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  • -噴霧システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101099
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】噴霧システム
(51)【国際特許分類】
   B05B 17/04 20060101AFI20220629BHJP
   B05B 15/00 20180101ALI20220629BHJP
   A63B 7/02 20060101ALI20220629BHJP
   A63B 17/00 20060101ALI20220629BHJP
   A63B 21/078 20060101ALI20220629BHJP
   A63B 22/06 20060101ALI20220629BHJP
   B05B 1/20 20060101ALN20220629BHJP
【FI】
B05B17/04
B05B15/00
A63B7/02
A63B17/00 Z
A63B21/078
A63B22/06 G
A63B22/06 M
B05B1/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215486
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】390002118
【氏名又は名称】株式会社いけうち
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】特許業務法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 志郎
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 大樹
【テーマコード(参考)】
4D073
4D074
4F033
【Fターム(参考)】
4D073AA04
4D073AA05
4D073BB01
4D073BB03
4D073CA04
4D073CA06
4D073CA20
4D073CB02
4D073CB06
4D074AA02
4D074AA05
4D074BB03
4D074BB06
4D074CC02
4D074CC34
4D074CC42
4D074FF01
4D074FF08
4D074FF09
4D074FF14
4F033AA05
4F033AA09
4F033BA02
4F033BA03
4F033BA04
4F033DA03
4F033EA06
(57)【要約】
【課題】電力を用いなくても、ポンプを動かしてノズルから噴霧することができる噴霧システムを提供する。
【解決手段】吸込口6と吐出口7を有し、シリンダ4内にプランジャー3が配置されたプランジャーポンプ2と、吐出口7に連通して設けられた吐出配管8と、吐出配管8に設けられたノズル14と、プランジャー3に接続された操作部15(足踏み部、着座部、遊具、運動器具等)とを有する噴霧システム1。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と吐出口を有し、シリンダ内にプランジャーが配置されたプランジャーポンプと、
前記吐出口に連通して設けられた吐出配管と、
前記吐出配管に設けられたノズルと、
前記プランジャーに接続された足踏み部とを有することを特徴とする噴霧システム。
【請求項2】
吸込口と吐出口を有し、シリンダ内にプランジャーが配置されたプランジャーポンプと、
前記吐出口に連通して設けられた吐出配管と、
前記吐出配管に設けられたノズルと、
前記プランジャーに接続された着座部とを有することを特徴とする噴霧システム。
【請求項3】
吸込口と吐出口を有し、シリンダ内にプランジャーが配置されたプランジャーポンプと、
前記吐出口に連通して設けられた吐出配管と、
前記吐出配管に設けられたノズルと、
前記プランジャーに接続された遊具とを有することを特徴とする噴霧システム。
【請求項4】
吸込口と吐出口を有し、シリンダ内にプランジャーが配置されたプランジャーポンプと、
前記吐出口に連通して設けられた吐出配管と、
前記吐出配管に設けられたノズルと、
前記プランジャーに接続された運動器具とを有することを特徴とする噴霧システム。
【請求項5】
前記足踏み部は通路に設置されている請求項1に記載の噴霧システム。
【請求項6】
前記遊具は、シーソー、スプリング遊具、ブランコ、または滑り台である請求項3に記載の噴霧システム。
【請求項7】
前記運動器具は、ウェイトマシン、ランニングマシン、ステッパー、フィットネスバイク、トランポリン、鉄棒、うんてい、または踏切板である請求項4に記載の噴霧システム。
