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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101156
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
B25F5/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215583
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 友幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 紀一
【テーマコード(参考)】
3C064
【Fターム(参考)】
3C064AA02
3C064AB02
3C064AC02
3C064BA01
3C064BA35
3C064BB01
3C064BB42
3C064BB83
3C064CA03
3C064CA06
3C064CA09
3C064CA10
3C064CA24
3C064CA27
3C064CA29
3C064CA53
3C064CB07
3C064CB08
3C064CB13
3C064CB14
3C064CB17
3C064CB19
3C064CB32
3C064CB36
3C064CB62
3C064CB73
3C064CB74
3C064CB75
3C064CB83
(57)【要約】
【課題】電動工具の性能の低下を抑制すること。
【解決手段】電動工具は、前後方向に延伸する回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、少なくとも一部がモータよりも前方に配置されロータにより回転される出力部と、モータの少なくとも一部を収容するモータ収容部と、モータ収容部から下方に突出するグリップ部と、を備える。ロータは、ロータ磁石が固定されるコア部と、コア部の端面から突出しロータベアリングに支持されるシャフト部と、を有する。コア部とシャフト部とは、単一部材である。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延伸する回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、
少なくとも一部が前記モータよりも前方に配置され前記ロータにより回転される出力部と、
前記モータの少なくとも一部を収容するモータ収容部と、
前記モータ収容部から下方に突出するグリップ部と、を備え、
前記ロータは、ロータ磁石が固定されるコア部と、前記コア部の端面から突出しロータベアリングに支持されるシャフト部と、を有し、
前記コア部と前記シャフト部とは、単一部材である、
電動工具。
【請求項2】
前記シャフト部は、前記コア部の端面と前記ロータベアリングとの間に設けられ径方向外側に突出する凸部を有し、
前記凸部により段差部が設けられる、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記凸部は、前記回転軸を囲むように配置される、
請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記ロータは、前記コア部の端面に接着剤により固定されるセンサ用磁石を有する、
請求項2又は請求項3に記載の電動工具。
【請求項5】
前記シャフト部は、前記ロータベアリングが接触する段差部を有する、
請求項1に記載の電動工具。
【請求項6】
前記シャフト部は、前記コア部の前端面から前方に突出する前側シャフト部と、前記コア部の後端面から後方に突出する後側シャフト部と、を含み、
前記ロータベアリングは、前記前側シャフト部を支持する前側ロータベアリングと、前記後側シャフト部を支持する後側ロータベアリングと、を含む、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項7】
前記前側シャフト部の外径は、前記後側シャフト部の外径よりも大きい、
請求項6に記載の電動工具。
【請求項8】
前記ロータの回転を前記出力部に伝達する減速機構を備え、
前記前側シャフト部の前端部に、前記減速機構の少なくとも一部に連結されるピニオンギヤが形成される、
請求項6又は請求項7に記載の電動工具。
【請求項9】
前記前側ロータベアリングの内径は、前記ピニオンギヤの外径よりも大きい、
請求項8に記載の電動工具。
【請求項10】
前記出力部は、前記減速機構により伝達された前記ロータの回転により回転するスピンドルを含み、
前記スピンドルを支持するスピンドルベアリングを備え、
前後方向において、前記前側ロータベアリングと前記スピンドルベアリングの少なくとも一部とは、オーバーラップする、
請求項8又は請求項9に記載の電動工具。
【請求項11】
前記スピンドルの周囲の少なくとも一部に配置され前記スピンドルベアリングを保持するベアリングボックスを備え、
前記スピンドルベアリングの内輪が前記ベアリングボックスに固定され、前記スピンドルベアリングの外輪が前記スピンドルに固定される、
請求項10に記載の電動工具。
【請求項12】
ロータ磁石、前記ロータ磁石が固定されるコア部、及び前記コア部の端面から前後方向に突出するシャフト部を含むロータと、前記ロータよりも径方向外側に配置されるステータコア、及び前記ステータコアに装着されるコイルを含むステータと、を有するブラシレスモータと、
前記シャフト部の前端部に形成されるピニオンギヤと、
前記ピニオンギヤに噛み合うプラネタリギヤと、
前記プラネタリギヤに噛み合うインターナルギヤと、
前記プラネタリギヤにより回転される出力部と、
前記ピニオンギヤ、前記プラネタリギヤ、及び前記インターナルギヤを収容するハンマケースと、
前記ブラシレスモータの少なくとも一部を収容するモータ収容部と、
前記モータ収容部から下方に突出するグリップ部と、を備え、
前記コア部と前記シャフト部とは、単一部材である、
電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具に係る技術分野において、特許文献1に開示されているような電動工具機構が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-096722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動工具は、動力源としてモータを有する。モータのロータは、ロータコア及びロータコアに固定されるロータシャフトを有する。ロータシャフトの回転により、電動工具の出力部が回転する。ロータシャフトがロータコアに圧入されることによりロータコアとロータシャフトとが固定される場合、電動工具を用いる作業においてロータコアとロータシャフトとが相対的にスリップしてしまう可能性がある。また、ロータコアの中心軸とロータシャフトの中心軸とを一致させることが困難となる可能性がある。ロータコアとロータシャフトとが相対的にスリップしたり、ロータコアの中心軸とロータシャフトの中心軸とが一致しなかったりすると、モータの動力が出力部に適切に伝達されなくなり、電動工具の性能が低下する可能性がある。
【0005】
本開示は、電動工具の性能の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の開示に従えば、前後方向に延伸する回転軸を中心に回転するロータを有するモータと、モータよりも前方に配置されロータにより回転される出力部と、モータを収容するモータ収容部と、モータ収容部から下方に突出するグリップ部と、を備え、ロータは、ロータ磁石が固定されるコア部と、コア部の端面から突出しロータベアリングに支持されるシャフト部と、を有し、コア部とシャフト部とは、単一部材である、電動工具が提供される。
【0007】
第2の開示に従えば、ロータ磁石、ロータ磁石が固定されるコア部、及びコア部の端面から前後方向に突出するシャフト部を含むロータと、ロータよりも径方向外側に配置されるステータコア、及びステータコアに装着されるコイルを含むステータと、を有するブラシレスモータと、シャフト部の前端部に形成されるピニオンギヤと、ピニオンギヤに噛み合うプラネタリギヤと、プラネタリギヤに噛み合うインターナルギヤと、プラネタリギヤにより回転される出力部と、ピニオンギヤ、プラネタリギヤ、及びインターナルギヤを収容するハンマケースと、ブラシレスモータの少なくとも一部を収容するモータ収容部と、モータ収容部から下方に突出するグリップ部と、を備え、コア部とシャフト部とは、単一部材である、電動工具が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電動工具の性能の低下が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る電動工具を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る電動工具を示す側面図である。
