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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101114
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】手提げ紙袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/08 20060101AFI20220629BHJP
   B65D 33/04 20060101ALI20220629BHJP
   B65D 33/18 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B65D33/08
B65D33/04
B65D33/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215507
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】394020686
【氏名又は名称】株式会社ムトウユニパック
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100086807
【弁理士】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】奥田 秀樹
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064AA06
3E064BA01
3E064FA01
3E064GA02
3E064HF08
3E064HG06
3E064HJ01
3E064HM01
3E064HN03
3E064HN04
(57)【要約】
【課題】特別な材料を用いることなく持ち手用孔の強度を向上することが可能な手提げ紙袋と、持ち手用孔の強度を向上しつつ手指の負傷を防止できる手提げ紙袋とを提供する。
【解決手段】表裏一対のシート材11,12から構成し上端に開口14を有する袋本体13と、一方のシート材11の上端部から上方へ延在し他方のシート材の下方側へ折り返して開口を封緘する上端フラップ15と、袋本体13の上方位置でシート材を貫通して設けた持ち手用孔16と、持ち手用孔16内に設け表裏のシート材で構成されていて上方へ折り返して持ち手用孔を開口する表裏一対の持ち手フラップ17とを備えた封筒様の手提げ紙袋であって、一対の持ち手フラップ17a,17bをそれぞれ持ち手用孔16の上辺縁から上方へ折り返したとき、持ち手フラップ17が下方へ折り返された上端フラップ15の少なくとも一部に重複するように配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する表裏一対のシート材から構成され上端に開口を有する袋本体と、
一方のシート材の上端部からさらに上方へ延在し他方のシート材の下方側へ折り返して前記開口を封緘する上端フラップと、
前記袋本体の上方位置で前記表裏一対のシート材を貫通して設けられた持ち手用孔と、
該持ち手用孔内に設けられ、前記表裏のシート材で構成されていて上方へ折り返して持ち手用孔を開口する表裏一対の持ち手フラップと、
を備えた封筒様の手提げ紙袋であって、
前記一対の持ち手フラップをそれぞれ前記持ち手用孔の上辺縁から上方へ折り返したとき、該持ち手フラップが、下方へ折り返された前記上端フラップの少なくとも一部に重複するように配置される、手提げ紙袋。
【請求項2】
前記上端フラップは、前記上端開口を封緘するように前記他方のシート材を挟んで下方へ折り返され、
前記一方のシート材の前記持ち手フラップは、前記他方のシート材の前記持ち手用孔に挿通されて前記他方のシート材の持ち手フラップと共に上方へ折り返されるとともに、折り返した前記上端フラップの端縁を覆うか、又は、前記上端フラップの端縁に覆われる、請求項1に記載の手提げ紙袋。
【請求項3】
折り返された前記上端フラップ及び前記持ち手フラップの少なくとも一方を接着する接着手段が設けられている、請求項1又は2に記載の手提げ紙袋。
【請求項4】
