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  • 特開-亜塩素酸塩を含有する猫砂 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101027
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】亜塩素酸塩を含有する猫砂
(51)【国際特許分類】
   A01K 1/015 20060101AFI20220629BHJP
   C01B 11/10 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A01K1/015 B
C01B11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215362
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】597025677
【氏名又は名称】アース・ペット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藝 良平
【テーマコード(参考)】
2B101
【Fターム(参考)】
2B101AA20
2B101GB05
2B101GB08
(57)【要約】
【課題】メチルメルカプタンに対しても消臭効果を有する有機物を主原料とする猫砂を提供すること。
【解決手段】亜塩素酸塩を0.01~0.5質量%含有し、有機物を主原料とした猫砂。好ましくは、亜塩素酸塩を担持させる多孔質担体を含有し、さらに好ましくは、多孔質担体が、亜塩素酸塩の担持量に対して1.5モル当量より多く4.0モル当量以下のアルカリ剤をさらに担持する猫砂。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
亜塩素酸塩を0.01~0.5質量%含有し、有機物を主原料とした猫砂。
【請求項2】
亜塩素酸塩を担持させる多孔質担体を含有する請求項1記載の猫砂。
【請求項3】
多孔質担体が、亜塩素酸塩の担持量に対して1.5モル当量超かつ4.0モル当量以下のアルカリ剤をさらに担持する請求項2記載の猫砂。
【請求項4】
多孔質担体がパーライトであり、多孔質担体の含有量が1~20質量%である請求項2または3記載の猫砂。
【請求項5】
結着剤を1~10質量%含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の猫砂。
【請求項6】
結着剤としてカルボキシメチルセルロースを含む請求項5記載の猫砂。
【請求項7】
カルボキシメチルセルロースのエーテル化度が0.8以上である請求項6記載の猫砂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜塩素酸塩を含有し、有機物を主原料とする猫砂に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、猫の排泄物処理材として猫砂が使用されている。猫砂は容器内に入れて使用され、猫がその猫砂の上で排泄を行い、飼い主などが猫砂の尿がかかった部分のみを取り出し破棄することで猫の尿の処理を可能とするものである。猫砂には、このような尿がかかった部分のみを固化させ、取り出し破棄しやすくする固化性以外にも猫の尿や糞便といった排泄物のにおい対策として、消臭成分を配合させる方法が種々提案されている(特許文献1)。
【0003】
亜塩素酸塩は漂白剤、除菌剤、消臭剤として使用されているが、その消臭効果は、アンモニア、トリメチルアミンに対してのみならず、メチルメルカプタンに対しても高い消臭効果を発揮することが知られている。その一方で、亜塩素酸塩は不安定な化合物であり、容易に分解されてしまう性質があることから、その問題を解消するために種々の方法が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献2には、セピオライトなどの無機多孔質担体に亜塩素酸塩およびアルカリ剤を所定のモル比で担持させた水分含有量が10重量%以下である二酸化塩素剤が、環境または食品などの消臭、殺菌、ウイルス除去、防カビ、または防腐を十分に行えるとともに、人体に悪影響を及ぼさない程度の量の二酸化塩素ガスを、長時間にわたり安定して発生させることができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-17096号公報
【特許文献2】国際公開第2012/165466号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これまでに市販されている猫砂は、メチルメルカプタンに対する消臭効果が十分とはいえず、アンモニア、トリメチルアミンおよびメチルメルカプタンのいずれに対しても良好な消臭効果をもたらす猫砂が望まれている。
