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特開2022-101449靴型作製支援装置および靴型作製システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101449
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】靴型作製支援装置および靴型作製システム
(51)【国際特許分類】
   A43D 3/02 20060101AFI20220629BHJP
   A43D 3/08 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A43D3/02
A43D3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021149284
(22)【出願日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2020215087
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000310
【氏名又は名称】株式会社アシックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小塚 祐也
(72)【発明者】
【氏名】波多野 元貴
(72)【発明者】
【氏名】高島 慎吾
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050NA02
4F050NA13
4F050NA16
4F050NA19
(57)【要約】
【課題】複数の靴型モデルの中から条件に合った最適な靴型モデルを選択することを支援する靴型作製支援装置、および、当該靴型作製支援装置を備える靴型作製システムを提供する。
【解決手段】靴型作製支援装置100は、ユーザの靴に関する情報を受け付ける受付部131と、受付部131で受け付けられた情報に基づいて、製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択し、選択した靴型モデルに応じた靴型の作製データを算出する算出部132と、算出部132で算出された作製データを出力する出力部108と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの靴に関する情報を受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けられた情報に基づいて、製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択し、選択した靴型モデルに応じた靴型の作製データを算出する算出部と、
前記算出部で算出された前記作製データを出力する出力部と、を備える、靴型作製支援装置。
【請求項2】
前記靴型モデルは、
3次元プリンタまたは切削機を用いることで靴型を作製する第1靴型モデルと、
前記第1靴型モデルと比べて作製が簡易な簡易靴型モデルと、を含む、請求項1に記載の靴型作製支援装置。
【請求項3】
前記簡易靴型モデルは、
複数の平面パーツを嵌め込むことで靴型を作製する第2靴型モデルと、
複数の調整パーツの調整量を調整することで靴型を作製する第3靴型モデルと、
複数の立体パーツを積み上げることで靴型を作製する第4靴型モデルと、を含む、請求項2に記載の靴型作製支援装置。
【請求項4】
前記作製データは、
前記第1靴型モデルの場合、前記3次元プリンタまたは前記切削機の制御データであり、
前記第2靴型モデルの場合、前記複数の平面パーツの裁断データであり、
前記第3靴型モデルの場合、各々の前記調整パーツの調整量データであり、
前記第4靴型モデルの場合、前記複数の立体パーツのレイアウトデータである、請求項3に記載の靴型作製支援装置。
【請求項5】
前記受付部で受け付けられるユーザの靴に関する情報は事実情報を含み、
前記事実情報は、ユーザの足型データ、または、ユーザの靴の作製に用いられる靴型データを含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の靴型作製支援装置。
【請求項6】
前記算出部は、
基準となる足型データと前記受付部で受け付けられたユーザの足型データとを比較して、基準となる足型とユーザの足型との差異量を算出するか、基準となる靴型データと前記受付部で受け付けられたユーザの靴の作製に用いられる靴型データとを比較して、基準となる靴型とユーザの靴の作製に用いられる靴型との差異量を算出し、
算出した差異量に応じて前記靴型モデルを選択する、請求項5に記載の靴型作製支援装置。
【請求項7】
前記受付部で受け付けられるユーザの靴に関する情報は、ユーザが選択した選択情報をさらに含む、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の靴型作製支援装置。
【請求項8】
前記選択情報は、靴の使用用途とアッパー材料との少なくとも一方を含み、
前記算出部は、前記受付部で受け付けられた靴の使用用途とアッパー材料との少なくとも一方の情報に応じて前記靴型モデルを選択する、請求項7に記載の靴型作製支援装置。
【請求項9】
前記選択情報は、納期とコストとの少なくとも一方を含み、
前記算出部は、前記受付部で受け付けられた納期とコストとの少なくとも一方の情報に応じて前記靴型モデルを選択する、請求項7または請求項8に記載の靴型作製支援装置。
【請求項10】
靴型の作製データを算出する靴型作製支援装置と、当該靴型作製支援装置によって算出された前記作製データを用いて靴型を作製する靴型作製装置とを備える靴型作製システムであって、
前記靴型作製支援装置は、
ユーザの靴に関する情報を受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けられた情報に基づいて、製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択し、選択した靴型モデルに応じた靴型の前記作製データを算出する算出部と、
前記算出部で算出された前記作製データを前記靴型作製装置へ送信する送信部と、を備え、
前記靴型作製装置は、
前記靴型作製支援装置から前記作製データを受信する受信部と、
