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特開2022-101440作業支援システム、作業支援システムの検出装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101440
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】作業支援システム、作業支援システムの検出装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20220629BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20220629BHJP
   E02F 3/43 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/20 N
E02F3/43 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021122572
(22)【出願日】2021-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2020214651
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】桜沢 将史
(72)【発明者】
【氏名】土田 開人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 純一
【テーマコード(参考)】
2D003
2D015
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB02
2D003AB03
2D003AB04
2D003AC06
2D003BA02
2D003BB09
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB04
2D003DB05
2D003FA02
2D015HA03
2D015HB04
2D015HB05
(57)【要約】
【課題】キャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行することができるようにする。
【解決手段】マシンガイダンスの機能によりオペレータの作業を支援する作業支援システム1において、作業機械の可動部に保持されて、センサ23により姿勢情報を取得し、無線通信によるデータ通信により姿勢情報を送出する検出装置11A、11B、11Cと、検出装置11A、11B、11Cから送出された姿勢情報を取得し、オペレータの操作を支援する情報を生成する携帯情報端末装置13と、オペレータの操作を支援する情報をオペレータに通知する通知部14とを備える。検出装置11A、11B、11Cは、センサ23より姿勢情報を取得する検出部21と、姿勢情報を送出する通信部24とをケース62に収納して可動部に保持され、ケース62に、検出装置11A、11B、11Cの向き及び又は位置を示すマーカーM1、M2、M3が視認可能に設けられた。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシンガイダンスの機能によりオペレータの作業を支援する作業支援システムにおいて、
作業機械の可動部に保持されて、センサにより姿勢情報を取得し、無線通信によるデータ通信により前記姿勢情報を送出する検出装置と、
前記検出装置から送出された前記姿勢情報を取得し、前記オペレータの操作を支援する情報を生成する携帯情報端末装置と、
前記オペレータの操作を支援する情報を前記オペレータに通知する通知部とを備え、
前記検出装置は、
前記センサより前記姿勢情報を取得する検出部と、前記姿勢情報を送出する通信部とをケースに収納して前記可動部に保持され、
前記ケースに、前記検出装置の向き及び又は位置を示すマーカーが視認可能に設けられた
作業支援システム。
【請求項2】
前記センサが、3軸の加速度センサであり、
前記マーカーが、前記作業機械の前記検出装置を保持する保持面を、当該保持面の鉛直方向より見た場合の前記センサの1軸又は2軸の検出基準軸の向きを示すマーカーである
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項3】
前記センサが、3軸の加速度センサであり、
前記マーカーが、前記作業機械の前記検出装置を保持する保持面に直交する、前記センサの検出基準軸の位置を示すマーカーである
請求項1に記載の作業支援システム。
【請求項4】
前記マーカーが、前記保持面の反対色又は補色である
請求項1、請求項2、請求項3の何れかに記載の作業支援システム。
【請求項5】
前記検出装置は前記作業機械の前記検出装置を保持する保持面に別体に保持された電源装置からケーブルを介して供給される電力により動作する
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の何れかに記載の作業支援システム。
【請求項6】
前記作業機械は、夜間用照明が前記可動部に設けられ、
前記検出装置は、前記夜間用照明の電源が分配されて供給され、前記夜間用照明用の電源により動作する
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の何れかに記載の作業支援システム。
【請求項7】
作業支援システムの検出装置において、
前記作業支援システムは、
作業機械の可動部に保持されて、センサにより姿勢情報を取得し、無線通信によるデータ通信により前記姿勢情報を送出する前記検出装置と、
前記検出装置から送出された前記姿勢情報を取得し、前記オペレータの操作を支援する情報を生成する携帯情報端末装置と、
前記オペレータの操作を支援する情報を前記オペレータに通知する通知部とを備え、
前記検出装置は、
前記センサより前記姿勢情報を取得する検出部と、前記姿勢情報を送出する通信部とをケースに収納して前記可動部に保持され、
前記ケースに、前記検出装置の向き及び又は位置を示すマーカーが視認可能に設けられた
作業支援システムの検出装置。
【請求項8】
前記検出装置は、前記ケースに設けられた開口部を塞ぐカバーと、前記カバーと前記可動部との間に介在するように設けられる取付部材とを備え、
前記カバーは、前記取付部材に設けられた複数の突出部が各々貫通可能な複数の貫通部を備え、
前記突出部は、その所要部が前記貫通部に位置決め固定される構成とした
請求項7に記載の作業支援システムの検出装置。
【請求項9】
前記検出装置は、前記ケースに設けられた開口部を塞ぐカバーと、前記カバーと前記可動部との間に介在するように設けられる取付部材とを備え、
前記カバーは、前記取付部材に設けられた複数の突出部が各々貫通可能な複数の貫通部を備え、
前記突出部と前記貫通部との間の隙間にスペーサを配置した
