(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101119
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】空気清浄機
(51)【国際特許分類】
A61L 9/015 20060101AFI20220629BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20220629BHJP
F24F 7/003 20210101ALI20220629BHJP
F24F 1/0076 20190101ALI20220629BHJP
F24F 1/0071 20190101ALI20220629BHJP
F24F 11/64 20180101ALI20220629BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20220629BHJP
F24F 11/30 20180101ALI20220629BHJP
【FI】
A61L9/015
A61L9/20
F24F7/003 100
F24F1/0076
F24F1/0071
F24F11/64
F24F11/70
F24F11/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215517
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鹿又 憲紀
(72)【発明者】
【氏名】関根 康人
(72)【発明者】
【氏名】小林 正幸
【テーマコード(参考)】
3L051
3L260
4C180
【Fターム(参考)】
3L051BC02
3L051BC03
3L260AB18
3L260BA09
3L260CB62
3L260EA14
3L260FA13
3L260FC25
3L260FC28
4C180AA02
4C180AA07
4C180CA06
4C180DD03
4C180EA17X
4C180HH05
4C180HH17
4C180LL06
(57)【要約】
【課題】空間の除菌性能及び脱臭性能の向上に有利な空気清浄機を提供すること。
【解決手段】空気清浄機1は、排気口として機能する排気部13と紫外線ランプ22との間における排気部13の近傍かつ直下の位置にオゾン発生器23が配置され、紫外線ランプ22の上方に遮光部材26,27が配置され、遮光部材27とオゾン発生器23との間に仕切り部材25が配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
清浄機本体内に紫外線ランプを備え、送風ファンにより前記紫外線ランプの下方の吸気口から前記紫外線ランプに向けて空気を送風し、前記清浄機本体の上部に設けられた排気口から排気させる空気清浄機において、
前記排気口と前記紫外線ランプとの間における前記排気口の近傍かつ直下の位置にオゾン発生器が配置され、
前記紫外線ランプの上方に遮光部材が配置され、
前記遮光部材と前記オゾン発生器との間に仕切り部材が配置されていることを特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
前記仕切り部材は、前記排気口側が開口する中空箱形状を有し、
前記紫外線ランプ側の面が、開口部の無い遮光板で形成されており、前記遮光板における前記オゾン発生器側の空間が、前記紫外線ランプ側の空間に連通していることを特徴とする請求項1に記載の空気清浄機。
【請求項3】
前記遮光部材は、上方に開口する開口部と、前記開口部を通じた前記紫外線ランプの光の所定方向への漏れを規制する傾斜壁とを有し、
前記所定方向は、前記空気清浄機の正面側の方向を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気清浄機。
【請求項4】
前記オゾン発生器のONとOFFのデューティ比を可変制御可能な制御部を備え、
前記制御部は、前記可変制御の一態様として、周囲空間のオゾン濃度を所定濃度以下に抑える制御を行う機能を有していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の空気清浄機。
【請求項5】
オゾン発生量の選択を受け付ける操作部を有し、
前記制御部は、前記操作部により選択された、前記オゾン発生量の選択に応じて前記デューティ比を変更することを特徴とする請求項4に記載の空気清浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
