(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101469
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
H01G4/30 513
H01G4/30 516
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021180698
(22)【出願日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】10-2020-0183844
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミュン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジン スー
(72)【発明者】
【氏名】カン、ヨン ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ウン ジン
(72)【発明者】
【氏名】パク、キュ シク
(72)【発明者】
【氏名】リー、カン ハ
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AF06
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE01
5E082FF05
5E082FG26
5E082GG10
5E082GG11
5E082GG12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単位体積当たりの容量及び信頼性が向上した積層型電子部品を提供する。
【解決手段】積層型電子部品は、誘電体層111を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1内部電極121と第2内部電極122を含み、第1面から第6面を有する直方体状の本体110と、第1内部電極と連結する第1導電層131aとその上に配置される第1絶縁層131bを含む第1連結部131と、第2内部電極と連結する第2導電層132aとその上に配置される第2絶縁層132bを含む第2連結部132と、第1導電層と連結される第1電極層141aとその上に配置される第1めっき層141bを含み、第1、第2、第5、第6面のうち何れか一面に配置される第1外部電極141及び第2導電層と連結される第2電極層142aとその上に配置される第2めっき層142bを含み、第1外部電極が配置された面に第1外部電極と離隔して配置される第2外部電極142と、を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層と、前記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極とを含み、前記第1方向に対向する第1及び第2面、前記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、前記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を有する本体と、
前記第3面に配置されて前記第1内部電極と連結される第1導電層、及び前記第1導電層上に配置される第1絶縁層を含む第1連結部と、
前記第4面に配置されて前記第2内部電極と連結される第2導電層、及び前記第2導電層上に配置される第2絶縁層を含む第2連結部と、
前記第1導電層と連結される第1電極層及び前記第1電極層上に配置される第1めっき層を含み、前記第1、第2、第5及び第6面のうちいずれか一面に配置される第1外部電極と、
前記第2導電層と連結される第2電極層及び前記第2電極層上に配置される第2めっき層を含み、前記第1外部電極が配置された面に前記第1外部電極と離隔して配置される第2外部電極と、を備える、積層型電子部品。
【請求項2】
前記第1導電層は、前記第3面から逸脱しない範囲で配置され、前記第2導電層は、前記第4面から逸脱しない範囲で配置される、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記第1及び第2導電層は、前記第1及び第2内部電極に含まれた金属と同一の金属と、ガラスとを含む、請求項1または2に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記第1及び第2内部電極に含まれた金属と同一の金属はNiである、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記第1絶縁層の第1方向の大きさは、前記第1導電層の第1方向の大きさの80%以上であり、前記第2絶縁層の第1方向の大きさは前記第2導電層の第1方向の大きさの80%以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記第1及び第2電極層は、導電性金属及びガラスを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記積層型電子部品の前記第2方向の最大の大きさは、1.1mm以下であり、前記第3方向の最大の大きさは0.55mm以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記第1及び第2外部電極は、前記第5面または前記第6面に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記第1及び第2外部電極は、前記第1面または前記第2面に配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記第1電極層は、前記第1導電層の第1方向の一端部を覆うように延長されて配置され、前記第2電極層は、前記第2導電層の第1方向の一端部を覆うように延長されて配置される、請求項1から9のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