前記受信部で受信された前記作製データを用いて靴型を作製する作製部と、を備える、靴型作製システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、靴型作製支援装置および靴型作製システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザの足に合わせたオーダーメイドのシューズを作製する際、測定装置で足型を測定し、測定した足型データに基づいて靴型データを生成する。生成された靴型データに基づいてシューズを作製する靴型(ラスト)が作製される(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6685303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、オーダーメイドのシューズを作製するための靴型は切削機を用いて作製されるか、または、3次元プリンタ(以下、「3Dプリンタ」と称す)を用いて作製される必要があった。しかし、近年では、様々な製法で作製される靴型が開発されている。本開示において、製法が異なる靴型ごとにモデル名を付け、たとえば、切削機を用いて作製される靴型を切削機モデル、3Dプリンタを用いて作製される靴型を3Dプリンタモデルと、それぞれ称する。製法が異なる靴型のこれらのモデルを総称して靴型モデルと称する。
【0005】
製法が異なる複数の靴型モデルがある場合に、作製するシューズの精度、コスト、作製時間など条件を考慮して最適な靴型モデルを選択することが求められる。しかし、製法が異なる複数の靴型モデルの中から条件に合った最適な靴型モデルを選択するには、経験やノウハウが必要であり靴型を作製する作業者にとって負担が大きい。
【0006】
本開示では、複数の靴型モデルの中から条件に合った最適な靴型モデルを選択することを支援する靴型作製支援装置、および、当該靴型作製支援装置を備える靴型作製システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従う靴型作製支援装置は、ユーザの靴に関する情報を受け付ける受付部と、受付部で受け付けられた情報に基づいて、製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択し、選択した靴型モデルに応じた靴型の作製データを算出する算出部と、算出部で算出された作製データを出力する出力部と、を備える。
【0008】
本開示のある局面に従う靴型作製システムは、靴型の作製データを算出する靴型作製支援装置と、当該靴型作製支援装置によって算出された作製データを用いて靴型を作製する靴型作製装置とを備える。靴型作製支援装置は、ユーザの靴に関する情報を受け付ける受付部と、受付部で受け付けられた情報に基づいて、製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択し、選択した靴型モデルに応じた靴型の作製データを算出する算出部と、算出部で算出された作製データを靴型作製装置へ送信する送信部と、を備える。靴型作製装置は、靴型作製支援装置から作製データを受信する受信部と、受信部で受信された作製データを用いて靴型を作製する作製部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ユーザの靴に関する情報に基づいて、複数の靴型モデルの中から条件に合った最適な靴型モデルを選択することを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る靴型作製支援装置の概要を説明するための図である。
図2】実施の形態1に係る靴型作製支援装置のハードウェア構成例を示す模式図である。
図3】実施の形態1に係る靴型作製支援装置の機能構成例を示す図である。
図4】靴型モデルの一例を示す図である。
図5】各靴型モデルの特徴の一例を示す図である。
図6】実施の形態1に係る推奨靴型モデルデータベースの一例を示す図である。
図7】実施の形態1に係る靴型作製支援装置が出力する作製データの一例を示す図である。
図8】実施の形態1に係る靴型作製支援装置で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
図9】実施の形態2に係る靴型作製システムの構成例を示す概略図である。
図10】実施の形態2に係る靴型作製装置のハードウェア構成例を示す模式図である。
図11】実施の形態2に係る靴型作製システムで行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施の形態について図面に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0012】
[実施の形態1]
実施の形態1では、本発明が適用される場面の一例について説明する。実施の形態1では、たとえば店舗において、ユーザの足型を測定し、測定したユーザの足型に基づいて製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択するとともに、選択した靴型モデルに応じた靴型の作製データを出力する靴型作製装置について説明する。
【0013】
図1は、実施の形態1に係る靴型作製支援装置100の概要を説明するための図である。図1を参照して、靴型作製支援装置100は、店舗内に設置されている。靴型作製支援装置100は、測定装置200、スマートフォンなどの携帯端末300、および/またはデータサーバ500と通信することができる。
【0014】
測定装置200は、ユーザの足型を測定するために用いられる。測定装置200は、靴型作製支援装置100と同一の店舗内に設けられていてもよいし、靴型作製支援装置100とは異なる店舗に設けられていてもよい。携帯端末300は、ユーザの自宅や測定装置200を備えていない店舗においてユーザの足型を測定する際に用いられる。データサーバ500は、メーカーに設置され、ユーザの個人情報、ユーザのシューズの購入履歴、既存のシューズの靴型データ、およびユーザが前回作成した靴型データ等を記憶している。
【0015】
靴型作製支援装置100は、測定装置200または携帯端末300からユーザの足型データを受け付け、受け付けたユーザの足型データに基づいて、製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択する。実施の形態1では、靴型モデルとして、3Dプリンタモデル、切削機モデル、平面パーツモデル、可変モデル、立体パーツモデル、およびハイブリッドモデルが採用される。各靴型モデルの詳細は、図4および図5を参照して後述する。
【0016】
さらに、靴型作製支援装置100は、選択した靴型モデルに応じた靴型の作製に必要な作製データ(図7を参照して後述)を算出し、算出した作製データをディスプレイ150に表示する。
【0017】
なお、靴型作製支援装置100は、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データを受け付け、受け付けた靴型データに基づいて、製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択してもよい。この場合には、靴型作製支援装置100は、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データとして、ユーザが過去に購入したシューズの靴型データ、または、ユーザが前回作成した靴型データをデータサーバ500から取得する。
【0018】
また、靴型作製支援装置100は、作製データをプリンタで出力してもよいし、作製データを靴型作製支援装置100と通信可能な靴型作製装置400へ送信してもよい。