病院の待合室や学校、役所、図書館などの公共施設、オフィスなどの空間において、感染症対策としてカビやウィルスを殺菌(ウィルスの不活化)する必要性が高まっている。空間の殺菌を行う装置として、持ち運び可能な空気清浄機が多く用いられている。この種の空気清浄機には、ケーシングの下部に紫外線ランプを配置し、紫外線ランプの上方かつケーシング側面にオゾン発生器を配置し、オゾン発生器よりも上方に位置するケーシングの上部に送風ファンを配置し、紫外線とオゾンとによって空気を清浄化するものがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の空気清浄機は、各種空間内の空気や空間を構成する壁面、床面、天井面、該空間内に配置された各種設備などの表面を除菌、脱臭したり、浮遊したり付着したりする菌、及び、カビやウィルスを効率よく殺菌することが望まれる。
殺菌や脱臭にオゾンを使用する場合、オゾン濃度を規制値(例えば、労働衛生基準の規格値0.1[ppm]、又はIEC空気清浄機規格の規格値0.05[ppm])以下にする必要がある。
【0005】
本発明は、空間の除菌性能及び脱臭性能の向上に有利な空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、清浄機本体内に紫外線ランプを備え、送風ファンにより前記紫外線ランプの下方の吸気口から前記紫外線ランプに向けて空気を送風し、前記清浄機本体の上部に設けられた排気口から排気させる空気清浄機において、前記排気口と前記紫外線ランプとの間における前記排気口の近傍かつ直下の位置にオゾン発生器が配置され、前記紫外線ランプの上方に遮光部材が配置され、前記遮光部材と前記オゾン発生器との間に仕切り部材が配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の他の態様は、上記空気清浄機において、前記仕切り部材は、前記排気口側が開口する中空箱形状を有し、前記紫外線ランプ側の面が、開口部の無い遮光板で形成されており、前記遮光板における前記オゾン発生器側の空間が、前記紫外線ランプ側の空間に連通していることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の態様は、上記空気清浄機において、前記遮光部材は、上方に開口する開口部と、前記開口部を通じた前記紫外線ランプの光の所定方向への漏れを規制する傾斜壁とを有し、前記所定方向は、前記空気清浄機の正面側の方向を含むことを特徴とする。
【0009】
本発明の他の態様は、上記空気清浄機において、前記オゾン発生器のONとOFFのデューティ比を可変制御可能な制御部を備え、前記制御部は、前記可変制御の一態様として、周囲空間のオゾン濃度を所定濃度以下に抑える制御を行う機能を有していることを特徴とする。
【0010】
本発明の他の態様は、上記空気清浄機において、オゾン発生量の選択を受け付ける操作部を有し、前記制御部は、前記操作部により選択された、前記オゾン発生量の選択に応じて前記デューティ比を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、空間の除菌性能及び脱臭性能の向上に有利な空気清浄機が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る空気清浄機の正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る空気清浄機の側面図である。
【
図4】仕切り部材を周辺構成と共に斜め上方から見た図である。
【
図5】仕切り部材を周辺構成と共に斜め後方から見た図である。
【
図6】仕切り部材を周辺構成と共に斜め前方から見た図である。
【
図8】オゾン発生器の制御に関わる動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る空気清浄機の正面図であり、
図2は側面図である。以下の説明において、各方向は空気清浄機1を正面から見たときの各方向である。
図1などの各図において、上方向を符号UPで示し、右方向を符号LHで示し、前方向を符号FRで示している。
【0014】
空気清浄機1は、周囲の空気を取り込んで紫外線により空気を殺菌し、殺菌した空気にオゾンを含ませて放出することによって空間の除菌及び脱臭を行う装置である。この空気清浄機1は、空気殺菌装置、又は空気循環式清浄機と言うこともできる。空気清浄機1は、空気清浄対象の空間の床に載置される固定台2と、固定台2との間に隙間を空けて支持される清浄機本体(本体部とも言う)3とを備えている。
