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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101021
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】活性エネルギ照射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220629BHJP
   B01J 19/12 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B41J2/01 127
B01J19/12 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215355
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】村山 恭一
(72)【発明者】
【氏名】梅野 圭太
【テーマコード(参考)】
2C056
4G075
【Fターム(参考)】
2C056FD20
2C056HA44
2C056JC17
4G075AA22
4G075BA04
4G075CA03
4G075CA33
4G075CA39
4G075CA63
4G075DA02
4G075EA06
4G075EB31
4G075EC09
4G075FB02
4G075FB06
4G075FB12
4G075FC02
(57)【要約】
【課題】装置の大型化を抑制しつつ不活性ガスを回収することが可能な活性エネルギ照射装置を提供する。
【解決手段】活性エネルギ照射装置1は、少なくともY方向に沿って並ぶ複数のLED素子32と、LED素子32を収容する筐体2と、筐体2に設けられ筐体2の外部へエアを排気する排気部6と、筐体2の外部の不活性ガスを吸引して筐体2の内部に流入させる不活性ガス吸引部9と、を備える。筐体2の内部には、エアを流通させるエア流路と、不活性ガス吸引部により流入させた不活性ガスを流通させる不活性ガス流路と、が設けられている。エア流路と不活性ガス流路とは、合流している。排気部6は、エアとともに不活性ガスを排気する。
【選択図】図13

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも所定方向に沿って並ぶ複数の活性エネルギ照射部と、
前記活性エネルギ照射部を収容する筐体と、
前記筐体に設けられ、前記筐体の外部へエアを排出する排気部と、
前記筐体の外部の不活性ガスを吸引して前記筐体の内部に流入させる不活性ガス吸引部と、を備え、
前記筐体の内部には、前記エアを流通させるエア流路と、前記不活性ガス吸引部により流入させた前記不活性ガスを流通させる不活性ガス流路と、が設けられ、
前記エア流路と不活性ガス流路とは、合流しており、
前記排気部は、前記エアとともに前記不活性ガスを排気する、活性エネルギ照射装置。
【請求項2】
前記筐体の内部に収容され、前記活性エネルギ照射部と熱的に接続された空冷式のヒートシンクを備え、
前記エア流路及び前記不活性ガス流路は、前記ヒートシンクを通る、請求項1に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項3】
前記筐体の内部における前記ヒートシンクと前記排気部との間に設けられ、前記ヒートシンクを通過した前記エアを前記排気部へ流通させるダクトを備え、
前記ダクトの前記ヒートシンク側の端部は、前記ヒートシンクの放熱フィンに形成された溝に差し込まれている、請求項2に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項4】
前記不活性ガス吸引部は、前記筐体に取り付けられた構造体である、請求項1~3の何れか一項に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項5】
前記不活性ガス吸引部は、前記不活性ガスを吸引する吸引口と、前記吸引口から前記筐体の内部へ前記不活性ガスを流通させる回収流路と、を有する、請求項1~4の何れか一項に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項6】
前記筐体外へ前記不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を備え、
前記吸引口は、前記不活性ガス吸引部において前記不活性ガス供給部から離れる側の端部に設けられている、請求項5に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項7】
前記回収流路は、前記不活性ガスを前記不活性ガス供給部に近づく側に流通させる、請求項6に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項8】
前記回収流路は、前記不活性ガスに含まれるインクミストを少なくとも捕集するフィルタを有する、請求項5~7の何れか一項に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項9】
前記回収流路は、前記不活性ガスに含まれるインクミストを少なくとも遮蔽する遮蔽板を有する、請求項5~8の何れか一項に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項10】