請求項7に記載の作業支援システムの検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業支援システム、作業支援システムの検出装置に関し、例えば油圧ショベルに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来、マシンガイダンスの機能を組み込んだ作業機械(いわゆるICT建機である)が提供されている。
ここでマシンガイダンスは、トータルステーション(TS:Total Station)、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の計測技術を利用して作業機械の操作をサポートする技術である。このマシンガイダンスによれば、オペレータの作業を適切に支援して、作業効率、安全性、作業精度を向上することができる。
【0003】
このようなICT建機は、作業機械の可動部にセンサを配置し、このセンサによる検出結果を処理して可動部の姿勢を検出している。
このようなICT建機に関して、特許文献1には、この検出装置に関する工夫が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-14147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこの種の作業機械においては、オペレータの作業を適切に支援するために、可動部に精度良く検出装置を配置することが必要である。このためこの種の作業機械においては、検出装置を可動部に取り付けた後、可動部を可動してオペレータの作業を適切に支援していることを確認することが必要であり、オペレータの支援が不適切な場合、検出装置の取り付け位置を修正することが必要になる(以下、これらの処理をキャリブレーション処理と呼ぶ)。
【0006】
このキャリブレーション処理にあっては、短時間で実行できることが望まれる。
また作業員によって、調整精度が変化したり、作業量、作業時間が変化しないことが望まれる。
【0007】
本発明は以上の点を考慮してなされたものであり、キャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行することができる作業支援システム、作業支援システムの検出装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
係る課題を解決するため、請求項1の発明は、マシンガイダンスの機能によりオペレータの作業を支援する作業支援システムにおいて、
作業機械の可動部に保持されて、センサにより姿勢情報を取得し、無線通信によるデータ通信により前記姿勢情報を送出する検出装置と、
前記検出装置から送出された前記姿勢情報を取得し、前記オペレータの操作を支援する情報を生成する携帯情報端末装置と、
前記オペレータの操作を支援する情報を前記オペレータに通知する通知部とを備え、
前記検出装置は、
前記センサより前記姿勢情報を取得する検出部と、前記姿勢情報を送出する通信部とをケースに収納して前記可動部に保持され、
前記ケースに、前記検出装置の向き及び又は位置を示すマーカーが視認可能に設けられた。
【0009】
請求項1の構成によれば、目視によりマーカーを確認して検出装置の取り付け位置を確認することができ、この検出装置に設けられたセンサの取り付け位置を精度良く設定することができる。これにより短時間で、作業量、作業時間に個人差が生じることなく、精度良くセンサを配置することができ、キャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、
前記センサが、3軸の加速度センサであり、
前記マーカーが、前記作業機械の前記検出装置を保持する保持面を、当該保持面の鉛直方向より見た場合の前記センサの1軸又は2軸の検出基準軸の向きを示すマーカーである。
【0011】
請求項2の構成によれば、検出装置を保持する面の面内方向におけるセンサの傾きを簡易に検出することができる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1の構成において、
前記センサが、3軸の加速度センサであり、
前記マーカーが、前記作業機械の前記検出装置を保持する保持面に直交する、前記センサの検出基準軸の位置を示すマーカーである。
【0013】
請求項3の構成によれば、検出装置を保持する面の面内方向におけるセンサの位置ずれを簡易に検出することができる。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1、請求項2、請求項3の何れかの構成において、
前記マーカーが、前記保持面の反対色又は補色である。
【0015】
請求項4の構成によれば、検出装置のケースの多くが前記保持面と同一色に設定されることにより、マーカーを視認し易くすることができ、一段とキャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行することができる。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の何れかの構成において、
前記検出装置は、前記作業機械の前記検出装置を保持する保持面に別体に保持された電源装置からケーブルを介して供給される電力により動作する。
【0017】
請求項5の構成によれば、保持面に別体に保持された電源装置からケーブルを介して動作用の電力が供給されることにより、検出装置、電源装置の形状をそれぞれ小型化することができ、また検出装置に対して柔軟に電源装置を配置することができる。これにより取り付け可能箇所が限られている場合でも、検出装置を配置することができる。またさらに検出装置を小型化できることにより、キャリブレーション処理における取り付け位置の修正作業も簡略化することができる。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1、請求項2、請求項3、請求項4の何れかの構成において、
前記作業機械は、夜間用照明が前記可動部に設けられ、
前記検出装置は、前記夜間用照明の電源が分配されて供給され、前記夜間用照明用の電源により動作する。
【0019】
請求項6の構成によれば、作業機械に既設の夜間用正面の電源ケーブルを利用して電源を供給することができ、既存の設備を有効利用して検出装置を配置することができる。またこの場合、バッテリを一体に設ける場合に比して検出装置を小型化することができることにより、取り付け可能箇所が限られている場合でも、柔軟に検出装置を配置することができ、またさらにキャリブレーション処理における取り付け位置の修正作業も簡略化することができる。
【0020】
請求項7の発明は、作業支援システムの検出装置において、
前記作業支援システムは、