【請求項8】
前記吐出配管には、前記吐出口と前記ノズルとの間にアキュムレーターが設けられる請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧システム。
【請求項9】
前記吐出配管には、前記吐出口と前記ノズルの間に背圧弁が設けられる請求項1~8のいずれか一項に記載の噴霧システム。
【請求項10】
前記吐出配管には、前記吐出口と前記ノズルの間に、リリーフ弁が設けられた圧力逃がし流路が接続している請求項1~9のいずれか一項に記載の噴霧システム。
【請求項11】
前記ノズルは、前記足踏み部、前記着座部、前記遊具、または前記運動器具から、水平方向に1m以上離れて設置されている請求項1~10のいずれか一項に記載の噴霧システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人力で作動させることができる噴霧システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズルから水を噴霧して空間を冷却する方法が知られている。例えば、特許文献1には、屋外に設置された椅子やベンチなどの屋外休憩施設に、霧状に水噴霧を行うノズルが設けられた屋外休憩施設の冷却装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-170293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ノズルから噴霧をする場合、通常、噴霧する液体をポンプで送り出して、ノズルから液体を噴霧する。例えばノズルから水を噴霧して空間を冷却する場合は、噴霧により水を微粒化して速やかに蒸発させることが求められることから、ある程度高い圧力でポンプから水を送り出して、微粒化した状態でノズルから噴霧させる必要がある。この場合、ポンプを動かすのに相当な電力が使用され、空間を冷却することを目的としているにも関わらず、ポンプから熱が発生することとなる。ノズルとして二流体ノズルを使用する場合は、コンプレッサで空気を送り出す必要があり、この場合、コンプレッサを動かすのにも動力が使用され、コンプレッサからも熱が発生する。また電力は化石燃料を燃焼させたりすることにより作られるが、化石燃料の燃焼は地球温暖化の原因となり、持続可能な社会作りに貢献しているとは言い難い。
【0005】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電力を用いなくても、ポンプを動かしてノズルから噴霧することができる噴霧システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決することができた本発明の噴霧システムとは、吸込口と吐出口を有し、シリンダ内にプランジャーが配置されたプランジャーポンプと、吐出口に連通して設けられた吐出配管と、吐出配管に設けられたノズルと、プランジャーに接続された足踏み部とを有するところに特徴を有する。
【0007】
本発明の噴霧システムは、足踏み部に人が乗ったり降りたりすることで、人力でプランジャーポンプを動かすことができる。プランジャーポンプは比較的高圧で液体を吐出することができるため、プランジャーポンプの吐出側にノズルを設置することにより、ノズルから液体を微粒化して噴霧することができる。そのため、電力を用いなくても、プランジャーポンプを稼働させ、ノズルから好適に噴霧することができる。また、ノズルから水を噴霧することで、ノズル周辺の空間の快適性を向上させることができる。
【0008】
足踏み部は通路に設置することが好ましい。これにより、通路を通る人が足踏み部に乗ったり降りたりすることで、特に意識をしなくても、ノズルから噴霧することができる。
【0009】
噴霧システムは、足踏み部の代わりに着座部が設けられ、着座部がプランジャーに接続されていてもよい。この場合、着座部に人が座ったり降りたりすることで、人力でプランジャーポンプを稼働させることができ、これによりノズルからの噴霧を行うことができる。
【0010】
噴霧システムは、足踏み部の代わりに遊具が設けられ、遊具がプランジャーに接続されていてもよい。この場合、人が遊具で遊ぶことにより、特に意識しなくても、プランジャーポンプを稼働させることができ、これによりノズルからの噴霧を行うことができる。遊具としては、シーソー、スプリング遊具、ブランコ、滑り台等が挙げられる。
【0011】
噴霧システムは、足踏み部の代わりに運動器具が設けられ、運動器具がプランジャーに接続されていてもよい。この場合、人が運動器具を使用することにより、特に意識しなくても、プランジャーポンプを稼働させることができ、これによりノズルからの噴霧を行うことができる。運動器具としては、ウェイトマシン、ランニングマシン、ステッパー、フィットネスバイク、トランポリン、鉄棒、うんてい、踏切板等が挙げられる。
