(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101446
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】パワーモジュール
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20220629BHJP
H01L 23/28 20060101ALI20220629BHJP
H01L 23/00 20060101ALI20220629BHJP
H02M 7/48 20070101ALI20220629BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L23/28 L
H01L23/00 C
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021134929
(22)【出願日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】10 2020 216 477.0
(32)【優先日】2020-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】500045121
【氏名又は名称】ツェットエフ、フリードリッヒスハーフェン、アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】ZF FRIEDRICHSHAFEN AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186716
【弁理士】
【氏名又は名称】真能 清志
(72)【発明者】
【氏名】リウ ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】村岡 充敏
【テーマコード(参考)】
4M109
5H770
【Fターム(参考)】
4M109AA01
4M109BA04
4M109CA02
4M109DB09
4M109EE07
5H770AA05
5H770BA01
5H770PA21
5H770QA01
5H770QA05
5H770QA06
5H770QA08
5H770QA27
5H770QA35
5H770QA37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】内部遮蔽部材を備えるパワーモジュールを提供する。
【解決手段】パワーモジュールは、収容スペースを有するケース1と、その上に回路パターン33が設けられたベースプレート2と、回路パターン33の上に設けられて、回路パターン33に電気的に接続された複数のパワー素子4と、パワー素子4の上方に設けられて、パワー素子4の電磁干渉を遮蔽する接地された遮蔽部材5と、収容スペースに設けられて、少なくとも回路パターン33及びパワー素子4を覆うカプセル封止材料と、カバーと、ベースプレート2のケース1から離れた側でベースプレート2に接合された冷却部材と、を備える。ゲートループのインダクタンスは、内部遮蔽部材5によって低減される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パワーモジュールであって、
収容スペースを有するケースと、
その上に回路パターンが設けられたベースプレートであって、前記ベースプレートは前記ケースに接合され、前記回路パターンは前記収容スペースに収容されているベースプレートと、
前記回路パターンの上に設けられて、前記回路パターンに電気的に接続された複数のパワー素子と、
前記パワー素子の上方に設けられて、前記パワー素子の電磁干渉を遮蔽する接地された遮蔽部材と、
前記収容スペースに設けられて、少なくとも前記回路パターンおよび前記パワー素子を覆うカプセル封止材料と、
カバーと、前記ベースプレートの前記ケースから離れた側で前記ベースプレートに接合された冷却部材と、を備え、
前記カバーは、前記ケースの前記カプセル封止材料に隣接する側で前記ケースに結合され、その結果、前記カバーおよび前記ベースプレートは前記収容スペースを囲む、パワーモジュール。
【請求項2】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、前記ベースプレートと前記遮蔽部材との間の前記収容スペースの一部分は、前記カプセル封止材料で充填されている、パワーモジュール。
【請求項3】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、前記遮蔽部材と前記カバーとの間の前記収容スペースの一部分は、前記カプセル封止材料で充填されている、パワーモジュール。