【0015】
清浄機本体3は、上下方向に延出する矩形断面の箱形に形成され、清浄機本体3の下面には吸気口11が設けられ、清浄機本体3の上部には、上部カバー12が装着されている。上部カバー12は、排気口として機能する中空箱形の排気部13を上方から覆う。この上部カバー12は、正面及び左右に開口を有し、各開口から排気部13からの空気を排気する。排気部13は、例えば多穴構造の金属板を折り曲げて形成されている。
【0016】
上部カバー12には、外部に露出する複数の操作子15(
図2)が設けられている。また、上部カバー12と排気部13との間には、制御基板16、及びオゾン発生器電源17を収容する電装ボックスが設けられている。制御基板16は、複数の操作子15の操作に応じて空気清浄機1の各部の動作を制御する。オゾン発生器電源17は、制御基板16を介し、オゾン発生器23の駆動に必要な直流電圧を出力する。
【0017】
複数の操作子15は、空気清浄機1の電源をON/OFFする電源スイッチ15Aと、オゾン発生器23をON/OFFするオゾンスイッチ15Bと、オゾン発生量をLo(低)とHi(高)の2種類のいずれかに切り換えるオゾン選択スイッチ15Cとを含んでいる。各スイッチ15A~15Cの位置は適宜に変更してもよい。なお、オゾン選択スイッチ15Cは、本発明の「オゾン発生量の選択を受け付ける操作部」に相当する。
清浄機本体3は、本体カバー3Aで覆われており、本体カバー3A(本実施形態では本体カバー3Aの前面部分である前面カバー)を取り外すことによって清浄機本体3内へのアクセスが容易である。
【0018】
図3は、清浄機本体3の内部構造を示す図である。
清浄機本体3の内部には、送風ファン21、紫外線ランプ22及びオゾン発生器23が配置されている。送風ファン21は、清浄機本体3の下部に配置され、より具体的には、清浄機本体3の下面における吸気口11に対応する領域に支持されている。この送風ファン21の駆動によって、吸気口11周囲の空気が吸気口11から清浄機本体3内に吸引され、吸引された空気が清浄機本体3内を上方に向けて送風される。なお、
図3には、送風ファン21による空気の流れを矢印で示している。
【0019】
紫外線ランプ22は、直管型であり、清浄機本体3の上下方向に沿って配置される。紫外線ランプ22は、清浄機本体3の下部に配置された送風ファン21と、清浄機本体3の上部に配置されたオゾン発生器23との間に渡って配置される。この紫外線ランプ22には、清浄機本体3を上下に三等分したときに少なくとも中間部を上下に横断する長い管が採用される。これによって、空気に対する紫外光の照射量を十分に確保し、殺菌性能を高めることができ、空気に含まれる浮遊菌を十分に不活化できる。
【0020】
図3には、紫外線ランプ22が、ランプ支持部材22Aによって、左右に間隔を空けて2本支持された場合を示している。但し、この構成に限定されず、紫外線ランプ22の本数や長さは適宜に変更してもよい。
オゾン発生器23は、清浄機本体3の上部に配置される。より具体的には、清浄機本体3の上部には、排気部13を支持する上板部材3Tがあり、この上板部材3Tの裏側(排気部と反対側)に不図示のブラケットを介してオゾン発生器23が支持される。上板部材3Tは、排気部13とオゾン発生器23とを連通させる開口部3K(
図3)を有している。オゾン発生器23は、制御基板16の制御の下、オゾン発生器電源17からの直流電圧が印可されることによって、誘電体(ガラス)を介した電極間に交流電圧が駆動され、オゾンを発生する。オゾンは、開口部3Kを通過して空気と共に排気部13へ移動し、排気部13から外に放出される。
【0021】
本構成では、
図3に示すように、オゾン発生器23を、排気口として機能する排気部13と紫外線ランプ22との間における排気部13の近傍かつ直下の位置に配置している。換言すると、オゾン発生器23を、排気部13と紫外線ランプ22との間における排気部13に相対的に近く、紫外線ランプ22から相対的に離れた位置に配置し、若しくは、排気部13寄りの位置に配置している。
これにより、オゾン発生器23で発生したオゾンを速やか、かつ直接的に外部に放出でき、空間の除菌及び脱臭に必要なオゾンを供給できる。
また、本構成では、
図3に示すように、オゾン発生器23と紫外線ランプ22との間に、オゾン発生器23側の空間と紫外線ランプ22側の空間とを仕切る仕切り部材25を配置している。
