(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101606
(43)【公開日】2022-07-06
(54)【発明の名称】錠剤カセット
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022066088
(22)【出願日】2022-04-13
(62)【分割の表示】P 2021071140の分割
【原出願日】2017-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2016062889
(32)【優先日】2016-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2016181237
(32)【優先日】2016-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】小池 直樹
(72)【発明者】
【氏名】深森 亮輔
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047JJ01
4C047JJ12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】部品点数が少なく、より多くの形状と大きさの錠剤を扱うことができ、さらに錠剤案内路の深さ、幅、仕切位置の自動調整にも対応できる錠剤カセット用ロータを提供する。
【解決手段】錠剤を収容するカセット本体に回転可能に収容され、錠剤を錠剤排出孔に案内する複数の錠剤案内路4bを有するロータ4において、錠剤案内路に、ロータの回転軸に対して傾斜し、カセット本体の逆円錐状の傾斜内面と対向する傾斜外面を備える。カセット本体に対してロータを昇降させて、カセット本体の逆円錐状の傾斜内面と錠剤案内路の傾斜外面との間の距離を調整可能にした。仕切部材の下方に位置し最下位の錠剤を支持する錠剤支持台を昇降させて、仕切部材と錠剤支持台との間の距離を調整可能とした。第1可動部材と第2可動部材を相対的に回転させ、錠剤案内路を構成する第1垂直突片と第2垂直突片との間の距離を調整可能とした構成とする。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を収容するカセット本体に回転可能に収容され、前記カセット本体内の錠剤を前記カセット本体に設けられた錠剤排出孔に案内する複数の錠剤案内路を有するロータにおいて、
前記錠剤案内路に、前記ロータの回転軸に対して傾斜し、前記カセット本体の逆円錐状の傾斜内面と対向する傾斜外面を備え、
前記カセット本体に対して前記ロータの少なくとも前記傾斜外面を前記ロータの回転軸方向に昇降させるロータ昇降機構を備え、
前記ロータ昇降機構により前記ロータの少なくとも前記傾斜外面を昇降させて、前記カセット本体の前記逆円錐状の傾斜内面と前記錠剤案内路の前記傾斜外面との間の距離を調整可能にしたことを特徴とするロータ。
【請求項2】
前記ロータは、ロータベースと、前記ロータベースに前記ロータの回転軸方向に移動可能で、かつ、前記ロータの回転軸周りに前記ロータベースと一体回転可能に設けられ、前記傾斜外面を有するロータ本体とを備え、
前記ロータ昇降機構は、
前記ロータ本体に前記ロータの回転軸上に設けたねじ孔と、
前記ロータ本体の前記ねじ孔に螺合し、一端が前記ロータベースに当接し、他端が前記ロータ本体から露出する厚さ調整部材とからなり、
前記ロータ本体の少なくとも前記傾斜外面を昇降させることを特徴とする請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
錠剤を収容するカセット本体に回転可能に収容され、前記カセット本体内の錠剤を前記カセット本体に設けられた錠剤排出孔に案内する複数の錠剤案内路を有し、
前記カセット本体の前記錠剤排出孔の上方に設けられた仕切部材により、前記錠剤案内路に整列する錠剤のうち最下位の錠剤と上位の錠剤との間が仕切られるロータにおいて、
前記錠剤案内路の最下位の錠剤を支持する錠剤支持台と、
前記錠剤支持台を昇降させる錠剤支持台昇降機構を備え、
前記錠剤支持台昇降機構により、前記仕切部材と前記錠剤支持台との間の距離を調整可能としたことを特徴とするロータ。
【請求項4】
前記ロータは、ロータベースと、前記ロータの回転軸周りに前記ロータベースと一体回転可能に設けたロータ本体とからなり、
前記錠剤支持台昇降機構は、
前記ロータベースに設けられ、外周下部にねじ部が形成され、内周上部に従動ギアが形成された回転部材と、
前記ロータベースに昇降可能に設けられ、前記錠剤支持台を有し、前記回転部材のねじ部と螺合するねじ孔を有する昇降部材と、
一端の駆動ギアが前記回転部材の従動ギアに噛み合い、他端が前記ロータ本体から露出する高さ調整部材からなることを特徴とする請求項3に記載のロータ。
【請求項5】
錠剤を収容するカセット本体に回転可能に収容され、前記カセット本体内の錠剤を前記カセット本体に設けられた錠剤排出孔に案内する複数の錠剤案内路を有するロータにおいて、
前記錠剤案内路の一方の側面を形成する第1垂直部と、前記錠剤案内路の上端から隣接する前記錠剤案内路に向かって延びる第1水平部とを有する第1可動部材と、
前記錠剤案内路の他方の側面を形成する第2垂直部と、前記錠剤案内路の上端から隣接する前記錠剤案内路に向かって延びる第2水平部とを有する第2可動部材と、
前記第1可動部材の上に配置された第1支持部材と、
前記第2可動部材の下に配置された第2支持部材と、
前記第1可動部材と前記第2可動部材を相対的に回転させる可動部材移動機構とを備え、
前記可動部材移動機構により、前記第1垂直部と前記第2垂直部との間の距離を調整可能としたことを特徴とするロータ。
【請求項6】
前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材と前記第2可動部材の間に回転可能に配置され、従動ギアを有するカム部材と、
前記第1可動部材と前記第2可動部材の少なくともいずれかに設けられた調整孔と、
前記第1支持部材に設けられ、前記調整孔と交差する角度の中心線状に延びる第1ガイド孔と、
前記第2支持部材に設けられ、前記第1ガイド孔と一致する第2ガイド孔と、
前記調整孔、前記第1ガイド孔、前記第2ガイド孔に嵌合する駆動ピンと、
前記カム部材に形成され、前記駆動ピンが嵌入するカム溝と、
一端の駆動ギアが前記カム部材の従動ギアに噛み合い、他端が前記ロータ本体から露出する幅調整部材とからなることを特徴とする請求項5に記載のロータ。
【請求項7】
前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材と前記第2可動部材の少なくともいずれかに設けたセグメントウォームギアと、
前記セグメントウォームギアに噛み合うウォームと従動傘ギアを有する伝達軸と、
一端に前記従動傘ギアに噛み合う駆動傘ギアを有し、他端が前記ロータ本体から露出する幅調整部材とからなることを特徴とする請求項5に記載のロータ。
【請求項8】
前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材と前記第2可動部材の少なくともいずれかに設けたセグメントギアと、
一端に前記セグメントギアに噛み合う駆動ギアを有し、他端が前記ロータ本体から露出する幅調整部材とからなることを特徴とする請求項5に記載のロータ。
【請求項9】
前記幅調整部材の前記駆動ギアは減速ギアを介して前記セグメントギアに噛み合うことを特徴とする請求項8に記載のロータ。
【請求項10】
前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材と前記第2可動部材の少なくともいずれかに設けたA突起及びB突起と、
一端に前記A突起に摺接するAカム及び前記B突起に摺接するBカムを有し、他端が前記ロータ本体から露出する幅調整部材とからなることを特徴とする請求項5に記載のロータ。
【請求項11】
前記ロータは、円錐形状の上面と逆円錐形状の外周側面を有し、
前記円錐形状の上面は、複数の扇形斜面からなる円錐形状を有し、
前記複数の扇形斜面はそれぞれ、周方向一端の傾斜が周方向他端の傾斜より急であり、外周縁の高さが前記ロータの回転方向と反対方向に向かって漸次高くなるように形成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のロータ。
【請求項12】
隣接する前記複数の扇形斜面の間に半径方向外方に向かうにつれて大きくなる段差を有することを特徴とする請求項11に記載のロータ。
【請求項13】
前記ロータは、ロータ本体の上に載置されるロータカバーを有し、
前記複数の扇形斜面は前記ロータカバーの上面に形成されていることを特徴とする請求項11又は12に記載のロータ。
【請求項14】
前記ロータカバーは、前記ロータ本体に磁石により吸着していることを特徴とする請求項13に記載のロータ。
【請求項15】
前記ロータカバーは、前記ロータ本体の逆円錐形の外周面と連続する逆円錐形の外周面を有し、
前記ロータカバーの外周面の下端に周方向に等間隔に形成された複数の係合段差を有し、前記複数の係合段差は、前記ロータ本体の上端に形成された段部と係合することを特徴とする請求項14に記載のロータ。
【請求項16】
前記請求項1から15のいずれかに記載のロータを収容したことを特徴とする錠剤カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は錠剤収納払出装置に備えられる錠剤カセットであって、多数の錠剤を収納し、処方に従って必要数だけ錠剤を取り出す錠剤カセットのロータ及びそのロータを使用した錠剤カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
調剤薬局や病院に設置される錠剤収納払出装置は、多くの患者に対して迅速、確実、安全に処方に応じた錠剤を自動的に提供できる。錠剤には、円形、楕円形、球形、カプセル形、糖衣形等多くの形状、大きさのものがあるが、錠剤収納払出装置はできるだけ多くの種類の錠剤を払い出せることが望ましい。
【0003】
錠剤収納払出装置は、異なる種類の錠剤を収納し払い出すことができる多数の錠剤カセットを備えている。各錠剤カセットは、錠剤を収納するカセット本体と、該カセット本体の底に回転駆動可能に配設されたロータとからなっている。ロータが回転すると、カセット本体内の錠剤がロータに形成された複数の錠剤案内路に順に案内され、各錠剤案内路がカセット本体の錠剤排出孔と一致した時点で、錠剤案内路の最下部の錠剤とその上方の錠剤とが仕切部材によって仕切られて、最下部の錠剤のみが錠剤排出孔から排出される。
【0004】
本願出願人は、特許文献1において、錠剤の種類に応じてロータの錠剤案内路の幅、深さを変更できる錠剤カセットを提案している。特許文献1の錠剤カセットは、錠剤案内路の深さ方向の面を形成する可動片をロータの半径方向に移動させる可動片移動機構と、錠剤案内路の幅方向の面を形成する側壁を有する第1と第2の可動部材をロータの周方向に相対的に移動させる幅調整機構と、錠剤案内路に沿って複数の錠剤押さえ部材を設け、いずれかの錠剤押さえ部材を押し付け部材で押し付けて最下位の錠剤より上の錠剤を保持することにより、最下位の錠剤のみを排出する錠剤仕切機構とを有している。特許文献1の錠剤カセットは、錠剤案内路の深さ、幅、仕切位置を調整することができるので、多くの形状や大きさの錠剤を扱うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開番号WO2012/096328
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、特許文献1の錠剤カセットのロータをさらに改良し、部品点数が少なく、より多くの形状と大きさの錠剤を扱うことができ、さらに錠剤案内路の深さ、幅、仕切位置の自動調整にも対応できる錠剤カセット用ロータ及び錠剤カセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、
(1)錠剤を収容するカセット本体に回転可能に収容され、前記カセット本体内の錠剤を前記カセット本体に設けられた錠剤排出孔に案内する複数の錠剤案内路を有するロータにおいて、
前記錠剤案内路に、前記ロータの回転軸に対して傾斜し、前記カセット本体の逆円錐状の傾斜内面と対向する傾斜外面を備え、
前記カセット本体に対して前記ロータの少なくとも前記傾斜外面を前記ロータの回転軸方向に昇降させるロータ昇降機構を備え、
前記ロータ昇降機構により前記ロータの少なくとも前記傾斜外面を昇降させて、前記カセット本体の前記逆円錐状の傾斜内面と前記錠剤案内路の前記傾斜外面との間の距離を調整可能にした。
【0008】
第1の手段では、ロータ昇降機構によりロータの少なくとも傾斜外面を上昇させると、カセット本体の逆円錐状の傾斜内面と錠剤案内路の傾斜外面との間の距離が大きくなり、逆にロータの少なくとも傾斜外面を下降させると、カセット本体の逆円錐状の傾斜内面と錠剤案内路の傾斜外面との間の距離が小さくなる。このため、錠剤の厚さに合わせてロータを昇降させることにより、カセット本体の逆円錐状の傾斜内面と錠剤案内路の傾斜外面との間の距離、すなわち、錠剤案内路の深さを調整することができる。
【0009】
(2)前記ロータは、ロータベースと、前記ロータベースに前記ロータの回転軸方向に移動可能で、かつ、前記ロータの回転軸周りに前記ロータベースと一体回転可能に設けられ、前記傾斜外面を有するロータ本体とを備え、からなり、
前記ロータ昇降機構は、
前記ロータ本体に前記ロータの回転軸上に設けたねじ孔と、
前記ロータ本体の前記ねじ孔に螺合し、一端が前記ロータベースに当接し、他端が前記ロータ本体から露出する厚さ調整部材とからなり、
前記ロータ本体の少なくとも前記傾斜外面を昇降させることが好ましい。
これによれば、厚さ調整部材を左右に回転することにより、当該厚さ調整部材に螺合するねじ孔を有するロータ本体を昇降させることができる。
【0010】
第2の手段として、本発明は、
(3)錠剤を収容するカセット本体に回転可能に収容され、前記カセット本体内の錠剤を前記カセット本体に設けられた錠剤排出孔に案内する複数の錠剤案内路を有し、前記カセット本体の前記錠剤排出孔の上方に設けられた仕切部材により、前記錠剤案内路に整列する錠剤のうち最下位の錠剤と上位の錠剤との間が仕切られるロータにおいて、
前記前記錠剤案内路の最下位の錠剤を支持する錠剤支持台と、
前記錠剤支持台を昇降させる錠剤支持台昇降機構を備え、
前記錠剤支持台昇降機構により、前記仕切部材と前記錠剤支持台との間の距離を調整可能とした。
【0011】
第2の手段では、錠剤支持台昇降機構により錠剤支持台を上昇させると、カセット本体の仕切部材と錠剤支持台との間の距離が小さくなり、逆に錠剤支持台を下降させると、仕切部材と錠剤支持台との間の距離が大きくなる。このため、カセット本体に固定された仕切部材の位置を変えることなく、錠剤の高さに合わせて錠剤支持台を昇降させることにより、仕切部材と錠剤支持台との間の距離、すなわち、錠剤案内路の仕切位置を調整することができる。
【0012】
(4)前記ロータは、ロータベースと、前記ロータの回転軸周りに前記ロータベースと一体回転可能に設けたロータ本体とからなり、
前記錠剤支持台昇降機構は、
前記ロータベースに設けられ、外周下部にねじ部が形成され、内周上部に従動ギアが形成された回転部材と、
前記ロータベースに昇降可能に設けられ、前記錠剤支持台を有し、前記回転部材のねじ部と螺合するねじ孔を有する昇降部材と、
