩形状を呈する。筐体2は、金属で形成されている。筐体2は、LED基板3、ヒートシンク4およびダクト7を収容する。筐体2は、前ケース21及び後ケース22が互いに組み付けられて構成されている。筐体2の上壁2aには、筐体2を掴むための把持部23が設けられている。筐体2の内部における後側には、Y方向を厚さ方向とするドライバ基板12が配置されている。ドライバ基板12は、活性エネルギ照射装置1を駆動するための駆動用の電気回路基板である。ドライバ基板12上には、ドライバ基板12のトランジスタ等を冷却するドライバ基板用ヒートシンク13が配置されている。ドライバ基板用ヒートシンク13は、ドライバ基板12のトランジスタ等に熱的に接続されている。
【0035】
LED基板3は、所定回路を構成する矩形板状の基板31(
図8参照)と、基板31上においてX方向及びY方向に所定ピッチで並設された発光素子であるLED素子(活性エネルギ照射部)32と、を含む。LED素子32は、光(紫外線)を下方へ向けて出射する。LED基板3は、筐体2の内部における下端部に、基板31の厚さ方向をZ方向にして配置されている。LED基板3は、X方向に沿って並設されている。これにより、筐体2の内部には、数個~数百個のLED素子32が少なくともX方向に並べられる。LED基板3の各LED素子32から出射された光は、筐体2の下壁2bに設けられたガラス板からなる光照射窓24を介して、Y方向に移動する被照射物に照射される。
【0036】
ヒートシンク4は、LED基板3のLED素子32と熱的に接続された放熱部材である。ヒートシンク4は、エアとの熱交換により放熱する空冷式のヒートシンクである。エアは、LED素子32の冷却用の熱媒体(冷媒)を構成する。ヒートシンク4は、ベースプレート41、放熱フィン42、ヒートパイプ43及び仕切り板(仕切り部材)44を有する。
【0037】
ベースプレート41は、矩形板状を呈する。ベースプレート41の下面には、複数のLED基板3が設けられている。ベースプレート41の下面は、LED基板3の基板31と当接する。放熱フィン42は、Y方向を厚さ方向とする平板状を呈する。放熱フィン42は、ベースプレート41の上面(表面)上に立設されている。放熱フィン42は、Y方向(第1方向)において隙間をあけて積層するように並べられている。
【0038】
ヒートパイプ43は、複数の放熱フィン42に埋め込まれるように設けられている。ヒートパイプ43は、複数の放熱フィン42と熱的に接続されている。仕切り板44は、複数の放熱フィン42と交差するように設けられている。仕切り板44は、X方向を厚さ方向とする平板状を呈する。仕切り板44は、X方向(第2方向)において複数の放熱フィン42を仕切る。仕切り板44は、複数の放熱フィン42にX方向に互いに離れて一対設けられている。一対の仕切り板44は、複数の放熱フィン42を、X方向における外側に位置する一対の外側部分42xと、一対の外側部分の間に位置する内側部分42yと、に仕切る。
【0039】
仕切り板44におけるベースプレート41側の端は、ベースプレート41から離れている。つまり、仕切り板44は、複数の放熱フィン42の間において下側(ベースプレート41側)が上側(ベースプレート41側とは反対側)よりもエアがX方向に通過するように、複数の放熱フィン42を仕切る。仕切り板44は、複数の放熱フィン42にロウ付けされて固定されている。ヒートシンク4は、ブラケット25及び支持フレーム26(
図7参照)を介して筐体2に取り付けられている。
【0040】
吸気部5は、筐体2の外部から筐体2の内部へエアを導入する。吸気部5は、筐体2の内部の後述するバッファ空間BFにエアを導入する。吸気部5は、筐体2における前側の壁部2cの中央上方寄りの部分に設けられている。吸気部5は、吸気フィルタ(フィルタ部)51、フィルタ保持部52及び吸気口53を有する。
【0041】
図4、
図5、
図6及び