作業機械の可動部に保持されて、センサにより姿勢情報を取得し、無線通信によるデータ通信により前記姿勢情報を送出する前記検出装置と、
前記検出装置から送出された前記姿勢情報を取得し、前記オペレータの操作を支援する情報を生成する携帯情報端末装置と、
前記オペレータの操作を支援する情報を前記オペレータに通知する通知部とを備え、
前記検出装置は、
前記センサより前記姿勢情報を取得する検出部と、前記姿勢情報を送出する通信部とをケースに収納して前記可動部に保持され、
前記ケースに、前記検出装置の向き及び又は位置を示すマーカーが視認可能に設けられた。
【0021】
請求項7の構成によれば、目視によりマーカーを確認して検出装置の取り付け位置を確認することができ、この検出装置に設けられたセンサの取り付け位置を精度良く設定することができる。これにより短時間で、作業量、作業時間に個人差が生じることなく、精度良くセンサを配置することができ、キャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行することができる。
【0022】
請求項8の発明は、請求項7の構成において、
前記検出装置は、前記ケースに設けられた開口部を塞ぐカバーと、前記カバーと前記可動部との間に介在するように設けられる取付部材とを備え、
前記カバーは、前記取付部材に設けられた複数の突出部が各々貫通可能な複数の貫通部を備え、
前記突出部は、その所要部が前記貫通部に位置決め固定される構成とした。
【0023】
請求項8の構成によれば、前記キャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行しつつ、取付部材の突出部とカバーの貫通部とが接触するエリアが小さくなり、カバーから取付部材を取り外す際の作業性が向上する。
【0024】
請求項9の発明は、請求項7の構成において、
前記検出装置は、前記ケースに設けられた開口部を塞ぐカバーと、前記カバーと前記可動部との間に介在するように設けられる取付部材とを備え、
前記カバーは、前記取付部材に設けられた複数の突出部が各々貫通可能な複数の貫通部を備え、
前記突出部と前記貫通部との間の隙間にスペーサを配置した。
【0025】
請求項9の構成によれば、前記キャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行しつつ、スペーサを抜き取ることで取付部材の突出部とカバーの貫通部とが非接触状態となり、カバーから取付部材を取り外す際の作業性が向上する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、キャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行することができる作業支援システム、作業支援システムの検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態に係る作業支援システムを示す図である。
図2図1の作業支援システムのブロック図である。
図3】検出装置及び電源装置を示す平面図である。
図4図3の電源装置をA-A線により切り取って示す断面図である。
図5図4の電源装置をC-C線により切り取って示す断面図である。
図6】検出装置の斜視図である。
図7】検出装置の側面図である。
図8図3の検出装置をB-B線により切り取って示す断面図である。
図9】検出装置におけるマーカーを示す部分拡大斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態に係る作業支援システムを示す図である。
図11図10の作業支援システムの説明に供するブロック図である。
図12図10の作業支援システムの電源の接続を示すブロック図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る作業支援システムを示す図である。
図14】第3実施形態に係る検出装置の平面図(正面図)である。
図15図13の検出装置をD-D線により切り取って示す断面図である。
図16図15において、ケース側から取付部材を見たときの検出装置の平面図(背面図)である。
図17図13の検出装置をE-E線により切り取って示す断面図である。
図18図13の検出装置をF-F線により切り取って示す断面図である。
図19図15中、矢印N方向から見たときのカバーとケースと取付部材とを示す図。
図20】第3実施形態に係るカバーと磁性部材と取付部材とを示す要部拡大断面図。
図21】第3実施形態の他の例によるカバーと取付部材との固定状態を示す断面図である。
図22】検出装置の他の例を示す斜視図である。
図23】マーカーの他の例を示す断面図である。
図24】マーカーの他の例を示す断面図である。
図25】検出装置の他の例を示す斜視図である。
図26】検出装置の他の例を示す斜視図である。
図27】検出装置の他の例を示す斜視図である。
図28】検出装置の他の例を示す斜視図である。
図29】マーカーの他の例を示す斜視図である。
図30】マーカーの他の例を示す斜視図である。
図31】マーカーの他の例を示す斜視図である。
図32】マーカーの他の例を示す斜視図である。
図33】マーカーの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る作業支援システム1を示す図であり、図2は、ブロック図である。
この作業支援システム1は、作業機械(建設機械)である油圧ショベル2において、マシンガイダンスの機能によりこの油圧ショベル2を操作するオペレータの作業を支援する。
ここで油圧ショベル2は、無限軌道により自走する本体3にブーム4、アーム5、バケット6が順次設けられる。なお作業支援システム1は、油圧ショベルに限らず、例えば地盤改良に使用する建設機械等、土木、建築の作業に使用される各種作業機械を広く適用することができる。
【0029】
作業支援システム1は、検出装置11A、11B、11C、コントローラ12、携帯情報端末装置13、通知部14を備え、さらにこの実施形態では電源装置16A、16B、16Cを備える。
ここで検出装置11A、11B、11Cは、油圧ショベル2の可動部であるブーム4、アーム5、バケット6にそれぞれ設けられ、センサにより姿勢情報を取得してコントローラ12に送出する。ここで姿勢情報は、各可動部の姿勢を検出可能な情報であり、この実施形態では3次元の加速度、角速度情報が適用される。
【0030】
これにより図2に示すように、検出装置11A、11B、11Cは、この3次元の加速度、角速度情報を取得可能に、直交する検出基準軸を備え、各検出基準軸回りの加速度を検出可能な3軸のセンサ23がそれぞれ検出部21に設けられ、センサ23による計測結果を検出部21で処理して姿勢情報を取得する。
検出装置11A、11B、11Cは、電源装置16A、16B、16Cから供給される電源により動作して、検出装置11A、11B、11Cで取得される姿勢情報を、通信部24による無線通信によるデータ通信でコントローラ12に送出する。
【0031】
より具体的に、センサ23には、IMU(INERTIAL MEASUREMENT UNIT)センサが適用され、通信部24における無線通信には、BLUETOOTH(登録商標)が適用される。なおセンサ23は、IMUセンサに限らず、3軸以外のセンサを適用するようにしてもよく、姿勢を検出可能な種々の構成を広く適用することができる。また検出装置11A、11B、11Cは、姿勢を十分に検出可能な種々の部位に取り付けることができ、実用上十分な場合には、バケット6にのみ取り付けるようにしてもよい。また無線通信においても、データ通信可能な種々の構成を広く適用することができる。
【0032】
コントローラ12は、この油圧ショベル2の本体に設けられ、各部の動作を制御する。この制御において、コントローラ12は、検出装置11A、11B、11Cとのデータ通信により検出装置11A、11B、11Cで取得した姿勢情報を収集して携帯情報端末装置13に出力する。
具体的にコントローラ12(図2)は、検出装置11A、11B、11Cと同様のセンサ31を備え、さらにマイコン33、通信部34を備える。また、コントローラ12は、携帯情報端末装置13からの指示により動作を立ち上げ、マイコン33の制御により検出装置11A、11B、11Cの動作を立ち上げる。またコントローラ12は、検出装置11A、11B、11Cで取得した姿勢情報を収集すると共に、マイコン33の制御によりセンサ31で姿勢情報を取得し、通信部34を介してこれら姿勢情報を携帯情報端末装置13に出力する。また、コントローラ12は、通信部34を介して携帯情報端末装置13から出力されるオペレータの操作を支援する情報を取得し、この支援する情報を通知部14に出力する。
なお実用上十分な場合には、センサ31を省略してもよい。
【0033】
携帯情報端末装置13は、いわゆるスマートフォンやタブレット端末であり、この作業支援システム1に係るアプリケーションソフトウェアの実行により、コントローラ12を介して得られる検出装置11A、11B、11Cによる姿勢情報、センサ31で取得される姿勢情報によりオペレータの操作を支援する情報を生成する。この実施形態では、このオペレータの操作を支援する情報に、油圧ショベル2における施工目標との差異(施工目標までの可動量)が割り当てられ、これによりこのオペレータの操作を支援する情報により簡易かつ確実に施工できるように構成される。
【0034】
より具体的に、携帯情報端末装置13は、マイコン41、通信部42、表示部43を備える。
携帯情報端末装置13は、通信部42による無線通信によるデータ通信により、コントローラ12から姿勢情報を取得し、さらにはオペレータの操作を支援する情報をコントローラ12に出力する。またネットワーク上のサーバから作業支援システムに係るアプリケーションソフトウェアを取得する。
【0035】
携帯情報端末装置13は、通信部42により取得したアプリケーションソフトウェアをマイコン41で実行し、基準姿勢(例えばバケット6を施工開始時の地表に載置した姿勢)で取得される姿勢情報により本体3の姿勢を検出する。またこの基準姿勢からの各姿勢情報の変化により各可動部の姿勢の変化(可動量)を算出してバケット6の現在位置を算出する。
マイコン41は、事前に施工目標の設定を受け付けるようにして、コントローラ12から順次入力される姿勢情報によりバケット6の現在位置を逐次算出し、施工目標からの偏差(差分値)を算出することにより、施工目標までの可動量を算出する。またコントローラ12を介して、通知部14によりこの算出した施工目標までの可動量をオペレータの操作を支援する情報として通信部42より出力する。
またマイコン41は、液晶表示パネル等による表示部43において、施工目標までの可動量算出結果を逐次表示する。なおこの場合、後述する通知部14と同様に表示するようにしてもよい。
【0036】
このようにしてオペレータの操作を支援する情報を生成するようにして、マイコン41は、オペレータによりキャリブレーション処理が指示されると、側方からの油圧ショベル2の撮像結果の取得をオペレータに指示し、この撮像結果の画像処理により検出装置11A、11B、11Cの位置ずれを検出する。またこの検出結果を判定して位置ずれが大きな場合には、オペレータに取り付け位置の修正を指示する。
これによりこの作業支援システム1では、簡易かつ確実にキャリブレーション処理を実行できるように構成される。
なお撮像結果の画像処理により位置ずれを検出する場合に限らず、目視による判断により位置ずれを検出してキャリブレーション処理を実行する場合等にも広く適用することができる。
【0037】
通知部14は、油圧ショベル2の運転席において、コントローラ12より入力されるオペレータの操作を支援する情報をオペレータに通知する構成であり、この実施形態では、発光ダイオードによるセグメント表示により、例えば施工目標までの可動量を表示する。なお通知部14を画像表示パネルにより形成するようにしても良い。またこの表示による通知にあっては、数値の表示により通知する場合、メータの表示により通知する場合等、種々の手法を適用することができる。また音声、警報音により通知するようにしてもよい。また携帯情報端末装置13により直接、通知部14を駆動するようにしてもよく、携帯情報端末装置13により通知部14を兼用するようにしてもよい。
【0038】
電源装置16A、16B、16Cは、電力供給対象の検出装置11A、11B、11Cがそれぞれ配置されている可動部に配置されて、内蔵のバッテリ44により各検出装置11A、11B、11Cに動作用の電源を供給する。なおバッテリ44に代えて、又はバッテリ44に加えてソラーパネル等により動作用の電源を供給するようにしてもよい。
【0039】
この実施形態のように、電源装置16A、16B、16Cを対応する検出装置11A、11B、11Cと共に可動部に配置するようにして、この電源装置16A、16B、16Cの電力により検出装置11A、11B、11Cで姿勢情報を取得するようにし、無線通信により姿勢情報を送出することにより、検出装置11A、11B、11Cは、電源供給用、データ通信用のケーブルをわざわざ設けることなく、所望する取り付け箇所に簡易に設置することができ、これにより作業支援システム1は、簡易に既存の作業機械にマシンガイダンスの機能を導入したり、さらにはマシンガイダンスの機能を向上したりすることができる。
【0040】
〔電源装置〕
図3は、電源装置16A、16B、16Cを対応する検出装置11A、11B、11Cと共に示す平面図である。また図4は、図3をA-A線により切り取って示す電源装置16A、16B、16Cの断面図であり、図5は、図4をC-C線により切り取って示す電源装置16A、16B、16Cの断面図である。
【0041】
