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特開2022-101517シュリーレン画像を使用するカテーテル灌注の可視化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101517
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】シュリーレン画像を使用するカテーテル灌注の可視化
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20220629BHJP
【FI】
A61B34/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021209088
(22)【出願日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】17/133,989
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アミット・フックス
(72)【発明者】
【氏名】エラン・アハロン
(72)【発明者】
【氏名】イェフダ・アルガウィ
(57)【要約】
【課題】カテーテル灌注を可視化するシステムを提供すること。
【解決手段】システムは、流体容器、ポンプ、シュリーレン撮像アセンブリ及びプロセッサを含む。流体容器は、(i)少なくとも部分的に透明であり、かつ第1の温度を有する第1の流体を含むよう、及び(ii)1つ以上の灌注穴を有するカテーテルを第1の流体中に受け入れるよう構成されている。ポンプは、1つ以上の灌注穴から、第2の流体を注入するよう構成されており、この第2の流体は、少なくとも部分的に透明であり、かつ第2の異なる温度を有する。シュリーレン撮像アセンブリは、第2の流体を注入するときに、第1の流体に生じる乱流のシュリーレン画像を取得するよう構成されており、プロセッサは、シュリーレン画像を使用して灌注を可視化するよう構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル灌注を可視化するシステムであって、
(i)少なくとも部分的に透明であり、かつ第1の温度を有する第1の流体を含むよう、及び(ii)1つ以上の灌注穴を有するカテーテルを前記第1の流体中に受け入れるよう構成されている、流体容器と、
前記1つ以上の灌注穴から、第2の流体を注入するよう構成されているポンプであって、前記第2の流体が少なくとも部分的に透明であり、かつ第2の異なる温度を有する、前記ポンプと、
前記第2の流体を注入するときに、前記第1の流体に生じる乱流のシュリーレン画像を取得するよう構成されている、シュリーレン撮像アセンブリと、
前記シュリーレン画像を使用して、前記灌注を可視化するよう構成されている、プロセッサと
を含む、前記システム。
【請求項2】
前記第1の流体が水を含み、前記第2の流体が、水又は生理食塩水溶液を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1の温度及び前記第2の温度が、少なくとも摂氏1度の差異を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記シュリーレン撮像アセンブリが、(i)1つ以上の照明源であって、前記照明源の少なくとも1つが、1つ以上の事前に定義された波長を有する光ビームを指向するよう構成されている、前記照明源と、(ii)前記シュリーレン画像を取得するよう構成されている、1つ以上のシュリーレンカメラとを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記シュリーレンカメラが、(i)第1の視野角において、第1のシュリーレン画像を取得するよう構成されている第1のシュリーレンカメラと、(ii)第2の異なる視野角において、第2のシュリーレン画像を取得するよう構成されている第2のシュリーレンカメラとを備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のシュリーレン画像及び前記第2のシュリーレン画像が、二次元(2D)シュリーレン画像を含み、前記プロセッサが、前記2Dシュリーレン画像に基づいて、1つ以上の三次元(3D)シュリーレン画像を生成することによって、前記灌注を可視化するよう構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記プロセッサが、ビデオにおいて、前記3Dシュリーレン画像の時系列を表示するよう構成されている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記流体容器が、前記光ビームに対して少なくとも部分的に透明であり、かつ目盛りを有しており、前記プロセッサが、前記目盛りを使用して、前記第1の温度と前記第2の温度との間の温度勾配を算出するよう構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
