(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101034
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】電池監視方法及び電池監視システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20220629BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20220629BHJP
H02J 13/00 20060101ALI20220629BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20220629BHJP
G08C 15/06 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
H02J13/00 301A
G01R19/00 B
G08C15/06 H
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215377
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】湯野 徳人
(72)【発明者】
【氏名】南部 智彦
【テーマコード(参考)】
2F073
2G035
5G064
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA16
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BB04
2F073BC01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC07
2F073CC09
2F073CC12
2F073CD11
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2F073DD07
2F073DE08
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2F073DE16
2F073EE01
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2F073FG01
2F073FG02
2F073GG01
2F073GG07
2F073GG08
2G035AB03
2G035AC01
2G035AC02
2G035AD49
5G064AA01
5G064AC09
5G064CB08
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5G503BA03
5G503BB01
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5G503EA05
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5G503GD03
5G503GD06
5H030AA03
5H030AA04
5H030AS06
5H030AS08
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
(57)【要約】
【課題】制御装置の要求を、監視装置が受信に失敗したときであっても、監視装置で検出された電圧値を監視装置に送信することができるようにする。
【解決手段】電池監視システム1は、制御装置40が、組電池20の電流値を検出するとともに、監視装置30に電圧検出指示信号を送信する。監視装置30は、電圧検出指示信号の受信に基づいて各電池セル10の電圧値を電圧検出部51で検出し、制御装置40に送信する。制御装置40は、電圧値を取得し、組電池20の電池抵抗、過充電過放電を監視する。監視装置30は、予め複数回の電圧検出指示信号の受信に基づいて電圧検出指示信号の受信間隔を学習することで、電圧検出指示信号の受信に失敗したと判断したときは所定のタイミングで各電池セル10の電圧値を検出して監視装置30に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを直列に接続してなる組電池の電流値を検出するとともに、監視装置とデータ通信を行うデータ通信部を備えて電圧検出指示信号を送信することにより前記監視装置において検出された前記各電池セルの電圧値を取得する制御装置と、
前記組電池について各電池セルの電圧値を検出する電圧検出手段と、前記制御装置からの電圧検出指示信号を受信するとともに、前記電圧検出手段により検出した各電池セルの電圧値を前記制御装置に送信するデータ通信部とを含む監視装置とを備えた電池監視システムにおいて、
前記監視装置により、前記制御装置からの電圧検出指示信号の受信に基づいて電流値検出と同期するタイミングで各電池セルの電圧値を検出して前記制御装置に送信する電圧送信のステップと、
前記監視装置からの複数回の電圧検出指示信号の受信に基づいて電圧検出指示信号の受信間隔を学習する学習のステップと、
前記学習のステップにおいて学習した受信間隔に基づいて設定された受信待機時間を経過しても前記制御装置からの電圧検出指示信号を受信しない場合に、電圧検出指示信号の受信に失敗したと判断して設定されたタイミングで各電池セルの電圧値を検出して前記監視装置に送信する自動電圧送信のステップと
を実行することを特徴とする電池監視方法。
【請求項2】
