(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101554
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】喫煙材を加熱するための装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20220629BHJP
A24F 40/50 20200101ALI20220629BHJP
H05B 6/10 20060101ALI20220629BHJP
H05B 6/44 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/50
H05B6/10 371
H05B6/44
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022048457
(22)【出願日】2022-03-24
(62)【分割の表示】P 2020512487の分割
【原出願日】2018-09-17
(31)【優先権主張番号】62/559,057
(32)【優先日】2017-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/609,799
(32)【優先日】2017-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ソーセン, ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】ウッドマン, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シャノン, スティーヴン
【テーマコード(参考)】
3K059
4B162
【Fターム(参考)】
3K059AA08
3K059CD77
3K059CD79
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB14
4B162AB22
4B162AB23
4B162AC01
4B162AC10
4B162AC22
4B162AC34
4B162AD06
4B162AD23
(57)【要約】 (修正有)
【課題】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置が開示される。
【解決手段】装置100は、断熱体102と、磁場発生器106とを具備し、断熱体は、喫煙材を含む物品の少なくとも一部を受容する加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定する内壁であって、加熱ゾーンを加熱するために変動磁場の侵入により加熱可能である加熱材を含む内壁と、外壁と、内壁と外壁とによって境界が定められた断熱領域であって、該断熱領域の外部よりも低圧となるように排気される断熱領域とを備え、磁場発生器は、使用時に内壁を加熱するために内壁に侵入する変動磁場を発生させるためのものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう前記喫煙材を加熱するための装置であって、
断熱体であって、
喫煙材を含む物品の少なくとも一部を受容する加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定する内壁であり、前記加熱ゾーンを加熱するために変動磁場の侵入により加熱可能である加熱材を含む内壁、
外壁、及び、
前記内壁と前記外壁とによって境界が定められた断熱領域であり、該断熱領域の外部よりも低圧に排気される断熱領域
を備える断熱体と、
使用時に前記内壁を加熱するために前記内壁に侵入する変動磁場を発生させる磁場発生器と
を具備する、装置。
【請求項2】
前記外壁が、非透磁性及び/又は非導電性である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外壁がガラス又はセラミックを含む、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記磁場発生器が、前記外壁の少なくとも一部を囲むコイルを備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記コイルが螺旋状のコイルである、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コイルがリッツ線を含む、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記コイルが、前記内壁の第1の区域を加熱するための第1の部分と、前記内壁の第2の区域を加熱するための第2の部分とを備え、前記第1の部分と前記第2の部分とが独立して制御可能である、請求項4~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記外壁の少なくとも一部を囲む第2のコイルを備え、
前記コイル及び前記第2のコイルが独立して制御可能である、請求項4~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記断熱領域を封止するために前記内壁と前記外壁との間の接合部に配置されたろう付けリングを備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記外壁が、前記内壁の長さに沿って部分的にのみ延びている、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記内壁が円筒管である、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
磁場発生器を囲む磁気シールドを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記加熱材が、導電性材料、磁性材料及び導電性の磁性材料からなる群から選択された一つ以上の材料を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記加熱材が、金属又は金属合金を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記加熱材が、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅及び青銅からなる群から選択された一つ以上の材料を含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記内壁の第1の区域が第1の材料から作られ、前記内壁の第2の区域が、前記第1の材料とは異なる第2の材料から作られている、請求項1~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
非液体の喫煙材を加熱して、前記喫煙材を燃焼させることなく前記喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるためのものである、請求項1~16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記内壁が、前記内壁上の第1の位置と前記内壁上の第2の位置とで、前記外壁に接続されており、前記内壁が、前記第1の位置と前記第2の位置との間に少なくとも一つの変形可能な構造部を備え、前記少なくとも一つの変形可能な構造部が、前記加熱材の加熱中に前記第1の位置と前記第2の位置との間にある前記内壁の区域の熱膨張に対応するよう変形するためのものである、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記加熱材が前記内壁の金属化層を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記内壁が、非透磁性及び/又は非導電性の材料の支持体を備え、前記金属化層が前記支持体と前記断熱領域との間にある、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記内壁が、非透磁性及び/又は非導電性の材料の支持体を備え、前記支持体が前記金属化層と前記断熱領域との間にある、請求項19に記載の装置。
【請求項22】
喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう前記喫煙材を加熱するための装置であって、
喫煙材を含む物品の少なくとも一部を受容する加熱ゾーンと、
前記加熱ゾーンを加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能である加熱材を含む加熱要素と、
断熱体であって、
外壁、
前記加熱要素と前記外壁との間の内壁、及び、
前記内壁と前記外壁とによって境界が定められた断熱領域を備え、該断熱領域が該断熱領域の外部よりも低圧に排気され、前記内壁及び前記外壁のうちの一方又はそれぞれが非透磁性及び/又は非導電性である、断熱体と、
使用時に前記加熱要素に侵入する変動磁場を発生させる磁場発生器と
を具備する、装置。