一端の駆動ギアが前記回転部材の従動ギアに噛み合い、他端が前記ロータ本体から露出する高さ調整部材とからなることが好ましい。
これによれば、高さ調整部材を左右に回転することにより、当該高さ調整部材の駆動ギアが回転部材の従動ギアを介して回転部材を回転させ、回転部材のねじ部に螺合するねじ孔を有する昇降部材の錠剤支持台を昇降させることができる。
【0013】
第3の手段として、本発明は、
(5)錠剤を収容するカセット本体に回転可能に収容され、前記カセット本体内の錠剤を前記カセット本体に設けられた錠剤排出孔に案内する複数の錠剤案内路を有するロータにおいて、
前記錠剤案内路の一方の側面を形成する第1垂直部と、前記錠剤案内路の上端から隣接する前記錠剤案内路に向かって延びる第1水平部とを有する第1可動部材と、
前記錠剤案内路の他方の側面を形成する第2垂直部と、前記錠剤案内路の上端から隣接する前記錠剤案内路に向かって延びる第2水平部とを有する第2可動部材と、
前記第1可動部材の上に配置された第1支持部材と、
前記第2可動部材の下に配置された第2支持部材と、
前記第1可動部材と前記第2可動部材を相対的に回転させる可動部材移動機構とを備え、
前記可動部材移動機構により、前記第1垂直部と前記第2垂直部との間の距離を調整可能とした。
【0014】
第3の手段では、可動部材移動機構により、第1可動部材の第1垂直部と第2可動部材の第2垂直部が相対的に接近するように、第1可動部材と第2可動部材を回転させると、錠剤案内路の左右の幅が小さくなり、第1可動部材の第1垂直部と第2可動部材の第2垂直部が相対的に離間するように、第1可動部材と第2可動部材を回転させると、錠剤案内路の左右の幅が大きくなる。このため、錠剤の大きさに合わせて第1可動部材と第2可動部材を相対的に回転させることにより、第1垂直部と第2垂直部との間の距離、すなわち、錠剤案内路の幅を調整することができる。
【0015】
(6)前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材と前記第2可動部材の間に回転可能に配置され、従動ギアを有するカム部材と、
前記第1可動部材と前記第2可動部材の少なくともいずれかに設けられた調整孔と、
前記第1支持部材に設けられ、前記調整孔と交差する角度の中心線状に延びる第1ガイド孔と、
前記第2支持部材に設けられ、前記第1ガイド孔と一致する第2ガイド孔と、
前記調整孔、前記第1ガイド孔、前記第2ガイド孔に嵌合する駆動ピンと、
前記カム部材に形成され、前記駆動ピンが嵌入するカム溝と、
一端の駆動ギアが前記カム部材の従動ギアに噛み合い、他端が前記ロータ本体から露出する幅調整部材とからなることが好ましい。
また、前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材と前記第2可動部材の間に回転可能に配置され、従動ギアを有するカム部材と、
前記第1可動部材に設けられた第1調整孔と、
前記第2可動部材に設けられ、前記第1調整孔と交差する第2調整孔と、
前記第1支持部材に設けられ、前記第1調整孔と前記第2調整孔と交差する角度の中心線状に延びる第1ガイド孔と、
前記第2支持部材に設けられ、第1ガイド孔と一致する第2ガイド孔と、
前記第1調整孔、前記第2調整孔、前記第1ガイド孔、前記第2ガイド孔に嵌合する駆動ピンと、
前記カム部材に形成され、前記駆動ピンが嵌入するカム溝と、
一端の駆動ギアが前記カム部材の従動ギアに噛み合い、他端が前記ロータ本体から露出する幅調整部材とからなることが好ましい。
これによれば、幅調整部材を左右に回転することにより、カム部材が回転し、カム部材のカムが駆動ピンをロータの半径方向に移動するので、駆動ピンが第1調整孔を押圧して第1可動部材を一方向に回転させるとともに、駆動ピンが第2調整孔を押圧して第2可動部材を他方向に回転させる。これにより、第1可動部材と第2可動部材を相対的に回転させることができる。
【0016】
(7)前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材と前記第2可動部材の少なくともいずれかに設けたセグメントウォームギアと、
前記セグメントウォームギアに噛み合うウォームと従動傘ギアを有する伝達軸と、
一端に前記従動傘ギアに噛み合う駆動傘ギアを有し、他端が前記ロータ本体から露出する幅調整部材とからなることが好ましい。
また、前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材に設けた第1セグメントウォームギアと、
前記第2可動部材に設けた第2セグメントウォームギアと、
前記第1セグメントウォームギアに噛み合う第1ウォームと第1従動傘ギアを有する第1伝達軸と、
前記第2セグメントウォームギアに噛み合う第2ウォームと第2従動傘ギアを有する第2伝達軸と、
一端に前記第1従動傘ギアと前記第2従動傘ギアに噛み合う駆動傘ギアを有し、他端が前記ロータ本体から露出する幅調整部材とからなることが好ましい、
これによれば、幅調整部材を左右に回転することにより、第1従動傘ギアを介して第1ウォームが回転し、第2従動傘ギアを介して第2ウォームが回転し、それぞれ第1セグメントウォームギア、第2セグメントウォームギアを介して第1可動部材と第2可動部材を相対的に回転させることができる。
【0017】
(8)前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材と前記第2可動部材の少なくともいずれかに設けたセグメントギアと、
一端に前記セグメントギアに噛み合う駆動ギアを有し、他端が前記ロータ本体から露出する幅調整部材とからなることが好ましい。
また、前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材に設けた第1セグメントギアと、
前記第2可動部材に設けた第2セグメントギアと、
一端に前記第1セグメントギアに噛み合う第1駆動ギアと前記第2セグメントギアに噛み合う第2駆動ギアとを有し、他端が前記ロータ本体から露出する幅調整部材とからなることが好ましい。
これによれば、幅調整部材を左右に回転することにより、第1セグメントギア、第2セグメントギアを介して第1可動部材と第2可動部材を相対的に回転させることができる。
【0018】
(9)前記幅調整部材の前記駆動ギアは減速ギアを介して前記セグメントギアに噛み合うようにして、微調整を可能にし、分解能を上げることができる。
【0019】
(10)前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材と前記第2可動部材の少なくともいずれかに設けたA突起及びB突起と、
一端に前記A突起に摺接するAカム及び前記B突起に摺接するBカムを有し、他端が前記ロータ本体から露出する幅調整部材とからなることが好ましい。
また、前記可動部材移動機構は、
前記第1可動部材に設けたA突起及びB突起と
前記第2可動部材に設けたA突起及びB突起と、
前記第1可動部材の前記A突起に摺接するAカム及び前記B突起に摺接するBカムを有する第1調整軸と、前記第2可動部材の前記A突起に摺接するAカム及び前記B突起に摺接するBカムを有する第2調整軸とで構成され、前記第1調整軸と前記第2調整軸が互いに連動する幅調整部材とからなることが好ましい。
これによれば、幅調整部材の第1調整軸と第2調整軸のいずれかを左右に回転することにより、第1調整軸と第2調整軸が連動して回転し、第1調整軸のAカム及びBカムと、第1可動部材のA突起及びB突起が摺接し、第2調整軸のAカム及びBカムと、第2可動部材のA突起及びB突起が摺接して、第1可動部材と第2可動部材を相対的に回転させることができる。
【0020】
(11)前記ロータは、円錐形状の上面と逆円錐形状の外周側面を有し、
前記円錐形状の上面は、複数の扇形斜面からなる円錐形状を有し、
前記複数の扇形斜面はそれぞれ、周方向一端の傾斜が周方向他端の傾斜より急であり、外周縁の高さが前記ロータの回転方向と反対方向に向かって漸次高くなるように形成されていることが好ましい。
(12)隣接する前記複数の扇形斜面の間に半径方向外方に向かうにつれて大きくなる段差を有することが好ましい。
(13)前記ロータは、ロータ本体の上に載置されるロータカバーを有し、
前記複数の扇形斜面は前記ロータカバーの上面に形成されていることが好ましい。
(14)前記ロータカバーは、前記ロータ本体に磁石により吸着していることが好ましい。
(15)前記ロータカバーは、前記ロータ本体の逆円錐形の外周面と連続する逆円錐形の外周面を有し、
前記ロータカバーの外周面の下端に周方向に等間隔に形成された複数の係合段差を有し、前記複数の係合段差は、前記ロータ本体の上端に形成された段部と係合することが好ましい。
【0021】
(16)前記ロータを収容する錠剤カセットとすることが好ましい。
【0022】
その他、本発明は、カセット本体内の錠剤をロータとカセット本体の間の錠剤ポケットに確実に誘導する錠剤誘導手段を提供する。従来、錠剤カセットのカセット本体に収容されている錠剤が残り少なくなってくると、錠剤がロータに乗ったままロータとともに回転し続けて、ロータとカセット本体の間の錠剤ポケットに進入せず、排出できない問題があった。錠剤誘導手段は、このような問題を解決するものである。
(17)すなわち、本発明は、錠剤を収容するカセット本体に回転可能に収容され、前記カセット本体内の錠剤を受け入れる錠剤ポケットと、該錠剤ポケットの錠剤を前記カセット本体に設けられた錠剤排出孔に案内する複数の錠剤案内路とを有するロータにおいて、
前記ロータは、円錐形状の上面と逆円錐形状の外周側面を有し、
前記円錐形状の上面は、複数の扇形斜面からなる円錐形状を有し、
前記複数の扇形斜面はそれぞれ、周方向一端の半径が周方向他端の半径より小さく、周方向一端の傾斜が周方向他端の傾斜より急であり、外周縁の高さが前記ロータの回転方向と反対方向に向かって漸次高くなるように形成されている。
(18)隣接する前記複数の扇形斜面の間に半径方向外方に向かうにつれて大きくなる段差を有することが好ましい。
(19)前記ロータは、ロータ本体の上に載置されるロータカバーを有し、
前記複数の扇形斜面は前記ロータカバーの上面に形成されていることが好ましい。
(20)前記ロータカバーは、前記ロータ本体に磁石により吸着していることが好ましい。
(21)前記ロータカバーは、前記ロータ本体の逆円錐形の外周面と連続する逆円錐形の外周面を有し、
前記ロータカバーの外周面の下端に周方向に等間隔に形成された複数の係合段差を有し、前記複数の係合段差は、前記ロータ本体の上端に形成された段部と係合することが好ましい。
(22)前記ロータを収容する錠剤カセットとすることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ロータ昇降機構により、錠剤の厚さに合わせてロータを昇降させて、錠剤案内路の深さを調整することができる。また、錠剤支持台昇降機構により、仕切部材を固定したまま、錠剤の高さに合わせて錠剤支持台を昇降させて、錠剤案内路の仕切位置を調整することができる。さらに、可動部材移動機構により、錠剤の大きさに合わせて第1可動部材と第2可動部材を相対的に回転させることで、錠剤案内路の幅を調整することができる。これらの機構は、全てロータに設けられているので、カセット本体側を調整することなく、ロータ側で調整することができる。特にカセット本体に設けられる仕切部材の位置を変えずに固定しておいて、仕切部材の下方の錠剤支持台を昇降させることで、仕切部材による錠剤の仕切位置を調整することができる。
【0024】
各錠剤案内路を構成する傾斜外面、錠剤支持台及び第1,第2垂直突片がそれぞれ全ての錠剤案内路に対して単一の部品からなるので、部品点数が少ない。また、ロータ本体から露出する調整部材により、錠剤案内路の深さ、仕切位置及び幅を錠剤の形状及び大きさに合わせて調整することができるので、多くの形状と大きさの錠剤を扱うことができる。さらに、各調整部材は、ロータ本体から露出しているので、各調整部材を自動的に駆動する駆動軸を有する装置を用いて、形状及び大きさの異なる錠剤の種類に応じて調整部材の回転量を予め設定しておけば、各錠剤に適した錠剤案内路の深さ、仕切位置、幅を自動調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係るロータを備えた錠剤カセットの側方斜め上からから見た一部断面斜視図(a)、一部断面側面図(b)。
【
図2A】ロータの下方から見た全体斜視図(a)、平板状の仕切部材を有する錠剤カセットの部分断面図(b)、円弧状の仕切部材を有する錠剤カセットの部分断面図(c)。
【
図5】ロータカバーの斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図6A】ロータカバーの平面図(a)、ロータカバー上の錠剤が移動する状況を示す平面図(b、c)。
【
図6B】ロータカバー上の錠剤が移動する状況を示す断面図(a)、他の実施例におけるロータカバー上の錠剤が移動する状況を示す断面図(b)。
【
図7】ロータ本体の斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図8】ロータベースの斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図9】ロータを小さい錠剤用に調整した錠剤カセットの一部断面側面図(a)、ロータを大きい錠剤用に調整した錠剤カセットの一部断面側面図(b)。
【
図11】ロータを小さい錠剤用に調整した錠剤カセットの一部断面側面図(a)、ロータを大きい錠剤用に調整した錠剤カセットの一部断面側面図(b)。
【
図13】第1可動部材の斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図14】第2可動部材の斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図15】第1可動部材(a)と第2可動部材(b)の平面図。
【
図17】第1支持部材の斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図18】第2支持部材の斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図19】小さい錠剤用に調整したロータの平面図(a)、大きい錠剤用に調整したロータの平面図(b)。
【
図20】小さい錠剤用に調整したロータの斜視図(a)、大きい錠剤用に調整したロータの斜視図(b)。
【
図22】可動部材移動機構の変形例1を示す斜視図。
【
図23】第1可動部材の斜め下から見た斜視図(a)、第2可動部材の斜め上から見た斜視図(b)
【
図24】ウォーム機構を有する第2支持部材の斜視図。
【
図25】可動部材移動機構の変形例2における第1可動部材(a)と第2可動部材(b)の平面図。
【
図26】可動部材移動機構の変形例3における分解斜視図(a)、調整ねじの正面図(b)。
【
図27】
図26の可動部材移動機構の第1可動部材側から見た平面図(a)、第2可動部材側から見た低面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
図1は、錠剤収納払出装置に装着される錠剤カセット1を示す。錠剤カセット1は、ベース2上に設けられたカセット本体3と、該カセット本体3に収容された本発明に係るロータ4とからなっている。
【0027】