【0012】
吐出配管には、吐出口とノズルとの間にアキュムレーターが設けられることが好ましい。アキュムレーターを設けることにより、ノズルに供給される液体の圧力が長時間にわたって保持され、ノズルから液体を微粒化した状態で長時間にわたって噴霧することが可能となる。また、過度に高い圧力でノズルに液体が供給されるのが防止され、ノズルの保護を図ることができる。
【0013】
吐出配管には、吐出口とノズルの間に背圧弁が設けられてもよい。背圧弁を設けることにより、吐出配管を流れる液体の圧力が所定値未満となったときに、ノズルへの液体の供給を止めることができる。そのため、ノズルから噴霧される液体の微粒化が不十分となったりすることを防ぐことができる。
【0014】
吐出配管には、吐出口とノズルの間に、リリーフ弁が設けられた圧力逃がし流路が接続していてもよい。これにより、吐出配管を流れる液体の圧力が過度に高くなることを防ぐことができ、ノズルの破損を防いだり、所定量以上の液体がノズルから噴霧されることを防ぐことができる。
【0015】
ノズルは、足踏み部、着座部、遊具、または運動器具から、水平方向に1m以上離れて設置されることが好ましい。これにより、足踏み部等に触れた人が特に意識しなくても、プランジャーポンプが稼働するように構成することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の噴霧システムは、足踏み部に人が乗ったり降りたりすることで、人力でプランジャーポンプを動かすことができる。また、着座部に人が座ったり降りたりしたり、遊具で遊んだり、運動器具を使用することによっても、人力でプランジャーポンプを動かすことができる。プランジャーポンプは比較的高圧で液体を吐出することができるため、プランジャーポンプの吐出側にノズルを設置することにより、ノズルから液体を微粒化して噴霧することができる。そのため、電力を用いなくても、プランジャーポンプを稼働させ、ノズルから好適に噴霧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の噴霧システムの構成例を表す。
図2】本発明の噴霧システムを通路に設置した構成例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の噴霧システムは、プランジャーポンプと、プランジャーポンプの吐出側に設けられたノズルとを有し、プランジャーポンプが人力で作動されるように構成されたものである。プランジャーポンプは容積式ポンプの一種であり、シリンダ内にプランジャー(ロッド状のピストン)が配置され、プランジャーがシリンダ内で往復運動することで、液体を吸込側から吐出側へ押し出すことができる。プランジャーポンプは比較的高圧で液体を吐出することができるため、プランジャーポンプの吐出側にノズルを設置することにより、ノズルから液体を高圧で噴霧することができ、微細な液滴として噴霧することができる。プランジャーポンプは通常、電気等の動力源により稼働させるが、本発明の噴霧システムは、人力によりプランジャーポンプを稼働させる。そのため、電源がないところにも設置可能であり、環境負荷の低減にも繋がる。
【0019】
以下、本発明の噴霧システムを図面を参照して説明するが、本発明は図面に示した態様に限定されるものではない。
【0020】
図1には、本発明の噴霧システムの構成例を示した。噴霧システム1は、プランジャーポンプ2と、プランジャーポンプ2の吐出側に設けられたノズル14とを有し、プランジャーポンプ2が操作部15により人力で作動されるように構成されている。
【0021】
プランジャーポンプ2は、吸込口6と吐出口7を有し、シリンダ4内にプランジャー3が配置されている。シリンダ4は筒状に形成され、シリンダ4の一方側に、送液される液体が出入りする空間である送液部5が設けられる。プランジャー3はシリンダ4の他方側から押し引き可能となっており、プランジャー3を押し引きすることで、プランジャー3がシリンダ4内で往復運動する。送液部5には液体の吸込口6と吐出口7が設けられ、プランジャー3を引くことで吸込口6から送液部5に液体が流入し、プランジャー3を押し込むことで送液部5の液体が吐出口7から送り出される。
【0022】
プランジャーポンプ2は、シリンダ4とプランジャー3が鉛直方向に延びるように設置されてもよく、シリンダ4とプランジャー3が水平方向に延びるように設置されてもよい。前者の場合、プランジャー3はシリンダ4内を鉛直方向(上下方向)に動くこととなり、後者の場合、プランジャー3はシリンダ4内を水平方向に動くこととなる。図1では、前者の態様で、プランジャー3とシリンダ4が設置されている。プランジャーポンプ2はまた、シリンダ4とプランジャー3が水平方向に対して傾斜して延びるように設置されてもよい。