電源装置16A、16B、16Cは、凹形状によるケース51に設けられたバッテリホルダー52にバッテリ44が収納される。なおバッテリ44には、充電可能な2次電池を適用することができるものの、充電困難な1次電池(例えば乾電池)を適用してもよい。さらに電源装置16A、16B、16Cは、Oリングによるパッキング53を介してケース51の開口部にカバー55が配置され、このカバー55がねじ54による螺子留めにより保持される。さらに電源装置16A、16B、16Cは、ケース51の側方にコネクタ56が設けられ、このコネクタ56に電源ケーブル57を接続して、検出装置11A、11B、11Cに電源を供給する。これにより電源装置16A、16B、16Cは、対応する検出装置11A、11B、11Cを保持する作業機械の保持面に、対応する検出装置11A、11B、11Cと共に配置できるように形成される。なお電源装置16A、16B、16Cは、保持用金具、両面テープ等、種々の保持手法により保持面に保持することができる。
【0042】
このように保持面に別体に保持された電源装置16A、16B、16Cから電源ケーブル57を介して検出装置11A、11B、11Cに動作用の電力を供給することにより、検出装置11A、11B、11Cにバッテリを収納する場合に比して、検出装置11A、11B、11Cを小型化することができ、また検出装置11A、11B、11Cに対して電源装置16A、16B、16Cを柔軟に(ある程度、自由度を持たせて)配置することができる。これにより取り付け可能箇所が限られている場合でも、検出装置11A、11B、11Cを適切に配置することができる。またさらに検出装置11A、11B、11Cを小型化できることにより、キャリブレーション処理における取り付け位置の修正作業等も簡略化することができる。
【0043】
〔検出装置〕
図6は、検出装置11A、11B、11Cを示す斜視図であり、図7は検出装置11A、11B、11Cの側面図である。また図8は、図3に示す検出装置11A、11B、11CをB-B線により切り取って示す断面図であり、図9図6において符号Fにより示すマーカーM3の部位を部分的に拡大して示す斜視図である。
【0044】
検出装置11A、11B、11Cは、センサ23を備えた検出部21の集積回路、通信部24に係る集積回路等を配線基板61に実装し、この配線基板61が凹形状によるケースに62に収納される。さらにケース62の開口部にカバー63が配置されて封止される。さらに検出装置11A、11B、11Cは、ケース62の側方にコネクタ64が設けられ、このコネクタ64に電源ケーブル57を接続して電源装置16A、16B、16Cに接続される。
このようにコネクタ56、64により電源ケーブル57を接続することにより、必要に応じて電源ケーブル57の長さを選定して、検出装置11A、11B、11C及び電源装置16A、16B、16Cを種々の配置により配置することができ、作業支援システム1を種々の作業機械に適用することができ、またこれにより配置箇所を適切に選定してキャリブレーション処理についても簡易かつ確実に実行することができる。
【0045】
ケース62は、開口側が側方に延出してカラー66が設けられ、このカラー66により作業機械の可動部に螺子留めして保持される。
【0046】
さらにケース62は、検出装置11A、11B、11Cを保持する作業機械の保持面に対向する面に、検出装置11A、11B、11Cの向き及び位置を示す目印としてのマーカーM1、M2、M3が視認可能に設けられる。
これにより検出装置11A、11B、11Cは、目視によりマーカーM1、M2、M3を確認して取り付けの向き及び取り付け位置を確認することができ、この検出装置に設けられたセンサの取り付け位置を精度良く設定することができる。これにより短時間で、作業量、作業時間に個人差が生じることなく、精度良くセンサを配置することができ、キャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行することができる。
【0047】
ここでケース62は、保持面を鉛直方向よりみた形状が略長方形形状となるように形成され、マーカーM1、M2、M3のうちのマーカーM1、M2は、この略長方形形状に係る長辺及び短辺に対してそれぞれ平行を成す形状により形成される。またマーカーM1、M2は、充分な長さにより形成されて交差するように形成され、この交差する箇所が長方形上の中心より偏った位置とされている。
これにより検出装置11A、11B、11Cは、目視により取り付け向きの誤りを簡易に検出することができる。
【0048】
さらに検出装置11A、11B、11Cは、センサ23に係る3軸の検出基準軸のうちの2軸X及びY(図9参照)が、配線基板61に平行になるように、またこの2軸X及びYがそれぞれケース62の側壁62A及び62Bにそれぞれ平行になるように集積回路が実装され、これによりこの2軸X及びYが検出装置11A、11B、11Cを配置する保持面と平行になるように配置される。またさらに残りの1軸Z軸(図9参照)は、実装された集積回路を保持面と直交する方向より見て、集積回路の中心となるように配置される。
【0049】
これによりマーカーM1、M2は、検出装置11A、11B、11Cを保持面の鉛直方向より見た場合に、それぞれこの保持面と平行な2軸の検出基準軸X及びYの向きに直線状に延長する形状により形成される。またさらにこの実施形態において、マーカーM1、M2は、向きだけでなく、その作成箇所についても、この保持面と平行な2軸の検出基準軸の面内(XY平面)方向の位置となるように形成され、またマーカーM1、M2の交差する位置が、センサ23に係る集積回路の真上となるように形成されて、残り1軸の検出基準軸Zの位置となるように形成される。
これにより検出装置11A、11B、11Cは、保持面の面内方向におけるセンサ23の傾き、位置ずれを簡易に検出することができ、一段とキャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行することができる。
【0050】
またマーカーM3は、マーカーM1、M2が交差する箇所に形成され、保持面の面内方向におけるセンサ23の位置ずれを簡易に検出することができる。
なおこれらにより実用上十分な場合には、マーカーM1、M2、M3のうちの1つ又は2つだけ配置するようにしてもよい。
【0051】
図9の部分拡大図により詳細に示すように、マーカーM1、M2は凹状溝により形成され、交差する部位が局所的に幅広に形成される。マーカーM3は、この局所的に幅広とされた部位に、円柱形状による凸部を形成して配置される。なおこの図9において、センサ23の検出基準軸をX、Y、Zにより示す。
【0052】
ここで検出装置11A、11B、11Cは、作業機械の可動部に配置されて、外部より見て取られることにより、多くがこの可動部の色彩である保持面と同一色に設定される。
これによりマーカーM1、M2、M3は、保持面の反対色により形成され、この実施形態では補色により形成される。これにより例えば保持面が黄色の場合、マーカーM1、M2、M3は青紫色とされる。
