(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101087
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】側部足場を有する吊り足場およびこれに用いる取付金具
(51)【国際特許分類】
E04G 3/24 20060101AFI20220629BHJP
E04G 5/08 20060101ALI20220629BHJP
E01D 22/00 20060101ALI20220629BHJP
E01D 24/00 20060101ALI20220629BHJP
E01D 21/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
E04G3/24 302H
E04G5/08 B
E01D22/00 A
E01D24/00
E01D21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215473
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】520358645
【氏名又は名称】株式会社SysaPlanning
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】特許業務法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 澄雄
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA07
2D059DD13
2D059EE10
2D059GG39
(57)【要約】
【課題】軽量で、簡単に取り付けることができ、しかも十分な採光が可能な側部足場を有する吊り足場およびこれに使用する取付金具を提供する。
【解決手段】側部足場を有する吊り足場は、上方から吊り下げられた吊り足場本体と、この吊り足場本体の側部に立設された側部足場と、吊り足場本体と側部足場とを連結する取付金具と、を備える。側部足場は、吊り足場本体の側部に所定の間隔で立設された複数の支柱と、隣接する支柱間に架け渡された手摺と、を備える。取付金具は、吊り足場本体上に配置された基台と、この基台上に設けられ支柱の下端を保持した支柱保持部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から吊り下げられ床を構成する吊り足場本体と、
この吊り足場本体の側部に立設された側部足場と、
前記吊り足場本体と前記側部足場とを連結する第1の取付金具と、を備え、
前記側部足場は、
前記吊り足場本体の側部に所定の間隔で立設された複数の支柱と、
隣接する前記支柱間に架け渡された手摺と、を備え、
前記第1の取付金具は、
吊り足場本体上に配置された基台と、
この基台上に設けられ、前記支柱の下端を保持する支柱保持部と、を備えたことを特徴とする、側部足場を有する吊り足場。
【請求項2】
前記足場本体は、板状に連結された複数の足場板からなり、前記足場本体を吊り下げる吊り具を取付けるための吊り金具が、前記足場板の表面に形成された穴から出没自在に取り付けられている請求項1に記載の吊り足場。
【請求項3】
吊り足場本体の側部には、この側部に沿って延びる管状部材が配置されており、前記第1の取付金具は前記管状部材を固定するクランプを有する請求項1または2に記載の吊り足場。
【請求項4】
前記第1の取付金具は、前記基台上に、前記支柱保持部と、前記クランプと、前記基台の一端部を前記足場本体に固定する固定部とが設けられ、前記基台の他端に、前記吊り金具が前記吊り足場本体の前記穴から突出した前記吊り金具が係合する凹部を有する請求項3に記載の吊り足場。
【請求項5】
吊り足場本体上に配置された基台上に、支柱保持部と前記クランプとが設けられ、前記基台を前記足場本体に固定する固定部を有しない前記第2の取付金具をさらに備えた、請求項3に記載の吊り足場。
【請求項6】
前記支柱保持部および前記クランプを有する複数の前記第1および第2の取付金具が、前記吊り足場本体の側部に沿って所定の間隔で前記吊り足場本体に取り付けられている請求項4に記載の吊り足場。
【請求項7】
前記吊り足場本体上に配置された基台上に、前記管状部材を固定する前記クランプと、前記基台を前記足場本体に固定する前記固定部とを設けた第3の取付金具をさらに備えた請求項3に記載の吊り足場。
【請求項8】
上方から吊り下げられた吊り足場本体の側部に支柱を立設するための第1の取付金具であって、
前記吊り足場本体上に配置された基台と、
この基台上に設けられ、前記支柱の下端が取付けられる支柱保持部と、
前記基台上に設けられ、前記吊り足場本体の側部に沿って延びる管状部材を固定するクランプと、
前記基台上に設けられ、前記基台の一端部を前記足場本体に固定する固定部と、を備え、
前記基台の他端に、前記吊り足場本体から突出した吊り金具が係合する凹部を有することを特徴とする第1の取付金具。
【請求項9】