カテーテル灌注を可視化する方法であって、
少なくとも部分的に透明であり、かつ第1の温度を有する第1の流体を有する流体容器中に、カテーテルの1つ以上の灌注穴から、少なくとも部分的に透明であり、かつ第2の異なる温度を有する第2の流体を注入することと、
前記第2の流体を注入するときに、前記第1の流体に生じる乱流のシュリーレン画像を取得することと、
前記シュリーレン画像を使用して、前記灌注を可視化することと、
を含む、前記方法。
【請求項10】
前記第1の流体が水を含み、前記第2の流体が、水又は生理食塩水溶液を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の温度及び前記第2の温度が、少なくとも摂氏1度の差異を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
シュリーレン画像を取得することが、1つ以上の事前に定義した波長を有する光ビームを指向させることと、前記第2の流体を注入するときに、前記第1の流体に生じる前記乱流の前記シュリーレン画像を取得することとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
シュリーレン画像を取得することが、第1の視野角において、第1のシュリーレン画像を取得することと、第2の異なる視野角において、第2のシュリーレン画像を取得することとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のシュリーレン画像及び前記第2のシュリーレン画像が、二次元(2D)シュリーレン画像を含み、前記灌注を可視化することが、前記2Dシュリーレン画像に基づいて、1つ以上の三次元(3D)シュリーレン画像を生成することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記灌注を可視化することが、ビデオにおいて、前記3Dシュリーレン画像の時系列を表示することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記流体容器が、前記シュリーレン画像を取得するために使用される光ビームに対して少なくとも部分的に透明であり、かつ目盛りを有し、
前記目盛りを使用して、前記第1の温度と前記第2の温度との間の温度勾配を算出することを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、可視化システム、並びに特に、医療用カテーテルの灌注を可視化するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
シュリーレン技法は、いくつかの医療撮像などのさまざまな用途における撮像に使用される。
【0003】
例えば、米国特許出願公開第2004/0049216号は、組織を穿孔するため、とりわけ経心筋的血管再建のためのデバイスを記載している。衝撃波を可視化するために、取り付け可能な中実ニードルに連結されている超音波発生器を備えるデバイス、及びシュリーレン技法が使用されている。
【0004】
米国特許出願公開第2011/0201929号は、HIFU焦点と超音波撮像装置からの撮像面との相対位置を空間的に追跡して表示する技術を含む、HIFU療法に関連する複数の概念を記載しており、その結果、臨床医はHIFU治療中にHIFU焦点が画像平面内に留まることを確実にし、それによって画像誘導HIFU療法を容易にすることができる。
【0005】
米国特許出願公開第2003/0133096号は、ユーザー側端部及び遠位端部を有する光学内視鏡流体流量測定プローブアセンブリを記載している。光シート発生器、及び少なくとも1つの反射光取得器、及び内視鏡を有する遠位端部には、情報を遠位端部から遠くに伝送するための伝送手段が設けられている。光シート発生器は、光のシートを発生する使用に適合されており、光取得器は、この光シートから反射された光を撮像するようなされており、光シート発生器及び光取得器は、同じ内視鏡に設けられている。
【0006】