前記学習のステップでは、前記監視装置からの3回以上の電圧検出指示信号の受信における複数の受信間隔に基づいて電圧検出指示信号の受信間隔を学習することを特徴とする請求項1に記載の電池監視方法。
【請求項3】
前記学習のステップでは、既に学習した電圧検出指示信号の受信間隔を、新たに受信した電圧検出指示信号に基づいて更新することを特徴とする請求項1又は2に記載の電池監視方法。
【請求項4】
前記監視装置は、
前記学習のステップにおける電圧検出指示信号の受信間隔を未学習の場合であって、受信待機時間が予め時間が設定された学習用時間を経過した場合に、前記電圧検出指示信号と非同期で自発的に検出した各電池セルの電圧値を前記制御装置に送信する非同期電圧送信のステップを備えたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電池監視方法。
【請求項5】
前記制御装置により、
設定されたタイミングで前記組電池の電流値を検出するとともに、前記監視装置に電圧検出指示信号を送信することにより、前記監視装置において前記電流値と同期して検出された前記各電池セルの電圧値を受信し、各電池セルの内部抵抗を算出するとともに、各電池セルの過充電若しくは過放電を監視し、
前記制御装置が、前記監視装置が電圧検出指示信号を受信できなかった場合に、前記監視装置において前記電流値と同期して検出された前記各電池セルの電圧値を受信できなかった場合に、前記電流値と同期しないで検出された前記各電池セルの電圧値に基づいて、各電池セルの過充電若しくは過放電を算出する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電池監視方法。
【請求項6】
複数の電池セルを直列に接続してなる組電池について前記各電池セルの電圧値を検出する電圧検出手段と、
前記組電池の電流値を検出するとともに、監視装置とデータ通信を行うデータ通信部を備えて電圧検出指示信号を送信することにより前記監視装置において検出された前記各電池セルの電圧値を取得する制御装置と、
前記制御装置からの電圧検出指示信号を受信するとともに、前記電圧検出手段により検出した各電池セルの電圧値を前記制御装置に送信するデータ通信部とを備えた監視装置と、
を備えた電池監視システムであって、
前記監視装置は、
前記監視装置からの電圧検出指示信号の受信に基づいて電流値検出と同期するタイミングで各電池セルの電圧値を検出して前記監視装置に送信する電圧送信手段と、
前記監視装置からの複数回の電圧検出指示信号の受信に基づいて電圧検出指示信号の受信間隔を学習する学習手段と、
前記学習のステップにおいて学習した受信間隔に基づいて設定された受信待機時間を経過しても前記制御装置からの電圧検出指示信号を受信しない場合に、電圧検出指示信号の受信に失敗したと判断して設定されたタイミングで各電池セルの電圧値を検出して前記監視装置に送信する自動電圧送信手段と、
して構成されたことを特徴とする電池監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、電池監視方法及び電池監視システムに係り、より詳しくは、車両の電源等に用いられる二次電池の状態を監視するのに好適な電池監視方法及び電池監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両の電源等に用いられる二次電池は、多くの場合、複数の電池セルを直列に接続してなる組電池としての構成を有している。更に、このような二次電池においては、その組電池を構成する各電池セルの電流検出及び電圧検出の同期が確保される。例えば、特許文献1等には、電圧検出タイミングを基準に電流検出タイミングを補正する構成が開示されている。また、例えば、特許文献2等には、電流検出タイミングを基準に電圧検出タイミングを補正する構成が開示されている。そして、これにより検出される同期した電流値及び電圧値に基づいて、その各電池セルの状態検知が行われる。
【0003】
また、例えば、
図9に示すように、特許文献3に記載の電池監視システム101は、監視装置130は、組電池120の電流計157の電流値Iをそれぞれの監視装置130の電流検出手段158により検出する。また組電池120を構成する各電池セル110の電圧値Vをそれぞれの監視装置130の電圧検出手段151により検出する。この監視装置130と無線通信を行う制御装置140とを備えている。そして、制御装置140の要求に基づいて、その同期したタイミングで検出された電流値I及び各電圧値Vを関連付けて子機153が送信する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2015/194112号
【特許文献2】特開2012-154641号公報