カセット本体3は、多数の錠剤Tを収容可能な錠剤収容部5と、この錠剤収容部5より下方に設けられ、ロータ4を収容するロータ収容部6とから構成されている。錠剤収容部5の上端は開口し、図示しない蓋で開閉可能になっている。ロータ収容部6は逆円錐形の上部傾斜内面6aと、円筒形の下部垂直内面6bと、底面6cとを有している。上部傾斜内面6aの下部から底面6cにかけて錠剤排出孔7が形成されている。錠剤排出孔7は、ベース2に形成された錠剤排出路2aに連通している。カセット本体3の外側には、仕切部材8が取り付けられ、該仕切部材8の先端はロータ収容部6の外側から内側に差し込まれている。底面6cの中央にはロータ軸孔9が形成されている。
【0028】
仕切部材8は、
図2A(a)に示すように、上面が凸の円弧状に形成されている。
図2A(b)に示すように、仕切部材8’が円弧状でなく平板状に形成され、仕切部材8’と錠剤案内路4bの最下位の錠剤Tとの間の隙間S’が狭い場合、錠剤Tが仕切部材8’に引っ掛かって、落下しないことがある。この場合、錠剤Tの落下を可能にするために、2点鎖線で示すように仕切部材8’を高くすると、仕切部材8’が下から2番目の錠剤に当たって最下位の錠剤と下から2番目の錠剤を円滑に仕切ることができない。本実施形態では、仕切部材8が上に凸の円弧状に形成しているので、
図2A(c)に示すように、仕切部材8の中央部が高くなり、仕切部材8と錠剤案内路4bの最下位の錠剤Tとの間の隙間Sが広くなり、最下位の錠剤Tが仕切部材8に引っ掛かることになく落下することができる一方、
図2A(a)に示すように、仕切部材8の両端が中央部より低くなり、最下位の錠剤T1と下から2番目の錠剤T2を円滑に仕切ることができるという2つの機能を十分に発揮することができる。
【0029】
ロータ4は、
図2Bに示すように、上面が円錐形、側面が逆円錐形、底面が平坦な形状を有している。ロータの側面上部には、周方向に錠剤ポケット4aが設けられ、該錠剤ポケット4aから下方に延びる複数の錠剤案内路4bが周方向に等間隔に設けられている。
【0030】
錠剤ポケット4aは、後述するロータ本体20の外周面と、後述する第1可動部材50の第1水平突片54と第2可動部材60の第2水平突片64とで形成され、カセット本体3の上部傾斜内面6aに囲まれて、カセット本体3の錠剤収容部5の錠剤Tを受け入れて周方向に整列させる。
【0031】
錠剤案内路4bは、後述するロータ本体20の下向き突部22の下部傾斜外面22cと、後述する第1可動部材50の第1垂直突片53、後述する第2可動部材60の第2垂直突片63と、後述する環状昇降部材45の錠剤支持台47とで形成され、カセット本体3の上部傾斜内面6aに覆われて、錠剤ポケット4aに整列している錠剤Tを受け入れて下方に案内する。
【0032】
図3は、分解状態のロータ4を示す。ロータ4は、主に、ロータカバー10、ロータ本体20、ロータベース30、筒状回転部材40、環状昇降部材45、第1可動部材50、第2可動部材60、カム部材70、第1支持部材80、第2支持部材90、厚さ調整ねじ101と、高さ調整ねじ102と、幅調整ねじ103とを有し、これらにより以下に説明するロータ昇降機構、錠剤支持台昇降機構、可動部材移動機構が構成されている。
【0033】
<ロータ昇降機構>
図4は、ロータ昇降機構を構成する部材を示す。ロータ昇降機構は、ロータカバー10と、ロータ本体20と、ロータベース30と、厚さ調整ねじ101とから構成されている。
【0034】
ロータカバー10は、
図5に示すように、全体的に傘形状を有している。ロータカバー10の上面は円錐形、外周面は逆円錐形に形成されている。ロータカバー10には、以下に説明するように、カセット本体3に収容された錠剤Tを錠剤ポケット4aに確実に誘導することを目的とするための手段が講じられている。ロータカバー10の上面は、
図6A(a)に示すように、中心に位置するツマミ11を要とする4つの扇形斜面12からなる。各扇形斜面12は、周方向の一端では半径(r1)が小さく、かつ、傾斜が急で、周方向の他端では半径(r2)が大きく、かつ、傾斜が緩くなるように形成されている。なお、外周面を円筒形にすることにより、扇形斜面12の周方向一端の半径(r1)と、周方向他端の半径(r2)を同一にすることができる。また、ロータカバー10の外周縁の高さは、ロータ4の回転方向(
図6A(a)において時計周り)と反対方向(
図6A(a)において反時計周り)に向かって漸次高くなるように形成されている。このため、
図6A(b)、6A(c)に示すように、ロータ4が時計周りに回転して、ロータカバー10の外周付近の半径r1のA点に位置する錠剤Tが、半径r2のB点に来る状態を考える。錠剤Tは、カセット本体3の内面と接触して抵抗を受けるので、ロータ4の回転より遅れて、ロータカバー10上を滑りながら移動する。錠剤Tは、ロータ4の時計周り方向の回転により、
図6B(a)に示すように、ロータカバー10の外周縁と錠剤Tとの接触点がAから斜め上のBまで移動する。すなわち、ロータカバー10が時計回りに回転するにつれて、錠剤Tはロータカバー10の外周縁によって上方へ押し上げられ、かつ、外方へ押し出される結果、錠剤Tは、2点鎖線で示すように、寝た状態から立った状態に向きを変えられて、ロータ4とカセット本体3の間の錠剤ポケット4aに確実に導入される。また、隣接する扇形斜面12の間には、
図5(a)に示すように、半径方向外方に向かうにつれて大きくなる段差13が形成されている。この段差13により、カセット本体3に収容された錠剤Tを撹拌することができる。また、ロータカバー10の外周の大きな段差13により、
図6B(a)に示すように、錠剤Tを寝た状態から立った状態に向きを変えることができ、錠剤Tを錠剤ポケット4aに導くことができる。なお、扇形斜面12は4つ形成されているが、その数は限定されず、2つ、3つでもよい。
【0035】
ロータカバー10の錠剤誘導手段により、カセット本体3に収容された錠剤Tを確実に錠剤ポケット4aに誘導し、各錠剤案内路4bを通って錠剤排出孔7に案内し、排出することができるので、各錠剤案内路4bから1つずつ一定の時間間隔で、短時間にスムーズに所要個数の錠剤Tを排出することができるという効果を有している。なお、ロータカバー10の錠剤誘導手段は、ロータ昇降機構、錠剤支持台昇降機構及び可動部材移動機構による錠剤案内路の調整手段がない一般のロータにも適用可能である。また、この錠剤誘導手段はロータ本体20の外面が逆円錐状でなく、円筒状であっても適用可能である。すなわち、
図6B(b)に示すように、ロータカバー10の逆円錐状の外周面から下方のロータ本体20の外周面が円筒状で、錠剤案内路4bが鉛直方向に延びていても既に述べた通り、ロータカバー10の扇形斜面12の作用により、錠剤Tを錠剤ポケット4aに確実に誘導することができる。
【0036】
図5(a)に示すように、ロータカバー10の外周面の下端は、鋸歯状に形成され、周囲6か所に係合段差14が形成されている。ロータカバー10の内面には、
図5(b)に示すように、環状リブ15が形成されている。環状リブ15の内側には、後述するロータ本体20の永久磁石27が吸着する磁性体の金属板16が取り付けられている。
【0037】
ロータ本体20は、
図7に示すように、円形の基部21と、下向き突部22と、環状部23と、ガイド部24とを有している。
【0038】
基部21にはその下面中央から下方に突出する軸部25が設けられ、該軸部25にねじ孔25aが形成されている。基部21の上面には、ロータカバー10の環状リブ15の内側に嵌合する環状リブ26と、後述する高さ調整ねじ102と幅調整ねじ103が露出する2つの孔21a,21bとが形成されている。基部21の上面の2箇所には、ロータカバー10の金属板16に吸着する永久磁石27が装着されている。
【0039】
下向き突部22は、基部21の外周縁の6等配位置から下方に延びている。下向き突部22は、垂直な内面22aと、基部21の外周縁から外方に下向きに傾斜する上部傾斜外面22bと、該上部傾斜外面22bの下端から内方に下向きに傾斜する下部傾斜外面22cとからなり、側面から見て三角形に形成されている。下部傾斜外面22cは錠剤案内路4bの底面を形成している。下向き突部22の下端には、スリット22dが形成されている。
【0040】
環状部23は、基部21の外側に同心に形成され、下向き突部22を介して基部21と接続されている。環状部23の外面は、ロータカバー10の外周面と連続する逆円錐形に形成されている。環状部23の上端は、鋸歯状に形成され、ロータカバー10の係合段差14と係合してロータカバー10を周方向に位置決めする段部28が形成されている。
【0041】
ガイド部24は、下向き突部22の間で、かつ、環状部23の内周縁の周6等配位置から、下方に延びている。ガイド部24の内面には、後述するロータベース30のガイド片32がスライド可能に係合するガイド溝24aが形成されている。ガイド片32とガイド溝24aが係合することによって、ロータベース30とロータ本体20は一体的に回転する。
【0042】
ロータベース30は、
図8に示すように、円形の基部31と、ガイド片32と、駆動軸33とを有している。
【0043】
基部31の上面には、中央に円形突部34と、その外側に環状壁35とが形成されている。円形突部34の中心に後述する厚さ調整ねじ101を支持する凹部34aが形成されている。凹部34aの横には、厚さ調整ねじ101の自由な回転を防止するストッパ36を収容する穴34bと、後述する第2支持部材90の2つのねじ挿通孔100に挿通された図示しないねじが螺合する2つのねじ孔34cが形成されている。円形突部34と環状壁35との間には後述する錠剤支持台昇降機構を収容する環状凹部37が形成されている。環状壁35には、周6等配位置に軸方向に延びる垂直スリット35aが形成され、この垂直スリット35aは基部31の環状凹部37から外周縁まで放射状に形成した水平スリット31aと連続している。環状壁35の外周面には複数の補強リブ35bが要所に設けられている。基部31の下面には、
図8(b)に示すように、中央に凹部31bが形成されている。
【0044】
ガイド片32は、基部31の外周縁の周6等配位置であって、かつ、隣接する水平スリット31aの間に、上方に突出している。ガイド片32はロータ本体20のガイド部24のガイド溝24aにスライド可能に係合するように形成されている。
【0045】
駆動軸33は、基部31の下面の凹部31bの底中央から軸方向に延びている。この駆動軸33には
図1に示す駆動ギア33aが取り付けられ、ベース2に設けた図示しないモータにより回転駆動するようになっている。
【0046】
厚さ調整ねじ101は、
図4に示すように、雄ねじ部101aと下端のギア部101bとを有している。雄ねじ部101aはロータ本体20のねじ孔25aに螺合し、下端のギア部101bはロータベース30の基部31の凹部34aに収容支持され、雄ねじ部101aの上端はロータ本体20のねじ孔25aから突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。ギア部101bの歯間には弾性片からなるストッパ36の先端が係止している。厚さ調整ねじ101の下端のギア部101bは、後述する可動部材移動機構の第2支持部材90の孔96よりも大きく形成され、厚さ調整ねじ101が第2支持部材90から上方に抜けないようになっている。
【0047】
<錠剤支持台昇降機構>
図10は、錠剤支持台昇降機構を構成する部材を示す。錠剤支持台昇降機構は、筒状回転部材40と、環状昇降部材45と、高さ調整ねじ102とから構成されている。
【0048】
筒状回転部材40は、外周下部に雄ねじ部41が形成され、内周上部に従動ギア42が形成されている。従動ギア42には筒状回転部材40の自由な回転を防止するストッパ43が係合している。
【0049】
環状昇降部材45は、外周の6等配位置に放射状にアーム46が突設され、各アーム46の先端に錠剤支持台47が形成されている。錠剤支持台47は、錠剤案内路4b内の最下位の錠剤Tを支持できるように、錠剤案内路4bに直交する傾斜面47aを有している。環状昇降部材45の内面には筒状回転部材40の雄ねじ部41と螺合する雌ねじ部が形成されている。
【0050】
高さ調整ねじ102は、下端に筒状回転部材40の従動ギア42に噛み合う駆動ギア102aを有している。高さ調整ねじ102の上端は、ロータ本体20の基部21の上面の孔21aから突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。
【0051】
筒状回転部材40と環状昇降部材45は互いに螺合した状態で、ロータベース30の環状凹部37に収容され、環状昇降部材45のアーム46がロータベース30の垂直スリット35aにスライド可能に嵌入し、錠剤支持台47がロータベース30の環状壁35の外側に突出し、錠剤案内路4b内の最下位の錠剤Tを支持するようになっている。
【0052】
<可動部材移動機構>
図12は、可動部材移動機構を構成する部材を示す。可動部材移動機構は、第1可動部材50と、第2可動部材60と、カム部材70と、第1支持部材80と、第2支持部材90と、幅調整ねじ103とから構成されている。
【0053】
図13に示すように、第1可動部材50は、円環状の基部51と、6つの壁部52と、第1垂直突片53と、第1水平突片54とを有している。基部51には、180度離れた位置に2つの第1調整孔55が形成されている。第1調整孔55は、
図15(a)に示すように、長孔で、その中心線は第1可動部材50の中心を通る半径方向の線に対して60度傾斜している。
図13に戻ると、基部51の外周縁の周6等配位置に、ロータ本体20の下向き突部22が係合する切欠き51aが形成されている。基部51の下面には、弓形のガイド部56が環状に配設されている。6つの壁部52は、基部51の外周縁の周6等配位置で、かつ、正面から見て左側の切欠き51a側に偏った位置から下向きに突出している。第1垂直突片53は、壁部52の正面から見て左側端から外方に突出し、前述した錠剤案内路4bの右側面を形成するものである。第1垂直突片53には仕切部材8が嵌入する切欠き53aが形成されている。第1水平突片54は、第1垂直突片53の上端から周方向に水平に正面から見て右側に向かって延び、前述した錠剤ポケット4aの底面を形成するものである。第1水平突片54の先端部上面は先端に向かって下向きのテーパ54aが形成されている。
【0054】
図14に示すように、第2可動部材60は、円環状の基部61と、6つの壁部62と、第2垂直突片63と、第2水平突片64とを有している。基部61には、180度離れた位置に2つの第2調整孔65が形成されている。第2調整孔65は、
図15(b)に示すように、長孔で、その中心線は、第1可動部材50の第1調整孔55と交差する方向で、第2可動部材60の中心を通る半径方向の線に対して60度傾斜している。
図14に戻ると、基部61の外周縁の周6等配位置に、ロータ本体20の下向き突部22が係合する切欠き61aが形成されている。基部61の上面には、弓形のガイド部66が環状に配設されている。6つの壁部62は、基部61の外周縁の周6等配位置で、かつ、正面から見て右側の切欠き61a側に偏った位置から下向きに突出している。第2垂直突片63は、壁部の正面から見て右側端から外方に突出し、前述した錠剤案内路4bの左側面を形成するものである。第2垂直突片63には仕切部材8が嵌入する切欠き63aが形成されている。第2水平突片64は、第2垂直突片63の上端から周方向に水平に正面から見て左側に向かって延び、第1可動部材50の第1水平突片54ととともに、前述した錠剤ポケット4aの底面を形成するものである。第2可動部材60の第2水平突片64の先端部は、第1可動部材50の第1水平突片54の先端部の下に重なるように形成されている。