上方から吊り下げられた吊り足場本体の側部に支柱を立設するための第2の取付金具であって、
前記吊り足場本体上に配置された基台と、
この基台上に設けられ、前記支柱の下端が取付けられる支柱保持部と、
前記基台上に設けられ、前記吊り足場本体の側部に沿って延びる管状部材を固定するクランプと、を備えたことを特徴とする第2の取付金具。
【請求項10】
上方から吊り下げられた吊り足場本体を保持するための第3の取付金具であって、
前記吊り足場本体上に配置された基台と、
この基台上に設けられ、前記吊り足場本体の側部に沿って延びる前記管状部材を固定するクランプと、
前記基台上に設けられ、前記基台を前記足場本体に固定する固定部と、を備えたことを特徴とする第3の取付金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高架高速道路、橋梁等の建設工事や補修工事等に使用される、側部足場を有する吊り足場およびこれに用いる取付金具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高架高速道路、橋梁等の下部の建設工事や補修工事等では、吊り足場を設けている。すなわち、吊り足場は、橋桁に複数のチェーンを固定し、これらのチェーンの下端に足場板を接続し、複数の上記足場板を水平方向に順次連結して形成されるものがある(特許文献1を参照)。
【0003】
また、安全のために、床となる吊り足場の側部に壁となる足場を立てていた。側部に使用する足場には、通常、床を構成する吊り足場と同様の部材が使用されていた。すなわち、足場板を垂直方向に接続して、側部にも足場を形成していた。しかし、足場板は、アルミニウム製であるが、重いため、取り付け作業が困難であり、かつ作業が複雑で専門知識を要するという問題がある。また,足場板は光を遮るため、作業現場が暗く、作業性が悪くなるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、軽量で、簡単に取り付けることができ、しかも十分な採光が可能な側部足場を有する吊り足場およびこれに使用する取付金具を提供することである
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の側部足場を有する吊り足場は、上方から吊り下げられた吊り足場本体と、この吊り足場本体の側部に立設された側部足場と、吊り足場本体と側部足場とを連結する第1の取付金具と、を備える。側部足場は、吊り足場本体の側部に所定の間隔で立設された複数の支柱と、隣接する支柱間に架け渡された手摺と、を備える。第1の取付金具は、吊り足場本体上に配置された基台と、この基台上に設けられ支柱の下端を保持した支柱保持部と、を備える。
【0007】
本発明の第1の取付金具は、上方から吊り下げられた吊り足場本体の側部に支柱を立設するために使用されるものであって、吊り足場本体上に配置された基台と、この基台上に設けられ支柱の下端が取付けられる支柱保持部と、基台上に設けられ吊り足場本体の側部に沿って延びる管状部材を固定するクランプと、基台上に設けられ基台の一端部を足場本体に固定する固定部と、を備え、基台の他端に、吊り足場本体から突出した吊り金具が係合する凹部を有する。
本発明の第2の取付金具は、上方から吊り下げられた吊り足場本体の側部に支柱を立設するために使用されるものであって、吊り足場本体上に配置された基台と、この基台上に設けられ支柱の下端が取付けられる支柱保持部と、基台上に設けられ吊り足場本体の側部に沿って延びる管状部材を固定するクランプと、を備える。
本発明の第3の取付金具は、上方から吊り下げられた吊り足場本体を保持するために使用されるものであって、吊り足場本体上に配置された基台と、この基台上に設けられ吊り足場本体の側部に沿って延びる管状部材を固定するクランプと、基台上に設けられ基台を前記足場本体に固定する固定部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の側部足場を有する吊り足場は、上方から吊り下げられた吊り足場本体の側部に立設された側部足場が、所定の間隔で立設された複数の支柱と、隣接する支柱間に架け渡された手摺とから構成されているので、軽量で、しかも十分な採光が可能である。
また、本発明の取付金具は、吊り足場本体上に取り付けられた基台と、この基台上に設けられ支柱の下端が取付けられる支柱保持部と、を備えるので、簡単に側部足場を構築することができ、専門的な技能を必要としないので、吊り足場を組み立てる作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吊り足場を高速道路下に施工した状態を示す概略説明図である。
【
図2】本発明の一実施形態における側部足場の取付状態を示す斜視図である。
【
図4A】側部足場を取り付けるための第1の取付金具の使用状態の一例を示す平面図である。
【
図4B】第1の取付金具の使用状態を示す側面図である。
【
図4C】第1の取付金具の使用状態を示す正面図である。
【
図5】第1の取付金具の使用状態を示す概略斜視図である。
【