【0023】
プランジャー3の断面積(詳細には、プランジャー3の移動方向に対する垂直断面積)は、送り出す液体の量に応じて適宜設定される。プランジャー3は、断面積を変えることにより、プランジャーポンプ2からの吐出性能を任意に調整することができる。
【0024】
プランジャーポンプ2の吸込口6には、液体貯留部17が設けられることが好ましい。液体貯留部17には、プランジャーポンプ2で送液する液体が保持される。プランジャーポンプ2の吸込口6に連通して液体貯留部17が設けられることにより、プランジャー3の往復運動と連動して、液体を液体貯留部17からプランジャーポンプ2の送液部5に送液することができる。プランジャーポンプ2の吸込口6は水道栓に接続していてもよい。
【0025】
プランジャーポンプ2の吐出口7には、プランジャーポンプ2から送り出される液体が通る吐出配管8が連通して設けられ、吐出配管8には液体を噴霧するノズル14が設けられる。これにより、プランジャー3の往復運動と連動して、プランジャーポンプ2から吐出配管8を通って液体が送り出され、液体がノズル14から噴霧される。
【0026】
吸込口6と吐出口7にはそれぞれ逆止弁が設けられることが好ましい。これにより、吸込口6と吐出口7において液体が一方向のみに流れるようにすることができる。なお、吸込口6に吸込配管を接続し、吸込口6に逆止弁を設ける代わりに、または吸込口6に逆止弁を設けるとともに、吸込配管に逆止弁を設けることもできる。また、吐出口7に逆止弁を設ける代わりに、または吐出口7に逆止弁を設けるとともに、吐出口7に接続された吐出配管8に逆止弁を設けることもできる。図1に示したプランジャーポンプ2では、吸込口6に逆止弁が設けられ、吐出配管8に逆止弁9が設けられている。
【0027】
ノズル14から噴霧される液体としては、水や薬液(例えば、消毒剤、脱臭剤、農薬等)が挙げられる。液体として水を噴霧する場合は、冷却、加湿、粉じん抑制、静電気防止、景観演出等の様々な目的で噴霧をすることができる。なお噴霧システム1は、ノズル14から水が噴霧されることが好ましく、これにより空間の冷却や加湿が適宜行われ、ノズル14を設置した周辺の空間の快適性を向上させることができる。ノズル14から噴霧される水は、水質を保持する観点から、殺菌剤が加えられたり、紫外線照射等により殺菌処理が施されたり、あるいは加熱殺菌されたものを用いてもよい。
【0028】
ノズル14としては、液体のみを噴射する一流体ノズルや、液体と気体を噴射する二流体ノズルが知られているが、一流体ノズルを用いることが好ましい。好ましく使用できる一流体ノズルとしては、衝突型ノズルおよび旋回型ノズルが挙げられる。
【0029】
衝突型ノズルは、ノズル本体の先端部から出た直進棒流を、ノズル本体の先端部の延長線上に設けられた衝突ピンに衝突させて、微粒化するノズルである。衝突型ノズルとしては、例えば、特開平9-94487号公報や米国特許第7320443号明細書等に開示されるノズルを用いることができる。
【0030】
旋回型ノズルは、筒状のノズル本体の先端側に噴射孔を有するノズルチップを備え、当該ノズルチップのノズル本体内面側に噴射孔から放射状に延びる複数の溝が形成されたノズルである。ノズルチップに形成された溝は、貫通溝ではなく底を有するものであり、噴射孔から直線状に延びていてもよく、弧状に延びていてもよい。ノズル本体の噴射孔から出る流体は、ノズル本体の先端側でノズルチップの溝を通り旋回流に形成され、噴射孔から霧状に噴射される。旋回型ノズルとしては、例えば、特開2008-104929号公報や特開2009-36316号公報に開示されるノズルを用いることができる。
【0031】
ノズル14の吐出圧、すなわちノズル14へ液体を供給する圧力は、ノズル14から液体が微粒化されて噴霧されるのであれば、特に限定されないが、例えばゲージ圧として1MPa以上が好ましく、2MPa以上がより好ましく、3MPa以上がさらに好ましい。当該圧力の上限は、プランジャーポンプ2の性能を勘案すれば、12MPa以下が好ましく、10MPa以下がより好ましく、8MPa以下がさらに好ましい。
【0032】
ノズル14から噴霧される液体の平均粒子径は、例えば50μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましい。噴霧された液体の平均粒子径の下限は特に限定されず、1μm以上であってもよく、3μm以上であってもよく、5μm以上であってもよい。液体はドライフォグとして噴霧されることがより好ましく、すなわち触れても濡れを感じない程度の微細な霧状に噴霧されることが好ましい。この場合、ノズル14から噴霧される液体の平均粒子径は、15μm以下であることが好ましく、12μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。ここで説明した平均粒子径は、ノズルから噴霧された液体に対して、レーザー回折式粒子径分布測定装置を用い、ノズルの先端から30cm先の地点での液滴の粒子径分布を測定したときのザウター平均粒子径を意味する。