【0019】
図2は、実施の形態1に係る靴型作製支援装置100のハードウェア構成例を示す模式図である。図2を参照して、靴型作製支援装置100は、プロセッサ102と、メインメモリ104と、入力部106と、出力部108と、ストレージ110と、光学ドライブ112と、通信コントローラ120とを含む。これらのコンポーネントは、プロセッサバス118を介して接続されている。
【0020】
プロセッサ102は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などで構成され、ストレージ110に記憶されたプログラム(一例として、OS(Operating System)1102および処理プログラム1104)を読出して、メインメモリ104に展開して実行することができる。プロセッサ102では、入力部106で受け付けた足型データまたは靴型データから所定のアルゴリズムに基づいて靴型モデルを選択し、選択した靴型モデルに応じた靴型の作製データを算出する処理プログラム1104が実行される。当該処理プログラム1104を実行するプロセッサ102は、靴型作製支援装置100の算出部に対応する。
【0021】
メインメモリ104は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性記憶装置などで構成される。ストレージ110は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性記憶装置などで構成される。
【0022】
ストレージ110には、基本的な機能を実現するためのOS1102に加えて、靴型作製支援装置100としての機能を提供するための処理プログラム1104が記憶される。すなわち、処理プログラム1104は、靴型作製支援装置100のプロセッサ102で実行されることにより、靴型モデルを選択し、選択した靴型モデルに応じた靴型の作製データを算出する。さらに、ストレージ110には、足型データベース1106と、靴型データベース1107と、推奨靴型モデルデータベース1108とが記憶されている。
【0023】
足型データベース1106には、基準となる足型データが寸法別に記憶されている。基準となる足型データには、平均的な足型データが採用される。なお、足型データベース1106には、基準となる足型データが寸法別だけでなく性別、年齢別、および/または用途別に記憶されていてもよい。
【0024】
靴型データベース1107には、基準となる靴型データが寸法別に記憶されている。基準となる靴型データには、平均的な靴型データが採用される。なお、靴型データベース1107には、基準となる靴型データが寸法別だけでなく性別、年齢別、および/または用途別に記憶されていてもよい。
【0025】
推奨靴型モデルデータベース1108には、推奨の靴型モデルが条件別に記憶されている。推奨靴型モデルデータベース1108は、プロセッサ102が靴型モデルを選択する際に参照される。なお、推奨の靴型モデルについては、図6を参照して後述する。
【0026】
なお、足型データベース1106および靴型データベース1107は、頻繁に利用するデータのみがストレージ110に記憶され、その他のデータはデータサーバ500に記憶されていてもよい。また、足型データベース1106および靴型データベース1107には、リストのみ記憶され、複数の足型データおよび複数の靴型データ自体はデータサーバ500に記憶されていてもよい。
【0027】
入力部106は、ユーザのシューズに関する情報を受け付ける。入力部106は、測定装置200、携帯端末300、またはデータサーバ500と接続して、測定装置200、携帯端末300、またはデータサーバ500から情報を受け付ける入力インターフェースを含む。また、入力部106は、情報を受け付けるためのキーボードやマウス、マイク、タッチデバイスなどを含む。ユーザのシューズに関する情報を受け付ける入力部106は、靴型作製支援装置100の受付部に対応する。
【0028】
出力部108は、プロセッサ102で算出された作製データを出力する。出力部108は、ディスプレイ、各種インジケータ、プリンタなどで構成され、プロセッサ102からの処理結果などを出力する。また、出力部108は、プロセッサ102で算出された作製データを靴型作製装置に出力する出力インターフェースを含んでいてもよい。
【0029】
通信コントローラ120は、有線通信または無線通信を用いて、他の制御装置などとの間でデータを遣り取りする。靴型作製支援装置100は、通信コントローラ120を介して測定装置200または携帯端末300から足型データを受信する。また、靴型作製支援装置100は、通信コントローラ120を介してデータサーバ500から靴型データを受信してもよい。また、靴型作製支援装置100は、通信コントローラ120を介して靴型作製装置へ作製データを送信してもよい。なお、通信コントローラ120と別にプロセッサバス118に接続されるUSBコントローラを設け、USB接続を介して、他の制御装置などとの間でデータを遣り取りしてもよい。
【0030】
光学ドライブ112は、コンピュータ読取可能なプログラムを非一過的に記憶する記録媒体114(たとえば、DVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体)から、その中に記憶されたプログラムを読み取って、読み取ったプログラムをストレージ110などにインストールする。
【0031】
靴型作製支援装置100で実行される処理プログラム1104などは、コンピュータ読取可能な記録媒体114を介してインストールされてもよいが、ネットワーク上のサーバ装置などからダウンロードする形でインストールするようにしてもよい。また、実施の形態1に係る靴型作製支援装置100が提供する機能は、OSが提供するモジュールの一部を利用する形で実現される場合もある。
【0032】
図2には、プロセッサ102がプログラムを実行することで、靴型作製支援装置100として必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)など)を用いて実装してもよい。また、図2に示した靴型作製支援装置100の構成は例示であって、この構成に限定されない。
【0033】
図3は、実施の形態1に係る靴型作製支援装置100の機能構成例を示す図である。靴型作製支援装置100は、受付部131と、算出部132と、出力部108とを備える。
【0034】
受付部131は、上述の入力部106によって実現される。受付部131は、ユーザのシューズに関する情報を受け付ける。ユーザのシューズに関する情報には、事実情報と、ユーザが選択したシューズに関する情報(以下、「選択情報」と称す)とが含まれる。
【0035】
事実情報は、ユーザの足型データ、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データである。ユーザの足型データは、測定装置200または携帯端末300から送信されてくる。ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データは、データサーバ500から送信されてくる。