図6】(a)および(b)はそれぞれ支柱を取り付けるためのジョイントの一例を示す正面図および側面図である。
【
図7】(a)は足場板に内蔵される吊り金具を保持したブロックの一例を示す平面図であり、(b)は、そのA-A´線断面図である。
【
図8】(a)および(b)はそれぞれ第2の取付金具の一例を示す平面図および側面図である。
【
図9】(a)および(b)はそれぞれ第3の取付金具の一例を示す平面図および側面図である。
【
図10A】第4の取付金具の使用状態の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る固定具について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る吊り足場1を高速道路の高架橋100下に施工した状態を示している。吊り足場1は、床面を構成する吊り足場本体11が高架橋100下に取り付けられているI形鋼からなる桁101からチェーン2で吊り下げられている。また、吊り足場本体11は、同図に示すように、高架橋100下からも直接吊り下げられている。
【0011】
吊り足場1の側部には、側部足場3が立設されている。側部足場3は、吊り足場1上で作業する作業員Mの安全を確保すると共に、作業足場4を取り付けることによって、作業員Mがこの作業足場4に上がって高架橋100の側面の補修工事等を行うことが可能となる。側部足場3は、吊り足場1の床面から斜めに架け渡した支え棒5で補強されている。
【0012】
本実施形態の吊り足場1を
図2により詳細に示す。同図に示すように、吊り足場本体11の床面は、複数の足場板6を連結して形成されている。足場板6は、例えば、アルミニウム製の押出形材からなる中空形材が使用可能である。足場板6同士の連結は、例えば、特許第6685630号公報(特許文献1)に記載の方法に従って行うことができる。
具体的には、隣接する足場板6同士を連結するために、矩形形状の足場板6の長辺側には長辺固定操作穴60が、短辺側には短辺固定操作穴61がそれぞれ形成されている。短辺固定操作穴61より内側には、隣接する足場板6との連結を行う嵌合体(図示せず)を進退操作するための進退操作穴62が形成されており、短辺固定操作穴61で、挿入された嵌合体に対する固定具(図示せず)の係合または除去を行う。また、足場板6を吊り下げるときや、足場板6を運搬するときに金具を出没操作するための金具操作穴63が設けられている。
【0013】
吊り足場本体11の側部には、側部足場3が立設されている。側部足場3は、例えば
図3に示すように、吊り足場本体11の側部に所定の間隔で立設された複数の支柱7と、隣接する支柱7、7間に架け渡される手摺8と、隣接する支柱7、7間に架け渡される筋交9とを備える。
ここで、支柱7、7の間隔は、600mm~1800mmの範囲であり、通常、600mm+(300mm×n)(但し、nは1~4の整数である)で表される間隔を有する。
図3に示す側部足場3は、いわゆるくさび緊結式足場と呼ばれるものであり、支柱7は一定間隔に緊結部10を備えた鋼管からなり、手摺8や筋交9、さらには
図1に示すような作業足場4等を支柱7の緊結部10にくさびで緊結している。
側部足場3としては、その他に枠組足場や単管足場と呼ばれるものであってもよい。枠組足場とは、鋼管を門型に溶接された建枠を中心に、筋交等を組み立てるものをいい。単管足場とは、鋼管で作られた単管パイプの支柱に、クランプを用いて手摺8や筋交9等を組み立てるものをいう。
【0014】
図2に戻って、吊り足場本体11の側部に側部足場3を取り付けるために、第1の取付金具121が使用される。第1の取付金具121は、吊り足場本体11上に取り付けられた基台13と、この基台13上に設けられ支柱7の下端を保持した支柱保持部14とを備える。
【0015】
また、第1の取付金具121と共に、第2の取付金具122および第3の取付金具123が、吊り足場本体11の側部に沿って配置されている。側部足場3の内側には、これらの取付金具121~123を貫通するように、吊り足場本体11の側部に沿って単管16(支持桿)が配置されている。単管16は、足場板6相互の連結を確実なものにすると共に、吊り足場本体11を構成する複数の足場板6の全てに荷重を伝え、局部的に荷重が集中するのを回避するために配置される。さらに、単管16は、後述する第3の取付金具123を所定の位置、すなわち支柱7を立てる位置に第3の取付金具123を移動させるときの案内の役割も果たしている。
さらに、側部足場3を支えるために、吊り足場本体11から斜めに延びる支え棒5(単管)の先端が支柱7に取り付けられている。支え棒5の下端は、第4の取付金具124によって吊り足場本体11に固定・支持されている。
【0016】
第1の取付金具121は、
図4A~
図4Cおよび
図5に示されている。
図4A、
図4Bおよび
図5図に示すように、第1の取付金具121の基台13の上面には、吊り足場本体11の側部から順に固定部17、ストッパ18、支柱保持部14および単管クランプ19(支持桿固定部)が設けられる。
【0017】