参照により本明細書に組み込まれている、EPJ Techniques and Instrumentation(2018年)により出版されている、Enrico Traldi1、Marco Boselli1、Emanuele Simoncelli1、Augusto Stancampiano、Matteo Gherardi1、Vittorio Colombo and Gary S.Settlesによる刊行物「SCHLIEREN IMAGING:A POWERFUL TOOL FOR ATMOSPHERIC PLASMA DIAGNOSTIC」の図1a~1iに示されているとおり、1859年にAugust Toeplerによって最初に発明されたシュリーレン技法(この刊行物の図1aに示されている)に起因する、シュリーレン撮像技法の8つの異なる配列(図1b、1c、1d、1e、1f、1g、1h及び1iとしてこの刊行物に示されている)を利用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書に記載されている本発明の実施形態は、カテーテル灌注を可視化するシステムであって、流体容器、ポンプ、シュリーレン撮像アセンブリ及びプロセッサを含む、システムを提供する。流体容器は、(i)少なくとも部分的に透明であり、かつ第1の温度を有する第1の流体を含むよう、及び(ii)1つ以上の灌注穴を有するカテーテルを第1の流体中に受け入れるよう構成されている。ポンプは、1つ以上の灌注穴から、第2の流体を注入するよう構成されており、この第2の流体は、少なくとも部分的に透明であり、かつ第2の異なる温度を有する。シュリーレン撮像アセンブリは、第2の流体を注入するときに、第1の流体に生じる乱流のシュリーレン画像を取得するよう構成されている。プロセッサは、シュリーレン画像を使用して、灌注を可視化するよう構成されている。
【0008】
一部の実施形態では、第1の流体は水を含み、第2の流体は、水又は生理食塩水溶液を含む。他の実施形態では、第1の温度及び第2の温度は、少なくとも摂氏1度の差異を有する。更に他の実施形態では、シュリーレン撮像アセンブリは、(i)1つ以上の照明源であって、照明源の少なくとも1つが、1つ以上の事前に定義された波長を有する光ビームを指向するような照明源、及び(ii)シュリーレン画像を取得するよう構成されている、1つ以上のシュリーレンカメラを含む。
【0009】
実施形態では、シュリーレンカメラは、(i)第1の視野角において、第1のシュリーレン画像を取得するよう構成されている第1のシュリーレンカメラ、及び(ii)第2の異なる視野角において、第2のシュリーレン画像を取得するよう構成されている第2のシュリーレンカメラを含む。別の実施形態では、第1のシュリーレン画像及び第2のシュリーレン画像は、二次元(2D)シュリーレン画像を含み、プロセッサは、2Dシュリーレン画像に基づいて、1つ以上の三次元(3D)シュリーレン画像を生成することによって灌注を可視化するよう構成されている。
【0010】
一部の実施形態では、プロセッサは、ビデオにおいて、3Dシュリーレン画像の時系列を表示するよう構成されている。他の実施形態では、流体容器は、光ビームに対して少なくとも部分的に透明であり、かつ目盛りを有しており、このプロセッサは、目盛りを使用して、第1の温度と第2の温度との間の温度勾配を算出するよう構成されている。
【0011】
本発明の実施形態によれば、カテーテル灌注を可視化するための方法であって、少なくとも部分的に透明であり、かつ第1の温度を有する第1の流体を有する流体容器中に、カテーテルの1つ以上の灌注穴から、少なくとも部分的に透明であり、かつ第2の異なる温度を有する第2の流体を注入することを含む、方法が更に提供される。第2の流体を注入するときに、第1の流体に生じる乱流のシュリーレン画像を取得し、このシュリーレン画像を使用して灌注が可視化される。
【0012】
本発明は、以下の「発明を実施するための形態」を図面と併せて考慮することで、より完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による、カテーテル灌注を可視化するためのシステムを概略的に例示しているブロック図である。
図2】本発明の実施形態による、カテーテル灌注を可視化するための方法を概略的に例示しているフローチャートである。
図3】本発明の別の実施形態による、カテーテル灌注によって引き起こされる流体乱流を可視化するための装置を概略的に例示している、絵で表した上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
概要
ラジオ波(RF)アブレーションなどのカテーテル操作手技では、灌注穴を有するアブレーションカテーテルを使用して、灌注の有効性を推定することが重要である。原理的に、水を有する浴内にカテーテルを挿入し、カテーテルの灌注穴から溶解色素を含む灌注液を注入することによって、灌注有効性を推定することが可能である。しかし、溶解色素の存在下では水浴が速やかに不透明になるので、この方法は、灌注有効性を連続的に推定することができない。
【0015】
本明細書の以下に記載されている本発明の実施形態は、少なくとも部分的に不透明な灌注液であって、カテーテルの灌注穴から検査浴に注入される灌注液を連続的に可視化するための改善された技法を提供する。可視化は、例えば、RFアブレーション手技の間に、カテーテルの灌注有効性を推定するために使用することができる。