【0036】
選択情報とは、たとえばシューズの形状に関する要望、シューズの使用用途、アッパー材料に関する要望、納期に関する要望、および/またはコストに関する要望等である。シューズの形状に関する要望とは、たとえば締まり具合に関する要望(きつめがよい、ゆるめがよい等)、履き口の高さに関する要望等である。シューズの使用用途とは、たとえば普段使い、ウォーキング用、ランニング用、特定の競技用等である。アッパー材料に関する要望とは、たとえばアッパーに熱収縮する素材を使用したいといった要望等である。納期に関する要望とは、何日でシューズを納品してほしいかといった要望である。コストに関する要望とは、どの程度のコストでシューズを作製したいかといった要望である。
【0037】
選択情報は、キーボードやマウス、マイク、タッチデバイスなどが用いられてユーザによって入力される。なお、図3に示す選択情報は一例にすぎず、選択情報はこれらに限られない。選択情報には、他に、ユーザが現在履いているシューズの情報や、ユーザが過去に履いていたシューズの情報等が含まれてもよい。また、受付部131によって受け付けられるユーザのシューズに関する情報には事実情報と選択情報との両方が含まれていることが好ましいが、少なくとも事実情報が含まれていればよく、選択情報は含まれていなくてもよい。
【0038】
算出部132は、上述のプロセッサ102によって実現される。算出部132は、受付部131が受け付けた事実情報がユーザの足型データである場合には、足型データベース1106を参照して、受け付けたユーザの足型データに近い足型データを基準となる足型データとして抽出する。算出部132は、ユーザの足型データと抽出した基準となる足型データとを比較し、ユーザの足型と基準となる足型との差異量を算出する。算出部132は、推奨靴型モデルデータベース1108を参照して、差異量に対応する靴型モデルを選択する。算出部132は、選択した靴型モデルに応じた靴型の作製に必要な作製データをユーザの足型データを基に算出する。
【0039】
算出部132は、受付部131が受け付けた事実情報がユーザのシューズの作製に用いられる靴型データである場合には、靴型データベース1107を参照して、受け付けたユーザのシューズの作製に用いられる靴型データに近い靴型データを基準となる靴型データとして抽出する。算出部132は、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データと抽出した基準となる靴型データとを比較し、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型と基準となる靴型との差異量を算出する。算出部132は、推奨靴型モデルデータベース1108を参照して、差異量に対応する靴型モデルを選択する。算出部132は、選択した靴型モデルに応じた靴型の作製に必要な作製データをユーザのシューズの作製に用いられる靴型データを基に算出する。
【0040】
算出部132は、受付部131が事実情報以外にシューズの形状に関する要望(選択情報)を受け付けていた場合には、算出した差異量を当該要望に基づいて補正し、補正後の差異量に応じて靴型モデルを選択してもよい。詳細には、算出部132は、推奨靴型モデルデータベース1108を参照して、補正後の差異量に対応する靴型モデルを選択する。
【0041】
このような場合には、算出部132は、ユーザの足型データまたはユーザのシューズの作製に用いられる靴型データと、シューズの形状に関する要望とに基づいて作製データを出力する。
【0042】
また、算出部132は、受付部131が事実情報以外にユーザが現在履いているシューズの情報(選択情報)や、ユーザが過去に履いていたシューズの情報(選択情報)を受け付けていた場合には、当該情報を基にユーザの足の傾向(横に広がっている、外反母趾等)を特定し、算出した差異量を特定した傾向に基づいて補正し、補正後の差異量に応じて靴型モデルを選択してもよい。
【0043】
このような場合には、算出部132は、ユーザの足型データまたはユーザのシューズの作製に用いられる靴型データと、特定した特徴とに基づいて作製データを出力する。
【0044】
また、算出部132は、受付部131が事実情報以外に、シューズの使用用途、アッパー材料に関する要望、納期に関する要望、および/またはコストに関する要望といった選択情報を受け付けていた場合には、差異量と当該選択情報とに基づいて靴型モデルを選択してもよい。詳細には、算出部132は、推奨靴型モデルデータベース1108を参照して、差異量と当該選択情報とに対応する靴型モデルを選択する。
【0045】
なお、以下では、「差異量」には、算出部132によって算出された差異量だけでなく、差異量が補正された場合の補正後の差異量が含まれるものとする。また、算出部132は、推奨靴型モデルデータベース1108に対応する靴型モデルが複数種類ある場合には、対応する全ての種類の靴型モデルを選択するものとする。
【0046】
出力部108は、算出部132が算出した作製データを出力する。なお、出力部108は、算出部132が選択した靴型モデルを作製データとともに出力してもよい。出力部108がディスプレイで構成されている場合には、作製データはディスプレイに表示される。出力部108がプリンタで構成されている場合には、作製データはプリンタで出力される。出力部108に靴型作製装置に出力する出力インターフェースが含まれている場合には、作製データは靴型作製装置へ送信される。作製データは、ディスプレイへの表示、プリンタでの出力、および靴型作製装置への送信のうち、少なくとも1つの方法によって出力される。
【0047】
ここで、実施の形態1で用いられる、製法の異なる複数種類の靴型モデルについて説明する。図4は、靴型モデルの一例を示す図である。靴型モデルは、第1靴型モデルと簡易靴型モデルとに大別される。
【0048】
第1靴型モデルはソリッドタイプの靴型モデルであり、算出部132が算出した作製データを比較的忠実に再現したモデルである。第1靴型モデルには、たとえば3Dプリンタを用いて樹脂やパルプが積層されて作製される3Dプリンタモデル、および、切削機を用いて木材など硬い部材が切削されて作製される切削機モデル等がある。3Dプリンタモデルの靴型を作製するためには3Dプリンタ以外に、場合によっては樹脂やパルプを溶融する設備が別途必要となる。また、切削機モデルの靴型を作製するためには、切削機が必要となる。
【0049】
これに対し、簡易靴型モデルは第1靴型モデルと比べて作製が簡易なモデルであり、店舗で店員が作製することも可能なモデルである。一例として、図4には4つの簡易靴型モデル(第2靴型モデル、第3靴型モデル、第4靴型モデル、および第5靴型モデル)が示されている。
【0050】