図3図3は、実施形態に係る電動工具の上部を示す正面図である。
図4図4は、実施形態に係る電動工具の上部を示す平面図である。
図5図5は、実施形態に係る電動工具を示す縦断面図である。
図6図6は、実施形態に係る電動工具の上部を示す縦断面図である。
図7図7は、実施形態に係る電動工具の上部を示す横断面図である。
図8図8は、実施形態に係るロータ、ロータベアリング、及びファンを示す側面図である。
図9図9は、実施形態に係るロータ、ロータベアリング、及びファンを示す斜視図である。
図10図10は、実施形態に係るロータ、ロータベアリング、及びファンを示す分解斜視図である。
図11図11は、実施形態に係るコア部及びシャフト部を示す側面図である。
図12図12は、実施形態に係る電動工具の一部を示す横断面図である。
図13図13は、実施形態に係る電動工具の一部を示す横断面図である。
図14A図14Aは、実施形態に係るロータ、ロータベアリング、及びファンの変形例を示す側面図である。
図14B図14Bは、図14AのA-A線断面矢視図である。
図15A図15Aは、実施形態に係るロータ、ロータベアリング、及びファンの変形例を示す側面図である。
図15B図15Bは、図15AのA-A線断面矢視図である。
図16A図16Aは、実施形態に係るロータ、ロータベアリング、及びファンの変形例を示す側面図である。
図16B図16Bは、図16AのA-A線断面矢視図である。
図17A図17Aは、実施形態に係るロータ、ロータベアリング、及びファンの変形例を示す側面図である。
図17B図17Bは、図17AのA-A線断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本開示は実施形態に限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、電動工具1の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。実施形態において、電動工具1は、モータ6を有する回転工具である。
【0012】
実施形態において、モータ6の回転軸AXと平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。
【0013】
回転軸AXは、前後方向に延伸する。軸方向一方側は、前方であり、軸方向他方側は、後方である。また、径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。
【0014】
[電動工具]
図1は、実施形態に係る電動工具1を示す斜視図である。図2は、実施形態に係る電動工具1を示す側面図である。図3は、実施形態に係る電動工具1の上部を示す正面図である。図4は、実施形態に係る電動工具1の上部を示す平面図である。図5は、実施形態に係る電動工具1を示す縦断面図である。図6は、実施形態に係る電動工具1の上部を示す縦断面図である。図7は、実施形態に係る電動工具1の上部を示す横断面図である。
【0015】
実施形態において、電動工具1は、ねじ締め工具の一種であるインパクトドライバである。電動工具1は、ハウジング2と、リヤカバー3と、ハンマケース4と、バッテリ装着部5と、モータ6と、減速機構7と、スピンドル8と、打撃機構9と、アンビル10と、チャックスリーブ11と、ファン12と、コントローラ13と、トリガスイッチ14と、正逆切換レバー15と、操作パネル16と、モード切換スイッチ17と、ライト18とを備える。
【0016】
ハウジング2は、合成樹脂製である。実施形態において、ハウジング2は、ナイロン製である。ハウジング2は、左ハウジング2Lと、左ハウジング2Lの右方に配置される右ハウジング2Rとを含む。図2に示すように、左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、複数のねじ2Sにより固定される。ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。
【0017】
ハウジング2は、モータ収容部21と、グリップ部22と、コントローラ収容部23とを有する。
【0018】
モータ収容部21は、筒状である。モータ収容部21は、モータ6の少なくとも一部を収容する。
【0019】
グリップ部22は、モータ収容部21から下方に突出する。グリップ部22は、左ハウジング2L及び右ハウジング2Rから下方に延びるグリップハウジングとして機能する。トリガスイッチ14は、グリップ部22の上部に設けられる。グリップ部22は、作業者に握られる。
【0020】
コントローラ収容部23は、グリップ部22の下端部に接続される。コントローラ収容部23は、コントローラ13を収容する。前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて、コントローラ収容部23の外形の寸法は、グリップ部22の外形の寸法よりも大きい。
【0021】
リヤカバー3は、合成樹脂製である。リヤカバー3は、モータ収容部21の後方に配置される。リヤカバー3は、ファン12の少なくとも一部を収容する。ファン12は、リヤカバー3の内周側に配置されている。リヤカバー3は、モータ収容部21の後端部の開口を覆うように配置される。リヤカバー3の外表面は、前方から後方に行くに従って、徐々に小径になっていく。
【0022】
モータ収容部21は、吸気口19を有する。リヤカバー3は、排気口20を有する。ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間の空気は、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0023】
ハンマケース4は、金属製である。実施形態において、ハンマケース4は、アルミニウム製である。ハンマケース4は、モータ収容部21の前方に配置される。ハンマケース4は、モータ収容部21の前部に接続される。ハンマケース4は、筒状である。ハンマケース4の前部4Fの内径は、ハンマケース4の後部4Rの内径よりも小さい。ハンマケース4の後部は、モータ収容部21の前部の開口に挿入される。ハンマケース4の後部は、モータ収容部21の前部の内側に嵌められる。モータ収容部21とハンマケース4とは、ベアリングボックス24を介して接続される。ベアリングボックス24の少なくとも一部は、ハンマケース4の内側に配置される。ベアリングボックス24は、モータ収容部21及びハンマケース4のそれぞれに固定される。
【0024】
ハンマケース4は、減速機構7、スピンドル8、打撃機構9、及びアンビル10の少なくとも一部を収容する。減速機構7の少なくとも一部は、ベアリングボックス24の内側に配置される。減速機構7は、複数のギヤを含む。ハンマケース4は、ギヤを収容するギヤケースとして機能する。
【0025】
ハンマケース4の少なくとも一部は、ハンマケースカバー4Aで覆われる。ハンマケース4の前部4Fにはバンパ4Bが配置される。バンパ4Bは、円環状である。
【0026】
バッテリ装着部5は、コントローラ収容部23の下部に形成される。バッテリ装着部5は、バッテリパック25に接続される。バッテリパック25は、バッテリ装着部5に装着される。バッテリパック25は、バッテリ装着部5に着脱可能である。バッテリパック25は、二次電池を含む。実施形態において、バッテリパック25は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部5に装着されることにより、バッテリパック25は、電動工具1に電力を供給することができる。モータ6は、バッテリパック25から供給される電力に基づいて駆動する。コントローラ13及び操作パネル16は、バッテリパック25から供給される電力に基づいて作動する。
【0027】
モータ6は、電動工具1の動力源である。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、ステータ26と、ロータ27とを有する。ロータ27の少なくとも一部は、ステータ26の内側に配置される。ロータ27は、ステータ26に対して回転する。ロータ27は、前後方向に延伸する回転軸AXを中心に回転する。ロータ27は、ステータ26の内周側で回転可能である。
【0028】
ステータ26は、ステータコア28と、前インシュレータ29と、後インシュレータ30と、コイル31とを有する。
