(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101202
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 31/04 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
B65B31/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215641
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】517164556
【氏名又は名称】株式会社TOSEI
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】深瀬 利隆
(72)【発明者】
【氏名】浅利 達也
【テーマコード(参考)】
3E053
【Fターム(参考)】
3E053AA07
3E053BA09
3E053CA01
3E053CA06
3E053FA01
3E053GA18
3E053JA06
(57)【要約】
【課題】複数個の対象物をまとめて脱気包装する技術を提供する。
【解決手段】実施形態の包装装置1は、上下に開口が設けられた筒状に形成され、筒状に形成された包装材に挿通可能に構成される筒部10と、筒部10の下方に設けられ、筒部10における上方の開口より投入された対象物が載置可能に筒部10における下方の開口を閉鎖する閉鎖状態と、下方の開口を解放する解放状態とに切り替え可能に構成される載置部11と、一端が真空ポンプに接続されるとともに他端が載置部11の下方に位置するように設けられる吸気管14と、吸気管14の他端の下方において包装材を切断する切断部と、切断部の上方において包装材を圧着する第1圧着部と、切断部の下方において包装材を圧着する第2圧着部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の対象物をまとめて包装する包装装置であって、
上下に開口が設けられた筒状に形成され、筒状に形成された包装材に挿通可能に構成される筒部と、
前記筒部の下方に設けられ、前記筒部における上方の開口より投入された前記対象物が載置可能に前記筒部における下方の開口を閉鎖する閉鎖状態と、該下方の開口を解放する解放状態とに切り替え可能に構成される載置部と、
管状に形成され、一端が真空ポンプに接続されるとともに他端が前記載置部の下方に位置するように設けられる吸気管と、
前記吸気管の他端の下方において前記包装材を切断する切断部と、
前記切断部の上方において前記包装材を圧着する第1圧着部と、
前記切断部の下方において前記包装材を圧着する第2圧着部と
を備える包装装置。
【請求項2】
前記載置部は、前記閉鎖状態において前記包装材を挟持可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の包装装置。
【請求項3】
前記載置部は、2つの板状部材により構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装装置。
【請求項4】
前記2つの板状部材のそれぞれには、前記閉鎖状態において他の板状部材と近接する端部において、可撓性を有するシール部材が設けられることを特徴とする請求項3に記載の包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水分を含んだ対象物の乾燥の防止、対象物の衛生状態を維持するための外部環境からの隔離、対象物の形状の保持などを目的として、対象物を薄膜状の包装材により個別に包装する包装装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-315630号公報
【特許文献2】特開平10-174670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明が解決しようとする課題は、複数個の対象物をまとめて脱気包装する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の包装装置は、複数個の対象物をまとめて包装する包装装置であって、上下に開口が設けられた筒状に形成され、筒状に形成された包装材に挿通可能に構成される筒部と、前記筒部の下方に設けられ、前記筒部における上方の開口より投入された前記対象物が載置可能に前記筒部における下方の開口を閉鎖する閉鎖状態と、該下方の開口を解放する解放状態とに切り替え可能に構成される載置部と、管状に形成され、一端が真空ポンプに接続されるとともに他端が前記載置部の下方に位置するように設けられる吸気管と、前記吸気管の他端の下方において前記包装材を切断する切断部と、前記切断部の上方において前記包装材を圧着する第1圧着部と、前記切断部の下方において前記包装材を圧着する第2圧着部とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態に係る包装装置の構成を示す概略斜視図である。