【請求項23】
前記内壁及び前記外壁のうちの一方又はそれぞれがガラスから形成されている、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記加熱要素が、一つ以上の変形可能なアタッチメントにより前記内壁に接続されている、請求項22又は23に記載の装置。
【請求項25】
請求項1~24のいずれか一項に記載の装置と共に使用される喫煙材。
【請求項26】
喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう前記喫煙材を加熱するためのシステムであって、
請求項1~24のいずれか一項に記載の装置と、
前記装置の前記加熱ゾーンに少なくとも部分的に配置するための、前記喫煙材を含む物品と
を備える、システム。
【請求項27】
喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう前記喫煙材を加熱するための方法であって、
請求項1~24のいずれか一項に記載の装置を用意するステップと、
前記装置の前記加熱ゾーンに、前記喫煙材を含む物品の少なくとも一部を配置するステップと、
前記加熱ゾーン及び前記喫煙材を加熱するために変動磁場を前記装置の前記加熱材に侵入させるステップと
を含む、方法。
【請求項28】
喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう前記喫煙材を加熱するための装置に用いられる断熱体であって、
変動磁場の侵入によって加熱可能である加熱材を含む内壁と、
非透磁性及び/又は非導電性である外壁と、
前記内壁と前記外壁とによって境界が定められた断熱領域であって、該断熱領域の外部よりも低圧に排気される断熱領域と
を備える、断熱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるべく喫煙材を加熱するための装置、そのような装置と喫煙材を含む物品とを備えるシステム、及び喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるべく喫煙材を加熱するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻タバコ、葉巻タバコ及び同様のもの等の喫煙品は、使用時、タバコを燃焼させてタバコ煙を発生させる。燃焼を行うことなく化合物を放出する製品を創出することによって、これらの物品の代替物を提供する試みがなされてきた。このような製品の例としては、材料を燃焼するのではなく加熱することで化合物を放出する、いわゆる「非燃焼・加熱式(heat-not-burn)」製品又はタバコ加熱デバイス若しくはタバコ加熱製品がある。その材料は、例えば、タバコ、又は、ニコチンを含有していてもよいし含有していなくてもよい他の非タバコ製品とすることができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様は、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置を提供するものであり、その装置は、断熱体(thermal insulator)と、磁場発生器とを具備し、断熱体は、喫煙材を含む物品の少なくとも一部を受容する加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定する内壁であって、加熱ゾーンを加熱するために変動磁場の侵入により加熱可能である加熱材を含む内壁と、外壁と、内壁と外壁とによって境界が定められた断熱領域であって、該断熱領域の外部よりも低圧となるように排気される断熱領域とを備え、磁場発生器は、使用時に前記内壁を加熱するために内壁に侵入する変動磁場を発生させるためのものである。
【0004】
例示的な実施形態において、外壁は、磁気的に不透過(非透磁性)及び/又は非導電性である。
【0005】
例示的な実施形態において、外壁はガラス又はセラミックを含む。
【0006】
例示的な実施形態において、磁場発生器は、外壁の少なくとも一部を囲むコイルを備える。このコイルは螺旋状のコイルであってもよい。また、コイルはリッツ線を含んでもよい。
【0007】
例示的な実施形態において、コイルは、内壁の第1の区域を加熱するための第1の部分と、内壁の第2の区域を加熱するための第2の部分とを備え、第1の部分と第2の部分とは独立して制御可能である。
【0008】
例示的な実施形態において、本装置は、外壁の少なくとも一部を囲む第2のコイルを備え、コイル及び第2のコイルは独立して制御可能である。
【0009】
例示的な実施形態において、本装置は、断熱領域を封止するために内壁と外壁との間の接合部に配置されたろう付けリングを備える。
【0010】
例示的な実施形態において、外壁は、内壁の長さに沿って部分的にのみ延びる。
【0011】
例示的な実施形態において、内壁は円筒管である。
【0012】
例示的な実施形態において、本装置は、磁場発生器を囲む磁気シールドを備える。
【0013】
例示的な実施形態において、加熱材は、導電性材料、磁性材料及び導電性の磁性材料からなる群から選択された一つ以上の材料を含む。
【0014】
例示的な実施形態において、加熱材は、金属又は金属合金を含む。
【0015】
例示的な実施形態において、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅及び青銅からなる群から選択された一つ以上の材料を含む。
【0016】
例示的な実施形態において、内壁の第1の区域は第1の材料から作られ、内壁の第2の区域は、第1の材料とは異なる第2の材料から作られる。
【0017】
例示的な実施形態において、本装置は、非液体の喫煙材を加熱して、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるためのものである。
【0018】
例示的な実施形態において、本装置は、喫煙材を加熱して、喫煙材を燃焼させることなく喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるためのものである。
【0019】
例示的な実施形態において、内壁は、内壁上の第1の位置と内壁上の第2の位置とで外壁に接続され、内壁は、第1の位置と第2の位置との間に少なくとも一つの変形可能な構造部を備え、少なくとも一つの変形可能な構造部は、加熱材の加熱中に第1の位置と第2の位置との間にある内壁の区域の熱膨張に対応するよう変形するためのものである。熱膨張は、内壁のその区域の軸線方向の熱膨張であるか、そのような軸線方向の熱膨張を含むものであり得る。内壁は、内壁の軸線方向において互いに離隔された二つのそのような変形可能な構造部を備えるものであってもよい。例示的な実施形態において、内壁は円筒管であり、熱膨張は、円筒管の或る区域の熱膨張であるか、そのような軸線方向の熱膨張を含むものである。
【0020】
例示的な実施形態において、加熱材は内壁の金属化層を含む。
【0021】
例示的な実施形態において、内壁は、非透磁性及び/又は非導電性の材料の支持体を備え、金属化層は支持体と断熱領域との間にある。
【0022】
例示的な実施形態において、内壁は、非透磁性及び/又は非導電性の材料の支持体を備え、支持体は金属化層と断熱領域との間にある。
【0023】
本発明の第2の態様は、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置を提供するものであり、この装置は、
喫煙材を含む物品の少なくとも一部を受容する加熱ゾーンと、
加熱ゾーンを加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能である加熱材を含む加熱要素と、
断熱体であって、
外壁、
加熱要素と外壁との間の内壁、及び、
内壁と外壁とによって境界が定められた断熱領域を備え、該断熱領域が該断熱領域の外部よりも低圧となるよう排気され、内壁及び外壁のうちの一方又はそれぞれが非透磁性及び/又は非導電性である、断熱体と、
使用時に加熱要素に侵入する変動磁場を発生させる磁場発生器と
を具備している。
【0024】
第2の態様の装置の例例示的な実施形態は、本発明の第1の態様の装置の例示的な実施形態に存するような上述した特徴のいずれかを有する。
【0025】
例示的な実施形態において、内壁及び外壁のうちの一方又はそれぞれはガラスから形成される。
【0026】
例示的な実施形態において、加熱要素は、一つ以上の変形可能なアタッチメントにより内壁に接続される。
【0027】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様又は第2の態様の装置と共に使用される喫煙材を提供する。
【0028】
本発明の第3の態様の喫煙材は非液体の喫煙材である。
【0029】
本発明の第4の態様は、喫煙材を含む物品を提供するものであり、その物品は、本発明の第1の態様又は第2の態様の装置と共に使用されるものである。
【0030】
本発明の第5の態様は、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するためのシステムを提供するものであり、そのシステムは、