記第1及び第2導電層の第1方向の一端部の厚さは、前記第1及び第2導電層の第1方向の中央での厚さよりも薄い、請求項1から10のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記第1及び第2導電層の第1方向の他端部の厚さは、前記第1及び第2導電層の第1方向の中央での厚さよりも薄い、請求項1から11のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記第1及び第2絶縁層は、前記第1及び第2導電層の第1方向の一端部及び他端部を覆わないように配置される、請求項1から12のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記第1及び第2絶縁層の第1方向の一端部及び他端部の厚さは、前記第1及び第2絶縁層の第1方向の中央での厚さよりも薄い、請求項1から13のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記第1導電層の第1方向の他端部上には、第1追加めっき層が配置され、前記第2導電層の第1方向の他端部上には、第2追加めっき層が配置される、請求項1から14のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記第1及び第2外部電極は、前記第2面に配置され、
前記第1絶縁層は、前記第1電極層の一端部及び前記第1面の一部を覆うように延長されて配置され、前記第2絶縁層は、前記第2電極層の一端部及び前記第1面の一部を覆うように延長されて配置される、請求項1から15のいずれか一項に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)などの映像機器、コンピュータ、スマートフォン及び携帯電話などの様々な電子製品のプリント回路基板に装着されて電気を充電または放電させる役割を果たすチップ形態のコンデンサである。
【0003】
かかる積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として用いられることができる。コンピュータ、モバイル機器などの各種電子機器が小型化、高出力化し、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化の要求が増加しつつある。
【0004】
また、最近では自動車用電装部品に対する業界の関心が高まり、積層セラミックキャパシタも自動車やインフォテインメントシステムに用いられるために、高信頼性の特性が要求されている。
【0005】
積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化のためには、内部電極及び誘電体層を薄く形成して積層数を増やす必要があり、外部電極を薄層化して容量の実現に必要な有効体積分率を増加させる必要がある。
【0006】
従来には、外部電極を形成する際に、導電性金属が含まれたペーストを用いて、本体の内部電極が露出した面をペーストにディッピング(dipping)する方法が主に用いられた。
【0007】
しかし、ディッピング(dipping)工法によって形成された外部電極は、厚さ方向の中央部での外部電極の厚さがあまりにも厚く、本体の内部電極が露出した面を除いた面にも外部電極が形成されて有効体積率を高く確保することが難しいという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明のいくつかの目的の一つは、単位体積当たりの容量が向上した積層型電子部品を提供することである。
【0009】
本発明のいくつかの目的の一つは、信頼性が向上した積層型電子部品を提供することである。
【0010】
但し、本発明の目的は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品は、誘電体層、上記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極を含み、上記第1方向に対向する第1及び第2面、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面を含む本体と、上記第3面に配置されて上記第1内部電極と連結される第1導電層、及び上記第1導電層上に配置される第1絶縁層を含む第1連結部と、上記第4面に配置されて上記第2内部電極と連結される第2導電層及び上記第2導電層上に配置される第2絶縁層を含む第2連結部と、上記第1導電層と連結される第1電極層及び上記第1電極層上に配置される第1めっき層を含み、上記第1、第2、第5及び第6面のうちいずれか一面に配置される第1外部電極、及び上記第2導電層と連結される第2電極層及び上記第2電極層上に配置される第2めっき層を含み、上記第1外部電極が配置された面に上記第1外部電極と離隔して配置される第2外部電極と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明のいくつかの効果の一つは、本体の第3及び第4面に連結部を配置し、本体の第1、第2、第5及び第6面のうちいずれか一面に外部電極を配置することで積層型電子部品の単位体積当たりの容量を向上させたことである。
【0013】
本発明のいくつかの効果の一つは、連結部の導電層上に絶縁層を配置して、信頼性を向上させたことである。
【0014】
但し、本発明の多様でありながらも有意義な利点及び効果は、上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程で、より容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものである。
【
図2】
図1における連結部及び外部電極を除き、本体の斜視図を概略的に示したものである。
【
図4】