図7に示されるように、吸気フィルタ51は、筐体2の内部へ導入されるエアに含まれる異物(塵等)を捕集する。吸気フィルタ51は、例えばウレタン等で形成されている。吸気フィルタ51は、矩形板状の外形を呈する。吸気フィルタ51は、前側から見て、壁部2cの中央上方寄りの部分に拡がっている。フィルタ保持部52は、吸気フィルタ51を収容して保持する。フィルタ保持部52は、Y方向を厚さ方向とする矩形板状の外板52xを有する。外板52xの前面は、筐体2の壁部2cの前面と同一平面上に位置する。フィルタ保持部52は、ダクト7及びダクト7に設けられた支持フレーム27に着脱可能に取り付けられている。
【0042】
吸気口53は、Y方向(ヒートシンク4から排気部6に向かう方向と交差する方向)に沿って開口し且つ筐体2の内部に通じる貫通孔である。吸気口53は、外板52xにおけるX方向の両端部の領域に、互いに近接して並設されている。吸気口53は、Z方向を長手方向とする長孔形状の貫通孔である。吸気口53から吸い込まれたエアは、吸気フィルタ51を介して、筐体2の内部のバッファ空間BFへ導入される(
図8参照)。
【0043】
排気部6は、筐体2の内部から筐体2の外部へエアを排出する。排気部6は、筐体2の上端部に設けられている。排気部6は、ファン61を有する。ファン61としては、例えば軸流ファンが用いられている。ファン61は、下側からZ方向に沿って吸い込んだエアを、上側へZ方向に沿って圧送する。ファン61は、筐体2の内部における上端部に固定されている。ファン61の吐出側であって筐体2の上壁2aには、例えばウレタン等で形成された排気フィルタ62が取り付けられている。なお、排気フィルタ62については、便宜上、
図2のみにおいて示し、他の図での表示を省略する。排気部6におけるファン61の吐出側には、例えば室外への排気用の外部配管(不図示)が接続される。
【0044】
ダクト7は、筐体2の内部におけるヒートシンク4と排気部6との間に設けられている。ダクト7は、ヒートシンク4を通過したエアを排気部6へ流通させる。ダクト7は、ヒートシンク4を通過した不活性ガスを排気部6へ流通させる。ダクト7は、矩形管形状を呈する。ダクト7は、断面積一定でZ方向に延びる直線部71と、直線部71の下流側に設けられ断面積が下流に行くに従って大きくなるようにZ方向に延びる拡大部72と、を有する。
【0045】
筐体2の内部におけるダクト7のX方向の一方側及び他方側には、吸気部5により外部からエアが導入される空間であるバッファ空間BF(
図8参照)が設けられている。バッファ空間BFは、筐体2の内面とダクト7の直線部71及び拡大部72の外面とにより画成された空間である。ダクト7の下端部は、ヒートシンク4の放熱フィン42に形成された溝47に差し込まれて固定されている。ダクト7の上端部は、ファン61の吸込側に固定されている。ダクト7は、支持フレーム27を介して筐体2に取り付けられている。
【0046】
図2、
図3、
図4及び
図5に示されるように、不活性ガス供給部8は、筐体2の外部に不活性ガスを供給する。不活性ガスとしては、例えば窒素が挙げられる。不活性ガス供給部8は、不活性ガスを供給することにより、複数のLED素子32からの光の照射領域を含む領域に、不活性ガスが支配的な領域(酸素濃度が低い領域)を形成する。不活性ガス供給部8は、筐体2の前側の壁部2cにおける下端部に取り付けられている。不活性ガス供給部8は、矩形箱状のパージ筐体81と、パージ筐体81の上端面に設けられたソケット82と、パージ筐体81の下端部に設けられた噴出口83と、を有する。不活性ガス供給部8では、ソケット82から不活性ガスがパージ筐体81に導入され、当該不活性ガスが噴出口83から噴出される。
【0047】
不活性ガス吸引部9は、筐体2の外部の不活性ガスを吸引して筐体2の内部に流入させる。不活性ガス吸引部9は、筐体2に取り付けられた構造体である。不活性ガス吸引部9は、筐体2の下壁2bにおける後側に、ネジ等の締結具により着脱可能に取り付けられている。不活性ガス吸引部9は、矩形箱状の吸引部筐体91と、吸引部筐体91の下面に設けられた吸引口92と、吸引部筐体91の内部に設けられた回収流路93と、を有する(