【請求項4】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、前記ケースは、前記遮蔽部材を支持するための支持部材を更に備える、パワーモジュール。
【請求項5】
請求項4に記載のパワーモジュールであって、前記支持部材は、前記ケースの内側壁の上に設けられたフランジである、パワーモジュール。
【請求項6】
請求項1に記載のパワーモジュールであって、前記遮蔽部材は、導電性ファスナまたはワイヤによって、前記ケースの金属層を介して、前記冷却部材のグランドに接地されている、パワーモジュール。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のパワーモジュールであって、前記回路パターンに電気的に接続された複数の外部コネクタを更に備え、
前記遮蔽部材および前記カバーの上に、前記外部コネクタが通過するための複数の貫通孔が、それぞれ設けられ、
前記外部コネクタは、前記遮蔽部材から電気的に絶縁されている、パワーモジュール。
【請求項8】
請求項1~6の何れか一項に記載のパワーモジュールであって、前記回路パターンは、前記ベースプレートの上に設けられたDBCまたはIMSに一体化されている、パワーモジュール。
【請求項9】
パワーモジュールであって、
収容スペースを有するケースと、
その上に回路パターンが設けられたベースプレートであって、前記ベースプレートは前記ケースに接合され、前記回路パターンは前記収容スペースに収容されているベースプレートと、
前記回路パターンの上に設けられて、前記回路パターンに電気的に接続された複数のパワー素子と、
前記パワー素子の上方に設けられて、前記パワー素子の電磁干渉を遮蔽する接地された遮蔽部材と、
前記収容スペースに設けられて、少なくとも前記回路パターンおよび前記パワー素子を覆うカプセル封止材料と、
前記ベースプレートの前記ケースから離れた側で前記ベースプレートに接合された冷却部材と、を備え、
前記遮蔽部材は、前記ケースの前記カプセル封止材料に隣接する側で前記ケースに結合され、その結果、前記遮蔽部材および前記ベースプレートは前記収容スペースを囲む、パワーモジュール。
【請求項10】
請求項9に記載のパワーモジュールであって、前記遮蔽部材の前記ベースプレートから離れた表面は絶縁されている、パワーモジュール。
【請求項11】
請求項9に記載のパワーモジュールであって、パターン化された絶縁層は、前記遮蔽部材の前記ベースプレートから離れた表面の上に設けられている、パワーモジュール。
【請求項12】
請求項9に記載のパワーモジュールであって、前記ケースは、前記遮蔽部材を支持するための支持部材を更に備える、パワーモジュール。
【請求項13】
請求項12に記載のパワーモジュールであって、前記支持部材は、前記ケースの内側壁の上に設けられたフランジである、パワーモジュール。
【請求項14】
請求項9に記載のパワーモジュールであって、前記遮蔽部材は、導電性ファスナまたはワイヤによって、前記ケースの金属層を介して、前記冷却部材のグランドに接地されている、パワーモジュール。
【請求項15】
請求項9~14の何れか一項に記載のパワーモジュールであって、前記回路パターンに電気的に接続された複数の外部コネクタを更に備え、
前記遮蔽部材の上に、前記外部コネクタが通過するための複数の貫通孔が設けられ、
前記外部コネクタは、前記遮蔽部材から電気的に絶縁されている、パワーモジュール。
【請求項16】
請求項9~15の何れか一項に記載のパワーモジュールであって、前記回路パターンは、前記ベースプレートの上に設けられたDBCまたはIMSに一体化されている、パワーモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パワーモジュール、特に内部遮蔽部材を備えるパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
インバータは、通常、直流(「DC」)を交流(「AC」)に変換して、電動モータのような三相負荷に電力を供給するために使用される。インバータは、
図1に示すように、IGBT、MOSFET、およびSiCデバイスのようなパワー素子12を備えるパワーモジュール1と、これらのパワー素子12を駆動する駆動基板2と、を含む。特に、パワーモジュール1は、パワー素子12およびピンまたは端子13を支持するキャリア11を備える。キャリア11は、DBC(direct bonded copper/直接接合銅)またはIMS(insulated metal substrate/絶縁金属基板)の一部とすることができる。低誘電率および低応力を有する樹脂14を使用して、パワーモジュール1をカプセル封止することができる。駆動基板2は、両面に電子部品21、22(例えば、駆動チップ、抵抗、コンデンサ、ダイオード、トライオード等)を有する回路基板20を備える。ピンは、パワー素子12をスイッチオンおよびオフするための駆動信号と、温度信号のようなセンサ信号と、を送信する。端子は、例えば、他の電気部品に結合されたACコネクタおよびDCコネクタのようなコネクタを含む。従来の設計では、パワーモジュール1および駆動基板2は、比較的大きな間隔Hだけ離間して配置されている。それによって、ゲートループのインダクタンスが大きくなる。これによって、今度は、無視できないノイズが発生する。