【0055】
図16に示すように、カム部材70は、円環形状を有し、第1可動部材50と第2可動部材60の間に配設され、第1可動部材50の下面のガイド部56と第2可動部60材の上面のガイド部66にガイドされて回転可能になっている。カム部材70の内周には従動ギア71が形成され、内周と外周の間には2つの円弧状のカム溝72が形成されている。従動ギア71には、カム部材70の自由な回転を防止するストッパ73が係合している。カム溝72の一端から他端までの角度は約140°であるが、これに限るものではない。カム溝72は、
図16(b)に示すように、平面を見て時計周り方向に進むにしたがって外周縁に接近するように形成されている。各カム溝72には駆動ピン74が挿通されている。
【0056】
図17に示すように、第1支持部材80は、円形の基部81の下面に円形の突部82を有している。基部81には180°離れた位置に2つの第1ガイド孔83が形成されている。第1ガイド孔83は、長孔で、第1支持部材80の中心を通る半径方向に延びている。第1ガイド孔83には駆動ピン74の上端が嵌合している。基部81の外周縁の周6等配位置に、ロータ本体20の下向き突部22が係合する切欠き81aが形成されている。基部81の中央には、ロータ昇降機構の厚さ調整ねじ101が貫通する孔84と、錠剤支持台昇降機構の高さ調整ねじ102が貫通する孔85と、後述する幅調整ねじ103が貫通する孔86と、2つのねじ挿通孔87とが形成されている。
【0057】
図18に示すように、第2支持部材90は、円形の基部91の上面に、第1支持部材80の円形の突部82が嵌合する環状突部92が形成されている。基部91の下面に円形の大突部93と小突部94を有している。大突部93と小突部94は、前述の錠剤支持台昇降機構の筒状回転部材40に嵌入する大きさを有している。上面の環状突部92の外側には、180°離れた位置で、第1支持部材80の第1ガイド孔83と対応する位置に、第2ガイド孔95が形成されている。第2ガイド孔95は、長孔で、第2支持部材90の中心を通る半径方向に延びている。第2ガイド孔95には駆動ピン74の下端が嵌合している。基部91の中央には、ロータ昇降機構の厚さ調整ねじ101が貫通する孔96と、錠剤支持台昇降機構の高さ調整ねじ102が貫通する孔97及び切欠き97aと、後述する幅調整ねじ103の支軸103bが貫通する孔98と、第1支持部材80の2つのねじ挿通孔87に挿通される図示しないねじが螺合する2つのねじ孔99と、2つのねじ挿通孔100が形成されている。さらに、基部91には、錠剤支持台昇降機構のストッパ43が嵌合する貫通孔91aが形成されている。
【0058】
第1支持部材80のねじ挿通孔87から第2支持部材90のねじ孔99に図示しないねじを挿入して締め付けることで、第1支持部材80と第2支持部材90は第1可動部材50、第2可動部材60及びカム部材70を挟持した状態で一体とになっている。
また、第2支持部材90のねじ挿通孔100からロータベース30のねじ孔34cに図示しないねじを挿入して締め付けることで、第2支持部材90がロータベース30に固定されるとともに、第2支持部材90とロータベース30の間に錠剤支持台昇降機構の筒状回転部材40が保持され、軸方向の移動が拘束される。
【0059】
幅調整ねじ103は、
図16に示すように、中間にカム部材70の従動ギア71に噛み合う駆動ギア103aを有し、下端は支軸103bが突設されている。幅調整ねじ103の上端は、ロータ本体20の基部21の上面の孔21bから突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。
【0060】
次に、以上の構成からなる錠剤カセット1におけるロータ4の動作を説明する。
【0061】
図2Bを参照して既に述べたように、カセット本体3とロータ4の間には、ロータ4の側面上部に周方向に延びる錠剤ポケット4aと、ロータ4の側面上部から下方に延びる複数の錠剤案内路4bを有している。
【0062】
錠剤ポケット4aは、ロータ本体20の外周面によって形成される外周側面と、第1可動部材50の第1水平突片54及び第2可動部材60の第2水平突片64によって形成される周方向に等間隔で配置された底面とで構成されている。
【0063】
錠剤案内路4bは、ロータ本体20の下向き突部22の下部傾斜外面22cによって形成される底面と、第1可動部材50の第1垂直突片53によって形成される右側面と、第2可動部材60の第2垂直突片63によって形成される左側面と、錠剤支持台47によって形成される下端面とで構成されている。錠剤案内路4bは、隣接する錠剤ポケット4aからロータ4の底面に向かって延びている。
【0064】
図1(a)を参照すると、カセット本体3の錠剤収容部5に収容された錠剤Tは、ロータ4の回転により、ロータカバー10の段差13によって撹拌されながら錠剤ポケット4aに進入し、錠剤ポケット4aから錠剤案内路4bに進入し、錠剤案内路4bが錠剤排出孔7に近づくと、錠剤案内路4bの最下位の錠剤Tとそれより上の錠剤Tとの間にカセット本体3に固定された仕切部材8が進入する。仕切部材8より上方の錠剤Tは仕切部材8によって下方に落下するのを阻止される。仕切部材8より下方の最下位の錠剤Tは、錠剤支持台47にあるが、錠剤支持台47は傾斜面47aとなっているので、当該傾斜面47a上で錠剤排出口7に向かって倒れ、錠剤排出孔7から排出される。錠剤排出孔7から排出された錠剤Tは、ベース2の錠剤排出路2aを通って払い出される。これにより、錠剤案内路4bが錠剤排出孔7に回ってくる毎に、錠剤Tが1個ずつ排出される。ロータ4の回転角度を調整することで、処方に応じた数の錠剤Tを払い出すことができる。
【0065】
錠剤案内路4bは、前述したロータ昇降機構、錠剤支持台昇降機構、可動部材移動機構を用いて、錠剤Tの厚さに相当する深さD、錠剤の高さに相当する仕切位置H、錠剤Tの幅に相当する幅Wを調整することができる。このため、カセット本体3に収容する錠剤Tの形状と大きさに応じて、適切な大きさの錠剤案内路4bにすることができる。錠剤Tが異なるごとに、錠剤カセット1全体又はロータ4を交換することなく、同じ錠剤カセット1又はロータ4を用いて、種々の錠剤Tに合わせた錠剤案内路4bに調整することで、排出することができる。
【0066】
<錠剤案内路の深さ(厚さ)調整>
図9に示すように、錠剤Tの厚さに相当する錠剤案内路4bの深さDを調整するには、ロータ4に磁力で吸着しているロータカバー10を外し、ロータ本体20の上面に露出しているロータ昇降機構の厚さ調整ねじ101を左又は右に回転させる。
【0067】
図4を参照すると、厚さ調整ねじ101は、ギア部101bが第2支持部材90とロータベース30によって軸方向の移動が拘束され、またロータ本体20のガイド溝24aがロータベース30のガイド片32と係合することによってロータ本体20がロータベース30に対して回転することが拘束されているので、厚さ調整ねじ101を回転させると、厚さ調整ねじ101の雄ねじ部101aと螺合するねじ孔25aを有するロータ本体20がロータ4の回転軸方向に上昇又は下降する。これに伴い、錠剤案内路4bの底面を形成するロータ本体20の下向き突部22の下部傾斜外面22cも上昇又は下降する。
【0068】
図9を参照すると、下向き突部22の下部傾斜外面22cは、上から下に向かうにつれて径方向に外方から内方に向かって傾斜し、カセット本体3のロータ収容部6の逆円錐状の上部傾斜内面6aと平行になっている。このため、
図9(a)に示すように、ロータ本体3の下向き突部22の下部傾斜外面22cが下降すると、下向き突部22の下部傾斜外面22cとカセット本体3の逆円錐状の上部傾斜内面6aとの間の距離が縮小し、錠剤案内路4bの深さを浅く(D1)にすることができる。逆に、
図9(b)に示すように、ロータ本体3の下向き突部22の下部傾斜外面22cが上昇すると、下向き突部22の下部傾斜外面22cとカセット本体3の逆円錐状の上部傾斜内面6aとの間の距離が拡大し、錠剤案内路4bの深さを深く(D2)することができる。このように、厚さ調整ねじ101を左又は右に回転することで、錠剤案内路4bを通る錠剤Tの厚さに応じて、錠剤案内路4bの深さを調整することができる。なお、
図4に示す厚さ調整ねじ101のギア部101bが回転する毎に、ストッパ36の先端がギア部101bの歯を乗り越えて歯間に係合するので、厚さ調整ねじ101を適当な位置で止めて、ロータ本体20を所望の高さ位置に固定することができる。
【0069】
<錠剤案内路の仕切位置(高さ)調整>
図11に示すように、錠剤Tの高さに相当する錠剤案内路4bの仕切位置Hを調整するには、
図10において、ロータ本体20の上面に露出している錠剤支持台昇降機構の高さ調整ねじ102を左又は右に回転させる。本発明では、仕切部材8はカセット本体3に固定されているので、錠剤案内路4bの仕切位置Hを調整するのに、仕切部材8自体を移動させるのではなく、仕切部材8の下方にある錠剤支持台47を昇降させ、仕切部材8と錠剤支持台47との間の距離を調整することで、相対的に錠剤Tの仕切位置Hを調整するのである。
【0070】
図10を参照すると、高さ調整ねじ102の駆動ギア102aが筒状回転部材40の従動ギア42に噛み合っているので、高さ調整ねじ102を回転させると、筒状回転部材40が回転する。筒状回転部材40は、第2支持部材90とロータベース30により上下の移動が拘束されている。筒状回転部材40の雄ねじ部41に螺合する雌ねじ部48を有する環状昇降部材45はアーム46がロータベース30の環状壁35の垂直スリット35aを貫通していて回転が拘束されている。このため、筒状回転部材40の回転により、環状昇降部材45が昇降し、環状昇降部材45の錠剤支持台47が昇降する。
【0071】
すなわち、
図11(a)に示すように、筒状回転部材40が一方に回転すると、環状昇降部材45の錠剤支持台47が上昇し、錠剤支持台47に対する仕切部材8の位置、すなわち、仕切位置が低く(H1)なる。逆に、
図11(b)に示すように、筒状回転部材40が他方に回転すると、環状昇降部材45の錠剤支持台47が下降し、錠剤支持台47に対する仕切部材8の位置、すなわち、仕切位置が高く(H2)なる。なお、
図10に示す高さ調整ねじ102の回転により筒状回転部材40が回転する毎に、ストッパ43の先端が筒状回転部材40の従動ギア42の歯を乗り越えて歯間に係合するので、高さ調整ねじ102を適当な位置で止めて、錠剤支持台47を所望の高さ位置に固定することができる。
【0072】
<錠剤案内路の幅調整>
図19,20に示すように、錠剤Tの幅に相当する錠剤案内路4bの幅Wを調整するには、ロータ本体20の上面に露出している可動部材移動機構の幅調整ねじ103を左又は右に回転させる。
【0073】
図12を参照すると、幅調整ねじ103の駆動ギア103aがカム部材70の従動ギア71に噛み合っているので、幅調整ねじ103を回転させると、カム部材70が回転する。カム部材70の回転により、カム部材70のカム溝72が移動するので、カム溝72の縁が駆動ピン74を押圧する。駆動ピン74は、第1支持材80の第1ガイド孔83と第2支持部材90の第2ガイド孔95に沿って移動し、第1可動部材50の第1調整孔55と第2可動部材60の第2調整孔65の縁を押圧する。この結果、第1可動部材50と第2可動部材60は互いに反対方向に回転する。
なお、
図12の可動部材移動機構は、第1可動部材50と第2可動部材60に第1調整孔55と第2調整孔65を設けて、第1可動部材50と第2可動部材60を回転させているが、第1可動部材50と第2可動部材60のいずれかに調整孔を設けて、第1可動部材50と第2可動部材60のいずれかを回転させるようにしてもよい。
【0074】
すなわち、
図19(a),20(a)に示すように、幅調整ねじ103の反時計周りの回転により、カム部材70が反時計周りに回転すると、駆動ピン74が外方に移動し、第1可動部材50が時計周りに回転し、第2可動部材60が反時計周りに回転して、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間隔が狭まり、錠剤案内路4bの幅が縮小(W1)する。逆に、
図19(b),20(b)に示すように、幅調整ねじ103の時計周りの回転により、カム部材70が時計周りに回転すると、駆動ピン74が内方に移動し、第1可動部材50が反時計周りに回転し、第2可動部材60が時計周りに回転して、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間隔が広がり、錠剤案内路4bの幅が拡大(W2)する。なお、
図12において、幅調整ねじ103の回転によりカム部材70が回転する毎に、ストッパ73の先端がカム部材70の従動ギア71の歯を乗り越えて歯間に係合するので、幅調整ねじ103を適当な位置で止めて、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間の錠剤案内路4bを所望の幅に固定することができる。
【0075】
<自動調整>
以上のように、前記実施形態の錠剤カセットに収容する錠剤の種類を変更する際には、厚さ調整ねじ、高さ調整ねじ、幅調整ねじを回転することで、当該錠剤の形状や大きさに適した錠剤案内路の深さ、高さ(仕切位置)及び幅に調整し、当該錠剤Tを円滑に排出できる。厚さ調整ねじ、高さ調整ねじ、幅調整ねじの回転量と錠剤案内路の深さ、高さ(仕切位置)及び幅は比例するので、これらの調整作業を自動的に行うことができる。
【0076】
すなわち、
図21に示すように、各種錠剤毎に、ロータ4の錠剤案内路4bの深さ、高さ(仕切位置)及び幅の適正値と、該適正値に対応する厚さ調整ねじ101、高さ調整ねじ102、幅調整ねじ103の回転量とを記憶する記憶装置201と、錠剤の種類を入力する入力装置202と、厚さ調整ねじ101、高さ調整ねじ102、幅調整ねじ103を回転駆動する駆動装置203とを備える自動調整装置200を設ける。自動調整装置200に、ロータカバーを外したロータ4をセットし、錠剤の種類を入力すると、入力装置202に入力された錠剤の種類に応じて、記憶装置201から厚さ調整ねじ101、高さ調整ねじ102、幅調整ねじ103の回転量を読み出し、当該回転量だけロータ4の厚さ調整ねじ101、高さ調整ねじ102、幅調整ねじ103を駆動装置203により回転することで、当該錠剤に適した錠剤案内路4bを有するロータ4に調整することができる。この自動調整装置200は、錠剤の種類を変更するときだけでなく、ロータ4の使用中に錠剤案内路4bの深さ、高さ(仕切位置)及び幅にずれが生じたロータ4を適正値に戻すのにも使用することができる。
【0077】
前記実施形態は、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内で種々変更することができる。例えば、前記実施形態の可動部材移動機構は、第1可動部材50と第2可動部材60の駆動にカム機構を利用したものであるが、カム機構に限らず、他の機構を用いることができる。以下、可動部材移動機構の他の変形例を説明する。
【0078】
<可動部材移動機構の変形例1>
図22は、第1可動部材50と第2可動部材60の駆動にウォーム機構を用いたものである。第1可動部材50には、
図23(a)に示すように、切欠き孔57が設けられ、該切欠き孔57の縁に、下方に突出する突出部58が設けられ、該突出部58に第1セグメントウォームギア59が形成されている。同様に、第2可動部材60には、
図23(b)に示すように、切欠き孔67が設けられ、該切欠き孔67の縁に、上方に突出する突出部68が設けられ、該突出部68に第2セグメントウォームギア69が形成されている。第1セグメントウォームギア59と第2セグメントウォームギア69は、