本発明の第1の態様又は第2の態様による装置と、
前記装置の加熱ゾーンに少なくとも部分的に配置するための、喫煙材を含む物品と
を備える。
【0031】
本発明の第6の態様は、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための方法を提供するもので、その方法は、
本発明の第1の態様又は第2の態様による装置を用意するステップと、
前記装置の加熱ゾーンに、喫煙材を含む物品の少なくとも一部分を配置するステップと、
加熱ゾーン及び喫煙材を加熱するために変動磁場を前記装置の加熱材に侵入させるステップと
を含む。
【0032】
本発明の第7の態様は、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置に用いられる断熱体を提供するものであって、その断熱体は、
変動磁場の侵入によって加熱可能である加熱材を含む内壁と、
非透磁性及び/又は非導電性である外壁と、
内壁と外壁とによって境界が定められた断熱領域であって、該断熱領域の外部よりも低圧となるよう排気される断熱領域と
を備える。
【0033】
第7の態様の断熱体の例示的な実施形態は、本発明の第1の態様の装置における断熱体の例示的な実施形態に存するような上述した特徴のいずれかを有する。
【0034】
例示的な実施形態において、断熱領域は内壁を囲み、外壁は断熱領域を囲む。
【0035】
例示的な実施形態において、断熱体は、本発明の第1の態様又は第2の態様の装置に使用するためのものである。
【0036】
次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための例示的な装置の概略断面図である。
【
図2】
図1の装置における断熱体の概略断面図である。
【
図4】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置において用いられる他の断熱体の例を示す概略断面図である。
【
図6A】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置において用いられる断熱体の外壁と内壁との間の一方の接合部の詳細を示している。
【
図6B】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置において用いられる断熱体の外壁と内壁との間の他方の接合部の詳細を示している。
【
図7】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置と共に用いられる、喫煙材を含む物品の例を示している。
【
図8】喫煙材を含む物品と、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置とを備えるシステムの例を示す概略断面図である。
【
図9】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための方法の例を示す流れ図である。
【
図10】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置において用いられる別の断熱体の例を示す概略断面図である。
【
図11】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置において用いられる別の断熱体の例を示す概略断面図である。
【
図12】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置において用いられる別の断熱体の例を示す概略断面図である。
【
図13】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置において用いられる断熱体と加熱要素の例を示す概略断面図である。
【
図14】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置において用いられる別の断熱体の例を示す概略断面図である。
【
図15】喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための装置において用いられる別の断熱体の例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本書で使用するとき、用語「喫煙材」は、加熱時に、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態で揮発成分を提供する材料を含む。「喫煙材」は非タバコ含有材料であってもよいし、タバコ含有材料であってもよい。「喫煙材」は、例えば、タバコ自体、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、タバコ抽出物、均質化タバコ、又はタバコ代替品のうちの一つ以上を含んでもよい。喫煙材は、挽きタバコ、刻みラグタバコ、押出タバコ、再生タバコ、再生喫煙材、液体、ゲル、ゲル化シート、粉末、又は塊、或いは同様のものの形態とすることが可能である。「喫煙材」はまた他の非タバコ製品を含んでもよく、この非タバコ製品は、製品に依存して、ニコチンを含有してもよいし、含有しなくてもよい。「喫煙材」は、グリセロール又はプロピレングリコール等の1種又は複数種の保湿剤を含んでもよい。
【0039】
本書で使用するとき、用語「ヒータ材」又は「加熱材」は、変動磁場の侵入によって加熱可能である材料を指す。
【0040】
本書で使用される用語の「香料」及び「香味料」は、現地の規則で許可される場合に、所望の風味又は香りを作り出すために成人消費者向けの製品に使用されてもよい材料を指す。これらには、抽出物(例えば、甘草、アジサイ、ホオノキの葉、カモミール、フェヌグリーク、クローブ、メントール、和種ハッカ、アニシード、シナモン、ハーブ、ウィンターグリーン、チェリー、ベリー、桃、リンゴ、ドランビュイ(商標)、バーボン、スコッチ、ウィスキー、オランダハッカ、セイヨウハッカ、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ナツメグ、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツエッセンス、ローズ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウィキョウ、ピーマン、ジンジャー、アニス、コリアンダー、コーヒー、又はハッカ属の任意の種からのハッカ油)、香味強化剤、苦味受容体部位遮断剤、感覚受容体部位活性剤又は刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、チクロ、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、及びチャコール、クロロフィル、ミネラル、植物性物質又は息清涼剤等の他の添加物が含まれ得る。これらは、模造品、合成若しくは天然の成分、又はこれらの混合品でもよい。これらは、天然香料又はネイチャーアイデンティカル(nature-identical)香料を含むものであってもよい。これらは、任意の適切な形態、例えば油、液体、又は粉末でもよい。
【0041】
誘導加熱は、導電物体が、物体に変動磁場を侵入させることによって加熱されるプロセスである。このプロセスは、ファラデーの誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒータは、電磁石と、交番電流等の変動電流を電磁石に流すためのデバイスとを備えることができる。電磁石と、加熱されるべき物体とは、電磁石によって生成された合成変動磁場が物体に侵入するよう、適切に相対的に位置付けられると、一つ以上の渦電流が物体の内部で発生する。物体は電流の流れに対する抵抗を有する。したがって、このような渦電流が物体内で発生すると、渦電流が物体の電気抵抗に抗して流れ、それによって物体は加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーム加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱することができる物体はサセプタとして知られている。
【0042】
磁気ヒステリシス加熱は、磁性材料で作製された物体に変動磁場が侵入することによって物体を加熱するプロセスである。磁性材料は、原子スケールの磁石、すなわち磁気双極子を多く含むと考えることができる。磁場がこのような材料に侵入すると、磁気双極子は磁場に沿って整列する。したがって、例えば、電磁石によって生成された時の、交番磁場等の変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の配向は、変動する印加磁場に応じて変化する。このような磁気双極子の再配向によって、熱が磁性材料内に発生する。
【0043】