【0007】
また、特許文献2には二酸化塩素剤を他の主原料に混ぜて使用することについては一切記載されていない。
【0008】
したがって、本発明はメチルメルカプタンに対しても消臭効果を有する有機物を主原料とする猫砂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を検討した結果、有機物を主原料とする猫砂に亜塩素酸塩を0.01~0.5質量%含有させることにより、アンモニア、トリメチルアミンのみならず、メチルメルカプタンに対しても消臭効果を発揮することができることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1]亜塩素酸塩を0.01~0.5質量%、好ましくは0.05~0.3質量%、より好ましくは0.08~0.2質量%含有し、有機物を主原料とした猫砂、
[2]亜塩素酸塩を担持させる多孔質担体を含有する上記[1]記載の猫砂、
[3]多孔質担体が、亜塩素酸塩の担持量に対して1.5モル当量超かつ4.0モル当量以下、好ましくは2.0モル当量超かつ4.0モル当量以下、より好ましくは2.3モル当量以上かつ4.0モル当量以下、さらに好ましくは2.5モル当量以上かつ3.0モル当量以下のアルカリ剤をさらに担持する上記[2]記載の猫砂、
[4]多孔質担体がパーライトであり、多孔質担体の含有量が1~20質量%、好ましくは3~15質量%、より好ましくは5~10質量%である上記[2]または[3]記載の猫砂、
[5]結着剤を1~10質量%、好ましくは2~9質量%、より好ましくは3~8質量%含有する上記[1]~[4]のいずれかに記載の猫砂、
[6]結着剤としてカルボキシメチルセルロースを含む上記[5]記載の猫砂、ならびに
[7]カルボキシメチルセルロースのエーテル化度が0.8以上、好ましくは0.8以上かつ1.5以下、より好ましくは0.8以上1.0以下、さらに好ましくは0.9以上かつ1.0以下である上記[6]記載の猫砂
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、有機物を主原料とする猫砂に亜塩素酸塩を0.01~0.5質量%含有させることにより、アンモニアおよびトリメチルアミンのみならず、メチルメルカプタンに対しても消臭効果を発揮することができる。これは、亜塩素酸塩が、紙粉や木粉などの有機物と配合することでより分解が進んでしまうということを考慮すれば、驚くべき効果である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】猫砂のメチルメルカプタンに対する消臭効果を示すグラフである。
図2】猫砂のアンモニアに対する消臭効果を示すグラフである。
図3】猫砂のトリメチルアミンに対する消臭効果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の猫砂は、有機物を主原料とし、亜塩素酸塩を0.01~0.5質量%含有することを特徴とするものである。
【0014】
猫砂の主原料となる有機物としては、具体的には、パルプ、植物性繊維屑、紙粉、紙片、木粉、おから、茶殻、コーヒー抽出かす、トウモロコシの芯、ふすま、コーンスターチ、またはデンプン類のいずれか1種類以上を用いることができる。造粒性の観点から、原料の粒子径は、1mm以下が好ましい。
【0015】
本明細書において、「主原料」とは、主に猫砂を形成する主体となる材料であり、1種類の材料を用いてもよく、2種類以上の材料を組み合わせて用いることもできる。本発明において主原料として配合する有機物の含有量は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、80質量%以上が特に好ましい。また、有機物の含有量は、他の成分を含有させることを考慮すれば、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。
【0016】
亜塩素酸塩としては、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、および亜塩素酸リチウムなどの亜塩素酸のアルカリ金属塩、ならびに亜塩素酸マグネシウム、および亜塩素酸カルシウムなどの亜塩素酸のアルカリ土類金属塩などがあげられる。なかでも、低コストで、かつ市販品が汎用されているため入手が容易である点から、アルカリ金属塩が好ましく、亜塩素酸ナトリウムがより好ましい。
【0017】
猫砂における亜塩素酸塩の含有量は、0.01質量%以上であり、0.05質量%以上が好ましく、0.08質量%以上がより好ましい。猫砂における亜塩素酸塩の含有量が0.01質量%未満であると、十分な消臭効果が得られない。また、猫砂における亜塩素酸塩の含有量は、0.5質量%以下であり、0.3質量%以下が好ましく、0.2質量%以下がより好ましい。猫砂における亜塩素酸塩の含有量が0.5質量%を超えると、人体や動物に対する危険性が危惧される。