【0022】
図4は、仕切り部材25を周辺構成と共に斜め上方から見た図である。
図5は、仕切り部材25を周辺構成と共に斜め後方から見た図である。
図6は、仕切り部材25を周辺構成と共に斜め前方から見た図である。
仕切り部材25は、排気口(排気部13)側である上方が開口する中空箱形状を有している。より具体的には、仕切り部材25は、
図5及び
図6に示すように、空気清浄機1の後方側(背面側)、及び、前方(正面側)から見て、上方が開口するコ字状(門型とも言う)の断面で前後方向に延在する形状を有している。この仕切り部材25は、上板部材3Tから左右に間隔を空けて下方に延びる左右の側板25Aと、左右の側板25Aの下縁間をつなぐ底板25Bとによって構成される。底板25Bは、空気清浄機1の後方側に折り曲げ部を備える。これら側板25A及び底板25Bで囲まれる空間にオゾン発生器23が配置されている。仕切り部材25を構成する部材は、紫外線ランプ22の光を遮光可能な部材で形成され、例えば、ステンレス製の金属板で形成されている。
【0023】
仕切り部材25の底板25Bは開口部の無い板材で形成され、仕切り部材25の前後が開口すると共に、左右の側板25Aには開口部25Kが設けられている。底板25Bの上方空間、つまり、紫外線ランプ22側の空間は、オゾン発生器23側の空間を介して、上板部材3Tの開口部3K(
図3)に連通する。これによって、紫外線ランプ22側からの空気を、底板25Bを回り込ませてオゾン発生器23側の空間に導入させることができ、空気でオゾンを攪拌し易くなる。
この場合、仕切り部材25の前後左右が開口しているので、オゾン発生器23周囲に空気を流通させ易く、空気抵抗の増大も抑え易くなる。つまり、仕切り部材25は、空気流によるオゾンの攪拌を促すオゾン攪拌部材と言うこともできる。
【0024】
仕切り部材25の底板25Bは開口部の無い板材で形成されているので、底板25Bは、紫外線ランプ22の光がオゾン発生器23に当たることを防止する遮光板として機能する。紫外線ランプ22の光がオゾン発生器23に当たることを防止するので、紫外線ランプ22の光が排気口(排気部13)側に漏れることも防止できる。
【0025】
図4に示すように、仕切り部材25と紫外線ランプ22との間には、紫外線ランプ22の光の一部(本実施形態では正面側への光)を遮光可能な遮光部材26,27が配置されている。つまり、これら遮光部材26,27は、紫外線ランプ22の光のうち、オゾン発生器23と異なる所定方向(本実施形態では正面側の方向)への漏れを規制する遮光部材として機能する。説明の便宜上、遮光部材26,27を特に区別して表記する場合、「第1遮光部材26」、及び「第2遮光部材27」とそれぞれ表記する。
【0026】
第1遮光部材26は、紫外線ランプ22の上端を含めてランプ支持部材22Aの上方を覆う板部材である。第1遮光部材26は、上方に開口する複数の開口部26Aを左右及び前後に間隔を空けて備え、各開口部26Aの前縁(正面側の縁に相当)から後上方に傾斜する複数の傾斜壁26Bを備えている。複数の開口部26Aによって、紫外線ランプ22で殺菌された空気を上方に排出し、複数の傾斜壁26Bによって紫外線ランプ22の光を正面方向に漏れ難くしている。
また、ランプ支持部材22Aの下方についても、第1遮光部材26を上下逆に配置した部品からなる遮光部材28が配置されている。
【0027】
第2遮光部材27は、第1遮光部材26と仕切り部材25との間に延在する板部材であり、換言すると、第1遮光部材26を通過した空気の通り道を覆う板部材である。第2遮光部材27は、第1遮光部材26の開口部26Aよりも大面積で上方に開口する複数の開口部27Aを、前後方向に間隔を空けて備え、各開口部27Aの前縁(正面側の縁に相当)から後上方に傾斜する複数の大型の傾斜壁27Bを備えている。複数の開口部26Aによって、紫外線ランプ22で殺菌された空気を上方に排出し、複数の傾斜壁26Bによって紫外線ランプ22の光を正面方向により漏れ難くしている。
【0028】
これら傾斜壁27B,26Bは、紫外線ランプ22側の空気を後ろ上方に案内する風向き調整板としても機能するので、紫外線ランプ22側の空気の殆どを仕切り部材25の後側に案内し易くなる。したがって、空気清浄機1の正面側からの空気の漏れも回避し易くなる。遮光部材26~28を構成する部材は、紫外線ランプ22の光を遮光可能な部材であり、例えば、ステンレス製の金属板である。