図1のII-II'線に沿った断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を製造する方法を説明するための図面である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を製造する方法を説明するための図面である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を製造する方法を説明するための図面である。
【
図9】本発明の一実施形態の変形例として、
図1のI-I'線に沿った断面図である。
【
図10】本発明の一実施形態の他の変形例として、
図1のI-I'線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、いくつかの他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために拡大縮小表示(又は強調表示や簡略化表示)がされることがあり、図面上に同一符号で示される要素は同一要素である。
【0017】
尚、図面において本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分は省略し、図示した各構成の大きさ及び厚さは、説明の便宜のために任意で示したものであるため、本発明は必ずしも図示により限定されない。また、同一の思想の範囲内の機能が同一である構成要素は、同一の参照符号を用いて説明することができる。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」というのは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0018】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さ(T)方向、第2方向は長さ(L)方向、第3方向は幅(W)方向と定義することができる。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品の斜視図を概略的に示したものであり、
図2は、
図1における連結部及び外部電極を除き、本体の斜視図を概略的に示したものであり、
図3は、
図1のI-I'線に沿った断面図であり、
図4は、
図1のII-II'線に沿った断面図であり、
図5は、本発明の一実施形態に係る誘電体層及び内部電極が積層された本体を分解して概略的に示した分解斜視図である。
【0020】
以下、
図1~
図5を参照して、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100について説明する。
【0021】
本発明の一実施形態に係る積層型電子部品100は、誘電体層111、上記誘電体層を間に挟んで第1方向に交互に配置される第1及び第2内部電極121、122を含み、上記第1方向に対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面と連結され、第2方向に対向する第3及び第4面3、4、上記第1~第4面と連結され、第3方向に対向する第5及び第6面5、6を含む本体110と、上記第3面に配置されて上記第1内部電極121と連結される第1導電層131a、及び上記第1導電層上に配置される第1絶縁層131bを含む第1連結部131と、上記第4面に配置されて上記第2内部電極122と連結される第2導電層132a、及び上記第2導電層上に配置される第2絶縁層132bを含む第2連結部132と、上記第1導電層と連結される第1電極層141a及び上記第1電極層上に配置される第1めっき層141bを含み、上記第1、第2、第5及び第6面のうちいずれか一面に配置される第1外部電極141、及び上記第2導電層と連結される第2電極層142a及び上記第2電極層上に配置される第2めっき層142bを含み、上記第1外部電極が配置された面に上記第1外部電極と離隔して配置される第2外部電極142と、を含む。
【0022】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0023】
本体110の具体的な形状に特に制限はないが、図面に示すように、本体110は、六面体状やこれと類似した形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は、完全な直線を有する六面体状ではないが、実質的に六面体状を有することができる。
【0024】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、上記第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1及び第2面1、2と連結され、第3及び第4面3、4と連結され、且つ第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0025】
本体110を形成する複数の誘電体層111は、焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は、走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0026】
本発明の一実施形態によると、上記誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量を得ることができる限り特に制限されない。例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを用いることができる。上記チタン酸バリウム系材料は、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、上記セラミック粉末は、一例として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)などが一部固溶された(Ba1-xCax)TiO3、Ba(Ti1-yCay)O3、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3又はBa(Ti1-yZry)O3などが挙げられることができる。
【0027】
