(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101071
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】がんゲノム医療業務支援方法およびがんゲノム医療業務支援システム
(51)【国際特許分類】
G16H 10/00 20180101AFI20220629BHJP
【FI】
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215448
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000233491
【氏名又は名称】株式会社日立システムズ
(71)【出願人】
【識別番号】504179255
【氏名又は名称】国立大学法人 東京医科歯科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100140501
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 栄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100072604
【弁理士】
【氏名又は名称】有我 軍一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 静香
(72)【発明者】
【氏名】高丸 義和
(72)【発明者】
【氏名】富田 恭平
(72)【発明者】
【氏名】池田 貞勝
(72)【発明者】
【氏名】横堀 潤子
(72)【発明者】
【氏名】高嶺 恵理子
(72)【発明者】
【氏名】大木 美香
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA01
5L099AA03
5L099AA22
(57)【要約】
【課題】がんゲノム医療における業務を支援して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現する。
【解決手段】本発明に係るがんゲノム医療業務支援方法は、検査機関から取得した所定の患者に関するゲノム検査結果から遺伝子変異データを抽出するステップと、所定の患者を含む複数の患者のデータを管理する患者データベース(患者対応表)に、抽出した遺伝子変異データを所定の患者のデータとして書き込むステップとを有しており、患者データベースへのゲノム検査結果(遺伝子変異データ)の転記を自動化する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんゲノム医療に関する業務をコンピュータにより支援するがんゲノム医療業務支援方法であって、
検査機関から取得した所定の患者に関するゲノム検査結果から遺伝子変異データを抽出するステップと、
前記所定の患者を含む複数の患者のデータを管理する患者データベースに、抽出した前記遺伝子変異データを前記所定の患者のデータとして書き込むステップと、
を有することを特徴とするがんゲノム医療業務支援方法。
【請求項2】
前記ゲノム検査結果がタグを使用して構造化されたデータにより構成されており、前記構造化されたデータにおいて、所定のタグの属性値として記載されている前記遺伝子変異データを抽出することを特徴とする請求項1に記載のがんゲノム医療業務支援方法。
【請求項3】
前記検査機関から送信されたゲノム検査結果完了通知メールを取得するステップと、
前記検査機関にネットワークを通じてアクセスして、前記ゲノム検査結果完了通知メールに対応するゲノム検査結果をダウンロードするステップと、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載のがんゲノム医療業務支援方法。
【請求項4】
C-CATにネットワークを通じてアクセスして、前記ゲノム検査結果完了通知メールに対応するゲノム検査結果を前記C-CATにアップロードするステップを有することを特徴とする請求項3に記載のがんゲノム医療業務支援方法。
【請求項5】
C-CATからC-CAT調査結果完了通知メールを受信するステップと、
前記C-CATにネットワークを通じてアクセスして、前記C-CAT調査検査完了通知メールに対応するC-CAT調査結果をダウンロードするステップと、
を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のがんゲノム医療業務支援方法。
【請求項6】
C-CATからC-CAT調査結果をダウンロードした日付、および、前記検査機関からゲノム検査結果をダウンロードした日付をがんゲノム医療に関する業務の進捗を管理する管理簿に書き込むステップを有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のがんゲノム医療業務支援方法。
【請求項7】
特定の開催日のエキスパートパネルにおいて検討対象となっている複数の検討対象患者を特定するステップと、
前記患者データベースから、前記複数の検討対象患者の各々のデータを抽出するステップと、
前記複数の検討対象患者のデータに基づいて、前記複数の検討対象患者のデータを含む前記エキスパートパネルの症例検討患者一覧ファイルを作成するステップと、を有し、
前記患者データベースから抽出されるデータ、および、前記症例検討患者一覧ファイルが、前記複数の検討対象患者の各々の遺伝子変異データを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のがんゲノム医療業務支援方法。
【請求項8】
前記特定の開催日のエキスパートパネルにおいて検討対象となっている複数の検討対象患者の詳細な遺伝子変異データを取得するステップと、
前記複数の検討対象患者の各々の詳細な遺伝子変異データを統合し、1つのマージされた変異データファイルを作成するステップと、
を有することを特徴とする請求項7に記載のがんゲノム医療業務支援方法。
【請求項9】
前記特定の開催日のエキスパートパネルの出席予定者の一覧を作成するステップと、
前記エキスパートパネルの出席者から、前記エキスパートパネルの出席情報の入力を受け付けるステップと、
入力された前記出席情報に基づいて、前記エキスパートパネルの構成員としての資格別に、前記エキスパートパネルの出席者の集計を行うステップと、
を有することを特徴とする請求項7または8に記載のがんゲノム医療業務支援方法。
【請求項10】
がんゲノム医療に関する業務をコンピュータにより支援するがんゲノム医療業務支援システムであって、少なくとも1つのがんゲノム医療業務支援装置を有しており、
前記がんゲノム医療業務支援装置が、
検査機関から取得した所定の患者に関するゲノム検査結果から遺伝子変異データを抽出するゲノム検査結果処理部と、
前記所定の患者を含む複数の患者のデータを管理する患者データベースに、抽出した前記遺伝子変異データを前記所定の患者のデータとして患者データベース処理部と、
を有することを特徴とするがんゲノム医療業務支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんゲノム医療における業務の効率化を実現するためのがんゲノム医療業務支援方法およびがんゲノム医療業務支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、がんの検査にがんの診断や治療に役立つ情報を得るために、患者のがん組織に含まれる多数の遺伝子を同時に検査する遺伝子パネル検査を実施して特定の遺伝子における変異を調べることにより、患者に適した治療法や薬剤を適切に選定するがんゲノム医療が推進されている。この際、実施された遺伝子パネル検査は、エキスパートパネルと呼ばれる専門家会議において検討され、適切な治療法について議論される。エキスパートパネルでは、担当医、病理医、分子生物学者、臨床遺伝医、バイオインフォマティシャン、遺伝カウンセラー等の各種専門家が所定人数以上、構成員として参加することが求められている。エキスパートパネルにおける議論結果は報告書に纏められて、担当医はその報告書に基づいて患者に説明を行うとともに、今後の治療法等について決定する。
【0003】
現在、がんゲノム医療は、がんゲノム医療中核拠点病院、がんゲノム医療拠点病院、がんゲノム医療連携病院として国から指定された病院(以下、指定病院と記載する)で実施されている。指定病院は、特定の検査機関に対して患者の検体を提供するとともに検査依頼を行い、該検査機関において遺伝子パネル検査が実施される。遺伝子パネル検査の検査結果は、該検査機関から指定病院へ提供され、エキスパートパネルにおける症例検討の資料として利用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現状、遺伝子パネル検査の検査結果に係る書類(検査報告書)は、患者の検体の検査結果を網羅的に含んだ数十ページにも渡る書類である。さらに、遺伝子パネル検査は海外の企業で実施される場合も多く、検査報告書は英語で記載されていることも多い。検査報告書には膨大な情報が含まれており、エキスパートパネルにおける症例検討に必要な情報を検査報告書から読み解くことが容易ではない書類となっている。このように、検査報告書を読み解いてエキスパートパネル用の資料を作成することは容易ではなく、煩雑な業務が発生してしまうため、その効率化が望まれている。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、がんゲノム医療における業務を支援して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することを目的とする。本発明は、特に、エキスパートパネルに利用する資料を作成するために、遺伝子パネル検査の検査結果を効率的に管理するためのデータ処理を行うがんゲノム医療業務支援方法およびがんゲノム医療業務支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明に係るがんゲノム医療業務支援方法は、がんゲノム医療に関する業務をコンピュータにより支援するがんゲノム医療業務支援方法であって、
検査機関から取得した所定の患者に関するゲノム検査結果から遺伝子変異データを抽出するステップと、
前記所定の患者を含む複数の患者のデータを管理する患者データベースに、抽出した前記遺伝子変異データを前記所定の患者のデータとして書き込むステップと、
を有することを特徴とする。
【0007】
上記の方法によれば、検査機関から取得した所定の患者に関するゲノム検査結果から遺伝子変異データを抽出する作業、所定の患者を含む複数の患者のデータを管理する患者データベースに、抽出した遺伝子変異データを所定の患者のデータとして書き込む作業をコンピュータにより自動化して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することができるようになる。
【0008】
本発明に係るがんゲノム医療業務支援方法は、前記ゲノム検査結果がタグを使用して構造化されたデータにより構成されており、前記構造化されたデータにおいて、所定のタグの属性値として記載されている前記遺伝子変異データを抽出するものであってもよい。
【0009】
上記の方法によれば、ゲノム検査結果が記載された構造化データから、適切かつ所望のデータをコンピュータにより抽出することができるようになり、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することができるようになる。
【0010】
本発明に係るがんゲノム医療業務支援方法は、前記検査機関から送信されたゲノム検査結果完了通知メールを取得するステップと、
前記検査機関にネットワークを通じてアクセスして、前記ゲノム検査結果完了通知メールに対応するゲノム検査結果をダウンロードするステップと、
を有するものであってもよい。
【0011】
上記の方法によれば、検査機関から受信したゲノム検査結果完了通知メールに基づいて、ゲノム検査結果をダウンロードする作業をコンピュータにより自動化して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することができるようになる。
【0012】
本発明に係るがんゲノム医療業務支援方法は、C-CATにネットワークを通じてアクセスして、前記ゲノム検査結果完了通知メールに対応するゲノム検査結果を前記C-CATにアップロードするステップを有するものであってもよい。
【0013】
上記の方法によれば、検査機関からダウンロードしたゲノム検査結果をC-CATにアップロードする作業をコンピュータにより自動化して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することができるようになる。
【0014】
本発明に係るがんゲノム医療業務支援方法は、C-CATからC-CAT調査結果完了通知メールを受信するステップと、
前記C-CATにネットワークを通じてアクセスして、前記C-CAT調査検査完了通知メールに対応するC-CAT調査結果をダウンロードするステップと、
を有するものであってもよい。
【0015】
上記の方法によれば、C-CATから受信したC-CAT調査結果完了通知メールに基づいて、C-CAT調査結果をダウンロードする作業をコンピュータにより自動化して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することができるようになる。
【0016】
本発明に係るがんゲノム医療業務支援方法は、C-CATからC-CAT調査結果をダウンロードした日付、および、前記検査機関からゲノム検査結果をダウンロードした日付をがんゲノム医療に関する業務の進捗を管理する管理簿に書き込むステップを有するものであってもよい。
【0017】
上記の方法によれば、C-CAT調査結果のダウンロード日、および、ゲノム検査結果のダウンロード日を管理簿に記入する作業をコンピュータにより自動化して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することができるようになる。
【0018】
本発明に係るがんゲノム医療業務支援方法は、特定の開催日のエキスパートパネルにおいて検討対象となっている複数の検討対象患者を特定するステップと、
前記患者データベースから、前記複数の検討対象患者の各々のデータを抽出するステップと、
前記複数の検討対象患者のデータに基づいて、前記複数の検討対象患者のデータを含む前記エキスパートパネルの症例検討患者一覧ファイルを作成するステップと、を有し、
前記患者データベースから抽出されるデータ、および前記症例検討患者一覧ファイルが、前記複数の検討対象患者の各々の遺伝子変異データを含むものであってもよい。
【0019】
上記の方法によれば、エキスパートパネルにおける複数の検討対象患者のデータを含み、かつ、各検討対象患者の遺伝子変異データを含んだ症例検討患者一覧ファイルを作成する作業をコンピュータにより自動化して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することができるようになる。
【0020】
本発明に係るがんゲノム医療業務支援方法は、前記特定の開催日のエキスパートパネルにおいて検討対象となっている複数の検討対象患者の詳細な遺伝子変異データを取得するステップと、