固定部17は、第1の取付金具121を足場板6に固定するものであり、断面コ字形の枠材17aと、この枠材17aのねじ穴17bに螺合するねじ17cとを備える。枠材17aは、下端面が基台13に溶接等で接合され、隣接するストッパ18とも溶接等で接合されている。
図4Bおよび
図4Cに示すように、ねじ17cは、基台13および足場板6にそれぞれ形成した貫通孔を挿通して、中空形材である足場板6内にあるナット20に螺合するよう構成されている。従って、ねじ17cを上方に引き上げるように回動させると、ナット20が足場板6の内壁に強く圧接して、第1の取付金具121を足場板6に固定することができる。
【0018】
ストッパ18は、支柱保持部14に接続された支柱7を支持するためのものである。
支柱保持部14は、所定の間隔をあけて相対向する2つの立ち上がり片14aからなり、これらの立ち上がり片14aは、それぞれねじまたはピン(図示せず)を水平方向に挿通させるための貫通孔14bを有する。支柱保持部14は、例えば、溶接、ボルト止め等によって基台13に取り付けられる。
【0019】
図5に示すように、支柱保持部14には、ジョイント23が接続され、このジョイント23を介して支柱7が接続・支持される。すなわち、ジョイント23は、下端に板状の取付部231を有しており、この取付部231が支柱保持部14の2つの立ち上がり片14a、14a間に挿入され、取付部231に形成された貫通孔231a(
図6を参照)をそれらの貫通孔14b、14bと一致させた状態で、それらの貫通孔231a、14b、14bに、図示しないピン、ボルト等を挿入して接続される。その際、ストッパ18は、ジョイント23が倒れるのを阻止している。
【0020】
ジョイント23は、
図6(a)、(b)に示すように、筒状本体232と、筒状本体232内に一部が嵌入された筒状の支柱外挿部233と、筒状本体232から突出した上記取付部231を有し支柱外挿部233内に保持される板状体234と、を備える。筒状本体232には、
図6(b)に示すように、径方向に貫通する2つの貫通孔232a、232bが形成されている。貫通孔232aから軸方向に沿った支柱外挿部233にも貫通孔233aが形成されている。
【0021】
2つの貫通孔232a、232bには、略J字形のピン235の長軸部分が挿通される。その際、ピン234は板状体234の貫通孔も挿通する。また、ピン235の短軸部分が支柱外挿部233の貫通孔233aに挿入可能に構成されている。
筒状本体232内のピン235には、コイルばね236が外挿されており、ピン235を一方の貫通孔232b側に付勢している。この状態では、
図6(b)に示すように、ピン235の長軸部分の先端部235aが筒状本体232から突出し、短軸部分の先端部235bが支柱外挿部233の貫通孔233a内に挿入されている。
【0022】
ジョイント23に支柱7を接続する場合には、コイルばね236の付勢力に抗してピン235の長軸部分の先端部235aを指等で押し込んで、ピン235を押し上げ、短軸部分の先端部235bを支柱外挿部233の貫通孔233aから離脱させる。この状態で、支柱7を支柱外挿部233の外周面に外挿させる。このとき、支柱7に形成されている図示しない貫通孔を支柱外挿部233の貫通孔233aと一致させ、ついで指等を離して、ピン235を元の位置に復帰させることにより、支柱7を支柱外挿部233に接続・固定することができる。
支柱7を取り外す場合は、再びピン235の長軸部分の先端部235aを指等で押し込んで、ピン235を押し上げ、支柱7を支柱外挿部233の外周面から抜き去ればよい。
【0023】
図5に戻って、単管クランプ19は、単管16を固定・支持するものであり、単管16を2つの挟持片で挟持した状態で、ボルト191およびナット192により締め付けるようにしたものである。単管クランプ19は、基台13にボルト21で取り付けられる。
【0024】
基台13の先端、すなわち固定部17とは反対側の先端には、溝部22が形成されており、この溝部22に吊り金具15が係合するように構成されている。吊り金具15は、長円形状等のリングで形成され、
図2に示すように、吊り足場本体11を吊り下げるためのチェーン2の下端を取り付けるものである。吊り金具15が溝部22に係合するので、第1の取付金具121を単管16と直交する位置に確実に固定することができる。特に、固定部17において、枠材17aのねじ穴17bにねじ17cを螺合させ強く締め付けると、1つの第1の取付金具121がずれて単管16と直交しなくなると、単管16を挿通させることができなくなるので、吊り足場の取り付け作業がスムーズに行えず、作業に支障をきたすようになる。
これに対して、吊り金具15を溝部22に係合させておくと、枠材17aのねじ穴17bにねじ17cを螺合させ強く締め付けても、第1の取付金具121を確実に単管16に直交させることができ、作業効率が向上する。
【0025】
吊り金具15は、