第2靴型モデルは、複数の平面パーツの各々に係合溝が形成されており、当該係合溝に各々の平面パーツを取り付けることで作製されるモデルである。平面パーツは、たとえば、メディアム・デンシティファイバーボード(MDF:Medium Density Fiberboard)などの木質ボードをレーザ加工機で裁断して作成される。なお、平面パーツの材料は、MDFに限らず、インシュレーションファイバーボード(IB:Insulation Fiberboard)またはハードファイバーボード(HB:Hard Fiberboard)などの他の木質ボードであってもよい。IBとしては、A級インシュレーションボード、タタミボード、またはシージングボードが平面パーツの材料に用いられてもよい。HBとしては、スタンダードボードまたはテンパードボードが平面パーツの材料に用いられてもよい。さらに、平面パーツの材料は、上述したような木質ボードに限らず、リサイクル性の高い段ボール、コルク、合板、パーティクルボード、金属、または熱可塑性樹脂など、靴型を作製することが可能ないずれの材料であってもよい。一例として、図4には、複数のMDFの平面パーツが組み立てられて作製される平面パーツモデルが示されている。第2靴型モデルの靴型を作製するためには、レーザ加工機などの裁断機が必要となる。
【0051】
第3靴型モデルは、複数の調整パーツの調整量が調整されて作製される可変モデルである。第3靴型モデルは図4に示す靴型モデルの中で最も作製が簡易なモデルである。一例として、図4には、可変モデル40が示されている。図4に示すように、可変モデル40には複数の調整パーツ41と、調整パーツ41の位置を調整するための調整機構42とが設けられており、調整パーツ41の位置を可変することができるようになっている。
【0052】
第4靴型モデルは、複数の立体パーツが積み上げられて作製されるモデルである。一例として、図4には、ボックス形状の立体パーツである複数のボクセルが積み上げられて作製されるボクセルモデル(立体パーツモデル)が示されている。他の例として、第4靴型モデルは、球形状の立体パーツである複数の球状のビーズが積み上げられて作製されるモデルであっても、円柱形状の立体パーツである複数の円柱状のビーズが積み上げられて作製されるモデルであってもよい。
【0053】
第5靴型モデルは、異なる靴型モデルが組み合わされたハイブリッドモデルである。一例として、図4には、最も簡易的な第3靴型モデルをベースに所定領域のみが第2靴型モデルで作製されているモデルが示されている。
【0054】
所定領域とは、ユーザの足型と基準となる足型との形状一致度、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型と基準となる靴型との形状一致度が閾値未満の領域(たとえば、足の甲に相当する領域、つま先に相当する領域等)である。図4に示すハイブリッドモデルでは、ユーザの足型と基準となる足型との形状一致度、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型と基準となる靴型との形状一致度に基づいて領域ごとに異なる靴型モデルが適用されている。
【0055】
所定領域の他の例として、所定領域は、ユーザの足型またはユーザのシューズの作製に用いられる靴型の曲率が閾値以上の領域(たとえば、足の甲に相当する領域、つま先に相当する領域等)でもよい。
【0056】
なお、図4に示すハイブリッドモデルは、形状一致度が閾値以上の領域に対して最も簡易的な第3靴型モデルが適用され、形状一致度が閾値未満の領域に対しては第2靴型モデルが適用されているが、これは一例にすぎない。ハイブリッドモデルは、異なる靴型モデルが組み合わされたモデルであればよいので、第3靴型モデルをベースに所定領域のみが第4靴型モデルで作製されたモデルでもよいし、第1靴型モデルをベースに所定領域のみが第2靴型モデルまたは第4靴型モデルで作製されたモデルでもよい。また、ハイブリッドモデルは、既存の靴型をベースに所定領域のみが第1靴型モデル、第2靴型モデル、第3靴型モデル、および第4靴型モデルのうち少なくとも1つ以上が組み合わされて作製されたモデルでもよい。
【0057】
図4に示すように、いずれの靴型モデルも製法や材質が異なることから、各靴型モデルで特徴が異なる。ここで、各靴型モデルの特徴について説明する。図5は、各靴型モデルの特徴の一例を示す図である。図5に示す、「形状再現性」はユーザの足の形状を靴型で再現できる度合いを意味し、「耐熱性」は靴型の耐熱性を意味し、「作製時間」は靴型の作製にかかる時間を意味し、「コスト」は靴型の作製にかかるコストを意味している。
【0058】
図5では、「作製時間」および「コスト」に関して、各靴型モデルを5段階で評価しており、靴型の作製に時間がかかる靴型モデルほど大きい数字が付され、靴型の作製にコストがかかる靴型モデルほど大きい数字が付されている。以下、各靴型モデルの特徴について説明する。
【0059】
第1靴型モデルは、簡易靴型モデルと比べた場合、形状再現性が高いといった特徴を有する。一方で、第1靴型モデルは、簡易靴型モデルと比べた場合、靴型の作製には時間やコストがかかる傾向にある。
【0060】
簡易靴型モデルは、第1靴型モデルと比べた場合、靴型の作製にかかる時間およびコストを抑えることができるといった特徴を有する。
【0061】
可変モデルは、図5に示す靴型モデルの中で靴型の作製にかかる時間が最も短く、靴型の作製にかかるコストも最も低いといった特徴を有する。
【0062】
平面パーツモデル、立体パーツモデル、およびハイブリッドモデルは、形状再現性、靴型の作製にかかる時間、および靴型の作製にかかるコストに関して、図5に示す靴型モデルの中で中間的な位置づけにある。
【0063】
平面パーツモデルは、立体パーツモデルおよびハイブリッドモデルと比べた場合、靴型の作製にかかるコストが高くなる可能性があるといった特徴を有する。立体パーツモデルは、平面パーツモデルおよびハイブリッドモデルと比べた場合、靴型の作製にかかる時間が長くなる可能性があるといった特徴を有する。ハイブリッドモデルは、平面パーツモデルおよび立体パーツモデルと比べた場合、靴型の作製にかかる時間およびコストを抑えることができる。
【0064】
その他の特徴として、3Dプリンタモデルは他の靴型モデルと比べた場合、使用する材料によっては耐熱性が劣る可能性があるといった特徴を有する。なお、図5に示す数値は例示にすぎない。また、図5に示す特徴は一例にすぎず、各靴型モデルの特徴は図5に示すものに限られない。靴型作製支援装置100には、各靴型モデルの特徴を基に作成された推奨靴型モデルデータベース1108が記憶されており、算出部132(図3参照)は推奨靴型モデルデータベース1108を参照して靴型モデルを選択する。
【0065】
図6は、実施の形態1に係る推奨靴型モデルデータベース1108の一例を示す図である。図6に示すように、推奨靴型モデルデータベース1108には、条件と当該条件において推奨される靴型モデル(図中においてマルが付されているモデル)とが対応付けられている。推奨靴型モデルデータベース1108は、算出部132(図3参照)による靴型モデルの選択の際に参照される。
【0066】