【0016】
一部の実施形態では、カテーテル灌注を可視化するシステムは、(a)流体容器、(b)ポンプ、(c)シュリーレン撮像アセンブリ及び(d)プロセッサを備える。本システムは、通常、検査室で位置決めされて、流体容器内に置かれた流体(例えば、水)に注入される灌注液(例えば、生理食塩水溶液)の動きを可視化することによって、灌注有効性を改善する及び/又は検査を行うよう働くことに留意されたい。
【0017】
一部の実施形態では、流体容器は、光に対して透明であり、かつ通常、透明で、患者血液の温度(例えば、約36℃~38℃)に似た温度を有する水を含有するよう構成されている。流体容器は、容器に灌注液を注入するための1つ以上の灌注穴を有するカテーテルを水中に受け入れるよう更に構成されている。
【0018】
一部の実施形態では、ポンプは、少なくとも部分的に透明であり、かつ異なる温度(例えば、約50℃、又は約25℃~70℃の任意の他の好適な温度)を有する灌注液を、カテーテル灌注穴から水中に注入するよう構成されている。
【0019】
一部の実施形態では、シュリーレン撮像アセンブリは、任意の好適な光ビーム(例えば、可視光)を発光するよう構成されている照明源、及びカテーテル灌注穴から灌注液を水中に注入するときに、水に生じる乱流のシュリーレン画像を取得するよう構成されているシュリーレンカメラを備える。
【0020】
他の実施形態では、カテーテル灌注穴から注入された流体は、水又は任意の他の好適な流体を含んでもよく、流体は、容器内の水の温度とは異なる(例えば、少なくとも10℃)温度で注入される。水(及び水をベースとする流体)の屈折率は、温度上昇と共に低下することに留意されたい。本例では、約550nmの波長を有する緑色の光を使用して容器を照明すると、37℃の温度を有する水の屈折率は、約1.3323546であり、約50℃の温度の水の屈折率は、約1.3303442である。シュリーレンカメラは、シュリーレン画像を取得するシュリーレンカメラの視野全体に起こる屈折率の差異を検出するよう構成されている。
【0021】
一部の実施形態では、プロセッサは、シュリーレン画像を使用して、灌注を可視化して表示するよう構成されている。約50℃の温度の灌注液(水、又は任意の他の少なくとも部分的に透明な流体など)を約37℃の温度の水を有する容器に注入すると、温度の差異が、灌注穴からの距離と共に小さくなることに留意されたい。したがって、水と灌注液の屈折率の間の差異はまた、灌注穴からの距離と共に小さくなる。しかし、上述の屈折率の間の差異は、依然として、灌注穴から約3cm若しくは5cm、又は更に遠い距離でも依然として明白であり、上記の距離は、RFアブレーションを受ける典型的な患者心臓の空洞よりも大きい。
【0022】
一部の実施形態では、プロセッサは、複数のシュリーレン画像に基づいて、注入した灌注液の圧力及び温度などの事前に定義した条件下、検査したカテーテルの灌注有効性を推定するよう、灌注穴と基準点(例えば、RFアブレーションの間に灌注される組織に似る)との間の温度勾配を示すビデオ表示を生成するよう構成されている。
【0023】
本開示技法は、カテーテル灌注の特性評価及び予測される有効性を灌注カテーテルの使用者に提示することによって、灌注を含む医療手技の質及び計画を改善する。更に、本開示技法は、RFアブレーション又はインビトロでの灌注を必要とする任意の他の手順の間に使用する前に、あらかじめ定義した灌注条件に関して各カテーテルの灌注有効性を検査して文書化することによって、RFアブレーションなどの医療手技における患者の安全性を改善する。
【0024】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、カテーテル灌注を可視化するためのシステム11の概略な描写図である。一部の実施形態では、システム11は、製品開発の間にカテーテルの特性評価のため、及び/又は製造中にカテーテルを検査するため、及び/又は患者の心臓における組織のラジオ波(RF)アブレーションなどの医療手技を計画するために使用することができる。
【0025】
一部の実施形態では、システム11は、流体容器28、ポンプ12、シュリーレン撮像アセンブリ42及び制御コンソール30を備える。シュリーレン撮像アセンブリ42は、以下に記載されているシュリーレンカメラ44、及び任意の好適な波長又は波長の範囲を有する光ビームを指向するよう構成されている照明源43を備える。本例では、照明源43は、約550nmの波長を有する緑色の光ビームを指向するよう構成されているが、他の実施形態では、照明源43は、任意の他の好適な波長又は波長の範囲を有する1つ以上の光ビームを指向することができる。例えば、約400nm~750nmの波長を有する可視光、及び赤外(IR)光(例えば、ある波長、又は約750nm~0.8mmの波長の範囲)を有する可視光。
