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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101415
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】ヘアーアイロン
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/02 20060101AFI20220629BHJP
   A45D 1/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A45D1/02 C
A45D1/00 503A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020220076
(22)【出願日】2020-12-24
(71)【出願人】
【識別番号】520357109
【氏名又は名称】MAO株式会社
(72)【発明者】
【氏名】眞岡 健一
(57)【要約】      (修正有)
【課題】縮毛矯正の際に、艶を有し、好みに応じたカールの形状及びカールの大きさを1度の施術で容易に得ること。
【解決手段】第1のアーム1、第2のアーム2、第1の加熱プレート3、第2の加熱プレート4、第1のヒーター3a、第2のヒーター4aを備え、第1の加熱プレート3は円弧面を有し、第1のアーム1の断面形状において、円弧面と円弧面の一方の端点と円弧面の半径の中心とを結ぶ第1の線分と円弧面の他方の端点と円弧面の半径の中心とを結ぶ第2の線分とで第1の扇形が形成され、第1の扇形の中心角は30°以上かつ180°以下であり、第2の加熱プレート4は第1の加熱プレート3に沿った凹面を有し、第2のアーム2の断面形状において凹面と凹面の一方の端点と凹面の半径の中心とを結ぶ第3の線分と凹面の他方の端点と凹面の半径の中心とを結ぶ第4の線分とで第2の扇形が形成され、第2の扇形の中心角は30°以上かつ180°以下である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延出した第1のアームと、
一方向に延出し、延出する方向に沿った一方の側で前記第1のアームの延出する方向に沿った一方の側と連結され、前記第1のアームに対して他方の側が開閉する第2のアームと、
前記第1のアームの延出する方向に沿って前記第1のアームの他方の側に取り付けられた第1の加熱プレートと、
前記第2のアームの延出する方向に沿って前記第2のアームの他方の側に、前記第1の加熱プレートに対向して取り付けられた第2の加熱プレートと、
前記第1の加熱プレートの温度を上昇させる第1のヒーターと、
前記第2の加熱プレートの温度を上昇させる第2のヒーターと、を備え、
前記第1の加熱プレートは前記第2の加熱プレートの方向に突出した円弧状に形成された円弧面を有し、前記第1のアームの延出する方向に対して垂直な平面で切断した断面形状において、前記円弧面と、前記円弧面の一方の端点と前記円弧面の半径の中心とを結ぶ第1の線分と、前記円弧面の他方の端点と前記円弧面の半径の中心とを結ぶ第2の線分とで第1の扇形が形成され、前記第1の線分と前記第2の線分とから形成された前記第1の扇形の中心角は30°以上かつ180°以下であり、
前記第2の加熱プレートは前記第1の加熱プレートの前記円弧面に沿って円弧状に形成された凹面を有し、前記第2のアームの延出する方向に対して垂直な平面で切断した断面形状において、前記凹面と、前記凹面の一方の端点と前記凹面の半径の中心とを結ぶ第3の線分と、前記凹面の他方の端点と前記凹面の半径の中心とを結ぶ第4の線分とで第2の扇形が形成され、前記第3の線分と前記第4の線分とから形成された前記第2の扇形の中心角は30°以上かつ180°以下であり、
前記第1のヒーター及び前記第2のヒーターの一方または双方を複数有したことを特徴とするヘアーアイロン。
【請求項2】