図6に示す、「基準との差異量」は、ユーザの足型と基準となる足型との差異量、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型と基準となる靴型との差異量を意味し、「納期」はユーザがシューズの納品を待つことができる日数を意味し、「コスト」はシューズの作製にかかるコストを意味している。
【0067】
算出部132は、受付部131(図3参照)が受け付けたユーザのシューズに関する情報(事実情報のみ、または、事実情報と選択情報)を基に対応する条件を特定し、特定した条件に対応付けられている靴型モデルを選択するように構成されている。
【0068】
「基準との差異量」に応じた推奨の靴型モデルは、各靴型モデルの形状再現性を基に決定されており、基準との差異量が大きい場合ほど、形状再現性が高い靴型モデルが対応付けられている。これにより、基準との差異量が大きいほど、形状再現性が高い靴型モデルが選択される。
【0069】
「使用用途」に応じた推奨の靴型モデルは、各靴型モデルの形状再現性を基に決定されており、前後または左右の動きが比較的多い用途(たとえばサッカー、バスケットボール、ランニング等)に対しては、形状再現性が比較的高い靴型モデルが対応付けられている。これにより、シューズが前後の動き、または、左右の動きが比較的多い用途で使用される場合には、形状再現性が比較的高い靴型モデルが選択される。
【0070】
「アッパー材料」に応じた推奨の靴型モデルは、各靴型モデルの耐熱性を基に決定されており、熱収縮素材のアッパーに対しては、耐熱性が高い靴型モデルが対応付けられている。これにより、アッパーに熱収縮素材の使用を希望する場合には、耐熱性が高い靴型モデルが選択される。
【0071】
「納期」に応じた推奨の靴型モデルは、各靴型モデルの作製時間を基に決定されており、納期が短い場合ほど、靴型の作製にかかる時間が短い靴型モデルが対応付けられている。これにより、シューズを早く受け取りたいといった要望がある場合には、靴型の作製にかかる時間が短い靴型モデルが選択される。
【0072】
「コスト」に応じた推奨の靴型モデルは、各靴型モデルの作製にかかるコストと各靴型モデルの形状再現性とを基に決定されており、コスト重視に対しては、靴型の作製にかかるコストが低い靴型モデルが対応付けられ、コストよりも形状再現性重視に対しては、形状再現性が高い靴型モデルが対応付けられている。これにより、コスト重視の要望がある場合には靴型の作製にかかるコストが低い靴型モデルが選択され、コストよりも形状再現性重視の要望がある場合には形状再現性が高い靴型モデルが選択される。
【0073】
なお、算出部132は、受付部131が受け付けたユーザのシューズに関する情報に基づいて選択した靴型モデルがハイブリッドモデルであった場合には、靴型モデルの組み合わせと、適用領域とをさらに決定する。決定方法の一例として、算出部132はユーザの足型と基準となる足型との形状一致度、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型と基準となる靴型との形状一致度を算出し、当該一致度に基づいて適用すべき靴型モデルを決定する。算出部132は、当該一致度が閾値以上の領域には、可変モデルのような簡易的な靴型モデルの適用を決定し、当該一致度が閾値未満の領域には形状再現性が高い靴型モデルの適用を決定する。
【0074】
他の例として、算出部132は、ユーザの足型またはユーザのシューズの作製に用いられる靴型の曲率を算出し、曲率に基づいて適用すべき靴型モデルを決定する。算出部132は、曲率が閾値未満の領域には、可変モデルのような簡易的な靴型モデルの適用を決定し、曲率が閾値以上の領域には形状再現性が高い靴型モデルの適用を決定する。
【0075】
なお、図6に示す条件と、当該条件において推奨される靴型モデルとは一例にすぎず、これに限られない。図6に示す各条件の項目名や数値、各靴型モデルの適用についても例示であって、これに限定されるものではない。また、推奨靴型モデルデータベース1108には、「基準との差異量」に応じた推奨の靴型モデルが含まれていればよく、その他の条件に応じた推奨の靴型モデルは含まれていてもよいし含まれていなくてもよい。
【0076】
また、推奨靴型モデルデータベース1108には、図6で示した条件に応じた推奨の靴型モデル以外に、シューズの作製手法に応じた推奨の靴型モデルが含まれていてもよい。このような場合の一例として、靴底とアッパーとの圧着工程が必要となる手法でシューズが作製される場合には、強度が大きい靴型モデルが選択されるように推奨靴型モデルデータベース1108が構築されてもよい。
【0077】
図7は、実施の形態1に係る靴型作製支援装置100が出力する作製データの一例を示す図である。算出部132(図3参照)は、靴型モデルの選択が完了すると、選択した靴型モデルに応じた作製データを算出して出力する。
【0078】
算出部132は、選択した靴型モデルが3Dプリンタモデルの場合には、3Dプリンタの制御データ、すなわちSTL(Standard Triangulated Language)データ等のプリント用データと、積層方向のデータとを算出して出力する。
【0079】
算出部132は、選択した靴型モデルが切削機モデルの場合には、切削機の制御データを算出して出力する。
【0080】
算出部132は、選択した靴型モデルが第2靴型モデルの場合には、靴型の断面データと、各断面に相当する平面パーツを作成するための裁断データとを算出して出力する。
【0081】
算出部132は、選択した靴型モデルが第3靴型モデルの場合には、各々の調整パーツの調整量を算出して出力する。
【0082】
算出部132は、選択した靴型モデルが第4靴型モデルの場合には、立体パーツの個数、立体パーツのサイズ、および立体パーツの配置(レイアウト)を算出して出力する。算出部132は、ユーザが求める形状再現性に応じて使用する立体パーツのサイズを決定してもよい。
【0083】
算出部132は、選択した靴型モデルが第5靴型モデルの場合には、組み合わされている各靴型モデルの靴型の作製に必要な作製データを算出して出力する。一例として、算出部132は、選択した靴型モデルが第2靴型モデルと第3靴型モデルとが組み合わされたモデルである場合には、断面データ、裁断データ、および各々の調整パーツの調整量を算出して出力する。
【0084】
なお、算出部132は、選択した靴型モデルが第2靴型モデルの場合であり、かつ、靴底とアッパーとの圧着工程が必要となる手法でシューズが作製される場合には、作製データを算出する際に、平面パーツの数を増やす等の補正をしてもよい。これにより、靴型の強度を上げることができる。
【0085】
また、算出部132は、選択した靴型モデルが第4靴型モデルの場合であり、かつ、靴底とアッパーとの圧着工程が必要となる手法でシューズが作製される場合には、作製データを算出する際に、立体パーツの数を増やす等の補正をしてもよい。これにより、靴型の強度を上げることができる。
【0086】
図8は、実施の形態1に係る靴型作製支援装置100で行われる処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す一連の処理は、プロセッサ102(図2参照)によって実行される。