【0029】
ステータコア28は、ロータ27よりも径方向外側に配置される。ステータコア28は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア28は、筒状である。ステータコア28は、コイル31を支持する複数のティースを有する。
【0030】
前インシュレータ29は、ステータコア28の前部に設けられる。後インシュレータ30は、ステータコア28の後部に設けられる。前インシュレータ29及び後インシュレータ30のそれぞれは、合成樹脂製の電気絶縁部材である。前インシュレータ29は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。後インシュレータ30は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。
【0031】
コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28に装着される。コイル31は、複数配置される。コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28のティースの周囲に配置される。コイル31とステータコア28とは、前インシュレータ29及び後インシュレータ30により電気的に絶縁される。複数のコイル31は、ヒュージング端子38を介して接続される。コイル31は、リード線(不図示)を介してコントローラ13と接続される。
【0032】
ステータ26の左外周側は、左ハウジング2Lに支持される。左ハウジング2Lは、ハンマケース4の左部の少なくとも一部を覆う。ステータ26の右外周側は、右ハウジング2Rに支持される。右ハウジング2Rは、ハンマケース4の右部の少なくとも一部を覆う。
【0033】
ロータ27は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ27は、コア部32と、シャフト部33と、ロータ磁石34と、センサ用磁石35とを有する。コア部32は、ロータ27のロータコアとして機能する。シャフト部33は、ロータ27のロータシャフトとして機能する。
【0034】
コア部32及びシャフト部33のそれぞれは、鋼製である。シャフト部33は、コア部32の端面から前後方向に突出する。シャフト部33は、コア部32の前端面から前方に突出する前側シャフト部33Fと、コア部32の後端面から後方に突出する後側シャフト部33Rとを含む。
【0035】
ロータ磁石34は、コア部32に固定される。ロータ磁石34は、円筒状である。ロータ磁石34は、コア部32の周囲に配置される。
【0036】
センサ用磁石35は、コア部32に固定される。センサ用磁石35は、円環状である。センサ用磁石35は、コア部32の前端面及びロータ磁石34の前端面に配置される。
【0037】
前インシュレータ29にセンサ基板37が取り付けられる。センサ基板37は、ねじ29Sにより前インシュレータ29に固定される。センサ基板37は、中心に孔が設けられた円板状の回路基板と、回路基板に支持される回転検出素子37Sとを有する。センサ基板37の少なくとも一部は、センサ用磁石35に対向する。回転検出素子は、ロータ27のセンサ用磁石35の位置を検出することにより、ロータ27の回転方向の位置を検出する。
【0038】
シャフト部33は、ロータベアリング39に回転可能に支持される。ロータベアリング39は、前側シャフト部33Fを回転可能に支持する前側ロータベアリング39Fと、後側シャフト部33Rを回転可能に支持する後側ロータベアリング39Rとを含む。
【0039】
前側ロータベアリング39Fは、ベアリングボックス24に保持される。ベアリングボックス24は、ベアリングボックス24の後面から前方に窪む凹部241を有する。前側ロータベアリング39Fは、凹部241に配置される。後側ロータベアリング39Rは、リヤカバー3に保持される。前側シャフト部33Fの前端部は、ベアリングボックス24の開口を介してハンマケース4の内部空間に配置される。
【0040】
前側シャフト部33Fの前端部にピニオンギヤ41が形成される。ピニオンギヤ41は、減速機構7の少なくとも一部に連結される。前側シャフト部33Fは、ピニオンギヤ41を介して減速機構7に連結される。
【0041】
減速機構7は、モータ6よりも前方に配置される。減速機構7は、前側シャフト部33Fとスピンドル8とを連結する。減速機構7は、ロータ27の回転をスピンドル8に伝達する。減速機構7は、前側シャフト部33Fの回転速度よりも低い回転速度でスピンドル8を回転させる。減速機構7は、遊星歯車機構を含む。
【0042】
減速機構7は、複数のギヤを有する。減速機構7のギヤは、ロータ27により駆動される。
【0043】
減速機構7は、ピニオンギヤ41の周囲に配置される複数のプラネタリギヤ42と、複数のプラネタリギヤ42の周囲に配置されるインターナルギヤ43とを有する。ピニオンギヤ41、プラネタリギヤ42、及びインターナルギヤ43のそれぞれは、ハンマケース4に収容される。複数のプラネタリギヤ42のそれぞれは、ピニオンギヤ41に噛み合う。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してスピンドル8に回転可能に支持される。スピンドル8は、プラネタリギヤ42により回転される。インターナルギヤ43は、プラネタリギヤ42に噛み合う内歯を有する。インターナルギヤ43は、ベアリングボックス24に固定される。インターナルギヤ43は、ベアリングボックス24に対して常に回転不可能である。
【0044】
モータ6の駆動により前側シャフト部33Fが回転すると、ピニオンギヤ41が回転し、プラネタリギヤ42がピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合いながら公転する。プラネタリギヤ42の公転により、ピン42Pを介してプラネタリギヤ42に接続されているスピンドル8は、シャフト部33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0045】
スピンドル8は、モータ6の少なくとも一部よりも前方に配置される。スピンドル8は、ステータ26よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、ロータ27よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、減速機構7の前方に配置される。スピンドル8は、減速機構7により伝達されたロータ27の回転により回転する。スピンドル8は、ロータ27により回転される電動工具1の出力部である。スピンドル8は、ハンマケース4より突出し、減速機構7のギヤにより回転される出力軸である。
【0046】
スピンドル8は、フランジ部44と、フランジ部44から前方に突出するロッド部45とを有する。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してフランジ部44に回転可能に支持される。スピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。スピンドル8は、回転軸AXを中心に回転する。スピンドル8は、スピンドルベアリング46に回転可能に支持される。スピンドル8の後端部に、スピンドルベアリング46を囲むように設けられた周壁部81が設けられる。スピンドルベアリング46は、スピンドル8の周壁部81を支持する。
【0047】
ベアリングボックス24は、スピンドル8の周囲の少なくとも一部に配置される。スピンドルベアリング46は、ベアリングボックス24に保持される。ベアリングボックス24は、ベアリングボックス24の前面から後方に窪む凹部242を有する。スピンドルベアリング46は、凹部242に配置される。
【0048】
スピンドル8は、潤滑油を供給する供給口92を有する。潤滑油は、グリス(grease)を含む。供給口92は、ロッド部45に設けられる。スピンドル8は、潤滑油が収容される内部空間94を有する。供給口92は、内部空間94に結ばれる。スピンドル8の遠心力により、潤滑油は、供給口92からスピンドル8の周囲の少なくとも一部に供給される。
【0049】
打撃機構9は、スピンドル8の回転に基づいて、アンビル10を回転方向に打撃する。打撃機構9は、ハンマ47と、ボール48と、コイルスプリング49とを有する。ハンマ47を含む打撃機構9は、ハンマケース4に収容される。
【0050】