【
図4】ヒーターブロックの構成を示す概略斜視図である。
【
図5】シールブロックの構成を示す概略斜視図である。
【
図6】載置状態における包装装置を示す概略斜視図である。
【
図7】包装装置における制御系及び駆動系の構成を示すブロック図である。
【
図8】制御装置の処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0008】
(包装装置の概略構成)
まず、本実施形態に係る包装装置の概略構成について説明する。
図1は、包装装置の構成を示す概略斜視図である。
図2~5は、それぞれ、筒部、載置部、ヒーターブロック、シールブロックの構成を示す概略斜視図である。
図6は、載置状態における包装装置を示す概略斜視図である。なお、以降の説明において、上下方向に直交する一方向を左右方向、上下方向及び左右方向に直交する方向を前後方向として説明する。また、
図6においては、吸気管が省略された包装装置が示される。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係る包装装置1は、複数個の対象物O(
図6参照)を包装材P(
図2参照)により包装する装置であり、筒部10、筒部10の下方に配される載置部11、載置部11の下方に配されるヒーターブロック12及びシールブロック13、一端部が載置部11の下方に位置付けられるように設けられた吸気管14を備える。本実施形態においては、一般的におしぼりと呼称される、適度に湿った状態で略棒状に巻かれた状態でビニール袋に個別に包装されたハンドタオルを、包装装置1における対象物Oとする。
【0010】
筒部10は、
図2に示すように、上下に開口した筒状に形成される部材であり、本実施形態においては、上方及び下方において開口部101,102が設けられた略角柱状に構成される。筒部10は、後に詳述するように複数個の対象物Oを収容可能な収容ケースとして機能するとともに、包装材Pの供給部として機能する。
【0011】
包装材Pは、薄膜状のポリ塩化ビニールが長尺の筒状に形成されたものであり、長尺方向が筒部10の高さ以下の長さに収まるように折り畳まれ、内部に筒部10が挿通されるように筒部10の外周側に配される。ここで、包装材Pは、その内側と裏側とを裏返すように長尺方向における一方側、他方側に交互に折り畳まれることによって、開口部101,102を閉塞することなく、筒部10の下方に導出可能に筒部10に配される。
【0012】
載置部11は、
図1に示すように、筒部10における下方側の開口部102を閉鎖して筒部10の底部を成すことによって、
図6に示すように、筒部10に収容された対象物Oを載置可能に構成され、左右対称に形成された2つの板状部材11A,11Bを有する。
図3に示すように、板状部材11Aは、全体として前後左右方向に延在する略平板状に形成されるとともに、下方に折り曲げられるように形成された左右方向一端部において、前後方向略全域に亘って設けられたシール部材111を有する。このシール部材111は、例えばスポンジ状のゴムなどの可撓性を有する材料から形成される。板状部材11Bは、上述したように、板状部材11Aに対して左右対称に形成され、互いのシール部材111が対向するように配置されている。
【0013】
載置部11は、開口部102を閉鎖する閉鎖状態と、開口部102を解放する解放状態とに切り替え可能に構成され、板状部材11A,11Bは、閉鎖状態において、それぞれのシール部材111によって包装材Pを挟持可能に構成される。本実施形態においては、板状部材11A,11Bのそれぞれが、左右方向に移動可能に設けられることによって、載置部11が閉鎖状態、解放状態に切り替えられるものとする。
【0014】
なお、載置部11は、板状部材11A,11Bにおける左右方向他端部側に略前後方向を向く回転軸を設け、左右方向一端部を下方に揺動可能に構成されても良い。ただし、本実施形態のように板状部材11A,11Bを左右方向に移動可能に構成することによって、ヒーターブロック12及びシールブロック13を載置部11により近接させることができ、これにより包装装置1の上下方向サイズを縮小させることができる。
【0015】
ヒーターブロック12は、