【0087】
ステップS805において、プロセッサ102は、入力部106(図2参照)で受け付けられた、ユーザの足型データ、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データを受け付ける。
【0088】
ステップS810において、プロセッサ102は、入力部106で受け付けられた選択情報を受け付ける。なお、入力部106で選択情報が受け付けられていない場合には、プロセッサ102はステップS810の処理をとばして、ステップS815へ移行する。
【0089】
ステップS815において、プロセッサ102は、ステップS805でユーザの足型データを受け付けた場合には、ユーザの足型データと基準となる足型データとを比較し、ユーザの足型と基準となる足型との差異量を算出する。なお、プロセッサ102は、ステップS805でユーザのシューズの作製に用いられる靴型データを受け付けた場合には、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データと基準となる靴型データとを比較し、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型と基準となる靴型との差異量を算出する。
【0090】
ステップS820において、プロセッサ102は、ステップS815で算出した差異量に応じて少なくとも1種類の靴型モデルを選択する。なお、プロセッサ102は、ステップS810で選択情報を受け付けた場合には、ステップS815で算出した差異量と、ステップS810で受け付けた選択情報とに応じて少なくとも1種類の靴型モデルを選択する。
【0091】
ステップS825において、プロセッサ102は、ステップS820で選択した靴型モデルに応じた作製データを算出する。
【0092】
ステップS830において、プロセッサ102は、ステップS825で算出した作製データを出力する。これにより、作製データは、靴型作製支援装置100が備えるディスプレイに表示される。なお、作製データは、プリンタで出力されてもよいし、靴型作製装置へ送信されてもよい。なお、ステップS830において、プロセッサ102は、ステップS825で算出した作製データとともにステップS820で選択した靴型モデルを出力してもよい。
【0093】
ステップS830の後、プロセッサ102は、図8に示す一連の処理を終了する。
なお、ステップS820においてプロセッサ102が選択した靴型モデルの種類が複数ある場合には、プロセッサ102は選択した靴型モデルの全てを推奨靴型モデルとして出力し、作業者またはユーザに靴型モデルを選択してもらうようにし、作業者またはユーザが選択した靴型モデルについてのみ作製データを算出するのでもよい。
【0094】
また、図8に示す一連の処理では、プロセッサ102は、ステップS820において靴型モデルを選択した後、作製データを算出して出力したが、靴型モデルを選択して、選択した靴型モデルを出力するだけでもよい。すなわち、靴型作製支援装置100は、ユーザのシューズに関する情報に基づいて、複数の靴型モデルの中から条件に合った靴型モデルを選択し、選択した靴型モデルを出力するといった、推奨の靴型モデルを提示する機能だけを備えるのでもよい。
【0095】
このように、実施の形態1に係る靴型作製支援装置100は、受け付けたユーザの足型データ、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データに基づいて、製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択する。
【0096】
また、実施の形態1に係る靴型作製支援装置100は、ユーザの足型データ、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データに加え、選択情報を受け付けることができ、受け付けたユーザの足型データ、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データと、選択情報とに基づいて、製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択する。
【0097】
したがって、実施の形態1に係る靴型作製支援装置100によれば、複数の靴型モデルの中から条件に合った最適な靴型モデルが選択されるので、靴型を作製する作業者の手間が軽減される。
【0098】
また、実施の形態1に係る靴型作製支援装置100は、選択した靴型モデルに応じた作製データを算出して出力する。従来は、靴型モデル毎に異なるソフトウエアや異なる装置を用いて作製データを算出する必要があったが、実施の形態1に係る靴型作製支援装置100によれば、選択した靴型モデルに応じた作製データが算出されて出力されるので、作業者の手間が軽減される。
【0099】
[実施の形態2]
実施の形態2では、上述の靴型作製支援装置100と、靴型作製支援装置100が算出した作製データを用いて靴型を作製する靴型作製装置とを備える、靴型作製システムについて説明する。以下では、実施の形態1と異なる点についてのみ説明する。
【0100】
図9は、実施の形態2に係る靴型作製システム10の構成例を示す概略図である。靴型作製システム10は、実施の形態1における靴型作製支援装置100と、靴型作製装置400とを備える。靴型作製装置400は、靴型作製支援装置100から受信した作製データに基づいて靴型を作製する。靴型作製システム10は、1つの店舗内に配置されてもよいし、店舗とメーカーとにまたがって配置されてもよい。
【0101】
図10は、実施の形態2に係る靴型作製装置400のハードウェア構成例を示す模式図である。図10を参照して、靴型作製装置400は、プロセッサ402と、メインメモリ404と、入力部406と、出力部408と、ストレージ410と、光学ドライブ412と、通信コントローラ420とを含む。これらのコンポーネントは、プロセッサバス418を介して接続されている。
【0102】
プロセッサ402は、CPUやGPUなどで構成され、ストレージ410に記憶されたプログラム(一例として、OS4102および処理プログラム4104)を読出して、メインメモリ404に展開して実行することができる。プロセッサ402では、入力部406で受け付けた作製データを用いて靴型を作製する処理プログラム4104が実行される。当該処理プログラム4104を実行するプロセッサ402は、靴型作製装置400の作製部に対応する。
【0103】
メインメモリ404は、DRAMやSRAMなどの揮発性記憶装置などで構成される。ストレージ410は、例えば、HDDやSSDなどの不揮発性記憶装置などで構成される。
【0104】
ストレージ410には、基本的な機能を実現するためのOS4102に加えて、靴型作製装置400としての機能を提供するための処理プログラム4104が記憶される。すなわち、処理プログラム4104は、靴型作製装置400のプロセッサ402で実行されることにより、靴型を作製する。