図22に示すように、第1可動部材50と第2可動部材60が重ねられたときに、同一平面上に位置し、かつ、同一ピッチ円上にあるように形成されている。
【0079】
図24に示すように、第2支持部材90には、第1伝達軸111、第2伝達軸112、幅調整ねじ113が取り付けられている。第1伝達軸111は、中間に第1セグメントウォームギア59に噛み合う第1ウォーム114、一端に第1従動傘ギア115を有する。同様に、第2伝達軸112は、中間に第2セグメントウォームギア69に噛み合う第2ウォーム116、一端に第2従動傘ギア117を有する。第1伝達軸111と第2伝達軸112は、それぞれの従動傘ギア115,117が互いに接近するように、約100°の角度で配置されている。幅調整ねじ113は、下端に第1伝達軸111の第1従動傘ギア115と第2伝達軸112の第2従動傘ギア117とに噛み合う駆動傘ギア118を有し、上部に図示しないストッパが係止するギア部113aを有し、上端はロータ本体20から上に露出し、操作可能になっている。
【0080】
幅調整ねじ113を左又は右に回転させると、幅調整ねじ113の駆動傘ギア118が第1伝達軸111の第1従動傘ギア115と第2伝達軸112の第2従動傘ギア117を駆動し、第1伝達軸111と第2伝達軸112が回転する。これにより、第1伝達軸111の第1ウォーム114に噛み合う第1セグメントウォームギア59を有する第1可動部材50と、第2伝達軸112の第2ウォーム116に噛み合う第2セグメントウォームギア69を有する第2可動部材60が互いに反対方向に回転する。これにより、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間隔、すなわち、錠剤案内路4bの幅を拡大したり、縮小することができる。
なお、
図22の幅調整ねじ113は、第1伝達軸111の第1従動傘ギア115と第2伝達軸112の第2従動傘ギア117に噛み合って、第1可動部材50と第2可動部材60を回転させているが、第1伝達軸111を設けずに第2伝達軸112のみを設けて、第2可動部材60のみを回転させ、又は第2伝達軸112を設けずに第1伝達軸111のみを設けて、第1可動部材50のみを回転させるようにしてもよい。
【0081】
<可動部材移動機構の変形例2>
図22のウォーム機構の代わりに平ギア機構を用いることもできる。すなわち、
図25(a),25(b)に示すように、第1可動部材50の第1セグメントギア121と第2可動部材60の第2セグメントギア122を対向させて形成する。幅調整ねじ123には、第1可動部材50の第1セグメントギア121に噛み合う第1駆動ギア123aと、第2可動部材60の第2セグメントギア122に噛み合う第2駆動ギア123bとを設ける。
【0082】
幅調整ねじ123を左又は右に回転させると、幅調整ねじ123の第1駆動ギア123aと噛み合う第1セグメントギア121を有する第1可動部材50と、幅調整ねじ123の第2駆動ギア123bと噛み合う第2セグメントギア122を有する第2可動部材60が互いに反対方向に回転する。これにより、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間隔、すなわち、錠剤案内路4bの幅を拡大したり、縮小することができる。なお、幅調整ねじ123による微調整を可能にし、分解能を上げるため、第1駆動ギア123aと第1セグメントギア121との間、第2駆動ギア123bと第2セグメントギア122との間に減速ギアを介設することが好ましい。
なお、
図25の幅調整ねじ123は、第1駆動ギア123aと第2駆動ギア123bを設けて第1可動部材50と第2可動部材60を回転させているが、第1駆動ギア123aを設けずに第2駆動ギア123bで第2可動部材60のみを回転させ、又は第2駆動ギア123bを設けずに第1駆動ギア123aで第1可動部材50のみを回転させるようにしてもよい。
【0083】
<可動部材移動機構の変形例3>
図26は、第1可動部材50と第2可動部材60の駆動にダブルカム機構を用いたものである。
【0084】
第1可動部材50には、環状の基部51の内周に2つの略半円型の切欠き51b、51cが隣り合って形成されている。第1可動部材50を上から見て時計回り方向の上流側に位置する切欠き51bの縁には、第1可動部材50の円周方向に対向するA突起131aとB突起131bが形成されている。A突起131aとB突起131bは、後述する第1調整軸134のAカム134aとBカム134bに摺接するカムフォロアとなる。
【0085】
同様に、第2可動部材60には、環状の基部61の内周に2つの略半円型の切欠き61b、61cが隣り合って形成されている。第2可動部材60を上から見て時計回り方向の下流側に位置する切欠き61cの縁には、第2可動部材60の円周方向に対向するA突起132aとB突起132bが形成されている。A突起132aとB突起132bは、後述する第2調整軸135のAカム135aとBカム135bに摺接するカムフォロアとなる。
【0086】
幅調整ねじ133は、第1調整軸134と第2調整軸135からなっている。第1調整軸134は、第1可動部材50と第2可動部材60の上から見て時計回り方向の上流側に位置する互いに重なり合った切欠き51b、61b内に配置されている。第2調整軸135は、第1可動部材50と第2可動部材60の上から見て時計回り方向の下流側に位置する互いに重なり合った切欠き51c、61c内に配置されている。第2調整軸135には、幅調整ねじ133の自由な回転を防止するストッパ136が設けられている。
【0087】
第1調整軸134は、上端から順にAカム134a、Bカム134b、ギア134cが形成されている。Aカム134aは、
図27(a)に示すように、幅調整ねじ133を上から見て時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成され、第1可動部材50のA突起131aと摺接するようになっている。Bカム134bは、幅調整ねじ133を上から見て反時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成されて、第1可動部材50のB突起131bと摺接するようになっている。Aカム134aの最大半径部とBカム134bの最大半径部は180°離れて位置する。第1調整軸134の上端は第1支持部材80に支持され、下端は第2支持部材90に支持されている。
【0088】
同様に、第2調整軸135は、下端から順にAカム135a、Bカム135b、ギア135cが形成されている。Aカム135aは、
図27(b)に示すように、幅調整ねじ133を下から見て時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成され、第2可動部材60のA突起132aと摺接するようになっている。Bカム135bは、幅調整ねじ133を下から見て反時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成されて、第2可動部材60のB突起132bと摺接するようになっている。Aカム135aの最大半径部とBカム135bの最大半径部は180°離れて位置する。第2調整軸のギア135cは、ギア134cと噛合して連動するように構成されている。第2調整軸135の上端は第1支持部材80を貫通してロータ本体20から突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。第2調整軸135の下端は第2支持部材90に支持されている。なお、第1調整軸134の上端が第1支持部材80を貫通してロータ本体20から突出して露出し、外部から回転調整可能にしてもよい。
【0089】
第2調整軸135を
図27(a)において時計回りに回転させると、第2調整軸135のギヤ135cから第1調整軸134のギヤ134cに回転力が伝達され、第1調整軸134は反時計周りに回転する。第1調整軸134の回転により、第1調整軸134のAカム134aが第1可動部材50のA突起131aに摺接して押圧するので、第1可動部材50は
図27(a)において時計回りに回動する。一方、第2調整軸135の回転により、
図27(b)に示すように、第2調整軸135のAカム135aが第2可動部材60のA突起132aに摺接して押圧するので、第2可動部材60は
図27(a)において反時計回りに回動する。
【0090】
続いて、第2調整軸135を
図27(a)において反時計回りに回転させると、第2調整軸135のギヤ135cから第1調整軸134のギヤ134cに回転力が伝達され、第1調整軸134は時計周りに回転する。第1調整軸134の回転により、第1調整軸134のBカム134bが第1可動部材50のB突起131bに摺接して押圧するので、第1可動部材50は
図27(a)において反時計回りに回動する。一方、第2調整軸135の回転により、
図27(b)に示すように、第2調整軸135のBカム135bが第2可動部材60のB突起132bに摺接して押圧するので、第2可動部材60は
図27(a)において時計回りに回動する。
【0091】
このように、第1可動部材50と第2可動部材60は互いに反対方向に回転し、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間隔、すなわち、錠剤案内路4bの幅を拡大したり、縮小することができる。
なお、
図26の幅調整ねじ133は、第1調整軸134と第2調整軸135とで構成されているが、第1調整軸134を設けずに第2調整軸135で第2可動部材60のみを回転させ、又は第2調整軸135を設けずに第1調整軸134で第1可動部材50のみを回転させるようにしてもよい。
【0092】
<ロータ本体の変形例>
図7に示すロータ本体20は、一体に形成されているが、
図28に示すように、下向突部22と環状部23とからなる第1部分20aと、基部21とガイド部24からなる第2部分20bとを別部材で構成してもよい。
【符号の説明】
【0093】
T 錠剤
1 錠剤カセット
2 ベース
3 カセット本体
4 ロータ
4a 錠剤ポケット
4b 錠剤案内路
5 錠剤収容部
6 ロータ収容部
6a 上部傾斜内面
6b 下部垂直内面
7 錠剤排出孔
8 仕切部材
10 ロータカバー
13 段差
14 係合段差
20 ロータ本体
22 下向き突部
22c 下部傾斜外面
25a ねじ孔
28 段部
30 ロータベース
40 筒状回転部材
41 雄ネジ部
42 従動ギア
45 環状昇降部材
47 錠剤支持台
50 第1可動部材
53 第1垂直突片(第1垂直部)
54 第1水平突片(第1水平部)
55 第1調整孔
59 第1セグメントウォームギア
60 第2可動部材
63 第2垂直突片(第2垂直部)
64 第2水平突片(第2水平部)
65 第2調整孔
69 第2セグメントウォームギア
70 カム部材
72 カム溝
74 駆動ピン
80 第1支持部材
83 第1ガイド孔
90 第2支持部材
95 第2ガイド孔
101 厚さ調整ねじ(厚さ調整部材)
102 高さ調整ねじ(高さ調整部材)
103 幅調整ねじ(幅調整部材)
111 第1伝達部材
112 第2伝達部材
113 幅調整ねじ(幅調整部材)
114 第1ウォーム
115 第1従動傘ギア
116 第2ウォーム
117 第2従動傘ギア
118 駆動傘ギア
121 第1セグメントギア
122 第2セグメントギア
123 幅調整ねじ(幅調整部材)
131a A突起
131b B突起
132a A突起
132b B突起
133 幅調整ねじ(幅調整部材)
134 第1調整軸
134a Aカム
134b Bカム
135 第2調整軸
135a Aカム
135b Bカム
【手続補正書】
【提出日】2022-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を収容するカセット本体と、
前記錠剤カセット本体に回転可能に収容され、前記カセット本体内の錠剤を前記カセット本体に設けられた錠剤排出孔に案内する複数の錠剤案内路を有するロータと、
前記カセット本体の前記錠剤排出孔の上方に設けられた仕切部材とを備え、
前記仕切部材より上方の錠剤が下方に落下するのを阻止するように構成された錠剤カセットにおいて、
前記仕切部材は中央部が前記ロータの回転方向上流側と下流側の端部より高く形成されていることを特徴とする錠剤カセット。
【請求項2】
前記仕切部材は、上に凸の円弧状であることを特徴とする請求項1に記載の錠剤カセット。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は錠剤収納払出装置に備えられる錠剤カセットであって、多数の錠剤を収納し、処方に従って必要数だけ錠剤を取り出す錠剤カセットに関する。
【背景技術】
【0002】
調剤薬局や病院に設置される錠剤収納払出装置は、多くの患者に対して迅速、確実、安全に処方に応じた錠剤を自動的に提供できる。錠剤には、円形、楕円形、球形、カプセル形、糖衣形等多くの形状、大きさのものがあるが、錠剤収納払出装置はできるだけ多くの種類の錠剤を払い出せることが望ましい。
【0003】
錠剤収納払出装置は、異なる種類の錠剤を収納し払い出すことができる多数の錠剤カセットを備えている。各錠剤カセットは、錠剤を収納するカセット本体と、該カセット本体の底に回転駆動可能に配設されたロータとからなっている。ロータが回転すると、カセット本体内の錠剤がロータに形成された複数の錠剤案内路に順に案内され、各錠剤案内路がカセット本体の錠剤排出孔と一致した時点で、錠剤案内路の最下部の錠剤とその上方の錠剤とが仕切部材によって仕切られて、最下部の錠剤のみが錠剤排出孔から排出される。
【0004】
本願出願人は、特許文献1において、錠剤の種類に応じてロータの錠剤案内路の幅、深さを変更できる錠剤カセットを提案している。特許文献1の錠剤カセットは、錠剤案内路の深さ方向の面を形成する可動片をロータの半径方向に移動させる可動片移動機構と、錠剤案内路の幅方向の面を形成する側壁を有する第1と第2の可動部材をロータの周方向に相対的に移動させる幅調整機構と、錠剤案内路に沿って複数の錠剤押さえ部材を設け、いずれかの錠剤押さえ部材を押し付け部材で押し付けて最下位の錠剤より上の錠剤を保持することにより、最下位の錠剤のみを排出する錠剤仕切機構とを有している。特許文献1の錠剤カセットは、錠剤案内路の深さ、幅、仕切位置を調整することができるので、多くの形状や大きさの錠剤を扱うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開番号WO2012/096328
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、仕切部材と錠剤案内路の最下位の錠剤との間の隙間が狭い場合、錠剤が仕切部材に引っ掛かって落下しないという問題があった。また、仕切部材を高くすると、仕切部材が下から2番目の錠剤に当たって、最下位の錠剤と下から2番目の錠剤を円滑に仕切ることができないという問題があった。
本発明は、錠剤が仕切部材に引っ掛かるのを防止するとともに、最下位の錠剤と下から2番目の錠剤を円滑に仕切ることができる仕切部材を備えた錠剤カセットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための第1の手段として、本発明は、
(1)錠剤を収容するカセット本体と、
前記錠剤カセット本体に回転可能に収容され、前記カセット本体内の錠剤を前記カセット本体に設けられた錠剤排出孔に案内する複数の錠剤案内路を有するロータと、