前記複数の検討対象患者の各々の詳細な遺伝子変異データを統合し、1つのマージされた変異データファイルを作成するステップと、
を有するものであってもよい。
【0021】
上記の方法によれば、エキスパートパネルにおける複数の検討対象患者の遺伝子変異データを統合して、1つのマージされた変異データファイルを作成する作業をコンピュータにより自動化して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することができるようになる。
【0022】
本発明に係るがんゲノム医療業務支援方法は、前記特定の開催日のエキスパートパネルの出席予定者の一覧を作成するステップと、
前記エキスパートパネルの出席者から、前記エキスパートパネルの出席情報の入力を受け付けるステップと、
入力された前記出席情報に基づいて、前記エキスパートパネルの構成員としての資格別に、前記エキスパートパネルの出席者の集計を行うステップと、
を有するものであってもよい。
【0023】
上記の方法によれば、エキスパートパネルの出席者から出席情報を収集して、エキスパートパネルの構成員としての資格別に、エキスパートパネルの出席者の集計を行う作業をコンピュータにより自動化して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することができるようになる。
【0024】
上記の目的を達成するため、本発明に係るがんゲノム医療業務支援システムは、がんゲノム医療に関する業務をコンピュータにより支援するがんゲノム医療業務支援システムであって、少なくとも1つのがんゲノム医療業務支援装置を有しており、
前記がんゲノム医療業務支援装置が、
検査機関から取得した所定の患者に関するゲノム検査結果から遺伝子変異データを抽出するゲノム検査結果処理部と、
前記所定の患者を含む複数の患者のデータを管理する患者データベースに、抽出した前記遺伝子変異データを前記所定の患者のデータとして患者データベース処理部と、
を有することを特徴とする。
【0025】
上記のシステムによれば、検査機関から取得した所定の患者に関するゲノム検査結果から遺伝子変異データを抽出する作業、所定の患者を含む複数の患者のデータを管理する患者データベースに、抽出した遺伝子変異データを所定の患者のデータとして書き込む作業をコンピュータにより自動化して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することができるようになる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るがんゲノム医療業務支援方法およびがんゲノム医療業務支援システムによれば、がんゲノム医療における業務を支援して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することが可能となる。さらに、コンピュータによる処理であるため、情報の読み誤りや入力ミス、データの取り違い等の人為的ミスの発生を防ぐことも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態における検査結果取得・抽出業務支援およびエキスパートパネル開催準備業務支援を説明するための概要図である。
【
図2】本発明の実施形態におけるエキスパートパネル出席者集計業務支援を説明するための概要図である。
【
図3】本発明の実施形態におけるがんゲノム医療業務支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態におけるがんゲノム医療業務実行端末のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態において、ロボAにより実行されるゲノム検査結果取得処理の概要を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態において、ロボAにより実行されるゲノム検査結果取得処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】本発明の実施形態において、ロボAにより実行されるゲノム検査結果取得処理後のロボ進捗管理表の項目の一部を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態において、ロボAにより実現される機能を示すブロック図である。
【
図9】本発明の実施形態において、ロボBにより実行されるC-CAT調査依頼処理の概要を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態において、ロボBにより実行されるC-CAT調査依頼処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の実施形態において、ロボBにより実行されるC-CAT調査依頼処理後のロボ進捗管理表の項目の一部を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態において、ロボBにより実現される機能を示すブロック図である。
【
図13】本発明の実施形態において、ロボCにより実行される患者対応表転記処理の概要を示す図である。
【
図14】本発明の実施形態において、ロボCにより実行される患者対応表転記処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の実施形態において、ゲノム検査結果の詳細な情報を含むXMLデータの一部を示す図である。
【
図16】本発明の実施形態において、XMLデータにおいて抽出対象となるタグ名および属性値と、ロボ進捗管理表に転記する際の項目名との対応関係の一例を示す図である。
【
図17】本発明の実施形態において、タグ「variant-report」の属性値を含む中間ファイルの一例を示す図である。
【
図18】本発明の実施形態において、タグ「short-variant」の属性値を含む中間ファイルの一例を示す図である。
【
図19】本発明の実施形態において、タグ「copy-number-alteration」の属性値を含む中間ファイルの一例を示す図である。
【
図20】本発明の実施形態において、タグ「rearrangement」の属性値を含む中間ファイルの一例を示す図である。
【
図21】本発明の実施形態において、ロボCにより実行される患者対応表転記処理(データ抽出処理)後のロボ進捗管理表の項目の一部を示す図である。
【
図22】本発明の実施形態において、ロボCにより実行される患者対応表転記処理(データ転記処理)後のロボ進捗管理表の項目の一部を示す図である。
【
図23】本発明の実施形態において、ロボCにより実行される患者対応表転記処理(データ転記処理)後の患者対応表の項目の一部を示す図である。
【
図24】本発明の実施形態において、ロボCにより実現される機能を示すブロック図である。
【
図25】本発明の実施形態において、ロボDにより実行されるC-CAT調査結果取得処理の概要を示す図である。
【
図26】本発明の実施形態において、ロボDにより実行されるC-CAT調査結果取得処理の一例を示すフローチャートである。
【
図27】本発明の実施形態において、ロボDにより実行されるC-CAT調査結果取得処理後のC-CAT管理表の項目の一部を示す図である。
【
図28】本発明の実施形態において、ロボDにより実現される機能を示すブロック図である。
【
図29】本発明の実施形態において、ロボEにより実行されるC-CAT調査結果取得処理の概要を示す図である。
【
図30】本発明の実施形態において、ロボEにより実行されるC-CAT調査結果取得処理の一例を示すフローチャートである。
【
図31】本発明の実施形態において、ロボEにより実行されるC-CAT調査結果取得処理後のロボ進捗管理表の項目の一部を示す図である。
【
図32】本発明の実施形態において、ロボEにより実行されるC-CAT調査結果取得処理後のC-CAT管理表の項目の一部を示す図である。
【
図33】本発明の実施形態において、ロボEにより実行されるC-CAT調査結果取得処理後の管理簿の項目の一部を示す図である。
【
図34】本発明の実施形態において、ロボEにより実現される機能を示すブロック図である。
【
図35】本発明の実施形態において、ロボFにより実行される患者一覧作成処理の概要を示す図である。
【
図36】本発明の実施形態において、ロボFにより実行される患者一覧作成処理の一例を示すフローチャートである。
【
図37】本発明の実施形態において、ロボFにより実行される患者一覧作成処理により作成される症例検討患者一覧ファイル(当日配布用資料)の項目の一部を示す図である。
【
図38】本発明の実施形態において、ロボFにより実現される機能を示すブロック図である。
【
図39】本発明の実施形態において、ロボGにより実行される患者一覧作成処理の概要を示す図である。
【
図40】本発明の実施形態において、ロボGにより実行される変異データマージ処理の一例を示すフローチャートである。
【
図41】本発明の実施形態において、ロボFにより実現される機能を示すブロック図である。
【
図42】本発明の実施形態において、ウェブアプリI上で担当者によって登録されたメンバー情報の一例を示す図である。
【
図43】本発明の実施形態において、ウェブアプリIにより提供される出席情報入力画面の一例を示す図である。
【
図44】本発明の実施形態において、ウェブアプリIにより管理される出席情報の一例を示す図である。
【
図45】本発明の実施形態において、ウェブアプリIにより作成される出席情報の集計結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0029】
<本発明の概要>
図1および
図2を参照しながら、本発明の概要について説明する。
図1は、本発明の実施形態における検査結果取得・抽出業務支援およびエキスパートパネル開催準備業務支援を説明するための概要図である。
図2は、本発明の実施形態におけるエキスパートパネル出席者集計業務支援を説明するための概要図である。
【0030】
本発明の実施形態は、がんゲノム医療に伴って生じる様々な業務を支援し、業務の効率化を実現するものである。本実施形態によれば、検査結果取得・抽出業務、エキスパートパネル開催準備業務、エキスパートパネル出席者集計業務の効率化が実現される。
図1に示すロボA~ロボG、および、
図2に示すウェブアプリIは、コンピュータ処理により各業務の一部を自動化することで各業務の効率化を実現する業務支援装置を表している。
【0031】
検査結果取得・抽出業務は、検査機関からの検査結果取得およびその後の業務、C-CAT(Center for Cancer Genomics and Advanced Therapeutics:がんゲノム情報管理センター)からの調査結果取得およびその後の業務を指す。検査結果取得・抽出業務を支援するために、本実施形態においては、検査結果取得・抽出業務を支援するためにロボA~ロボEを導入する。
【0032】
ロボAは、ゲノム検査結果取得に係る業務を支援するものである。具体的には、ロボAは、検査機関の検査完了通知であるゲノム検査結果完了通知メールからゲノム検査識別番号を抽出し、ゲノム検査識別番号に基づいて検査機関ポータルサイトからゲノム検査結果をダウンロードしてNAS(Network Attached Storage:ネットワーク接続ストレージ)に保存する作業を自動化する。ゲノム検査結果は、例えば、XML(Extensible Markup Language:エクステンシブルマークアップランゲージ)データと、PDF(Portable Document Format:ポータブルドキュメントフォーマット)データとを含んでいる。
【0033】
ロボBは、C-CAT調査依頼に係る業務を支援するものである。具体的には、ロボBは、C-CATへ調査を依頼するために、検査機関から取得したゲノム検査結果をC-CATファイル交換フォルダへアップロードする作業を自動化する。
【0034】
ロボCは、患者対応表へのゲノム検査結果の転記に係る業務を支援するものである。具体的には、ロボCは、NASに保存されているゲノム検査結果から所定の情報(特に、遺伝子変異データ)を抽出して、患者対応表へ転記する作業を自動化する。
【0035】
ロボDは、C-CAT調査結果取得に係る業務を支援するものである。具体的にはロボDは、C-CATの調査結果通知であるC-CAT調査結果完了通知メールからC-CAT IDを抽出し、C-CAT IDに基づいてC-CATファイル交換フォルダからC-CAT調査結果をダウンロードしてNASに保存する作業を自動化する。
【0036】
ロボEは、管理簿転記に係る業務を支援するものである。具体的には、ロボEは、がんゲノム医療に関する様々な業務の進捗を管理する管理簿に、ゲノム検査結果取得日、C-CAT調査依頼日、C-CAT調査結果取得日等の各処理日を転記する作業を自動化する。
【0037】
エキスパートパネル開催準備業務は、エキスパートパネルにおける資料として用いられる症例検討患者一覧および変異データ一覧を作成する業務を指す。本実施形態においては、エキスパートパネル開催準備業務を支援するためにロボFおよびロボGを導入する。
【0038】
ロボFは、エキスパートパネル資料作成に係る業務を支援するものである。具体的には、ロボFは、患者対応表からエキスパートパネル開催日のデータを抽出して、エキスパートパネルの検討対象となる各症例(患者)に関する詳細を含む症例検討患者一覧を作成する作業を自動化する。
【0039】
ロボGは、エキスパートパネル資料作成に係る業務を支援するものである。具体的には、ロボGは、エキスパートパネルの検討対象となる症例(患者)ごとに存在する変異データをマージ(統合)して、変異データ一覧を作成する作業を自動化する。
【0040】
エキスパートパネル出席者管理・集計業務は、エキスパートパネルの出席者の管理および集計に関連した業務を指す。本実施形態においては、エキスパートパネル出席者管理・集計業務を支援するためにウェブアプリIを導入する。
【0041】
ウェブアプリIは、エキスパートパネルの出席者の管理および集計に係る業務を支援するものである。具体的には、ウェブアプリIは、エキスパートパネルにおける各出席者の出席情報を管理して、出席者の集計を行う作業を自動化する。
【0042】
<システム構成>
図3を参照しながら、本発明の実施形態におけるがんゲノム医療業務支援システムの構成について説明する。
図3は、本発明の実施形態におけるがんゲノム医療業務支援システムの構成の一例を示す図である。なお、本発明に係るがんゲノム医療業務支援システムは、
図3に示す構成に限定されるものではない。
【0043】
図3に示すがんゲノム医療業務支援システムは、一例として、がんゲノム医療業務実行端末10、NAS20、検査機関ポータルサイト30、C-CATファイル受信フォルダ40、エキスパートパネル出席者管理装置50、出席者端末60を備えて構成されている。
【0044】
がんゲノム医療業務実行端末10は、がんゲノム医療に係る業務を行うユーザが操作可能な端末である。がんゲノム医療業務実行端末10は、例えば病院内に設置されており、病院内のLAN(Local Area Network:ローカルエリアネットワーク)70に接続可能であるとともに、インターネット80に接続可能なように構成されている。
【0045】