なお、第1遮光部材26~28が有する開口部26A,27A、及び傾斜壁26B,27Bの数及び形状については適宜に変更してもよい。
【0029】
また、本構成では、空気清浄機1の内部にはフィルターを設けない構成としている。
フィルターを設けることで、空気の流れが阻害されるため、広い処理空間を実現するためには、強力なファンが必要となる。強力なファンを設けると発生する音も大きくなるため、フィルターを設けないことで同じ処理空間の広さであっても静音化が可能となる。
【0030】
次に、オゾン発生器23の制御に関わる構成及び制御について説明する。
図7は、制御基板16のブロック図である。
制御基板16は、制御部31と、指示入力部32と、駆動部33と、記憶部34とを備えている。なお、制御基板16が上記構成31~34以外の構成を更に備えていてもよい。制御部31は、CPU及び周辺回路を備え、記憶部34に記憶された制御プログラム34Aを実行することにより空気清浄機1の各部を中枢的に制御する。この制御部31は、時間を計測する計時機能も有している。
【0031】
指示入力部32は、複数の操作子15を介してユーザの各種の指示を入力する。この指示入力部32は、外部機器との間で各種の指示やデータなどを入出力するための通信ユニットを備えてもよい。
駆動部33は、制御部31の制御の下、送風ファン21、紫外線ランプ22及びオゾン発生器23を駆動する。記憶部34は、制御プログラム34A、各種のパラメータ34B、及び設定データ34Cなどを記憶している。
【0032】
パラメータ34Bは、オゾン発生器23の制御に関わるパラメータを含み、具体的には、オゾン発生器23をデューティ制御するためのパラメータデータを含んでいる。デューティ制御は、オゾン発生器23のONの時間とOFFの時間の割合を規定するデューティ比を制御することによって、単位時間当たりのオゾン発生量を制御するものである。デューティ比を制御することにより、所望のオゾン発生量を得やすくなる。
デューティ比は、例えば、ONの時間を10%とした値10から、10%単位でオンの時間を異ならせた値20,30,40,50,60などが規定される。なお、デューティ比の種類などは適宜に設定すればよい。
【0033】
人が存在する空間にオゾンを放出する場合、オゾン濃度を規制値(例えば、労働衛生基準の規格値0.1[ppm]、又はIEC空気清浄機規格の規格値0.05[ppm])以下にする必要がある。
この空気清浄機1に採用されるオゾン発生器23は、予め設定された使用条件を満たす容積の空間内でデューティ比が所定値以上の条件で継続運転されると、オゾン濃度が上記規制値を超えるおそれがある高出力タイプである。なお、デューティ比が所定値未満であれば、オゾン発生量が少ないので、継続運転してもオゾン濃度は時間とともに自己分解するためオゾン濃度は平衡状態となり、上記規制値を超えない。また、空気が循環することで、空気清浄機1の吸気口11から吸い込んだオゾンは、紫外線により分解されるためオゾン濃度の上昇が抑制される。
【0034】
オゾン濃度が上記規制値を超えるおそれのあるデューティ比については、この空気清浄機1の使用条件に適合する空間の容積に対し、オゾン濃度が上記規制値(例えば0.05[ppm)を超えない条件を満足する継続時間Xを、予め測定又はシミュレーションによって特定している。
そして、特定されたデューティ比毎の継続時間Xについては、上記パラメータ34Bに含めている。なお、継続時間Xは、オゾン濃度が上記規制値を超えない最大継続時間に限定されず、オゾン濃度が上記規制値を超えない継続時間を広く適用可能である。
【0035】
設定データ34Cは、オゾン選択スイッチ15Cによって選択可能なLo(低排出に相当)とHi(高排出に相当)の2種類のオゾン発生量を規定するデータと、Hiの場合の上記継続時間Xとを含んでいる。
本構成では、
図7に一例を示すように、設定データ34Cは、オゾンLo排出用の第1デューティ比D1と、オゾンHi排出用の第2デューティ比D2と、第2デューティ比D2の場合に上記規制値を超えない継続時間Xと、を含んでいる。
【0036】
なお、第1デューティ比D1は、このデューティ比D1でオゾン発生器23を継続運転してもオゾン濃度が上記規制値を超えないデューティ比である。一方、第2デューティ比D2は、このデューティ比D2でオゾン発生器23を、継続時間Xを超えて運転すると、オゾン濃度が上記規制値を超える可能性のあるデューティ比である。
【0037】