【特許文献3】特開2020-53176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術の構成では、制御装置の要求を、監視装置が受信に失敗すると、同期したタイミングで検出された電流値及び各電圧値を監視装置が送信することができない。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、制御装置の要求を、監視装置が受信に失敗したときであっても、監視装置で検出された電圧値を監視装置に送信することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の電池監視方法は、複数の電池セルを直列に接続してなる組電池の電流値を検出するとともに、監視装置とデータ通信を行うデータ通信部を備えて電圧検出指示信号を送信することにより前記監視装置において検出された前記各電池セルの電圧値を取得する制御装置と、前記組電池について各電池セルの電圧値を検出する電圧検出手段と、前記制御装置からの電圧検出指示信号を受信するとともに、前記電圧検出手段により検出した各電池セルの電圧値を前記制御装置に送信するデータ通信部とを含む監視装置とを備えた電池監視システムにおいて、前記監視装置により、前記制御装置からの電圧検出指示信号の受信に基づいて電流値検出と同期するタイミングで各電池セルの電圧値を検出して前記制御装置に送信する電圧送信のステップと、前記監視装置からの複数回の電圧検出指示信号の受信に基づいて電圧検出指示信号の受信間隔を学習する学習のステップと、前記学習のステップにおいて学習した受信間隔に基づいて設定された受信待機時間を経過しても前記制御装置からの電圧検出指示信号を受信しない場合に、電圧検出指示信号の受信に失敗したと判断して設定されたタイミングで各電池セルの電圧値を検出して前記監視装置に送信する自動電圧送信のステップとを実行することを特徴とする。
【0008】
前記学習のステップでは、前記監視装置からの3回以上の電圧検出指示信号の受信における複数の受信間隔に基づいて電圧検出指示信号の受信間隔を学習するようにしてもよい。
【0009】
前記学習のステップでは、既に学習した電圧検出指示信号の受信間隔を、新たに受信した電圧検出指示信号に基づいて更新するようにしてもよい。
前記監視装置は、前記学習のステップにおける電圧検出指示信号の受信間隔を未学習の場合であって、受信待機時間が予め時間が設定された学習用時間を経過した場合に、前記電圧検出指示信号と非同期で自発的に検出した各電池セルの電圧値を前記制御装置に送信する非同期電圧送信のステップを備えてもよい。
【0010】
前記制御装置により、設定されたタイミングで前記組電池の電流値を検出するとともに、前記監視装置に電圧検出指示信号を送信することにより、前記監視装置において前記電流値と同期して検出された前記各電池セルの電圧値を受信し、各電池セルの内部抵抗を算出するとともに、各電池セルの過充電若しくは過放電を監視し、前記制御装置が、前記監視装置が電圧検出指示信号を受信できなかった場合に、前記監視装置において前記電流値と同期して検出された前記各電池セルの電圧値を受信できなかった場合に、前記電流値と同期しないで検出された前記各電池セルの電圧値に基づいて、各電池セルの過充電若しくは過放電を算出するようにしてもよい。
【0011】
本発明の電池監視装置では、複数の電池セルを直列に接続してなる組電池について前記各電池セルの電圧値を検出する電圧検出手段と、前記組電池の電流値を検出するとともに、監視装置とデータ通信を行うデータ通信部を備えて電圧検出指示信号を送信することにより前記監視装置において検出された前記各電池セルの電圧値を取得する制御装置と、前記制御装置からの電圧検出指示信号を受信するとともに、前記電圧検出手段により検出した各電池セルの電圧値を前記制御装置に送信するデータ通信部とを備えた監視装置と、を備えた電池監視システムであって、前記監視装置は、前記監視装置からの電圧検出指示信号の受信に基づいて電流値検出と同期するタイミングで各電池セルの電圧値を検出して前記監視装置に送信する電圧送信手段と、前記監視装置からの複数回の電圧検出指示信号の受信に基づいて電圧検出指示信号の受信間隔を学習する学習手段と、前記学習のステップにおいて学習した受信間隔に基づいて設定された受信待機時間を経過しても前記制御装置からの電圧検出指示信号を受信しない場合に、電圧検出指示信号の受信に失敗したと判断して設定されたタイミングで各電池セルの電圧値を検出して前記監視装置に送信する自動電圧送信手段と、して構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
制御装置の要求を、監視装置が受信に失敗したときであっても、監視装置で検出された電圧値を制御装置に送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】正常時の電池監視システムの処理を示すタイムチャート。
【
図3】受信間隔を学習済みの場合に電圧検出指示信号の受信を失敗したときの電池監視システム1の処理を示すタイムチャート。
【
図4】受信間隔を未学習の場合に電圧検出指示信号の受信を失敗したときの電池監視システム1の処理を示すタイムチャート。
【
図5】監視装置による電圧値V検出の処理手順を示すフローチャートの全体。
【
図6】1回目の電圧検出指示信号VCSを受けた場合の監視装置の処理を示すフローチャート。
【
図7】2回目の電圧検出指示信号VCSを受けた場合の監視装置の処理を示すフローチャート。
【
図8】3回目の電圧検出指示信号VCSを受けた場合の監視装置の処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、電池監視システムの一実施形態を図面に従って説明する。
(第1の実施形態の構成)
<電池監視システム1>
図1は、電池監視システムの概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態の電池監視システム1は、組電池20について、その各電池セル10の電圧値Vを検出する監視装置30を備える。また、この監視装置30と無線によるデータ通信を行う制御装置40を備えている。
【0015】
<組電池20>