がんゲノム医療業務実行端末10には、がんゲノム医療業務支援装置15が組み込まれている。がんゲノム医療業務支援装置15は、上述したロボA~ロボGの各機能を有し、本実施形態における検査結果取得・抽出業務に係る業務支援装置およびエキスパートパネル開催準備業務に係る業務支援装置として機能する。
【0046】
図3には、がんゲノム医療業務実行端末10が1台のみ図示されているが、がんゲノム医療業務実行端末10は複数設けられてもよい。また、本実施形態では、1台のがんゲノム医療業務実行端末10に、ロボA~ロボGのすべての機能を有するがんゲノム医療業務支援装置15が組み込まれている場合について説明するが、複数のがんゲノム医療業務実行端末10に、ロボA~ロボGの各機能が分散された構成としてもよい。
【0047】
NAS20は、LAN70に接続されたネットワークストレージであり、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)やSSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)等により構成されている。NAS20は、病院内の様々なデータを保存し、LAN70に接続された各端末においてデータの共有が可能なように構成されている。本実施形態では、NAS20は、ゲノム検査結果、C-CAT調査結果、患者対応表、管理簿等の様々なデータを保存する場所である。
【0048】
検査機関ポータルサイト30は、検査機関が管理する装置であり、インターネット80に接続されている。本実施形態では、検査機関ポータルサイト30は、がんゲノムの検査結果(ゲノム検査結果)を提供する装置として機能し、がんゲノム医療業務実行端末10は、インターネット80を通じて、ゲノム検査結果を検査機関ポータルサイト30からダウンロードできるようになっている。
【0049】
C-CATファイル交換フォルダ40は、C-CATが管理する装置であり、インターネット80に接続されている。本実施形態では、C-CATファイル交換フォルダ40は、ゲノム検査結果の登録およびがんゲノム結果に基づく調査結果(C-CAT調査結果)を提供する装置として機能し、がんゲノム医療業務実行端末10は、インターネット80を通じて、C-CATファイル交換フォルダ40へゲノム検査結果をアップロードし、C-CAT調査結果をC-CATファイル交換フォルダ40からダウンロードできるようになっている。
【0050】
エキスパートパネル出席者管理装置50は、ウェブサービス提供装置であり、インターネット80に接続されている。エキスパートパネル出席者管理装置50は、上述したウェブアプリ55(上述したウェブアプリI)の機能を有し、本実施形態におけるエキスパートパネル出席者管理・集計業務に係る業務支援装置として機能する。
【0051】
出席者端末60は、エキスパートパネルの各出席者が有する端末である。出席者端末60は、インターネット80を通じてエキスパートパネル出席者管理装置50にアクセスし、出席情報入力画面から、エキスパートパネルに出席したことを示す出席情報を登録できるようになっている。
【0052】
<がんゲノム医療業務実行端末の構成>
図4を参照しながら、本発明の実施形態におけるがんゲノム医療業務実行端末10の構成について説明する。
図4は、本発明の実施形態におけるがんゲノム医療業務実行端末10のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。なお、本発明に係るがんゲノム医療業務実行端末10は、
図4に示す構成に限定されるものではない。
【0053】
がんゲノム医療業務実行端末10は、汎用のパーソナルコンピュータ等を用いて実現可能である。
図4に示すがんゲノム医療業務実行端末10は、一例として、プロセッサ101、メモリ102、通信I/F(通信インタフェース)103、入出力I/F(入出力インタフェース)104、ストレージ105を有しており、各構成要素がバス110を介して接続された構成となっている。
【0054】
プロセッサ101は、プログラムにより記述された様々な命令を実行し、がんゲノム医療業務実行端末10において様々な機能を実現および制御するハードウェアである。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)、特定の目的に特化したデータ処理を行うDSP(Digital Signal Processor:デジタル信号プロセッサ)またはGPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)等であってもよい。
【0055】
メモリ102は、がんゲノム医療業務実行端末10で実行されるプログラムや処理対象データを一時的に記憶する揮発性メモリであり、例えばRAM(Random Access Memory:ランダムアクセスメモリ)等の主記憶装置である。
【0056】
通信I/F103は、がんゲノム医療業務実行端末10が他の装置と通信を行うための機能を有している。本実施形態では、がんゲノム医療業務実行端末10は、通信I/F103により、LAN70を通じてNAS20へアクセスできるようになっている。また、本実施形態では、がんゲノム医療業務実行端末10は、インターネット80を通じて、検査機関ポータルサイト30、C-CATファイル受信フォルダ40、エキスパートパネル出席者管理装置50へアクセスできるようになっている。
【0057】
入出力I/F104は、ユーザからの情報の入力を受け付ける機能、および、ユーザに対して情報の出力を行う機能を有している。入出力I/F104は、例えば、マウス31およびキーボード32等の入力デバイス、モニタ33等の出力デバイス等との接続を提供するように構成されている。なお、必要に応じて、入出力I/F104に、カメラ、マイクロホン、スピーカ等のデバイスが適宜接続されてもよく、表示機能および情報入力機能を備えたタッチパネル型ディスプレイが接続されてもよい。
【0058】
ストレージ105は、例えば、HDD等の磁気ディスク、SSD等の半導体メモリ、光磁気ディスクならびに光ディスク等により実現される補助記憶装置である。ストレージ105は、通信I/F103を通じてアクセス可能な位置に配置されていてもよく、入出力I/F104を介して接続されていてもよい。
【0059】
ストレージ105は、本実施形態における処理手順がプログラム命令として記述されたプログラムやデータを記憶することができるようになっている。本実施形態では、ストレージ105には、コンピュータ上の様々な処理を自動化するためのRPA(Robotic Process Automation:ロボティックプロセスオートメーション)を実行するRPAツール150、ゲノム検査結果取得処理用プログラム151、C-CAT調査依頼処理用プログラム152、患者対応表転記処理用プログラム153、C-CAT調査結果取得処理用プログラム154、管理簿転記処理用プログラム155、患者一覧作成処理用プログラム156、変異データマージ処理用プログラム157が記憶されている。
【0060】
プロセッサ101は、ストレージ105から各プログラムを適宜読み出してメモリ102上に展開し、プログラム命令を実行することで、各プログラムに対応する機能をがんゲノム医療業務実行端末10において実現できるようになっている。がんゲノム医療業務実行端末10は、特に、RPAツール150の実行とともに、下記に記載するように、本発明に係る処理手順が記述されたプログラムを実行することで、がんゲノム医療業務支援装置15の機能を実現できるようになっている。ゲノム検査結果取得処理用プログラム151の実行によりロボAの機能が実現される。C-CAT調査依頼処理用プログラム152の実行によりロボBの機能が実現される。患者対応表転記処理用プログラム153の実行によりロボCの機能が実現される。C-CAT調査結果取得処理用プログラム154の実行によりロボDの機能が実現される。管理簿転記処理用プログラム155の実行によりロボEの機能が実現される。患者一覧作成処理用プログラム156の実行によりロボFの機能が実現される。変異データマージ処理用プログラム157の実行によりロボGの機能が実現される。
【0061】
また、ストレージ105には、ロボ進捗管理表161およびC-CAT管理表162が記憶される。ロボ進捗管理表161およびC-CAT管理表162は、後述するように各ロボにおける処理の進捗状況や各データの保存場所(記載場所)として使用されるファイルである。本実施形態では、ロボ進捗管理表161およびC-CAT管理表162をそれぞれ独立したファイルとして説明するが、ロボ進捗管理表161およびC-CAT管理表162は1つのファイルに纏められていてもよい。
【0062】
ストレージ105に保存されるプログラムおよびデータは、
図4に図示されているプログラムやデータに限定されるものではない、例えば、プログラムとしては、がんゲノム医療業務実行端末10の動作に必要なオペレーションシステムプログラム、C-CATファイル交換フォルダ40との間でVPN(Virtual Private Network:バーチャルプライベートネットワーク)接続を行うためのVPN接続用プログラム、検査機関ポータルサイト30へのアクセスに必要な資格情報(ログインIDおよびパスワード)、C-CATファイル交換フォルダ40のアクセスに必要な資格情報(ログインIDおよびパスワード)、NAS20に保存されている患者対応表へのアクセスに必要な資格情報(パスワード)、処理実行時に必要となるフォルダまたはファイルのパス等が記載された設定ファイルが、プロセッサ101により適宜実行または参照可能な状態でストレージ105に保存されていてもよい。
【0063】
本実施形態では、患者対応表、管理簿、ロボ進捗管理表、C-CAT管理表等のデータ格納場所として、行(エントリ)と列(項目)が2次元状に配置された表形式のファイルを用いることを想定しているが、データ間の関連付けを行うことが可能な任意の種類のデータベースを用いることができる。また、本実施形態におけるデータ処理は、あるデータベース内のデータを抽出して、抽出したデータを別のデータベースに書き込む処理を含んでいる。本明細書では、データまたは情報を「記入」する、あるいは、データまたは情報を「転記」するという表現を用いているが、「記入」および「転記」は、データベースにデータの書き込みを行うことを表している。
【0064】
<ロボA:ゲノム検査結果取得処理>
以下、ロボAにより実行されるゲノム検査結果取得処理について説明する。
【0065】
<ロボAの処理の概要>
図5を参照しながら、ロボAの処理の概要について説明する。ロボAは、検査機関から送信されたゲノム検査結果完了通知メールを取得し、ゲノム検査結果完了通知メールからゲノム検査識別番号を抽出し、検査機関ポータルサイト30において、ゲノム検査識別番号に基づいて検索を行って、検査機関ポータルサイト30からゲノム検査結果をダウンロードしてNAS20に保存する処理を実行する。また、ロボAは、C-CATへの調査依頼作業の準備として、ゲノム検査結果を作業用フォルダに保存する処理を実行する。
【0066】
<ロボAの処理>
図6のフローチャートを参照しながら、ロボAにより実行されるゲノム検査結果取得処理の一例について説明する。なお、ロボAにより実行されるゲノム検査結果取得処理は、
図6のフローチャートに示す処理に限定されるものでない。また、ここでは詳細な説明は行わないが、ロボAは、起動時または処理実行時に設定ファイルを参照し、事前に設定されたパラメータに基づいて適切な処理を行うように構成されている。
【0067】
ロボAにより実行されるゲノム検査結果取得処理は、その前段階において、遺伝子パネル検査を実施する検査機関に対して患者の検体を提供し、検査依頼を行っていることを前提とする。検査機関に検査依頼を行う際には、患者へ説明を行って患者の同意を得たうえで、患者のがん組織や血液から抽出した遺伝子を検査機関に提供する。
【0068】
検査機関によって実施された遺伝子パネル検査の結果(ゲノム検査結果)は、検査機関ポータルサイト30にアップロードされる。また、それに伴って、ゲノム検査結果完了通知メールにより、ゲノム検査の完了が通知される。
【0069】
がんゲノム医療業務実行端末10においてゲノム検査結果取得処理の実行が開始されると、ロボAは、取得対象となるゲノム検査結果を特定するためのダイアログボックスを表示する(ステップA1:ゲノム検査結果の対象年月を入力するためのダイアログボックスを表示)。ここでは一例として、指定病院において、ゲノム検査結果取得処理を毎月特定の日(月単位)に実施しているものとし、これに合わせて、ダイアログボックスに対象年月を入力させるようにしている。
【0070】
ユーザが対象年月を入力すると、ロボAは、入力された対象年月に対応するロボ進捗管理表を読み出すとともに(対象年月に対応するロボ進捗管理表が存在しない場合は新規に作成)(ステップA2:対象年月のロボ進捗管理表を読み出す)、該対象年月に受信したゲノム検査結果完了通知メールをメールボックスから取得する(ステップA3:対象年月に受信したゲノム検査結果完了通知メールを取得)。なお、該当するゲノム検査結果完了通知メールが複数存在する場合には、すべてのゲノム検査結果完了通知メールを取得する。
【0071】
ロボAは、ゲノム検査結果完了通知メールのメール本文からゲノム検査識別番号を抽出して、ロボ進捗管理表において、項目「ゲノム検査識別番号」にゲノム検査識別番号を記入し(事前に記載されている場合は処理不要)、項目「ゲノム検査結果メール受信日」にゲノム検査結果完了通知メールを受信した日付を記入する(ステップA4:ゲノム検査識別番号、ゲノム検査結果完了通知メールの受信日をロボ進捗管理表に記入)。ゲノム検査識別番号は、検査機関がゲノム検査結果を提供する際に発行する番号(ポータルナンバーとも呼ばれる)であり、ゲノム検査結果を一意に特定可能とするものである。
【0072】
なお、ゲノム検査結果完了通知メールの受信専用メールアドレスを準備しておき、このメールアドレス宛てのメールをゲノム検査結果完了通知メールとみなしてもよく、あるいは、件名やメール本文の記載からゲノム検査結果完了通知メールであることを判断してもよい。
【0073】
次いで、ロボAは、ロボ進捗管理表において、ゲノム検査結果のダウンロードをまだ実施していない行を特定する(ステップA5:ロボ進捗管理表において、ゲノム検査結果のダウンロードを実施していない行を特定)。より詳細には、ロボAは、ロボ進捗管理表において、項目「進捗_ゲノム検査結果取得」が空白である行を特定する。
【0074】
ロボAは、検査機関ポータルサイト30にアクセスし、ゲノム検査結果完了通知メールから抽出したゲノム検査識別番号を基に、ゲノム検査結果を検索する。そして、ロボAは、検索により特定したゲノム検査結果をダウンロードし、ダウンロードしたゲノム検査結果を作業用フォルダに保存する(ステップA6:ゲノム検査結果をダウンロードして作業用フォルダに保存)。
【0075】
ゲノム検査結果のダウンロードが完了すると、ロボAは、ロボ進捗管理表において、項目「ゲノム検査結果取得日」にゲノム検査結果をダウンロードした日付を記入し、項目「ゲノム検査結果一時保存先」にダウンロードしたゲノム検査結果の保存先(パス)を記入し、項目「進捗_ゲノム検査結果取得」に「済」を記入する(ステップA7:ゲノム検査結果をダウンロード日、ゲノム検査結果の保存先、進捗「済」をロボ進捗管理表に記入)。
【0076】