また、上記誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末に、本発明の目的に応じて、様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0028】
一方、誘電体層111の厚さtdは、特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために誘電体層111の厚さtdは、0.6μm以下であることができる。ここで、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さを意味することができる。
【0029】
本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含み、容量が形成される容量形成部Acと、上記容量形成部Acの第1方向の上部及び下部に形成されたカバー部112、113を含むことができる。
【0030】
また、上記容量形成部Acは、キャパシタの容量形成に寄与する部分であって、誘電体層111を間に挟んで複数の第1及び第2内部電極121、122を繰り返し積層して形成されることができる。
【0031】
カバー部112、113は、上記容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112及び上記容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0032】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの上下面にそれぞれ厚さ方向に積層して形成することができ、基本的には物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0033】
上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極を含まず、誘電体層111と同様の材料を含むことができる。
【0034】
すなわち、上記上部カバー部112及び下部カバー部113は、セラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0035】
一方、カバー部112、113の厚さは、特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するためにカバー部112、113の厚さtpは20μm以下であることができる。
【0036】
また、上記容量形成部Acの側面には、マージン部114、115が配置されることができる。
【0037】
マージン部114、115は、本体110の第5面5に配置されたマージン部114及び第6面6に配置されたマージン部115を含むことができる。すなわち、マージン部114、115は、上記セラミック本体110の幅方向の両端面(end surfaces)に配置されることができる。
【0038】
マージン部114、115は、
図3に示したように、上記本体110を幅-厚さ(W-T)方向に切り取った断面(cross-section)において、第1及び第2内部電極121、122の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0039】
マージン部114、115は、基本的に物理的または化学的ストレスによる内部電極の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0040】
マージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にマージン部が形成される部分を除いて導電性ペーストを塗布し、内部電極を形成することによって形成されたものであることができる。
【0041】
また、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極が本体の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一誘電体層または2つ以上の誘電体層を容量形成部Acの両側面に第3方向(幅方向)に積層してマージン部114、115を形成することもできる。
【0042】
内部電極121、122は、誘電体層111と交互に積層される。
【0043】
内部電極121、122は、第1及び第2内部電極121、122を含むことができる。第1及び第2内部電極121、122は、本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0044】
図3を参照すると、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出し、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体の第3面3には、第1導電層131aが配置されて第1内部電極121と連結され、本体の第4面4には、第2導電層132aが配置されて、第2内部電極122と連結されることができる。
【0045】
すなわち、第1内部電極121は、第2導電層132aとは連結されず、第1導電層131aと連結され、第2内部電極122は、第1導電層131aとは連結されず、第2導電層132aと連結される。したがって、第1内部電極121は、第4面4から一定距離離隔して形成され、第2内部電極122は、第3面3から一定距離離隔して形成されることができる。
【0046】
この時、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0047】
本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0048】
内部電極121、122を形成する材料は、特に制限されず、電気導電性に優れた材料を用いることができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上を含むことができる。