すなわちマーカーM1、M2は、凹状溝に係る底面及び壁面が、保持面の反対色のうちの補色により形成される。またマーカーM3は、円柱形状に係る凸部全体が保持面の補色により形成される。
このようにマーカーM1、M2、M3を保持面の反対色により形成することにより、さらには補色により形成することにより、マーカーを視認し易くすることができ、一段とキャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行することができる。
なおマーカーM1、M2を補色とし、マーカーM3を保持面と同一色とする場合等、マーカーM1、M2、M3のうちの何れか1つ又は2つのみ補色とするようにして、残りを他の色彩としてもよい。
【0053】
以上の構成によれば、検出装置のケースに、検出装置の向き及び又は位置を示すマーカーを視認可能に設けることにより、目視によりマーカーを確認して検出装置の取り付け位置を確認することができ、この検出装置に設けられたセンサの取り付け位置を精度良く設定することができる。これにより短時間で、作業量、作業時間に個人差が生じることなく、精度良くセンサを配置することができ、キャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行することができる。
【0054】
またさらにマーカーが、センサの1軸又は2軸の検出基準軸の向きを示すマーカーであることにより、検出装置を保持する面の面内方向におけるセンサの傾きを簡易に検出することができる。
【0055】
またさらにマーカーが、センサの検出基準軸の位置を示すマーカーであることにより、検出装置を保持する面の面内方向におけるセンサの位置ずれを簡易に検出することができる。
【0056】
またマーカーが、保持面の反対色又は補色であることにより、マーカーを視認し易くすることができ、一段とキャリブレーション処理を簡易かつ確実に実行することができる。
【0057】
またさらに保持面に別体に保持された電源装置からケーブルを介して電源を供給することにより、検出装置、電源装置の形状をそれぞれ小型化することができ、また検出装置に対して柔軟に電源装置を配置することができる。これにより取り付け可能箇所が限られている場合でも、検出装置を配置することができる。またさらに検出装置を小型化できることにより、キャリブレーション処理における取り付け位置の修正作業も簡略化することができる。
【0058】
〔第2実施形態〕
図10は、図1との対比により本発明の第2実施形態に係る作業支援システム71を示す図である。この作業支援システム71は、油圧ショベル72、検出装置11Aに関する構成が異なる点を除いて、第1実施形態の作業支援システム1と同一に構成される。
ここで油圧ショベル72は、夜間用照明73が設けられ、この夜間用照明73により本体3から電源を供給する電源ケーブル77が設けられ、この夜間用照明73の照明により夜間作業可能に構成される。
【0059】
この実施形態では、この電源ケーブル77による電源により検出装置11Aを駆動する。
このようにすれば、検出装置11Aに電源装置16Aを設けなくても良いことにより、取り付け可能箇所が限られている場合でも、既存の構成を有効に利用して柔軟に検出装置を配置することができ、またさらにキャリブレーション処理における取り付け位置の修正作業も簡略化することができる。
すなわち単純に電源装置を省略して本体3より検出装置11Aに電源を供給する場合には、図11に示すように検出装置11A用に電源ケーブル78Aを設けることが必要になる。これによりバッテリを検出装置11Aに一体に設けるようにすると、検出装置11Aが大型化し、柔軟に検出装置を配置できなくなる。
【0060】
図11との対比により図12に示すように、この実施形態のように、夜間照明用の電源を分配して検出装置11Aに供給するようにすれば、単に分配の構成を付加するだけの簡易な作業により柔軟に検出装置を配置することができる。
この実施形態では、分配器79を電源ケーブル77に設け、この分配器79から電源ケーブル78により検出装置11Aに電源を供給する。なおこれにより検出装置11Aのコネクタ64に分配用のコネクタを設け、このコネクタにより分配する場合等、必要に応じて分配方法にあっては種々の手法を適用することができる。
【0061】
以上の構成によれば、夜間用照明の電源を分配して検出装置に供給することにより、作業機械に既設の夜間用照明の電源ケーブルを利用して電源を供給することができ、既存の設備を有効利用して検出装置を配置することができる。またこの場合、バッテリを一体に設ける場合に比して検出装置を小型化することができることにより、取り付け可能箇所が限られている場合でも、柔軟に検出装置を配置することができ、またさらにキャリブレーション処理における取り付け位置の修正作業も簡略化することができる。
【0062】
〔第3実施形態〕
ここからは本発明の第3実施形態について図13図20を用いて説明する。
この第3実施形態においては、上述した第1実施形態の構成に対して、図13に示すように可動部に電源装置16A、16B、16Cを設置せずに、個々の検出装置11A、11B、11Cの内部にバッテリホルダー52及びバッテリ44がそれぞれ組み込まれた構成となっている。なお、以下の説明では、検出装置11A、11B、11Cを検出装置111A、111B、111Cと称する。
【0063】
次に、検出装置111a、111b、111cについて説明する。なお、本第3実施形態の場合、検出装置111a、検出装置111b、検出装置111cは同一の構成であるため、以下、検出装置111aの構成について説明し、検出装置111b、111cの説明は省略する。
【0064】
検出装置111aは、ブーム4に設けられるものであり、図14図15に示すように基板120と、電力供給手段としての電源ユニット130と、保持部材140と、ケース150と、カバー160と、磁性部材170と、取付部材180と、気密部材190とを備える。
【0065】
基板120は、上述した配線基板61に相当するものであり、ケース150の内部に配設される。基板120には、上述したセンサ23に相当するセンサ121と、上述した検出部21に相当する検出部(制御部)122と、上述した通信部24に相当する通信部123とが実装される。
【0066】
電源ユニット130は、基板120に電力を供給するための電力源となるバッテリ131と、このバッテリ131を収容する樹脂製のバッテリホルダ132とにより構成される。バッテリ31としては、互いに並設された3個の乾電池が用いられている。ここで基板120と電源ユニット130との位置関係に着目すると、基板120と電源ユニット130とはケース150の内部に重なり合うように配設される。
【0067】