【0033】
吐出配管8には、吐出口7とノズル14の間にアキュムレーター11が設けられることが好ましい。アキュムレーター11は吐出配管8に連通して設けられ、内部に圧縮性ガスが保持され、吐出配管8を流れる液体が流出入可能となっている。吐出配管8を流れる液体の圧力(具体的にはアキュムレーター11との接続部における圧力)が所定値以上となったときに、吐出配管8からアキュムレーター11の内部に液体が流入し、吐出配管8を流れる液体の圧力が所定値未満となったときに、アキュムレーター11から吐出配管8に液体が流出する。このように吐出配管8にアキュムレーター11を設けることにより、ノズル14に供給される液体の圧力が長時間にわたって保持され、ノズル14から液体を微粒化した状態で長時間にわたって噴霧することが可能となる。また、過度に高い圧力でノズル14に液体が供給されるのが防止され、ノズル14の保護を図ることができる。
【0034】
吐出配管8にアキュムレーター11が設けられる場合、吐出配管8には、アキュムレーター11の前に逆止弁9が設けられることが好ましい。このように逆止弁9を設けることにより、吐出配管8を流れる液体の圧力が所定値未満となり、アキュムレーター11から吐出配管8に液体が戻された際に、液体がプランジャーポンプ2側ではなくノズル14側に流れるように制御することができる。なお、逆止弁は、プランジャーポンプ2の吐出口7に設けることもできる。
【0035】
吐出配管8には、吐出口7とノズル14の間に背圧弁12が設けられてもよい。吐出配管8にアキュムレーター11が設けられる場合は、アキュムレーター11とノズル14の間に背圧弁12が設けられることが好ましい。背圧弁12を設けることにより、吐出配管8を流れる液体の圧力が所定値未満となったときに、ノズル14への液体の供給を止めることができる。これにより、ノズル14の吐出圧が不十分となる結果、ノズル14から噴霧される液体の微粒化が不十分となることを防ぐことができる。なお、背圧弁12が作動する圧力、すなわち背圧弁12によってノズル14への液体の供給が止められる際の吐出配管8の液体の圧力は、アキュムレーター11が作動する圧力、すなわちアキュムレーター11内に液体が流入する際の吐出配管8の液体の圧力、ないしアキュムレーター11から吐出配管8に液体が戻る際の吐出配管8の液体の圧力よりも小さいことが好ましい。
【0036】
吐出配管8には、吐出口7とノズル14の間に、リリーフ弁13が設けられた圧力逃がし流路10が接続していてもよい。リリーフ弁13は、吐出配管8を流れる液体の圧力が所定値以上になると流路が開くように構成されている。このようにリリーフ弁13を設けることにより、ノズル14の破損を防いだり、所定量以上の液体がノズル14から噴霧されることを防ぐことができる。圧力逃がし流路10は液体貯留部17に連通していることが好ましく、これにより、吐出配管8から圧力逃がし流路10を通って排出された液体を液体貯留部17に戻すことができる。吐出配管8にアキュムレーター11が設けられる場合は、リリーフ弁13はアキュムレーター11とノズル14の間に設けられることが好ましい。なお吐出配管8に背圧弁12が設けられる場合、リリーフ弁13は、背圧弁12よりもノズル14側に設けられてもよく、背圧弁12よりも吐出口7側に設けられてもよい。
【0037】
プランジャー3は人力により操作され、すなわち人力によりプランジャー3がシリンダ4内を直線移動するように構成されており、人力による操作部15がプランジャーに接続している。操作部15は、接続部材16を介して、プランジャー3に接続していてもよい。操作部15は、操作部15に触れる人が、意識をしなくてもプランジャー3が操作されるように設置されることが好ましい。操作部15は、例えば、人が歩いたり立ち止まったりする場所や人が座る場所に設置したり、あるいは、遊具や運動器具などの人力で動かす設置物に接続することができる。
【0038】
人が歩いたり立ち止まったりする場所に設置する操作部15としては、足踏み部が挙げられる。図1では、操作部15として、足踏み部が設置された態様が示されている。足踏み部は、人が歩いたり立ち止まったりする場所として、通路に設置されることが好ましい。通路を通る人が足踏み部に乗ったり降りたりすることで、特に意識をしなくても、プランジャーポンプ2を稼働させることができる。
【0039】