前記第2のアームは、一方の側部の部分の前記第2の加熱プレートが配置された範囲に、前記第1の加熱プレートと前記第2の加熱プレートとが接した際の前記第1のアームの延出する方向に対して垂直な平面で切断した断面形状において、前記第2の加熱プレートに沿う方向に延出して前記第1のアームの側部よりも突出した突出部を備えていることを特徴とする請求項1に記載のヘアーアイロン。
【請求項3】
前記第1のアームは、一方の側部の側及び他方の側部の側の一方または双方の少なくとも前記第1の加熱プレートが配置された範囲に、前記第1のアームの延出する方向に沿って相互に離間し、側部の側から離れる方向に延出させた複数の櫛歯を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヘアーアイロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、ヘアーアイロンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
縮毛を直毛に矯正する縮毛矯正は、毛髪に接する面が平面の加熱プレートを両側に設けた両面加熱型のヘアーアイロンを用いて行われている。ヘアーアイロンで毛髪を挟み、パーマ施術の途中で熱によるタンパク変性を縮毛に起こすことで、縮毛を直毛に矯正することができる。縮毛における光の反射は乱反射になることから縮毛では艶が出ないといった悩みは、縮毛矯正により解消されている。しかしながら、縮毛矯正の仕上がりが直毛になりすぎてしまうという課題があった。また、縮毛を直毛に矯正した後の、タンパク編成後の直毛の毛髪はカールがつきにくく、無理にカールを施術しようとすると、毛髪損傷の可能性が高まるという課題もあった。
【0003】
これらの課題を解決するために、縮毛矯正しながらカールを施術できる両面加熱型のヘアーアイロンの構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。ヘアーアイロンは、一方の加熱プレートの内表面が平面に近い凹曲面で、他方の加熱プレートの内表面は、平面に近い凹曲面に対して曲面半径がやや小さい凸曲面から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3172657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1においては、両面加熱型のヘアーアイロンの対向する加熱プレートのそれぞれの内表面が平面に近い凹曲面と曲面半径が凹曲面よりもやや小さい平面に近い凸曲面で形成されているため、縮毛矯正しながらカールを施術することができる。しかしながら、加熱プレートのそれぞれは平面に近い凹曲面と凸曲面とで形成されているため、カールの形状及びカールの大きさが限定されるので、好みに応じたカールの形状及びカールの大きさを得ることが困難であるという課題があった。また、加熱プレートの内表面を円弧状にすることでカールの形状及びカールの大きさを変えることはできるものの加熱プレートの面積が拡大するため、ヘアーアイロンの温度を所望の温度にすることが困難であるという課題があった。
【0006】
そこで、本願は、縮毛矯正の際に、艶を有し、好みに応じたカールの形状及びカールの大きさを1度の施術で容易に得ることができる両面加熱型のヘアーアイロンを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に開示されるヘアーアイロンは、一方向に延出した第1のアームと、一方向に延出し、延出する方向に沿った一方の側で第1のアームの延出する方向に沿った一方の側と連結され、第1のアームに対して他方の側が開閉する第2のアームと、第1のアームの延出する方向に沿って第1のアームの他方の側に取り付けられた第1の加熱プレートと、第2のアームの延出する方向に沿って第2のアームの他方の側に、第1の加熱プレートに対向して取り付けられた第2の加熱プレートと、第1の加熱プレートの温度を上昇させる第1のヒーターと、第2の加熱プレートの温度を上昇させる第2のヒーターとを備え、第1の加熱プレートは第2の加熱プレートの方向に突出した円弧状に形成された円弧面を有し、第1のアームの延出する方向に対して垂直な平面で切断した断面形状において、円弧面と、円弧面の一方の端点と円弧面の半径の中心とを結ぶ第1の線分と、円弧面の他方の端点と円弧面の半径の中心とを結ぶ第2の線分とで第1の扇形が形成され、第1の線分と第2の線分とから形成された第1の扇形の中心角は30°以上かつ180°以下であり、第2の加熱プレートは第1の加熱プレートの円弧面に沿って円弧状に形成された凹面を有し、第2のアームの延出する方向に対して垂直な平面で切断した断面形状において、凹面と、凹面の一方の端点と凹面の半径の中心とを結ぶ第3の線分と、凹面の他方の端点と凹面の半径の中心とを結ぶ第4の線分とで第2の扇形が形成され、第3の線分と第4の線分とから形成された第2の扇形の中心角は30°以上かつ180°以下であり、第1のヒーター及び第2のヒーターの一方または双方を複数有したものである。
【発明の効果】
【0008】
本願に開示されるヘアーアイロンによれば、第1のアームの延出する方向に沿って第1のアームの他方の側に取り付けられた第1の加熱プレートと、第2のアームの延出する方向に沿って第2のアームの他方の側に、第1の加熱プレートに対向して取り付けられた第2の加熱プレートのそれぞれで形成される第1の扇形及び第2の扇形の中心角が30°以上かつ180°以下であるため、縮毛矯正の際に、艶を有し、好みに応じたカールの形状及びカールの大きさを1度の施術で容易に得ることができる。また、第1のヒーター及び第2のヒーターの一方または双方を複数有したため、ヘアーアイロンの温度を容易に所望の温度にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るヘアーアイロンの概略を示す模式図である。
図2】実施の形態1に係るヘアーアイロンの概略を示す側面図である。
図3】実施の形態1に係るヘアーアイロンの概略を示す側面図である。
図4図2のA-A断面位置で切断したヘアーアイロンの断面図である。
図5】実施の形態1に係るヘアーアイロンの加熱プレートの断面形状を説明する図である。
図6】実施の形態2に係るヘアーアイロンの断面図である。
図7】実施の形態2に係るヘアーアイロンの第1の加熱プレートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施の形態によるヘアーアイロンを図に基づいて説明する。なお、各図において同一、または相当部材、部位については同一符号を付して説明する。
【0011】
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係るヘアーアイロン100の概略を示す模式図、図2はヘアーアイロン100の概略を示す側面図、図3はヘアーアイロン100の概略を示す図2とは反対側の側面図、図4図2のA-A断面位置で切断したヘアーアイロン100の断面図、図5は実施の形態1に係るヘアーアイロン100の第1の加熱プレート3と第2の加熱プレート4の断面形状を説明する図である。ヘアーアイロン100は、縮毛矯正しながらカールを施術できる両面加熱型のヘアーアイロンである。
【0012】
<ヘアーアイロン100>
ヘアーアイロン100は、図1に示すように、第1のアーム1、第2のアーム2、第1の加熱プレート3、第2の加熱プレート4、及び電源コード8を備える。またヘアーアイロン100は、図1では図示していない第1のヒーター3a及び第2のヒーター4aを備える。第1のアーム1は、一方向に延出する。第2のアーム2は、一方向に延出し、延出する方向に沿った一方の側で第1のアーム1の延出する方向に沿った一方の側とシャフト5で連結される。第2のアームは、第1のアーム1に対して他方の側が開閉する。第1の加熱プレート3は、第1のアーム1の延出する方向に沿って第1のアーム1の他方の側に取り付けられる。第2の加熱プレート4は、第2のアーム2の延出する方向に沿って第2のアーム2の他方の側に、第1の加熱プレート3に対向して取り付けられる。ヘアーアイロン100は、電源コード8を介して供給された電力により第1の加熱プレート3及び第2の加熱プレート4が加熱される。第1の加熱プレート3と第2の加熱プレート4の間に、施術者が施術する被施術者の縮毛を挟み込む。本実施の形態では、電源コード8を介してヘアーアイロン100に電力を供給する構成を示したがこれに限るものではなく、ヘアーアイロン100は充電式であっても構わない。