物体が導電性及び磁性の両方を有するときには、物体に変動磁場を侵入させると、ジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱の両方を物体内に生じさせることができる。さらに、磁性材料の使用は磁場を強めることができ、これがジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱を強めることができる。
【0044】
上述のプロセスの各々において、熱は、外部熱源によって熱伝導によって発生するのではなく、物体自体の内部で発生するため、特に、好適な物体材料及び幾何形状、並びに好適な変動磁場の大きさ及び物体に対する配向の選択を通じて、物体内における急速な温度上昇、及びより均一な熱分布を達成することができる。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱は、変動磁場の源と物体との間に物理的な接続部を設ける必要がないため、設計の自由度が広がり、加熱プロファイルをよりよく制御でき、コストをより低くすることができる。
【0045】
図1は、本発明の実施形態による装置の概略断面図を示している。
図2及び
図3は、装置の断熱体の概略断面図を示す。明確にするために、断熱体102は、
図1では簡略化された形態で示してある。
図1に示す装置100は、喫煙材を加熱して、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるためのものである。装置100の断熱体102は、加熱されるべき一塊の喫煙材132を含む物品104の少なくとも一部を受け入れるためのものである。断熱体102は、
図2及び
図3により詳細に示されている。物品104は、装置100の開口部144に挿入され得る。装置100は、使用時に変動磁場を発生させるための磁場発生器106と、装置100の各構成要素を収容するためのハウジング108とを含む。
【0046】
本実施形態では、磁場発生器106は、電源114と、二部型(two-part)のコイル116a、116bと、交流等の変動電流をコイル116a、116bに流すためのデバイス118とを備える。このようないくつかの実施形態では、磁場発生器106はまた、コントローラ120と、コントローラ120を使用者が操作するためのユーザインタフェース122とを含む。
【0047】
電源114は充電式のバッテリーであってもよい。他の実施形態では、電源114は、非充電式バッテリー、コンデンサ、バッテリーとコンデンサのハイブリッド、又は幹線電源への接続のような充電式電池以外のものであってもよい。
【0048】
コイル116a、116bは、単一のコイルの形態を含むいかなる適切な形態をも取り得る。本実施形態では、二部型コイル116a、116bは、銅等の導電性材料で作られた螺旋状のコイルである。いくつかの実施形態では、コイル116a、116bは、フラットコイルであってもよい。すなわち、コイルは、疑似的な二次元渦巻形状であり得る。いくつかの実施形態では、コイルはリッツ線を含んだものでもよい。
【0049】
装置100は、装置100の内部を装置100の外部と流体的に接続する空気入口を含み得る。使用時、使用者は、喫煙材132の揮発成分を物品104を通して引き込むことにより、喫煙材132の揮発成分を吸入することができる。揮発成分が物品から取り除かれると、空気は空気入口を経て装置100内に引き込まれ得る。
【0050】
断熱体102は、
図2及び
図3により詳細に示され、内壁110及び外壁112を含む。内壁110は、変動磁場の侵入により加熱可能な加熱材を含むか、又はその加熱材から作られた加熱要素である。一実施形態では、内壁110は鋼で形成されてもよい。しかしながら、コバール(登録商標)のようなニッケル-コバルト鉄合金も使用され得る。内壁110によって囲まれた領域は、加熱ゾーン又は加熱チャンバと見なすことができる。端部閉鎖部と共に、内壁110は加熱ゾーンを画定する。他の実施形態では、加熱ゾーンは、内壁110のみによって画定されてもよい。使用時、加熱されるべき物品104は、内壁110内の加熱ゾーン内に受容される。
図2及び
図3において、断熱体102は、円形の断面形状を有する実質的に円筒形である。他の実施形態では、断熱体102は、異なる断面形状を有することもできる。
【0051】
一実施形態では、内壁110は、物品の少なくとも一部を受け入れるための空洞部を含む。本実施形態では、内壁110によって囲まれた加熱ゾーンは細長い。また、内壁110は円筒管である。加熱ゾーンは、物品104全体を収容するようにサイズ及び形状が定められてもよいが、物品104の一部のみを受け入れるように寸法決めされてもよい。
【0052】
断熱体102は、内壁110と外壁112とによって境界が定められると共に、それらの間に配置された断熱領域124を含む。本実施形態では、
図3から最もよく理解できるように、断熱領域124は内壁110を囲み、外壁112が断熱領域124を囲む。断熱領域124は、好ましくは、断熱領域の外部よりも低い圧力へと排気される。低圧の断熱領域124を設けることにより、内壁110及び加熱ゾーンを外壁112及びハウジング108から効果的に熱的に絶縁し、それにより、内壁110及び加熱ゾーンからの熱伝達を抑制する。
【0053】
断熱体102の断熱領域124は、例えばポリマー、エアロゲル又は他の適切な材料を含む連続気泡多孔質材料を含んでもよい。断熱領域124内の圧力は、10-1~10-7トルの範囲とすることができる。いくつかの実施形態では、断熱領域124内の圧力は、真空であるとみなすことができる。断熱体102の内壁110及び外壁112は、断熱領域124と、内壁110及び外壁112の外部の領域との間の圧力差によりそれらに及ぼされる力に耐えるのに十分なほど強く、それにより、断熱体102が内側に圧潰することを防止する。ガス吸収材料が、断熱領域124における比較的低圧の生成を維持又は支援するために断熱領域124に使用されてもよい。
【0054】
本実施形態では、内壁110が加熱要素と断熱体102の壁の両方として機能するため、別個の加熱要素及び別個の断熱のための内壁を含める必要がないので、装置100の全体のサイズ及び重量を減らすことができる。内壁110は、誘導加熱及び/又は磁気ヒステリシス加熱によって加熱可能であるという事実により、加熱要素と断熱体102の壁の両方として機能することもできる。誘導加熱と磁気ヒステリシス加熱では、変動磁場の発生源と加熱要素との間に物理的な接続を設ける必要がなく、これにより、電源と加熱要素との間に線やその他の物理的な接続を設ける必要がなくなる。
【0055】
断熱領域124は、伝導及び/又は放射を介して、又は任意の他の既知の熱伝達現象によって、内壁110から離れる熱伝達を低減するように機能する。
【0056】
図3は、
図2のA-A線に沿っての断面を示している。
図2及び
図3は一定の縮尺で描かれていない。
図2では、外壁112は、内壁110の長さに沿って部分的にのみ延びるように示されている。すなわち、外壁112は、内壁110の一部のみに沿って断熱がもたらされ得るように、内壁110の一部のみに沿って延びている。内壁110の長さに沿った途中の部分のみに延びる外壁112を設けることは、装置100の全体のサイズが低減され得ることを意味する。或いは、外壁112は、内壁110の全長に沿って延びてもよい。外壁112及び内壁110は互いに同軸であってもよい。
【0057】
図1に示すように、コイル116a、116bは、断熱体102の少なくとも一部を囲んでもよい。コイル116a、116bは、断熱体102の外壁112の少なくとも一部を囲んでもよい。一実施形態では、コイル116a、116b及び外壁112は、コイル116a、116bを外壁112内に少なくとも部分的に埋め込むこと等により、単一の一体要素として形成することができるが、他の実施形態では、コイル116a、116b及び外壁112は別個の要素として設けられてもよい。
【0058】
一実施形態では、磁気シールド140が、コイル116a、116bの少なくとも一部の周りに設けられる。磁気シールド140は、磁場と、加熱要素以外のもの、すなわち本実施形態では内壁110との間の相互作用を低減又は回避することを目的とする。磁気シールドは、フェライトのような磁場を封じ込めるのに適した任意の材料から作ることができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、外壁112は、磁気的に不透過(非透磁性)で非導電性の材料から作られ、変動磁場に曝されたときに、外壁112が誘導加熱及び/又は磁気ヒステリシス加熱によって加熱されないようになっている。例えば、外壁112は、ホウケイ酸塩等のガラス、又はセラミック材料から形成され得る。非透磁性の材料の外壁112を設けることは、交流等の変動電流がコイル116a、116bを通過するとき、断熱体102の内壁110が加熱され、その一方で外壁112は誘導加熱及び/又は磁気ヒステリシス加熱によって加熱されないということを意味する。したがって、外壁112を加熱するエネルギーが浪費されないので、システムの効率が改善される。変動電流によって外壁112が加熱される場合、内壁110は実際には最小限しか加熱されない可能性があり、これは望ましくない。この構成はまた、ハウジング108、特にその表面の外部温度を、使用者による取扱いのために許容可能なレベルで維持するのに役立つ。