前記回収流路は、前記不活性ガスに含まれるインクミストが液化されて成るインクを溜めるインク溜まりを有する、請求項5~9の何れか一項に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項11】
前記不活性ガス吸引部は、前記筐体に着脱可能に取り付けられている、請求項1~10の何れか一項に記載の活性エネルギ照射装置。
【請求項12】
前記活性エネルギ照射部は、紫外線又は電子線を照射する、請求項1~11の何れか一項に記載の活性エネルギ照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギ照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の活性エネルギ照射部と、活性エネルギ照射部を収容する筐体と、を備えた活性エネルギ照射装置が知られている。この種の技術として、例えば特許文献1には、光を照射する光照射装置と、光照射装置近傍を低酸素濃度雰囲気にする不活性ガス供給装置と、を備えるインクジェット記録装置が記載されている。特許文献1に記載された装置では、光照射装置が吸引穴を有し、光照射装置とは別の不活性ガス排出装置によって吸引穴を介して不活性ガスを吸引し、当該不活性ガスを外部へ排出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-280170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような活性エネルギ照射装置は、不活性ガスを回収するための構成に起因して、装置が大型化しやすいおそれがある。
【0005】
本発明は、装置の大型化を抑制しつつ不活性ガスを回収することが可能な活性エネルギ照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る活性エネルギ照射装置は、少なくとも所定方向に沿って並ぶ複数の活性エネルギ照射部と、活性エネルギ照射部を収容する筐体と、筐体に設けられ、筐体の外部へエアを排気する排気部と、筐体の外部の不活性ガスを吸引して筐体の内部に流入させる不活性ガス吸引部と、を備え、筐体の内部には、エアを流通させるエア流路と、不活性ガス吸引部により流入させた不活性ガスを流通させる不活性ガス流路と、が設けられ、エア流路と不活性ガス流路とは、合流しており、排気部は、エアとともに不活性ガスを排気する。
【0007】
この活性エネルギ照射装置では、筐体の内部のエアの流れを用いて、筐体の外部の不活性ガスを回収(すなわち、吸引して排気部から外部へ排気)することができる。不活性ガスを回収するための構成が別に必要になるのを抑制することができる。したがって、装置の大型化を抑制しつつ不活性ガスを回収することが可能となる。
【0008】
本発明に係る活性エネルギ照射装置は、筐体の内部に収容され、活性エネルギ照射部と熱的に接続された空冷式のヒートシンクを備え、エア流路及び不活性ガス流路は、ヒートシンクを通っていてもよい。この場合、ヒートシンクは、エアだけでなく不活性ガスも利用して放熱させることができる。
【0009】
本発明に係る活性エネルギ照射装置は、筐体の内部におけるヒートシンクと排気部との間に設けられ、ヒートシンクを通過したエアを排気部へ流通させるダクトを備え、ダクトのヒートシンク側の端部は、ヒートシンクの放熱フィンに形成された溝に差し込まれていてもよい。この場合、ダクトによりヒートシンクから排気部へ効率よくエアを流通させることができる。また、ダクトの端部が放熱フィンの溝に差し込まれていることから、ダクトと放熱フィンとの接続においてパッキン等のシール部材を不要にすることが可能となる。
【0010】
本発明に係る活性エネルギ照射装置では、不活性ガス吸引部は、筐体に取り付けられた構造体であってもよい。この場合、例えば不活性ガス吸引部を一つのユニットして筐体に取り付けることが可能となる。
【0011】
本発明に係る活性エネルギ照射装置では、不活性ガス吸引部は、不活性ガスを吸引する吸引口と、吸引口から筐体の内部へ不活性ガスを流通させる回収流路と、を有していてもよい。この場合、不活性ガス吸引部では、吸引口から不活性ガスを吸引し、その不活性ガスを回収流路により筐体の内部に流通させることができる。
【0012】
本発明に係る活性エネルギ照射装置は、筐体外へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給部を備え、吸引口は、不活性ガス吸引部において不活性ガス供給部から離れる側の端部に設けられていてもよい。この場合、不活性ガス吸引部は、不活性ガス供給部から離れた位置で不活性ガスを吸引することができる。不活性ガス供給部に近い位置で不活性ガスを吸引する場合に比べて、例えば吸引する不活性ガスの流速を下げることができ、効率よく不活性ガスを吸引することが可能となる。
【0013】
本発明に係る活性エネルギ照射装置では、回収流路は、不活性ガスを不活性ガス供給部に近づく側に流通させてもよい。この場合、回収流路は不活性ガスを折り返すように流通させることができる。当該折返しによって不活性ガスに含まれるインクミスト等が筐体の内部に直接的に入り込むのを抑制することが可能となる。
【0014】
本発明に係る活性エネルギ照射装置では、回収流路は、不活性ガスに含まれるインクミストを少なくとも捕集するフィルタを有していてもよい。この場合、フィルタによって、不活性ガスに含まれるインクミスト等が筐体の内部に入るのを抑制することが可能となる。