本実施形態の電池監視システム1は、例えば、複数の組電池20を備えた電動車両等に適用される。組電池20は、複数の電池セル10を直列に接続してなる。
図1に示す例において、この電池監視システム1は、複数の組電池20が直列に接続される用途に用いられている。
【0016】
<監視装置30>
電池監視システム1は、これらの各組電池20に対応して独立に設けられた複数の監視装置30を備えている。各監視装置30は、図示しないCPU、ROM、RAM、メモリを備えたコンピュータとして構成されている。そして、対応する組電池20の各電池セル10について、その電圧検出を実行する電圧検出部51を備えている。また、これらの各監視装置30は、それぞれ、その無線アンテナ52を用いたデータ通信を実行するデータ通信部53を備えている。更に、制御装置40もまた、その無線アンテナ54を用いたデータ通信を実行するデータ通信部55を備えている。そして、本実施形態の電池監視システム1は、これにより、その無線によるデータ通信の実行によって、各監視装置30が検出した各電池セル10の電圧値Vを制御装置40が取得する構成となっている。
【0017】
また、監視装置30には、受信間隔T2を学習するためのカウンタである学習用タイマ31を備える。また、電圧検出指示信号VCSの受信を失敗したときでも、送信間隔T1と同期して電圧を測定するためのカウンタである同期用タイマ32を備える。
【0018】
<電流センサ57>
また、本実施形態の電池監視システム1は、その直列に接続された各組電池20が形成する電力供給線56に設けられた電流センサ57を備えている。
【0019】
<制御装置40>
本実施形態の制御装置40は、図示しないCPU、ROM、RAM、メモリを備えたコンピュータとして構成されている。電流センサ57の出力信号に基づいて、その直列に接続された各組電池20の電流検出、つまりは、これらの各組電池20を構成する直列に接続された各電池セル10の電流検出を実行する電流検出部58を備えている。電池監視システム1は、信号線59を用いた有線接続によって、その電流センサ57の出力信号が制御装置40に入力される。
【0020】
<電池管理部60>
制御装置40は、その電流検出部58において検出された各組電池20の電流値Iが、データ通信の実行により各監視装置30から取得した各電池セル10の電圧値Vとともに電池管理部60に入力される。制御装置40は、その検出した電流値I及び取得した各電圧値Vに基づいて電池管理部60が、その各組電池20の管理処理を実行する構成になっている。
【0021】
具体的には、電池管理部60は、演算処理を実行する演算処理回路、及び制御用のプログラムやデータが記憶されたメモリを備えた情報処理装置としての構成を有している。また、電池管理部60は、各組電池20の管理処理として、例えば、その組電池20毎に、電流値I及び各電圧値Vに基づいて、各電池セル10の内部抵抗値を演算する。そして、本実施形態の電池管理部60は、その電流値Iの積算値及び各電圧値Vに基づいて、各電池セル10のSOC(State of Charge)を演算する。
【0022】
また、本実施形態の電池管理部60は、所定時間に流れた電流量、及び各電圧値Vの変化に基づいて、各電池セル10の満充電容量を演算する。更に、本実施形態の電池管理部60は、上記SOCに加え、各電池セル10の健全度や劣化状態を表すSOH(State of Health)を演算する。尚、このSOHは、例えば、初期の満充電容量を100%として、その劣化時における満充電容量の割合に表される。更に、電池管理部60は、これら電流値I及び各電圧値Vに基づき演算した各電池セル10の状態量に基づいて、各電池セル10及び各組電池20の診断を実行する(ダイアグ検知)。そして、本実施形態の電池管理部60は、これらの各状態量に基づいて、その各組電池20の出力電力に上限を設定する(パワーリミット設定)。
【0023】
更に、本実施形態の電池管理部60は、その制御装置40が検出した電流値I及び制御装置40が各監視装置30から取得した各電圧値Vに基づいて、電流センサ57の異常、及び各監視装置30の電圧検出部51を構成する電圧センサの異常を検知する。尚、これら各センサの異常検知は、例えば、電流が流れているにも関わらず電圧が変化しない、或いは、電圧が変化しているにも関わらず電流が印加されない等の矛盾の検出に基づき実行される。そして、本実施形態の電池管理部60は、このような組電池20の管理処理を実行することにより、その各組電池20の安全性を担保する構成になっている。
【0024】
(第1の実施形態の作用)
図2は、正常時の電池監視システム1の処理を示すタイムチャートである。
図3は、受信間隔T2を学習済みの場合に電圧検出指示信号の受信を失敗したときの電池監視システム1の処理を示すタイムチャートである。
図4は、受信間隔T2を未学習の場合に電圧検出指示信号の受信を失敗したときの電池監視システム1の処理を示すタイムチャートである。以下、
図2~4を参照して、電池監視システム1の処理を説明する。
【0025】
<制御装置40の正常時の動作>
図1に示す制御装置40は、監視装置30へ電圧検出指示信号VCSをデータ通信部55の無線アンテナ54から、監視装置30のデータ通信部53の無線アンテナ52に所定の送信間隔T1で無線により送信する。すなわち
図2に示すように、監視装置30は、この送信間隔T1と同じ間隔の受信間隔T2で電圧検出指示信号VCSを受信する。
【0026】