ハンマ47は、減速機構7よりも前方に配置される。ハンマ47は、スピンドル8の周囲に配置される。ハンマ47は、スピンドル8に保持される。ボール48は、スピンドル8とハンマ47との間に配置される。コイルスプリング49は、スピンドル8及びハンマ47のそれぞれに支持される。
【0051】
ハンマ47は、筒状である。ハンマ47は、ロッド部45の周囲に配置される。ハンマ47は、ロッド部45が配置される孔57を有する。ハンマ47は、スピンドル8と一緒に回転可能である。ハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。ハンマ47は、回転軸AXを中心に回転する。
【0052】
ボール48は、鉄鋼のような金属製である。ボール48は、ロッド部45とハンマ47との間に配置される。スピンドル8は、ボール48の少なくとも一部が配置されるスピンドル溝50を有する。スピンドル溝50は、ロッド部45の外面の一部に設けられる。ハンマ47は、ボール48の少なくとも一部が配置されるハンマ溝51を有する。ハンマ溝51は、ハンマ47の内面の一部に設けられる。ボール48は、スピンドル溝50とハンマ溝51との間に配置される。ボール48は、スピンドル溝50の内側及びハンマ溝51の内側のそれぞれを転がることができる。ハンマ47は、ボール48に伴って移動可能である。スピンドル8とハンマ47とは、スピンドル溝50及びハンマ溝51により規定される可動範囲において、軸方向及び回転方向のそれぞれに相対移動することができる。
【0053】
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。コイルスプリング49は、フランジ部44とハンマ47との間に配置される。ハンマ47の後面にリング状の凹部53が設けられる。凹部53は、ハンマ47の後面から前方に窪む。凹部53の内側にワッシャ54が設けられる。コイルスプリング49の後端部は、フランジ部44に支持される。コイルスプリング49の前端部は、凹部53の内側に配置され、ワッシャ54に支持される。
【0054】
アンビル10の少なくとも一部は、ハンマ47よりも前方に配置される。アンビル10は、先端工具が挿入される挿入孔55を有する。挿入孔55は、アンビル10の前端部に設けられる。先端工具は、アンビル10に装着される。また、アンビル10は、ロッド部45の前端部が配置される孔58を有する。孔58は、アンビル10の後端部に設けられる。ロッド部45の前端部は、孔58に配置される。
【0055】
アンビル10は、ハンマ47と一緒に回転可能である。アンビル10の回転軸とハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。アンビル10は、回転軸AXを中心に回転する。アンビルは、一対のアンビルベアリング56に回転可能に支持される。一対のアンビルベアリング56は、ハンマケース4に保持される。
【0056】
ハンマ47は、筒状のハンマボディ471と、ハンマ突起部472とを有する。凹部53は、ハンマボディ471の後面に設けられる。ハンマ突起部472は、ハンマボディ471の前部に設けられる。ハンマ突起部472は、2つ設けられる。ハンマ突起部472は、ハンマボディ471の前部から前方に突出する。
【0057】
アンビル10は、ロッド状のアンビルボディ101と、アンビル突起部102とを有する。挿入孔55は、アンビルボディ101の前端部に設けられる。先端工具は、アンビルボディ101に装着される。アンビル突起部102は、アンビル10の後端部に設けられる。アンビル突起部102は、2つ設けられる。アンビル突起部102は、アンビルボディ101の後端部から径方向外側に突出する。
【0058】
ハンマ突起部472とアンビル突起部102とは接触可能である。ハンマ突起部472とアンビル突起部102とが接触している状態で、モータ6が駆動することにより、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。
【0059】
アンビル10は、ハンマ47により回転方向に打撃される。例えば、ねじ締め作業において、アンビル10に作用する負荷が高くなると、モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなる状況が発生する場合がある。モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなると、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。スピンドル8とハンマ47とは、ボール48を介して軸方向及び周方向のそれぞれに相対移動可能である。ハンマ47の回転が停止しても、スピンドル8の回転は、モータ6が発生する動力により継続される。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ボール48がスピンドル溝50及びハンマ溝51のそれぞれにガイドされながら後方に移動する。ハンマ47は、ボール48から力を受け、ボール48に伴って後方に移動する。すなわち、ハンマ47は、アンビル10の回転が停止された状態で、スピンドル8が回転することにより、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ突起部472とアンビル突起部102との接触が解除される。
【0060】
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。後方に移動したハンマ47は、コイルスプリング49の弾性力により、前方に移動する。ハンマ47は、前方に移動するとき、ボール48から回転方向の力を受ける。すなわち、ハンマ47は、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動すると、ハンマ突起部472は、回転しながらアンビル突起部102に接触する。これにより、アンビル突起部102は、ハンマ突起部472により回転方向に打撃される。アンビル10には、モータ6の動力とハンマ47の慣性力との両方が作用する。したがって、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転することができる。
【0061】
チャックスリーブ11は、アンビル10の前部の周囲に配置される。チャックスリーブ11は、挿入孔55に挿入された先端工具を保持する。
【0062】
ファン12は、モータ6のステータ26よりも後方に配置される。ファン12は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン12は、ステータコア28よりも小径に構成されている。ファン12の外径がステータコア28の外径よりも小さいので、ファン12を収容するリヤカバー3が小型化される。
【0063】
ファン12は、ロータ27の少なくとも一部に固定される。ファン12は、ブッシュ61を介して後側シャフト部33Rの後部に固定される。ファン12は、後側ロータベアリング39Rとステータ26との間に配置される。ファン12は、ロータ27の回転により回転する。後側シャフト部33Rが回転することにより、ファン12は、後側シャフト部33Rと一緒に回転する。ファン12が回転することにより、ハウジング2の外部空間の空気が、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間に流入した空気は、ハウジング2の内部空間を流通することにより、モータ6を冷却する。ハウジング2の内部空間を流通した空気は、ファン12が回転することにより、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0064】
コントローラ13は、コントローラ収容部23に収容される。コントローラ13は、モータ6を制御する制御信号を出力する。コントローラ13は、複数の電子部品が実装された基板を含む。基板に実装される電子部品として、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ、トランジスタ、及び抵抗が例示される。
【0065】
コントローラ13は、電動工具1の作業内容に基づいて、モータ6の制御モードを切り換える。モータ6の制御モードとは、モータ6の制御方法又は制御パターンをいう。
【0066】
トリガスイッチ14は、グリップ部22に設けられる。トリガスイッチ14は、モータ6を起動するために作業者に操作される。トリガスイッチ14は、トリガ部材14Aと、スイッチ本体14Bとを含む。スイッチ本体14Bは、グリップ部22に収容される。トリガ部材14Aは、グリップ部22の前部の上部から前方に突出する。トリガ部材14Aは、作業者に操作される。トリガ部材14Aが操作されることにより、モータ6の駆動と停止とが切り換えられる。