【0015】
本発明に係る活性エネルギ照射装置では、回収流路は、不活性ガスに含まれるインクミストを少なくとも遮蔽する遮蔽板を有していてもよい。この場合、遮蔽板によって、不活性ガスに含まれるインクミスト等が筐体の内部に入るのを抑制することが可能となる。
【0016】
本発明に係る活性エネルギ照射装置では、回収流路は、不活性ガスに含まれるインクミストが液化されて成るインクを溜めるインク溜まりを有していてもよい。この場合、回収流路においてインクミストが液化されて成るインクを溜めることが可能となる。
【0017】
本発明に係る活性エネルギ照射装置では、不活性ガス吸引部は、筐体に着脱可能に取り付けられていてもよい。これにより、不活性ガス吸引部の交換及びメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
【0018】
本発明に係る活性エネルギ照射装置では、活性エネルギ照射部は、紫外線又は電子線を照射してもよい。これにより、活性エネルギ照射装置を紫外線又は電子線を照射する装置として用いることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、装置の大型化を抑制しつつ不活性ガスを回収することが可能な活性エネルギ照射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、一実施形態の活性エネルギ照射システムの斜視図である。
図2図2は、図1に示される活性エネルギ照射装置の斜視図である。
図3図3は、図2に示される活性エネルギ照射装置を下側から見た斜視図である。
図4図4は、図2に示される活性エネルギ照射装置の分解斜視図である。
図5図5は、図2に示される活性エネルギ照射装置における筐体の内部の構成を示す斜視図である。
図6図6は、図2に示される活性エネルギ照射装置におけるエアの流れを示す正面図である。
図7図7は、図6に示されるA-A線に沿っての活性エネルギ照射装置の断面図である。
図8図8は、図7に示されるB-B線に沿っての活性エネルギ照射装置の端面図である。
図9図9は、図4に示されるヒートシンクの斜視図である。
図10図10は、図4に示されるヒートシンクの正面図である。
図11図11(a)は、図4に示されるヒートシンクの第1ヒートパイプの正面図である。図11(b)は、図4に示されるヒートシンクの第2ヒートパイプの正面図である。
図12図12は、図4に示されるヒートシンクの一部を拡大して示す正面図である。
図13図12は、図7に示される不活性ガス吸引部の断面図である。
図14図14は、図1に示される活性エネルギ照射装置におけるLED基板の周辺のサーモカメラ画像を示す図である。
図15図15は、変形例に係る不活性ガス吸引部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1に示されるように、活性エネルギ照射システム100は、例えばUV(ultraviolet)プリンタに搭載されるシステムであって、複数の活性エネルギ照射装置1を備える。活性エネルギ照射装置1は、例えば印刷用途向けの高出力の空冷LED光源である。活性エネルギ照射装置1は、光(紫外線,活性エネルギ線)を被照射物に照射し、被照射物のインク乾燥等を行う。被照射物としては、例えば光硬化型インクが付着している印刷物が挙げられる。
【0023】
活性エネルギ照射装置1は、直方体状の外形を呈する。活性エネルギ照射装置1は、所定方向において互いに当接するように並べられている。所定方向に並べられた複数の活性エネルギ照射装置1は、固定プレート11に固定されて保持されている。図2図3図4及び図5に示されるように、活性エネルギ照射装置1は、筐体2、複数のLED基板3、ヒートシンク4、吸気部5、排気部6、ダクト7、不活性ガス供給部8及び不活性ガス吸引部9を備えている。
【0024】
なお、説明の便宜上、複数の活性エネルギ照射装置1が並ぶ所定方向を「X方向」とし、活性エネルギ照射装置1の光出射方向であってX方向と垂直な方向を「Z方向」とし、X方向及びZ方向に直交する方向を「Y方向」とする。活性エネルギ照射装置1が光を出射する側を「下側」とし、その反対側を「上側」とする。Y方向の一方側を「前側」とし、Y方向の他方側を「後側」とする。
【0025】
筐体2は、Z方向に長尺状の矩形状を呈する。筐体2は、金属で形成されている。筐体2は、LED基板3、ヒートシンク4およびダクト7を収容する。筐体2は、前ケース21及び後ケース22が互いに組み付けられて構成されている。筐体2の上壁2aには、筐体2を掴むための把持部23が設けられている。筐体2の内部における後側には、Y方向を厚さ方向とするドライバ基板12が配置されている。ドライバ基板12は、活性エネルギ照射装置1を駆動するための駆動用の電気回路基板である。ドライバ基板12上には、ドライバ基板12のトランジスタ等を冷却するドライバ基板用ヒートシンク13が配置されている。ドライバ基板用ヒートシンク13は、ドライバ基板12のトランジスタ等に熱的に接続されている。
【0026】