本構成では、設定データ34Cに採用されるデータが、記憶部34内のパラメータ34Bに予め含まれているので、ユーザやメーカ作業員などが所望の設定データ34Cを容易に選択したり、変更したりすることが可能である。
但し、この構成に限定されず、記憶部34にパラメータ34Bを記憶させず、外部機器を利用して設定データ34Cを設定する方法、又は、操作子を利用して設定データ34Cを設定する方法などを採用してもよい。
【0038】
図8は、オゾン発生器23の制御に関わる動作を示すフローチャートである。
本フローチャートは、電源スイッチ15AがONの間、所定の周期で繰り返し実行される処理である。なお、電源スイッチ15AがONの場合、制御部31は、送風ファン21、及び紫外線ランプ22を駆動している。
まず、制御部31は、オゾンスイッチ15BがONか否かを判定し(ステップS1)、ONでない場合(ステップS1;NO)、当該フローチャートの処理を一端終了する。一方、ONの場合(ステップS1;YES)、制御部31は、オゾン選択スイッチ15Cによってオゾン発生量がHiの状態が選択された状態か否かを判定する(ステップS2)。
【0039】
オゾンHiが選択されていない状態の場合(ステップS2;NO)、制御部31は、設定データ34C中の第1デューティ比D1を読み出し、第1デューティ比D1に基づいて、駆動部33によりオゾン発生器23を駆動させる。つまり、オゾンHiが選択されていない状態の場合、制御部31は、オゾンLoが選択されているものとして、オゾン発生器23からオゾンLoに対応するオゾン量を発生させる。
【0040】
一方、オゾン選択スイッチ15Cによってオゾン発生量がHiの状態(オゾンHi)が選択された状態の場合(ステップS2;YES)、制御部31は、設定データ34C中の第2デューティ比D2を読み出し、第2デューティ比D2に基づいて、駆動部33によりオゾン発生器23を駆動させる。これにより、制御部31は、オゾン発生器23からオゾンHiに対応するオゾン量を発生させる。
次に、制御部31は、第2デューティ比D2でオゾン発生器23を駆動してからの経過時間を監視し、経過時間が、設定データ34C中の継続時間Xを超えたか否かを判定する(ステップS5)。
【0041】
経過時間が継続時間Xを超えていない場合(ステップS5;NO)、制御部31は、ステップS4の処理に移行する。これにより、経過時間が継続時間Xを超えていない間、第2デューティ比D2に対応するオゾン発生量で、オゾン発生器23が継続して駆動される。これにより、空間の除菌及び脱臭を短時間で行うことができる。
【0042】
経過時間が継続時間Xを超えると(ステップS5;YES)、制御部31は、オゾン発生器23が駆動する際のデューティ比を、第2デューティ比D2から、設定データ34C中の第1デューティ比D1に切り換える(ステップS6)。これにより、オゾン濃度が上記規制値を超える事態を回避しながら、オゾンを利用した空間の除菌及び脱臭を継続することができる。
なお、第1デューティ比D1に切り換える態様に限定しなくてもよく、オゾン濃度が上記規制値を超える事態を回避可能なデューティ比に切り換えればよい。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の空気清浄機1は、排気部13と紫外線ランプ22との間における排気部13の近傍かつ直下の位置にオゾン発生器23が配置される。この構成により、オゾン発生器23で発生したオゾンを速やか、かつ直接的に外部に放出でき、空間の除菌及び脱臭に必要なオゾンを供給するため、空間の除菌性能及び脱臭性能の向上に有利である。
【0044】
また、紫外線ランプ22の上方に遮光部材26,27が配置され、遮光部材27とオゾン発生器23との間に仕切り部材25が配置される。遮光部材26,27は、紫外線ランプ22の光のうち、オゾン発生器23と異なる所定方向への漏れを規制する。また、仕切り部材25は、オゾン発生器23への上記光を遮光可能である。これにより、紫外線ランプ22の光がオゾン発生器23に当たることを防止すると共に、排気部13から外に漏れることを防止できる。したがって、オゾン発生器23及びオゾンが紫外線ランプ22の光の影響を受ける事態を防止でき、空間の除菌性能及び脱臭性能の向上、及び性能維持により有利になる。
【0045】
また、仕切り部材25は、排気部13側が開口する中空箱形状を有し、紫外線ランプ22側の面が、開口部の無い遮光板として機能する底板25Bで形成されており、底板25Bにおけるオゾン発生器23側の空間が、紫外線ランプ22側の空間に連通している。この構成により、紫外線ランプ22側からの空気を、底板25Bを回り込ませてオゾン発生器23側の空間に導入させることができ、空気でオゾンを攪拌し易くなる。これにより、空気中にオゾンを分散させ易くなり、空気清浄機1が設置される空間の隅々までオゾンを行き渡らせ易くなる。