【0026】
本開示の文脈において及び特許請求の範囲において、任意の数値や数値の範囲について用いられる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、適当な寸法の許容誤差を示すものである。
【0027】
一部の実施形態では、通常、流体容器28は、ガラス、又はプラスチック、又は少なくとも照明源43によって指向される光ビームに対して透明な任意の他の材料から作製されている。流体容器28は、照明源43によって指向される光ビームに対して、及び任意の他の選択波長又は波長の範囲に対して、少なくとも部分的に透明な第1の液体を含むよう構成されている。本例では、第1の液体は、患者血液(例えば、約36℃~38℃)の温度に似た温度を有する、水26を含む。
【0028】
一部の実施形態では、流体容器28は、水26に受け入れるよう更に構成されており、カテーテル22は、容器28内に入れられた水に、流体33を注入するための1つ以上の灌注穴24を有する。本例では、流体33は、上記の光の波長のいずれかに対して少なくとも部分的に透明であり、通常、RFアブレーションに使用される灌注液、及び/又は他の種類の医療手技に使用される他のタイプの灌注液に似ている。例えば、流体33は、灌注液に使用される生理食塩水溶液の任意の好適なタイプを含むことができる。
【0029】
一部の実施形態では、ポンプ12は、灌注管14を介して、レザーバー18とカテーテル22との間に流体33を供給するよう構成されている。流体33は、カテーテル22の灌注を検査するのに好適な任意の温度、例えば約25℃~70℃を有することができ、この温度は、水26の温度とは十分に異なるものでなければならない。本例では、水26及び流体33は、それぞれ、約37℃及び50℃の温度を有することができる。
【0030】
一部の実施形態では、照明源43は、約550nmの波長を有する緑色の光を使用して容器28を照明すると、約37℃の温度における水の屈折率は、約1.3323546となる。同様に、約50℃の温度の水の屈折率は、約1.3303442となる。
【0031】
一部の実施形態では、シュリーレン撮像アセンブリ42のシュリーレンカメラ44は、灌注穴24から水26に流体33を注入するときに、水26に生じる乱流のシュリーレン画像を取得するよう構成されている。このシュリーレン画像は、本明細書に一層詳細に記載されている。本例では、シュリーレンカメラ44は、ソニー株式会社(東京、日本)によって製造されているアルファA7 IIIカメラ、又は任意の他の好適なタイプのカメラを含む。
【0032】
一部の実施形態では、シュリーレンカメラ44は、カメラの視野(field of view:FOV)全体の異なる位置間の前述の屈折率の差異を検出するよう構成されている。シュリーレンカメラ44は、照明アセンブリ43によって指向されて、流体容器28を通過して伝送される光ビームの検出強度に基づいて、シュリーレンカメラ44のFOVの範囲内で混合された流体(例えば、灌注穴24に近接する水26と流体33の混合物)の屈折率の分布を示すシグナルを発生するよう構成されている。屈折率の分布は、FOV全体の温度の分布を示すことに留意されたい。
【0033】
一部の実施形態では、水26(又は容器28内の任意の他の流体)と流体33(例えば、灌注穴24から注入される、生理食塩水、又は水、又は任意の他の好適な流体)との間の温度差異は、約10℃よりも通常、大きいが、1℃より大きな任意の他の温度差異とすることができる。
【0034】
一部の実施形態では、流体容器28は、目盛り(図示せず)を有していてもよく、この目盛りは、プロセッサ55によって使用され、灌注穴24からの距離の関数としての温度勾配を算出することができる。更に又は代替的に、プロセッサ55は、シュリーレンカメラ44の再定義された位置及び倍率に基づいて、温度プロファイル又は勾配を推定するよう構成されている。
【0035】
一部の実施形態では、制御コンソール30は、プロセッサ55、通常、シュリーレンカメラ44からのシグナルを受信するための、並びに以下に限定されないが、ポンプ12、シュリーレンカメラ44、及びシュリーレン撮像アセンブリ42の照明源43などのシステム11のいくつかの構成要素を制御する(電気ケーブル16を介して、制御シグナルをいくつかの構成要素に送信することによる)ための、好適なフロントエンド及びインタフェース回路を備える、汎用コンピュータを備える。
【0036】
一部の実施形態では、プロセッサ55は、本システムによって使用される機能を実施するためのソフトウェアにプログラム化されていてもよく、プロセッサは、コンソール30のメモリ56にソフトウェア用のデータを格納する。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でコンソール30にダウンロードされてもよく、又は光学的記憶媒体、磁気的記憶媒体、若しくは電子的記憶媒体などの、非一時的な有形媒体で提供されてもよい。代替的に、プロセッサ55の機能の一部又はすべてが、専用の又はプログラマブルデジタルハードウェア構成要素によって実行され得る。