前記持ち手用孔及び前記持ち手フラップは、前記上端フラップに沿って横長の楕円形状に形成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の手提げ紙袋。
【請求項5】
前記持ち手用孔の内周縁がジグザグ形状に形成されている、請求項1乃至4の何れかに記載の手提げ紙袋。
【請求項6】
前記一対のシート材の少なくとも一方に前記袋本体内を視認可能な窓部が設けられている、請求項1乃至5の何れかに記載の手提げ紙袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は持ち手用孔が設けられた封筒様の手提げ紙袋に関する。
【背景技術】
【0002】
持ち手用孔が設けられた従来の手提げ紙袋として、例えば下記特許文献1、2等のように、封筒を利用するか又は封緘フラップを付けて封筒を模して作った手提げ袋が知られている。このように封筒を利用して手提げ袋としたものや封筒を模して作った手提げ袋(本明細書では、これらを総称して「封筒様」と称する。)とした手提げ紙袋では、商品を収納する本体部分が互いに表裏に対向した一対のシート材で成っており、これら一対のシート材の上端部付近に持ち手用孔を貫通することで、これを持ち手として利用しようとするものである。
【0003】
これらの手提げ紙袋の中には、持ち手用孔を把持した際、収納した品物の重みで破断しないようにするための補強が工夫されているものもある。例えば特許文献1では、開口部と平行に設けられた蓋を封緘して接着することで補強されている。また特許文献2では、手提げ穴付近の内側に厚紙を糊付けすることで補強している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-300143号公報
【特許文献2】特開昭59-64741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
封筒を手提げ紙袋として利用する方法として、上記特許文献を含め、種々の工夫が提案されている。本発明者らは、上記従来の手法に沿って封筒の手提げ紙袋への利用につき実際に試作してみた。しかしながら、特許文献1のように開口部と平行に設けられた蓋を接着するのみでは、商品を袋に収納した状態で持ち手用孔の十分な強度を確保し難く、商品などを収納する際や収納した商品を持ち歩くうちに、持ち手用孔の左右両上端から裂け目が入ってしまった。また特許文献2のように他の補強部材を用いたり特殊な紙を使用したりする構造ではコストが嵩むとともに製造に手間を要する。そのため手提げ紙袋の持ち手用孔の補強構造について更なる改善が必要なことがわかった。
【0006】
加えて従来の手提げ紙袋では、蓋や折り曲げカバー等の上端フラップを下方へ折り返したとき、上端フラップの折り返した先端側の辺縁が持ち手用孔付近に配置される。そのため上端フラップの端縁が持ち手用孔に近接して配置されることになるので、持ち手用孔に手指を通して把持する際、上端フラップの端縁に手や指が接触して擦ることで、手指に細い直線状の過剰な負荷がかかり、場合により手指が傷つくことがある。これは紙製の上端フラップの端縁には微細な繊維等が存在するため、端縁が皮膚に引っ掛かり易く、その状態で擦ることで皮膚が傷つくことが考えられる。
【0007】
そこで本発明では、特別な材料を用いることなく持ち手用孔の強度を向上して、かさばったり重量のある商品を収納しても十分に耐久性を有し、且つ、強度を向上し得る手提げ紙袋を提供することを第1の目的とし、また持ち手用孔の強度を向上しつつ手指の負傷を防止して安全性を向上できる手提げ紙袋を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記第1の目的を達成するため、本発明の手提げ紙袋は、
互いに対向する表裏一対のシート材から構成し上端に開口を有する袋本体と、
一方のシート材の上端部からさらに上方へ延在し他方のシート材の下方側へ折り返して前記開口を封緘する上端フラップと、
袋本体の上方位置で表裏一対のシート材を貫通して設けられた持ち手用孔と、
持ち手用孔内に設けられ、上記表裏のシート材で構成されていて上方へ折り返して持ち手用孔を開口する表裏一対の持ち手フラップと、
を備えた手提げ紙袋であって、