【0067】
正逆切換レバー15は、グリップ部22の上部に設けられる。正逆切換レバー15は、作業者に操作される。正逆切換レバー15が操作されることにより、モータ6の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル8の回転方向が切り換えられる。
【0068】
操作パネル16は、コントローラ収容部23に設けられる。操作パネル16は、モータ6の制御モードを切り換えるために作業者に操作される。操作パネル16は、板状である。コントローラ収容部23は、操作パネル16が配置される開口63を有する。開口63は、グリップ部22よりも前方において、コントローラ収容部23の上面に設けられる。操作パネル16の少なくとも一部は、開口63に配置される。
【0069】
操作パネル16は、打撃力スイッチ64と、専用スイッチ65とを有する。打撃力スイッチ64及び専用スイッチ65のそれぞれは、作業者に操作される。打撃力スイッチ64及び専用スイッチ65の少なくとも一方が操作されることにより、モータ6の制御モードが切り換えられる。
【0070】
モード切換スイッチ17は、トリガ部材14Aの上部に設けられる。モード切換スイッチ17は、作業者に操作される。モード切換スイッチ17が操作されることにより、モータ6の制御モードが切り換えられる。
【0071】
ライト18は、アンビル10の前方を照明する。ライト18は、電動工具1の前方を照明する照明光を射出する。ライト18は、モータ収容部21の前端部に保持される。ライト18は、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を含む。
【0072】
ライト18は、ハンマケース4の左側に配置される第1ライト18Lと、ハンマケース4の右側に配置される第2ライト18Rとを含む。第1ライト18Lは、アンビル10の左側に配置される。第2ライト18Rは、アンビル10の右側に配置される。
【0073】
図6に示すように、前側シャフト部33Fの前端部に凹部331Fが設けられる。凹部331Fにより、ピニオンギヤ41に掛かる負荷が軽減される。また、ロータ27の振動が抑制される。
【0074】
図6に示すように、後側シャフト部33Rの前端部に凹部331Rが設けられる。凹部331Rにより、後側ロータベアリング39Rを後側シャフト部33Rに圧入し易くなる。また、ロータ27の振動が抑制される。
【0075】
[ロータ]
図8は、実施形態に係るロータ27、ロータベアリング39、及びファン12を示す側面図である。図9は、実施形態に係るロータ27、ロータベアリング39、及びファン12を示す斜視図である。図10は、実施形態に係るロータ27、ロータベアリング39、及びファン12を示す分解斜視図である。図11は、実施形態に係るコア部32及びシャフト部33を示す側面図である。
【0076】
ロータ27は、コア部32と、コア部32の端面から突出するシャフト部33と、コア部32の周囲に配置されるロータ磁石34と、コア部32の端面に対向するセンサ用磁石35とを有する。
【0077】
コア部32は、鋼製である。コア部32は、円柱状である。
【0078】
シャフト部33は、鋼製である。シャフト部33は、コア部32と一体である。コア部32とシャフト部33とは、単一部材である。シャフト部33は、コア部32の端面から前後方向に突出する。シャフト部33は、前後方向に延伸する。シャフト部33は、コア部32の前端面32Fから前方に突出する前側シャフト部33Fと、コア部32の後端面32Rから後方に突出する後側シャフト部33Rとを含む。
【0079】
コア部32とシャフト部33とが単一部材なので、コア部32とシャフト部33とが相対的にスリップすることが抑制される。また、コア部32の中心軸とシャフト部33の中心軸とを一致させることができる。コア部32とシャフト部33との相対的なスリップが抑制され、コア部32の中心軸とシャフト部33の中心軸とが一致されるので、モータ6の動力は、スピンドル8を介してアンビル10に適切に伝達される。したがって、電動工具1の性能の低下が抑制される。
【0080】
前側シャフト部33Fの前端部に減速機構7の少なくとも一部に連結されるピニオンギヤ41が形成される。ピニオンギヤ41は、前側シャフト部33Fと一体である。前側シャフト部33Fとピニオンギヤ41とは、単一部材である。
【0081】
コア部32及びシャフト部33は、例えば鋼製の円柱状部材を切削加工することにより形成される。ピニオンギヤ41は、前側シャフト部33Fの一部を切削加工することにより形成される。
【0082】
前側シャフト部33Fとピニオンギヤ41とが単一部材なので、前後方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。例えばピニオンギヤ41が前側シャフト部33Fの前端部に圧入される場合、ピニオンギヤ41に圧入のための圧入部を設ける必要がある。ピニオンギヤ41に圧入部が設けられると、前後方向における電動工具1の上部の小型化が困難になる。実施形態においては、前側シャフト部33Fとピニオンギヤ41とが単一部材なので、ピニオンギヤ41に圧入部を設ける必要がない。そのため、前後方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。また、シャフト部33とピニオンギヤ41との相対的なスリップが抑制されるので、モータ6の動力は、スピンドル8を介してアンビル10に適切に伝達される。したがって、電動工具1の性能の低下が抑制される。
【0083】
ロータ磁石34は、永久磁石である。ロータ磁石34は、円筒状である。ロータ磁石34は、第1極性の第1永久磁石と、第2極性の第2永久磁石とを含む。第1永久磁石と第2永久磁石とが周方向に交互に配置されることにより、円筒状のロータ磁石34が形成される。ロータ磁石34は、コア部32の周囲に配置される。コア部32は、ロータ磁石34の内側に配置される。ロータ磁石34は、接着剤によりコア部32に固定される。
【0084】
センサ用磁石35は、永久磁石である。センサ用磁石35は、円環状である。センサ用磁石35は、コア部32の端面に固定される。実施形態において、センサ用磁石35は、コア部32の前端面32Fに接着剤により固定される。センサ用磁石35は、コア部32及びロータ磁石34よりも前方に配置される。センサ用磁石35は、前側シャフト部33Fの周囲に配置される。
【0085】
シャフト部33は、ロータベアリング39に回転可能に支持される。ロータベアリング39は、前側シャフト部33Fを回転可能に支持する前側ロータベアリング39Fと、後側シャフト部33Rを回転可能に支持する後側ロータベアリング39Rとを含む。図6及び図7に示すように、前側ロータベアリング39Fは、ベアリングボックス24に保持される。後側ロータベアリング39Rは、リヤカバー3に保持される。
【0086】
前側シャフト部33Fが前側ロータベアリング39Fに支持され、後側シャフト部33Rが後側ロータベアリング39Rに支持されるので、ロータ27は、適正に回転することができる。
【0087】
前側ロータベアリング39Fは、前側シャフト部33Fの後端部とピニオンギヤ41の後端部との間の前側シャフト部33Fに規定された前側支持部分331を支持する。後側ロータベアリング39Rは、後側シャフト部33Rの前端部と後側シャフト部33Rの後端部との間の後側シャフト部33Rに規定された後側支持部分332を支持する。前側シャフト部33Fの後端部は、前側シャフト部33Fとコア部32の前端面32Fとの境界部を含む。後側シャフト部33Rの前端部は、後側シャフト部33Rとコア部32の後端面32Rとの境界部を含む。
【0088】
ファン12は、ブッシュ61を介して後側シャフト部33Rの後部に固定される。ファン12は、後側シャフト部33Rの前端部と後側シャフト部33Rの後端部との間の後側シャフト部33Rに規定されたファン固定部分333に固定される。ファン固定部分333は、後側支持部分332よりも前方に規定される。
【0089】
前側シャフト部33Fは、コア部32の前端面32Fと前側ロータベアリング39Fとの間に設けられた凸部330を有する。
【0090】
前側シャフト部33Fは、凸部330と前側支持部分331との間に遷移部分334Fを有する。ピニオンギヤ41の外径Daは、前側支持部分331の外径Dbよりも小さい。遷移部分334Fの外径Dcは、前側支持部分331の外径Dbよりも小さい。遷移部分334Fの外径Dcは、ピニオンギヤ41の外径Daよりも大きい。凸部330の外径Ddは、前側支持部分331の外径Dbよりも大きい。凸部330よりも後方の前側シャフト部33Fの外径Deは、凸部330の外径Ddよりも小さい。外径Deは、外径Dbよりも大きい。すなわち、[Dd>De>Db>Dc>Da]の関係が成立する。