【0018】
本発明の猫砂は、亜塩素酸塩を多孔質担体に担持させたものであることが好ましい。これにより、有機物を主原料とする猫砂であっても、亜塩素酸塩の分解をより抑制できる傾向がある。多孔質担体としては、セピオライト、パリゴルスカイト、モンモリロナイト、湿式シリカ、珪藻土、ゼオライト、パーライトなどの無機多孔質担体があげられ、1種以上を用いることができる。なかでも安定して亜塩素酸塩を保持できる傾向があるためパーライトや湿式シリカが好ましい。パーライトは、数十ミクロン(μm)の粒子で数ミクロン~サブミクロンの細孔を有する多孔質担体であり、吸水量、吸油量が多く、また化学的に活性が低いため、亜塩素酸塩に影響を与えにくいことから、担体として最適である。
【0019】
多孔質担体の含有量は、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。多孔質担体の含有量を1質量%以上とすることにより猫砂中に多孔質担体を均一に配合しやすくなる傾向がある。また、多孔質担体の含有量は、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。多孔質担体の含有量を20質量%以下とすることにより造粒性に悪影響を及ぼすことなく猫砂を製造することが可能となる傾向がある。
【0020】
本発明の猫砂は、亜塩素酸塩の安定化のため、アルカリ剤を含有するものである。また、亜塩素酸塩を多孔質担体に担持させる場合には、アルカリ剤を共に多孔質担体に担持させることが好ましい。アルカリ剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、および水酸化リチウムなどの水酸化物、ならびに炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、および炭酸リチウムなどの炭酸塩などがあげられ、1種以上を用いることができる。なかでも、経済性の面から、水酸化ナトリウム、および炭酸ナトリウムが好ましく、亜塩素酸塩の保存安定性がより良好である点から水酸化ナトリウムがより好ましい。
【0021】
多孔質担体のアルカリ剤の担持量は、特に限定されるものではないが、亜塩素酸塩の担持量に対して、1.5モル当量超であることが好ましく、2.0モル当量超であることがより好ましく、2.3モル当量以上であることがさらに好ましく、2.5モル当量以上であることが特に好ましく、4.0モル当量以下が好ましく、3.0モル当量以下がより好ましい。多孔質担体のアルカリ剤の担持量を亜塩素酸塩の担持量に対して1.5モル当量超とすることにより、亜塩素酸塩を安定に保持できる傾向があり、また多孔質担体のアルカリ剤の担持量を亜塩素酸塩の担持量に対して2.0モル当量超とすることにより、担持された亜塩素酸塩が常温で分解され難く、長期間安定して保持されやすい傾向がある。さらに、多孔質担体のアルカリ剤の担持量を亜塩素酸塩の担持量に対して4.0モル当量以下、さらには3.0モル当量以下とすることにより、十分に効果を得つつコストを抑えることができる。
【0022】
亜塩素酸塩およびアルカリ剤を多孔質担体に担持させる方法としては、特に限定されるものではないが、上述の特許文献2に記載された方法、例えば含浸法およびスプレー法などを用いることができる。
【0023】
本発明の猫砂は、結着剤を含有するものであることが好ましい。結着剤を含有させることにより猫砂の固化性が向上し、猫が排泄した際、排泄物と触れた猫砂が固化しやすくなり、使用済みの猫砂を取り除くことが容易になる。結着剤としては、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ビーンガム、カラーギンナン、グアガム、グルテン、デンプンなどが挙げられる。結着剤は単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて用いることもできる。なかでもカルボキシメチルセルロースが好ましく、特に、アルカリ性での増粘低下を効果的に抑制できるという点からエーテル化度が好ましくは0.8以上、より好ましくは0.8~1.5、さらに好ましくは0.8~1.0、特に好ましくは0.9~1.0であるカルボキシメチルセルロースを用いることができる。カルボキシメチルセルロースのエーテル化度を0.8以上とすることにより、より十分な増粘効果が得られ、固化性の良好な猫砂が得られる傾向がある。また、カルボキシメチルセルロースにグアガムを併用することも好ましい。ここで、カルボキシメチルセルロースのエーテル化度とは、グルコース単位当たりのカルボキシメチル基の置換度であり、CMC工業会分析法に記載された公知の方法により測定、算出できるものである。
【0024】