一対の持ち手フラップをそれぞれ持ち手用孔の上辺縁から上方へ折り返したとき、該持ち手フラップが、下方へ折り返された上端フラップの少なくとも一部と重複するように配置されることを特徴とする。
これにより、持ち手用孔の上辺縁が、一対のシート材と下方へ折り返した上端フラップと上方へ折り返した一対の持ち手フラップとの合計5枚に積層されて構成されることになる。このため、持ち手部分の上辺縁が5枚の紙片により重ね合わされて補強されることから、重量のある商品や体積が嵩張る商品なども収納でき、持ち手部分の上辺縁が線状とならず、多少厚みを帯びるため線状の細い上辺縁と比べて手指の負担が軽減される。
【0009】
本発明の手提げ紙袋は、好ましくは、一方のシート材の上端フラップが上端開口を封緘するように他方のシート材を挟んで下方へ折り返され、一方のシート材の持ち手フラップは、他方のシート材の持ち手用孔に挿通されると共に、他方の持ち手フラップと重ね合わせて他方のシート材の上方へ折り返され、さらに、これら一対の持ち手フラップにより上端フラップの端縁を覆うように配置される。一対の持ち手フラップによって上端フラップの端縁が覆われると、上端フラップの端縁が露出せず、手指の負担が軽減する。
【0010】
折り返された上端フラップ及び持ち手フラップの少なくとも一方を接着可能な接着手段が設けられると、袋本体の開口を接着手段で封緘できるので好ましい。
【0011】
手提げ紙袋の持ち手用孔及び持ち手フラップが上端フラップに沿う横長の楕円形状に形成されていると、収納状態で手提げ紙袋を持ち易い。また持ち手用孔の内周縁がジグザグ形状に形成されると手持ち感がよく、また、袋本体のシート材の一方に袋本体内を視認可能な窓部が設けられると、収納された商品が視認できるので、商品を吊り下げて展示するのに便利である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の手提げ紙袋によれば、一方のシート材の上端部に下方へ折り返される上端フラップが設けられ、持ち手用孔内には上方へ折り返される持ち手フラップが設けられ、持ち手フラップが上方へ折り返されたときに下方へ折り返された上端フラップの少なくとも一部に重複する。よって、上端フラップと持ち手フラップとのそれぞれを、各種の位置や形状となるように折り返すとともに、互いに組み合わせたり積層したりすることで、上端フラップと持ち手フラップとの複合的な作用により、袋本体の上端部の強度を向上することができ、ユーザーが持ち手用孔に手指を挿通して把持する際にも、シート材の上端部に掛かる荷重が大きくても、袋本体の上端部の破断を格段に抑制することが可能である。
本発明によれば、特別な材料を用いることなく袋本体の強度を向上することが可能な手提げ紙袋を提供することができる。
【0013】
本発明の手提げ紙袋において、一方のシート材の上端フラップを上端開口を封緘するように他方のシート材を挟んで下方へ折り返し、一方のシート材の持ち手フラップを他方のシート材の持ち手用孔に挿通して、他方の持ち手フラップとともに重ね合わせて上方へ折り返し、一対の持ち手フラップによって上端フラップの端縁を被覆すれば、袋本体の上端部では、一方のシート材の上端部、他方のシート材の上端部、上端フラップ、及び持ち手フラップが5層に積層されるので、袋本体の上端部の強度を向上でき、袋本体の上端部の破断を抑制できる。
さらに一対の持ち手フラップにより上端フラップの端縁が被覆されるため、持ち手用孔に手指を通して把持する際、手指が上端フラップの端縁に接触して手指が傷つくことを防止でき、袋本体の強度を向上しつつ手指を保護して安全性を向上することができる。
【0014】
本発明の手提げ紙袋において、上端フラップ及び持ち手フラップの少なくとも一方に、折り返して接着可能な接着手段が設けられていれば、これらのフラップを折り返した状態で封緘して保持できる。そのためシート材の上端部で積層一体化でき、袋本体の上端部の強度を確実に向上できる。
【0015】
持ち手用孔及び持ち手フラップが上端フラップに沿う横長の楕円形状に形成されていれば、持ち手用孔を把持した際、持ち手用孔の内周縁に破断の起点となるような応力集中部位が存在しないため、持ち手用孔の強度を確保でき、より袋本体の強度を向上することができる。持ち手用孔の内周縁がジグザグ形状に形成されていれば、持ち手用孔に手指を通して把持する際、手や指が持ち手用孔の内周縁に接触しても傷つくことを防止できる。