なお、ダウンロードしたゲノム検査結果は、例えばXMLファイルおよびPDFファイルを含んだ圧縮ファイルであり、作業用フォルダに圧縮ファイルの状態で保存してもよい。作業用フォルダに保存された圧縮ファイルは、ロボBにより実行されるC-CAT調査依頼処理においてC-CATへ提出するためのファイルとして使用される。
【0077】
さらに、ロボAは、ロボ進捗管理表において、ゲノム検査結果を作業用フォルダへ保存しているが、NAS20への保存をまだ実施していない行を特定する(ステップA8:ロボ進捗管理表において、ゲノム検査結果を作業用フォルダへ保存しているが、NASに保存していない行を特定)。より詳細には、ロボAは、ロボ進捗管理表において、項目「進捗_ゲノム検査結果取得」に「済」が記入されており、かつ、項目「進捗_NAS保存」が空白である行を特定する。
【0078】
そして、ロボAは、患者対応表を読み出し、ゲノム検査識別番号をキー項目として患者対応表の項目「研究ID」から研究IDを取得し、研究IDをロボ進捗管理表の特定された行の項目「研究ID」に転記する(ステップA9:患者対応表から研究IDを取得し、ロボ進捗管理表へ転記)。
【0079】
患者対応表は、
図23を参照して後述するように、複数の患者(例えば、指定病院が管理するすべてのがん患者)の情報を網羅的に管理するためのデータベースである。患者対応表には、各患者の様々な情報が記載される。研究IDは、指定病院において患者ごとに割り振られた識別番号であり、患者対応表には、研究IDと、検査機関への遺伝子パネル検査依頼時に割り当てられたゲノム検査識別番号とが事前に関連付けられて記載されている。
【0080】
また、ロボAは、作業用フォルダに保存されているゲノム検査結果をNAS20に保存して(ステップA10:作業用フォルダに保存されているゲノム検査結果をNASに保存)、ロボ進捗管理表の項目「ゲノム検査結果NAS保存先」にゲノム検査結果のNAS20の保存先(パス)を記入し、項目「進捗_NAS保存」に「済」を記入する(ステップA11:ゲノム検査結果のNASの保存先、進捗「済」をロボ進捗管理表に記入)。作業用フォルダに保存されているゲノム検査結果が圧縮ファイルの場合には、圧縮ファイルを解凍したうえで、圧縮ファイルに含まれているXMLファイルおよびPDFファイルをNAS20に保存する。ゲノム検査結果をNAS20に保存する際には、例えば、「研究ID_ゲノム検査識別番号」等のように名前を定めたフォルダの中に当該ゲノム検査結果を保存してもよい。
【0081】
ロボAは、ロボ進捗管理表の各行を順番にスキャンしながら、上記ステップA5~A10を繰り返し実行する(ステップAL1~AL2のループ処理:ロボ進捗管理表の行数だけ繰り返し)。そして、ロボ進捗管理表のすべての行について処理を実行した後、ロボAはロボ進捗管理表を更新(上書き保存)し、ロボAによるゲノム検査結果取得処理は終了となる。
【0082】
上記のゲノム検査結果取得処理により更新されたロボ進捗管理表の項目の一部を
図7に示す。なお、
図7には、3件の症例(患者)のデータが例示されている。
【0083】
ロボ進捗管理表は、各エントリ(行)に複数の項目(列)が設定された表形式のデータである。
図7には、ロボ進捗管理表の項目の一部として、項目「ゲノム検査識別番号」、項目「ゲノム検査結果メール受信日」、項目「進捗_ゲノム検査結果取得」、項目「ゲノム検査結果取得日」、項目「ゲノム検査結果一時保存先」、項目「進捗_NAS保存」、項目「研究ID」、項目「ゲノム検査結果NAS保存先」が例示されている。
【0084】
項目「ゲノム検査識別番号」は、ゲノム検査識別番号を格納する領域である。上記ステップA4において、項目「ゲノム検査識別番号」にゲノム検査識別番号が記入される。
【0085】
項目「ゲノム検査結果メール受信日」は、ゲノム検査結果完了通知メールを受信した日付を格納する領域である。上記ステップA4において、項目「ゲノム検査結果メール受信日」にゲノム検査結果完了通知メールを受信した日付が記入される。
【0086】
項目「進捗_ゲノム検査結果取得」は、ゲノム検査結果のダウンロードの進捗を格納する領域である。上記ステップA7において、項目「進捗_ゲノム検査結果取得」に「済」の値が記入される。
【0087】
項目「ゲノム検査結果取得日」は、ゲノム検査結果をダウンロードした日付を格納する領域である。上記ステップA7において、項目「ゲノム検査結果取得日」にゲノム検査結果をダウンロードした日付が記入される。
【0088】
項目「ゲノム検査結果一時保存先」は、ダウンロードしたゲノム検査結果の保存先のパスを格納する領域である。上記ステップA7において、項目「ゲノム検査結果一時保存先」にゲノム検査結果を保存したフォルダ(例えば、作業フォルダ内)のパスが記入される。
【0089】
項目「進捗_NAS保存」は、ゲノム検査結果のNAS20への保存の進捗を格納する領域である。上記ステップA11において、項目「進捗_NAS保存」に「済」の値が記入される。
【0090】
項目「研究ID」は、研究IDを格納する領域である。上記ステップA9において、項目「研究ID」に患者対応表から取得した研究IDが記入される。
【0091】
項目「ゲノム検査結果NAS保存先」は、NAS20におけるゲノム検査結果の保存先のパスを格納する領域である。上記ステップA11において、項目「ゲノム検査結果NAS保存先」にゲノム検査結果を保存したNAS20内のフォルダのパスが記入される。
【0092】
<ロボAの機能>
図8を参照しながら、ロボAにより実現される機能について説明する。
図8は、本発明の実施形態において、ロボAにより実現される機能を示すブロック図である。ロボAの機能は、プロセッサ101がRPAツール150およびゲノム検査結果取得処理用プログラム151を実行することで実現される。
図8に模式的に示すように、ロボAは、ゲノム検査結果完了通知メール処理部1511、ゲノム検査結果処理部1512、ロボ進捗管理表処理部1513、患者対応表処理部1514により構成される。
【0093】
ゲノム検査結果完了通知メール処理部1511は、ゲノム検査結果完了通知メールに関する処理を行う機能を有する。ゲノム検査結果完了通知メール処理部1511は、例えば、ダイアログボックスの表示、ゲノム検査結果の対象年月の取得、ゲノム検査結果完了通知メールの検索および取得、ゲノム検査識別番号の読み取り等の機能を有する。
【0094】
ゲノム検査結果処理部1512は、ゲノム検査結果に関する処理を行う機能を有する。ゲノム検査結果処理部1512は、例えば、検査機関ポータルサイト30へのアクセス、ゲノム検査識別番号に基づくゲノム検査結果のダウンロード、NAS20および作業用フォルダへのゲノム検査結果の保存等の機能を有する。
【0095】
ロボ進捗管理表処理部1513は、ロボ進捗管理表のデータ読み取り/書き込み処理を行う機能を有する。
【0096】
患者対応表処理部1514は、患者対応表のデータ読み取り処理を行う機能を有する。
ロボAは、ゲノム検査結果取得に係る業務を支援するものである。具体的には、ロボAは、検査機関の検査完了通知であるゲノム検査結果完了通知メールからゲノム検査識別番号を抽出し、ゲノム検査識別番号に基づいて検査機関ポータルサイトからゲノム検査結果をダウンロードしてNAS20に保存する作業を自動化する。ゲノム検査結果は、例えば、XML(Extensible Markup Language:エクステンシブルマークアップランゲージ)データと、PDF(Portable Document Format:ポータブルドキュメントフォーマット)データとを含んでいる。
【0097】
以上説明したように、ロボAの処理および機能によれば、ゲノム検査結果取得に伴う作業を自動化して、作業の効率化、コストの削減や作業時間の短縮を実現し、人為的ミスの発生を防止できるようになる。
【0098】
<ロボB:C-CAT調査依頼処理>
以下、ロボBにより実行されるC-CAT調査依頼処理について説明する。
【0099】
<ロボBの処理の概要>
図9を参照しながら、ロボBの処理の概要について説明する。ロボBは、C-CATへ調査を依頼するために、検査機関から取得したゲノム検査結果(ロボAにより作業用フォルダに保存されたゲノム検査結果)を、インターネット80を通じてC-CATファイル交換フォルダ40へアップロードする処理を実行する。
【0100】
<ロボBの処理>
図10のフローチャートを参照しながら、ロボBにより実行されるC-CAT調査依頼処理の一例について説明する。なお、ロボBにより実行されるC-CAT調査依頼処理は、
図10のフローチャートに示す処理に限定されるものでない。また、ここでは詳細な説明は行わないが、ロボBは、起動時または処理実行時に設定ファイルを参照し、事前に設定されたパラメータに基づいて適切な処理を行うように構成されている。
【0101】
ロボBにより実行されるC-CAT調査依頼処理は、ロボAにより実行されるゲノム検査結果取得処理後に行われる。
【0102】
がんゲノム医療業務実行端末10においてC-CAT調査依頼処理の実行が開始されると、ロボBは、上述したゲノム検査結果取得処理で指定された対象年月に対応するロボ進捗管理表を読み出す(ステップB1:対象年月のロボ進捗管理表を読み出す)。ロボBは、該対象年月のロボ進捗管理表を参照して、ゲノム検査結果を取得しているが、C-CATへの調査依頼をまだ実施していない行を特定する(ステップB2:ロボ進捗管理表において、ゲノム検査結果を取得しているが、C-CATへの調査依頼を実施していない行を特定)。より詳細には、ロボBは、ロボ進捗管理表において、項目「進捗_ゲノム検査結果取得」に「済」が記入されており、かつ、項目「進捗_C-CAT調査依頼」が空白である行を特定する。
【0103】
そして、ロボBは、特定された行に対応する作業用フォルダ内のゲノム検査結果をC-CATファイル交換フォルダ40へアップロードする(ステップB3:ゲノム検査結果をC-CATへアップロード)。特定された行に対応する作業用フォルダは、項目「ゲノム検査結果一時保存先」に記載されており、ロボBは、このフォルダに保存されているゲノム検査結果(例えば、検査機関からダウンロードした圧縮ファイル)をC-CATファイル交換フォルダ40へアップロードする。
【0104】
ゲノム検査結果のアップロードが完了すると、ロボBは、ロボ進捗管理表において、項目「C-CAT調査依頼日」にゲノム検査結果をアップロードした日付を記入し、項目「進捗_C-CAT調査依頼」に「済」を記入する(ステップB4:ゲノム検査結果のアップロード日、進捗「済」をロボ進捗管理表に記入)。
【0105】
さらに、ロボBは、作業用フォルダのゲノム検査結果(圧縮ファイル)を削除し(ステップB5:作業用フォルダのゲノム検査結果を削除)、ロボ進捗管理表の項目「ゲノム検査結果一時保存先」に記載されているゲノム検査結果の保存先(パス)を削除する(ステップB6:ロボ進捗管理表において、ゲノム検査結果の保存先を削除)。このとき、ロボBは、ロボ進捗管理表の項目「進捗_NAS保存」に「済」が記入されており、ゲノム検査結果のNAS20への保存が正常に完了していることを確認できた場合に、作業用フォルダのゲノム検査結果の削除を行うようにしてもよい。
【0106】
ロボBは、ロボ進捗管理表の各行を順番にスキャンしながら、上記ステップB2~B6を繰り返し実行する(ステップBL1~BL2のループ処理:ロボ進捗管理表の行数だけ繰り返し)。そして、ロボ進捗管理表のすべての行について処理を実行した後、ロボBはロボ進捗管理表を更新(上書き保存)し、ロボBによるC-CAT調査依頼処理は終了となる。
【0107】
なお、ロボBは、ゲノム検査結果の調査を依頼した際に、C-CATから付与される識別番号(C-CAT ID)を取得した場合には、取得したC-CAT IDをロボ進捗管理表および患者対応表に転記してもよい。ただし、現在の仕様では、C-CATは、ゲノム検査結果が登録されたタイミングで仮の識別番号を付与し、登録情報を保存したタイミングで正式なC-CAT IDを付与するようになっている。そのため、C-CAT IDについては、正式なC-CAT IDから付与されてから、ロボBまたはユーザ入力によってロボ進捗管理表および患者対応表にC-CAT IDを記入するようにしてもよい。
【0108】
上記のC-CAT調査依頼処理により更新されたロボ進捗管理表の項目の一部を
図11に示す。なお、
図11には、3件の症例(患者)のデータが例示されている。
【0109】
図11には、ロボ進捗管理表の項目の一部として、項目「ゲノム検査識別番号」、項目「ゲノム検査結果一時保存先」、項目「ゲノム検査結果一時保存先」、項目「進捗_C-CAT調査依頼」、項目「C-CAT調査依頼日」が例示されている。
【0110】
項目「ゲノム検査識別番号」は、ゲノム検査識別番号を格納する領域である。
【0111】
項目「進捗_ゲノム検査結果取得」は、ゲノム検査結果のダウンロードの進捗を格納する領域である。上記ステップB2において、項目「進捗_ゲノム検査結果取得」の値が参照される。
【0112】
項目「ゲノム検査結果一時保存先」は、検査機関ポータルサイト30からダウンロードしたゲノム検査結果の保存先のパスを格納する領域である。上記ステップB6において、項目「ゲノム検査結果一時保存先」に記入されていた値(ゲノム検査結果を保存したフォルダのパス)が削除される。
【0113】
項目「進捗_C-CAT調査依頼」は、C-CAT調査依頼の進捗を格納する領域である。上記ステップB2において、項目「進捗_C-CAT調査依頼」の値が参照され、上記ステップB4において、項目「進捗_C-CAT調査依頼」に「済」の値が記入される。
【0114】
項目「C-CAT調査依頼日」は、C-CATに調査を依頼するために、ゲノム検査結果をアップロードした日付を格納する領域である。上記ステップB4において、項目「C-CAT調査依頼日」にゲノム検査結果をアップロードした日付が記入される。
【0115】
<ロボBの機能>
図12を参照しながら、ロボBにより実現される機能について説明する。
図12は、本発明の実施形態において、ロボBにより実現される機能を示すブロック図である。ロボBの機能は、プロセッサ101がRPAツール150およびC-CAT調査依頼処理用プログラム152を実行することで実現される。
図12に模式的に示すように、ロボBは、ゲノム検査結果処理部1521、ロボ進捗管理表処理部1522により構成される。
【0116】
ゲノム検査結果処理部1521は、ゲノム検査結果に関する処理を行う機能を有する。ゲノム検査結果処理部1521は、例えば、C-CATファイル交換フォルダ40へのアクセス、ゲノム検査結果のアップロード、作業用フォルダのゲノム検査結果の削除等の機能を有する。
【0117】
ロボ進捗管理表処理部1522は、ロボ進捗管理表のデータ読み取り/書き込み処理を行う機能を有する。
【0118】
以上説明したように、ロボCの処理および機能によれば、C-CAT調査依頼に伴う作業を自動化して、作業の効率化、コストの削減や作業時間の短縮を実現し、人為的ミスの発生を防止できるようになる。
【0119】
<ロボC:患者対応表転記処理>
以下、ロボCにより実行される患者対応表転記処理について説明する。
【0120】
<ロボCの処理の概要>