通路としては、遊歩道、歩道、コンコース、建物の入口、階段、廊下などが挙げられる。例えば、段差がある通路であれば、段差を挟んで足を着く位置が限定されるため、そのような箇所に足踏み部を設置することが効果的である。同様の観点から、扉のある建物の入口も、扉を挟んで足を着く位置が限定されるため、そのような箇所に足踏み部を設置することが好ましい。遊歩道などでは、飛び石を模した足踏み部を設置したり、足踏み部に乗ることで音や光を発したりするように構成することで、より多くの人が自然に足踏み部に乗るように誘導することができる。足踏み部は、公園に設置されることも好ましい。
【0040】
足踏み部の面積は、例えば、0.01m以上が好ましく、0.03m以上がより好ましく、0.05m以上がさらに好ましい。このように足踏み部を設けることにより、足踏み部に人が乗りやすくなり、また足踏み部に乗った人の全体重がプランジャー3に伝わりやすくなる。足踏み部に人が乗りやすくする観点からは、足踏み部の面積はさらに大きくてもよく、例えば、0.1m以上や0.2m以上であってもよい。足踏み部の面積の上限は特に限定されず、例えば、3.0m以下が好ましく、2.0m以下がより好ましく、1.0m以下がさらに好ましい。
【0041】
人が座る場所に設置する操作部15としては、着座部が挙げられ、着座部としては、椅子、ベンチ、ハンギングチェアなどが挙げられる。
【0042】
図1では、操作部15は接続部材16を介してプランジャー3に接続されているが、操作部15はプランジャー3に設けられてもよい。操作部15は、力が加わることにより変位するように構成されていることが好ましく、足踏み部の場合は、足踏み部に人が乗ることにより、足踏み部に力が加わり、変位することが好ましく、着座部の場合は、着座部に人が座ることにより、着座部に力が加わり、変位することが好ましい。足踏み部や着座部が変位する方向は、鉛直方向(上下方向)であることが好ましい。従って、足踏み部や着座部は、人が乗ることで下方に変位することが好ましい。
【0043】
足踏み部や着座部がプランジャー3に設けられる場合、プランジャーポンプ2は、プランジャー3が鉛直方向に動くように設置され、プランジャー3の送液部5とは反対側の端部に足踏み部や着座部が設けられることが好ましい。この場合、プランジャーポンプ2は、通路や通路脇の下などに設置されることが好ましい。
【0044】
足踏み部や着座部が接続部材16を介してプランジャー3に接続される場合、プランジャーポンプ2の設置態様は特に限定されず、プランジャーポンプ2は、例えば、プランジャー3が鉛直方向に動くように設置されてもよく、プランジャー3が水平方向に動くように設置されてもよい。図1では、操作部15である足踏み部が、接続部材16を介してプランジャー3に接続されている。
【0045】
接続部材16は、足踏み部や着座部に加わった力が、方向を変えずにそのままの大きさでプランジャー3に伝わるように構成されていてもよく、足踏み部や着座部に加わった力が、方向を変えたり、力の大きさを変えてプランジャー3に伝わるように構成されていてもよい。後者の場合、接続部材16は、例えば、てこの原理で作動する部材として設けられたり、リンクやクランクやカムなどが組み合わされて構成されてもよい。着座部がハンギングチェアの場合は、接続部材16は滑車を含んで構成することもできる。
【0046】
図1では、接続部材16はてこの原理で作動するように構成されている。この場合、接続部材16は、支点と力点の間の距離および/または支点と作用点の間の距離を変えることができるように構成されていることが好ましく、例えば支点の位置を任意に変えることができるように構成されていることが好ましい。上記に説明したように、プランジャー3の断面積を変えることでプランジャーポンプ2の吐出性能を任意に調整することができるが、接続部材16は、プランジャー3の断面積に応じて支点と力点の間の距離および/または支点と作用点の間の距離を変えることで、操作部15に人の体重に相当する力が加わった際にプランジャー3が動くように設定することができる。
【0047】
操作部15に加わった力、すなわち人が乗ることにより足踏み部に加わった力、あるいは人が座ることにより着座部に加わった力は、プランジャー3を押し込むように、すなわち吐出口7から液体が送り出されるように作用してもよく、プランジャー3を引くように、すなわち吸込口6から送液部5に液体が流入するように作用してもよい。なお、足踏み部や着座部は、前者の態様で作用するようにプランジャー3に接続されることが好ましく、これにより、プランジャーポンプ2から液体を高圧で送り出すことが容易になる。
【0048】