【0016】
シート材に袋本体内を視認可能な窓部が設けられていれば、袋本体内に各種の物品を収容した状態で配置したとき、内部の物品を容易に視認できるため、展示に利用できる。従って、持ち手用孔を設けた手提げ紙袋を単に収容物の持運びに使用するだけでなく、各種の物品の展示用の容器として使用することができ便利である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る手提げ紙袋の正面図(又は背面図)であり、使用開始前の状態を示す。
図2】第1実施形態に係る手提げ紙袋の正面図(又は背面図)であり、使用中の状態を示す。
図3図2のA-A部分断面図である。
図4】手提げ紙袋の持ち手用孔及び持ち手フラップの正面図である。
図5】第2実施形態に係る手提げ紙袋の正面図である。
図6】他の変形例を説明する図であり、接着手段を示している。
図7】(a)乃至(c)は袋本体の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。
手提げ紙袋10は、図1乃至図3に示すように、互いに対向する表裏一対の第1及び第2のシート材11,12が両側縁及び下端縁で折り返されて連続し、上端部に上端開口14が設けられた袋本体13を備えている。
この手提げ紙袋10には、袋本体13の上端部における第1シート材11からさらに上方へ延在して形成された上端フラップ15と、表裏一対のシート材11,12を貫通した持ち手用孔16と、持ち手用孔16の内側に配置された表裏一対の持ち手フラップ17と、が設けられている。袋本体13は第1シート材11及び第2シート材12のいずれを表側としてもよいが、仮に第1シート材11側を表側とし第2シート材12側を裏側として説明する。
【0019】
袋本体13は紙素材からなり、用紙を適切な展開形状に切断して折り曲げ成形するとともに端部同士を接合することで袋形状に形成される。用紙にはラミネート加工、ニス加工などが施されてもよい。特に限定されるものではないが、袋本体13として、例えば郵便封筒に使用される紙素材を郵便封筒と同様に形成したものを用いることができ、本実施形態では規格サイズの角0封筒、角2封筒などと同様に形成したものを使用している。
【0020】
上端フラップ15は、第1シート材11の全幅から略台形形状に上方へ延長して設けられ、袋本体13の上端開口14の端部の位置で下方へ折り返して封緘可能に形成されている。本実施形態では、上端フラップ15が上端開口14を塞ぐように下方へ折り返され、第1シート材11の上端部と上端フラップ15との間に第2シート材12の上端部が挟まれるように配置される。上端フラップ15には上端開口14の対応位置で折り目又は折り線(図示省略)が形成されていれば下方への折り返しが容易になる。
【0021】
この上端フラップ15には、折り返して第2シート材12の上端部に対向する面に接着手段18が設けられている。接着手段18としては、例えば両面テープ、ホットメルト、水糊、アドヘヤ糊などを使用することも可能である。
【0022】
持ち手用孔16は、袋本体13の上端部付近における一対のシート材11,12に同一位置及び同一形状で貫通して一対で形成されている。持ち手用孔16は両端を有するスリット19により形成されていて、本実施形態では、持ち手用孔16が上端フラップ15に沿う横長の楕円形状に形成されている。例えば楕円形状の長径が上端フラップ15の端縁に沿うように配置されている。持ち手用孔16の上側の長径(持ち手フラップ17の上方への折返し線20として、図2に図示)に、折り目又は折り線(図示省略)が形成されていれば、上方への折り返しが容易になる。
【0023】
本実施形態の持ち手用孔16の内周縁を形成するスリット19は、図4の引き出した円内に拡大して示すように、ジグザグ形状19aに形成され得る。持ち手用孔16の内周縁を適度の大きさのジグザグ形状に形成することで、手指が持ち手用孔16の内周縁に接触しても傷がつかないようにできる。
【0024】