保持部材140は、基板120及び電源ユニット130を保持する略平板状の樹脂ケース(インナーケース)であり、基板120と電源ユニット130と間に介在するようにケース150の内部(後述する空間部)に配設される。保持部材140には、基板120と平行状態をなす平板部141と、基板120側に向けて突出する突出部142とが設けられている。
【0068】
平板部141は、両面テープ143によってバッテリホルダ132と接合される。これにより平板部141(保持部材140)によって、バッテリホルダ132(電源ユニット130)が保持される。なお、ここでの詳細図示は省略するが、突出部142と基板120とがネジ等の適宜固定手段を用いて固定されているものとする。これにより突出部142(保持部材140)によって、基板120が保持される。
【0069】
ケース150は、例えば樹脂材料によって形成され、その内部である空間部Hに基板120と電源ユニット130と保持部材140とカバー160の後述する本体部の一部を収容する。ケース150は、基板120と対向するように設けられる第1の壁部としての底部151と、基板120や電源ユニット130、保持部材140の周囲を包囲する第2の壁部としての略枠状の側部152と、底部151に対応するように設けられる開口部153とを備える。なお、ここでの詳細図示は省略するが、底部151の外表面151aには、上述したマーカM1~M3と同一形状、同一機能を有するマーカが形成されているものとする。
【0070】
側部152は、開口部153側に位置する部位が他の部位よりも肉厚形状となる略枠状の肉厚側部152aとなっており、肉厚側部152a(側部152)にはカバー60の後述する被載置部に対応した位置に枠状溝部からなる窪み部152bが設けられる。なお、154は、肉厚側部152aの外側に膨出している略半円環状の6つの第1の膨出部であり(図16参照)、この第1の膨出部154は、図17に点線で示すボルトTを通すための孔154aを有し、図16中、ケース150の4隅、上端側中央、下端側中央にそれぞれ設けられる。
【0071】
カバー160は、例えば樹脂材料によって形成され、ケース150に設けられた開口部153を塞ぐように肉厚側部152a(側部152)に配設される。カバー160は、図14図18に示すように、その主要部を構成する本体部161と、この本体部161の周囲に形成され、肉厚側部152a(側部152)に載置される被載置部162と、ケース150と重ならないように被載置部162の左右方向に張り出す一対の張出部163と、第1の膨出部154に対応するように被載置部162の外側に膨出する略半円環状の6つの第2の1膨出部64とを備える。
【0072】
本体部161は、バッテリ131側を向く平坦面161aと、この平坦面161aとは反対側に位置する露出面161bとを備え、平坦面161aはバッテリ131と当接するように設けられ、露出面161bには磁性部材170を収容するための断面略凹部形状からなる収容部161cが2箇所形成されている。また、161dは、収容部161cからバッテリ131側に向けて形成されたネジ螺合部であり、ネジ螺合部161dはカバー160と磁性部材170とをネジ固定する際に用いられる。
【0073】
なお、本第3実施形態の場合、平坦面161aとバッテリ131とが当接しているが、例えば平坦面161aとバッテリ131との間に隙間を設け、この隙間を埋めるようにスポンジなどの緩衝部材を介在させる構成としてもよい。
【0074】
被載置部162には、図15図19に示すように窪み部152bに侵入する略枠状の突起部162aと、マイナスドライバー等の工具を差込可能な溝部162bとが設けられている。ここでの溝部162bは図15において、被載置部162に2箇所形成されているが、溝部162bの形成個数は1箇所でもよし、3箇所以上でもよい。また、張出部163は、取付部材180の後述する突出部が貫通可能な貫通孔形状の貫通部163aを備えている(図18参照)。第2の膨出部164は、図17に示すように孔154aに対応する孔164aを有し、ボルトTの孔164a、154aへの固定によりカバー160がケース150に締結固定される。
【0075】
磁性部材170は、ともに磁性材料により形成された磁石171と(磁石171を内部に収容する)ヨーク172とで構成される。磁石171は、例えば略環状に形成され、図14図20に示すように取付部材180側に位置する第1の露出部171aと、第1の露出部171aと対応する(相対する)ように設けられる対応部171bと、第1の露出部171aと対応部171bとを繋ぐ側面部171cとを備える。第1の露出部171aは環状露出面として構成され、対応部171bは環状面として構成され、側面部171cは曲面形状の側面として構成される。また、磁石171の中央部には後述する固定用ネジが貫通する略逆ハの字形状の孔171dが形成される。なお、磁石171の形状は、環状以外の形状としてもよい。
【0076】
一方、鉄系の材料で形成されたヨーク172は、対応部171b側に位置する基部172aと、側面部171cを包囲する包囲部172bとを備え、基部172aの中央部には孔171dに連通する孔172cが形成される。そして、この場合、環状露出面として構成される第1の露出部171aは本体部161の露出面161bと略同一面上に位置し、当該第1の露出部171a及び露出面161bは包囲部172bの先端側(取付部材180側)に位置するヨーク72の第2の露出部172dよりも一段低くなっている。第2の露出部172dは、環状露出面として構成される。
【0077】
このように構成された磁性部材170は、接着剤S1と固定用ネジS2とによってカバー160に固定される。すなわち、この場合、基部172aの面部X1とこれに対向する収容部161cの対向面X2とに介在する接着剤S1により1基部72a(磁性部材170)と本体部161(カバー160)とが接合されるとともに、孔171d、孔172cを順次、貫通してネジ螺合部161dに螺合する固定用ネジS2によって磁性部材170と本体部161(カバー60)とがネジ固定される。
【0078】
取付部材180は、ヨーク172の第2の露出部172dと磁力によって結合(固定)可能な磁性材料で形成された薄板状の取付プレートである。つまり、ここでの取付部材180は、第2の露出部172dによって磁性部材170と結合しており、取付部材180と第1の露出部171aとの間、及び取付部材180と露出面161bとの間には間隙部Gが形成される。
【0079】
また、可動部(ブーム4)とカバー160との間に介在するように設けられる取付部材180には、図16中、取付部材180の左端側中央及び右端側中央に一対(複数)の突出部181がケース150側に向けて突き出し形成されている(図14図16図18参照)。これら一対の突出部181は、張出部163の一対の貫通部163aに各々位置するように構成されるものであり、図16中、取付部材180(カバー160)を上下に2等分する仮想ラインL上に位置している。なお、この仮想ラインL上には取付部材180に設けられた突出部181(貫通部163a)以外に磁性部材170(収容部161c)が位置している。