前記カセット本体の前記錠剤排出孔の上方に設けられた仕切部材とを備え、
前記仕切部材より上方の錠剤が下方に落下するのを阻止するように構成された錠剤カセットにおいて、
前記仕切部材は中央部が前記ロータの回転方向上流側と下流側の端部より高く形成されていることを特徴とする。
【0008】
(2)前記仕切部材は、上に凸の円弧状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、錠剤が仕切部材に引っ掛かるのを防止するとともに、最下位の錠剤と下から2番目の錠剤を円滑に仕切ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係
る錠剤カセットの側方斜め上からから見た一部断面斜視図(a)、一部断面側面図(b)。
【
図2A】ロータの下方から見た全体斜視図(a)、平板状の仕切部材を有する錠剤カセットの部分断面図(b)、円弧状の仕切部材を有する錠剤カセットの部分断面図(c)。
【
図5】ロータカバーの斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図6A】ロータカバーの平面図(a)、ロータカバー上の錠剤が移動する状況を示す平面図(b、c)。
【
図6B】ロータカバー上の錠剤が移動する状況を示す断面図(a)、他の実施例におけるロータカバー上の錠剤が移動する状況を示す断面図(b)。
【
図7】ロータ本体の斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図8】ロータベースの斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図9】ロータを小さい錠剤用に調整した錠剤カセットの一部断面側面図(a)、ロータを大きい錠剤用に調整した錠剤カセットの一部断面側面図(b)。
【
図11】ロータを小さい錠剤用に調整した錠剤カセットの一部断面側面図(a)、ロータを大きい錠剤用に調整した錠剤カセットの一部断面側面図(b)。
【
図13】第1可動部材の斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図14】第2可動部材の斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図15】第1可動部材(a)と第2可動部材(b)の平面図。
【
図17】第1支持部材の斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図18】第2支持部材の斜め上から見た斜視図(a)、及び斜め下から見た斜視図(b)。
【
図19】小さい錠剤用に調整したロータの平面図(a)、大きい錠剤用に調整したロータの平面図(b)。
【
図20】小さい錠剤用に調整したロータの斜視図(a)、大きい錠剤用に調整したロータの斜視図(b)。
【
図22】可動部材移動機構の変形例1を示す斜視図。
【
図23】第1可動部材の斜め下から見た斜視図(a)、第2可動部材の斜め上から見た斜視図(b)
【
図24】ウォーム機構を有する第2支持部材の斜視図。
【
図25】可動部材移動機構の変形例2における第1可動部材(a)と第2可動部材(b)の平面図。
【
図26】可動部材移動機構の変形例3における分解斜視図(a)、調整ねじの正面図(b)。
【
図27】
図26の可動部材移動機構の第1可動部材側から見た平面図(a)、第2可動部材側から見た低面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
図1は、錠剤収納払出装置に装着される錠剤カセット1を示す。錠剤カセット1は、ベース2上に設けられたカセット本体3と、該カセット本体3に収容された本発明に係るロータ4とからなっている。
【0012】
カセット本体3は、多数の錠剤Tを収容可能な錠剤収容部5と、この錠剤収容部5より下方に設けられ、ロータ4を収容するロータ収容部6とから構成されている。錠剤収容部5の上端は開口し、図示しない蓋で開閉可能になっている。ロータ収容部6は逆円錐形の上部傾斜内面6aと、円筒形の下部垂直内面6bと、底面6cとを有している。上部傾斜内面6aの下部から底面6cにかけて錠剤排出孔7が形成されている。錠剤排出孔7は、ベース2に形成された錠剤排出路2aに連通している。カセット本体3の外側には、仕切部材8が取り付けられ、該仕切部材8の先端はロータ収容部6の外側から内側に差し込まれている。底面6cの中央にはロータ軸孔9が形成されている。
【0013】
仕切部材8は、
図2A(a)に示すように、上面が凸の円弧状に形成されている。
図2A(b)に示すように、仕切部材8’が円弧状でなく平板状に形成され、仕切部材8’と錠剤案内路4bの最下位の錠剤Tとの間の隙間S’が狭い場合、錠剤Tが仕切部材8’に引っ掛かって、落下しないことがある。この場合、錠剤Tの落下を可能にするために、2点鎖線で示すように仕切部材8’を高くすると、仕切部材8’が下から2番目の錠剤に当たって最下位の錠剤と下から2番目の錠剤を円滑に仕切ることができない。本実施形態では、仕切部材8が上に凸の円弧状に形成しているので、
図2A(c)に示すように、仕切部材8の中央部が高くなり、仕切部材8と錠剤案内路4bの最下位の錠剤Tとの間の隙間Sが広くなり、最下位の錠剤Tが仕切部材8に引っ掛かることになく落下することができる一方、
図2A(a)に示すように、仕切部材8の両端が中央部より低くなり、最下位の錠剤T1と下から2番目の錠剤T2を円滑に仕切ることができるという2つの機能を十分に発揮することができる。
【0014】
ロータ4は、
図2Bに示すように、上面が円錐形、側面が逆円錐形、底面が平坦な形状を有している。ロータの側面上部には、周方向に錠剤ポケット4aが設けられ、該錠剤ポケット4aから下方に延びる複数の錠剤案内路4bが周方向に等間隔に設けられている。
【0015】
錠剤ポケット4aは、後述するロータ本体20の外周面と、後述する第1可動部材50の第1水平突片54と第2可動部材60の第2水平突片64とで形成され、カセット本体3の上部傾斜内面6aに囲まれて、カセット本体3の錠剤収容部5の錠剤Tを受け入れて周方向に整列させる。
【0016】
錠剤案内路4bは、後述するロータ本体20の下向き突部22の下部傾斜外面22cと、後述する第1可動部材50の第1垂直突片53、後述する第2可動部材60の第2垂直突片63と、後述する環状昇降部材45の錠剤支持台47とで形成され、カセット本体3の上部傾斜内面6aに覆われて、錠剤ポケット4aに整列している錠剤Tを受け入れて下方に案内する。
【0017】
図3は、分解状態のロータ4を示す。ロータ4は、主に、ロータカバー10、ロータ本体20、ロータベース30、筒状回転部材40、環状昇降部材45、第1可動部材50、第2可動部材60、カム部材70、第1支持部材80、第2支持部材90、厚さ調整ねじ101と、高さ調整ねじ102と、幅調整ねじ103とを有し、これらにより以下に説明するロータ昇降機構、錠剤支持台昇降機構、可動部材移動機構が構成されている。
【0018】
<ロータ昇降機構>
図4は、ロータ昇降機構を構成する部材を示す。ロータ昇降機構は、ロータカバー10と、ロータ本体20と、ロータベース30と、厚さ調整ねじ101とから構成されている。
【0019】
ロータカバー10は、
図5に示すように、全体的に傘形状を有している。ロータカバー10の上面は円錐形、外周面は逆円錐形に形成されている。ロータカバー10には、以下に説明するように、カセット本体3に収容された錠剤Tを錠剤ポケット4aに確実に誘導することを目的とするための手段が講じられている。ロータカバー10の上面は、
図6A(a)に示すように、中心に位置するツマミ11を要とする4つの扇形斜面12からなる。各扇形斜面12は、周方向の一端では半径(r1)が小さく、かつ、傾斜が急で、周方向の他端では半径(r2)が大きく、かつ、傾斜が緩くなるように形成されている。なお、外周面を円筒形にすることにより、扇形斜面12の周方向一端の半径(r1)と、周方向他端の半径(r2)を同一にすることができる。また、ロータカバー10の外周縁の高さは、ロータ4の回転方向(
図6A(a)において時計周り)と反対方向(
図6A(a)において反時計周り)に向かって漸次高くなるように形成されている。このため、
図6A(b)、6A(c)に示すように、ロータ4が時計周りに回転して、ロータカバー10の外周付近の半径r1のA点に位置する錠剤Tが、半径r2のB点に来る状態を考える。錠剤Tは、カセット本体3の内面と接触して抵抗を受けるので、ロータ4の回転より遅れて、ロータカバー10上を滑りながら移動する。錠剤Tは、ロータ4の時計周り方向の回転により、
図6B(a)に示すように、ロータカバー10の外周縁と錠剤Tとの接触点がAから斜め上のBまで移動する。すなわち、ロータカバー10が時計回りに回転するにつれて、錠剤Tはロータカバー10の外周縁によって上方へ押し上げられ、かつ、外方へ押し出される結果、錠剤Tは、2点鎖線で示すように、寝た状態から立った状態に向きを変えられて、ロータ4とカセット本体3の間の錠剤ポケット4aに確実に導入される。また、隣接する扇形斜面12の間には、
図5(a)に示すように、半径方向外方に向かうにつれて大きくなる段差13が形成されている。この段差13により、カセット本体3に収容された錠剤Tを撹拌することができる。また、ロータカバー10の外周の大きな段差13により、
図6B(a)に示すように、錠剤Tを寝た状態から立った状態に向きを変えることができ、錠剤Tを錠剤ポケット4aに導くことができる。なお、扇形斜面12は4つ形成されているが、その数は限定されず、2つ、3つでもよい。
【0020】
ロータカバー10の錠剤誘導手段により、カセット本体3に収容された錠剤Tを確実に錠剤ポケット4aに誘導し、各錠剤案内路4bを通って錠剤排出孔7に案内し、排出することができるので、各錠剤案内路4bから1つずつ一定の時間間隔で、短時間にスムーズに所要個数の錠剤Tを排出することができるという効果を有している。なお、ロータカバー10の錠剤誘導手段は、ロータ昇降機構、錠剤支持台昇降機構及び可動部材移動機構による錠剤案内路の調整手段がない一般のロータにも適用可能である。また、この錠剤誘導手段はロータ本体20の外面が逆円錐状でなく、円筒状であっても適用可能である。すなわち、
図6B(b)に示すように、ロータカバー10の逆円錐状の外周面から下方のロータ本体20の外周面が円筒状で、錠剤案内路4bが鉛直方向に延びていても既に述べた通り、ロータカバー10の扇形斜面12の作用により、錠剤Tを錠剤ポケット4aに確実に誘導することができる。
【0021】
図5(a)に示すように、ロータカバー10の外周面の下端は、鋸歯状に形成され、周囲6か所に係合段差14が形成されている。ロータカバー10の内面には、
図5(b)に示すように、環状リブ15が形成されている。環状リブ15の内側には、後述するロータ本体20の永久磁石27が吸着する磁性体の金属板16が取り付けられている。
【0022】
ロータ本体20は、
図7に示すように、円形の基部21と、下向き突部22と、環状部23と、ガイド部24とを有している。
【0023】
基部21にはその下面中央から下方に突出する軸部25が設けられ、該軸部25にねじ孔25aが形成されている。基部21の上面には、ロータカバー10の環状リブ15の内側に嵌合する環状リブ26と、後述する高さ調整ねじ102と幅調整ねじ103が露出する2つの孔21a,21bとが形成されている。基部21の上面の2箇所には、ロータカバー10の金属板16に吸着する永久磁石27が装着されている。
【0024】
下向き突部22は、基部21の外周縁の6等配位置から下方に延びている。下向き突部22は、垂直な内面22aと、基部21の外周縁から外方に下向きに傾斜する上部傾斜外面22bと、該上部傾斜外面22bの下端から内方に下向きに傾斜する下部傾斜外面22cとからなり、側面から見て三角形に形成されている。下部傾斜外面22cは錠剤案内路4bの底面を形成している。下向き突部22の下端には、スリット22dが形成されている。
【0025】
環状部23は、基部21の外側に同心に形成され、下向き突部22を介して基部21と接続されている。環状部23の外面は、ロータカバー10の外周面と連続する逆円錐形に形成されている。環状部23の上端は、鋸歯状に形成され、ロータカバー10の係合段差14と係合してロータカバー10を周方向に位置決めする段部28が形成されている。
【0026】
ガイド部24は、下向き突部22の間で、かつ、環状部23の内周縁の周6等配位置から、下方に延びている。ガイド部24の内面には、後述するロータベース30のガイド片32がスライド可能に係合するガイド溝24aが形成されている。ガイド片32とガイド溝24aが係合することによって、ロータベース30とロータ本体20は一体的に回転する。
【0027】
ロータベース30は、
図8に示すように、円形の基部31と、ガイド片32と、駆動軸33とを有している。
【0028】
基部31の上面には、中央に円形突部34と、その外側に環状壁35とが形成されている。円形突部34の中心に後述する厚さ調整ねじ101を支持する凹部34aが形成されている。凹部34aの横には、厚さ調整ねじ101の自由な回転を防止するストッパ36を収容する穴34bと、後述する第2支持部材90の2つのねじ挿通孔100に挿通された図示しないねじが螺合する2つのねじ孔34cが形成されている。円形突部34と環状壁35との間には後述する錠剤支持台昇降機構を収容する環状凹部37が形成されている。環状壁35には、周6等配位置に軸方向に延びる垂直スリット35aが形成され、この垂直スリット35aは基部31の環状凹部37から外周縁まで放射状に形成した水平スリット31aと連続している。環状壁35の外周面には複数の補強リブ35bが要所に設けられている。基部31の下面には、
図8(b)に示すように、中央に凹部31bが形成されている。
【0029】
ガイド片32は、基部31の外周縁の周6等配位置であって、かつ、隣接する水平スリット31aの間に、上方に突出している。ガイド片32はロータ本体20のガイド部24のガイド溝24aにスライド可能に係合するように形成されている。
【0030】
駆動軸33は、基部31の下面の凹部31bの底中央から軸方向に延びている。この駆動軸33には
図1に示す駆動ギア33aが取り付けられ、ベース2に設けた図示しないモータにより回転駆動するようになっている。
【0031】
厚さ調整ねじ101は、
図4に示すように、雄ねじ部101aと下端のギア部101bとを有している。雄ねじ部101aはロータ本体20のねじ孔25aに螺合し、下端のギア部101bはロータベース30の基部31の凹部34aに収容支持され、雄ねじ部101aの上端はロータ本体20のねじ孔25aから突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。ギア部101bの歯間には弾性片からなるストッパ36の先端が係止している。厚さ調整ねじ101の下端のギア部101bは、後述する可動部材移動機構の第2支持部材90の孔96よりも大きく形成され、厚さ調整ねじ101が第2支持部材90から上方に抜けないようになっている。
【0032】
<錠剤支持台昇降機構>
図10は、錠剤支持台昇降機構を構成する部材を示す。錠剤支持台昇降機構は、筒状回転部材40と、環状昇降部材45と、高さ調整ねじ102とから構成されている。
【0033】
筒状回転部材40は、外周下部に雄ねじ部41が形成され、内周上部に従動ギア42が形成されている。従動ギア42には筒状回転部材40の自由な回転を防止するストッパ43が係合している。