持ち手フラップ17は、持ち手用孔16の上側の左右両端部を結ぶ長径を上方へ折り返すことで持ち手用孔16を開口するように、各シート材11,12の上部から連続して持ち手用孔16内に設けられている。持ち手フラップ17は持ち手用孔16に対応する形状を有し、持ち手用孔16の内側全体に配置されている。この持ち手フラップ17は互いに対向する一対のシート材11,12における持ち手用孔16のそれぞれに設けられているのが好ましいが、一方であってもよい。
この持ち手フラップ17は、上方へ折り返されたとき、シート材11,12の上端部に設けられて下方へ折り返された上端フラップ15と、少なくとも一部が重複する位置に配置されるように設定される。
【0025】
本実施形態の持ち手フラップ17は、スリット19の内側全体により構成され、持ち手用孔16に対応した楕円形状を有している。長径が上端フラップ15の端縁15aに沿って配置されるとともに、持ち手フラップ17の上方への折返し線20が上端フラップ15の端縁15aと略平行に配置される。
第1シート材11の持ち手フラップ17aが第2シート材12の持ち手用孔16に挿通された状態で上方へ折り返されることで、上端フラップ15が下方へ折り返されて配置されたとき、該上端フラップ15の端縁15aを被覆することができる。本実施形態では、持ち手フラップ17の楕円形状における長径位置又はその付近で上端フラップ15の端縁15aを被覆している。
【0026】
このような構成を有する手提げ紙袋を使用するには、図1の使用前の平坦な形状から、第1シート材11と第2シート材12の上端部を互いに離間させて上端開口14を拡開し、内部に各種の物品を収納する。
【0027】
次に図2及び図3に示すように、第1シート材11の上端フラップ15を上端開口14を塞いで第2シート材12側へ折り返すことで、第2シート材12の上端部及び持ち手フラップ17bを、第1シート材11の上端部と上端フラップ15との間に挟み込み、さらに接着手段18により上端フラップ15を第2シート材12の上端部に接着する。
【0028】
また第2シート材12の持ち手フラップ17bを上方へ折り返して上端フラップ15の外側に端縁15aを覆うように積層配置する。そして第1シート材11の持ち手フラップ17aを、第2シート材12の持ち手用孔16に挿通させて上方へ折り返し、第2シート材12の持ち手フラップ17bと重ね合わせて上端フラップ15の端縁15aを覆うように積層配置する。
【0029】
これにより第2シート材12の上端部を、第1シート材11の上端部と上端フラップ15と持ち手フラップ17とで取り囲んだ状態で積層配置することができる。この状態で使用者が持ち手用孔16に手指を挿通して把持することで、各種の物品が収容された手提げ紙袋10を携行することができる。
【0030】
以上のような本実施形態の手提げ紙袋10によれば、第1シート材11の上端部に下方へ折り返される上端フラップ15が設けられるとともに、持ち手用孔16内に上方へ折り返される持ち手フラップ17aが設けられ、裏側の持ち手フラップ17bとともに表側の持ち手フラップ17aが上方へ折り返されたときに、下方へ折り返された上端フラップ15の少なくとも一部に重複する。
【0031】
そのため上端フラップ15と持ち手フラップ17とのそれぞれを、各種の位置や形状となるように折り返すとともに、互いに組み合わせたり積層したりすることで、上端フラップ15と持ち手フラップ17との複合的な作用により、袋本体13の上端部の強度を向上することができる。これにより持ち手用孔16に手指を挿通して把持する際、収容される物品が重くても、袋本体13の上端部の破断を格段に抑制することが可能であり、特別な材料を用いることなく、袋本体13の強度を向上することができる。
【0032】
また本実施形態の手提げ紙袋10では、第1シート材11の上端フラップ15が、上端開口14を塞ぐように第2シート材12を挟んで下方へ折り返され、第1シート材11の持ち手フラップ17aが第2シート材12の持ち手用孔16に挿通されて上方へ折り返され、第2シート材12の持ち手フラップ17bと共に上端フラップ15の端縁15aを被覆している。そのため袋本体13の上端部では、第1シート材11の上端部、第2シート材12の上端部、上端フラップ15、及び持ち手フラップ17a,17bの5層が積層されることになるので、袋本体13の上端部の強度を向上でき、袋本体13の上端部の破断を抑制できる。