【0003】
ゲートループのインダクタンスを低減するために、駆動基板2は、パワーモジュール1のより近くに配置されるべきである。しかしながら、駆動基板2がパワーモジュール1に近づくにつれて、パワーモジュール1が駆動基板2と干渉する可能性がある。これによって、パワー素子の誤動作、すなわちEMC(Electro Magnetic Compatibility/電磁両立性)問題が発生する。
【0004】
図2に示すように、パワーモジュール1と駆動基板2との間に電気遮蔽部材3(銅シートなど)を挿入することによって、EMC問題を何とか解決できる。しかしながら、回路基板20の裏面の上には、抵抗およびコンデンサ等のチップおよび/または電子部品22が設けられている。そのため、電気遮蔽部材3を挿入することによって、短絡が発生する可能性がある。短絡を回避するために、パワーモジュールと駆動基板の間にスペースを設ける必要がある。しかしながら、パワーモジュールと駆動基板との間にスペースがあると、やはりゲートループのインダクタンスが大きくなってしまう。したがって、ノイズ問題は依然として解決されない。
【発明の概要】
【0005】
ノイズ問題とEMC問題とのバランスをとるために、本発明は、内部遮蔽部材を備えるパワーモジュールを提供する。パワーモジュールは、収容スペースを有するケースと、その上に回路パターンが設けられたベースプレートであって、ベースプレートはケースに接合され、回路パターンは収容スペースに収容されているベースプレートと、回路パターンの上に設けられて、回路パターンに電気的に接続された複数のパワー素子と、パワー素子の上方に設けられて、パワー素子の電磁干渉を遮蔽する接地された遮蔽部材と、収容スペースに設けられて、少なくとも回路パターンおよびパワー素子を覆うカプセル封止材料と、カバーと、ベースプレートのケースから離れた側でベースプレートに接合された冷却部材と、を備える。カバーは、ケースのカプセル封止材料に隣接する側でケースに結合されている。そして、カバーおよびベースプレートは収容スペースを囲む。この設計では、パワーモジュールの内部に遮蔽部材を設けることによって、パワー素子の電磁干渉が効果的に遮蔽される。
【0006】
好適な実施形態において、ベースプレートと遮蔽部材との間の収容スペースの一部分は、カプセル封止材料で充填されている。典型的には、ゲルであるカプセル封止材料は、パワー素子および回路パターンを塵埃から保護し、衝撃吸収層として使用されている。
【0007】
別の好適な実施形態において、遮蔽部材とカバーとの間の収容スペースの一部分は、カプセル封止材料で充填されている。
【0008】
別の好適な実施形態において、ケースは、遮蔽部材を支持するための支持部材を更に備える。
【0009】
別の好適な実施形態において、支持部材は、ケースの内側壁の上に設けられたフランジである。フランジは、好適にはケースと一体に形成されている。
【0010】
別の好適な実施形態において、遮蔽部材は、導電性ファスナまたはワイヤによって、ケースの金属層を介して、冷却部材のグランドに接地されている。
【0011】
別の好適な実施形態において、パワーモジュールは、回路パターンに電気的に接続された複数の外部コネクタを更に備える。遮蔽部材およびカバーの上に、外部コネクタが通過するための複数の貫通孔が、それぞれ設けられている。外部コネクタは、遮蔽部材から電気的に絶縁されている。
【0012】
別の好適な実施形態において、遮蔽部材は、銅シートまたはアルミニウムシートである。
【0013】
別の好適な実施形態において、回路パターンは、ベースプレートの上に設けられたDBCまたはIMSに一体化されている。
【0014】
本発明の別の態様によれば、パワーモジュールが開示される。パワーモジュールは、収容スペースを有するケースと、その上に回路パターンが設けられたベースプレートであって、ベースプレートはケースに接合され、回路パターンは収容スペースに収容されているベースプレートと、回路パターンの上に設けられて、回路パターンに電気的に接続された複数のパワー素子と、パワー素子の上方に設けられて、パワー素子の電磁干渉を遮蔽する接地された遮蔽部材と、収容スペースに設けられて、少なくとも回路パターンおよびパワー素子を覆うカプセル封止材料と、ベースプレートのケースから離れた側でベースプレートに接合された冷却部材と、を備える。遮蔽部材は、ケースのカプセル封止材料に隣接する側でケースに結合されている。そして、遮蔽部材およびベースプレートは収容スペースを囲む。この設計では、パワーモジュールを可及的にコンパクトにするために、遮蔽部材がカバーとして使用されている。