図13を参照しながら、ロボCの処理の概要について説明する。ロボCは、ゲノム検査結果から所定の情報(特に、遺伝子変異データ)を抽出してロボ進捗管理表へ記入した後、NAS20に保存されている患者対応表へさらに転記する処理を実行する。特にゲノム検査結果のXMLデータに関して、ロボCは、変換処理を実行して中間ファイルを作成することで、データの抽出・整形を行う。
【0121】
<ロボCの処理>
図14のフローチャートを参照しながら、ロボCにより実行される患者対応表転記処理の一例について説明する。ロボCによる患者対応表転記処理は、ゲノム検査結果のデータを抽出してロボ進捗管理表へデータを転記するデータ抽出処理と、ロボ進捗管理表に転記されたゲノム検査結果のデータを患者対応表へ転記するデータ転記処理とを含む。なお、ロボCにより実行される患者対応表転記処理は、
図14のフローチャートに示す処理に限定されるものでない。また、ここでは詳細な説明は行わないが、ロボCは、起動時または処理実行時に設定ファイルを参照し、事前に設定されたパラメータに基づいて適切な処理を行うように構成されている。
【0122】
がんゲノム医療業務実行端末10において患者対応表転記処理の実行が開始されると、ロボCは、処理対象とするゲノム検査結果を特定するためのダイアログボックスを表示する(ステップC1:患者対応表転記のための対象年月を入力するためのダイアログボックスを表示)。ここでは一例として、指定病院において、患者対応表転記処理を毎月特定の日(月単位)に実施しているものとし、これに合わせて、ダイアログボックスに対象年月を入力させるようにしている。なお、患者対応表転記処理がゲノム検査結果取得処理(ロボA)およびC-CAT調査依頼処理(ロボB)に続いて実行される場合には、ロボAの処理で入力された対象年月を用いることができ、この場合には、ロボCにおいてダイアログボックスの入力を行わせる必要はない。
【0123】
ユーザが対象年月を入力すると、ロボCは、入力された対象年月に対応するロボ進捗管理表を読み出す(ステップC2:対象年月のロボ進捗管理表を読み出す)。
【0124】
次いで、ロボCは、ロボ進捗管理表を参照して、ゲノム検査結果をNAS20へ保存しているが、患者対応表へ転記するためのデータ抽出をまだ実施していない行を特定する(ステップC3:ロボ進捗管理表において、ゲノム検査結果をNAS20へ保存しているが、データ抽出を実施していない行を特定)。より詳細には、ロボCは、ロボ進捗管理表において、項目「進捗_NAS保存」に「済」が記入されており、かつ、項目「進捗_データ抽出」が空白である行を特定する。
【0125】
特定された行に対応するゲノム検査結果は、項目「ゲノム検査結果NAS保存先」に記載されているNAS20のフォルダ内に、XMLファイルおよびPDFファイルとして保存されている。ロボCは、XMLファイルを表形式のファイルへ変換するツールを用いて、XMLファイルから所定のデータを抽出および整形して、表形式の中間ファイルを生成し(ステップC4:XMLファイルからデータを抽出し、中間ファイルを生成)、中間ファイルに記載されているデータをロボ進捗管理表へ転記する(ステップC5:中間ファイルのデータをロボ進捗管理表へ転記)。
【0126】
さらに、ロボCは、PDFファイルから報告日(REPORT DATE)を抽出し、ロボ進捗管理表へ転記する(ステップC6:PDFファイルから報告日を抽出し、ロボ進捗管理表へ転記)。ロボ進捗管理表への転記が完了すると、ロボCは、ロボ進捗管理表の項目「進捗_データ抽出」に「済」を記入する(ステップC7:進捗「済」をロボ進捗管理表に記入)。
【0127】
ロボCは、ロボ進捗管理表の各行を順番にスキャンしながら、上記ステップC3~C7を繰り返し実行する(ステップCL1~CL2のループ処理:ロボ進捗管理表の行数だけ繰り返し)。そして、ロボ進捗管理表のすべての行について処理を実行した後、ロボCはロボ進捗管理表を更新(上書き保存)し、ロボCによる患者対応表転記処理(データ抽出処理)は終了となる。これにより、ゲノム検査結果をNAS20へ保存しているが、患者対応表へのデータの転記をまだ実施していないすべての行について、ゲノム検査結果のXMLデータおよびPDFデータからデータを抽出し、ロボ進捗管理表へ転記する処理が完了する。
【0128】
以下、ロボCによる患者対応表転記処理(データ抽出処理)について、より詳細に説明する。
【0129】
ゲノム検査結果の詳細な情報を含むXMLデータは、独自に定義可能なタグを使用して構造化されたデータであり、例えば、
図15に示すようなデータ(一部のみ抜粋)である。ゲノム検査結果のXMLデータでは、検体採取部位、腫瘍細胞率(%)、バイオマーカー(病状や治療効果の指標となる物質)や遺伝子変異データ、VUS(variant of unknown significance:意義不明の変異)等に関する様々な情報が、それぞれ定義されたタグの属性値として記載されている。なお、XMLデータのタグは、文書の作成者が独自に定義可能なものである。特定の検査機関が提供するゲノム検査結果のXMLデータにおいても、事前に定められたルールに基づくタグが使用されている。
【0130】
ロボCは、ゲノム検査結果のXMLデータにおいて、事前に定められたルールに基づくタグが使用されていることを利用し、XMLファイルを表形式のファイルへ変換する際に、所定のタグを特定してその属性値を抽出する処理を実行する。XMLデータにおいて抽出対象となるタグ名および属性値の一例を
図16に示す。なお、抽出対象となるタグ名および属性値は任意に設定可能であり、本発明は、
図16に示す一例に限定されるものではない。
【0131】
上述した患者対応表転記処理(データ抽出処理)では、ステップC4において、XMLファイルから所定のデータを抽出および整形して中間ファイルを生成し、次いでステップC5において、中間ファイルに記載されているデータをロボ進捗管理表へ転記するようにしている。中間ファイルは、例えば、各タグに含まれる抽出対象の属性値を表形式で記載したものである。タグ「variant-report」、タグ「short-variant」、タグ「copy-number-alteration」、タグ「rearrangement」から抽出した属性値を表形式で記載した中間ファイルの一例を
図17~
図20に示す。なお、
図17~
図20に示す中間ファイルは一例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものでない。
【0132】
また、XMLデータにおいて抽出対象となるタグ名および属性値と、ロボ進捗管理表に転記する際の項目名との対応関係の一例を
図16に示す。なお、
図16に示す対応関係は一例にすぎず、本発明はこれらの対応関係に限定されるものでない。
【0133】
図16に示す対応関係によれば、以下のように、ゲノム解析結果からロボ進捗管理表へのデータ転記が行われる。XMLデータのタグ「variant-report」の属性値「tissue-of-origin」は、ロボ進捗管理表の項目「検体採取部位」に記入される。XMLデータのタグ「variant-report」の属性値「percent-tumor-nuclei」および「purity-assessment」は、ロボ進捗管理表の項目「腫瘍細胞率(%)」に記入される。XMLデータのタグ「microsatellite-instability」の属性値「status」およびタグ「tumor-mutation-burden」の属性値「score」は、ロボ進捗管理表の項目「解析結果」に記入される。XMLデータのタグ「short-variant」、タグ「copy-number-alteration」およびタグ「rearrangement」の各属性値については、属性値「status」が「known/likely」の場合にはロボ進捗管理表の項目「解析結果」に記入され、属性値「status」が「unknown」の場合にはロボ進捗管理表の項目「VUS」に記入される。なお、ロボ進捗管理表に転記する際に、例えば「percent-tumor-nuclei」および「purity-assessment」の表記を略語「PTN」および「PA」に変更したり、重複した文字列の削除や入れ換え等を行ったりすることで、医療従事者が把握しやすい表記となるよう変更および整形してもよい。また、ロボ進捗管理表の項目「報告日(レポート発行日)」には、PDFデータから抽出した報告日(REPORT DATE)が記入される。
【0134】
上記の患者対応表転記処理(データ抽出処理)により更新されたロボ進捗管理表の項目の一部を
図21に示す。なお、
図21には、2件の症例(患者)のデータの一部が例示されている。
【0135】
図21には、ロボ進捗管理表の項目の一部として、項目「ゲノム検査識別番号」、項目「進捗_NAS保存」、項目「ゲノム検査結果NAS保存先」、項目「進捗_データ抽出」、項目「進捗_データ転記」、項目「検体採取部位」、項目「腫瘍細胞率(%)」、項目「報告日(レポート発行日)」、項目「解析結果」、項目「VUS」が例示されている。
【0136】
項目「ゲノム検査識別番号」は、ゲノム検査識別番号を格納する領域である。上記ステップA4において、項目「ゲノム検査識別番号」にゲノム検査識別番号が記入される。
【0137】
項目「進捗_NAS保存」は、ゲノム検査結果のNAS20への保存の進捗を格納する領域である。上記ステップC3において、項目「進捗_NAS保存」の値が参照される。
【0138】
項目「ゲノム検査結果NAS保存先」は、NAS20におけるゲノム検査結果の保存先のパスを格納する領域である。上記ステップC4、C6において、ゲノム検査結果であるXMLデータおよびPDFデータの保存場所を特定するために、項目「ゲノム検査結果NAS保存先」のパスが参照される。
【0139】
項目「進捗_データ抽出」は、ゲノム検査結果からのデータ抽出(ロボ進捗管理表への転記)の進捗を格納する領域である。上記ステップC3において、項目「進捗_データ抽出」の値が参照され、上記ステップC7において、項目「進捗_データ抽出」に「済」の値が記入される。
【0140】
項目「検体採取部位」、項目「腫瘍細胞率(%)」、項目「報告日(レポート発行日)」、項目「解析結果」、項目「VUS」は、ゲノム解析結果から抽出されたデータが格納される領域である。上記ステップC4において、例えば
図16に示す対応関係に従って、ゲノム解析結果から抽出されたデータが各項目に記入される。
【0141】
さらに、ロボCは、患者対応表転記処理(データ抽出処理)に続いて、以下の患者対応表転記処理(データ転記処理)を実行する。
【0142】
ロボCは、患者対応表を読み出す(ステップC11:患者対応表を読み出す)。
【0143】
次いで、ロボCは、ロボ進捗管理表を参照して、ゲノム検査結果に関するデータをロボ進捗管理表へ抽出しているが、患者対応表への転記をまだ実施していない行を特定する(ステップC12:ロボ進捗管理表において、ゲノム検査結果からデータを抽出しているが、データ転記を実施していない行を特定)。より詳細には、ロボCは、ロボ進捗管理表において、項目「進捗_データ抽出」に「済」が記入されており、かつ、項目「進捗_データ転記」が空白である行を特定する。
【0144】
ロボCは、ロボ進捗管理表の特定された行に記入されているゲノム解析結果に関するデータを患者対応表へ転記する(ステップC13:ロボ進捗管理表のゲノム解析結果のデータを患者対応表へ転記)。具体的には、ロボCは、項目「検体採取部位」、項目「腫瘍細胞率(%)」、項目「報告日(レポート発行日)」、項目「解析結果」、項目「VUS」のデータをロボ進捗管理表から取得して、ゲノム検査識別番号をキー項目として特定された患者対応表の項目「検体採取部位」、項目「腫瘍細胞率(%)」、項目「報告日(レポート発行日)」、項目「解析結果」、項目「VUS」へ転記する。そして、転記が完了すると、ロボCは、ロボ進捗管理票の項目「進捗_データ転記」に「済」を記入する(ステップC14:進捗「済」をロボ進捗管理表に記入)。
【0145】
ロボCは、ロボ進捗管理表の各行を順番にスキャンしながら、上記ステップC12~C14を繰り返し実行する(ステップCL3~CL4のループ処理:ロボ進捗管理表の行数だけ繰り返し)。そして、ロボ進捗管理表のすべての行について処理を実行した後、ロボCはロボ進捗管理表および患者対応表を更新(上書き保存)し、ロボCによる患者対応表転記処理(データ転記処理)は終了となる。
【0146】
上記の患者対応表転記処理(データ転記処理)により更新されたロボ進捗管理表の項目の一部を
図22に示す。
図22には、上述した
図21に示すロボ進捗管理表が更新された状態が例示されている。患者対応表転記処理(データ転記処理)後のロボ進捗管理表は、例えば
図22に示すように、項目「進捗_データ転記」が更新されている。
【0147】
項目「進捗_データ転記」は、ロボ進捗管理表から患者対応表へのゲノム検査結果の転記の進捗を格納する領域である。上記ステップC14において、項目「進捗_データ転記」に「済」の値が記入される。
【0148】
また、上記の患者対応表転記処理(データ転記処理)により更新された患者対応表の項目の一部を
図23に示す。患者対応表は、複数の患者(例えば、指定病院が管理するすべてのがん患者)の情報を網羅的に管理するためのデータベースであり、患者対応表には各患者の様々な情報が記載されている。
図23には、
図22に示すロボ進捗管理表から転記された2件の症例(患者)のデータの一部が例示されている。
【0149】
図23には、患者対応表の項目の一部として、項目「研究ID」、項目「ゲノム検査識別番号」、項目「C-CAT ID」、項目「名前」、項目「原発巣」、項目「性別」、項目「Age」、項目「主科」、項目「主治医」、項目「検査種類」、項目「検体採取日」、項目「検体採取部位」、項目「腫瘍細胞率(%)」、項目「報告日(レポート発行日)」、項目「詳細検討の要否」、項目「エキスパートパネル開催日」、項目「解析結果」、項目「VUS」が例示されている。なお、図示省略されているが、患者対応表には、カルテ番号、診断実施日、患者への説明実施日および説明担当者、ゲノム検査同意日、説明開示日等の様々な項目が設定され、各症例(各患者)の情報を集約して管理できるようになっている。
【0150】
項目「研究ID」は、研究IDを格納する領域である。上記ステップA9において、項目「研究ID」に患者対応表から取得した研究IDが記入される。
【0151】
項目「ゲノム検査識別番号」は、ゲノム検査識別番号を格納する領域である。上記ステップA4において、項目「ゲノム検査識別番号」にゲノム検査識別番号が記入される。
【0152】
項目「C-CAT ID」は、C-CAT IDを格納する領域である。
【0153】
項目「名前」は、患者の名前を格納する領域である。
【0154】
項目「原発巣」は、最初にがんが発生した病変(原発巣)を格納する領域である。
【0155】
項目「性別」は、患者の性別を格納する領域である。
【0156】
項目「Age」は、患者の年齢を格納する領域である。
【0157】
項目「主科」は、患者が診療を受けている主科の名前を格納する領域である。
【0158】
項目「主治医」は、患者の治療を受け持っている主治医の名前を格納する領域である。
【0159】
項目「検査種類」は、遺伝子パネル検査の種類を格納する領域である。検査種類としては、例えば、病理スライドによる検査や採血による検査が挙げられる。
【0160】
項目「詳細検討の要否」は、エキスパートパネルにおける詳細な検討の要否に関する情報を格納する領域である。
【0161】