【0033】
そして二つの持ち手フラップ17a,17bにより、下方へ折り返された第1シート材11の上端フラップ15の端縁15aが被覆されるため、持ち手用孔16に手指を通して把持する際、手指が上端フラップ15の端縁15aに接触して傷付けるのが防止される。
【0034】
さらに本実施形態の手提げ紙袋10では、上端フラップ15及び持ち手フラップ17の少なくとも一方に、折り返して接着可能な接着手段18が設けられているので、これらのフラップ15,17を折り返した状態で保持でき、第1シート材11の上端部で積層一体化でき、袋本体13の上端部の強度を確実に向上できる。
【0035】
また本実施形態では、持ち手用孔16及び持ち手フラップ17が上端フラップ15に沿う横長の楕円形状に形成されるので、持ち手用孔16を把持した際、持ち手用孔16の内周縁に破断の起点となるような応力集中部位が存在しない。そのため持ち手用孔16の強度を確保することができ、より袋本体13の強度を向上することができる。
【0036】
[第2実施形態]
次に第2実施形態の手提げ紙袋について説明する。
図5に示すように、この手提げ紙袋10には袋本体13の上端部に吊下げ用孔21が設けられ、表側となる第1シート材11に袋本体13内を視認可能な窓部22が設けられている。その他は、第1実施形態と同様に構成されている。
【0037】
吊下げ用孔21は、持ち手用孔16の上方における幅方向の中心位置に、一対のシート材11,12を貫通して同一形状に設けられるとともに、上端フラップ15にも折り返したときに対応する位置に同一形状で設けられている。
そのため手提げ紙袋10内に物品を収容していない状態で上端開口14を上端フラップ15で閉じていないときには、一対のシート材11,12の吊下げ用孔21又は上端フラップ15の吊下げ用孔21の一方を用いて手提げ紙袋10を図示しない吊下げフックや吊下げバーなどに吊り下げておくことができる。
【0038】
また手提げ紙袋10内に物品を収容した状態で上端開口14を上端フラップ15で閉じているときには、一対のシート材11,12及び上端フラップ15の両方の吊下げ用孔21を用いて、手提げ紙袋10を図示しない吊下げフックや吊下げバーなどに吊り下げて展示等することができる。
【0039】
窓部22は、例えば第1シート材11に設けられた貫通開口であってもよく、貫通開口を透明又は半透明のシート材により被覆したものであってもよい。窓部22の形状は、例えば四角形、三角形、円形、楕円形、異形等、任意の形状でよく、ここでは四角形に形成され、窓部22を通して収容された物品を視認することができる。
【0040】
第2実施形態の手提げ紙袋10によれば、第1実施形態と同様の作用効果が得られることに加え、第1シート材11に袋本体13内を視認可能な窓部22が設けられて内部の物品を容易に視認できるため、手提げ紙袋10内に各種の物品を収容して展示することができる。これにより、持ち手用孔16を設けた手提げ紙袋10を単に物品の持ち運びに使用するだけでなく、各種の物品の展示に使用してそのまま持ち運べる容器として使用でき、便利である。
【0041】
なお上記実施形態1,2は、本発明の範囲内において適宜変更可能である。
例えば上記実施形態では、第1シート材11の上端フラップ15は略180°折り返して平坦な形状で接着手段18により第2シート材12の上端部に接着しており、一対のシート材11,12の両方の持ち手フラップ17a,17bは袋本体13の一方側に180°折り返して略平坦な形状で接着せずに積層配置しているが、これらは特に限定されるものではない。
【0042】
例えば一方又は双方の持ち手フラップ17a,17bに、上端フラップ15と同様に接着手段18を設け、一方又は双方の持ち手フラップ17a,17b、上端フラップ15、各シート材11,12の上端部を接着して積層することも可能である。また持ち手フラップ17a,17bの折り返し方向も特に限定されず、少なくとも一方の持ち手フラップ17により上端フラップ15の端縁15aを被覆できればよい。