結着剤の含有量は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。結着剤の含有量を1質量%以上とすることにより猫砂中に多孔質担体を均一に配合しやすくなる傾向がある。また、結着剤の含有量は、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。結着剤の含有量を20質量%以下とすることにより造粒性に悪影響を及ぼすことなく猫砂を製造することが可能となる傾向がある。また、結着剤としてカルボキシメチルセルロースを含有させる場合、カルボキシメチルセルロースの含有量は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。カルボキシメチルセルロースの含有量を1質量%以上とすることにより、効果的に猫砂の固化性を向上させることができる傾向がある。さらに、カルボキシメチルセルロースの含有量は、5質量%以下が好ましく、4質量%以下がより好ましい。カルボキシメチルセルロースの含有量を5質量%以下とすることにより、コストに見合った効果を得ることができる傾向がある。
【0025】
ここで本明細書において、「固化性」とは、猫がその猫砂の上で排泄を行なった際に猫の尿がかかった部分が固まる性質を意味し、例えば、後述の試験例3の評価基準を用いて評価することができる。猫砂が固化性を有するというためには、後述の試験例3の評価基準で△(手や指により圧力を加えると容易に崩れ、0.5m以下の高さからの自然落下でも破壊する。)以上を必要とし、好ましくは○(手や指により圧力を加えても容易に崩れず、0.5~1mの高さからの自然落下でも一部が破壊するがバラバラにはならない。))以上であり、◎(手や指により圧力を加えても容易に崩れず、0.5~1mの高さからの自然落下でもほとんど破壊しない。)が最も好ましい。
【0026】
本発明の猫砂は、上記成分に加え、さらに保存剤、殺菌剤、界面活性剤、香料などを含有することができる。
【0027】
保存剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、安息香酸またはその塩、ソルビン酸またはその塩、プロピオン酸またはその塩などがあげられ、いずれか1種以上を含むことができる。
【0028】
殺菌剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ジデシルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、ベンゼトニウム塩、ベンザルコニウム塩、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩などの第四級アンモニウム塩などがあげられ、いずれか1種以上を含むことができる。
【0029】
界面活性剤としては、特に制限されるものではないが、猫の尿の猫砂への浸透性を高めるために、湿潤作用を有するノニオン系界面活性剤や、アニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどがあげられ、アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩などがあげられ、いずれか1種以上を含むことができる。
【0030】
香料としては、天然香料および合成香料のいずれを用いてもよいが、排泄物の臭気に対するマスキング効果や、特にハーモナイズ効果を狙って調香されたものを使用することが好ましい。香料の具体例としては、リュウゼン香、安息香、海狸香、霊猫香、丁子油、ガルバナム、ジャスミンアブソリュート、ラブタナム、マテ茶、メリロット、ミモザ、ムスクトンキン、ミルラ、オークモスまたはモスドシェーヌ、乳香、ビャクシ香、オリス、バチュリ、ローズマリー油、白檀油、ベチバー油、バイオレットリーフアブソリュートなどの天然抽出香料、高級アルコール、アルデヒド、ベンズアルデヒド、安息香酸、ケイ皮酸、ケイ皮アルデヒド、ケイ皮アルコール、クマリン、エステル、インドール、ケトン、サリチル酸および関連化合物、テルペノイド、バニリンなどの各種の合成香料、あるいはこれらの2種以上の混合物をあげることができるが、特にこれらに限定されるものではなく、香料として市販品の物を広く使用することができる。
【0031】
本発明の猫砂を製造する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば粒状またはペレット状の造粒物を製造する一般的な方法を用いることができる。具体的には、主原料である有機物を必要に応じて粉砕機で粉砕した後、その他の成分、例えば亜塩素酸塩とアルカリ剤を担持させた多孔質担体、結着剤、保存剤、殺菌剤、界面活性剤と共に、コンティニュアスニーダーやスーパーミキサー、リボンブレンダーなどの混合機で混合し、その後この混合物を、例えばディスク型押出し式造粒装置に供給し、例えば10~50mmの厚さと2~10mmの口径を有するダイスを通して回転ロールにより押出し、カットし、膨張させることで、例えば直径が2~15mmで長さが2~30mmの円柱状の造粒物を得ることができる。この造粒物を、乾燥し、必要に応じてふるい分けにより整粒して猫砂を得ることができる。