図7(a)、(b)に示すように、足場板6に内蔵されるブロック24内に出没自在に保持されている。具体的には、ブロック24は、互いの間に隙間が形成されて固定された2 つの型材241、242と、これらの2つの型材241、242の隙間、すなわち金具操作穴244を横切るように型材241、242の内部に配置された回転支持軸243とを備える。ブロック24は、足場板6内に内蔵され、図示しないリベットやボルトナット等で固定される。
また、金具操作穴244の一部には、工具を挿入して吊り金具15を引き出すための切り欠き245が形成されている。
【0026】
第1の取付金具121は、吊り足場本体11の側部に沿って所定の間隔で吊り足場本体11に複数取り付けられている(
図2参照)。また、複数の第1の取付金具121と共に、第2の取付金具122および第3の取付金具123が吊り足場本体11の側部に沿って吊り足場本体11に取り付けられている。さらに、第1の取付金具121の変形例である第1の取付金具121´も取り付けられている。
図2に示す第1の取付金具121´は、支柱支持部14を有しない他は、第1の取付金具121と同じである。
【0027】
図8(a)および(b)はそれぞれ第2の取付金具122の一例を示す平面図および側面図である。この第2の取付金具122は、第1の取付金具121における支柱7を支持する機能および吊り金具15を先端の溝22に係合させて保持する機能を有さない他は、第1の取付金具121と同じ機能を有する。すなわち、第2の取付金具122は、基台131上に、第1の取付金具121と同じ固定部17と、単管16を保持する単管クリップ19とを有する。その他は、第1の取付金具121と同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0028】
図9(a)および(b)はそれぞれ第3の取付金具123の一例を示す平面図および側面図である。この第3の取付金具123は、第1の取付金具121における基台固定機能(すなわち、枠材17aと、この枠材17aのねじ穴17bに螺合するねじ17cとを備えた固定部17)および吊り金具15を先端の溝22に係合させて取付金具を固定・保持する機能を有さない他は、第1の取付金具121と同じ機能を有する。すなわち、第1の取付金具121と同様に、基台132上に、側部から順にストッパ18と、第1の取付金具121における支柱支持部14と、単管16を保持する単管クリップ19とを有する。
【0029】
第3の取付金具123は、単管クランプ19によって単管16に取り付けられる。第3の取付金具123は、支柱保持部14を有することにより、支柱7をどの位置にも立てられる。従って、前記した支柱7の間隔に応じて支柱7を立てることができる。その他は、第1の取付金具121と同じであるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
図10A、
図10Bおよび
図10Cは、それぞれ第4の取付金具124の一例を示す平面図、側面図および正面図である。第4の取付金具124は、前記したように、支柱7を支えるための単管等からなる支え棒5を足場板6に固定するためのものである。足場板6上の基台133には、板部25が立設され、この板部25にクランプ26がボルト止めにて取り付けられている。板部25は固定部27に取り付けられている。固定部27は断面コ字形の台に設けた貫通孔を挿通したボルト271を、足場板6に内蔵されたナット272と螺合させて固定されている。
クランプ26はその取付部273の周りに回動可能であるので、支え棒5の傾斜角度は自在に調整可能である。クランプ26は、前記した単管クランプ19と同様のものを使用できる。
【0031】
このように、第1の取付金具121、121´、第2の取付金具122、第3の取付金具123および第4の取付金具124を準備することにより、側部足場3の取付位置等に応じて任意の取付金具を選定し、簡単に側部足場3を構築することができ、専門的な技能を必要としないので、吊り足場1を組み立てる作業性が向上する。
【0032】
以上、本発明の実施形態に係る吊り足場について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の改良や改善が可能である。例えば、第1の取付金具121、121´、第2の取付金具122および第3の取付金具123は、それらを全て使用する必要はなく、必要に応じて、第1の取付金具121、121´のみといったように、いずれか1種のみまたは2種のみを使用してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 吊り足場
2 チェーン(吊り具)
3 側部足場
4 作業足場
5 支え棒
6 足場板
7 支柱
8 手摺
9 筋交
10 緊結部
11 吊り足場本体
13、131、132、133 基台
14 支柱保持部
15 吊り金具
16 単管(管状部材)
17 固定部
17a 枠材
17b ねじ穴
17c ねじ
18 ストッパ
19 単管クランプ
20 ナット
21 ボルト
22 溝部
23 ジョイント
24 ブロック
121 第1の取付金具
122 第2の取付金具
123 第3の取付金具
124 第4の取付金具