制御装置40は、電圧検出指示信号VCSを送信後、所定の「測定待機時間Tm」を待機してから電流計測を実施する。「測定待機時間Tm」は、各電池セル10の電圧計測時間v1~v6に、電流計測時間i1~i6が、同期して同時に行われるように調整するための待機時間である。
【0027】
電流計測は6つの電池セル10を、時間をずらせながら電流計測時間i1~i6でそれぞれの電池セル10を順次計測する。
監視装置30は、第1回目の電圧検出指示信号VCSを受信すると、直ちに電圧検出部51に計測指示を出して、各電池セル10の電圧を電圧計測時間v1~v6において、順次測定する。なお、電流計測時間i1~i6に合わせて待機するようにしてもよい。測定した各電池セル10の電圧値Vは、データ通信部53から制御装置40に送信する。
【0028】
制御装置40は、監視装置30から電圧値Vを受信し、各電池セル10の内部抵抗を算出する。また、電圧値Vから過充電若しくは過放電を検出する。
<監視装置30の正常時の動作>
監視装置30は、この1回目の電圧検出指示信号VCSを受信したとき、学習用タイマ31を起動する。
【0029】
制御装置40は、2回目の電圧検出指示信号VCSを送信間隔T1で、監視装置30に送信する。監視装置30は、2回目の電圧検出指示信号VCSを受信間隔T2で受信する。監視装置30は、2回目の電圧検出指示信号VCSを受信間隔T2で受信したタイミングで、起動していた学習用タイマ31からカウントを読み出し、受信間隔T2を記憶して学習する。その後、学習用タイマ31は、停止され、リセットされる。
【0030】
また、監視装置30は、2回目の電圧検出指示信号VCSを受信間隔T2で受信したタイミングで、同期用タイマ32を起動する。
<受信間隔T2を学習済みの場合に電圧検出支持信号の受信を失敗したときの動作>
次に、
図3を参照して、受信間隔T2を学習済みの場合に、電圧検出指示信号VCSの受信を失敗したときの電池監視システム1の処理を示すタイムチャートを説明する。
【0031】
図3の左側には、
図2に示す受信間隔T2を学習した後の状態で、3回目の電圧検出指示信号VCSを受信したときの、タイムチャートを示す。
制御装置40は、送信間隔T1に従って、3回目の電圧検出指示信号VCSを監視装置30に送信する。
【0032】
監視装置30は、3回目の電圧検出指示信号VCSを受信間隔T2で受信する。このとき学習用タイマ31は、既に学習済みであるので、動作は停止されている。一方、同期用タイマ32は、3回目の電圧検出指示信号VCSを受信すると、そのカウントは停止され、ゼロリセットされて、再起動される。
【0033】
<監視装置30が電圧検出指示信号VCSの受信を失敗>
続いて、制御装置40から送信間隔T1で、4回目の電圧検出指示信号VCSを送信間隔T1で送信する。ここで、この4回目の電圧検出指示信号VCSは、何らかの理由で監視装置30は、4回目の電圧検出指示信号VCSを受信間隔T2で受信することができない場合がある。この場合は、同期用タイマ32は、受信間隔T2を経過したとき、実際には監視装置30は、4回目の電圧検出指示信号VCSを受信間隔T2で受信していない。しかしながら、監視装置30は、同期用タイマ32に基づいて、4回目の電圧検出指示信号VCSを受信間隔T2で受信すべきタイミングと判断し、実際に監視装置30が、4回目の電圧検出指示信号VCSを受信間隔T2で受信したと同じ動作をする。
【0034】
すなわち、同期用タイマ32に基づいた受信間隔T2で、監視装置30は、直ちに電圧検出部51に計測指示を出して、各電池セル10の電圧を電圧計測時間v1~v6において、順次測定する。測定した電圧値Vは、制御装置40に送信される。
【0035】
また、同期用タイマ32は停止し、ゼロリセットされ、直ちに次の受信間隔T2のカウントを開始する。
したがって、監視装置30及び制御装置40は、実際に監視装置30が4回目の電圧検出指示信号VCSを受信したのと同じ動作をする。
【0036】
<受信間隔T2を未学習の場合に電圧検出支持信号の受信を失敗したときの動作>
次に、
図4を参照して、監視装置30が1回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信したが、2回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信できなかった場合について説明する。
【0037】
監視装置30が1回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信すると、監視装置30は、
図2で説明した場合と同じ動作を行なう。そして、同じように学習用タイマ31を起動し、カウントを開始する。ところが2回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信できなかった場合は、当然受信間隔T2は特定できない。そこで、学習用タイマ31は、予想される受信間隔T2より十分に長い受信待機時間Trの間、2回目の電圧検出指示信号VCSの受信を待機する。しかしながら、この受信待機時間Trの間に2回目の電圧検出指示信号VCSの受信を確認できない場合は、2回目の電圧検出指示信号VCSの受信に失敗したと判断して、学習用タイマ31を停止する。これと同時に、監視装置30が自律的に、電圧計測時間v1~v6を設定して電圧値Vを測定する。そして、その測定結果は、制御装置40に送信される。
【0038】
<監視装置30による電圧値V検出の処理手順>