【0091】
後側シャフト部33Rは、コア部32の後端面32Rとファン固定部分333との間に遷移部分334Rを有する。遷移部分334Rの外径Dgは、後側支持部分332及びファン固定部分333の外径Dhよりも小さい。すなわち、[Dh>Dg]の関係が成立する。
【0092】
また、[Dd>De>Db>Dc>Da>Dh>Dg]の関係が成立する。
【0093】
すなわち、前側シャフト部33Fの外径Deは、後側シャフト部33Rの外径Dhよりも大きい。換言すれば、前側シャフト部33Fは、後側シャフト部33Rよりも太い。
【0094】
遷移部分334F及び遷移部分334Rが設けられることにより、ロータ27を製造し易くなる。
【0095】
凸部330の前側及び後側のそれぞれに段差部が設けられる。凸部330の前側の段差部は、凸部330の前面と遷移部分334Fの外面とにより形成される。凸部330の後側の段差部は、凸部330の後面と凸部330よりも後方の前側シャフト部33Fの外面とにより形成される。凸部330の前面と前側ロータベアリング39Fの後面の一部とは接触する。すなわち、凸部330の前側の段差部には前側ロータベアリング39Fが接触する。前側シャフト部33Fよりも前方から前側シャフト部33Fに前側ロータベアリング39Fが圧入され、凸部330の前面と前側ロータベアリング39Fの後面の一部とが接触することにより、前側ロータベアリング39Fは適切な位置に配置される。凸部330は、前側シャフト部33Fの後端部と前側支持部分331との間に設けられる。凸部330は、前側シャフト部33Fの外面から径方向外側に突出する。凸部330は、回転軸AXを囲むように配置される。回転軸AXと直交する面内において、凸部330は、円環状である。
【0096】
センサ用磁石35がコア部32の前端面32Fに接着剤により固定される場合、例えばロータ27の組立作業において接着剤がセンサ用磁石35とコア部32との間又はセンサ用磁石35とセンサ用磁石35の内径側の前側シャフト部33Fとの間から流出する可能性がある。また、モータ6の発熱により仮に接着剤が溶融すると、接着剤がセンサ用磁石35とコア部32との間から流出する可能性がある。センサ用磁石35とコア部32との間から仮に接着剤が流出しても、凸部330により接着剤が前側ロータベアリング39F(前側支持部分331)に流入することが抑制される。
【0097】
前側シャフト部33Fの外径は、後側シャフト部33Rの外径よりも大きい。すなわち、前側シャフト部33Fは、後側シャフト部33Rよりも太い。
【0098】
前側シャフト部33Fの外径が後側シャフト部33Rの外径よりも大きいので、ピニオンギヤ41は、例えば切削加工により前側シャフト部33Fに円滑に形成される。また、コア部32とピニオンギヤ41との間でねじれが発生しても、前側シャフト部33Fが太いので、前側シャフト部33Fはねじれ力に耐えることができる。後側シャフト部33Rには大きなねじれ力が作用しないので、後側シャフト部33Rは細くてもよい。
【0099】
前側ロータベアリング39Fの内径は、ピニオンギヤ41の外径よりも大きい。
【0100】
前側ロータベアリング39Fの内径がピニオンギヤ41の外径よりも大きいので、ロータ27の組立作業において、前側ロータベアリング39Fは、前側シャフト部33Fの前方から前側シャフト部33Fに挿入された後、前側支持部分331に配置される。
【0101】
図12は、実施形態に係る電動工具1の一部を示す横断面図であり、図7の一部を拡大した図に相当する。
【0102】
前側ロータベアリング39F及びスピンドルベアリング46のそれぞれは、ベアリングボックス24に保持される。ベアリングボックス24は、ベアリングボックス24の後面から前方に窪む凹部241と、ベアリングボックス24の前面から後方に窪む凹部242とを有する。前側ロータベアリング39Fは、凹部241に配置される。スピンドルベアリング46は、凹部242に配置される。凹部242の径方向内側に、ベアリングボックス24の凸部243が設けられる。スピンドルベアリング46は、凸部243を囲むように配置される。
【0103】
スピンドル8の後端部に、スピンドルベアリング46を囲むように設けられた周壁部81が設けられる。スピンドルベアリング46は、スピンドル8の周壁部81を支持する。
【0104】
前側ロータベアリング39Fの外径は、スピンドルベアリング46の内径よりも小さい。前後方向において、前側ロータベアリング39Fとスピンドルベアリング46の少なくとも一部とは、オーバーラップする。すなわち、前側ロータベアリング39Fの少なくとも一部は、スピンドルベアリング46の内側に入り込むように配置される。これにより、前後方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。
【0105】
スピンドルベアリング46は、内輪461と外輪462とを有する。スピンドルベアリング46の内輪461がベアリングボックス24に固定される。スピンドルベアリング46の外輪462がスピンドル8に固定される。スピンドルベアリング46は、ベアリングボックス24の凸部243を囲むように配置される。スピンドル8の周壁部81は、スピンドルベアリング46を囲むように配置される。内輪461は、ベアリングボックス24の凸部243の外面に固定される。外輪462は、スピンドル8の周壁部81の内面に固定される。これにより、径方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。
【0106】
インターナルギヤ43とベアリングボックス24との間にシール部材600が設けられる。シール部材600は、リング状である。シール部材600の内側に、径方向内側に突出する凸部が設けられる。シール部材600の凸部は、インターナルギヤ43に設けられた凹部に配置される。シール部材600の前端部は、ハンマケース4に接触する。これにより、インターナルギヤ43とベアリングボックス24とハンマケース4との境界のシール性の低下が抑制される。また、シール部材600が前方に移動することが抑制される。
【0107】
[ライト]
図13は、実施形態に係る電動工具1の一部を示す横断面図であり、図7の一部を拡大した図に相当する。
【0108】
ライト18は、ハンマケース4の左側に配置される第1ライト18Lと、ハンマケース4の右側に配置される第2ライト18Rとを含む。第1ライト18Lは、アンビル10の左側に配置される。第2ライト18Rは、アンビル10の右側に配置される。
【0109】
前後方向において、ライト18は、アンビル10の少なくとも一部とオーバーラップする。前後方向において、第1ライト18Lの位置と第2ライト18Rの位置とは、等しい。前後方向において、第1ライト18L及び第2ライト18Rのそれぞれが、アンビル10の少なくとも一部とオーバーラップする。すなわち、前後方向において、ライト18の位置とアンビル10の少なくとも一部の位置とは、等しい。
【0110】
前後方向において、ライト18とアンビル10の少なくとも一部とがオーバーラップするので、径方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。アンビル10の径方向の寸法は、例えばハンマ47の径方向の寸法よりも小さい。また、アンビル10と接触するハンマ47の前端部の径方向の寸法は、アンビル10と接触しないハンマ47の後端部の径方向の寸法よりも小さい。そのため、前後方向においてライト18とアンビル10の少なくとも一部とをオーバーラップさせることにより、ライト18を例えばモータ収容部21の外面よりも径方向内側に配置することができる。したがって、径方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。
【0111】
ライト18は、アンビル10(ハンマケース4)の左側に配置される第1ライト18Lと、アンビル10(ハンマケース4)の右側に配置される第2ライト18Rとを含む。これにより、左右方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。
【0112】
実施形態において、前後方向において、ライト18は、アンビル突起部102の少なくとも一部とオーバーラップする。
【0113】
これにより、ライト18は、前後方向において適正な位置に配置される。アンビル10の前方は、ライト18により適正に照明される。
【0114】
なお、前後方向において、ライト18は、アンビルボディ101の少なくとも一部とオーバーラップしてもよい。