【0060】
図10は、本発明の一実施形態による装置で使用するための別の断熱体の例の概略断面図を示す。この実施形態では、断熱体102は、内壁110が二つの変形可能な構造部127、129を含むことを除いて、
図2及び
図3の断熱体102と同じである。より具体的には、
図10から理解されるように、内壁110は、内壁110の第1の位置及び内壁110の第2の位置で外壁112に接続される。内壁110の加熱材の加熱中に、二つの変形可能な構造部127、129は、第1の位置と第2の位置との間の内壁110の或る区域の熱膨張に対応するように変形する。変形可能な構造部127、129のそれぞれは、伸縮継手に類似すると考えることができる。
【0061】
本実施形態では、内壁110は円筒管であり、熱膨張は軸線方向の熱膨張であるか、又は軸線方向の熱膨張を含み、各構造部127、129は軸線方向に変形可能であり、軸線方向の熱膨張を許容し又は吸収する。これは、外壁112に及ぼされる応力、及び、外壁112と、内壁110の第1及び第2の位置での内壁110との間の接続部に及ぼされる応力を低減又は回避するのに役立つ。これは、外壁112がガラス又はセラミックから作られ又はそれを含む場合等、外壁112が固く、又は内壁110よりも柔軟性がない場合に、特に有効となり得る。
【0062】
他の実施形態では、内壁110は、そのような変形可能な構造部を一つだけ含んでもよく、又はそのような変形可能な構造部を三つ以上含んでもよい。
【0063】
図示されるようないくつかの実施形態では、変形可能な構造部は、接続部材によって接合された二つの半径方向に延びる部材を備える。構造部の変形中、接続部材、及び/又は、半径方向に延びる部材、及び/又は、接続部材と半径方向に延びる部材との間の接合部は撓み、接続部材から遠位の、半径方向に延びる部材の端部の相対的な移動を可能にする。
【0064】
簡潔にするために、
図10の断熱体102を参照して少なくとも一つの変形可能構造部を詳細に説明したが、少なくとも一つの変形可能構造部は、断熱体102及び装置のさらなる実施形態を形成するために、本書に記載された断熱体102又は装置の任意の実施形態の変形態様に対応して組み込むことができることは理解されよう。
【0065】
図11は、本発明の一実施形態による装置で使用するための別の断熱体の例の概略断面図を示す。この実施形態では、断熱体102は、加熱材142を含む加熱要素が内壁110の金属化層148を含むことを除いて、
図2及び
図3の断熱体102と同じである。外壁112は、ガラス又はセラミック等の非導電性及び/又は非透磁性の材料から形成される。内壁110は、ガラス又はセラミック等の非導電性及び/又は非透磁性の材料から形成された支持体150と、金属化層148とを含む。
図11に示される実施形態では、支持体150は、金属化層148と断熱領域124との間に配置されている。金属化層148は、変動磁場の侵入によって加熱可能である。金属化層は、鉄等の導電性及び/又は透磁性材料から形成される。金属化層は、例えば、粉末形態で、又はコーティング若しくはめっきとして、適用されてもよい。金属化層148を設けることにより、断熱体102の全体的なサイズが減少する。
【0066】
図12は、本発明の一実施形態による装置で使用するための別の断熱体の例の概略断面図を示す。この実施形態では、断熱体102は、金属化層148が支持体150と断熱領域124との間にあることを除いて、
図11の断熱体102と同じである。
図11の断熱体に対する本書で説明された変形態様のいずれかは、他の実施形態を形成するために
図12の断熱体に対して行われてもよい。
【0067】
図4及び
図5は、本発明の一実施形態による装置で使用するための別の断熱体の概略断面図を示す。この実施形態では、内壁110及び外壁112は、非導電性及び/又は非透磁性の材料から形成される。内壁110は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を含む加熱要素142に隣接している。加熱要素142は、導電性及び/又は透磁性材料から形成される。
図5に示すように、加熱要素142は中空であり、その結果、喫煙材を含む物品104をその中に受け入れることができるようになっている。本発明の装置の一実施形態は、
図2及び
図3の一体型の加熱要素を有する断熱体102の代わりに、
図4及び
図5の断熱体及び加熱要素142を含む。
【0068】
図1~
図3の実施形態のような実施形態において、コイル116a、116bは、内壁110の中央長手方向軸線と実質的に整列する中央長手方向軸線に沿って延び、その結果、コイル116a、116bは内壁110と実質的に同軸となっている。すなわち、整列された軸線は一致している。本実施形態の変形態様において、整列された軸線は、代わりに、互いに平行であってもよい。本実施形態では、コイル116a、116bは、内壁110に対して固定された位置にある。
【0069】
図1~
図3の実施形態では、変動電流をコイル116a、116bに通すためのデバイス118は、電源114とコイル116a、116bとの間で電気的に接続されている。一実施形態では、コントローラ120も電源114に電気的に接続され、デバイス118を制御するためにデバイス118に通信可能に接続される。より具体的には、本実施形態では、コントローラ120は、電源114からコイル116a、116bへの電力の供給を制御するようにデバイス118を制御するためのものである。一実施形態では、コントローラ120は、プリント回路基板(PCB)上のIC等の集積回路(IC)を備えてもよい。他の実施形態では、コントローラ120は、異なる形態を取ってもよい。いくつかの実施形態では、装置100は、デバイス118及びコントローラ120を備える単一の電気構成要素又は電子構成要素を有し得る。コントローラ120は、本実施形態では、ユーザインタフェース122の使用者による操作によって操作されてもよい。本実施形態では、ユーザインタフェース122は、ハウジング108の外部に配置される。ユーザインタフェース122は、押しボタン、トグルスイッチ、ダイヤル、タッチスクリーン等を含み得る。他の実施形態では、ユーザインタフェース122は、遠隔的なものであり、ブルートゥース(登録商標)を介する等して無線で装置100に接続されてもよい。本実施形態では、使用者によるユーザインタフェース122の操作により、コントローラ120は、デバイス118に交流電流をコイル116a、116bを流し、それにより、コイル114に交番磁場を発生させる。
【0070】
装置100のコイル116a、116b及び内壁110は、使用時にコイル116a、116bによって生成される変動磁場が内壁110の加熱材を貫通するように、適切に相対的に配置される。本実施形態のように、内壁110の加熱材が導電性材料である場合、これにより加熱材内に一つ又は複数の渦電流が発生する。加熱材の電気抵抗に対する加熱材内の渦電流の流れにより、ジュール加熱によって加熱材が加熱される。本実施形態では、加熱材は磁性材料で作られているので、加熱材内の磁気双極子の配向は、変化する印加磁場によって変化し、これにより、磁気ヒステリシスによって加熱材に熱が発生する。前述したように、いくつかの実施形態では、外壁112は、変動磁場に曝されたときに加熱されないように、非透磁性及び/又は非導電性の材料から形成される。そのような外壁112を設けることは、内壁110が変動磁場の影響からより大きく恩恵を受けることを意味する。
【0071】
一実施形態では、コイル116a、116bは、外壁112の一部のみを囲む。他の実施形態では、コイル116a、116bは、外壁112の全長に沿って外壁112を囲む。
【0072】
一実施形態では、コイル116a、116bは、外壁112の第1の部分を囲む第1の部分116aと、外壁112の第2の部分を囲む第2の部分116bとからなる。コントローラ120は、デバイス118を制御して、交流等の変動電流を第1の部分116aに流して、内壁110の第1の部分を加熱することができる。磁場発生器106のコントローラ120は、デバイス118を制御して、交流等の変動電流を第2の部分116aに流して、内壁110の第2の部分を加熱することができる。磁場発生器106のコントローラ120は、デバイス118を選択的にかつ独立して制御して、交流等の変動電流を第1の部分116a及び第2の部分116bに流して、内壁110の第1の部分及び第2の部分を互いに独立して加熱することができる。したがって、喫煙材を含む物品104が加熱ゾーンに配置されると、使用時に、物品104の第1の区域は内壁110の第1の部分によって加熱され、物品104の第2の区域は内壁110の第2の部分によって加熱される。このように第1のコイル部分と第2のコイル部分を設けることで、使用者による吸引のために、物品の第1の区域から比較的迅速にエアロゾルを形成してエアロゾルを放出し、第2のコイル部分が起動されると物品の第2の区域から2番目のエアロゾルを続いて放出することができる。二つ以上の部分からなるコイル、又は複数のコイルが設けられ得ることも理解されよう。同様に、おそらく使用者の好みに応じて、複数のコイル又はコイルの複数の部分を同時に動作させることもできる。