図7参照)。不活性ガス吸引部9では、吸引口92を介して吸引部筐体91の内部に不活性ガスが吸引され、当該不活性ガスが回収流路93により筐体2の内部へ流通される。
【0048】
図6、
図7及び
図8に示されるように、活性エネルギ照射装置1では、外部のエアが吸気部5により筐体2の内部のバッファ空間BFに導入される。バッファ空間BFに導入されたエアは、Z方向に沿って下方へ流れた後、ヒートシンク4を通過してダクト7内に流入する。このとき、ヒートシンク4では、エアは、一対の外側部分42xそれぞれの複数の放熱フィン42の間をZ方向に沿って下方へ流れた後、仕切り板44とベースプレート41との間を通って上方に折り返すように流れ、内側部分42yにて合流する。そして、エアは、内側部分42yの複数の放熱フィン42の間をZ方向に沿って上方に流れ、ダクト7内へ流入する。
【0049】
また、バッファ空間BFに導入されたエアは、Z方向に沿って下方へ流れた後、ドライバ基板用ヒートシンク13を通過する。ドライバ基板用ヒートシンク13を通過したエアは、筐体2の内部における下方後側の空間を介して、ヒートシンク4の内側部分42yの流れに合流し、内側部分42yの複数の放熱フィン42の間をZ方向に沿って上方に流れ、ダクト7内へ流入する。ダクト7の内部に流入したエアは、Z方向に沿って上方へ流れ、ファン61を介して筐体2の外部へ排出される。
【0050】
図7に示されるように、活性エネルギ照射装置1では、不活性ガス供給部8から噴出された不活性ガスは、不活性ガス吸引部9により吸引されて筐体2の内部に流入する。筐体2の内部に流入した不活性ガスは、筐体2の内部における下方後側の空間を介して、ヒートシンク4の内側部分42yの流れに合流し、内側部分42yの複数の放熱フィン42の間をZ方向に沿ってエアとともに上方に流れ、ダクト7内へ流入する。ダクト7の内部に流入した不活性ガスは、Z方向に沿ってエアとともに上方に流れ、ファン61を介してエアとともに筐体2の外部へ排出される。
【0051】
本実施形態の活性エネルギ照射装置1では、
図9、
図10、
図11(a)及び
図11(b)に示されるように、ヒートシンク4のヒートパイプ43は、X方向から見てU字状に屈曲して延びる。ヒートパイプ43は、Y方向から見てZ方向に直線状に延びる。ヒートパイプ43は、互いにX方向に離れて一対設けられた第1ヒートパイプ48a,48bと、一対の第1ヒートパイプ48a,48bの間においてX方向に互いに離れて一対設けられた第2ヒートパイプ49a,49bと、を含む。第2ヒートパイプ49a,49bは、第1ヒートパイプ48a,48bよりも長い。
【0052】
図5、
図9及び
図10に示されるように、隣接するヒートパイプ43は、U字状の向き(U字状の開口側の方向)が180°異なる。具体的には、隣接しない第1ヒートパイプ48a及び第2ヒートパイプ49bは、ベースプレート41と接するようにY方向に沿って後側に直線状に延びた後、上側且つ前側に曲がるように延び、Y方向に沿って前側に直線状に延びる。隣接しない第1ヒートパイプ48b及び第2ヒートパイプ49aは、ベースプレート41と接するようにY方向に沿って前側に直線状に延びた後、上側且つ後側に曲がるように延び、Y方向に沿って後側に直線状に延びる。ヒートパイプ43は、その直線状に延びる部分が複数の放熱フィン42にロウ付けされて固定されている。
【0053】
仕切り板44は、その上端面が放熱フィン42の上端面と同じ平面上に位置するように設けられている。仕切り板44は、Z方向において、その下端が放熱フィン42の中央とベースプレート41との間に位置するように延びる。つまり、上述したように、仕切り板44の下端は、ベースプレート41から離れている。仕切り板44は、Y方向において、全ての放熱フィン42と交差するように延びる。
【0054】