【0015】
別の好適な実施形態において、遮蔽部材のベースプレートから離れた表面は、駆動基板がパワーモジュールの上に設けられたときに短絡を防止するために絶縁されている。
【0016】
別の好適な実施形態において、パターン化された絶縁層は、遮蔽部材のベースプレートから離れた表面の上に設けられている。パワーモジュールおよび駆動基板が組み立てられると、パターン化された絶縁層は、電子素子が設けられている駆動基板の裏面の上の領域に対応する。電子素子は、パターン化された絶縁層によってパワーモジュールに対して絶縁されている。そのために、駆動基板をパワーモジュールの可及的近くに設けることができる。したがって、ゲートループのインダクタンスが大幅に低減される。
【0017】
別の好適な実施形態において、収容スペースは、カプセル封止材料で充填されている。典型的には、ゲルであるカプセル封止材料は、パワー素子および回路パターンを塵埃から保護し、衝撃吸収層として使用されている。
【0018】
別の好適な実施形態において、ケースは、遮蔽部材を支持するための支持部材を更に備える。
【0019】
別の好適な実施形態において、支持部材は、ケースの内側壁の上に設けられたフランジである。フランジは、好適にはケースと一体に形成されている。
【0020】
別の好適な実施形態において、遮蔽部材は、導電性ファスナまたはワイヤによって、ケースの金属層を介して、冷却部材のグランドに接地されている。
【0021】
別の好適な実施形態において、パワーモジュールは、回路パターンに電気的に接続された複数の外部コネクタを更に備える。遮蔽部材の上に、外部コネクタが通過するための複数の貫通孔が設けられている。外部コネクタは、遮蔽部材から電気的に絶縁されている。
【0022】
別の好適な実施形態において、回路パターンは、ベースプレートの上に設けられたDBCまたはIMSに一体化されている。
【0023】
実施形態の他の態様および利点は、説明される実施形態の原理を例として示す添付の図面と併せて解釈される以下の詳細な説明から明らかになる。
【0024】
記載される実施形態およびその利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解することができる。これらの図面は、記載される実施形態の精神および範囲から逸脱することなく、記載される実施形態に対して当業者が行うことができる形態および詳細のいかなる変更をも、決して制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】パワーモジュールと、駆動ボードと、を備える従来のインバータの断面図である。
【
図2】遮蔽部材を備える別の従来のインバータの断面図である。
【
図3】本発明の好適な実施形態によるパワーモジュールの断面図である。
【
図4】本発明の別の好適な実施形態によるパワーモジュールの断面図である。
【
図5】三相用途におけるパワーモジュールの斜視図である。
【
図6】
図5のパワーモジュールの別の斜視図である。
【
図7】本発明の別の好適な実施形態によるパワーモジュールの断面図である。カバーは省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図3~
図6を参照して、第1実施形態である、内部遮蔽部材を備えるパワーモジュールを詳説する。
図3および
図5~
図6を参照すると、パワーモジュールは、収容スペース10を有するケース1と、ケース1に接合されたベースプレート2と、複数のパワー素子4と、パワー素子4の電磁干渉を遮蔽する接地された遮蔽部材5と、カバー7(
図5~
図6参照)と、冷却部材20と、収容スペースを充填するカプセル封止材料と、を備える。
【0027】
ケースは、通常、収容スペースを画定するフレーム構造を有する。ケースの一方の側はベースプレートに接合され、ケースの他方の側はカバーに結合されている。したがって、収容スペースが囲まれている。ベースプレート2は、パワーモジュールの底板となり、パワー素子4を含む電子部品を支持する。ベースプレートには、熱伝導性に優れた金属、例えば、アルミニウムおよびアルミニウムの合金、または銅および銅の合金を使用できる。ピン-フィン構造を有する冷却部材20は、ベースプレートに接合されている。冷却部材は、ベースプレートと同じ材料製である。
【0028】