【0046】
また、遮光部材26,27は、上方に開口する開口部26A,27Aと、開口部26A,27Aを通じた上記光の所定方向への漏れを規制する傾斜壁26B,27Bとを有し、上記所定方向は、空気清浄機1の正面側の方向とされる。これにより、簡易な構成で、空気清浄機1の正面側への上記光の漏れを防ぐことができる。なお、上記所定方向は、空気清浄機1の正面側以外の方向を含んでもよく、例えば左右及び背面方向のいずれかの方向を含んでもよい。
本構成では、遮光部材26,27の開口部26A,27Aから紫外線ランプ22の光が正面側などに漏れたとしても、仕切り部材25によって、漏れた光をある程度、遮光することが可能である。したがって、遮光部材26,27から紫外線ランプ22の正面側などへの光の漏れをある程度許容でき、遮光部材26,27の設計自由度が向上し、他機種との遮光部材26,27の共用化がし易くなる。
【0047】
さらに、空気清浄機1は、オゾン発生器23のONとOFFのデューティ比を可変制御可能な制御部31を備えている。この制御部31は、可変制御の一態様として、周囲空間のオゾン濃度を所定濃度以下(例えば0.05[ppm]以下)に抑える制御を行う機能を有している。これにより、オゾン発生器23に高出力タイプを採用しても、所望のオゾン排出量に調整し、かつ、周囲空間のオゾン濃度が規制値を超えないように自動制御できる。また、オゾン濃度を検出するセンサが不要になる分、空気清浄機1の部品点数を低減できる。
【0048】
さらに、オゾン発生量の選択を受け付ける操作部として機能するオゾン選択スイッチ15Cを有し、制御部31は、オゾン選択スイッチ15Cにより選択された、オゾン発生量の選択に応じてデューティ比を変更する(切り換える)。これにより、ユーザが所望する除菌性能及び脱臭性能を得やすくなる。
【0049】
また、オゾン発生量をLoとHiの2種類から選択可能とし、Hiが選択された場合、Hiに対応するデューティ比で制御し、予め設定した継続時間Xを超えると、オゾン発生量を低減させるデューティ比に切り換える。これにより、オゾン濃度を規制値以下にしながら空間の除菌及び脱臭の時間短縮が可能になる。
【0050】
上記実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
例えば、
図1などに示す空気清浄機1に本発明を適用する場合を例示したが。これに限定されず、形状及び構造が異なる空気清浄機に本発明を適用してもよい。さらに、仕切り部材25、及び遮光部材26,27の構造及び形状についても適宜に変更してもよい。仕切り部材25だけで十分に遮光可能な場合、遮光部材26,27のいずれかを省略してもよい。
【0051】
また、
図7に示す制御基板16の構成は、ハードウェアで実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアの協働により実現される構成としてもよい。また、
図8に示すフローチャートの処理単位の分割の仕方や処理順序は図示した例に限定されない。また、オゾン選択スイッチ15Cによってオゾン発生量を2種類から選択する場合を説明したが、3種類以上から選択するようにしてもよいし、オゾン発生量を1種類にしてもよい。
【0052】
また、制御プログラム34Aを、制御部31などのコンピュータが読み取り可能に記録した記録媒体に記録し、制御部31が記録媒体から制御プログラム34Aを読み出して実行するようにしてもよい。また、制御プログラム34A、パラメータ34B、及び設定データ34Cなどを、インターネットなどの通信ネットワークを介してダウンロード可能にし、制御部31が、ダウンロードした制御プログラム34Aを実行する構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 空気清浄機
3 清浄機本体
3T 上板部材
11 吸気口
12 上部カバー
13 排気部(排気口)
15 操作子
15A 電源スイッチ
15B オゾンスイッチ
15C オゾン選択スイッチ(操作部)
16 制御基板
21 送風ファン
22 紫外線ランプ
23 オゾン発生器
25 仕切り部材
25B 底板(遮光板)
26,27,28 遮光部材
26A,27A 開口部
26B,27B 傾斜壁
31 制御部