【0115】
ハンマ47は、直胴部473と、直胴部473よりも前方に配置される縮径部474とを含む。
【0116】
直胴部473は、ハンマボディ471の外面の一部を含む。直胴部473は、前後方向においてハンマ47の後端部と縮径部474の後端部との間に規定される。直胴部473は、円筒状である。前後方向における直胴部473の複数の部位のそれぞれにおいて、直胴部473の外径は、一定である。直胴部473の外径とは、径方向における回転軸AXと直胴部473の外面との距離をいう。
【0117】
縮径部474は、ハンマボディ471の外面の一部及びハンマ突起部472の外面を含む。縮径部474は、前後方向において直胴部473の前端部とハンマ47の前端部との間に規定される。縮径部474の外径は、前方に向かって徐々に小さくなる。縮径部474の外径とは、径方向における回転軸AXと縮径部474の外面との距離をいう。
【0118】
前後方向において、縮径部474は、アンビル突起部102とオーバーラップする。
【0119】
前後方向において、縮径部474の寸法Lfは、直胴部473の寸法Lrよりも大きい。
【0120】
前後方向において、縮径部474とアンビル突起部102とがオーバーラップすることにより、径方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。また、縮径部474の寸法Lfが直胴部473の寸法Lrよりも大きいので、電動工具1の上部の大型化が抑制される。
【0121】
縮径部474の外面474Sとハンマケース4の内面4Sとは、平行である。
【0122】
縮径部474の外面474Sとハンマケース4の内面4Sとが平行なので、電動工具1の上部の大型化が抑制される。ハンマケース4の外面は直胴部473及び縮径部474にほぼ対応しているので、ライト18が左右方向に突出することが抑制される。
【0123】
ライト18は、モータ収容部21の前端部に配置される。図4及び図7に示すように、左右方向において、モータ収容部21の前端部の寸法は、リヤカバー3の寸法よりも小さい。左右方向において、ライト18は、モータ収容部21の表面よりも外側に突出しないように配置される。左右方向において、ライト18は、リヤカバー3の表面よりも外側に突出しないように配置される。
【0124】
左右方向において、ライト18が配置されるモータ収容部21の前端部の寸法がリヤカバー3の寸法よりも小さいので、電動工具1の前部の大型化が抑制される。また、モータ収容部21の左側の外面及び右側の外面のそれぞれが前後方向にストレート状に延伸しているので、電動工具1の上部の大型化が抑制される。
【0125】
図7に示すように、リヤカバー3は、後側シャフト部33Rの後部を支持する。リヤカバー3は、左ハウジング2Lに左ねじ500Lで固定され、右ハウジング2Rに右ねじ500Rで固定される。
【0126】
第1ライト18Lは、ギヤを収容するハンマケース4の左側に配置され左ハウジング2Lにより支持される。第2ライト18Rは、ギヤを収容するハンマケース4の右側に配置され右ハウジング2Rにより支持される。
【0127】
左ねじ500Lが配置される個所の左ハウジング2L又はリヤカバー3は、第1ライト18Lが配置される個所の左ハウジング2Lよりも左側へ突出する。右ねじ500Rが配置される個所の右ハウジング2R又はリヤカバー3は、第2ライト18Rが配置される個所の右ハウジング2Rよりも右側へ突出する。すなわち、ライト18が設けられている部分の左右方向の幅は、リヤカバー3の左右方向の幅よりも小さい。
【0128】
第2ライト18Rは、右発光体181と、右発光体181が搭載される右ライト回路基板182と、右発光体181及び右ライト回路基板182の前方に配置される右透明カバー183とを有する。右ねじ500Rの右端部よりも左側に、右発光体181が配置される。
【0129】
右ハウジング2Rのハンマケース4の後部4Rの外周における右部400Rの個所は、第2ライト18Rよりも左側に配置される。
【0130】
[電動工具の動作]
次に、電動工具1の動作について説明する。例えば、加工対象にねじ締め作業を実施するとき、ねじ締め作業に使用される先端工具(ドライバビット)が、アンビル10の挿入孔55に挿入される。挿入孔55に挿入された先端工具は、チャックスリーブ11により保持される。先端工具がアンビル10に装着された後、作業者は、グリップ部22を握ってトリガスイッチ14を操作する。トリガスイッチ14が操作されると、バッテリパック25からモータ6に電力が供給され、モータ6が起動し、同時にライト18が点灯する。モータ6の起動により、ロータ27のシャフト部33が回転する。シャフト部33が回転すると、シャフト部33の回転力がピニオンギヤ41を介してプラネタリギヤ42に伝達される。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合った状態で、自転しながらピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してスピンドル8に回転可能に支持される。プラネタリギヤ42の公転により、スピンドル8は、シャフト部33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0131】
ハンマ突起部472とアンビル突起部102とが接触している状態で、スピンドル8が回転すると、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。アンビル10が回転することにより、ねじ締め作業が進行する。
【0132】
ねじ締め作業の進行により、アンビル10に所定値以上の負荷が作用した場合、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ハンマ47は、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ突起部472とアンビル突起部102との接触が解除される。後方に移動したハンマ47は、コイルスプリング49の弾性力により、ハンマ47は、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動することにより、アンビル10は、ハンマ47により回転方向に打撃される。これにより、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転する。そのため、ねじは加工対象に高いトルクで締め付けられる。
【0133】
[効果]
以上説明したように、実施形態によれば、コア部32とシャフト部33とが単一部材なので、コア部32とシャフト部33とが相対的にスリップすることが抑制される。また、コア部32の中心軸とシャフト部33の中心軸とを一致させることができる。コア部32とシャフト部33との相対的なスリップが抑制され、コア部32の中心軸とシャフト部33の中心軸とが一致されるので、モータ6の動力は、スピンドル8を介してアンビル10に適切に伝達される。したがって、電動工具1の性能の低下が抑制される。
【0134】
シャフト部33は、コア部32の端面とロータベアリング39との間に設けられ径方向外側に突出する凸部330を有する。凸部330により、例えば凸部330の後方からロータベアリング39へ接着剤等の異物が移動することが抑制される。
【0135】
凸部330は、回転軸AXを囲むように配置される。凸部330が円環状なので、例えば凸部330の後方からロータベアリング39へ接着剤等の異物が移動することが効果的に抑制される。
【0136】
ロータ27は、コア部32の端面に接着剤により固定されるセンサ用磁石35を有する。これにより、センサ用磁石35は、コア部32に適正に固定される。また、センサ用磁石35がコア部32の前端面32Fに接着剤により固定される場合、例えばロータ27の組立作業において接着剤がセンサ用磁石35とコア部32との間から流出する可能性がある。また、モータ6の発熱により仮に接着剤が溶融すると、接着剤がセンサ用磁石35とコア部32との間から流出する可能性がある。センサ用磁石35とコア部32との間から仮に接着剤が流出しても、凸部330により接着剤が前側ロータベアリング39F(前側支持部分331)に流入することが抑制される。
【0137】
シャフト部33は、コア部32の前端面32Fから前方に突出する前側シャフト部33Fと、コア部32の後端面32Rから後方に突出する後側シャフト部33Rとを含む。ロータベアリング39は、前側シャフト部33Fを支持する前側ロータベアリング39Fと、後側シャフト部33Rを支持する後側ロータベアリング39Rとを含む。前側シャフト部33Fが前側ロータベアリング39Fに支持され、後側シャフト部33Rが後側ロータベアリング39Rに支持されるので、ロータ27は、適正に回転することができる。