項目「エキスパートパネル開催日」は、このエントリ(行)に対応する症例(患者)を検討するエキスパートパネルの開催日を格納する領域である。
【0162】
項目「検体採取部位」、項目「腫瘍細胞率(%)」、項目「報告日(レポート発行日)」、項目「解析結果」、項目「VUS」は、ゲノム解析結果から抽出されたデータが格納される領域である。上記ステップC13において、ロボ進捗管理表から抽出されたデータが各項目に記入される。
【0163】
上述した患者対応表転記処理では、ゲノム検査結果のXMLデータの必要情報を抽出した中間ファイルを生成し、中間ファイルに含まれる情報をロボ進捗管理表へ転記した後に、さらに、患者対応表に転記しているが、本発明はこの方法に限定されるものではない。例えば、ゲノム検査結果のXMLファイルやPDFファイルから抽出した情報をロボ進捗管理表および患者対応表へ直接転記してもよい。
【0164】
<ロボCの機能>
図24を参照しながら、ロボCにより実現される機能について説明する。
図24は、本発明の実施形態において、ロボCにより実現される機能を示すブロック図である。ロボCの機能は、プロセッサ101がRPAツール150および患者対応表転記処理用プログラム153を実行することで実現される。
図24に模式的に示すように、ロボCは、ゲノム検査結果処理部1531、ロボ進捗管理表処理部1532、患者対応表処理部1533により構成される。
【0165】
ゲノム検査結果処理部1531は、ゲノム検査結果に関する処理を行う機能を有する。ゲノム検査結果処理部1531は、例えば、ダイアログボックスの表示、ゲノム検査結果の対象年月の取得、XMLデータからのデータ抽出および表形式の中間ファイルへの変換等の機能を有する。
【0166】
ロボ進捗管理表処理部1532は、ロボ進捗管理表のデータ読み取り/書き込み処理を行う機能を有する。
【0167】
患者対応表処理部1533は、患者対応表のデータ読み取り処理を行う機能を有する。
【0168】
以上説明したように、ロボCの処理および機能によれば、患者対応表へのゲノム検査結果の転記に伴う作業を自動化して、作業の効率化、コストの削減や作業時間の短縮を実現し、人為的ミスの発生を防止できるようになる。
【0169】
<ロボD:C-CAT調査結果取得>
以下、ロボDにより実行されるC-CAT調査結果取得について説明する。
【0170】
<ロボDの処理の概要>
図25を参照しながら、ロボDの処理の概要について説明する。ロボDは、C-CAT調査結果完了通知メールからC-CAT IDを抽出し、C-CATファイル交換フォルダ40において、C-CAT IDに基づいて検索を行って、インターネット80を通じてC-CATファイル交換フォルダ40からC-CAT調査結果をダウンロードして、NAS20に保存する処理を実行する。
【0171】
<ロボDの処理>
図26のフローチャートを参照しながら、ロボDにより実行されるC-CAT調査結果取得処理の一例について説明する。なお、ロボDにより実行されるC-CAT調査結果取得処理は、
図26のフローチャートに示す処理に限定されるものでない。また、ここでは詳細な説明は行わないが、ロボDは、起動時または処理実行時に設定ファイルを参照し、事前に設定されたパラメータに基づいて適切な処理を行うように構成されている。
【0172】
C-CATによって実施されたゲノム検査結果に基づく調査結果(C-CAT調査結果)は、C-CATファイル交換フォルダ40にアップロードされる。また、それに伴って、C-CAT調査結果完了通知メールにより、C-CAT調査の完了が通知される。
【0173】
がんゲノム医療業務実行端末10においてC-CAT調査結果取得処理の実行が開始されると、ロボDは、取得対象となるC-CAT調査結果を特定するためのダイアログボックスを表示する(ステップD1:C-CAT調査結果の対象年月を入力するためのダイアログボックスを表示)。ここでは一例として、指定病院において、C-CAT調査結果取得処理を月単位(毎月特定の日)で実施しているものとし、これに合わせて、ダイアログボックスに対象年月を入力させるようにしている。
【0174】
なお、C-CAT調査結果取得処理がゲノム検査結果取得処理(ロボA)およびC-CAT調査依頼処理(ロボB)、さらには患者対応表転記処理(ロボC)に続いて実行される場合には、ロボAまたはロボCの処理で入力された対象年月を用いることができ、この場合には、ロボDにおいてダイアログボックスの入力を行わせる必要はない。
【0175】
ユーザが対象年月を入力すると、ロボDは、入力された対象年月に対応するC-CAT管理表を読み出すとともに(対象年月に対応するC-CAT管理表が存在しない場合には新規に作成)(ステップD2:対象年月のC-CAT管理表を読み出す)、該対象年月に受信したC-CAT調査結果完了通知メールをメールボックスから取得する(ステップD3:対象年月に受信したC-CAT調査結果完了通知メールを取得)。なお、該当するC-CAT調査結果完了通知メールが複数存在する場合には、すべてのC-CAT調査結果完了通知メールを取得する。
【0176】
ロボDは、C-CAT調査結果完了通知メールのメール本文からC-CAT IDを抽出して、C-CAT管理表において、項目「C-CAT ID」にC-CAT IDを記入し(事前に記載されている場合は処理不要)、項目「C-CAT調査結果メール受信日」にC-CAT調査結果完了通知メールを受信した日付を記入する(ステップD4:C-CAT ID、C-CAT調査結果完了通知メールの受信日をC-CAT管理表に記入)。
【0177】
なお、C-CAT調査結果完了通知メールの受信専用メールアドレスを準備しておき、このメールアドレス宛てのメールをC-CAT調査結果完了通知メールとみなしてもよく、あるいは、件名やメール本文の記載からC-CAT調査結果完了通知メールであることを判断してもよい。
【0178】
次いで、ロボDは、C-CAT管理表において、C-CAT調査結果のダウンロードをまだ実施していない行を特定する(ステップD5:C-CAT管理表において、C-CAT調査結果のダウンロードを実施していない行を特定)。より詳細には、ロボDは、C-CAT管理表において、項目「進捗_C-CAT調査結果取得」が空白である行を特定する。
【0179】
ロボDは、C-CATファイル交換フォルダ40にアクセスし、C-CAT調査結果完了通知メールから抽出したC-CAT IDを基に、C-CAT調査結果を検索する。そして、ロボDは、検索により特定したC-CAT調査結果をダウンロードし、ダウンロードしたC-CAT調査結果を作業用フォルダに保存する(ステップD6:C-CAT調査結果をダウンロードして作業用フォルダに保存)。
【0180】
C-CAT調査結果のダウンロードが完了すると、ロボDは、C-CAT管理表において、項目「C-CAT調査結果取得日」にC-CAT調査結果をダウンロードした日付を記入し、項目「C-CAT調査結果一時保存先」にダウンロードしたC-CAT調査結果の保存先(パス)を記入し、項目「進捗_C-CAT調査結果取得」に「済」を記入する(ステップD7:C-CAT調査結果をダウンロード日、C-CAT調査結果の保存先、進捗「済」をC-CAT管理表に記入)。なお、C-CAT調査結果は、例えばPDFファイルである。
【0181】
さらに、ロボDは、C-CAT管理表において、C-CAT調査結果を作業用フォルダへ保存しているが、NAS20への保存をまだ実施していない行を特定する(ステップD8:C-CAT管理表において、C-CAT調査結果を作業用フォルダへ保存しているが、NASに保存していない行を特定)。より詳細には、ロボDは、C-CAT管理表において、項目「進捗_C-CAT調査結果取得」に「済」が記入されており、かつ、項目「進捗_NAS保存」が空白である行を特定する。
【0182】
そして、ロボDは、患者対応表を読み出し、C-CAT IDをキー項目として患者対応表の項目「ゲノム検査識別番号」からゲノム検査識別番号を取得するとともに、項目「研究ID」から研究IDを取得し、ゲノム検査識別番号および研究IDをC-CAT管理表の特定された行の項目「ゲノム検査識別番号」および項目「研究ID」に転記する(ステップD9:患者対応表から研究ID、ゲノム検査識別番号を取得し、C-CAT管理表へ転記)。
【0183】
また、ロボDは、作業用フォルダに保存されているC-CAT調査結果をNAS20に保存してステップD10:作業用フォルダに保存されているC-CAT調査結果をNASに保存)、項目「C-CAT調査結果NAS保存先」にC-CAT調査結果のNAS20の保存先(パス)を記入し、C-CAT管理表の項目「進捗_NAS保存」に「済」を記入する(ステップD11:C-CAT調査結果のNASの保存先、進捗「済」をC-CAT管理表に記入)。C-CAT調査結果をNAS20に保存する際には、例えば、「研究ID_ゲノム検査識別番号」等のように名前を定めたフォルダの中に当該C-CAT調査結果を保存してもよい。
【0184】
ロボDは、C-CAT管理表の各行を順番にスキャンしながら、上記ステップD5~D10を繰り返し実行する(ステップDL1~DL2のループ処理:C-CAT管理表の行数だけ繰り返し)。そして、C-CAT管理表のすべての行について処理を実行した後、ロボDはC-CAT管理表を更新(上書き保存)し、ロボDによるC-CAT調査結果取得処理は終了となる。
【0185】
上記のC-CAT調査結果取得処理により更新されたC-CAT管理表の項目の一部を
図27に示す。なお、
図27には、3件の症例(患者)のデータが例示されている。
【0186】
C-CAT管理表は、各エントリ(行)に複数の項目(列)が設定された表形式のデータである。
図27には、C-CAT管理表の項目の一部として、項目「C-CAT ID」、項目「C-CAT調査結果メール受信日」、項目「進捗_C-CAT調査結果取得」、項目「C-CAT調査結果取得日」、項目「C-CAT調査結果一時保存先」、項目「進捗_NAS保存」、項目「研究ID」、項目「ゲノム検査識別番号」、項目「C-CAT調査結果NAS保存先」が例示されている。
【0187】
項目「C-CAT ID」は、C-CAT IDを格納する領域である。上記ステップD4において、項目「C-CAT ID」にC-CAT IDが記入される。
【0188】
項目「C-CAT調査結果メール受信日」は、C-CAT調査結果完了通知メールを受信した日付を格納する領域である。上記ステップD4において、項目「C-CAT調査結果メール受信日」にC-CAT調査結果完了通知メールを受信した日付が記入される。
【0189】
項目「進捗_C-CAT調査結果取得」は、C-CAT調査結果のダウンロードの進捗を格納する領域である。上記ステップD7において、項目「進捗_C-CAT調査結果取得」に「済」の値が記入される。
【0190】
項目「C-CAT調査結果取得日」は、C-CAT調査結果をダウンロードした日付を格納する領域である。上記ステップD7において、項目「C-CAT調査結果取得日」にC-CAT調査結果をダウンロードした日付が記入される。
【0191】
項目「C-CAT調査結果一時保存先」は、ダウンロードしたC-CAT調査結果の保存先のパスを格納する領域である。上記ステップD7において、項目「C-CAT調査結果一時保存先」にC-CAT調査結果を保存したフォルダ(例えば、作業フォルダ内)のパスが記入される。
【0192】
項目「進捗_NAS保存」は、C-CAT調査結果のNAS20への保存の進捗を格納する領域である。上記ステップD11において、項目「進捗_NAS保存」に「済」の値が記入される。
【0193】
項目「研究ID」は、研究IDを格納する領域である。上記ステップD9において、項目「研究ID」に患者対応表から取得した研究IDが記入される。
【0194】
項目「ゲノム検査識別番号」は、ゲノム検査識別番号を格納する領域である。上記ステップD9において、項目「ゲノム検査識別番号」に患者対応表から取得したゲノム検査識別番号が記入される。
【0195】
項目「C-CAT調査結果NAS保存先」は、NAS20におけるC-CAT調査結果の保存先のパスを格納する領域である。上記ステップD11において、項目「C-CAT調査結果NAS保存先」にC-CAT調査結果を保存したNAS20内のフォルダのパスが記入される。
【0196】
<ロボDの機能>
図28を参照しながら、ロボDにより実現される機能について説明する。
図28は、本発明の実施形態において、ロボDにより実現される機能を示すブロック図である。ロボDの機能は、プロセッサ101がRPAツール150およびC-CAT調査結果取得処理用プログラム154を実行することで実現される。
図28に模式的に示すように、ロボDは、C-CAT調査結果完了通知メール処理部1541、C-CAT調査結果処理部1542、C-CAT管理表処理部1543、患者対応表処理部1544により構成される。
【0197】
C-CAT調査結果完了通知メール処理部1541は、C-CAT調査結果完了通知メールに関する処理を行う機能を有する。C-CAT調査結果完了通知メール処理部1541は、例えば、ダイアログボックスの表示、C-CAT調査結果の対象年月の取得、C-CAT調査結果完了通知メールの検索および取得、C-CAT IDの読み取り等の機能を有する。
【0198】
C-CAT調査結果処理部1542は、C-CAT調査結果に関する処理を行う機能を有する。C-CAT調査結果処理部1542は、例えば、C-CATファイル交換フォルダ40へのアクセス、C-CAT IDに基づくC-CAT調査結果のダウンロード、NAS20へのC-CAT調査結果の保存等の機能を有する。
【0199】
C-CAT管理表処理部1543は、C-CAT管理表のデータ読み取り/書き込み処理を行う機能を有する。
【0200】
患者対応表処理部1544は、患者対応表のデータ読み取り処理を行う機能を有する。
【0201】
以上説明したように、ロボDの処理および機能によれば、C-CAT調査結果取得に伴う作業を自動化して、作業の効率化、コストの削減や作業時間の短縮を実現し、人為的ミスの発生を防止できるようになる。
【0202】
<ロボE:管理簿転記処理>
以下、ロボEにより実行される管理簿転記処理について説明する。
【0203】
<ロボEの処理の概要>
図29を参照しながら、ロボEの処理の概要について説明する。ロボEは、NAS20に保存されている管理簿に、ロボ進捗管理表に記入されているゲノム検査結果取得日およびC-CAT調査依頼日、ならびに、C-CAT管理表に記入されているC-CAT調査結果取得日を転記する処理を実行する。
【0204】
<ロボEの処理>
図30のフローチャートを参照しながら、ロボEにより実行される管理簿転記処理の一例について説明する。なお、ロボEにより実行される管理簿転記処理は、
図30のフローチャートに示す処理に限定されるものでない。また、ここでは詳細な説明は行わないが、ロボEは、起動時または処理実行時に設定ファイルを参照し、事前に設定されたパラメータに基づいて適切な処理を行うように構成されている。
【0205】
がんゲノム医療業務実行端末10において管理簿転記処理の実行が開始されると、ロボEは、処理対象とするゲノム検査結果およびC-CAT調査結果を特定するためのダイアログボックスを表示する(ステップE1:管理簿転記のための対象年月を入力するためのダイアログボックスを表示)。ここでは一例として、指定病院においては管理簿転記処理を月単位(毎月特定の日)で実施しているものとし、これに合わせて、ダイアログボックスは、対象年月を入力させるように設計されている。なお、管理簿転記処理がゲノム検査結果取得処理(ロボA)およびC-CAT調査依頼処理(ロボB)、患者対応表転記処理(ロボC)、さらにはC-CAT調査結果取得処理(ロボD)に続いて実行される場合には、ロボA、ロボCまたはロボDの処理で入力された対象年月を用いることができ、この場合には、ロボEにおいてダイアログボックスの入力を行わせる必要はない。