【0037】
一部の実施形態では、制御コンソール30は、以下に記載されている情報及び画像を表示するためのディスプレイ36、及び入力デバイス40を備える。
【0038】
一部の実施形態では、プロセッサ55は、例えば、水26に流体33を注入するすると、灌注の間に取得される1つ以上のシュリーレン画像を示すシグナル(本例では、灌注の検査)を、電気ケーブル16を介してシュリーレンカメラ44から受信するよう構成されている。
【0039】
一部の実施形態では、プロセッサ55は、シュリーレンカメラ44から受信したシュリーレン画像を使用して、灌注を可視化するよう構成されている。一部の実施形態では、プロセッサ55は、シュリーレンカメラ44のFOVにおいて検出されるシグナルに基づいて、制御コンソール30のディスプレイ36上に、灌注の可視化となる画像66を表示するよう構成されている。本例では、画像66は、灌注穴24から、流体33を注入したときに、水26に生じる乱流60の画像を示す。カテーテル22が、照明源43によって指向された光ビームに対して不透明であること、したがって、画像66には黒く見えることに留意されたい。
【0040】
一部の実施形態では、プロセッサ55は、1つ以上の画像66を生成するため、任意の好適な周波数で、シュリーレン画像を取得するためのシュリーレンカメラ44を制御するよう構成されている。例えば、プロセッサ55は、灌注プロセスのビデオを生成するよう、シュリーレン画像の1秒あたり少なくとも30枚のフレームを取得するようシュリーレンカメラ44を制御するよう構成されている。
【0041】
一部の実施形態では、シュリーレン撮像アセンブリ42は、複数の照明源43を備えていてもよく、これらの各々は、1つ以上の事前に定義された波長を有する光ビームを指向するよう構成されており、1つ以上のシュリーレンカメラ44は、シュリーレン画像を取得するよう構成されている。例えば、シュリーレン撮像アセンブリ42は、(i)カテーテル22の向きに対して第1の視野角において、第1のシュリーレン画像を取得するよう構成されている第1のシュリーレンカメラ44、及び(ii)第1の視野角とは異なる第2の視野角において、第2のシュリーレン画像を取得するよう構成されている第2のシュリーレンカメラ(図示せず)を含む。
【0042】
一部の実施形態では、シュリーレン画像の少なくとも1つ、及び通常、すべてが、異なる視野角から取得した二次元(2D)シュリーレン画像を含む。実施形態では、プロセッサ55は、2つ以上の異なる視野角から取得した2Dシュリーレン画像に基づき、1つ以上の三次元(3D)シュリーレン画像を生成することによって、カテーテル22の灌注を可視化するよう構成されている。
【0043】
一部の実施形態では、プロセッサ55は、ビデオに示されている3Dシュリーレン画像の時系列を表示するよう構成されている(例えば、上記のとおり、シュリーレン画像の1秒あたりの30枚のフレームを使用して生成したビデオクリップ)。
【0044】
システム11のこの特定の構成は、本発明の実施形態によって対処される特定の問題を例示し、このような可視化システム及び/又は検査システムの性能の向上においてこれらの実施形態の適用性を実証するために、例として示されている。しかし、本発明の実施形態は、この特定の種類の例となるシステムに決して限定されることはなく、本明細書に記載されている原理は、他の種類の可視化システム及び/又は検査システムに同様に適用することができる。
【0045】
シュリーレン画像を使用するカテーテル灌注の可視化
図2は、本発明の実施形態による、シュリーレン画像を使用してカテーテル灌注を可視化するための方法を概略的に例示しているフローチャートである。
【0046】
本方法は、灌注液注入工程100で開始し、カテーテル22の灌注穴24から、流体33を流体容器28に入れられている水26に注入する。実施形態では、水26と流体33の温度間の差異は、少なくとも約10℃である。例えば、水26の温度は、約37℃であり、流体33の温度は、灌注穴24から注入されると、約50℃である。
【0047】
シュリーレン画像取得工程102において、照明源43は、注入された灌注液である流体33、及びシュリーレンカメラ44の方向に光ビームを指向させ、このカメラは、光ビームに通常、向いており、流体33を注入するときに、水26に生じる乱流の1つ以上のシュリーレン画像を取得する。一部の実施形態では、プロセッサ55は、注入推進力なしに、水26中に流体33が広がるのを検出するよう、流体33の注入を終了した後に、照明源43及びシュリーレンカメラ44を制御して、事前に定義した時間間隔で照明及び画像取得を継続するよう構成されている。