【0080】
また、この場合、突出部181は、位置決め部181aと、尖塔部181bとを備える。位置決め部181aは、突出部181の根元側に位置しており、貫通部163aに位置決め固定される部位である。つまり、突出部181は、その所要部である位置決め部181aが貫通部163aに位置決め固定されるようになっている。他方、尖塔部181bは、位置決め部181aから離れるに従って先細形状となる部位として構成され、尖塔部181bと貫通部163aとの間にはクリアランスYが形成される。
【0081】
気密部材90は、図17に示すように突起部162aと窪み部152bとの間に形成される空所191に配置された略枠状(断面略四角形状)のパッキンを適用することができる。すわなち、この場合、気密部材190は、突起部162aによって圧縮された状態で窪み部152bに埋設されることになる。このように気密部材190を設けたことで、ケース150とカバー160とで囲まれた空間部Hの気密状態が良好に維持され、空間部Hへの水分や塵埃等の異物の侵入を防止することができる。以上の各部により、検出装置111aが構成される。そして、突出部181とは反対側に位置する取付部材180の平坦面182と当該平坦面182と対向するブーム4の外表面4aとが接合手段としての両面テープ200によって接合されることで、検出装置111aがブーム4に固定される(図15参照)。
【0082】
以上のように第3実施形態によれば、カバー160は、取付部材180に設けられた複数の突出部181が各々貫通可能な複数の貫通部163aを備え、突出部181は、その所要部である位置決め部181aが貫通部163aに位置決め固定される構成としたことにより、尖塔部181bと貫通部163aとの間にクリアランスYが形成されることに起因して、取付部材180の突出部181とカバー160の貫通部163aとが接触するエリアが小さくなり、カバー160から取付部材180を取り外す際の作業性が向上するという利点がある。
【0083】
溝部162bに前記マイナスドライバーの先端側金属部分を差し込み、取付部材180をカバー160から取り外すべく(ヨーク172と取付部材180との間に作用している磁力による固定を解除すべく)、当該先端側金属部分を取付部材180に当てながら力を作用させることで、カバー160から取付部材180を取り外す際の作業性がより向上するという利点がある。
【0084】
また、図21は、第3実施形態の変形例を示している。この変形例では、取付部材180から突き出し形成される突出部182の形状を貫通部163aとの間に隙間が一様に形成されるような略円柱状とし、当該隙間に樹脂等で形成されたスペーサ210を配置した構成としている。
【0085】
つまり、この変形例の場合、突出部182を貫通部163aに貫通させた状態では、貫通部163a全体に渡って突出部182と貫通部163aとの間には隙間が形成されるが、当該隙間にスペーサ210を配置することで取付部材180がカバー160に固定されることになる。スペーサ210は、前記隙間に没入可能な略円筒状のスペーサ本体211と、スペーサ本体211の取付部材180側とは反対側に位置する平板部212とを備える。平板部212の端部は手指で平板部212をつまむことが可能な部位として構成される。このように突出部182と貫通部163aとの間の隙間にスペーサ210を配置した場合であっても、スペーサ210を手指で貫通部163aから抜き取ることで、突出部182と貫通部163aとが接触するエリアがなくなり、(必要に応じて前記工具を使用することで)カバー160から取付部材180を取り外す際の作業性が向上する。
【0086】
〔マーカー〕
なお上述の実施形態では、検出基準軸と一致するようにマーカーM1、M2を設ける場合について述べたが、要は検出装置の向き及び又は位置を肉眼により把握可能に形成すればよく、必要に応じて種々に変形することができる。
すなわち図22に示すように、センサに係る集積回路の位置とは無関係に、ケースの短辺側側壁及び長辺側側壁と平行にマーカーM1、M2を設けるようにしてもよい。
また図23に断面を示すように、マーカーM1、M2は、凹状溝の中に凸条を設けるようにしてもよく、また図24に示すように全体を凸条により形成してもよい。
【0087】
また図25に示すように、ケース62の外形形状を示す枠形状の凸条によりマーカーM4を作成するようにしても良い。また凸条に代えて、図26に示すように、さらに枠形状の内側に矩形の凸部を設けるようにして凸条と凹条とによりマーカーM4を作成するようにしても良く、図27に示すように、この図17の凸部のみによりマーカーM4を作成するようにしてよい。
【0088】
また図28に示すように、特定形状の凸部、凹部等をコーナーに配置してマーカーM5としてもよく、この図28の例では、断面矩形形状による凹部によりマーカーM5を形成する。また図29に示すように、この凹部の中に凸部を形成してマーカーM5を形成するようにしてもよく、図30に示すように、この矩形の凸条によりマーカーM5を形成するようにしてもよい。
【0089】
図31に示すように、断面円形形状による凹部によりマーカーM5を形成してもよく、図32に示すように、この凹部の中に円柱形状の凸部を形成してマーカーM5を形成するようにしてもよく、図33に示すように、円柱形状の凸部によりマーカーM5を形成するようにしてもよい。
【0090】
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。例えばケース150の形状は断面略凹部形状となっているが、ケース150の形状は所定の厚さ有する曲面形状(例えば略半球面形状)としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1、71 作業支援システム
2 油圧ショベル
3 本体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
11A、11B、11C 検出装置
12 コントローラ
13 携帯情報端末装置
14 通知部
16A、16B、16C 電源装置
21 検出部
23、31 センサ
24、34、42 通信部
33、41 マイコン
41 バッテリ
43 表示部
51、62 ケース
52 バッテリホルダー
53 パッキング
55、63 カバー
56、64 コネクタ
57、73、77、78、78A 電源ケーブル
61 配線基板
66 カラー
79 分配器
150 ケース
160 カバー
180 取付部材
163a 貫通部
181、182 突出部
181a 位置決め部
210 スペーサ
M1、M2、M3、M4、M5 マーカー
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