図4に示すように、全体として前後方向に長尺な略直方体状に形成され、左右方向一方側の側面において、包装材Pの圧着及び切断可能に前後方向全域に亘って設けられたカットヒーター121、2つの圧着ヒーター122,123を有する。切断部としてのカットヒーター121は、熱により包装材Pを切断する。圧着部としての圧着ヒータ-122,123は、それぞれ、包装材Pを熱圧着する。ヒーターブロック12において、2つの圧着ヒーター122,123のそれぞれは、カットヒーター121の上方、下方に設けられる。なお、カットヒーター121、圧着ヒーター122,123は、それぞれ、包装材Pを切断/圧着な他の要素に置き換え可能であり、また、互いに異なる部材上に設けられるように構成されても良い。また、カットヒーター121及び圧着ヒーター122,123は、包装装置1の稼働中は常時通電されているものとする。
【0016】
シールブロック13は、
図5に示すように、全体として前後方向に長尺な略直方体状に形成され、左右方向他方側の側面において、前後方向全域に亘って設けられた圧着パッド131を有する。圧着パッド131は、シリコンゴムなどの耐熱性及び可撓性を有する材料から形成される。
【0017】
ヒーターブロック12及びシールブロック13は、載置部11の下方に位置付けられるとともに、カットヒーター121及び圧着ヒーター122,123が設けられた側面と、圧着パッド131が設けられた側面とが対向するように設けられる。また、ヒーターブロック12及びシールブロック13は、左右方向に移動することによって、ヒーターブロック12とシールブロック13とが包装材Pを挟むように近接する近接状態と、ヒーターブロック12とシールブロック13とが離間する離間状態とに切り替え可能に構成される。
【0018】
近接状態においては、カットーヒータ-121により包装材Pが切断されるとともに、切断された一方の包装材Pの下端が圧着ヒーター122により熱圧着され、他方の包装材Pの上端が圧着ヒーター123により熱圧着される。この際、シールブロック13における圧着パッド131は、ヒーターブロック12による包装材Pの切断/圧着のための押さえ具として機能する。
【0019】
吸気管14は、
図1に示すように、筒部10を挿通するように設けられた管状部材である。吸気管14は、一端が後述する真空ポンプ140(
図7参照)に接続されるとともに、他端が載置部11の下端より下方に、且つヒーターブロック12及びシールブロック13の上端より上方に位置付けられるように設けられる。また、吸気管14は、その他端部が、載置部11が閉鎖状態にある場合に可撓性を有する2つのシール部材111に挟まれるように設けられる。このような吸気管14によれば、後に詳述するように、複数個の対象物Oを包装した状態における包装材P内が空気される。
【0020】
(制御系及び駆動系の構成)
制御系及び駆動系の構成について説明する。
図7は、包装装置における制御系及び駆動系の構成を示すブロック図である。
【0021】
包装装置1は、
図7に示すように、制御系としての制御装置15、及び駆動系としての第1駆動部110、第2駆動部120、真空ポンプ140を更に備える。
【0022】
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)151、RAM(Random Access Memory)152、ROM(Read Only Memory)153、入出力IF(Interface)154を有する。CPU151及びRAM152は、協働することにより駆動系の制御を行う。ROM153は駆動系の制御に係る各種データを記憶する。また、制御装置15は、後に詳述するように、対象物Oを包装する工程において包装装置1の上流にあり、包装装置1に対象物Oを順次投入する上流装置2と接続される。
【0023】
第1駆動部110は、載置部11を閉鎖状態または解放状態に切り替えるように板状部材11A,11Bを駆動するものであり、例えばモーターとして構成される。第2駆動部120は、ヒーターブロック12及びシールブロック13を近接状態または離間状態に切り替えるように駆動するものであり、第1駆動部110と同様に例えばモータとして構成される。真空ポンプ140は、上述したように吸気管14の一端が接続され、吸気管14の他端から吸気を行い、吸気した空気を真空ポンプ140外部へ排出する。
【0024】
(制御装置の処理動作)
制御装置の処理動作について説明する。
図8は、制御装置の動作を示すフローチャートである。
図9~13は、それぞれ、載置動作、落下動作、閉塞動作、排気動作、切断/圧着動作を示す図である。
【0025】
図8に示すように、まず、制御装置15は、載置部11を閉鎖状態とする載置動作を行わせるように第1駆動部110を制御する(S101)。載置動作によれば、