【0034】
環状昇降部材45は、外周の6等配位置に放射状にアーム46が突設され、各アーム46の先端に錠剤支持台47が形成されている。錠剤支持台47は、錠剤案内路4b内の最下位の錠剤Tを支持できるように、錠剤案内路4bに直交する傾斜面47aを有している。環状昇降部材45の内面には筒状回転部材40の雄ねじ部41と螺合する雌ねじ部が形成されている。
【0035】
高さ調整ねじ102は、下端に筒状回転部材40の従動ギア42に噛み合う駆動ギア102aを有している。高さ調整ねじ102の上端は、ロータ本体20の基部21の上面の孔21aから突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。
【0036】
筒状回転部材40と環状昇降部材45は互いに螺合した状態で、ロータベース30の環状凹部37に収容され、環状昇降部材45のアーム46がロータベース30の垂直スリット35aにスライド可能に嵌入し、錠剤支持台47がロータベース30の環状壁35の外側に突出し、錠剤案内路4b内の最下位の錠剤Tを支持するようになっている。
【0037】
<可動部材移動機構>
図12は、可動部材移動機構を構成する部材を示す。可動部材移動機構は、第1可動部材50と、第2可動部材60と、カム部材70と、第1支持部材80と、第2支持部材90と、幅調整ねじ103とから構成されている。
【0038】
図13に示すように、第1可動部材50は、円環状の基部51と、6つの壁部52と、第1垂直突片53と、第1水平突片54とを有している。基部51には、180度離れた位置に2つの第1調整孔55が形成されている。第1調整孔55は、
図15(a)に示すように、長孔で、その中心線は第1可動部材50の中心を通る半径方向の線に対して60度傾斜している。
図13に戻ると、基部51の外周縁の周6等配位置に、ロータ本体20の下向き突部22が係合する切欠き51aが形成されている。基部51の下面には、弓形のガイド部56が環状に配設されている。6つの壁部52は、基部51の外周縁の周6等配位置で、かつ、正面から見て左側の切欠き51a側に偏った位置から下向きに突出している。第1垂直突片53は、壁部52の正面から見て左側端から外方に突出し、前述した錠剤案内路4bの右側面を形成するものである。第1垂直突片53には仕切部材8が嵌入する切欠き53aが形成されている。第1水平突片54は、第1垂直突片53の上端から周方向に水平に正面から見て右側に向かって延び、前述した錠剤ポケット4aの底面を形成するものである。第1水平突片54の先端部上面は先端に向かって下向きのテーパ54aが形成されている。
【0039】
図14に示すように、第2可動部材60は、円環状の基部61と、6つの壁部62と、第2垂直突片63と、第2水平突片64とを有している。基部61には、180度離れた位置に2つの第2調整孔65が形成されている。第2調整孔65は、
図15(b)に示すように、長孔で、その中心線は、第1可動部材50の第1調整孔55と交差する方向で、第2可動部材60の中心を通る半径方向の線に対して60度傾斜している。
図14に戻ると、基部61の外周縁の周6等配位置に、ロータ本体20の下向き突部22が係合する切欠き61aが形成されている。基部61の上面には、弓形のガイド部66が環状に配設されている。6つの壁部62は、基部61の外周縁の周6等配位置で、かつ、正面から見て右側の切欠き61a側に偏った位置から下向きに突出している。第2垂直突片63は、壁部の正面から見て右側端から外方に突出し、前述した錠剤案内路4bの左側面を形成するものである。第2垂直突片63には仕切部材8が嵌入する切欠き63aが形成されている。第2水平突片64は、第2垂直突片63の上端から周方向に水平に正面から見て左側に向かって延び、第1可動部材50の第1水平突片54ととともに、前述した錠剤ポケット4aの底面を形成するものである。第2可動部材60の第2水平突片64の先端部は、第1可動部材50の第1水平突片54の先端部の下に重なるように形成されている。
【0040】
図16に示すように、カム部材70は、円環形状を有し、第1可動部材50と第2可動部材60の間に配設され、第1可動部材50の下面のガイド部56と第2可動部60材の上面のガイド部66にガイドされて回転可能になっている。カム部材70の内周には従動ギア71が形成され、内周と外周の間には2つの円弧状のカム溝72が形成されている。従動ギア71には、カム部材70の自由な回転を防止するストッパ73が係合している。カム溝72の一端から他端までの角度は約140°であるが、これに限るものではない。カム溝72は、
図16(b)に示すように、平面を見て時計周り方向に進むにしたがって外周縁に接近するように形成されている。各カム溝72には駆動ピン74が挿通されている。
【0041】
図17に示すように、第1支持部材80は、円形の基部81の下面に円形の突部82を有している。基部81には180°離れた位置に2つの第1ガイド孔83が形成されている。第1ガイド孔83は、長孔で、第1支持部材80の中心を通る半径方向に延びている。第1ガイド孔83には駆動ピン74の上端が嵌合している。基部81の外周縁の周6等配位置に、ロータ本体20の下向き突部22が係合する切欠き81aが形成されている。基部81の中央には、ロータ昇降機構の厚さ調整ねじ101が貫通する孔84と、錠剤支持台昇降機構の高さ調整ねじ102が貫通する孔85と、後述する幅調整ねじ103が貫通する孔86と、2つのねじ挿通孔87とが形成されている。
【0042】
図18に示すように、第2支持部材90は、円形の基部91の上面に、第1支持部材80の円形の突部82が嵌合する環状突部92が形成されている。基部91の下面に円形の大突部93と小突部94を有している。大突部93と小突部94は、前述の錠剤支持台昇降機構の筒状回転部材40に嵌入する大きさを有している。上面の環状突部92の外側には、180°離れた位置で、第1支持部材80の第1ガイド孔83と対応する位置に、第2ガイド孔95が形成されている。第2ガイド孔95は、長孔で、第2支持部材90の中心を通る半径方向に延びている。第2ガイド孔95には駆動ピン74の下端が嵌合している。基部91の中央には、ロータ昇降機構の厚さ調整ねじ101が貫通する孔96と、錠剤支持台昇降機構の高さ調整ねじ102が貫通する孔97及び切欠き97aと、後述する幅調整ねじ103の支軸103bが貫通する孔98と、第1支持部材80の2つのねじ挿通孔87に挿通される図示しないねじが螺合する2つのねじ孔99と、2つのねじ挿通孔100が形成されている。さらに、基部91には、錠剤支持台昇降機構のストッパ43が嵌合する貫通孔91aが形成されている。
【0043】
第1支持部材80のねじ挿通孔87から第2支持部材90のねじ孔99に図示しないねじを挿入して締め付けることで、第1支持部材80と第2支持部材90は第1可動部材50、第2可動部材60及びカム部材70を挟持した状態で一体とになっている。
また、第2支持部材90のねじ挿通孔100からロータベース30のねじ孔34cに図示しないねじを挿入して締め付けることで、第2支持部材90がロータベース30に固定されるとともに、第2支持部材90とロータベース30の間に錠剤支持台昇降機構の筒状回転部材40が保持され、軸方向の移動が拘束される。
【0044】
幅調整ねじ103は、
図16に示すように、中間にカム部材70の従動ギア71に噛み合う駆動ギア103aを有し、下端は支軸103bが突設されている。幅調整ねじ103の上端は、ロータ本体20の基部21の上面の孔21bから突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。
【0045】
次に、以上の構成からなる錠剤カセット1におけるロータ4の動作を説明する。
【0046】
図2Bを参照して既に述べたように、カセット本体3とロータ4の間には、ロータ4の側面上部に周方向に延びる錠剤ポケット4aと、ロータ4の側面上部から下方に延びる複数の錠剤案内路4bを有している。
【0047】
錠剤ポケット4aは、ロータ本体20の外周面によって形成される外周側面と、第1可動部材50の第1水平突片54及び第2可動部材60の第2水平突片64によって形成される周方向に等間隔で配置された底面とで構成されている。
【0048】
錠剤案内路4bは、ロータ本体20の下向き突部22の下部傾斜外面22cによって形成される底面と、第1可動部材50の第1垂直突片53によって形成される右側面と、第2可動部材60の第2垂直突片63によって形成される左側面と、錠剤支持台47によって形成される下端面とで構成されている。錠剤案内路4bは、隣接する錠剤ポケット4aからロータ4の底面に向かって延びている。
【0049】
図1(a)を参照すると、カセット本体3の錠剤収容部5に収容された錠剤Tは、ロータ4の回転により、ロータカバー10の段差13によって撹拌されながら錠剤ポケット4aに進入し、錠剤ポケット4aから錠剤案内路4bに進入し、錠剤案内路4bが錠剤排出孔7に近づくと、錠剤案内路4bの最下位の錠剤Tとそれより上の錠剤Tとの間にカセット本体3に固定された仕切部材8が進入する。仕切部材8より上方の錠剤Tは仕切部材8によって下方に落下するのを阻止される。仕切部材8より下方の最下位の錠剤Tは、錠剤支持台47にあるが、錠剤支持台47は傾斜面47aとなっているので、当該傾斜面47a上で錠剤排出口7に向かって倒れ、錠剤排出孔7から排出される。錠剤排出孔7から排出された錠剤Tは、ベース2の錠剤排出路2aを通って払い出される。これにより、錠剤案内路4bが錠剤排出孔7に回ってくる毎に、錠剤Tが1個ずつ排出される。ロータ4の回転角度を調整することで、処方に応じた数の錠剤Tを払い出すことができる。
【0050】
錠剤案内路4bは、前述したロータ昇降機構、錠剤支持台昇降機構、可動部材移動機構を用いて、錠剤Tの厚さに相当する深さD、錠剤の高さに相当する仕切位置H、錠剤Tの幅に相当する幅Wを調整することができる。このため、カセット本体3に収容する錠剤Tの形状と大きさに応じて、適切な大きさの錠剤案内路4bにすることができる。錠剤Tが異なるごとに、錠剤カセット1全体又はロータ4を交換することなく、同じ錠剤カセット1又はロータ4を用いて、種々の錠剤Tに合わせた錠剤案内路4bに調整することで、排出することができる。
【0051】
<錠剤案内路の深さ(厚さ)調整>
図9に示すように、錠剤Tの厚さに相当する錠剤案内路4bの深さDを調整するには、ロータ4に磁力で吸着しているロータカバー10を外し、ロータ本体20の上面に露出しているロータ昇降機構の厚さ調整ねじ101を左又は右に回転させる。
【0052】
図4を参照すると、厚さ調整ねじ101は、ギア部101bが第2支持部材90とロータベース30によって軸方向の移動が拘束され、またロータ本体20のガイド溝24aがロータベース30のガイド片32と係合することによってロータ本体20がロータベース30に対して回転することが拘束されているので、厚さ調整ねじ101を回転させると、厚さ調整ねじ101の雄ねじ部101aと螺合するねじ孔25aを有するロータ本体20がロータ4の回転軸方向に上昇又は下降する。これに伴い、錠剤案内路4bの底面を形成するロータ本体20の下向き突部22の下部傾斜外面22cも上昇又は下降する。
【0053】
図9を参照すると、下向き突部22の下部傾斜外面22cは、上から下に向かうにつれて径方向に外方から内方に向かって傾斜し、カセット本体3のロータ収容部6の逆円錐状の上部傾斜内面6aと平行になっている。このため、
図9(a)に示すように、ロータ本体3の下向き突部22の下部傾斜外面22cが下降すると、下向き突部22の下部傾斜外面22cとカセット本体3の逆円錐状の上部傾斜内面6aとの間の距離が縮小し、錠剤案内路4bの深さを浅く(D1)にすることができる。逆に、
図9(b)に示すように、ロータ本体3の下向き突部22の下部傾斜外面22cが上昇すると、下向き突部22の下部傾斜外面22cとカセット本体3の逆円錐状の上部傾斜内面6aとの間の距離が拡大し、錠剤案内路4bの深さを深く(D2)することができる。このように、厚さ調整ねじ101を左又は右に回転することで、錠剤案内路4bを通る錠剤Tの厚さに応じて、錠剤案内路4bの深さを調整することができる。なお、
図4に示す厚さ調整ねじ101のギア部101bが回転する毎に、ストッパ36の先端がギア部101bの歯を乗り越えて歯間に係合するので、厚さ調整ねじ101を適当な位置で止めて、ロータ本体20を所望の高さ位置に固定することができる。
【0054】
<錠剤案内路の仕切位置(高さ)調整>
図11に示すように、錠剤Tの高さに相当する錠剤案内路4bの仕切位置Hを調整するには、
図10において、ロータ本体20の上面に露出している錠剤支持台昇降機構の高さ調整ねじ102を左又は右に回転させる。本発明では、仕切部材8はカセット本体3に固定されているので、錠剤案内路4bの仕切位置Hを調整するのに、仕切部材8自体を移動させるのではなく、仕切部材8の下方にある錠剤支持台47を昇降させ、仕切部材8と錠剤支持台47との間の距離を調整することで、相対的に錠剤Tの仕切位置Hを調整するのである。
【0055】
図10を参照すると、高さ調整ねじ102の駆動ギア102aが筒状回転部材40の従動ギア42に噛み合っているので、高さ調整ねじ102を回転させると、筒状回転部材40が回転する。筒状回転部材40は、第2支持部材90とロータベース30により上下の移動が拘束されている。筒状回転部材40の雄ねじ部41に螺合する雌ねじ部48を有する環状昇降部材45はアーム46がロータベース30の環状壁35の垂直スリット35aを貫通していて回転が拘束されている。このため、筒状回転部材40の回転により、環状昇降部材45が昇降し、環状昇降部材45の錠剤支持台47が昇降する。
【0056】
すなわち、
図11(a)に示すように、筒状回転部材40が一方に回転すると、環状昇降部材45の錠剤支持台47が上昇し、錠剤支持台47に対する仕切部材8の位置、すなわち、仕切位置が低く(H1)なる。逆に、
図11(b)に示すように、筒状回転部材40が他方に回転すると、環状昇降部材45の錠剤支持台47が下降し、錠剤支持台47に対する仕切部材8の位置、すなわち、仕切位置が高く(H2)なる。なお、
図10に示す高さ調整ねじ102の回転により筒状回転部材40が回転する毎に、ストッパ43の先端が筒状回転部材40の従動ギア42の歯を乗り越えて歯間に係合するので、高さ調整ねじ102を適当な位置で止めて、錠剤支持台47を所望の高さ位置に固定することができる。
【0057】
<錠剤案内路の幅調整>
図19,20に示すように、錠剤Tの幅に相当する錠剤案内路4bの幅Wを調整するには、ロータ本体20の上面に露出している可動部材移動機構の幅調整ねじ103を左又は右に回転させる。
【0058】
図12を参照すると、幅調整ねじ103の駆動ギア103aがカム部材70の従動ギア71に噛み合っているので、幅調整ねじ103を回転させると、カム部材70が回転する。カム部材70の回転により、カム部材70のカム溝72が移動するので、カム溝72の縁が駆動ピン74を押圧する。駆動ピン74は、第1支持材80の第1ガイド孔83と第2支持部材90の第2ガイド孔95に沿って移動し、第1可動部材50の第1調整孔55と第2可動部材60の第2調整孔65の縁を押圧する。この結果、第1可動部材50と第2可動部材60は互いに反対方向に回転する。
なお、
図12の可動部材移動機構は、第1可動部材50と第2可動部材60に第1調整孔55と第2調整孔65を設けて、第1可動部材50と第2可動部材60を回転させているが、第1可動部材50と第2可動部材60のいずれかに調整孔を設けて、第1可動部材50と第2可動部材60のいずれかを回転させるようにしてもよい。