【0049】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち1つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。上記内部電極用導電性ペーストの印刷方法は、スクリーン印刷法またはグラビア印刷法などを用いることができ、本発明がこれに限定されるものではない。
【0050】
一方、内部電極121、122の厚さteは、特に限定する必要はない。但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さteは、0.6μm以下であることができる。ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さを意味することができる。
【0051】
連結部131、132は、本体110の第3面3及び第4面4に配置されることができる。
【0052】
連結部131、132は、本体110の第3面3に配置される第1連結部131と本体110の第4面4に配置される第2連結部132を含むことができる。
【0053】
第1連結部131は、第3面3に配置されて第1内部電極121と連結される第1導電層131a及び上記第1導電層131a上に配置される第1絶縁層131bを含むことができる。第2連結部132は、第4面4に配置されて第2内部電極122と連結される第2導電層132a及び上記第2導電層132a上に配置される第2絶縁層132bを含むことができる。
【0054】
従来には、外部電極を形成する際に、導電性金属が含まれたペーストを用いて、本体の内部電極が露出した面をペーストにディッピング(dipping)する方法が主に用いられた。しかし、ディッピング(dipping)工法によって形成された外部電極は、厚さ方向の中央部での外部電極の厚さがあまりにも厚いことがある。また、このようなディッピング(dipping)工法による外部電極の厚さの不均衡問題がなくても、本体の第3及び第4面に内部電極が露出するため、外部電極を介した水分及びめっき液の浸透を抑制するために、第3及び第4面に配置された外部電極の厚さが一定以上になるように形成した。
【0055】
一方、本発明では、導電層131a、132a上に絶縁層131b、132bを配置するため、内部電極が露出する第3及び第4面での導電層131a、132aの厚さを薄くしても十分な信頼性を確保することができる。
【0056】
第1及び第2導電層131a、132aは、
図1に示された形態のように、それぞれ第3及び第4面に対応する形であることができ、第1及び第2導電層131a、132aから本体に向かう面は本体の第3及び第4面とそれぞれ同一の面積を有することができる。第1及び第2導電層131a、132aは、第3及び第4面3、4から逸脱しない範囲で配置されることができる。第1及び第2導電層131a、132aは、本体110の第1、第2、第5及び第6面1、2、5、6に延長しないように配置されることができる。
【0057】
また、第1及び第2導電層131a、132aは、従来のディッピング方式により形成された外部電極に比べて、均一で薄い厚さを有することができる。
【0058】
第1及び第2導電層131a、132aを形成する方法は、特に制限する必要はないが、例えば、導電性金属、バインダーのような有機物質などを含むシートを第3及び第4面に転写する方式で形成することができる。
【0059】
導電層131a、132aの厚さは、特に限定しないが、例えば、2~7μmであることができる。ここで、導電層131a、132aの厚さとは、最大厚さを意味することができ、導電層131a、132aの第2方向の大きさを意味することができる。
【0060】
一実施形態において、導電層131a、132aは、内部電極121、122に含まれた金属と同一の金属及びガラスを含むことができる。導電層131a、132aが内部電極121、122に含まれた金属と同一の金属を含むことにより、内部電極121、122との電気的連結性を向上させることができ、導電層131a、132aがガラスを含むことにより、絶縁層131b、132b及び本体110との接合力を向上させることができる。このとき、内部電極121、122に含まれた金属と同一の金属はNiであることができる。
【0061】
第1及び第2絶縁層131b、132bは、それぞれ、第1及び第2導電層131a、132a上に配置されて導電層131a、132a上にめっき層が形成されることを防止する役割を果たすことができる。また、絶縁層131b、132bは、シーリング特性を向上させ、外部からの水分やめっき液などが浸透することを最小化する役割を果たすことができる。
【0062】
絶縁層131b、132bは、絶縁物質を含むことができる。絶縁物質を特に限定する必要はないが、例えば、絶縁物質は、絶縁性樹脂、セラミックなどであることができる。
【0063】
絶縁層131b、132bの第1方向の大きさは、導電層131a、132aの第1方向の大きさの80%以上になるように配置されることができる。絶縁層131b、132bの第1方向の大きさが導電層131a、132aの第1方向の大きさの80%未満の場合には、めっき層形成の防止効果及びシーリング特性の向上効果が不十分であることがある。一方、その上限は特に限定せず、積層型電子部品100の第1方向の大きさを増加させない範囲で、絶縁層131b、132bは、本体100の第1及び第2面上に一部延長されて配置されることができる。
【0064】
絶縁層131b、132bを形成する方法は、特に制限する必要はないが、例えば、BaTiO3、バインダーのような有機物質などを含むシートを導電層131a、131bに転写する方式で形成することができる。
【0065】
絶縁層131b、132bの厚さは、特に限定しないが、例えば、3~15μmであることができる。ここで、絶縁層131b、132bの厚さとは、最大厚さを意味することができ、絶縁層131b、132bの第2方向の大きさを意味することができる。
【0066】
外部電極141、142は、本体110の第1、第2、第5及び第6面1、2、5、6のいずれか一面に配置されることができる。