図5は、監視装置30による電圧値V検出の処理手順を示すフローチャートの全体を示す。このフローチャートに沿って、監視装置30による電圧値V検出の処理手順を説明する。なお、
図5は、
図6~8に詳細に示すフローチャートの全体の流れを示すもので、各ステップの内容の表示は省略している。また、各ステップの符号、丸で囲った接続子1~4は、
図6~8と共通するものである。以下
図6~8を参照して、監視装置30による電圧値V検出の処理手順を説明する。
【0039】
<1回目の電圧検出指示信号VCSの受信>
図6は、1回目の電圧検出指示信号VCSの監視装置30の受信処理を示すフローチャートである。監視装置30の電圧検出の処理が開始されると(開始)、まず学習用タイマ31が起動される(S1)。ここでは、まだ一度も電圧検出指示信号VCSを受けていないので受信間隔の学習は、未学習の状態である。
【0040】
次に、起動信号OFFか否かを判断し(S2)、OFFの場合は(S2:YES)接続子1を介して処理を終了する。ONの場合は(S2:NO)、1回目の電圧検出指示信号VCSの計測指示を受信したか否かを判断する(S3)。計測指示を受信していない場合は(S3:NO)、学習用タイマ31がタイムアウトか否かを判断し(S4)、タイムアウトしていないと判断したときには(S4:NO)、S2に戻り、待機のループとなる。
【0041】
<1回目の電圧検出指示信号VCSの受信に失敗した場合>
また、計測指示を受信せず(S3:NO)、学習用タイマ31がタイムアウトした場合は(S4:YES)、1回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信できなかったとして、同期電圧の計測を不可と判断し、学習用タイマ31をゼロリセットして再起動する(S41)。また、同期電圧の計測が不可のため、電流計測とは非同期の監視装置30の自律的な電圧計測を行なう(S42)。そして、電流測定と非同期で測定した電圧値Vを制御装置40へ送信する(S43)。その後、S2に戻り、1回目の電圧検出指示信号VCSを待ち受ける。
【0042】
<1回目の電圧検出指示信号VCSの受信に成功した場合>
一方、学習用タイマ31のタイムアウト前に(S4:NO)、1回目の電圧検出指示信号VCSの計測指示を受信した場合(S3:YES)、1回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信できたとして、学習用タイマ31をゼロリセットして再起動する(S31)。このときから、学習用タイマ31がカウントアップされ、受信間隔T2を学習中の状態となる。監視装置30は、この1回目の電圧検出指示信号VCSの受信タイミングに基づいて、制御装置40の電流計測時間i1~i6に同期するように、各電池セル10の電圧計測時間v1~v6で電池セル10の電圧値Vを計測する(S32)。ここで計測した電圧値Vは、制御装置40に送信される(S33)。その後、接続子2を介し、
図7のフローチャートの手順に進む。
【0043】
<2回目の電圧検出指示信号VCSの受信>
図7は、2回目の電圧検出指示信号VCSの監視装置30の受信処理を示すフローチャートである。
【0044】
まず、起動信号OFFか否かを判断し(S5)、OFFの場合は(S5:YES)接続子1を介して処理を終了する。ONの場合は(S5:NO)、2回目の電圧検出指示信号VCSの計測指示を受信したか否かを判断する(S6)。計測指示を受信していない場合は(S6:NO)、学習用タイマ31がタイムアウトか否かを判断し(S7)、タイムアウトしていないと判断したときには(S7:NO)、S5に戻り、2回目の電圧検出指示信号VCSの計測指示の受信を待ち受ける待機のループとなる。ここでは、監視装置30は、受信間隔T2の学習中の状態である。
【0045】
<2回目の電圧検出指示信号VCSの受信に失敗した場合>
また、計測指示を受信せず(S6:NO)、学習用タイマ31がタイムアウトした場合は(S7:YES)、2回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信できなかったとして、受信間隔T2の学習を失敗したと判断し、学習用タイマ31をゼロリセットして再起動する(S71)。また、電圧検出指示信号VCSに基づいた同期電圧の計測が不可のため、電流計測とは非同期の監視装置30の自律的な電圧計測を行なう(S72)。そして、電流測定と非同期で測定した電圧値Vを制御装置40へ送信する(S73)。その後、処理は、再びS2に戻り、再び連続した電圧検出指示信号VCSを正常に受信できるのを待機する。
【0046】
<2回目の電圧検出指示信号VCSの受信に成功した場合>
一方、学習用タイマ31のタイムアウト前に(S7:NO)、2回目の電圧検出指示信号VCSの計測指示を受信した場合(S6:YES)、2回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信できたとして、学習用タイマ31を停止して、そのカウント数をメモリに記憶する(S61)。また、このタイミングで、同期用タイマ32を起動する。
【0047】
監視装置30は、この2回目の電圧検出指示信号VCSの受信タイミングに基づいて、制御装置40の電流計測時間i1~i6に同期するように、各電池セル10の電圧計測時間v1~v6で電池セル10の電圧値Vを計測する(S62)。ここで計測した電圧値Vは、制御装置40に送信される(S63)。その後、接続子4を介し、
図8のフローチャートの手順に進む。
【0048】
<3回目の電圧検出指示信号VCSの受信>