LED基板3は、所定回路を構成する矩形板状の基板31(図8参照)と、基板31上においてX方向及びY方向に所定ピッチで並設された発光素子であるLED素子(活性エネルギ照射部)32と、を含む。LED素子32は、光(紫外線)を下方へ向けて出射する。LED基板3は、筐体2の内部における下端部に、基板31の厚さ方向をZ方向にして配置されている。LED基板3は、X方向に沿って並設されている。これにより、筐体2の内部には、数個~数百個のLED素子32が少なくともX方向に並べられる。LED基板3の各LED素子32から出射された光は、筐体2の下壁2bに設けられたガラス板からなる光照射窓24を介して、Y方向に移動する被照射物に照射される。
【0027】
ヒートシンク4は、LED基板3のLED素子32と熱的に接続された放熱部材である。ヒートシンク4は、エアとの熱交換により放熱する空冷式のヒートシンクである。エアは、LED素子32の冷却用の熱媒体(冷媒)を構成する。ヒートシンク4は、ベースプレート41、放熱フィン42、ヒートパイプ43及び仕切り板(仕切り部材)44を有する。
【0028】
ベースプレート41は、矩形板状を呈する。ベースプレート41の下面には、複数のLED基板3が設けられている。ベースプレート41の下面は、LED基板3の基板31と当接する。放熱フィン42は、Y方向を厚さ方向とする平板状を呈する。放熱フィン42は、ベースプレート41の上面(表面)上に立設されている。放熱フィン42は、Y方向(第1方向)において隙間をあけて積層するように並べられている。
【0029】
ヒートパイプ43は、複数の放熱フィン42に埋め込まれるように設けられている。ヒートパイプ43は、複数の放熱フィン42と熱的に接続されている。仕切り板44は、複数の放熱フィン42と交差するように設けられている。仕切り板44は、X方向を厚さ方向とする平板状を呈する。仕切り板44は、X方向(第2方向)において複数の放熱フィン42を仕切る。仕切り板44は、複数の放熱フィン42にX方向に互いに離れて一対設けられている。一対の仕切り板44は、複数の放熱フィン42を、X方向における外側に位置する一対の外側部分42xと、一対の外側部分の間に位置する内側部分42yと、に仕切る。
【0030】
仕切り板44におけるベースプレート41側の端は、ベースプレート41から離れている。つまり、仕切り板44は、複数の放熱フィン42の間において下側(ベースプレート41側)が上側(ベースプレート41側とは反対側)よりもエアがX方向に通過するように、複数の放熱フィン42を仕切る。仕切り板44は、複数の放熱フィン42にロウ付けされて固定されている。ヒートシンク4は、ブラケット25及び支持フレーム26(図7参照)を介して筐体2に取り付けられている。
【0031】
吸気部5は、筐体2の外部から筐体2の内部へエアを導入する。吸気部5は、筐体2の内部の後述するバッファ空間BFにエアを導入する。吸気部5は、筐体2における前側の壁部2cの中央上方寄りの部分に設けられている。吸気部5は、吸気フィルタ(フィルタ部)51、フィルタ保持部52及び吸気口53を有する。
【0032】
図4図5図6及び図7に示されるように、吸気フィルタ51は、筐体2の内部へ導入されるエアに含まれる異物(塵等)を捕集する。吸気フィルタ51は、例えばウレタン等で形成されている。吸気フィルタ51は、矩形板状の外形を呈する。吸気フィルタ51は、前側から見て、壁部2cの中央上方寄りの部分に拡がっている。フィルタ保持部52は、吸気フィルタ51を収容して保持する。フィルタ保持部52は、Y方向を厚さ方向とする矩形板状の外板52xを有する。外板52xの前面は、筐体2の壁部2cの前面と同一平面上に位置する。フィルタ保持部52は、ダクト7及びダクト7に設けられた支持フレーム27に着脱可能に取り付けられている。
【0033】
吸気口53は、Y方向(ヒートシンク4から排気部6に向かう方向と交差する方向)に沿って開口し且つ筐体2の内部に通じる貫通孔である。吸気口53は、外板52xにおけるX方向の両端部の領域に、互いに近接して並設されている。吸気口53は、Z方向を長手方向とする長孔形状の貫通孔である。吸気口53から吸い込まれたエアは、吸気フィルタ51を介して、筐体2の内部のバッファ空間BFへ導入される(図8参照)。
【0034】
排気部6は、筐体2の内部から筐体2の外部へエアを排出する。排気部6は、筐体2の上端部に設けられている。排気部6は、ファン61を有する。ファン61としては、例えば軸流ファンが用いられている。ファン61は、下側からZ方向に沿って吸い込んだエアを、上側へZ方向に沿って圧送する。ファン61は、筐体2の内部における上端部に固定されている。ファン61の吐出側であって筐体2の上壁2aには、例えばウレタン等で形成された排気フィルタ62が取り付けられている。なお、排気フィルタ62については、便宜上、図2のみにおいて示し、他の図での表示を省略する。排気部6におけるファン61の吐出側には、例えば室外への排気用の外部配管(不図示)が接続される。
【0035】
ダクト7は、筐体2の内部におけるヒートシンク4と排気部6との間に設けられている。ダクト7は、ヒートシンク4を通過したエアを排気部6へ流通させる。ダクト7は、ヒートシンク4を通過した不活性ガスを排気部6へ流通させる。ダクト7は、矩形管形状を呈する。ダクト7は、断面積一定でZ方向に延びる直線部71と、直線部71の下流側に設けられ断面積が下流に行くに従って大きくなるようにZ方向に延びる拡大部72と、を有する。
【0036】
筐体2の内部におけるダクト7のX方向の一方側及び他方側には、吸気部5により外部からエアが導入される空間であるバッファ空間BF(図8参照)が設けられている。バッファ空間BFは、筐体2の内面とダクト7の直線部71及び拡大部72の外面とにより画成された空間である。ダクト7の下端部は、ヒートシンク4の放熱フィン42に形成された溝47に差し込まれて固定されている。ダクト7の上端部は、ファン61の吸込側に固定されている。ダクト7は、支持フレーム27を介して筐体2に取り付けられている。