足踏み部や着座部は、加わった力が解除されることで、元の位置に戻るように構成されていることが好ましい。具体的には、足踏み部または着座部から人が降りることで、足踏み部または着座部が上方に変位し、元の位置に戻ることが好ましい。従って、足踏み部または着座部には、バネやゴムなどの弾性部材が設けられることが好ましい。バネとしては、圧縮コイルバネ、引張コイルバネ、ねじりコイルバネ、板バネ、皿バネ等の公知のバネを用いることができ、また空気バネを用いることもできる。
【0049】
足踏み部や着座部は、シーソーのように、支点を挟んだ一方側と他方側が交互に上下に移動するように形成されていてもよい。この場合、足踏み部または着座部の支点を挟んだ一方側に人が乗ることで、プランジャー3が押し込まれ、足踏み部または着座部の支点を挟んだ他方側に人が乗ることで、プランジャー3が引かれるように構成することができる。
【0050】
操作部15は遊具であってもよい。この場合、人が遊具で遊ぶことにより、特に意識しなくても、プランジャーポンプ2を稼働させることができる。遊具はプランジャー3に接続され、遊具の動きにより生じた力や遊具を使用する人の動きにより生じた力がプランジャー3に伝わるように構成される。遊具は、直接プランジャー3に接続されてもよく、接続部材16を介してプランジャー3に接続されてもよいが、通常は後者の態様でプランジャー3に接続される。
【0051】
遊具としては、例えば、シーソー、スプリング遊具、ブランコ、滑り台などが挙げられる。遊具とプランジャーとの接続態様は、遊具の種類によって適宜設定される。シーソーの場合は、例えば、シーソーの両端部とプランジャーを接続し、あるいはシーソーの両端部が地面に設置する部分とプランジャーを接続し、シーソーの両端部の上下方向の動きがプランジャーに伝わるように構成すればよい。スプリング遊具の場合は、例えば、スプリング遊具の上下方向の動きがプランジャーに伝わるように構成すればよい。ブランコの場合は、例えば、ブランコの前後方向の動きやブランコの軸の回転方向の動きがプランジャーに伝わるように構成すればよい。滑り台の場合は、例えば、滑り台の傾斜部の途中や末端に足踏み部や着座部のような上下に変位する部分を設け、当該部分の上下方向の動きがプランジャーに伝わるように構成すればよい。
【0052】
遊具とプランジャー3とを繋ぐ接続部材16は、遊具の動きにより生じた力や遊具を使用する人の動きにより生じた力を、方向や大きさを変えずにそのままプランジャー3に伝えるものであってもよく、てこの原理で作動するものであってもよく、リンクやクランクやカムなどが組み合わされて構成されてもよい。滑り台の場合は、上下に変位する部分は、加わった力が解除されることで、元の位置に戻るように構成されていることが好ましく、バネやゴムなどの弾性部材が設けられることが好ましい。
【0053】
操作部15は運動器具であってもよい。この場合、人が運動器具を使用することにより、特に意識しなくても、プランジャーポンプ2を稼働させることができる。運動器具はプランジャー3に接続され、運動器具の動きにより生じた力や運動器具を使用する人の動きにより生じた力がプランジャー3に伝わるように構成される。運動器具は、直接プランジャー3に接続されてもよく、接続部材16を介してプランジャー3に接続されてもよいが、通常は後者の態様でプランジャー3に接続される。
【0054】
運動器具としては、例えば、ウェイトマシン、ランニングマシン、ステッパー、フィットネスバイク(例えばエアロバイク(登録商標))、トランポリン、鉄棒、うんてい、踏切板などが挙げられる。ウェイトマシンとしては、チェストプレスマシン、ショルダープレスマシン、プレスダウンマシン、ラットプルダウンマシン、バタフライマシン、レッグカールマシン、ケーブルカールマシン、レッグエクステンションマシン、シーテッドローイングマシン、レッグプレスマシン、ケーブルプリーチャーカールマシン、スタンディングカーフレイズマシン等が挙げられる。
【0055】
運動器具とプランジャーとの接続態様は、運動器具の種類によって適宜設定される。ウェイトマシンの場合は、例えば、ウェイトマシンのウェイト部分にプランジャーを接続し、ウェイトマシンの動きがプランジャーに伝わるように構成することができる。ランニングマシンの場合は、例えば、ランニングマシンの使用者が足を着く部分に上記に説明した足踏み部を設け、足踏み部をプランジャーに接続すればよい。ステッパーの場合は、例えば、ステッパーの足を置く部分の上下方向の動きがプランジャーに伝わるように構成すればよい。フィットネスバイクの場合は、例えば、フィットネスバイクのペダルが取り付けられたクランクの回転方向の動きがプランジャーに伝わるように構成すればよい。トランポリンの場合は、例えば、トランポリンで人が跳躍したときのマット部分の上下方向の動きがプランジャーに伝わるように構成すればよい。鉄棒やうんていの場合は、例えば、鉄棒やうんていの横棒が上下に動くように構成され、鉄棒やうんていの横棒に人がぶら下がったり乗ったりすることにより横棒が上下方向に動き、この上下方向の動きがプランジャーに伝わるように構成すればよい。踏切板の場合は、踏切板を上記に説明した足踏み部として、足踏み部をプランジャーに接続すればよい。