【0032】
以下、実施例および比較例を用いて本発明を具体的に説明する。
【実施例0033】
実施例1~4および比較例1
まず、表1に示す組成にしたがい、亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを混合した溶液をパーライトに均一になるよう含浸させた後、パーライトの内部まで十分に溶液を吸液させるため、常温で10時間放置することにより亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを担持させたパーライトを得た。表1に示す組成にしたがい、ヒノキ木粉、乾燥おから、亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムを担持させたパーライト、カルボキシメチルセルロース、グアガム、デヒドロ酢酸ナトリウム、塩化セチルピリジニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを混合機(スーパーミキサー SMV(B)シリーズ、(株)カワタ製)に入れて混合し、ディスクペレッターにて固化、造粒した。得られたペレットを乾燥し、猫砂を得た(サイズ:長さ10mm、径4mm)。なお、亜塩素酸ナトリウムと水酸化ナトリウムは、それぞれ25%水溶液および4%水溶液を用いているが、表1には得られた猫砂に含まれる亜塩素酸ナトリウムおよび水酸化ナトリウムの質量%を記載した。表2および表3も同様である。
【0034】
【表1】
【0035】
試験例1:消臭試験
実施例1~4および比較例1で得られた亜塩素酸ナトリウムの濃度条件が異なる猫砂をそれぞれ入れた各プラスチック容器を、各デシケーター(3リットル空間)密閉空間に入れた。所定濃度に希釈されたメチルメルカプタン、アンモニア、またはトリメチルアミンの溶液10mLを各猫砂に滴下し、滴下30分後にデシケーター内のガス濃度をガス検知管にて測定した。結果を図1~3に示す。
【0036】
亜塩素酸ナトリウムを加えた実施例1~4では、アンモニアおよびトリメチルアミンに対する消臭効果に加え、亜塩素酸ナトリウムを加えていない比較例1ではほぼ消臭効果の得られなかったメチルメルカプタンについても消臭効果が得られることがわかった。
【0037】
実施例5~8
表2に示す組成にしたがい、猫砂を実施例1と同様にして製造した。
【0038】
試験例2:安定性試験
実施例5~8で得られた水酸化ナトリウムと亜塩素酸ナトリウムとのモル比の異なる猫砂について亜塩素酸塩の安定性を評価した。実施例5~8の猫砂をプラスチック製の包装材で密封した状態で温度50℃、湿度0%の恒温槽内に設置し、1ヵ月後に、ヨウ素滴定法(±0.75%の誤差あり)により亜塩素酸ナトリウムの分析を行った。結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】
得られた結果より、いずれの実施例でも1ヵ月50℃で保存しても亜塩素酸ナトリウムが残っていることがわかる。実施例5~7は特に50℃1ヵ月の試験条件において亜塩素酸ナトリウムの減少量が少なく、亜塩素酸塩の安定性が非常に優れていることがわかる。
【0041】
実施例9~16および比較例2
表3の組成にしたがい、猫砂を実施例1と同様にして製造した。
【0042】
試験例3:固化性能試験
実施例9~16および比較例2で得られた猫砂150gを深さ5cm以上になるように容器に充填した。充填層上面より1cmの高さから1%食塩水10mLを10秒間で滴下した。1分後に固化部分を取り出して、次の基準で固化強度の評価を行った。結果を表3に示す。
<評価基準>
◎:手や指により圧力を加えても容易に崩れず、0.5~1mの高さからの自然落下でもほとんど破壊しない。
○:手や指により圧力を加えても容易に崩れず、0.5~1mの高さからの自然落下でも一部が破壊するがバラバラにはならない。
△:手や指により圧力を加えると容易に崩れ、0.5m以下の高さからの自然落下でも破壊する。
×:ほとんどあるいは全く固化していない状態。
【0043】
【表3】
【0044】
得られた結果より、固化性能には結着剤の種類が影響を及ぼしていることがわかる。結着剤としてカルボキシメチルセルロースを使用する場合、エーテル化度が0.8~1.0のカルボキシメチルセルロースを用いた実施例9~12では、エーテル化度がそれより低いカルボキシメチルセルロースを用いた実施例13~15と比較して固化性能により優れていることがわかる。
図1
図2
図3