図8は、3回目の電圧検出指示信号VCSの監視装置30の受信処理を示すフローチャートである。
【0049】
まず、起動信号OFFか否かを判断し(S8)、OFFの場合は(S8:YES)接続子1を介して処理を終了する。ONの場合は(S8:NO)、3回目の電圧検出指示信号VCSの計測指示を受信したか否かを判断する(S9)。計測指示を受信していない場合は(S9:NO)、同期用タイマ32がタイムアウトか否かを判断し(S10)、タイムアウトしていないと判断したときには(S10:NO)、S8に戻り、3回目の電圧検出指示信号VCSを待ち受ける待機のループとなる。ここでは、監視装置30は、受信間隔T2が学習済みの状態である。
【0050】
<3回目の電圧検出指示信号VCSの受信に失敗した場合>
また、計測指示を受信せず(S9:NO)、同期用タイマ32が受信待機時間Trをタイムアウトした場合は(S10:YES)、3回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信できなかったとして、同期用タイマ32をゼロリセットして再起動する(S101)。この場合、電圧検出指示信号VCSに基づいた同期電圧の計測が不可であるが、同期用タイマ32に基づいて、制御装置40の電流計測時間i1~i6に同期するように、各電池セル10の電圧計測時間v1~v6で電池セル10の電圧値Vを計測する(S92)。そして、電流測定と同期で測定した電圧値Vを制御装置40へ送信する(S93)。その後、処理は、再びS8に戻り、再び連続した電圧検出指示信号VCSを正常に受信できるのを待機する。
【0051】
<3回目の電圧検出指示信号VCSの受信に成功した場合>
一方、同期用タイマ32のタイムアウト前に(S10:NO)、3回目の電圧検出指示信号VCSの計測指示を受信した場合(S9:YES)、3回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信できたとして、同期用タイマ32をゼロリセットして再起動する(S91)。監視装置30は、この3回目の電圧検出指示信号VCSの受信タイミングに基づいて、制御装置40の電流計測時間i1~i6に同期するように、各電池セル10の電圧計測時間v1~v6で電池セル10の電圧値Vを計測する(S92)。ここで計測した電圧値Vは、制御装置40に送信される(S93)。
【0052】
<4回目以降>
図8において、S93の計測した電圧値Vを制御装置40に送信する処理が終了すると、S8に戻り、起動信号がOFFとならない限り(S8:NO)、3回目の電圧検出指示信号VCSに対する処理と同じように4回目以降の電圧検出指示信号VCSに対して処理される。そして起動信号がOFFとなったら(S8:YES)、処理が終了する(終了)。
【0053】
(第1の実施形態の効果)
(1)制御装置40で測定した組電池20の電流値Iと、監視装置30で測定した電池セル10の電圧値Vから、制御装置では、電流値I、電圧値Vから組電池20の異常を判定することができる。
【0054】
(2)さらに、制御装置40では、電圧検出指示信号VCSを監視装置30に送信することで、監視装置30に同期させて測定した電圧値Vを取得することで、電池セル10の内部抵抗やSOCなどを監視することができる。
【0055】
(3)もし通信エラーなどで監視装置30が電圧検出指示信号VCSを受信できなかった場合でも、監視装置30は、予め電圧検出指示信号VCS間の受信間隔T2を学習してメモリに記憶しておくことで、電圧検出指示信号VCSの受信予定の時間に近い時間で、自律的に電圧値Vを測定し、制御装置40に送信する。このため、制御装置40は、監視装置30から電池セル10の電圧値Vを取得することができる。
【0056】
(4)もし通信エラーなどで監視装置30が電圧検出指示信号VCSを受信できなかった場合でも、制御装置40が、監視装置30の電圧検出指示信号VCSの受信を確認したり、改めて監視装置30に電圧検出指示信号VCSを送信するリトライの手順が不要となる。
【0057】
(5)組電池20の電流値Iは、制御装置40のみで測定し、従来技術のように各監視装置30では測定しない。このため、監視装置30が簡易となる。また、電池監視システム1の構成も簡易となる。さらに監視装置30を増設する場合でも、低コストで対応できる。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。第2の実施形態は、受信間隔T2の記憶の態様が異なる。第1の実施形態では、説明の単純化のため、最初に連続して2回の電圧検出指示信号VCSを正常に受信できた場合に、その受信間隔T2を監視装置30のメモリに記憶して、処理が終了するまで、学習した受信間隔T2を同期用タイマ32によりカウントして電圧値Vの計測をしている。
【0059】
ところで、最初に連続して2回受信した電圧検出指示信号VCSが正常に受信しても、ノイズや変動等に起因して受信間隔T2が、設計値のとおりに処理できない場合がありうる。そこで、第2の実施形態では、学習した受信間隔T2のデータを複数の平均を用いたり、更新したりすることで、よりノイズや変動による影響を小さくするものである。
【0060】
(第2の実施形態の構成)
第2の実施形態の電池監視システムのハード構成は、第1の実施形態の電池監視システム1と同様であるので説明は省略する。
【0061】
(第2の実施形態の作用)
<3回以上の電圧検出指示信号VCSに基づく場合>