【0059】
すなわち、
図19(a),20(a)に示すように、幅調整ねじ103の反時計周りの回転により、カム部材70が反時計周りに回転すると、駆動ピン74が外方に移動し、第1可動部材50が時計周りに回転し、第2可動部材60が反時計周りに回転して、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間隔が狭まり、錠剤案内路4bの幅が縮小(W1)する。逆に、
図19(b),20(b)に示すように、幅調整ねじ103の時計周りの回転により、カム部材70が時計周りに回転すると、駆動ピン74が内方に移動し、第1可動部材50が反時計周りに回転し、第2可動部材60が時計周りに回転して、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間隔が広がり、錠剤案内路4bの幅が拡大(W2)する。なお、
図12において、幅調整ねじ103の回転によりカム部材70が回転する毎に、ストッパ73の先端がカム部材70の従動ギア71の歯を乗り越えて歯間に係合するので、幅調整ねじ103を適当な位置で止めて、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間の錠剤案内路4bを所望の幅に固定することができる。
【0060】
<自動調整>
以上のように、前記実施形態の錠剤カセットに収容する錠剤の種類を変更する際には、厚さ調整ねじ、高さ調整ねじ、幅調整ねじを回転することで、当該錠剤の形状や大きさに適した錠剤案内路の深さ、高さ(仕切位置)及び幅に調整し、当該錠剤Tを円滑に排出できる。厚さ調整ねじ、高さ調整ねじ、幅調整ねじの回転量と錠剤案内路の深さ、高さ(仕切位置)及び幅は比例するので、これらの調整作業を自動的に行うことができる。
【0061】
すなわち、
図21に示すように、各種錠剤毎に、ロータ4の錠剤案内路4bの深さ、高さ(仕切位置)及び幅の適正値と、該適正値に対応する厚さ調整ねじ101、高さ調整ねじ102、幅調整ねじ103の回転量とを記憶する記憶装置201と、錠剤の種類を入力する入力装置202と、厚さ調整ねじ101、高さ調整ねじ102、幅調整ねじ103を回転駆動する駆動装置203とを備える自動調整装置200を設ける。自動調整装置200に、ロータカバーを外したロータ4をセットし、錠剤の種類を入力すると、入力装置202に入力された錠剤の種類に応じて、記憶装置201から厚さ調整ねじ101、高さ調整ねじ102、幅調整ねじ103の回転量を読み出し、当該回転量だけロータ4の厚さ調整ねじ101、高さ調整ねじ102、幅調整ねじ103を駆動装置203により回転することで、当該錠剤に適した錠剤案内路4bを有するロータ4に調整することができる。この自動調整装置200は、錠剤の種類を変更するときだけでなく、ロータ4の使用中に錠剤案内路4bの深さ、高さ(仕切位置)及び幅にずれが生じたロータ4を適正値に戻すのにも使用することができる。
【0062】
前記実施形態は、特許請求の範囲に記載の発明の範囲内で種々変更することができる。例えば、前記実施形態の可動部材移動機構は、第1可動部材50と第2可動部材60の駆動にカム機構を利用したものであるが、カム機構に限らず、他の機構を用いることができる。以下、可動部材移動機構の他の変形例を説明する。
【0063】
<可動部材移動機構の変形例1>
図22は、第1可動部材50と第2可動部材60の駆動にウォーム機構を用いたものである。第1可動部材50には、
図23(a)に示すように、切欠き孔57が設けられ、該切欠き孔57の縁に、下方に突出する突出部58が設けられ、該突出部58に第1セグメントウォームギア59が形成されている。同様に、第2可動部材60には、
図23(b)に示すように、切欠き孔67が設けられ、該切欠き孔67の縁に、上方に突出する突出部68が設けられ、該突出部68に第2セグメントウォームギア69が形成されている。第1セグメントウォームギア59と第2セグメントウォームギア69は、
図22に示すように、第1可動部材50と第2可動部材60が重ねられたときに、同一平面上に位置し、かつ、同一ピッチ円上にあるように形成されている。
【0064】
図24に示すように、第2支持部材90には、第1伝達軸111、第2伝達軸112、幅調整ねじ113が取り付けられている。第1伝達軸111は、中間に第1セグメントウォームギア59に噛み合う第1ウォーム114、一端に第1従動傘ギア115を有する。同様に、第2伝達軸112は、中間に第2セグメントウォームギア69に噛み合う第2ウォーム116、一端に第2従動傘ギア117を有する。第1伝達軸111と第2伝達軸112は、それぞれの従動傘ギア115,117が互いに接近するように、約100°の角度で配置されている。幅調整ねじ113は、下端に第1伝達軸111の第1従動傘ギア115と第2伝達軸112の第2従動傘ギア117とに噛み合う駆動傘ギア118を有し、上部に図示しないストッパが係止するギア部113aを有し、上端はロータ本体20から上に露出し、操作可能になっている。
【0065】
幅調整ねじ113を左又は右に回転させると、幅調整ねじ113の駆動傘ギア118が第1伝達軸111の第1従動傘ギア115と第2伝達軸112の第2従動傘ギア117を駆動し、第1伝達軸111と第2伝達軸112が回転する。これにより、第1伝達軸111の第1ウォーム114に噛み合う第1セグメントウォームギア59を有する第1可動部材50と、第2伝達軸112の第2ウォーム116に噛み合う第2セグメントウォームギア69を有する第2可動部材60が互いに反対方向に回転する。これにより、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間隔、すなわち、錠剤案内路4bの幅を拡大したり、縮小することができる。
なお、
図22の幅調整ねじ113は、第1伝達軸111の第1従動傘ギア115と第2伝達軸112の第2従動傘ギア117に噛み合って、第1可動部材50と第2可動部材60を回転させているが、第1伝達軸111を設けずに第2伝達軸112のみを設けて、第2可動部材60のみを回転させ、又は第2伝達軸112を設けずに第1伝達軸111のみを設けて、第1可動部材50のみを回転させるようにしてもよい。
【0066】
<可動部材移動機構の変形例2>
図22のウォーム機構の代わりに平ギア機構を用いることもできる。すなわち、
図25(a),25(b)に示すように、第1可動部材50の第1セグメントギア121と第2可動部材60の第2セグメントギア122を対向させて形成する。幅調整ねじ123には、第1可動部材50の第1セグメントギア121に噛み合う第1駆動ギア123aと、第2可動部材60の第2セグメントギア122に噛み合う第2駆動ギア123bとを設ける。
【0067】
幅調整ねじ123を左又は右に回転させると、幅調整ねじ123の第1駆動ギア123aと噛み合う第1セグメントギア121を有する第1可動部材50と、幅調整ねじ123の第2駆動ギア123bと噛み合う第2セグメントギア122を有する第2可動部材60が互いに反対方向に回転する。これにより、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間隔、すなわち、錠剤案内路4bの幅を拡大したり、縮小することができる。なお、幅調整ねじ123による微調整を可能にし、分解能を上げるため、第1駆動ギア123aと第1セグメントギア121との間、第2駆動ギア123bと第2セグメントギア122との間に減速ギアを介設することが好ましい。
なお、
図25の幅調整ねじ123は、第1駆動ギア123aと第2駆動ギア123bを設けて第1可動部材50と第2可動部材60を回転させているが、第1駆動ギア123aを設けずに第2駆動ギア123bで第2可動部材60のみを回転させ、又は第2駆動ギア123bを設けずに第1駆動ギア123aで第1可動部材50のみを回転させるようにしてもよい。
【0068】
<可動部材移動機構の変形例3>
図26は、第1可動部材50と第2可動部材60の駆動にダブルカム機構を用いたものである。
【0069】
第1可動部材50には、環状の基部51の内周に2つの略半円型の切欠き51b、51cが隣り合って形成されている。第1可動部材50を上から見て時計回り方向の上流側に位置する切欠き51bの縁には、第1可動部材50の円周方向に対向するA突起131aとB突起131bが形成されている。A突起131aとB突起131bは、後述する第1調整軸134のAカム134aとBカム134bに摺接するカムフォロアとなる。
【0070】
同様に、第2可動部材60には、環状の基部61の内周に2つの略半円型の切欠き61b、61cが隣り合って形成されている。第2可動部材60を上から見て時計回り方向の下流側に位置する切欠き61cの縁には、第2可動部材60の円周方向に対向するA突起132aとB突起132bが形成されている。A突起132aとB突起132bは、後述する第2調整軸135のAカム135aとBカム135bに摺接するカムフォロアとなる。
【0071】
幅調整ねじ133は、第1調整軸134と第2調整軸135からなっている。第1調整軸134は、第1可動部材50と第2可動部材60の上から見て時計回り方向の上流側に位置する互いに重なり合った切欠き51b、61b内に配置されている。第2調整軸135は、第1可動部材50と第2可動部材60の上から見て時計回り方向の下流側に位置する互いに重なり合った切欠き51c、61c内に配置されている。第2調整軸135には、幅調整ねじ133の自由な回転を防止するストッパ136が設けられている。
【0072】
第1調整軸134は、上端から順にAカム134a、Bカム134b、ギア134cが形成されている。Aカム134aは、
図27(a)に示すように、幅調整ねじ133を上から見て時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成され、第1可動部材50のA突起131aと摺接するようになっている。Bカム134bは、幅調整ねじ133を上から見て反時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成されて、第1可動部材50のB突起131bと摺接するようになっている。Aカム134aの最大半径部とBカム134bの最大半径部は180°離れて位置する。第1調整軸134の上端は第1支持部材80に支持され、下端は第2支持部材90に支持されている。
【0073】
同様に、第2調整軸135は、下端から順にAカム135a、Bカム135b、ギア135cが形成されている。Aカム135aは、
図27(b)に示すように、幅調整ねじ133を下から見て時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成され、第2可動部材60のA突起132aと摺接するようになっている。Bカム135bは、幅調整ねじ133を下から見て反時計回りに360°の範囲でカム面の半径が増加するように形成されて、第2可動部材60のB突起132bと摺接するようになっている。Aカム135aの最大半径部とBカム135bの最大半径部は180°離れて位置する。第2調整軸のギア135cは、ギア134cと噛合して連動するように構成されている。第2調整軸135の上端は第1支持部材80を貫通してロータ本体20から突出して露出し、外部から回転調整可能になっている。第2調整軸135の下端は第2支持部材90に支持されている。なお、第1調整軸134の上端が第1支持部材80を貫通してロータ本体20から突出して露出し、外部から回転調整可能にしてもよい。
【0074】
第2調整軸135を
図27(a)において時計回りに回転させると、第2調整軸135のギヤ135cから第1調整軸134のギヤ134cに回転力が伝達され、第1調整軸134は反時計周りに回転する。第1調整軸134の回転により、第1調整軸134のAカム134aが第1可動部材50のA突起131aに摺接して押圧するので、第1可動部材50は
図27(a)において時計回りに回動する。一方、第2調整軸135の回転により、
図27(b)に示すように、第2調整軸135のAカム135aが第2可動部材60のA突起132aに摺接して押圧するので、第2可動部材60は
図27(a)において反時計回りに回動する。
【0075】
続いて、第2調整軸135を
図27(a)において反時計回りに回転させると、第2調整軸135のギヤ135cから第1調整軸134のギヤ134cに回転力が伝達され、第1調整軸134は時計周りに回転する。第1調整軸134の回転により、第1調整軸134のBカム134bが第1可動部材50のB突起131bに摺接して押圧するので、第1可動部材50は
図27(a)において反時計回りに回動する。一方、第2調整軸135の回転により、
図27(b)に示すように、第2調整軸135のBカム135bが第2可動部材60のB突起132bに摺接して押圧するので、第2可動部材60は
図27(a)において時計回りに回動する。
【0076】
このように、第1可動部材50と第2可動部材60は互いに反対方向に回転し、第1可動部材50の第1垂直突片53と第2可動部材60の第2垂直突片63の間隔、すなわち、錠剤案内路4bの幅を拡大したり、縮小することができる。
なお、
図26の幅調整ねじ133は、第1調整軸134と第2調整軸135とで構成されているが、第1調整軸134を設けずに第2調整軸135で第2可動部材60のみを回転させ、又は第2調整軸135を設けずに第1調整軸134で第1可動部材50のみを回転させるようにしてもよい。
【0077】
<ロータ本体の変形例>
図7に示すロータ本体20は、一体に形成されているが、
図28に示すように、下向突部22と環状部23とからなる第1部分20aと、基部21とガイド部24からなる第2部分20bとを別部材で構成してもよい。
【符号の説明】
【0078】
T 錠剤
1 錠剤カセット
2 ベース
3 カセット本体
4 ロータ
4a 錠剤ポケット
4b 錠剤案内路
5 錠剤収容部
6 ロータ収容部
6a 上部傾斜内面
6b 下部垂直内面
7 錠剤排出孔
8 仕切部材
10 ロータカバー
13 段差
14 係合段差
20 ロータ本体
22 下向き突部
22c 下部傾斜外面
25a ねじ孔
28 段部
30 ロータベース
40 筒状回転部材
41 雄ネジ部
42 従動ギア
45 環状昇降部材
47 錠剤支持台
50 第1可動部材
53 第1垂直突片(第1垂直部)
54 第1水平突片(第1水平部)
55 第1調整孔
59 第1セグメントウォームギア
60 第2可動部材
63 第2垂直突片(第2垂直部)
64 第2水平突片(第2水平部)
65 第2調整孔
69 第2セグメントウォームギア
70 カム部材
72 カム溝
74 駆動ピン
80 第1支持部材
83 第1ガイド孔
90 第2支持部材
95 第2ガイド孔
101 厚さ調整ねじ(厚さ調整部材)
102 高さ調整ねじ(高さ調整部材)
103 幅調整ねじ(幅調整部材)
111 第1伝達部材
112 第2伝達部材
113 幅調整ねじ(幅調整部材)
114 第1ウォーム
115 第1従動傘ギア
116 第2ウォーム
117 第2従動傘ギア
118 駆動傘ギア
121 第1セグメントギア
122 第2セグメントギア
123 幅調整ねじ(幅調整部材)
131a A突起
131b B突起
132a A突起
132b B突起
133 幅調整ねじ(幅調整部材)
134 第1調整軸
134a Aカム
134b Bカム
135 第2調整軸
135a Aカム
135b Bカム
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】