【0073】
いくつかのケースでは、装置100で使用される物品104は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材を含む加熱要素を備えてもよい。物品104が装置100の加熱ゾーンに配置され、磁場発生器106がデバイス118を制御して交流等の変動電流をコイル116a、116bに流して内壁110を加熱した場合、物品104が物品104の感熱要素と装置100の内壁110の両方によって加熱されるよう、加熱要素は物品内に配置されてもよい。
【0074】
一実施形態では、磁場発生器106のコイル116a、116bのインピーダンスは、内壁110のインピーダンスと等しい、又は実質的に等しい。代わりに、内壁110のインピーダンスがコイル116a、116bのインピーダンスよりも低かった場合、使用時に内壁110の両端間に生じる電圧は、それらのインピーダンスが整合されたときに内壁110の両端間に生じる可能性のある電圧より低くなり得る。或いは、内壁110のインピーダンスがコイル116a、116bのインピーダンスよりも高かった場合、使用時に内壁110に生じる電流は、それらのインピーダンスが整合されたときに内壁110に生じ得る電流よりも低くなる可能性がある。インピーダンスを整合させることは、使用時に、内壁110で生成される加熱電力を最大化するために電圧と電流のバランスをとるのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、デバイス118のインピーダンスは、コイル116a、116b及び内壁110の組み合わされたインピーダンスと等しく、又は実質的に等しい。
【0075】
装置100は、内壁110の温度を感知するための温度センサ130を備えてもよい。温度センサ130は、コントローラ120に通信可能に接続され得、その結果、コントローラ120は、内壁110又は加熱ゾーンの温度を監視することができる。温度センサ130から受信した一つ以上の信号に基づいて、コントローラ120は、加熱ゾーン又は内壁110の温度を所定の温度範囲内に維持させるために、デバイス118に、コイル116a、116bを流れる変動電流又は交流電流の特性を必要に応じて調整させる。その特性は、例えば、振幅、周波数又はデューティサイクルであり得る。所定の温度範囲内にある場合、使用時、加熱ゾーンに位置する物品内の喫煙材は、喫煙材を燃焼させることなく、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるのに十分に加熱される。したがって、本実施形態では、コントローラ120及び装置100は全体として、喫煙材を燃焼させることなく、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるように喫煙材を加熱するように構成される。いくつかの実施形態では、動作温度範囲は約50℃~350℃であり、例えば、約50℃~約250℃、約50℃~約150℃、約50℃~約120℃、約50℃~約100℃、約50℃~約80℃、又は約60℃~約70℃である。いくつかの実施形態では、温度範囲は約170℃~約220℃である。他の実施形態では、温度範囲はこれらの範囲内以外であってもよい。いくつかの実施形態では、温度範囲の上限は、350℃を超える可能性もある。いくつかの実施形態では、温度センサ130は省略されてもよい。いくつかの実施形態では、内壁110の加熱材は、加熱材を加熱することが望まれる最高温度に基づいて選択されたキュリー点温度を有することができ、その結果、加熱材を誘導加熱することによってその温度より上にさらに加熱されることが妨げられ又は防止される。
【0076】
図6A及び
図6Bは、本発明の一実施形態による、断熱体の内壁110と外壁112との間の接続部の詳細を示している。断熱体102の断熱領域124の端部は、外壁112及び内壁110が出口(図示せず)に集まるにつれて先細りになり、そこを通して断熱領域124内のガスが、断熱体102の製造中に排出されて真空を生成し得る。
図6A及び
図6Bは、内壁110に向かって収束する外壁112の詳細を示しているが、内壁110が外壁112に収束する逆の構成を代わりに用いることもできる。外壁112の収束する端部は、断熱領域124内のガス分子を出口から導出し、それにより断熱領域124を、製造中に断熱領域の外部よりも低圧に排気するように構成される。出口は、断熱領域124が排気された後、断熱領域124内の真空又はより低圧の領域を維持するように封止可能である。出口は、例えば、ガスが断熱領域124から排出された後、出口にて内壁110及び外壁112に材料をろう付けすることにより、出口でろう付けされたシールリング126、128を作ることによって封止され得る。しかしながら、代替の封止技術を用いることができる。内壁110と外壁112との間の接合部のろう付けシールリング126、128は、対流をにより内壁112から離れる熱伝達を低減するように作用し、それによりシステムにおけるエネルギー損失を低減する。
【0077】
特定の実施形態では、内壁110及び外壁112は、互いに接合される異なる材料を含んでもよい。例えば、外壁112はガラス又はセラミック材料を含んでもよく、内壁110は金属又は金属合金を含んでもよい。これらの場合、外壁112と金属の内壁110は、銀共晶ろう材(silver eutectic braze material)で互いにろう付けされ得る。ろう付け材料は、関与する材料の温度許容度に依存する順序で単一の接続部に連続して適用されてもよい。例えば、最も高い温度の接合プロセスを最初に第1の壁の材料に適用して、その壁への第1の接合を形成することができる。次に、結合プロセスの温度を下げて、他の壁への2番目の接合を形成することができる。
【0078】
外壁112がガラス材料を含み、内壁110が金属又は金属合金を含む実施形態では、接合プロセスは、ガラス及び/又は金属/金属合金の高温溶融によって、内壁110と外壁112との間に結合が形成されるガラス対金属シールを含むことができる。
【0079】
特定の実施形態では、外壁112の端部は、結合が行われる前に、内壁110と密接するように形作られてもよい。このような形作られた端部(成形端部)を有する外壁112の一例が
図14に示されている。外壁112の各端部は、外壁112が内壁110と密接な接合を形成するように形作られたフレア状の端部112aを有し得る。
図14に見られるように、端部112aは、内壁110と密接するように、内壁110に向かって下向きにフレア状とされている。いくつかの実施形態では、外壁112がガラス材料を含む場合、ガラス材料は、加熱され変形されて、内壁110と密接することができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、内壁110は、内壁110と外壁112とが一緒に組み立てられたときに、外壁112と密接するように形作られてもよい。成形端部を有する内壁110の一例が
図15に示されている。内壁110の端部はそれぞれフランジ110aを有する。内壁110が外壁112に組み付けられると、フランジ110aは外壁112の内面に向かって延び、内壁と外壁112とが密接する。
【0081】
いくつかの実施形態では、内壁110及び/又は外壁112の成形端部は、外壁112の内面との結合が形成されるように加熱されてもよい。例えば、外壁112を形成する材料を溶融して内壁110の成形端部に結合するように、又はその逆であるように、成形端部を加熱してもよい。加熱は、例えば、誘導加熱を含み得る。
【0082】
上述の組付け技術及び/又は接合技術のいずれか、又は任意の他の適切な技術を、内壁110を外壁112に組付け及び/又は接合をする際に用いることができる。
【0083】
断熱領域124を排気するために、断熱体102は、断熱領域124内のガス分子が断熱体102の外側の低圧環境に流れ込むように、真空炉チャンバのような低圧の実質的に排気された環境内に配置されるとよい。断熱領域124内の圧力が低くなると、外壁112及び内壁110の先細りの幾何学形状が、残りのガス分子を出口を通して断熱領域124から導出する。
【0084】
いくつかの実施形態では、一つ以上の低放射率のコーティングが、断熱領域124の内面上、すなわち内壁110の外面及び外壁112の内面上に設けられ得る。一つ以上のそのような低放射率コーティングを設けることは、赤外線放射による熱伝達の低減に役立ち得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、反射領域が、断熱領域124を境界付ける内壁110の表面上に設けられる。代替的又は追加的に、断熱領域124の境界となる外壁112の表面に反射面を設けてもよい。反射面は、放射によって内壁110から離れる熱伝達を低減するように機能する。
【0086】
断熱体102の形状は、本書ではこれまで実質的に円筒形又は同様であると一般的に説明したが、断熱体102は、別の形状、例えば直方体として形成され得る。一実施形態では、内壁110は管状であり、加熱ゾーンを囲む。内壁110は、実質的に円形の断面を有することができる。しかしながら、他の実施形態では、内壁110は、正方形、長方形、多角形又は楕円形等の、円形以外の断面を有してもよい。