【0048】
本方法を終了する灌注可視化工程104において、プロセッサ55は、シュリーレンカメラ44によって取得したシュリーレン画像を使用して、灌注を可視化するための画像66を生成する。図1の上に記載されているとおり、灌注の可視化は、(i)灌注プロセスの少なくとも一部を可視化するための、1つ以上のシュリーレン画像及び/若しくはビデオクリップ、並びに/又は(ii)2つ以上の異なる視野角から2つ以上のカメラによって取得した1つ以上の2Dシュリーレン画像に基づいて生成した1つ以上の3Dシュリーレン画像を含むことができる。
【0049】
図3は、本発明の別の実施形態による、灌注液33の水26への注入によって引き起こされる流体乱流を可視化するための装置500を概略的に例示している、絵で表した上面図である。
【0050】
一部の実施形態では、装置500は、放熱板503に熱的に連結されている発光ダイオード(LED)502などの、明るい単色光源を備える。一部の実施形態では、LED502は、ピンホール507、及びピンホール507から焦点距離fに位置決めされたレンズ506(1つ以上のレンズのレンズアセンブリを含む)と一緒になって、装置500の光路をとおり入射されるコリメート光の平面波源を形成する。
【0051】
一部の実施形態では、波は、上の図1に示されているとおり、本例では、流体33の水26への注入によって引き起こされる流体乱流である入射乱流媒体504に伝達される。乱流媒体504を通過する波は、乱流の情報を含む平面波5621を発生する。
【0052】
一部の実施形態では、装置500は、ナイフ縁部5201上に平面波5621のコリメート光を焦点するよう構成されている1つ以上のレンズからなるアセンブリを備えるレンズ5061を備える。
【0053】
一部の実施形態では、装置500は、ナイフ縁部5201を通過する焦点化ビームを取得して2Dシュリーレン画像を生成するよう構成されている好適な光学特性を有するビデオカメラ5281を更に備える。
【0054】
一部の実施形態では、装置500の構成要素は、システム設計に応じて、導線(図示せず)及び/又は1つ以上の無線通信デバイス(wireless communication device:WCD)554を使用して制御されるプロセッサ552である。
【0055】
このような実施形態では、装置500は、灌注穴24から灌注液33を注入するときに、水26に生じる乱流の個々の時間事象に相当する2Dシュリーレン画像の時系列を生成するよう構成されている。
【0056】
他の実施形態では、装置500は、入射コリメートビームを分割する(ビームスプリッタを使用)、又は任意の他の好適な技法を使用することによって生成することができる追加の光路、及びとりわけ追加の焦点レンズ(レンズ5061に類似)、ナイフ縁部(ナイフ縁部5201に類似)及びビデオカメラ(ビデオカメラ5281など)を備える好適な光路を備えてもよい。
【0057】
一部の実施形態では、プロセッサ552は、2つの2Dシュリーレン画像に基づいて、個々の時間事象に対応する1組の三次元(3D)シュリーレン画像、及び更には水26に灌注液33を注入することによって引き起こされる乱流の3Dビデオムービーを生成するよう構成されている。
【0058】
装置500の構成は、概念を明確化するために単純化されており、例として提示されている。他の実施形態では、システム11(上の図1に示されている)のプロセッサ55は、プロセッサ552に追加して、又はこの代わりに使用されてもよく、光路の更なる構成要素が追加されてもよい。
【0059】
本明細書に記載されている実施形態は、灌注液の可視化に主に対処するものであるが、本明細書に記載されている方法及びシステムはまた、流体素子の性能の任意の検討及び/又は可視化及び/又は測定などの、他の用途に使用することができる。例えば、1つ以上の異なるパラメータを有する2つ以上の流体からなる任意の動的混合物。
【0060】
したがって、上述の実施形態は、例として引用したものであり、本発明は、上記の明細書に具体的に示し、かつ説明したものに限定されないことが理解されよう。むしろ、本発明の範囲は、上記の明細書に記載されるさまざまな特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の記載を一読すると当業者が着想すると思われるそれらの変形及び修正であって、先行技術に開示されていない変形及び修正を含む。参照により本特許出願に援用される文献は、これらの援用文献において、いずれかの用語が本明細書において明示的又は暗示的になされた定義と矛盾して定義されている場合には、本明細書における定義のみを考慮するものとする点を除き、本出願の一部とみなすものとする。
【0061】
〔実施の態様〕
(1) カテーテル灌注を可視化するシステムであって、