【0138】
前側シャフト部33Fの外径は、後側シャフト部33Rの外径よりも大きい。前側シャフト部33Fの外径が後側シャフト部33Rの外径よりも大きいので、ピニオンギヤ41は、例えば切削加工により前側シャフト部33Fに円滑に形成される。また、コア部32とピニオンギヤ41との間でねじれが発生しても、前側シャフト部33Fが太いので、前側シャフト部33Fはねじれ力に耐えることができる。後側シャフト部33Rには大きなねじれ力が作用しないので、後側シャフト部33Rは細くてもよい。
【0139】
ピニオンギヤ41は、前側シャフト部33Fの前端部に例えば切削加工により形成される。前側シャフト部33Fとピニオンギヤ41とが単一部材なので、前後方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。例えばピニオンギヤ41が前側シャフト部33Fの前端部に圧入される場合、ピニオンギヤ41に圧入のための部分を設ける必要がある。ピニオンギヤ41に圧入のための部分が設けられると、前後方向における電動工具1の上部の小型化が困難になる。実施形態においては、前側シャフト部33Fとピニオンギヤ41とが単一部材なので、ピニオンギヤ41に圧入のための部分を設ける必要がない。そのため、前後方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。また、シャフト部33とピニオンギヤ41との相対的なスリップが抑制されるので、モータ6の動力は、スピンドル8を介してアンビル10に適切に伝達される。したがって、電動工具1の性能の低下が抑制される。
【0140】
前側ロータベアリング39Fの内径は、ピニオンギヤ41の外径よりも大きい。前側ロータベアリング39Fの内径がピニオンギヤ41の外径よりも大きいので、ロータ27の組立作業において、前側ロータベアリング39Fは、前側シャフト部33Fの前方から前側シャフト部33Fに挿入された後、前側支持部分331に配置される。
【0141】
前側ロータベアリング39Fの外径は、スピンドルベアリング46の内径よりも小さい。前後方向において、前側ロータベアリング39Fとスピンドルベアリング46の少なくとも一部とは、オーバーラップする。すなわち、前側ロータベアリング39Fの少なくとも一部は、スピンドルベアリング46の内側に入り込むように配置される。これにより、前後方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。
【0142】
スピンドルベアリング46は、内輪461と外輪462とを有する。スピンドルベアリング46の内輪461がベアリングボックス24に固定される。スピンドルベアリング46の外輪462がスピンドル8に固定される。スピンドルベアリング46は、ベアリングボックス24の凸部243を囲むように配置される。スピンドル8の周壁部81は、スピンドルベアリング46を囲むように配置される。内輪461は、ベアリングボックス24の凸部243の外面に固定される。外輪462は、スピンドル8の周壁部81の内面に固定される。これにより、径方向における電動工具1の上部の大型化が抑制される。
【0143】
[その他の実施形態]
図14Aは、実施形態に係るロータ27、ロータベアリング39、及びファン12の変形例を示す側面図である。図14Bは、図14AのA-A線断面矢視図である。
【0144】
図14に示すように、ファン12が前側シャフト部33Fに固定されてもよい。センサ用磁石35がコア部32の後端面32Rに固定されてもよい。
【0145】
図15Aは、実施形態に係るロータ27、ロータベアリング39、及びファン12の変形例を示す側面図である。図15Bは、図15AのA-A線断面矢視図である。
【0146】
図15に示すように、ロータ磁石341がコア部32の内部に配置されてもよい。図15に示す例において、コア部32には、前後方向に延伸する貫通孔320が形成される。貫通孔320は、前端面32Fと後端面32Rとを繋ぐように形成される。コア部32が孔あけ加工されることにより、貫通孔320が形成される。貫通孔320は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。4つの貫通孔320のそれぞれにロータ磁石341が配置される。また、図15に示すように、センサ用磁石35は省略されてもよい。
【0147】
図16Aは、実施形態に係るロータ27、ロータベアリング39、及びファン12の変形例を示す側面図である。図16Bは、図16AのA-A線断面矢視図である。
【0148】
図16に示すように、複数のロータ磁石342がコア部32の周囲に配置されてもよい。ロータ磁石342は、コア部32の外面に固定される。回転軸AXに直交する面内において、ロータ磁石342は、円弧状である。ロータ磁石342は、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。なお、図16において、コア部32の前端面32Fにセンサ用磁石35が配置される。センサ用磁石35は省略されてもよい。
【0149】
図17Aは、実施形態に係るロータ27、ロータベアリング39、及びファン12の変形例を示す側面図である。図17Bは、図17AのA-A線断面矢視図である。
【0150】
図17に示すように、円筒状のロータ磁石34がコア部32の周囲に配置され、センサ用磁石35が省略されてもよい。
【0151】
上述の実施形態においては、電動工具1がインパクトドライバであることとした。電動工具1は、インパクトドライバに限定されない。電動工具1として、ねじ締め作業を行うドライバドリル、孔あけ作業を行うアングルドリル、ドリルビットを打撃するハンマ又はハンマドリル、砥石を回転させるグラインダ、鋸刃を回転させるマルノコ、及びブレードを往復移動させるレシプロソーが例示される。
【0152】
上述の実施形態において、電動工具1の電源は、バッテリパック25でなくてもよく、商用電源(交流電源)でもよい。
【符号の説明】
【0153】
1…電動工具、2…ハウジング、2L…左ハウジング、2R…右ハウジング、2S…ねじ、3…リヤカバー、4…ハンマケース、4A…ハンマケースカバー、4B…バンパ、4F…前部、4R…後部、4S…内面、5…バッテリ装着部、6…モータ、7…減速機構、8…スピンドル、9…打撃機構、10…アンビル、11…チャックスリーブ、12…ファン、13…コントローラ、14…トリガスイッチ、14A…トリガ部材、14B…スイッチ本体、15…正逆切換レバー、16…操作パネル、17…モード切換スイッチ、18…ライト、18L…第1ライト、18R…第2ライト、19…吸気口、20…排気口、21…モータ収容部、22…グリップ部、23…コントローラ収容部、24…ベアリングボックス、25…バッテリパック、26…ステータ、27…ロータ、28…ステータコア、29…前インシュレータ、29S…ねじ、30…後インシュレータ、31…コイル、32…コア部、32F…前端面、32R…後端面、33…シャフト部、33F…前側シャフト部、33R…後側シャフト部、34…ロータ磁石、35…センサ用磁石、37…センサ基板、37S…回転検出素子、38…ヒュージング端子、39…ロータベアリング、39F…前側ロータベアリング、39R…後側ロータベアリング、41…ピニオンギヤ、42…プラネタリギヤ、42P…ピン、43…インターナルギヤ、44…フランジ部、45…ロッド部、46…スピンドルベアリング、47…ハンマ、48…ボール、49…コイルスプリング、50…スピンドル溝、51…ハンマ溝、53…凹部、54…ワッシャ、55…挿入孔、56…アンビルベアリング、57…孔、58…孔、61…ブッシュ、63…開口、64…打撃力スイッチ、65…専用スイッチ、92…供給口、94…内部空間、81…周壁部、101…アンビルボディ、102…アンビル突起部、181…右発光体、182…右ライト回路基板、183…右透明カバー、241…凹部、242…凹部、243…凸部、320…貫通孔、330…凸部、331…前側支持部分、331F…凹部、331R…凹部、332…後側支持部分、333…ファン固定部分、334F…遷移部分、334R…遷移部分、341…ロータ磁石、342…ロータ磁石、400R…右部、461…内輪、462…外輪、471…ハンマボディ、472…ハンマ突起部、473…直胴部、474…縮径部、474S…外面、500L…左ねじ、500R…右ねじ、600…シール部材、AX…回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図17A
図17B