【0013】
ヘアーアイロン100は、図2に示すように、スイッチ6、温度表示部7、及び櫛歯9を備える。図2は、第1のアーム1と第2のアーム2を閉じた状態である。ヘアーアイロン100は、第1のアーム1と第2のアーム2を閉じた状態では円柱状になっていて、施術者が片手で持てる程度の大きさに形成される。本実施の形態では、施術者がヘアーアイロン100を右手に持って施術することを想定して、図2に示した側の第1のアーム1にスイッチ6、温度表示部7、及び櫛歯9を設けた。すなわち、図2に示した側が施術者の側になる。ヘアーアイロン100を施術者が右手で把持する場合、施術者は容易にスイッチ6を操作することができる。なおスイッチ6、温度表示部7、及び櫛歯9を設ける側面はこれに限るものではなく、施術者が左手でヘアーアイロン100を把持する場合など、図3に示した反対側の第1のアーム1の側面に設けても構わない。スイッチ6は電源6a、第1の加熱プレート3及び第2の加熱プレート4の温度を下げるマイナスボタン6b、及び第1の加熱プレート3及び第2の加熱プレート4の温度を上げるプラスボタン6cを備える。第1の加熱プレート3及び第2の加熱プレート4の温度は、温度表示部7に表示される。ヘアーアイロン100の電源投入時は、第1の加熱プレート3及び第2の加熱プレート4の加熱目標温度を表示する。
【0014】
ヘアーアイロン100は、第1の加熱プレート3及び第2の加熱プレート4の温度を制御する温度制御部(図示せず)を内部に備える。温度制御部は、電源コード8と第1の加熱プレート3及び第2の加熱プレート4との間に設けられる。第1の加熱プレート3及び第2の加熱プレート4の温度を上昇させる際に、熱による変形、及び破損が生じないように、第1のアーム1及び第2のアーム2は耐熱性に優れた樹脂で形成される。また、ヘアーアイロン100を保持する施術者に熱が伝わらないように、第1のアーム1及び第2のアーム2は熱伝導性が低い樹脂材料で形成される。第1の加熱プレート3及び第2の加熱プレート4は、例えば、熱伝導性に優れた金属のアルミニウムで作製される。
【0015】
第1のアーム1は、一方の側部の側及び他方の側部の側の一方または双方に複数の櫛歯9を備える。実施の形態1では、第1のアーム1は、後述する突出部10が設けられた側とは反対側の図2に示した他方の側部の部分の少なくとも第1の加熱プレート3が配置された範囲に、第1のアーム1の延出する方向に沿って相互に離間し、側部の側から離れる方向に延出させた複数の櫛歯9を備えている。図4では、櫛歯9を第1のアーム1の側部から延出させているが、第1のアーム1の側部に連なる下部から櫛歯9を延出させても構わない。図2では、12本の櫛歯9が5mm程度の間隔で第1のアーム1の側部に配置されている。櫛歯9の本数及び櫛歯9の配置の間隔は、これに限るものではない。櫛歯9は第1のアーム1と一体的に成形して設けられるが、櫛歯9を第1のアーム1とは別体で設けて、第1のアーム1と櫛歯9を接着等で連結しても構わない。また、個々の櫛歯9の太さ、長さ、あるいは間隔等を容易に変更できるように、第1のアーム1に設けたスリットに櫛歯9を嵌め込む構成でも構わない。図4では、湾曲して延出させた櫛歯9を備えている。櫛歯9の形状はこれに限るものではないが、湾曲させたことでヘアーアイロン100の幅を縮めることができ、収納時にも引っ掛かりにくい形状になっている。このようにヘアーアイロン100に櫛歯9を設けたことで、施術者は施術中にヘアーアイロン100を櫛に持ち替えることなく、被施術者の毛髪に櫛を当てることができる。ヘアーアイロン100と櫛を持ち替える必要がないため、持ち替える時間は不要であり、施術の時間を短縮することができる。また、被施術者の毛髪に櫛を当てた直後にヘアーアイロン100で施術できるため、ヘアーアイロン100の施術によるカールの形状及びカールの大きさの精度を向上させることができる。