【0056】
運動器具とプランジャー3とを繋ぐ接続部材16は、運動器具の動きにより生じた力や運動器具を使用する人の動きにより生じた力を、方向や大きさを変えずにそのままプランジャー3に伝えるものであってもよく、てこの原理で作動するものであってもよく、リンクやクランクやカムなどが組み合わされて構成されてもよい。運動器具は、加わった力が解除されることで、元の位置に戻るように構成されていることが好ましく、バネやゴムなどの弾性部材が設けられたり、ウェイトによって元の位置に戻るように構成されていることが好ましい。
【0057】
操作部15は、1つのプランジャーポンプ2に対して1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。すなわち、プランジャー3には、1つの操作部15のみが接続していてもよく、複数の操作部15が接続していてもよい。一方、複数のプランジャーポンプ2に対して1つの操作部15が設けられてもよく、この場合、1つの操作部15が複数のプランジャー3に接続することとなる。
【0058】
ノズル14の設置場所は、操作部15の設置場所に応じて、適宜設定すればよい。ノズル14は、人が集まるところに設置することが好ましく、これにより、ノズル14を設置した周辺の空間の快適性を向上させたりすることができる。ノズル14は屋外に設置することが好ましく、例えば、通路(特に遊歩道)、公園、校庭、競技場等に設置することが好ましい。屋外にノズル14を設定することにより、ノズル14からの噴霧量を精密に制御する必要性が低下し、噴霧量を特に気にすることなくノズル14から噴霧することが可能となる。
【0059】
ノズル14は、操作部15の近くに設置してもよく、操作部15から離れて設置してもよい。なお、噴霧システム1は、操作部15に触れた人が特に意識しなくてもプランジャーポンプ2が稼働するように構成されることが好ましい。つまり、ノズル14からの噴霧が、操作部15に触れた人にあまり気付かれないようにすることが好ましい。そのような観点から、ノズル14は操作部15から水平方向に1m以上離れて設置されることが好ましく、2m以上がより好ましく、3m以上がさらに好ましい。一方、ノズル14と操作部15が離れすぎていても、噴霧システム1が過大となることから、ノズル14は操作部15から水平方向に30m以下離れて設置されることが好ましく、20m以下がより好ましく、10m以下がさらに好ましい。なお、ここで説明したノズル14と操作部15の離隔距離は、ノズル14と操作部15の最短の離隔距離を意味する。
【0060】
ノズル14は、1つのプランジャーポンプ2に対して1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。すなわち、吐出配管8には、ノズル14が1つのみ設けられてもよく、複数設けられてもよい。好ましくは、ノズル14は、1つのプランジャーポンプ2に対して複数設けられ、これにより、ノズル14を設置した周辺のより広い範囲の空間の快適性を向上させることができる。
【0061】
図2には、本発明の噴霧システムを遊歩道に設置した構成例を示す。図2は、遊歩道を上から見た図を示している。
【0062】
噴霧システム1は、操作部15として足踏み部が遊歩道に設置され、遊歩道の両脇にプランジャーポンプ2が設置されている。操作部15は接続部材16を介してプランジャーポンプ2に接続されており、図2では、1つの操作部15に対して2つのプランジャーポンプ2が接続されている。プランジャーポンプ2の吐出配管8にはアキュムレーター11が設けられ、その先にノズル14が設けられている。ノズル14からは水が噴霧されるようになっている。このように噴霧システム1を遊歩道に設置することにより、遊歩道を歩く人が特に意識しなくても足踏み部(操作部15)を乗り降りすることができ、その結果、プランジャーポンプ2が稼働し、ノズル14から水が噴霧される。これにより、遊歩道沿いの空間が冷却されて快適性が向上し、遊歩道のアミューズメント効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0063】
1: 噴霧システム
2: プランジャーポンプ
3: プランジャー
4: シリンダ
5: 送液部
6: 吸込口
7: 吐出口
8: 吐出配管
9: 逆止弁
10: 圧力逃がし流路
11: アキュムレーター
12: 背圧弁
13: リリーフ弁
14: ノズル
15: 操作部(足踏み部、着座部、遊具、運動器具等)
16: 接続部材
17: 液体貯留部
図1
図2