(i)少なくとも部分的に透明であり、かつ第1の温度を有する第1の流体を含むよう、及び(ii)1つ以上の灌注穴を有するカテーテルを前記第1の流体中に受け入れるよう構成されている、流体容器と、
前記1つ以上の灌注穴から、第2の流体を注入するよう構成されているポンプであって、前記第2の流体が少なくとも部分的に透明であり、かつ第2の異なる温度を有する、前記ポンプと、
前記第2の流体を注入するときに、前記第1の流体に生じる乱流のシュリーレン画像を取得するよう構成されている、シュリーレン撮像アセンブリと、
前記シュリーレン画像を使用して、前記灌注を可視化するよう構成されている、プロセッサと
を含む、前記システム。
(2) 前記第1の流体が水を含み、前記第2の流体が、水又は生理食塩水溶液を含む、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記第1の温度及び前記第2の温度が、少なくとも摂氏1度の差異を有する、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記シュリーレン撮像アセンブリが、(i)1つ以上の照明源であって、前記照明源の少なくとも1つが、1つ以上の事前に定義された波長を有する光ビームを指向するよう構成されている、前記照明源と、(ii)前記シュリーレン画像を取得するよう構成されている、1つ以上のシュリーレンカメラとを備える、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記シュリーレンカメラが、(i)第1の視野角において、第1のシュリーレン画像を取得するよう構成されている第1のシュリーレンカメラと、(ii)第2の異なる視野角において、第2のシュリーレン画像を取得するよう構成されている第2のシュリーレンカメラとを備える、実施態様4に記載のシステム。
【0062】
(6) 前記第1のシュリーレン画像及び前記第2のシュリーレン画像が、二次元(2D)シュリーレン画像を含み、前記プロセッサが、前記2Dシュリーレン画像に基づいて、1つ以上の三次元(3D)シュリーレン画像を生成することによって、前記灌注を可視化するよう構成されている、実施態様5に記載のシステム。
(7) 前記プロセッサが、ビデオにおいて、前記3Dシュリーレン画像の時系列を表示するよう構成されている、実施態様6に記載のシステム。
(8) 前記流体容器が、前記光ビームに対して少なくとも部分的に透明であり、かつ目盛りを有しており、前記プロセッサが、前記目盛りを使用して、前記第1の温度と前記第2の温度との間の温度勾配を算出するよう構成されている、実施態様1に記載のシステム。
(9) カテーテル灌注を可視化する方法であって、
少なくとも部分的に透明であり、かつ第1の温度を有する第1の流体を有する流体容器中に、カテーテルの1つ以上の灌注穴から、少なくとも部分的に透明であり、かつ第2の異なる温度を有する第2の流体を注入することと、
前記第2の流体を注入するときに、前記第1の流体に生じる乱流のシュリーレン画像を取得することと、
前記シュリーレン画像を使用して、前記灌注を可視化することと、
を含む、前記方法。
(10) 前記第1の流体が水を含み、前記第2の流体が、水又は生理食塩水溶液を含む、実施態様9に記載の方法。
【0063】
(11) 前記第1の温度及び前記第2の温度が、少なくとも摂氏1度の差異を有する、実施態様9に記載の方法。
(12) シュリーレン画像を取得することが、1つ以上の事前に定義した波長を有する光ビームを指向させることと、前記第2の流体を注入するときに、前記第1の流体に生じる前記乱流の前記シュリーレン画像を取得することとを含む、実施態様9に記載の方法。
(13) シュリーレン画像を取得することが、第1の視野角において、第1のシュリーレン画像を取得することと、第2の異なる視野角において、第2のシュリーレン画像を取得することとを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記第1のシュリーレン画像及び前記第2のシュリーレン画像が、二次元(2D)シュリーレン画像を含み、前記灌注を可視化することが、前記2Dシュリーレン画像に基づいて、1つ以上の三次元(3D)シュリーレン画像を生成することを含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記灌注を可視化することが、ビデオにおいて、前記3Dシュリーレン画像の時系列を表示することを含む、実施態様13に記載の方法。
【0064】
(16) 前記流体容器が、前記シュリーレン画像を取得するために使用される光ビームに対して少なくとも部分的に透明であり、かつ目盛りを有し、
前記目盛りを使用して、前記第1の温度と前記第2の温度との間の温度勾配を算出することを含む、実施態様9に記載の方法。
図1
図2
図3
【外国語明細書】