さらに上端フラップ15や各持ち手フラップ17を各種の立体形状に成形して折り返すことで、強度を向上することも可能である。例えば、持ち手フラップ17に横方向に複数の山折りと谷折りを蛇腹状に設けて伸縮可能にすれば、ユーザーが持ち手用孔を把持する際、弾力性を伴って把持でき一層持ち易くすることができる。
【0043】
また上記実施形態では、上端フラップ15を接着するための接着手段18として、上端フラップ15の一方面のみに各種の接着材料を配置した例について説明したが、例えば図6に示すように、上端フラップ15と該上端フラップ15が接着される第2シート材12の上端部との両方に接着手段を設けていてもよい。その場合、図6のように、一方に両面テープを配置し、他方に両面テープが剥離可能に粘着するテープを配置してもよい。このようにすることで上端フラップにより上端開口を閉じたり開放したりすることが容易に行うことができ使い勝手がよい。
【0044】
さらに上記実施形態では、袋本体13として略四角形の縦長形状を有する郵便封筒と同様の袋について説明したが、袋本体13の形状は適宜変更可能である。
例えば図7(a)に示すように、互いに対向する一対のシート材11,12の左右両側縁間にマチを設け、或いは図7(b)に示すように互いに対向する一対のシート材11,12の左右両側縁間と両下端間の底部にマチを設けてガセット形状に製作してもよい。さらに図7(c)に示すように、縦長ではなく横長形状とすることもできる。
【0045】
上記実施形態では、楕円形状の持ち手フラップ17が上方に折り返された際、下方へ折り返された上端フラップ15の端縁15aを楕円形状の長径付近で被覆するように配置したが、例えば持ち手フラップ17の折り返し位置となる屈曲線を上端フラップ15の端縁15aの位置に配置してもよい。持ち手用孔16及び持ち手フラップ17の楕円形状には、横長の多角形形状で各角部が大きなR形状に形成された所謂小判形などの略楕円形状が同様に含まれていてもよい。
【実施例0046】
次に、本発明の手提げ紙袋10を試作した実施例について説明する。
[実施例1]
図1乃至図3に示す第1実施形態の手提げ紙袋を作製し、JIS L 1096 A法に準拠して持ち手の引張強さを測定した。
【0047】
手提げ紙袋10として、晒紙からなり、規格サイズの角0封筒を用いた。この手提げ紙袋10に、上端フラップ42mm、本体の縦382mm×横287mm、の長方形形状の持ち手用孔16を、幅方向の中心に、上端フラップ15を閉じた状態における上端縁からの距離44mmとなる位置に形成した。
【0048】
持ち手フラップ17は持ち手用孔16に対応した形状であり、各シート材11,12の上端部との連結部分は幅60mmであった。持ち手用孔16に幅70mmの帯紐を通し、この帯紐を定速伸長形の引張試験器で把持し、10cm/minの引張速度で上下に引っ張ることで、持ち手用孔16の引張強さを測定したところ、破断強度が51.8Nであった。
【0049】
[実施例2]
一対の持ち手フラップ17a,17bを袋本体の内側に折り返した他は、全て実施例1と同様にして持ち手用孔16の引張強さを測定したところ、破断強度は50.2Nであった。
[比較例]
上端フラップ15及び持ち手フラップ17を切断除去した他は、全て実施例1と同様にして持ち手用孔16の引張強さを測定したところ、破断強度は41.3Nであった。
【0050】
実施例1,2と比較例との比較により、実施形態の手提げ紙袋10によれば、持ち手用孔16における十分な強度が確保できることが明らかであった。
【0051】
[実施例3]
次に吊下試験を行った。
吊下試験では、実施例1と同一の手提げ紙袋10を用い、内容物として650gの冊子1冊を収容し、持ち手用孔16に幅70mmの帯を通してこの帯をフックに係止して吊り下げ、40日間、室温環境下で放置した。その結果、40日間で全く異常がなく吊下げ状態を保つことができた。
【符号の説明】
【0052】
10 手提げ紙袋
11 第1シート材(一方のシート材)
12 第2シート材(他方のシート材)
13 袋本体
14 上端開口
15 上端フラップ
15a 端縁
16 持ち手用孔
17 持ち手フラップ
18 接着手段
19 スリット
21 吊下げ用孔
22 窓部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7