図3に示す実施形態において、ベースプレート2の上にDBC(直接接合銅)3が設けられている。これによって、パワー素子4と、ピンおよび端子(いわゆる外部コネクタであり、用途によってはピンおよび端子がパワー素子に電気的に接続されている)との間の電気的接続が提供される。DBC3は、底部から頂部に向かって、銅層31と、セラミック層32と、回路パターン33と、を備える。典型的に、はんだである接合材料6は、DBC3およびベースプレート2と同様に、パワー素子4と回路パターン33とを接合するために使用される。しかしながら、接合材料は、はんだに限定されない。はんだ、の代替として、例えば、導電性接着剤を塗布することができる。センサ信号および駆動信号を送信するピン、および(ACコネクタおよびDCコネクタなどの)端子は、DBCの上またはケースの上の、いずれかに設けることができる。
【0029】
パワーモジュールは、パワー素子4の電磁干渉を遮蔽する接地された遮蔽部材5(
図5~
図6には図示せず)を更に備える。遮蔽部材5は、パワー素子4の電磁干渉が遮蔽部材5によって遮蔽されるように、パワー素子4を覆う銅シートである。パワーモジュールの内部に遮蔽部材を配置することにより、パワーモジュールのパワー素子を駆動する駆動基板を、パワーモジュールの可及的近くに配置することができる。したがって、パワーモジュールと駆動基板との間の間隔が低減されるにつれて、ゲートループのインダクタンスに起因するノイズが大きく低減される
【0030】
遮蔽部材5を配置するために、ケース1には、ケースの内側壁の上に設けられたフランジ11などである、支持部材が設けられている。好適には、フランジはケース1と一体に形成され、フランジ11の上面は金属層セグメント81で覆われている。
図3に示すように、遮蔽部材5は、フランジ11の金属層セグメント81の上に載置されている。ケース1のベースプレート2に隣接する側には、ケース1の内側壁の上に第2フランジが設けられている。第2フランジの上面には、別の金属層セグメント83が形成されている。さらに、ケース1の側壁には、金属層セグメント81および83を連結する、垂直の金属層セグメント82が形成されている。(「C」字状の金属層を形成する)金属層セグメント81、82、83と、金属層セグメント83をベースプレート2に接続するワイヤ91と、を用いて、遮蔽部材5が収容スペース10の内部に支持され、接地されている。
【0031】
DBCの上にピンおよび端子が設けられている実施形態において、遮蔽部材およびカバーの上に、ピンおよび端子が通過するための複数の貫通孔が、それぞれ設けられている。ピンおよび端子は、遮蔽部材から電気的に絶縁されている。
【0032】
ベースプレート2と遮蔽部材5との間の収容スペースの一部分に、ゲルなどのカプセル封止材料を備えることによって、パワー素子4および回路パターン33は、塵埃および振動から保護される。好適には、収容スペースはカプセル封入材料で完全に充填されている。
【0033】
次に
図4を参照すると、別の実施形態において、遮蔽部材5は接地され、ケース1はボルト92などの、「Z」字状の金属層および導電性ファスナによって、ベースプレート2に固定されている。
【0034】
別の好適な実施形態において、
図7に示すように、カバーは省略されている。遮蔽部材5は、ケースのカプセル封止材料に隣接する側でケースに結合されている。その結果、遮蔽部材5およびベースプレート2は収容スペースを囲む。遮蔽部材は、カバーとしても機能する。したがって、パワーモジュールをよりコンパクトにすることができる。パワーモジュールと、パワーモジュール内のパワー素子を駆動する駆動基板との間の絶縁の観点から、遮蔽部材のベースプレートから離れた表面(駆動基板に面する表面)は、絶縁されている。これは、電気部品が駆動基板の両側に設けられているためである。代替的な実施形態において、例えばパターン化された絶縁テープである、パターン化された絶縁層51は、遮蔽部材のベースプレートから離れた表面の上に設けられている。
【0035】
この内部遮蔽部材の設計では、駆動基板を、パワーモジュールの可及的近くに配置することができる。そして、ゲートループのインダクタンスが著しく低減される。したがって、ゲートループのインダクタンスに起因するノイズは、軽微であり無視できる。一方、パワーモジュールの内部の遮蔽部材の助けによって、駆動基板が、パワーモジュールに非常に近くても、またはパワーモジュールに接触さえしていても、EMC問題は十分に抑制される。したがって、ノイズ問題とEMC問題との間の矛盾が、妥協されて解決される。
【0036】
いくつかの代替的な構造素子および処理ステップが、好適な実施形態のために提案されている。したがって、本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、この説明は、本発明を例示するものであり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者は、種々の変形および応用を想到することができる。
【外国語明細書】