【0087】
図7を参照すると、本発明の実施形態による、喫煙材を含む物品104の概略断面図が示されている。この実施形態の物品104は、
図1に示される装置100、又は
図2及び
図3の一体型加熱要素を有する断熱体102の代わりに
図4及び
図5の断熱体及び加熱要素142を有する装置での使用に特に適している。使用時、物品104は、装置100の開口部144にて加熱ゾーンに取外し可能に挿入されてもよい。
【0088】
一実施形態では、物品104は、一塊の喫煙材132と、ロッドの形態のフィルタアセンブリとを含む実質的に円筒ロッドの形態である。この実施形態のフィルタアセンブリは、三つのセグメント、すなわち冷却セグメント134、フィルタセグメント136及び口側端部セグメント138を備える。しかしながら、他の実施形態では、これらのセグメント134、136、138のいずれか一つ、二つ又は全てが省かれてもよい。
【0089】
喫煙材132は、物品104の遠位端の方に配置される。一実施形態では、冷却セグメント134は、一塊の喫煙材132とフィルタセグメント136との間に配置され、その結果、冷却セグメント134は、喫煙材132及びフィルタセグメント136と当接関係にある。フィルタセグメント136は、冷却セグメント134と口側端部セグメント138との間に配置される。口側端部セグメント138は、フィルタセグメント136に隣接して、物品104の近位端の方に配置される。一実施形態では、フィルタセグメント136は、口側端部セグメント138と当接関係にある。
【0090】
一実施形態では、一塊の喫煙材132はタバコを含む。しかしながら、他のそれぞれの実施形態では、喫煙材132はタバコからなるものであってもよく、実質的に完全にタバコからなるものであってもよく、タバコとタバコ以外の喫煙材とを含むものであってもよく、タバコ以外の喫煙材を含むものであってもよく、又はタバコを含まなくてもよい。喫煙材は、グリセロール等のエアロゾル形成剤を含むものであってもよい。
【0091】
一実施形態では、冷却セグメント134は、環状管であり、冷却セグメント134内のエアギャップの周りに配置され、そのエアギャップを画定する。エアギャップは、一塊の喫煙材132から生成される加熱された揮発成分が流れるためのチャンバを提供する。冷却セグメント134は中空であり、エアロゾルを蓄積するためのチャンバを提供するが、製造中に、また使用時に物品104が装置100に挿入している間に生じる可能性がある軸線方向の圧縮力及び曲げモーメントに耐えるのに十分な剛性を有する。冷却セグメント134は、喫煙材132とフィルタセグメント136との間に物理的な変位をもたらす。冷却セグメント134によってもたらされる物理的変位は、冷却セグメント134の長さ全体にわたって熱勾配を提供する。
【0092】
フィルタセグメント136は、喫煙材からの加熱された揮発成分から一つ以上の揮発化合物を除去するのに十分な任意のフィルタ材料で形成され得る。一実施形態では、フィルタセグメント136は、酢酸セルロース等のモノアセテート(mono-acetate)材料で作られる。フィルタセグメント136があることによって、冷却セグメント136を出る加熱された揮発成分にさらなる冷却をもたらすことによる断熱効果が与えられる。このさらなる冷却効果は、フィルタセグメント136の表面における使用者の唇の接触温度を低下させる。
【0093】
口側端部セグメント138は、環状管であり、口側端部セグメント138内のエアギャップの周りに配置され、そのエアギャップを画定する。エアギャップは、フィルタセグメント138から流れる加熱された揮発成分のためのチャンバを提供する。
【0094】
一実施形態では、物品104の全長は71mm~95mmであり、より好ましくは、物品104の全長は79mm~87mmであり、さらにより好ましくは、物品104の全長は83mmである。
【0095】
一実施形態では、物品104は細長く、実質的に円形の断面を有する実質的に円筒形である。しかしながら、他の実施形態では、物品104は、円形以外の断面を有し、及び/又は細長くなく、及び/又は円筒形でなくてもよい。
【0096】
図8を参照すると、本発明の一実施形態によるシステムの概略断面図が示されている。システム200は、
図1の装置100及び
図7の物品104を含む。簡潔にするために、装置100及び物品104は再度詳細には説明しない。
【0097】
使用時、物品104は、装置の加熱ゾーン内に収容される。上述したように、内壁110は、加熱ゾーンを加熱するために変動磁場の侵入によって加熱可能である。次いで、加熱ゾーン内の物品が加熱されて、喫煙材の一つ以上の揮発成分が放出される。
【0098】
使用時、空気は、装置100の内部と装置100の外部とを流体的に接続する入口を通して、物品104の遠位端を通って物品104に引き込まれ得る。空気は、喫煙材132を通過し、喫煙材132から放出された揮発成分を拾い、次に、典型的には蒸気又はエアロゾルの形態の揮発成分が、物品104のフィルタアセンブリを通して引き出され、使用者による消費のために物品104の近位端を通って引き出される。
【0099】
一実施形態では、物品104が加熱ゾーンにあるとき、内壁110は、物品104の喫煙材132と熱的に接触している。一実施形態では、喫煙材132は、内壁110と面接触している。したがって、内壁110は、喫煙材132を直接加熱するよう使用時に加熱可能である。他の実施形態では、内壁110の加熱材は、喫煙材132との面接触を避けてもよいが、依然として喫煙材132と熱的関係を維持する。
【0100】
他の実施形態では、
図4及び
図5を参照して上述したように、内壁110は、変動磁場の侵入によって加熱可能である加熱材を含む加熱要素に隣接している。そのような実施形態では、加熱要素142は、使用時に喫煙材132を加熱するように、物品104の喫煙材132と熱的に接触している(好ましくは面接触している)。
【0101】
図13は、本発明の一実施形態による装置で使用するための別の断熱体の例の概略断面図を示す。この実施形態では、断熱体102は、加熱要素142が一つ以上の変形可能なアタッチメント152によって内壁110に接続されることを除いて、
図4の断熱体102と同じである。
図13では、四つの変形可能なアタッチメント152が示されているが、他の実施形態では、その数は一つ又は二つ等、より多く又はより少なくてもよい。いくつかの例では、変形可能なアタッチメント152は、内壁110と加熱要素142との間の構造的接続を提供する一方で、内壁110と加熱要素142との間の限定された相対運動も可能にする。加熱中、内壁110及び加熱要素142は、異なる割合で膨張し得る。異なる熱膨張率に起因する内壁110と加熱要素142との間のある程度の相対運動を可能にすることは、内壁110及び加熱要素142に加えられる応力を低減又は回避するのに役立つ。これは、内壁がガラス又はセラミックで作られている、又はそれを含んでいる場合等、内壁110が可撓性がないか又は内壁加熱要素142よりも可撓性が低い場合に特に有利であり得る。いくつかの実施形態では、変形可能なアタッチメントは、例えば、高温シリコーンから作製され得る。
【0102】
一実施形態では、一塊の喫煙材132の長さは、内壁110の長さにほぼ等しい。これは、使用時における喫煙材132のより効果的な加熱をもたらすのに役立ち得る。他の実施形態では、一塊の喫煙材132の長さは、内壁110の長さより短くても長くてもよい。
【0103】
一実施形態では、内壁110は、空気又は揮発材料に対して不透過であり、実質的に切れ目がない。
【0104】
図9を参照すると、本発明の実施形態による喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させる方法を示す流れ図が示されている。
【0105】
この方法300は、
図1に示され上述した装置100等の、本発明の一実施形態による装置を用意するステップ302を含む。この方法はまた、装置の加熱ゾーン内に、
図7に示され上述した物品104等の、喫煙材を含む物品を配置するステップ304を含む。この方法はさらに、加熱ゾーン及び物品の喫煙材を加熱するために変動磁場を装置の加熱材に侵入させるステップ306を含む。
【0106】
上述の各実施形態では、加熱材は鋼である。しかしながら、他の実施形態では、加熱材は、導電性材料、磁性材料、及び導電性の磁性材料からなる群から選択された一つ以上の材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、加熱材は金属又は金属合金を含んでもよい。いくつかの実施形態では、加熱材は、アルミニウム、金、鉄、ニッケル、コバルト、導電性炭素、グラファイト、普通炭素鋼、ステンレス鋼、フェライトステンレス鋼、銅、及び青銅からなる群から選択された一つ以上の材料を含んでもよい。加熱材として導電性の磁性材料を用いると、使用時、導電性の磁性材料と装置の電磁石との磁気結合を強くすることができることが分かっている。これは、磁気ヒステリシス加熱を潜在的に可能にすることに加えて、加熱材のジュール加熱を増大させる、又は改善することができ、したがって、喫煙材の加熱を増大させる、又は改善することができる。