【0067】
外部電極141、142は、第1導電層131aと連結される第1電極層141a及び上記第1電極層141a上に配置される第1めっき層141bを含む第1外部電極141、及び第2導電層132aと連結される第2電極層142a及び上記第2電極層142a上に配置される第2めっき層142bを含む第2外部電極142を含むことができる。
【0068】
電極層141a、142aが導電層131a、132aと連結されることによって、電極層141a、142aと内部電極121、122は、導電層131a、131bを介して電気的に連結されることができる。
【0069】
従来のディッピング(dipping)工法によって形成された外部電極は、第3及び第4面で厚く形成され、第1、第2、第5及び第6面にも一部延長されて形成されるにつれて、有効体積率を高く確保することが難しいという問題点があった。
【0070】
一方、本発明に係る外部電極141、142は、第1、第2、第5及び第6面のうちいずれか一面に配置されるため、有効体積率を高く確保することができる。このとき、外部電極141、142が配置される面が実装面になることがある。
【0071】
外部電極141、142が第1面または第2面に配置される場合には、内部電極121、122が実装面と平行になるように積層型電子部品100を基板に水平実装することができる。
【0072】
また、外部電極141、142が第5面または第6面に配置される場合には、内部電極121、122が実装面と垂直になるように基板に積層型電子部品100を垂直実装することができる。
【0073】
電極層141a、142aは、金属などのように電気導電性を有するものであれば、どのような物質を用いても形成されることができ、電気的特性、構造的安定性などを考慮して、具体的な物質が決定されることができる。例えば、電極層141a、142aは、導電性金属及びガラスを含む焼成(firing)電極であることができ、電極層141a、142aは、本体の第1、第2、第5及び第6面のうちいずれか一面に導電性金属及びガラスを含むペーストを塗布する方法を利用して形成することができる。
【0074】
電極層141a、142aに含まれる導電性金属として電気導電性に優れた材料を用いることができ、特に限定しない。例えば、導電性金属は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)及びそれらの合金のうち1つ以上であることができる。
【0075】
めっき層141b、142bは、電極層141a、142a上に配置されることができる。めっき層141b、142bは、実装特性を向上させる役割を果たす。めっき層141b、142bの種類は特に限定せず、Ni、Sn、Pd、及びこれらの合金のうち1つ以上を含むめっき層であることができ、複数層で形成されることができる。
【0076】
めっき層141b、142bに対するより具体的な例として、めっき層141b、142bは、Niめっき層またはSnめっき層であることができ、電極層141a、142a上にNiめっき層及びSnめっき層が順に形成された形であることができる。
【0077】
積層型電子部品100のサイズが小さくなるほど、外部電極薄層化に伴う単位体積当たりの容量向上効果が大きくなる。したがって、1005(長さ×幅、1.0mm×0.5mm)以下のサイズを有する積層型電子部品100において、本発明に係る単位体積当たりの容量向上効果が顕著になることができる。
【0078】
1005(長さ×幅、1.0mm×0.5mm)サイズを有する場合、従来のディッピング方式により外部電極を形成した比較例の場合、19.6μFの容量が実現され、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品(発明例)の場合、21.73μFの容量が実現された。発明例が比較例に比べて有効容量が約11%程度上昇して単位体積当たりの容量向上効果が顕著であることが確認できる。
【0079】
したがって、製造誤差などを考慮すると、積層型電子部品100は、上記第2方向の最大の大きさが1.1mm以下、上記第3方向の最大の大きさが0.55mm以下であることができる。このとき、積層型電子部品の第2方向の最大の大きさは、積層型電子部品の最大の長さを意味することができ、積層型電子部品の第3方向の最大の大きさは、積層型電子部品の最大幅を意味することができる。
【0080】
図6~
図8は、本発明の一実施形態に係る積層型電子部品を製造する方法を説明するための図面である。
【0081】
図6を参照すると、第1導電層131aの転写工程の場合、支持台200上に導電層シート130aを設けた後、本体110をここに圧着して本体110の第3面に第1導電層131aが付着するようにする。導電層シート130aは、焼結前の状態としてバインダー、有機溶媒などの成分を含むことができる。その後、本体110の第4面に同一の工程を繰り返して本体110の第4面に第2導電層132aが付着するようにすることができる。
【0082】
その後、
図7に示したように、本体110の第1、第2、第5及び第6面1、2、5、6のいずれか一面に外部電極用ペーストを塗布して第1及び第2電極層141a、142aを形成することができる。絶縁層131b、132bを形成する前に電極層141a、142aを形成することにより、導電層131a、132aと電極層141a、142aとの間の電気的連結性を十分に確保することができる。
【0083】
その後、
図8に示したように、支持台200上に絶縁層シート130bを設けた後、本体110をここに圧着して第1導電層131aの表面に第1絶縁層131bが付着するようにする。絶縁層シート130bは、焼結前の状態としてバインダー、有機溶媒などの成分を含むことができる。その後、本体110の第4面に同一の工程を繰り返して第2導電層132aの表面に第2絶縁層132bが付着するようにすることができる。
【0084】