仕切り板44は、複数の放熱フィン42に形成されたスリット46に挟まっている。スリット46は、ベースプレート41側とは反対側に開口し且つY方向に開口する。仕切り板44の厚さは、スリット46のX方向における幅以下である。スリット46は、X方向において、隣り合う第1ヒートパイプ48aと第2ヒートパイプ49aとの間、及び、隣り合う第1ヒートパイプ48bと第2ヒートパイプ49bとの間のそれぞれに設けられている。つまり、仕切り板44は、隣り合う第1ヒートパイプ48aと第2ヒートパイプ49aとの間、及び、隣り合う第1ヒートパイプ48bと第2ヒートパイプ49bとの間のそれぞれに設けられている。
【0055】
図5及び
図12に示されるように、ダクト7の下端部(ヒートシンク4側の端部)は、ヒートシンク4の放熱フィン42に形成された溝47に差し込まれている。具体的には、ダクト7の下端部においては、X方向に対向する一対の側壁(X方向を厚さ方向とする板状部分)が下方に突出する。溝47は、上側に開口し且つY方向に開口する。溝47は、複数の放熱フィン42の上端部においてスリット46と連なるように設けられている。
【0056】
ダクト7の下端部の厚さは、溝47のX方向における幅以下である。ダクト7の下端部は、熱伝導グリス(熱伝導材)を介して溝47に圧入されている。これにより、ダクト7の下端部は、複数の放熱フィン42に熱的に接続されつつ固定されると共に、仕切り板44のX方向の外側に重なるように当接する。その結果、複数の放熱フィン42において仕切り板44で仕切られてなる内側部分42yが、ダクト7の内部と気密に連通する。熱伝導グリスとしては、特に限定されず、種々のグリスを用いることができる。
【0057】
上述したように、筐体2の内部には、
図8に示されるバッファ空間BFが形成されている。バッファ空間BFは、ヒートシンク4の一対の外側部分42xにおける複数の放熱フィン42の間に上側からエアを流入させる流路を構成する。
【0058】
以上、ヒートシンク4では、複数の放熱フィン42にベースプレート41側とは反対側からエアが流入した場合、仕切り板44の存在により、当該エアは、複数の放熱フィン42の間において、ベースプレート41側へ流れた後にX方向に流れて折り返し、ベースプレート41から離れる側へ流れる。したがって、複数の放熱フィン42の間にエアを効果的に流すことができ、冷却効率(放熱効率)を高めることが可能となる。また、仕切り板44の存在により、複数の放熱フィン42の間におけるエアの流れを整流することができ、エアを効果的に流すことができ、冷却効率を高めることが可能となる。その結果、ヒートシンク4及びそれを備えた活性エネルギ照射装置1の小型化及び軽量化が可能となる。
【0059】
ヒートシンク4では、仕切り板44における下端は、ベースプレート41から離れている。この場合、仕切り板44における下端とベースプレート41との間をエアが流れる空間とすることができる。複数の放熱フィン42の間においてベースプレート41側がその反対側よりもエアがX方向に通過する構成を、具体的に実現することができる。
【0060】
ヒートシンク4では、仕切り板44は、複数の放熱フィン42にロウ付けされている。これにより、複数の放熱フィン42と仕切り板44とを熱的に接続し、仕切り板44により複数の放熱フィン42の熱を効果的に拡散させることができる。
【0061】
ヒートシンク4では、複数の放熱フィン42には、ベースプレート41側とは反対側に開口するスリット46が形成されている。仕切り板44は、複数の放熱フィン42のスリット46に挟まっている。この場合、仕切り板44を容易に設けることができる。仕切り板44を複数の放熱フィン42に確実に固定することができる。
【0062】
ヒートシンク4では、仕切り板44は、互いに離れて一対設けられている。一対の仕切り板44により複数の放熱フィン42を仕切ることができる。
【0063】
ヒートシンク4は、複数の放熱フィンに埋め込まれるように設けられたヒートパイプ43を備えている。この場合、ヒートパイプ43を利用して効果的に放熱させること可能となる。
【0064】
ヒートシンク4では、ヒートパイプ43は、一対設けられた第1ヒートパイプ48a,48bと、一対の第1ヒートパイプ48a,48bの間に一対設けられ第1ヒートパイプ48a,48bよりも長い第2ヒートパイプ49a,49bと、を有する。仕切り板44は、隣り合う第1ヒートパイプ48aと第2ヒートパイプ49aとの間、及び、隣り合う第1ヒートパイプ48bと第2ヒートパイプ49bとの間のそれぞれに設けられている。