【0016】
<加熱プレート>
本願の要部である第1の加熱プレート3と第2の加熱プレート4について、図5を用いて説明する。図5は、第1の加熱プレート3と第2の加熱プレート4の断面を模式的に示した図である。第1の加熱プレート3は、第2の加熱プレートの方向に突出した円弧状に形成された円弧面21を有する。第1のアーム1の延出する方向に対して垂直な平面で切断した断面形状において、円弧面21の一方の端点21aと円弧面の半径の中心20とを結ぶことで第1の線分22が形成され、円弧面21の他方の端点21bと円弧面の半径の中心20とを結ぶことで第2の線分23が形成される。円弧面21と、第1の線分22と、第2の線分とで第1の扇形24が形成される。第1の線分22と第2の線分23とから形成された第1の扇形24の中心角Bは、30°以上かつ180°以下に設定される。第2の加熱プレート4は、第1の加熱プレート3の円弧面21に沿って円弧状に形成された凹面25を有する。第2のアーム2の延出する方向に対して垂直な平面で切断した断面形状において、凹面25の一方の端点25aと凹面の半径の中心20とを結ぶことで第3の線分26が形成され、凹面25の他方の端点25bと凹面の半径の中心20とを結ぶことで第4の線分27が形成される。凹面25と、第3の線分26と、第4の線分27とで第2の扇形28が形成される。第3の線分26と第4の線分27とから形成された第2の扇形28の中心角Bは、30°以上かつ180°以下に設定される。
【0017】
図5において、第1の扇形24と第2の扇形28の中心角Bは170°である。図5では、第1の扇形24と第2の扇形28が同じ形状で、同じ位置に配置されている例を示したが、第1の扇形24と第2の扇形28が異なる形状、つまり異なる中心角Bを有していても構わない。また、第1の扇形24と第2の扇形28の中心角Bが一致していて、ヘアーアイロン100毎に中心角Bが異なっているヘアーアイロン100を用意し、施術においてこれらのヘアーアイロン100を使い分けることで、カールの形状を容易に変更することができる。
【0018】
図4における第1のアーム1の幅及び第2のアーム2の幅(図4における横方向の幅)は、10mm以上かつ50mm以下に設定される。第1のアーム1の幅及び第2のアーム2の幅を変更することで、第1の扇形24及び第2の扇形28の大きさを変更することができる。ヘアーアイロン100毎に第1の扇形24及び第2の扇形28の大きさが異なっているヘアーアイロン100を用意し、施術においてこれらのヘアーアイロン100を使い分けることで、カールの大きさを容易に変更することができる。
【0019】
第1の加熱プレート3の温度を上昇させる板状の第1のヒーター3aは、図4に示すように、第1の加熱プレート3の第1のアーム1の側に設けられる。第1の加熱プレート3は、第1のアーム1の側に第1のヒーター3aが接する面を備える。板状の第1のヒーター3aと第1の加熱プレート3とが面で接することで、第1のヒーター3aの熱が効率よく第1の加熱プレート3に伝わるので、短時間で第1の加熱プレート3の温度を所望の温度まで上昇させることができる。第1のヒーター3aは、板ばねを介して第1のアーム1に固定される。第2の加熱プレート4の温度を上昇させる板状の第2のヒーター4aは、第2の加熱プレート4と第2のアーム2との間に取り付けられる。第2の加熱プレート4は、第2のアーム2の側に第2のヒーター4aが接する面を備える。板状の第2のヒーター4aと第2の加熱プレート4とが面で接することで、第2のヒーター4aの熱が効率よく第2の加熱プレート4に伝わるので、短時間で第2の加熱プレート4の温度を所望の温度まで上昇させることができる。第2のヒーター4aは、板ばねを介して第2のアーム2に固定される。
【0020】