【0206】
ユーザが対象年月を入力すると、ロボEは、入力された対象年月に対応するロボ進捗管理表を読み出す(ステップE2:対象年月のロボ進捗管理表を読み出す)。
【0207】
次いで、ロボEは、ロボ進捗管理表を参照して、ゲノム検査結果の取得およびC-CATへの調査依頼を実施しているが、管理簿への転記をまだ実施していない行を特定する(ステップE3:ロボ進捗管理表において、ゲノム検査結果の取得、C-CATへの調査依頼を実施しているが、管理簿へのデータ転記を実施していない行を特定)。より詳細には、ロボEは、ロボ進捗管理表において、項目「ゲノム検査結果取得日」および項目「C-CAT調査依頼日」のそれぞれに日付が記入されており、かつ、項目「進捗_管理簿転記」が空白である行を特定する。ロボEは、ロボ進捗管理表の項目「ゲノム検査結果取得日」からゲノム検査結果取得日を取得するとともに、項目「C-CAT調査依頼日」からC-CAT調査依頼日を取得する。
【0208】
ロボEは、管理簿を読み出し、ゲノム検査識別番号をキー項目として特定された行に、ゲノム検査結果取得日およびC-CAT調査依頼日を管理簿の項目「ゲノム解析結果受取日」および項目「C-CATへの解析データ提出日」に転記する(ステップE4:ゲノム検査結果取得日、C-CAT調査依頼日を管理簿へ転記)。さらに、ロボEは、ロボ進捗管理表の項目「進捗_管理簿転記」に「済」を記入する(ステップE5:進捗「済」をロボ進捗管理表に記入)。
【0209】
ロボEは、ロボ進捗管理表の各行を順番にスキャンしながら、上記ステップE3~E5を繰り返し実行する(ステップEL1~EL2のループ処理:ロボ進捗管理表の行数だけ繰り返し)。そして、ロボ進捗管理表のすべての行について処理を実行した後、ロボDはC-CAT管理表を更新(上書き保存)する。
【0210】
さらに、ロボEは、入力された対象年月のC-CAT管理表を読み出す(ステップE11:C-CAT管理表を読み出す)。
【0211】
次いで、ロボEは、C-CAT管理表を参照して、C-CAT調査結果を取得しているが、管理簿への転記をまだ実施していない行を特定する(ステップE12:C-CAT調査結果を取得しているが、管理簿への転記を実施していない行を特定)。より詳細には、ロボEは、C-CAT管理表において、項目「C-CAT調査結果取得日」に日付が記入されており、かつ、項目「進捗_管理簿転記」が空白である行を特定する。ロボEは、C-CAT管理表の項目「C-CAT調査結果取得日」からC-CAT調査結果取得日を取得する。
【0212】
ロボEは、管理簿を読み出し、ゲノム検査識別番号をキー項目として特定された行に、C-CAT調査結果取得日を管理簿の項目「C-CAT調査レポート受取日」に転記する(ステップE13:C-CAT管理表のC-CAT調査結果取得日を管理簿へ転記)。さらに、ロボEは、C-CAT管理表の項目「進捗_管理簿転記」に「済」を記入する(ステップE14:進捗「済」をC-CAT管理表に記入)。
【0213】
ロボEは、C-CAT管理表の各行を順番にスキャンしながら、上記ステップE12~E14を繰り返し実行する(ステップEL3~EL4のループ処理:C-CAT管理表の行数だけ繰り返し)。そして、C-CAT管理表のすべての行について処理を実行した後、ロボDはC-CAT管理表を更新(上書き保存)し、ロボEによる管理簿転記処理は終了となる。
【0214】
上記の管理簿転記処理により更新されたロボ進捗管理表の項目の一部を
図31に示す。なお、
図31には、3件の症例(患者)のデータが例示されている。
【0215】
図31には、ロボ進捗管理表の項目の一部として、項目「ゲノム検査識別番号」、項目「ゲノム検査結果取得日」、項目「C-CAT調査依頼日」、項目「進捗_管理簿転記」が例示されている。
【0216】
項目「ゲノム検査結果取得日」は、ゲノム検査結果をダウンロードした日付を格納する領域である。上記ステップE3において、項目「ゲノム検査結果取得日」の値が参照される。
【0217】
項目「C-CAT調査依頼日」は、C-CATに調査を依頼するために、ゲノム検査結果をアップロードした日付を格納する領域である。上記ステップE3において、項目「C-CAT調査依頼日」の値が参照される。
【0218】
項目「進捗_管理簿抽出」は、管理簿へのゲノム検査結果の転記の進捗を格納する領域である。上記ステップE3において、項目「進捗_管理簿抽出」の値が参照され、上記ステップE5において、項目「進捗_管理簿抽出」に「済」の値が記入される。
【0219】
上記の管理簿転記処理により更新されたC-CAT管理表の項目の一部を
図32に示す。なお、
図32には、3件の症例(患者)のデータが例示されている。
【0220】
図32には、C-CAT管理表の項目の一部として、項目「C-CAT ID」、項目「C-CAT調査結果取得日」、項目「ゲノム検査識別番号」、項目「進捗_管理簿転記」が例示されている。
【0221】
項目「ゲノム検査結果取得日」は、C-CAT調査結果をダウンロードした日付を格納する領域である。上記ステップE12において、項目「ゲノム検査結果取得日」の値が参照される。
【0222】
項目「進捗_管理簿抽出」は、管理簿へのC-CAT調査結果取得日の転記の進捗を格納する領域である。上記ステップE12において、項目「進捗_管理簿抽出」の値が参照され、上記ステップE14において、項目「進捗_管理簿抽出」に「済」の値が記入される。
【0223】
上記の管理簿転記処理により更新された管理簿の項目の一部を
図33に示す。なお、
図33には、3件の症例(患者)のデータが例示されている。
【0224】
管理簿は、様々な業務の進捗を管理する管理表であり、各エントリ(行)に複数の項目(列)が設定された表形式のデータである。
図33には、管理簿の項目の一部として、項目「患者氏名」、項目「保険診療依頼番号」、項目「ゲノム検査識別番号」、項目「C-CAT ID」、項目「ゲノム解析結果受取日」、項目「C-CATへの解析データ提出日」、項目「C-CAT調査レポート受取日」が例示されている。
【0225】
項目「患者氏名」は、患者の氏名を格納する領域である。
【0226】
項目「保険診療依頼番号」は、患者の保険者番号を格納する領域である。
【0227】
項目「ゲノム検査識別番号」は、ゲノム検査識別番号を格納する領域である。
【0228】
項目「C-CAT ID」は、C-CAT IDを格納する領域である。
【0229】
項目「ゲノム解析結果受取日」は、ゲノム検査結果をダウンロードした日付を格納する領域である。上記ステップE4において、項目「ゲノム解析結果取得日」にゲノム検査結果をダウンロードした日付が記入される。
【0230】
項目「C-CATへの解析データ提出日」は、C-CATに調査を依頼するために、ゲノム検査結果をアップロードした日付を格納する領域である。上記ステップE4において、項目「C-CATへの解析データ提出日」にゲノム検査結果をアップロードした日付が記入される。
【0231】
項目「C-CAT調査レポート受取日」は、C-CAT調査結果をダウンロードした日付を格納する領域である。上記ステップE13において、項目「C-CAT調査レポート受取日」にC-CAT調査結果をダウンロードした日付が記入される。
【0232】
<ロボEの機能>
図34を参照しながら、ロボEにより実現される機能について説明する。
図34は、本発明の実施形態において、ロボEにより実現される機能を示すブロック図である。ロボEの機能は、プロセッサ101がRPAツール150および管理簿転記処理用プログラム155を実行することで実現される。
図34に模式的に示すように、ロボEは、管理簿処理部1551、ロボ進捗管理表処理部1552、C-CAT管理表処理部1553により構成される。
【0233】
管理簿処理部1551は、管理簿に関する処理を行う機能を有する。管理簿処理部1551は、例えば、ダイアログボックスの表示、管理簿転記のための対象年月の取得、管理簿のデータ読み取り/書き込み処理を行う機能を有する。
【0234】
ロボ進捗管理表処理部1552は、ロボ進捗管理表のデータ読み取り/書き込み処理を行う機能を有する。
【0235】
C-CAT管理表処理部1553は、C-CAT管理表のデータ読み取り/書き込み処理を行う機能を有する。
【0236】
以上説明したように、ロボEの処理および機能によれば、管理簿への転記に伴う作業を自動化して、作業の効率化、コストの削減や作業時間の短縮を実現し、人為的ミスの発生を防止できるようになる。
【0237】
<ロボF:患者一覧作成処理>
以下、ロボFにより実行される患者一覧作成処理について説明する。
【0238】
<ロボFの処理の概要>
図35を参照しながら、ロボFの処理の概要について説明する。ロボFは、NAS20に保存されている患者対応表から、特定の開催日のエキスパートパネルにおいて検討される複数の症例(患者)のデータを抽出して、エキスパートパネル当日に出席者に配布される症例検討患者一覧ファイル(当日配布用資料)と、事前にメールにて出席者に配布される症例検討患者一覧ファイル(メール配布用資料)とを作成する処理を実行する。
【0239】
<ロボFの処理>
図36のフローチャートを参照しながら、ロボFにより実行される患者一覧作成処理の一例について説明する。なお、ロボFにより実行される患者一覧作成処理は、
図36のフローチャートに示す処理に限定されるものでない。また、ここでは詳細な説明は行わないが、ロボFは、起動時または処理実行時に設定ファイルを参照し、事前に設定されたパラメータに基づいて適切な処理を行うように構成されている。
【0240】
がんゲノム医療業務実行端末10において患者一覧作成処理の実行が開始されると、ロボFは、エキスパートパネル開催日を入力するためのダイアログボックスを表示する(ステップF1:エキスパートパネルの開催日を入力するためのダイアログボックスを表示)。
【0241】
エキスパートパネルは、様々な専門家が参加し、複数の症例(患者)について検討する会議である。エキスパートパネルは、例えば毎週定期的に開催され、1回の開催で複数の症例(患者)について検討が行われる。エキスパートパネルで検討する複数の症例は事前に選出され、エキスパートパネルで検討する日付がスケジューリングされる。エキスパートパネルで検討する日付が決まった場合には、例えば患者対応表の項目「エキスパートパネル開催日」(
図23の患者対応表を参照)に、エキスパートパネルで検討される日付が記入される。さらに、患者対応表に項目「詳細検討の要否」を設定しておき、エキスパートパネルにおける詳細な検討の要否が記入されてもよい。
【0242】
ユーザがエキスパートパネル開催日を入力すると、ロボFは、患者一覧ファイルのひな形を用いて、当該開催日に対応するエキスパートパネル用の患者一覧ファイルを作成するとともに(ステップF2:エキスパートパネル用の患者一覧ファイルを作成)、患者対応表を読み出す(ステップF3:患者対応表を読み出す)。
【0243】
ロボFは、患者対応表を参照して、項目「エキスパートパネル開催日」の日付が、ユーザが入力したエキスパート開催日と一致する行を特定する(ステップF4:患者対応表において、入力されたエキスパート開催日と一致する行を特定)。ロボFは、特定された行の項目「詳細検討の要否」(
図23の患者対応表を参照)を参照して、詳細な情報の転記が必要か否かを判断する(ステップF5:詳細検討要?)。詳細検討要(項目「詳細検討の要否」の値が「詳細」)の場合には、ロボFは、詳細情報として定義されているデータを患者対応表から抽出して、患者一覧ファイルに転記する(ステップF6:患者一覧ファイルへ詳細にデータを転記)。
【0244】
一方、詳細検討不要(項目「詳細検討の要否」の値が「簡易」)の場合には、ロボFは、簡易情報として定義されているデータを患者対応表から抽出して、患者一覧ファイルに転記する(ステップF7:患者一覧ファイルへ簡易にデータを転記)。詳細情報および簡易情報のそれぞれの定義は、任意に設定可能である。例えば、詳細検討不要の場合には、詳細検討要の場合に転記されるデータの一部を省略するようにしてもよい。また、詳細検討の要否に依らず、同一のデータを患者対応表から抽出して、患者一覧ファイルへ転記するようにしてもよい。
【0245】
ロボFは、患者対応表の各行を順番にスキャンしながら、上記ステップF4~F7を繰り返し実行する(ステップFL1~FL2のループ処理:患者対応表の行数だけ繰り返し)。そして、ユーザが入力した日付に開催されるエキスパートパネルの症例(患者)すべてに関して、データの抽出および患者一覧ファイルへの転記が終了すると、エキスパートパネルにて配布する症例検討患者一覧ファイル(当日配布用資料)として所定のフォルダに保存する(ステップF8:患者一覧ファイル(当日配布用資料)を保存)。当日配布用資料として作成された症例検討患者一覧ファイルには、「患者ID」の項目が含まれている。
【0246】
さらに、ロボFは、当日配布用資料としての患者一覧ファイルから項目「患者ID」を削除して、項目「患者ID」が削除された患者一覧ファイルを、エキスパートパネルの各参加者へ事前にメールで配布する症例検討患者一覧ファイル(メール配布用資料)として所定のフォルダに保存する(ステップF9:患者一覧ファイル(メール配布用資料)を保存)。患者一覧ファイルを保存すると、ロボEによる患者一覧作成処理は終了となる。
【0247】
上記の患者一覧作成処理により作成された症例検討患者一覧ファイル(当日配布用資料)の項目の一部を
図37に示す。なお、
図37には、3件の症例(患者)のデータが例示されている。
【0248】
図37には、症例検討患者一覧ファイル(当日配布用資料)の項目の一部として、項目「患者ID」、項目「年齢」、項目「性別」、項目「担当医(主科)」、項目「診断名」、項目「検査の種類」、項目「検体」、項目「検体採取日」、項目「腫瘍細胞率」、項目「変異・アレル頻度」、項目「VUS」が例示されている。ロボFにより実行される患者一覧作成処理では、患者対応表から抽出されたデータが症例検討患者一覧ファイルに転記されるが、エキスパートパネルの出席者が見やすくなるように、項目名の変更や整形、慣用的に用いられている医療用語や日本語への変換等を行ってもよい。
【0249】
項目「患者ID」には、患者対応表の項目「研究ID」から取得した研究IDが転記される。
【0250】
項目「年齢」には、患者対応表の項目「Age」から取得した年齢が転記される。
【0251】
項目「性別」には、患者対応表の項目「性別」から取得した年齢が転記される。
【0252】
項目「担当医(主科)」には、患者対応表の項目「主治医」および項目「主科」が組み合わせされて記入される。
【0253】
項目「診断名」には、患者対応表の項目「原発巣」から取得したデータが転記される。
【0254】
項目「検査の種類」には、患者対応表の項目「検査種類」のデータが転記される。
【0255】
項目「検体」には、患者対応表の項目「検体採取部位」のデータが転記される。
【0256】
項目「検体採取日」には、患者対応表の項目「検体採取日」のデータが転記される。