【0065】
この場合、例えば、複数の放熱フィン42の間において、下方へ流れるエアを第1ヒートパイプ48a,48bに接触させた後、折り返して上方へ流れるエアを第2ヒートパイプ49a,49bに接触させることが可能となる。つまり、複数の放熱フィン42の間を流れるエアについて、温度がまだ比較的低い状態では第1ヒートパイプ48a,48bに接触させ、その後に温度が上がった状態では、放熱能が第1ヒートパイプ48a,48bよりも高い第2ヒートパイプ49a,49bに接触させることが可能となる。これにより、ヒートパイプ43を利用して均一的に放熱させることができる。
【0066】
ヒートシンク4では、複数の放熱フィン42のそれぞれには、上方に開口する溝47が形成されている。この場合、溝47を利用してダクト7を放熱フィン42に係合させることが可能となる。
【0067】
活性エネルギ照射装置1は、ヒートシンク4、LED素子32及び筐体2を備える。筐体2内には、複数の放熱フィン42の間に上側からエアを流入させる流路としてバッファ空間BFが設けられている。これにより、ヒートシンク4に流入したエアは、複数の放熱フィン42の間をベースプレート41側に流れた後、X方向に折り返し、複数の放熱フィン42の間をベースプレート41から離れる側へ流れる。したがって、複数の放熱フィン42の間にエアを効果的に流すことができ、冷却効率を高めることが可能となる。
【0068】
活性エネルギ照射装置1では、一対の仕切り板44は、ヒートシンク4の複数の放熱フィン42を、一対の外側部分42xとその間の内側部分42yとに仕切る。筐体2の内部には、一対の外側部分42xのそれぞれにおける複数の放熱フィン42の間に上側からエアを流入させる流路として、バッファ空間BFが設けられている。これにより、ヒートシンク4に流入したエアは、一対の外側部分42xのそれぞれにおける複数の放熱フィン42の間をベースプレート41側に流れた後、X方向に折り返して合流し、内側部分42yにおける複数の放熱フィン42の間をベースプレート41から離れる側へ流れる。したがって、複数の放熱フィン42の間にエアを効果的に流すことができ、冷却効率を高めることが可能となる。高温化しやすいX方向の両端側のLED素子32を優先的に冷却し、複数のLED素子32の温度を均一化でき、複数のLED素子32で照射ムラが生じるのを抑制することが可能となる。
【0069】
活性エネルギ照射装置1では、放熱フィン42の溝47には、ダクト7におけるベースプレート41側の一端部が差し込まれている。これにより、溝47を利用してダクト7を放熱フィン42に係合することができ、ダクト7と放熱フィン42との接続においてパッキン等のシール部材を不要にすることが可能となる。
【0070】
活性エネルギ照射装置1では、放熱フィン42の溝47には、ダクト7におけるベースプレート41側の一端部が熱伝導グリスを介して差し込まれている。熱伝導グリスにより、複数の放熱フィン42からダクト7へ熱を効果的に移動させることができる。なお、熱伝導グリスに代えて、他の熱伝導材を用いてもよい。他の熱伝導材としては、例えば熱伝導シート、熱伝導テープ、熱伝導ゲル及び熱伝導パッド等が挙げられる。
【0071】
活性エネルギ照射装置1では、LED素子32が紫外線を照射する。これにより、活性エネルギ照射装置1を紫外線を照射する装置として用いることができる。
【0072】
活性エネルギ照射システム100は、活性エネルギ照射装置1を複数備え、複数の活性エネルギ照射装置1は、X方向において互いに当接するように並べられている。X方向において互いに当接するように複数の活性エネルギ照射装置1が並べられる場合、各活性エネルギ照射装置1では、隣接する他の活性エネルギ照射装置1の影響により、複数のLED素子32が高温化(特に、X方向の両端側のLED素子32が高温化)しやすい。この点、活性エネルギ照射システム100では、活性エネルギ照射装置1を備えることから、冷却効率を高めることができるため、複数のLED素子32が高温化することを抑制することが可能となる。