【0037】
図2図3図4及び図5に示されるように、不活性ガス供給部8は、筐体2の外部に不活性ガスを供給する。不活性ガスとしては、例えば窒素が挙げられる。不活性ガス供給部8は、不活性ガスを供給することにより、複数のLED素子32からの光の照射領域を含む領域に、不活性ガスが支配的な領域(酸素濃度が低い領域)を形成する。不活性ガス供給部8は、筐体2の前側の壁部2cにおける下端部に取り付けられている。不活性ガス供給部8は、矩形箱状のパージ筐体81と、パージ筐体81の上端面に設けられたソケット82と、パージ筐体81の下端部に設けられた噴出口83と、を有する。不活性ガス供給部8では、ソケット82から不活性ガスがパージ筐体81に導入され、当該不活性ガスが噴出口83から噴出される。
【0038】
不活性ガス吸引部9は、筐体2の外部の不活性ガスを吸引して筐体2の内部に流入させる。不活性ガス吸引部9は、筐体2に取り付けられた構造体である。不活性ガス吸引部9は、筐体2の下壁2bにおける後側に、ネジ等の締結具により着脱可能に取り付けられている。不活性ガス吸引部9は、矩形箱状の吸引部筐体91と、吸引部筐体91の下面に設けられた吸引口92と、吸引部筐体91の内部に設けられた回収流路93と、を有する(図7参照)。不活性ガス吸引部9では、吸引口92を介して吸引部筐体91の内部に不活性ガスが吸引され、当該不活性ガスが回収流路93により筐体2の内部へ流通される。
【0039】
図6図7及び図8に示されるように、活性エネルギ照射装置1では、外部のエアが吸気部5により筐体2の内部のバッファ空間BFに導入される。バッファ空間BFに導入されたエアは、Z方向に沿って下方へ流れた後、ヒートシンク4を通過してダクト7内に流入する。このとき、ヒートシンク4では、エアは、一対の外側部分42xそれぞれの複数の放熱フィン42の間をZ方向に沿って下方へ流れた後、仕切り板44とベースプレート41との間を通って上方に折り返すように流れ、内側部分42yにて合流する。そして、エアは、内側部分42yの複数の放熱フィン42の間をZ方向に沿って上方に流れ、ダクト7内へ流入する。
【0040】
また、バッファ空間BFに導入されたエアは、Z方向に沿って下方へ流れた後、ドライバ基板用ヒートシンク13を通過する。ドライバ基板用ヒートシンク13を通過したエアは、筐体2の内部における下方後側の空間を介して、ヒートシンク4の内側部分42yの流れに合流し、内側部分42yの複数の放熱フィン42の間をZ方向に沿って上方に流れ、ダクト7内へ流入する。ダクト7の内部に流入したエアは、Z方向に沿って上方へ流れ、ファン61を介して筐体2の外部へ排出される。
【0041】
図7に示されるように、活性エネルギ照射装置1では、不活性ガス供給部8から噴出された不活性ガスは、不活性ガス吸引部9により吸引されて筐体2の内部に流入する。筐体2の内部に流入した不活性ガスは、筐体2の内部における下方後側の空間を介して、ヒートシンク4の内側部分42yの流れに合流し、内側部分42yの複数の放熱フィン42の間をZ方向に沿ってエアとともに上方に流れ、ダクト7内へ流入する。ダクト7の内部に流入した不活性ガスは、Z方向に沿ってエアとともに上方に流れ、ファン61を介してエアとともに筐体2の外部へ排出される。
【0042】
本実施形態の活性エネルギ照射装置1では、図9図10図11(a)及び図11(b)に示されるように、ヒートシンク4のヒートパイプ43は、X方向から見てU字状に屈曲して延びる。ヒートパイプ43は、Y方向から見てZ方向に直線状に延びる。ヒートパイプ43は、互いにX方向に離れて一対設けられた第1ヒートパイプ48a,48bと、一対の第1ヒートパイプ48a,48bの間においてX方向に互いに離れて一対設けられた第2ヒートパイプ49a,49bと、を含む。第2ヒートパイプ49a,49bは、第1ヒートパイプ48a,48bよりも長い。
【0043】
図5図9及び図10に示されるように、隣接するヒートパイプ43は、U字状の向き(U字状の開口側の方向)が180°異なる。具体的には、隣接しない第1ヒートパイプ48a及び第2ヒートパイプ49bは、ベースプレート41と接するようにY方向に沿って後側に直線状に延びた後、上側且つ前側に曲がるように延び、Y方向に沿って前側に直線状に延びる。隣接しない第1ヒートパイプ48b及び第2ヒートパイプ49aは、ベースプレート41と接するようにY方向に沿って前側に直線状に延びた後、上側且つ後側に曲がるように延び、Y方向に沿って後側に直線状に延びる。ヒートパイプ43は、その直線状に延びる部分が複数の放熱フィン42にロウ付けされて固定されている。
【0044】
仕切り板44は、その上端面が放熱フィン42の上端面と同じ平面上に位置するように設けられている。仕切り板44は、Z方向において、その下端が放熱フィン42の中央とベースプレート41との間に位置するように延びる。つまり、上述したように、仕切り板44の下端は、ベースプレート41から離れている。仕切り板44は、Y方向において、全ての放熱フィン42と交差するように延びる。
【0045】