第1のヒーター3aと第2のヒーター4aは、温度制御部に接続される。ヘアーアイロン100は、第1のヒーター3a及び第2のヒーター4aの一方または双方を複数有する。本実施の形態では、1つの第1のヒーター3aと2つの第2のヒーター4aを備えたが、ヒーターの個数はこれに限るものではない。円弧状に形成された1つの加熱プレートが複数のヒーターと接することで、円弧状であっても短時間で加熱プレートの温度を所望の温度まで上昇させることができる。短時間で加熱プレートの温度が上昇するので、施術の時間を短縮することができる。中心角Bが180°に近い大きな中心角Bを備えた加熱プレートを用いる場合、毛髪と接する加熱プレートの面積が拡大されるため、複数のヒーターを配置することでヘアーアイロン100の温度を容易に所望の温度にすることができる。施術時の第1の加熱プレート3と第2の加熱プレート4の温度は、140℃から230℃の範囲に設定される。
【0021】
第1の加熱プレート3と第2の加熱プレート4をこのように構成することで、縮毛矯正の際に、艶を有し、好みに応じたカールの形状及びカールの大きさを1度の施術で容易に得ることができる。また、施術は1度でかつ根元から毛先迄均一に行えるため、一定期間ごとに繰り返し施術を行っても毛髪の損傷のリスクを避けることができる。
【0022】
<突出部10>
第2のアーム2は、一方の側部の部分の第2の加熱プレート4が配置された範囲に、図4に示すように、第1の加熱プレート3と第2の加熱プレート4とが接した際の第1のアーム1の延出する方向に対して垂直な平面で切断した断面形状において、第2の加熱プレート4に沿う方向に延出して第1のアーム1の側部よりも突出した突出部10を備えている。本実施の形態では、突出部10が第1のアーム1の端部よりも突出した部分の長さは2mmであるが、突出部10の長さはこれに限るものではない。例えば、第1のアーム1の幅及び第2のアーム2の幅に応じて、2mmから5mm程度の大きさで作製される。
【0023】
このように構成することで、施術時に被施術者の毛髪にカールが得やすくなると共に、加熱プレートの端部の跡つまり折れた形が被施術者の毛髪に付きにくくすることができる。加熱プレートの端部の跡が被施術者の毛髪に付きにくいため、被施術者の好みに応じたカールの形状及びカールの大きさを被施術者の毛髪に美しく施術することができる。
【0024】
<ヘアーアイロン100を用いた施術方法>
ヘアーアイロン100を用いた施術方法について説明する。チオグリコール酸等の還元剤を含むパーマ剤第一剤を、縮毛を有した被施術者の毛髪に塗布する。塗布した状態で予め定めた時間放置し、その後毛髪を水洗する。毛髪の乾燥後、昇温させたヘアーアイロン100の第1の加熱プレート3と第2の加熱プレート4の間に毛髪を挟んで、縮毛を直毛に矯正しつつ毛髪にカールを形成する。カールの形成状態を確認しつつ、ヘアーアイロン100を使用した処理を繰り返す。ブロム酸塩又は過酸化水素を含むパーマ剤第二剤で酸化し、毛髪を水洗する。最後に毛髪を乾燥する。
【0025】
以上のように、実施の形態1によるヘアーアイロン100において、第1のアーム1の延出する方向に沿って第1のアーム1の他方の側に取り付けられた第1の加熱プレート3と、第2のアーム2の延出する方向に沿って第2のアーム2の他方の側に、第1の加熱プレート3に対向して取り付けられた第2の加熱プレート4のそれぞれで形成される第1の扇形24及び第2の扇形28の中心角Bが30°以上かつ180°以下であるため、縮毛矯正の際に、艶を有し、好みに応じたカールの形状及びカールの大きさを1度の施術で容易に得ることができる。また、第1のヒーター3a及び第2のヒーター4aの一方または双方を複数有したため、ヘアーアイロン100の温度を容易に所望の温度にすることができる。また、第2のアーム2が一方の側部の部分の第2の加熱プレート4が配置された範囲に、第1の加熱プレート3と第2の加熱プレート4とが接した際の第1のアーム1の延出する方向に対して垂直な平面で切断した断面形状において、第2の加熱プレート4に沿う方向に延出して第1のアーム1の側部よりも突出した突出部10を備えている場合、施術時に被施術者の毛髪にカールを得やすくなると共に、加熱プレートの端部の跡が被施術者の毛髪に付きにくくすることができる。また、第1のアーム1が、第1のアーム1の側部の部分の少なくとも第1の加熱プレート3が配置された範囲に、第1のアーム1の延出する方向に沿って相互に離間し、側部の部分から離れる方向に延出させた複数の櫛歯9を備えている場合、施術者は施術中にヘアーアイロン100を櫛に持ち替えることなく、被施術者の毛髪に櫛を当てることができる。