【0257】
項目「腫瘍細胞率」には、患者対応表の項目「腫瘍細胞率(%)」のデータが転記される。
【0258】
項目「変異・アレル頻度」には、患者対応表の項目「解析結果」のデータが転記される。
【0259】
項目「VUS」には、患者対応表の項目「VUS」のデータが転記される。
【0260】
<ロボFの機能>
図38を参照しながら、ロボFにより実現される機能について説明する。
図38は、本発明の実施形態において、ロボFにより実現される機能を示すブロック図である。ロボFの機能は、プロセッサ101がRPAツール150および患者一覧作成処理用プログラム156を実行することで実現される。
図38に模式的に示すように、ロボFは、患者一覧ファイル作成部1561、患者対応表処理部1562により構成される。
【0261】
患者一覧ファイル作成部1561は、患者一覧ファイルの作成処理を行う機能を有する。患者一覧ファイル作成部1561は、例えば、ダイアログボックスの表示、エキスパートパネル開催日の取得、患者一覧ファイルへのデータ転記、エキスパートパネル出席者へ配布する症例検討感合一覧ファイルの作成等の機能を有する。
【0262】
患者対応表処理部1562は、患者対応表のデータ読み取り処理を行う機能を有する。
【0263】
以上説明したように、ロボFの処理および機能によれば、エキスパートパネル資料作成に伴う作業を自動化して、作業の効率化、コストの削減や作業時間の短縮を実現し、人為的ミスの発生を防止できるようになる。
【0264】
<ロボG:変異データマージ処理>
以下、ロボGにより実行される変異データマージ処理について説明する。
【0265】
<ロボGの処理の概要>
図39を参照しながら、ロボGの処理の概要について説明する。ロボGは、NAS20に保存されている患者対応表から、特定の開催日のエキスパートパネルにおいて検討される複数の症例(患者)の変異データファイルをマージ(統合)して、マージされた変異データマージファイルを作成する処理を実行する。なお、マージ処理により作成された変異データマージファイルは、各患者の遺伝子変異データに関する詳細が記載されたものであり、エキスパートパネルの資料として使用される。
【0266】
<ロボGの処理>
図40のフローチャートを参照しながら、ロボGにより実行される変異データマージ処理の一例について説明する。なお、ロボGにより実行される変異データマージ処理は、
図40のフローチャートに示す処理に限定されるものでない。また、ここでは詳細な説明は行わないが、ロボGは、起動時または処理実行時に設定ファイルを参照し、事前に設定されたパラメータに基づいて適切な処理を行うように構成されている。
【0267】
がんゲノム医療業務実行端末10において変異データマージ処理の実行が開始されると、ロボGは、複数の変異データファイルが保存されているフォルダを指定するためのダイアログボックスを表示する(ステップG1:複数の変異データファイルが保存されているフォルダを指定するためのダイアログボックスを表示)。
【0268】
なお、エキスパートパネルでは、1回の開催で複数の患者のそれぞれに関連して、遺伝子変異データを詳細に記載した変異データファイルが存在している。変異データファイルは、検査機関から提供されたゲノム検査結果の詳細な情報を含むものであり、例えば、ゲノム検査結果のXMLファイルを変換することで得られる表形式のファイルであってもよい。変異データマージ処理の実行前に、同一のエキスパートパネルにて検討される各患者の変異データファイルを、同一フォルダ内に格納しておくことが好ましい。
【0269】
ユーザが、複数の変異データが格納されているフォルダを指定すると、ロボGは、指定されたフォルダ内のすべての変異データファイルを取得する(ステップG2:指定されたフォルダ内のすべての変異データファイルを取得)。ロボGは、取得したすべての変異データファイルをマージして1つの変異データマージファイルを作成し(ステップG3:すべての変異データファイルをマージして、変異データマージファイルを作成)、変異データマージファイルをエキスパートパネルで使用する資料として所定のフォルダ(例えば、マージ前の複数の変異データファイルが格納されているフォルダ)に保存する(ステップG4:変異データマージファイルを保存)。変異データマージファイルを保存すると、ロボGによる変異データマージ処理は終了となる。
【0270】
<ロボGの機能>
図41を参照しながら、ロボGにより実現される機能について説明する。
図41は、本発明の実施形態において、ロボGにより実現される機能を示すブロック図である。ロボCの機能は、プロセッサ101がRPAツール150および変異データマージ処理用プログラム157を実行することで実現される。
図41に模式的に示すように、ロボGは、遺伝子変異データ取得部1571、変異データマージファイル作成部1572により構成される。
【0271】
遺伝子変異データ処理部1571は、遺伝子変異データに関する処理を行う機能を有する。遺伝子変異データ処理部1571は、例えば、ダイアログボックスの表示、指定されたフォルダ内の変異データファイルの取得等の機能を有する。
【0272】
変異データマージファイル作成部1572は、変異データマージファイルの作成処理を行う機能を有する。変異データマージファイル作成部1572は、複数の変異データファイルのマージ(統合)、変異データマージファイルの保存等の機能を有する。
【0273】
以上説明したように、ロボGの処理および機能によれば、エキスパートパネル資料作成に伴う作業を自動化して、作業の効率化、コストの削減や作業時間の短縮を実現し、人為的ミスの発生を防止できるようになる。
【0274】
<ウェブアプリI:エキスパートパネル出席者管理・集計処理>
以下、
図2および
図3を適宜参照しながら、ウェブアプリIにより実行されるエキスパートパネル出席者管理・集計処理について説明する。
【0275】
<ウェブアプリIの処理の概要>
ウェブアプリIの処理の概要について説明する。上述したように、ウェブアプリIは、エキスパートパネルにおける各出席者の出席情報を管理して、出席者を集計する処理を実行する。ウェブアプリIにより処理は、エキスパートパネルの開催前に行われるエキスパートパネル開催事前処理、エキスパートパネルの開催時または開催直後に行われるエキスパートパネル出席登録処理、エキスパートパネルの開催後に行われるエキスパートパネル出席者集計処理に大別することができる。
【0276】
<エキスパートパネル開催事前処理>
エキスパートパネルを開催する際、エキスパートパネル開催の設定を行う担当者は、ウェブアプリIを使用して、エキスパートパネルへの出席予定者の登録を行う。担当者は、通信端末(例えば、がんゲノム医療業務実行端末10)に実装されているウェブブラウザを用いて、エキスパートパネル出席者管理装置50にアクセスすると、通信端末のウェブブラウザ上に、ウェブアプリIから提供される画面が表示される。担当者は、エキスパートパネルの設定を行う権限を持つユーザとして、ウェブアプリIにログインする。
【0277】
ウェブアプリIは、例えば、エキスパートパネルに出席可能な人物(メンバー)を登録するためのメンバー登録画面を提供し、担当者によって登録された人物の情報(メンバー情報)を管理する機能を有している。一例として、メンバー登録画面において、名前、所属、職種、メールアドレス等の情報を入力できるようになっている。ウェブアプリIは、メンバー情報を所定の格納場所に格納する。
【0278】
担当者によって登録されたメンバー情報の一例を
図42に示す。メンバー情報は、各メンバーに対応したエントリ(行)に対して複数の項目(列)が設定された表形式のデータである。
図42には、メンバー情報の項目の一部として、項目「名前」、項目「所属」、項目「職種」、項目「メールアドレス」が例示されている。
【0279】
項目「名前」は、メンバーの名前を格納する領域である。項目「所属」は、メンバーの所属先や勤務先を格納する領域である。
【0280】
項目「職種」は、メンバーの業務内容を表す職務名を格納する領域である。項目「職種」に格納される職務名は、技術や専門的知識を表すものであってもよい。また、担当医、病理医、分子生物学者、臨床遺伝医、バイオインフォマティシャン、遺伝カウンセラー等のように、エキスパートパネルへの参加が求められている構成員としての資格を表すものであってもよい。
【0281】
項目「メールアドレス」は、登録されたメンバーと連絡可能なメールアドレスを格納する領域である。
【0282】
ウェブアプリIは、上記のメンバー情報を編集するためのメンバー編集画面を提供できるようになっている。メンバー編集画面では、メンバー情報の追加、変更、削除が可能である。さらに、ウェブアプリIは、エキスパートパネルの開催通知メールを、指定されたメンバーのメールアドレス宛てに送信する機能を備えていてもよい。
【0283】
ウェブアプリIは、エキスパートパネルの開催に関する情報を設定するための開催設定画面を提供できるようになっている。開催設定画面では、エキスパートパネルの開催日、このエキスパートパネルへの出席予定者(例えば、登録されているメンバーから選別)の入力が可能である。ウェブアプリIは、特定の開催日のエキスパートパネルの出席予定者の一覧をエキスパートパネル開催情報として所定の格納場所に格納する。
【0284】
<エキスパートパネル出席登録処理>
ウェブアプリIは、エキスパートパネル開催情報に基づき、エキスパートパネルの出席者が出席情報を入力するための出席情報入力画面を提供できるようになっている。
【0285】
エキスパートパネルの出席者は、各出席者の出席者端末60に実装されているウェブブラウザを用いて、エキスパートパネル出席者管理装置50にアクセスし、ウェブアプリIから提供される出席情報入力画面を閲覧する。このとき、ウェブアプリIは、出席者端末60に対して、ログインIDおよびパスワード等の入力を要求してもよい。
【0286】
出席情報入力画面の一例を
図43に示す。出席情報入力画面には、出席予定者の名前、所属、職種の一覧が表示される。さらに、出席情報の入力要素の一例として、
図43に示す出席情報入力画面には、各出席予定者に対応して出席情報の入力を受け付けるためのスライドバーが設けられている。
【0287】
エキスパートパネルの出席者は、出席情報入力画面において、自分の名前に対応するスライドバーをスライドさせることで、簡単に出席情報を登録することができるようになっている。ウェブアプリIは、出席情報入力画面から入力された出席情報を所定の格納場所に格納する。
<エキスパートパネル出席者集計処理>
【0288】
ウェブアプリIは、すべてのメンバーの出席情報を管理できるようになっている。出席情報の一例を
図44に示す。出席情報は、例えば、各メンバーに対応したエントリ(行)に対して複数の項目「エキスパートパネル開催日」(列)が設定された表形式のデータとして表すことができる。
【0289】
複数の項目「エキスパートパネル開催日」は、各エキスパートパネル開催日における各メンバーの出席/欠席を示す情報を格納する領域である。例えば、出席の場合には「○」が入力され、欠席の場合には空白となる。
【0290】
ウェブアプリIは、
図44に示す形式で、出席情報を出力できるようになっている。
図44に示す出席情報によれば、各エキスパートパネル開催日における各メンバーの出席/欠席を容易に把握することができる。ウェブアプリIは、特定の開催日(複数選択可)や特定のメンバー(複数選択可)によりフィルタリングを行い、特定の開催日や特定のメンバーの出席情報を選択的に出力してもよい。
【0291】
エキスパートパネルでは、参加が求められている構成員の要件が重要であり、特に、エキスパートパネルの構成員としての資格を有する出席者の人数を集計する必要がある。これに対応して、ウェブアプリIは、エキスパートパネルの構成員としての資格別に、出席情報を集計できるようになっている。
【0292】
出席情報の集計結果の一例を
図45に示す。
図45に示す集計結果は、エキスパートパネルの構成員としての資格別に出席情報を集計したものである。
図45に示す集計結果は、各職種をエントリ(行)に設定され、複数の項目(列)に「エキスパートパネル開催日」が設定された表形式のデータとして表すことができる。
【0293】
複数の項目「エキスパートパネル開催日」は、各エキスパートパネル開催日における各職種の出席者名および出席人数を記載する領域である。
図45に集計結果によれば、例えば、第1回エキスパートパネルにおいて、職種「医師(病理医)」の出席者の名前「BBB」であり、出席人数は1名であることを容易に把握することができる。
【0294】
以上説明したように、エキスパートパネルにおける各出席者の出席情報の管理および集計をウェブアプリIに実行させることで、エキスパートパネルの出席者が、インターネット80を通じて各自の出席情報を登録できるようになり、登録された出席情報を利用して出席者の集計を行うことができるようになる。特に、ウェブアプリIによれば、エキスパートパネルの構成員としての資格別に、エキスパートパネルの出席者の集計を行うことができるようになる。
【0295】
本発明は、がんゲノム医療における業務を支援して、作業の効率化、コストの削減および作業時間の短縮を実現することが可能であり、がんゲノム医療分野に係る技術として有用である。
【0296】
なお、実際に人手作業によって、検査結果のダウンロード、ゲノム検査結果からの変異データの抽出、エキスパートパネル資料の作成を含む一連の作業を行った場合には、症例1件当たり22分の作業時間を要していた。一方、本発明に係る技術を導入して、これらの作業を自動化したところ、症例1件当たり1.3分の作業時間となり、約95%の作業時間の短縮が実現された。
【0297】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例および設計変更等をその技術的範囲に包含するものである。
【符号の説明】
【0298】
10 がんゲノム医療業務実行端末
15 がんゲノム医療業務支援装置
20 NAS
30 検査機関ポータルサイト
31 マウス
32 キーボード
33 モニタ
40 C-CATファイル交換フォルダ
50 エキスパートパネル出席者管理装置
55 ウェブアプリ
60 出席者端末
70 LAN
80 インターネット
101 プロセッサ
102 メモリ
103 通信I/F
104 入出力I/F
105 ストレージ
110 バス
150 RPAツール
151 ゲノム検査結果取得処理用プログラム
152 C-CAT調査依頼処理用プログラム
153 患者対応表転記処理用プログラム
154 C-CAT調査結果取得処理用プログラム
155 管理簿転記処理用プログラム
156 患者一覧作成処理用プログラム
157 変異データマージ処理用プログラム
161 ロボ進捗管理表
162 C-CAT管理表
1511 ゲノム検査結果完了通知メール処理部
1512、1521、1531 ゲノム検査結果処理部
1513、1522、1532、1543、1552 ロボ進捗管理表処理部
1514、1533、1544、1562 患者対応表処理部
1541 C-CAT調査結果完了通知メール処理部
1542 C-CAT調査結果処理部
1551 管理簿処理部
1553 C-CAT管理表処理部
1561 患者一覧ファイル作成部
1571 遺伝子変異データ処理部
1572 変異データマージファイル作成部