1回目の電圧検出指示信号VCSと2回目の電圧検出指示信号VCSとを正常に受信した場合は、学習用タイマ31によりカウントした1回目と2回目の時間間隔を受信間隔T2とするのは、第1の実施形態と同じである。第1の実施形態では、この段階で学習を終了し、学習用タイマ31は以後停止される。第2の実施形態では、2回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信した時点で、学習用タイマ31をゼロリセットして、再起動する。次に3日目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信した場合は、1回目と2回目の時間間隔と2回目と3回目の時間間隔の平均を新たな受信間隔T2として学習を更新する。同様に、4回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信した場合は、これら3つの時間間隔の平均を新たな受信間隔T2として学習を更新する。
【0062】
<サンプリングの回数の制限>
上述した3回以上の電圧検出指示信号VCSに基づく場合、その後の時間間隔も学習用タイマ31で測定し、すべての時間間隔の平均とするような構成も可能である。しかし、以下のように受信間隔T2のサンプリングの回数を例えば3回分に制限してもよい。この場合、5回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信した場合は、1回目と2回目の時間間隔は無視し、2回目と3回目、3回目と4回目、4回目と5回目の時間間隔の平均を新たな受信間隔T2として学習結果を更新して記憶する。6回目も同様に直近3回分の時間間隔の平均を新たな受信間隔T2として学習結果を更新して記憶する。
【0063】
<電圧検出指示信号VCSの受信に失敗した場合>
例えば、7回目の電圧検出指示信号VCSの受信に失敗した場合は、第1の実施形態と同様に、記憶された受信間隔T2に基づいてセットされた同期用タイマ32に基づいて電圧の測定を行う。このタイミングに合わせて、学習用タイマ31をゼロリセットして、再起動する。そして8回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信した場合は、直近の正常に学習できた3回分の平均、すなわち6回目と7回目、7回目と8回目の時間間隔は無視し、学習済みとしてメモリに記憶された3回目と4回目、4回目と5回目、5回目と6回目の受信間隔T2の平均をそのまま更新しないで維持する。
【0064】
そして、9回目の電圧検出指示信号VCSを正常に受信できた場合は、4回目と5回目、5回目と6回目、8回目と9回目の受信間隔T2の平均を新たな学習結果としてメモリの受信間隔T2を更新する。
【0065】
ほかの更新方法の例としては、さらに連続して3回学習に成功した時間間隔の平均のみを用いて更新するようにしてもよい。
<1回分の電圧検出指示信号VCSに基づく場合>
以上述べた例は、いずれも複数の時間間隔に基づいて学習結果を更新する場合を説明したが、毎回直前の電圧検出指示信号VCSの時間間隔に基づいて、メモリに記憶された受信間隔T2を更新するようにしてもよい。この場合も、正常に受信できなかった場合は、メモリに記憶された受信間隔T2は更新されない。
【0066】
(第2の実施形態の効果)
(6)ノイズや温度変化、電圧変動などにより測定した電圧検出指示信号VCSの受信間隔T2が不正確になったときでも、複数の受信間隔T2を平均することで、正確に電圧検出指示信号VCSの受信を予測することができる。
【0067】
(7)経時的にノイズや温度変化、電圧変動などにより測定した電圧検出指示信号VCSの受信間隔T2が変化した場合でも、記憶した受信間隔T2を更新することで、正確に電圧検出指示信号VCSの受信を予測することができる。
【0068】
(その他の別例)
〇本実施形態では、車載用の電池パックを例に説明したが、その用途は限定されず、船舶や航空機はもちろん、地上載置用の電池の監視用のシステムとして用いることができる。
【0069】
〇本実施形態の電池セルは、リチウムイオン二次電池を例に説明したが、これに限定されず各種の非水二次電池、固形電池、アルカリ二次電池などにおいても広く適用できる。
○組電池20は、その電池セルの数量など必ずしも
図1に示すような構成に限定されない。
【0070】
〇各実施形態及び変形例に記載された態様は、矛盾がない限り相互に置換して実施することができる。
〇実施形態に示したタイムチャートやフローチャートは、本発明の実施の一形態に過ぎず、その工程、手順、順序などは、当業者により適宜付加し削除し置換し、順序を変えて実施できることは言うまでもない。
【0071】
○本実施形態は、本発明の一例であり、特許請求の範囲を逸脱しない限り、当業者によりその構成を付加し、削除し、または変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…電池監視システム。
10…電池セル
20…組電池
30…監視装置
31…学習用タイマ
32…同期用タイマ
40…制御装置
51…電圧検出部(電圧検出手段)
52…無線アンテナ
53…データ通信部
54…無線アンテナ
55…データ通信部
56…電力供給線
57…電流センサ
58…電流検出部
59…信号線
60…電池管理部(情報処理装置)
VCS…電圧検出指示信号
T1…送信間隔
T2…受信間隔
Tr…受信待機時間
Tm…測定待機時間
i1~i6…各電池セルの電圧計測に同期させた電流計測時間
v1~v6…各電池セルの電圧計測時間
V…電圧値
I…電流値