図9に示すように、筒部10の下方の開口部102が載置部11により閉塞され、上流装置2により上方の開口部101から投入された対象物Oが載置部11に載置されることによって、筒部10内に収容される。この際、後に詳述するように、包装材Pの下端部において圧着部Pbが形成されることにより下端部が閉塞されており、包装材Pの下端部近傍部分が筒部10の開口部102を閉鎖するように筒部10と載置部11との間に位置付けられる。
【0026】
載置動作後、制御装置15は、包装装置1への対象物Oの投入数が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する(S102)。ここで、対象物Oの投入検知または投入数は上流装置2により得られるものとするが、例えば筒部10に対して、対象物Oの投入を検知可能または投入数を測定可能なセンサを設けて、このセンサより投入数を算出または取得するようにしても良い。なお、閾値は、1回に包装される対象物Oの個数に設定され、本実施形態においては、例えば10個に設定される。
【0027】
投入数が閾値未満である場合(S102,NO)、制御装置15は、再度、投入数が閾値以上であるか否かを判定する(S102)。一方、投入数が閾値以上である場合(S102,YES)、制御装置15は、投入数を0にリセットし(S103)、載置部11を解放状態とする落下動作を行わせるように第1駆動部110を制御する(S104)。
【0028】
落下動作によれば、
図10に示すように、載置部11が解放状態とされて、下方に落下する複数個の対象物Oの重みによって筒部10の外周側において折り畳まれた包装材Pの一部が載置部11、ヒーターブロック12及びシールブロック13の下方に導出された状態となる。
【0029】
落下動作後、制御装置15は、
図11に示すように、載置部11を閉鎖状態として複数個の対象物Oを収容する包装材Pの上端を閉塞する閉塞動作を行わせるように第1駆動部110を制御する(S105)。この閉塞動作によれば、複数個の対象物Oを収容する包装材Pの上端が板状部材11A,11Bのそれぞれにおけるシール部材111の間に挟まれることによって、複数個の対象物Oの下方への落下及び包装材Pの導出が停止される。また、可撓性を有する2つのシール部材111の間に吸気管14が挟まれることによって、吸気管14における他端の上方において包装材Pが閉塞される。
【0030】
次に、制御装置15は、
図12に示すように、複数個の対象物Oを収容する包装材P内の空気を吸気管14を介して吸気する吸気動作を行わせるように真空ポンプ140を制御する(S106)。この吸気動作によれば、包装材P内が脱気、減圧され、複数個の対象物Oがまとめて脱気包装されることとなる。
【0031】
吸気動作後、制御装置15は、
図13に示すように、ヒーターブロック12及びシールブロック13を近接状態とする切断/圧着動作を行わせるように第2駆動部120を制御する(S107)。この切断/圧着動作によれば、複数個の対象物Oを収容する包装材Pの上端部において圧着ヒーター123により圧着部Ptが形成されるとともに、圧着部Ptの上方においてカットヒーター121により包装材Pが切断される。また、切断部の上方において圧着ヒーター122により圧着部Pb(
図9参照)が形成される。
【0032】
切断/圧着動作後、制御装置15は、再度、載置動作を行わせるように第1駆動部110を制御する(S101)。この際、前回の切断/圧着動作により包装材Pに圧着部Pbが形成されている。なお、包装装置1の稼働直後においては、事前に包装材Pの一部を下方に導出し、切断/圧着動作のみを行うものとする。
【0033】
上述したように、本実施形態に係る包装装置1によれば、複数個の対象物Oをまとめて包装することができる。また、個別包装されたハンドタオルを脱気包装することによって気密性を更に高めることができ、延いては、ハンドタオルの乾燥を防止することができるとともに、外気との接触を防止して衛生状態を維持することができる。
【0034】
なお、複数個のハンドタオルをまとめて包装する際、これらを収容する包装材P内部の空気が30%程度(真空状態を0%、大気を100%とした場合)となるように脱気されることが望ましい。過度に脱気された場合、ハンドタオルが過度に収縮されて開封後に元の形状に復元することが容易ではないという問題が生じる。一方、十分に脱気されない場合、ハンドタオルが包装材P内において移動可能となるために、輸送効率を悪化させてしまうという問題が生じる。
【0035】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0036】
1 包装装置
10 筒部
11 載置部
14 吸気管
121 カットヒーター(切断部)
122 圧着ヒーター(第1圧着部)
123 圧着ヒーター(第2圧着部)