その後、めっき工程を行うことにより、電極層141a、142a上にめっき層141b、142bを形成することができる。導電層131a、132a上に絶縁層131b、132bを形成した後、めっき層141b、142bを形成することにより、導電層131a、132a上にめっき層が形成されることを防止し、積層型電子部品の第2方向の大きさを最小化して単位体積当たりの容量を向上させることができる。
【0085】
図9は、本発明の一実施形態の変形例として、
図1のI-I'線に沿った断面図である。
【0086】
図9を参照すると、第1電極層141a'は、上記第1導電層131a'の第1方向の一端部を覆うように延長されて配置され、上記第2電極層142a'は、上記第2導電層132a'の第1方向の一端部を覆うように延長されて配置されることができる。これにより、電極層141a'、142a'と導電層131a'、132a'の接合面積を増加させて電気的連結性を向上させることができる。
【0087】
このとき、第1及び第2導電層131a'、132a'の上記第1方向の一端部の厚さは、上記第1方向の中央での厚さよりも薄いことができる。ここで、第1及び第2導電層131a'、132a'の厚さは、第2方向の大きさを意味することができる。これにより、電極層141a'、142a'と導電層131a'、132a'の接合面積を増加させて電気的連結性を向上させながらも有効体積率が低下することを防止することができる。
【0088】
シートを転写する方式を利用することによって、従来のディッピング方式よりも導電層131a'、132a'が均一で薄い厚さを有することができるが、圧着によりシートが切断されてシートの一部が本体に付着するようになるため、導電層131a'、132a'の第1方向の両端部は中央部よりも多くの圧力を受けるようになって厚さが薄くなることがある。したがって、第1及び第2導電層131a'、132a'の上記第1方向の他端部の厚さも上記第1方向の中央での厚さよりも薄いことがある。
【0089】
また、絶縁層131b'、132b'は、第1方向の大きさが導電層131a'、132a'の第1方向の大きさの80%以上になるように配置されることができる。絶縁層131b'、132b'の第1方向の最大の大きさが導電層131a'、132a'の第1方向の最大の大きさよりも小さい場合には、
図9に示したように、絶縁層131b'、132b'は導電層131a'、132a'の第1方向の両端部を覆わないように配置されることができる。また、絶縁層131b'、132b'の第1方向の両端部も中央部よりも薄い厚さを有することができる。
【0090】
したがって、第1絶縁層131b'の上記第1方向の大きさは、上記第1導電層131a'の上記第1方向の大きさよりも小さいことがあり、第2絶縁層132b'の上記第1方向の大きさは、上記第2導電層132a'の上記第1方向の大きさよりも小さいことがある。
【0091】
これにより、第1導電層131a'の上記第1方向の他端部には、第1追加めっき層151が配置されることができ、第2導電層132a'の上記第1方向の他端部には、第2追加めっき層152が配置されることができる。第1及び第2追加めっき層151、152は、めっき層141b'、142b'を形成するためのめっき工程時に形成されるものであって、めっき層141b'、142b'と同一の物質で形成されることができる。
【0092】
図10は、本発明の一実施形態の他の変形例として、
図1のI-I'線に沿った断面図である。
【0093】
本発明の一実施形態の他の変形例によると、第1及び第2外部電極141"、142"は本体110"の第2面に配置され、第1絶縁層131b"は、上記第1電極層141a"の一端部及び本体110"の第1面1の一部を覆うように延長されて配置され、上記第2絶縁層132b"は、上記第2電極層142a"の一端部及び上記第1面の一部を覆うように延長されて配置されることができる。
【0094】
図10を参照すると、本体110"の第2方向の端部は、第1及び第2内部電極121"、122"のいずれか一つの内部電極のみが配置されることにより、段差が発生することがある。これにより、本体110"の第2方向の端部は、本体110"の第2方向の中央部よりも厚さが薄い形を有することができ、本体110"の第2方向の端部において、第1及び第2面1、2は、本体110"の第1方向の中央部に収縮された形を有することができる。したがって、本体の第2方向の中央部における第1方向の大きさは、本体の第2方向の端部における第1方向の大きさよりも大きいことがある。また、内部電極121"、122"も第2方向の端部で本体110"の第1方向の中央部に収縮された形を有することができる。
【0095】
第1及び第2絶縁層131b"、132b"は、第1及び第2電極層141a"、142a"の一端部及び本体110"の第1面の一部を覆うように延長されて配置されることができる。但し、積層型電子部品の第1方向の大きさを増加させない範囲内で延長されることができる。上述したように、本体110"の第2方向の端部における第1及び第2面1、2は、本体110"の第1方向の中央部に収縮された形態を有するため、第1及び第2絶縁層131b"、132b"が本体110"の第2方向の端部上の一部まで延長されても積層型電子部品の第1方向の大きさの増加なしに、第1及び第2絶縁層131b"、132b"が配置されることができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定される。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって多様な形態の置換、変形、及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属するといえる。
【符号の説明】
【0097】
100 積層型電子部品
110 本体
111 誘電体層
112、113 カバー部
114、115 マージン部
121、122 内部電極
131、132 連結部
131a、132a 導電層
131b、132b 絶縁層
141、142 外部電極
141a、142a 電極層
141b、142b めっき層
151、152 追加めっき層