【0105】
入力部406は、靴型作製支援装置100と接続して、靴型作製支援装置100から作製データを受け付ける入力インターフェースを含む。また、入力部406は、情報を受け付けるためのキーボードやマウス、マイク、タッチデバイスなどを含んでいてもよい。入力部406は、靴型作製装置400の受信部に対応する。
【0106】
出力部408は、ディスプレイなどで構成され、プロセッサ402からの処理結果などを出力する。
【0107】
通信コントローラ420は、有線通信または無線通信を用いて、他の制御装置などとの間でデータを遣り取りする。靴型作製装置400は、通信コントローラ420を介して靴型作製支援装置100から作製データを受信する。
【0108】
光学ドライブ412は、コンピュータ読取可能なプログラムを非一過的に記憶する記録媒体414(たとえば、DVDなどの光学記録媒体)から、その中に記憶されたプログラムを読み取って、読み取ったプログラムをストレージ410などにインストールする。
【0109】
靴型作製装置400で実行される処理プログラム4104などは、コンピュータ読取可能な記録媒体414を介してインストールされてもよいが、ネットワーク上のサーバ装置などからダウンロードする形でインストールするようにしてもよい。また、実施の形態2に係る靴型作製装置400が提供する機能は、OSが提供するモジュールの一部を利用する形で実現される場合もある。
【0110】
図10には、プロセッサ402がプログラムを実行することで、靴型作製装置400として必要な機能が提供される構成例を示したが、これらの提供される機能の一部または全部を、専用のハードウェア回路(例えば、ASICまたはFPGAなど)を用いて実装してもよい。また、図10に示した靴型作製装置400の構成は例示であって、この構成に限定されない。
【0111】
図11は、実施の形態2に係る靴型作製システム10で行われる処理の一例を示すフローチャートである。図11に示す処理のうちステップS1105~ステップS1130は靴型作製支援装置100のプロセッサ102(図2参照)によって実行され、ステップS1135およびステップS1140の処理は靴型作製装置400のプロセッサ402(図10参照)によって実行される。
【0112】
ステップS1105~ステップS1125において、プロセッサ102は、ステップS805~ステップS825と同様の処理を行う。
【0113】
ステップS1130において、プロセッサ102は、ステップS1125で算出した作製データを靴型作製装置400へ送信する。
【0114】
ステップS1135において、プロセッサ402は、靴型作製支援装置100から作製データを受信する。
【0115】
ステップS1140において、プロセッサ402は、靴型作製支援装置100から受信した作製データを用いて靴型を作製する。
【0116】
ステップS1140の後、靴型作製システム10は、図11に示す一連の処理を終了する。
【0117】
このように、実施の形態2に係る靴型作製システム10は、受け付けたユーザの足型データ、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データに基づいて、製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択し、選択した靴型モデルに応じた作製データを算出して、算出した作製データを用いて靴型を作製する。
【0118】
また、実施の形態2に係る靴型作製システム10は、ユーザの足型データ、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データに加え、選択情報を受け付けることができ、受け付けたユーザの足型データ、または、ユーザのシューズの作製に用いられる靴型データと、選択情報とに基づいて、製法の異なる複数種類の靴型モデルの中から少なくとも1種類の靴型モデルを選択し、選択した靴型モデルに応じた作製データを算出して、算出した作製データを用いて靴型を作製する。
【0119】
したがって、実施の形態2に係る靴型作製システム10によれば、複数の靴型モデルの中から条件に合った最適な靴型モデルが選択されるので、靴型を作製する作業者の手間が軽減される。
【0120】
また、従来は、靴型モデル毎に異なるソフトウエアや異なる装置を用いて作製データを算出し、算出した作製データを用いて靴型を作製する必要があったが、実施の形態2に係る靴型作製システム10によれば、選択した靴型モデルに応じた作製データが算出されて、当該作製データを用いて靴型の作製まで行われるので、作業者の手間が軽減される。
【0121】
[その他の変形例]
靴型作製支援装置100は店舗毎に設置されてもよいが、大型店舗など特定の店舗にのみ設置され、他の店舗の測定装置200からユーザの足型データを受け付けてもよい。また、靴型作製支援装置100はメーカーに設置されてもよい。
【0122】
また、靴型作製支援装置100は、受け付けた足型データをネットワークを介して、データサーバ500に、ユーザの個人情報とともに保存してもよい。
【0123】
また、靴型作製支援装置100は、選択した靴型モデルの種類と、算出した作製データとをネットワークを介して、データサーバ500に、ユーザの個人情報とともに保存してもよい。
【0124】
また、データサーバ500は、メーカーに設置されるものに限らず、他の場所、たとえば特定の店舗内に配置されてもよい。また、データサーバ500は、クラウドサービスの形態で実現されてもよい。
【0125】
また、受付部131は、選択情報として、ユーザの好みのデザインパターンを受け付けてもよい。このような場合には、一例として、あらかじめデザインパターンを複数用意しておき、その中からユーザが好みのデザインパターンを選択できるようなユーザインターフェイスを設けておけばよい。
【0126】
また、靴型の作製作業を迅速化するために、図4で示した設備以外に組み立てロボット等を準備してもよい。
【0127】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0128】
10 靴型作製システム、40 可変モデル、41 調整パーツ、42 調整機構、100 靴型作製支援装置、102,402 プロセッサ、104,404 メインメモリ、106,406 入力部、108,408 出力部、110,410 ストレージ、112,412 光学ドライブ、114,414 記録媒体、118,418 プロセッサバス、120,420 通信コントローラ、131 受付部、132 算出部、150 ディスプレイ、200 測定装置、300 携帯端末、400 靴型作製装置、500 データサーバ、1102,4102 OS、1104,4104 処理プログラム、1106 足型データベース、1107 靴型データベース、1108 推奨靴型モデルデータベース。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11