【0026】
なお、本実施の形態では、櫛歯9と突出部10の双方を備えたヘアーアイロン100について示したがヘアーアイロン100の構成はこれに限るものではなく、櫛歯9と突出部10の何れか一方を備えた構成、もしくは何れも備えていない構成でも構わない。また、本実施の形態では、櫛歯9を第1のアーム1の他方の側部の側にのみ備えたヘアーアイロン100について示したがヘアーアイロン100の構成はこれに限るものではなく、櫛歯9を第1のアーム1の双方の側部の側に備えた構成でも構わない。双方の側部の側に櫛歯9を備えることで、さらに容易に被施術者の毛髪に櫛を当てることができる。また、突出部10を設けた側に櫛歯9を設ける場合、突出部10に切欠きを設けて切欠きから櫛歯9を延出させてもよく、櫛歯9を第1のアーム1の側部に連なる下部から突出部10を避けて延出させてもよい。また、カール形成時にカール施術特有のアイロン挿入角度差によるアイロン跡が毛髪に付くことを抑制するために、本実施の形態では、右手でヘアーアイロン100を持って施術した場合に最もアイロン跡が出来ないヘアーアイロン100の構成を示している。しかしながら、左手でヘアーアイロン100を持って施術してもアイロン跡が毛髪に付きにくいように施術することは可能であり、ヘアーアイロン100の持ち手を制限するものではない。
【0027】
実施の形態2.
実施の形態2に係るヘアーアイロン100について説明する。図6図2のA-A断面位置と同等の位置で切断した実施の形態2に係るヘアーアイロン100の概略を示す断面図、図7は実施の形態2に係るヘアーアイロン100の第1の加熱プレート3の斜視図である。実施の形態2に係るヘアーアイロン100は、第1の加熱プレート3が実施の形態1とは異なる形状で構成されている。
【0028】
第1の加熱プレート3は、図6に示すように、2箇所にスリット3bを備える。スリット3bは、例えば1mmの深さで設けられる。スリット3bは、図7に示すように、第1の加熱プレート3の延出する方向に沿って形成される。本実施の形態では、2本のスリット3bを第1の加熱プレート3に設けたが、スリット3bの位置と本数はこれに限るものではない。さらに多くのスリット3bを設けてもよく、第2の加熱プレート4に設ける構成でも構わない。
【0029】
以上のように、実施の形態2によるヘアーアイロン100において、第1の加熱プレート3はスリット3bを備えたため、毛髪から生じた水蒸気をスリット3bの内部に収めることができる。スリット3bの内部に水蒸気が収められるので、施術者及び被施術者の火傷を抑制することができる。また、被施術者の毛髪の損傷を抑制することができる。また、蒸気の湿熱を利用して毛髪を艶やかに整えることができる。
【0030】
また本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。
【符号の説明】
【0031】
1 第1のアーム、2 第2のアーム、3 第1の加熱プレート、3a 第1のヒーター、3b スリット、4 第2の加熱プレート、4a 第2のヒーター、5 シャフト、6 スイッチ、7 温度表示部、8 電源コード、9 櫛歯、10 突出部、20 中心、21 円弧面、21a 一方の端点、21b 他方の端点、22 第1の線分、23 第2の線分、24 第1の扇形、25 凹面、25a 一方の端点、25b 他方の端点、26 第3の線分、27 第4の線分、28 第2の扇形、100 ヘアーアイロン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7