【0073】
図13は、活性エネルギ照射装置1におけるLED基板3の周辺のサーモカメラ画像を示す図である。
図13は、筐体2の下壁2bを下方から見た画像である。
図13に示されるように、活性エネルギ照射装置1では、複数のLED基板3(複数のLED素子32(
図3参照))の温度部分が均一化するように冷却できることを確認できる。なお、図示する例では、複数のLED基板3の温度分布が2℃以内の温度勾配で均一化できている。
【0074】
本発明の一態様は、上記実施形態に限定されない。
【0075】
上記実施形態では、ヒートシンク4の仕切り板44における下端がベースプレート41から離れているが、複数の放熱フィン42の間においてベースプレート41側がその反対側よりもエアがX方向に通過するように構成できれば、この構成に限定されず、以下のように構成してもよい。
【0076】
例えば、仕切り板44におけるベースプレート41側に、エアを通過させる通気部(例えば孔又はメッシュ部等)が設けられていてもよい。この場合、通気部をエアが通過する空間とすることができる。複数の放熱フィン42の間においてベースプレート41側がその反対側よりもエアがX方向に通過する構成を、具体的に実現することが可能となる。
【0077】
例えば、仕切り板44は、メッシュ部を有し、メッシュ部におけるベースプレート41側は、メッシュ部におけるベースプレート41側とは反対側よりも開口率が大きくてもよい。この場合、メッシュ部をエアが通過する空間とすると共に、メッシュ部のベースプレート41側をエアがより通過する空間とすることができる。複数の放熱フィン42の間においてベースプレート41側がその反対側よりもエアがX方向に通過する構成を、具体的に実現することが可能となる。
【0078】
上記実施形態では、ヒートシンク4が仕切り板44を有するが、仕切り板44に限定されず、ヒートシンク4を仕切ることができる部材であれば、その他の種々の仕切り部材を有していてもよい。上記実施形態では、活性エネルギ照射部としてのLED素子32は紫外線を照射するが、活性エネルギ照射部は、電子線を照射してもよい。この場合、活性エネルギ照射装置を電子線を照射する装置として用いることができる。
【0079】
上記実施形態では、ヒートシンク4はLED素子32の放熱のために用いられており、LED素子32を発熱部としているが、ヒートシンク4の放熱の対象となる発熱部は、LED素子32に限定されず、その他の発熱部であってもよい。上記実施形態では、ヒートシンク4の放熱フィン42の溝47にダクト7の下端部が差し込まれているが、溝47に差し込まれる対象はダクト7に限定されず、他の部材であってもよい。この場合、他の部材を溝47を利用して放熱フィン42に係合させることが可能となる。
【0080】
上記実施形態では、ダクト7を矩形管形状としたが、ダクト7の形状は特に限定されず、例えばその他の多角管形状であってもよい。上記実施形態では、排気部6がファン61を有しているが、排気部6の構成は特に限定されない。例えば排気部6は、ファン61を有さずに、エア及び不活性ガスを室外へ排出する配管を有していてもよい。この場合、当該配管の下流側の接続先にて、エア及び不活性ガスがブロア等により圧送してもよい。
【0081】
上記実施形態では、ダクト7の直線部71及び拡大部72の周囲にエア存在領域が存在しているが、直線部71及び拡大部72の何れか一方の周囲のみにエア存在領域が存在していてもよいし、直線部71の一部又は拡大部72の一部の周囲のみにエア存在領域が存在していてもよい。
【0082】
上記実施形態では、不活性ガス吸引部9を筐体2にネジ等の締結具により着脱可能に取り付けたが、着脱可能に取り付ける構成は特に限定されず、公知の構成を利用することができる。例えば不活性ガス吸引部9を筐体2に対してスライドさせることで、不活性ガス吸引部9を筐体2に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0083】