仕切り板44は、複数の放熱フィン42に形成されたスリット46に挟まっている。スリット46は、ベースプレート41側とは反対側に開口し且つY方向に開口する。仕切り板44の厚さは、スリット46のX方向における幅以下である。スリット46は、X方向において、隣り合う第1ヒートパイプ48aと第2ヒートパイプ49aとの間、及び、隣り合う第1ヒートパイプ48bと第2ヒートパイプ49bとの間のそれぞれに設けられている。つまり、仕切り板44は、隣り合う第1ヒートパイプ48aと第2ヒートパイプ49aとの間、及び、隣り合う第1ヒートパイプ48bと第2ヒートパイプ49bとの間のそれぞれに設けられている。
【0046】
図5及び図12に示されるように、ダクト7の下端部(ヒートシンク4側の端部)は、ヒートシンク4の放熱フィン42に形成された溝47に差し込まれている。具体的には、ダクト7の下端部においては、X方向に対向する一対の側壁(X方向を厚さ方向とする板状部分)が下方に突出する。溝47は、上側に開口し且つY方向に開口する。溝47は、複数の放熱フィン42の上端部においてスリット46と連なるように設けられている。
【0047】
ダクト7の下端部の厚さは、溝47のX方向における幅以下である。ダクト7の下端部は、熱伝導グリス(熱伝導材)を介して溝47に圧入されている。これにより、ダクト7の下端部は、複数の放熱フィン42に熱的に接続されつつ固定されると共に、仕切り板44のX方向の外側に重なるように当接する。その結果、複数の放熱フィン42において仕切り板44で仕切られてなる内側部分42yが、ダクト7の内部と気密に連通する。熱伝導グリスは、特に限定されず、種々のグリスを用いることができる。
【0048】
上述したように、筐体2の内部には、図8に示されるバッファ空間BFが形成されている。バッファ空間BFは、ヒートシンク4の一対の外側部分42xにおける複数の放熱フィン42の間に上側からエアを流入させる流路を構成する。
【0049】
本実施形態の活性エネルギ照射装置1では、筐体2の内部には、上述したように、吸気部5から排気部6までエアを流通させるエア流路と、不活性ガス吸引部9から排気部6まで不活性ガスを流通させる不活性ガス流路が設けられている。エア流路は、吸気部5から、バッファ空間BFとヒートシンク4とダクト7とをこの順に通って、排気部6に至る流路を含む。エア流路は、吸気部5から、バッファ空間BFとドライバ基板用ヒートシンク13と筐体2の内部における下方後側の空間とヒートシンク4とダクト7とをこの順に通って、排気部6に至る流路を含む。不活性ガス流路は、不活性ガス吸引部9から、筐体2の内部における下方後側の空間とヒートシンク4とダクト7とをこの順に通って、排気部6に至る流路を含む。つまり、エア流路と不活性ガス流路とは、合流している。排気部6は、エアとともに不活性ガスを排気する。
【0050】
図3図7及び図13に示されるように、不活性ガス吸引部9は、被照射物の移動方向においてLED基板3よりも下流側に配置される。不活性ガス吸引部9は、上述したように、不活性ガスを吸引する吸引口92と、吸引口92から筐体2の内部へ不活性ガスを流通させる回収流路93と、を有する。吸引口92は、不活性ガス吸引部9の吸引部筐体91において不活性ガス供給部8から離れる側(後側)の端部に設けられている。吸引口92は、複数設けられている。吸引口92は、Y方向に長尺な長孔形状のる貫通孔である。吸引口92は、X方向に並設されている。回収流路93は、不活性ガスを不活性ガス供給部8に近づく側(前側)に流通させる。回収流路93は、前側へ流通させた不活性ガスを導入口98を介して筐体2の内部に導入する。回収流路93は、吸引部筐体91の内部の空間により構成される。回収流路93は、フィルタ94、遮蔽板95及びインク溜まり96を有する。
【0051】
フィルタ94は、不活性ガスに含まれるインクミストを少なくとも捕集する。フィルタ94は、回収流路93の途中(吸引部筐体91の内部)に配置されている。フィルタ94としては、特に限定されず、公知のフィルタを用いることができる。遮蔽板95は、不活性ガスに含まれるインクミストを少なくとも遮蔽する。遮蔽板95は、Y方向を厚さ方向とする平板状の部材である。遮蔽板95は、回収流路93の流通方向と交差する表面を有する。遮蔽板95は、吸引部筐体91の内部に立設されている。図示する例では、遮蔽板95は、回収流路93におけるフィルタ94の上流側に設けられている。
【0052】
インク溜まり96は、不活性ガスに含まれるインクミストが液化されて成るインクWを溜める。インク溜まり96は、一定量のインクWをせき止める機能を有する部分である。インク溜まり96では、インクミストが集まり、液状になり溜まっている。インク溜まり96は、回収流路93における遮蔽板95の下流に設けられている。つまり、インク溜まり96では、溜めたインクWが遮蔽板95によりせき止められる。図示する例では、インク溜まり96は、遮蔽板95と吸引部筐体91の内面とにより画成されている。インク溜まり96は、回収流路93におけるフィルタ94の下方に設けられている。インク溜まり96は、フィルタ94に溜まったインクミストが液化してなるインクWを貯留することができる。
【0053】
このような不活性ガス吸引部9では、図13に示されるように、不活性ガス供給部8から供給されて後側に流れる不活性ガスが、吸引口92を介して内部に吸引される。吸引口92から吸引された不活性ガスは、回収流路93により前側に折り返すように流れ、導入口98を介して筐体2の内部に導入される。そして、筐体2の内部に導入された不活性ガスは、筐体2の内部で流通しているエアと合流し、ヒートシンク4へ流れる。