【0107】
加熱材は、誘導電流及び/又は磁気双極子の誘導再配向のほとんどが生じる外側の領域である表皮深さを有してもよい。相対的に薄くすることによって、加熱材の他の寸法に比べて相対的に長い奥行き又は厚さを有する加熱材と比べると、所与の変動磁場によって加熱材のより大きな割合を加熱可能にすることができる。したがって、材料をより効率的に使用することになり、それはコストを削減する。
【0108】
いくつかの実施形態では、内壁110の第1の部分は第1の材料から作られ、内壁110の第2の部分は第1の材料とは異なる第2の材料から作られることができる。第1の材料は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材としてもよい。そのような加熱材の例は前述した。第2の材料は、変動磁場の侵入によって加熱可能な加熱材であってもよく、そうでなくてもよいが、それは熱伝導体でなければならない。内壁110の第1の部分は、装置100の近位端又は口側端部の方に配置することができ、その結果、変動磁場が内壁110に加えられると、第1の部分が加熱され、したがって、まず最初に一塊の喫煙材132の近位端又は口側端部の方に配置された喫煙材132の一部が加熱されるようになっている。次に、内壁110の第2の部分が伝導によって加熱され、これにより、一塊の喫煙材132の遠位端の方に配置される喫煙材の一部が加熱される。
【0109】
いくつかの実施形態では、喫煙材は非液体の喫煙材であり、装置は非液体喫煙材を加熱して喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるためのものである。他の実施形態では、逆のことが当てはまり得る。いくつかの実施形態では、装置は、液体喫煙材を加熱して、液体喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させ、その後、非喫煙材を通過させるためのものである。
【0110】
上記実施形態のそれぞれにおいて、物品104は消耗品である。物品104中の喫煙材132の揮発性成分の全て、又は実質的に全てが使い果たされると、使用者は物品104を装置100から取り外して物品104を処分することができる。その後、使用者は、装置100を別の同様の物品104と共に再利用することができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、装置100は、装置100が使用可能である物品104とは別に販売され、供給され、又は他の方法で提供される。しかし、いくつかの実施形態では、装置100及び一つ以上の物品104は、キット又はアセンブリ等のシステム200として、場合によってはクリーニング器具等の追加の構成要素とともに提供されてもよい。
【0112】
様々な課題に対処し、技術を進歩させるため、本開示はその全体にわたって様々な実施形態を例証及び例示によって示している。これらの実施形態において、特許請求された発明を実施することが可能である。また、これらの実施形態は、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための優れた装置、そのような優れた装置及びそのような物品とを備える優れたシステム、並びに、喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう喫煙材を加熱するための優れた方法を提供する。本開示の利点及び特徴は、実施形態のうち代表的な例のものにすぎず、全ての利点や特徴を網羅したものでもなければ、他の利点や特徴を排除するものでもない。これらは、特許請求の範囲などに開示される特徴の理解と教示を助けるためだけに提示されている。本開示の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の側面は、特許請求の範囲によって規定されたとおりに本開示を限定するもの、或いは特許請求の範囲の均等物を制限するものと考えるべきではなく、本開示の範囲及び/又は趣旨から逸脱することなく他の実施形態を利用し、変形を施すことができることを理解されたい。様々な実施形態が、開示された要素、構成、特徴、部品、ステップ、手段などの様々な組合せを適切に備え、それらのみから構成され、或いは実質的にそれらから構成されてもよい。本開示は、特許請求の範囲に現在は記載されていないが将来記載される可能性のある他の発明を含む可能性がある。
【0113】
番号を付けた以下の項は、特許請求項ではないが、本書で説明した着想に関連する更なる開示をもたらす。
【0114】
項1
喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう前記喫煙材を加熱するための装置であって、
ハウジング(108)と、
喫煙材を含む物品の少なくとも一部を受容する加熱ゾーンと、
前記加熱ゾーンの少なくとも一部の周りに位置する螺旋状の第1のコイル(116a)であって、約16の巻きを有する第1のコイル(116a)と、
前記加熱ゾーンの少なくとも一部の周りに位置する螺旋状の第2のコイル(116b)であって、約21の巻きを有する第2のコイル(116b)と、
前記加熱ゾーンを加熱するために前記第1のコイル(116a)及び前記第2のコイル(116b)の一方又は双方からの変動磁場の侵入により加熱可能である加熱材を含む加熱要素(110、142)と、
を備える装置。
【0115】
項2
前記第1のコイル(116a)又は前記第2のコイル(116b)を流れる電流、例えば交流電流、を変動させるためのコントローラ(120)を更に備える、項1に記載の装置。
【0116】
項3
前記コントローラ(120)が、前記第1のコイル(116a)及び前記第2のコイル(116b)に変動電流、例えば交流電流、を選択的にかつ独立して流して、各コイルが他方のコイルとは独立して動作しうるようにする、項2に記載の装置。
【0117】
項4
前記コントローラが、前記第1のコイル(116a)又は前記第2のコイル(116b)を流れる前記変動電流又は交流電流の振幅を調整するように構成されている、項2又は3に記載の装置。
【0118】
項5
喫煙材を含む物品(104)を、前記装置(100)の開口部(144)にて前記加熱ゾーンに取外し可能に挿入することができる、項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【0119】
項6
前記第1のコイル及び前記第2のコイルが中央長手方向軸線に沿って延び、前記第1のコイル(116a)が前記加熱ゾーンの外壁(112)の第1の部分を囲み、前記第2のコイル(116b)が前記外壁(112)の第2の部分を囲む、項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【0120】
項7
前記加熱要素(142)が中空である、項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【0121】
項8
項1~7のいずれか一項に記載の装置と、喫煙材を含む物品(104)とを備えるエアロゾル生成システム。
【0122】
項9
前記加熱ゾーンが、前記物品の一部を受け入れるように寸法決めされている、項8に記載のエアロゾル生成システム。
【0123】
項10
前記物品が、一塊の喫煙材とフィルタアセンブリを含む、項8又は9に記載のエアロゾル生成システム。
【0124】
項11
前記フィルタアセンブリが、冷却セグメント(134)及びフィルタセグメント(136)を備え、前記冷却セグメント(134)が、前記一塊の喫煙材と当接し、前記冷却セグメント(134)が、前記冷却セグメント(134)内にエアギャップを画定する環状管を備える、項10に記載のエアロゾル生成システム。
【0125】
項12
前記喫煙材が均質化タバコを含む、項8~11のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【0126】
項13
前記物品(104)の全長が71mm~95mmである、請求項9~12のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【0127】
項14
喫煙材の少なくとも一つの成分を揮発させるよう前記喫煙材を加熱するための装置であって、
ハウジング(108)と、
喫煙材を含む物品の少なくとも一部を受容する加熱ゾーンと、
前記加熱ゾーンの少なくとも一部の周りに位置する螺旋状の第1のコイル(116a)と、
前記加熱ゾーンの少なくとも一部の周りに位置する螺旋状の第2のコイル(116b)であって、前記第1のコイル(116a)の巻き数が前記第2のコイル(116b)の巻き数の約130%である、第2のコイル(116b)と、
前記加熱ゾーンを加熱するために前記第1のコイル(116a)及び前記第2のコイル(116b)の一方又は双方からの変動磁場の侵入により加熱可能である加熱材を含む加熱要素(110、142)と、
を備える装置。
【外国語明細書】