上記実施形態では、一対の仕切り板44が設けられたヒートシンク4を用いたが、ヒートシンク4における仕切り板44の数は限定されず、1枚であってもよいし複数枚であってもよい。例えば
図14に示されるように、上述したヒートシンク4(
図10参照)において内側部分42yをX方向に仕切るように仕切り板44が更に設けられたヒートシンク4Zを用いてもよい。更に設けられた仕切り板44は、X方向において第2ヒートパイプ49a,49bの間に配置される。
【0084】
図14に示される例では、一対の仕切り板44により複数の放熱フィン42が一対の外側部分42xと内側部分42yとに仕切られると共に、これらの一対の仕切り板44の間に更に設けられた仕切り板44により、内側部分42yが第1内側部分42y1と第2内側部分42y2とに仕切られている。このようなヒートシンク4において、エアは、一対の外側部分42xそれぞれの複数の放熱フィン42の間をZ方向に沿ってベースプレート41側に流れた後、仕切り板44とベースプレート41との間を通って上方に折り返すように流れる。そして、エアは、第1内側部分42y1及び第2内側部分42y2それぞれの複数の放熱フィン42の間をZ方向に沿ってベースプレート41から離れるように流れ、ダクト7内へ流入する。なお、例えばヒートシンク4においてヒートパイプ43の数を上記実施形態よりも増やした場合に、複数のヒートパイプ43のうちX方向に隣接する一対のヒートパイプ43の間に仕切り板44が存在していなければ、そこに仕切り板44を更に設けてもよい。
【0085】
上記実施形態では、活性エネルギ照射システム100は、X方向に一列に並べられた複数の活性エネルギ照射装置1を備えるが、これに限定されない。本発明の一態様に係る活性エネルギ照射装置の数及びその配置は、特に限定されず、システムの仕様等に応じて適宜に変更してもよく、例えば
図15に示される活性エネルギ照射システム100Zのように構成してもよい。活性エネルギ照射システム100Zは、固定プレート11に固定されX方向に当接するように並べられた複数の活性エネルギ照射装置1Zからなるユニットを、一対備えている。
図15に示される例では、Y方向において、活性エネルギ照射装置1Zはその背面(後面)が当接するように並べられている。活性エネルギ照射装置1Zは、不活性ガス供給部8を備えていない以外は活性エネルギ照射装置1(
図2参照)と同様に構成されている。なお、
図1及び
図15に示されるように、複数の活性エネルギ照射装置1,1Zは、その筐体2の冷却面(筐体2の内部におけるヒートシンク4に通過する前のエアが存在する領域に隣接する、筐体2の壁面)が当接(連結)可能である。
【0086】
上記実施形態において、ヒートシンク4,4Zでは、Y方向から見て、スリット46を構成する辺のうち、対向する一対の辺の少なくとも一方は、スリット46の内側に入り込むように曲がっていてもよい。この場合、仕切り板44をスリット46内に挟まるように挿入したとき、当該辺が曲かっていることに起因してスリット46の内面がバネ(かしめ)として働き、仕切り板44と放熱フィン42との接触を確実なものとし、これらの間で熱を効果的に伝わるようにすることができる。
【0087】
上述した実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、上述した実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1,1Z…活性エネルギ照射装置、2…筐体、4,4Z…ヒートシンク、5…吸気部、6…排気部、7…ダクト、8…不活性ガス供給部、9…不活性ガス吸引部、32…LED素子(発熱部,活性エネルギ照射部)、42…放熱フィン、42x…外側部分、42y…内側部分、43…ヒートパイプ、44…仕切り板(仕切り部材)、46…スリット、47…溝、48a,48b…第1ヒートパイプ、49a,49b…第2ヒートパイプ、100,100Z…活性エネルギ照射システム、BF…バッファ空間(流路)。