【0054】
なお、エア流路は、吸気部5、バッファ空間BF、ヒートシンク4(放熱フィン42の間)、ダクト7、ドライバ基板用ヒートシンク13、筐体2の内部における下方後側の空間、及び、排気部6により構成される。不活性ガス流路は、不活性ガス吸引部9、筐体2の内部における下方後側の空間、ヒートシンク4、ダクト7、及び、排気部6により構成される。
【0055】
図14は、活性エネルギ照射装置1におけるLED基板3の周辺のサーモカメラ画像を示す図である。図14は、筐体2の下壁2bを下方から見た画像である。図14に示されるように、活性エネルギ照射装置1では、複数のLED基板3(複数のLED素子32(図3参照))の温度部分が均一化するように冷却できることを確認できる。なお、図示する例では、複数のLED基板3の温度分布が2℃以内の温度勾配で均一化できている。
【0056】
以上、活性エネルギ照射装置1では、筐体2の内部のエアの流れを用いて、筐体2の外部の不活性ガスを回収(すなわち、吸引して排気部6から外部へ排気)することができる。不活性ガスを回収するための構成が別に必要になるのを抑制することができる。したがって、装置の大型化を抑制しつつ不活性ガスを回収することが可能となる。不活性ガス供給部8から供給された不活性ガスが拡がる前に効率よく回収することが可能となる。
【0057】
活性エネルギ照射装置1は、筐体2の内部に収容されたヒートシンク4を備え、エア流路及び不活性ガス流路は、ヒートシンク4を通っている。この場合、ヒートシンク4は、エアだけでなく不活性ガスも利用して放熱させることができる。
【0058】
活性エネルギ照射装置1は、ヒートシンク4を通過したエア及び不活性ガスを排気部6へ流通させるダクト7を備える。ダクト7のヒートシンク4側の端部は、ヒートシンク4の放熱フィン42に形成された溝47に差し込まれている。この場合、ダクト7によりヒートシンク4から排気部6へ効率よくエア及び不活性ガスを流通させることができる。また、ダクト7の端部が放熱フィン42の溝47に差し込まれていることから、ダクト7と放熱フィン42との接続においてパッキン等のシール部材を不要にすることが可能となる。
【0059】
活性エネルギ照射装置1では、不活性ガス吸引部9は、筐体2に取り付けられた構造体である。この場合、例えば不活性ガス吸引部9を一つのユニットして筐体2に取り付けることが可能となる。
【0060】
活性エネルギ照射装置1では、不活性ガス吸引部9は、不活性ガスを吸引する吸引口92と、吸引口92から筐体2の内部へ不活性ガスを流通させる回収流路93と、を有している。この場合、不活性ガス吸引部9では、吸引口92から不活性ガスを吸引し、当該不活性ガスを回収流路93により筐体2の内部に流通させることができる。
【0061】
活性エネルギ照射装置1は、筐体2の外部へ不活性ガスを供給する不活性ガス供給部8を備える。吸引口92は、不活性ガス吸引部9において不活性ガス供給部8から離れる側の端部に設けられている。この場合、不活性ガス吸引部9は、不活性ガス供給部8から離れた位置で不活性ガスを吸引することができる。不活性ガス供給部8に近い位置で不活性ガスを吸引する場合に比べて、例えば吸引する不活性ガスの流速を下げることができ、確実に不活性ガスを吸引することが可能となる。
【0062】
活性エネルギ照射装置1では、回収流路93は、不活性ガスを不活性ガス供給部8に近づく側に流通させる。この場合、回収流路93は不活性ガスを折り返すように流通させることができ、当該折返しによって不活性ガスに含まれるインクミスト等の異物(以下、「インクミスト等」という)が筐体2の内部に直接的に入り込むのを抑制することが可能となる。
【0063】
活性エネルギ照射装置1では、回収流路93は、不活性ガスに含まれるインクミストを少なくとも捕集するフィルタ94を有している。この場合、フィルタ94によって、不活性ガスに含まれるインクミスト等が筐体2の内部に入るのを抑制することが可能となる。
【0064】
活性エネルギ照射装置1では、回収流路93は、不活性ガスに含まれるインクミストを少なくとも遮蔽する遮蔽板95を有している。この場合、遮蔽板95によって、不活性ガスに含まれるインクミスト等が筐体2の内部に入るのを抑制することが可能となる。
【0065】
活性エネルギ照射装置1では、回収流路93は、不活性ガスに含まれるインクミストが液化されて成るインクWを溜めるインク溜まり96を有している。この場合、回収流路93においてインクWを溜めることが可能となる。
【0066】
活性エネルギ照射装置1では、不活性ガス吸引部9は、筐体2に着脱可能に取り付けられている。これにより、不活性ガス吸引部9の交換及びメンテナンスを容易に行うことが可能となる。例えばインク溜まり96に溜まったインクWの除去を容易に行うことができる。
【0067】
活性エネルギ照射装置1では、LED素子32が紫外線を照射する。これにより、活性エネルギ照射装置1を紫外線を照射する装置として用いることができる。
【0068】
図15は、変形例に係る不活性ガス吸引部209の断面図である。図15に示されるように、不活性ガス吸引部209は、回収流路93が遮蔽板295及びインク溜まり296を有する点で、上述した不活性ガス吸引部9(図13参照)と異なる。
【0069】
遮蔽板295は、不活性ガスに含まれるインクミストを少なくとも遮蔽する。遮蔽板295は、吸引部筐体91の内部に立設されている。遮蔽板295は、Y方向を厚さ方向とする平板状の部材である。回収流路93の流通方向と交差する表面を有する。遮蔽板295は、吸引部筐体91の内面において下方へ突出するように延びる遮蔽板295aと、吸引部筐体91の内面において上方へ突出するように延びる遮蔽板295bと、を含む。遮蔽板295aと遮蔽板295bとは、Y方向において交互に並ぶように回収流路93に配置されている。インク溜まり296は、不活性ガスに含まれるインクミストが液化されて成るインクWを溜める。インク溜まり296は、一定量のインクWをせき止める機能を有する部分である。インク溜まり296は、遮蔽板295bと吸引部筐体91の内面とにより画成されている。
【0070】
このような不活性ガス吸引部209では、吸引口92から吸引された不活性ガスは、回収流路93により前側に流れ、導入口98を介して筐体2の内部に導入される。このとき、不活性ガスは、遮蔽板295a及び遮蔽板295bの間を蛇行するように流れると共に、その不活性ガス中のインクミストが遮蔽板295に当たり、当該遮蔽板295の下部のインク溜まり296にインクWとして溜まる。
【0071】
本発明の一態様は、上記実施形態に限定されない。
【0072】
上記実施形態では、ヒートシンク4の仕切り板44における下端がベースプレート41から離れているが、複数の放熱フィン42の間においてベースプレート41側がその反対側よりもエアがX方向に通過するように構成できれば、この構成に限定されず、以下のように構成してもよい。
【0073】
例えば、仕切り板44におけるベースプレート41側に、エアを通過させる通気部(例えば孔又はメッシュ部等)が設けられていてもよい。この場合、通気部をエアが通過する空間とすることができる。複数の放熱フィン42の間においてベースプレート41側がその反対側よりもエアがX方向に通過する構成を、具体的に実現することが可能となる。
【0074】
例えば、仕切り板44は、メッシュ部を有し、メッシュ部におけるベースプレート41側は、メッシュ部におけるベースプレート41側とは反対側よりも開口率が大きくてもよい。この場合、メッシュ部をエアが通過する空間とすると共に、メッシュ部のベースプレート41側をエアがより通過する空間とすることができる。複数の放熱フィン42の間においてベースプレート41側がその反対側よりもエアがX方向に通過する構成を、具体的に実現することが可能となる。
【0075】
上記実施形態では、ヒートシンク4が仕切り板44を有するが、仕切り板44に限定されず、ヒートシンク4を仕切ることができる部材であれば、その他の種々の仕切り部材を有していてもよい。上記実施形態では、活性エネルギ照射部としてのLED素子32は紫外線を照射するが、活性エネルギ照射部は、電子線を照射してもよい。この場合、活性エネルギ照射装置を電子線を照射する装置として用いることができる。
【0076】
上記実施形態では、ヒートシンク4はLED素子32の放熱のために用いられており、LED素子32を発熱部としているが、ヒートシンク4の放熱の対象となる発熱部は、LED素子32に限定されず、その他の発熱部であってもよい。上記実施形態では、ヒートシンク4の放熱フィン42の溝47にダクト7の下端部が差し込まれているが、溝47に差し込まれる対象はダクト7に限定されず、他の部材であってもよい。この場合、他の部材を溝47を利用して放熱フィン42に係合させることが可能となる。
【0077】
上記実施形態では、ダクト7を矩形管形状としたが、ダクト7の形状は特に限定されず、例えばその他の多角管形状であってもよい。上記実施形態では、排気部6がファン61を有しているが、排気部6の構成は特に限定されない。例えば排気部6は、ファン61を有さずに、エア及び不活性ガスを室外へ排出する配管を有していてもよい。この場合、当該配管の下流側の接続先にて、エア及び不活性ガスがブロア等により圧送してもよい。
【0078】
上記実施形態では、ダクト7の直線部71及び拡大部72の周囲にエア存在領域が存在しているが、直線部71及び拡大部72の何れか一方の周囲のみにエア存在領域が存在していてもよいし、直線部71の一部又は拡大部72の一部の周囲のみにエア存在領域が存在していてもよい。
【0079】
上記実施形態では、不活性ガス吸引部9を筐体2にネジ等の締結具により着脱可能に取り付けたが、着脱可能に取り付ける構成は特に限定されず、公知の構成を利用することができる。例えば不活性ガス吸引部9を筐体2に対してスライドさせることで、不活性ガス吸引部9を筐体2に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0080】
上述した実施形態及び変形例における各構成には、上述した材料及び形状に限定されず、様々な材料及び形状を適用することができる。また、上述した実施形態又は変形例における各構成は、他の実施形態又は変形例における各構成に任意に適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1…活性エネルギ照射装置、2…筐体、4…ヒートシンク、5…吸気部、6…排気部、7…ダクト、8…不活性ガス供給部、9…不活性ガス吸引部、32…LED素子(活性エネルギ照射部)、42…放熱フィン、47…溝、92…吸引口、93…回収流路、94…フィルタ、95,295,295a,295b…遮蔽板、96,296…インク溜まり、W…インク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15