(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101711
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】放射線部門システムおよび検査情報チェック方法
(51)【国際特許分類】
G16H 30/20 20180101AFI20220630BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
G16H30/20
A61B5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020215944
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】399081213
【氏名又は名称】インフォコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】上田 直正
(72)【発明者】
【氏名】大橋 尚也
(72)【発明者】
【氏名】久野 恵梨
【テーマコード(参考)】
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C117XB09
4C117XE44
4C117XE45
4C117XF23
4C117XH16
4C117XK34
4C117XK35
4C117XL01
4C117XQ02
4C117XR07
4C117XR08
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】検査画像の検査情報および検査画像を含む検査情報伝達経路を確実にチェックすることができる放射線部門システムおよび検査情報チェック方法を提供する。
【解決手段】医療検査の検査オーダを含む、放射線部門における情報を統括的に管理する放射線情報システム3と、前記検査オーダに基づいて医療検査を実行する検査装置5と、前記検査装置で取得した検査画像を保存する画像管理システム7と、前記個々のシステムおよび装置と通信し、前記検査画像の検査情報および送受信経路をチェックする検査情報チェックシステム9と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療検査の検査オーダを含む、放射線部門における情報を統括的に管理する放射線情報システムと、
前記検査オーダに基づいて医療検査を実行する検査装置と、
前記検査装置で取得した検査画像を保存する画像管理システムと、
前記個々のシステムおよび装置と通信し、前記検査画像の検査情報および送受信経路をチェックする検査情報チェックシステムと、
を備える放射線部門システム。
【請求項2】
前記個々のシステムおよび装置の少なくとも一つは、前記検査情報チェックシステムからのチェック結果を表示する表示部を備える、請求項1に記載の放射線部門システム。
【請求項3】
前記検査情報チェックシステムは、前記個々のシステムおよび装置のデータの送受信を前記検査オーダに基づいてチェックする、請求項1または2に記載の放射線部門システム。
【請求項4】
前記検査情報チェックシステムにおける、前記検査画像の検査情報のチェックは、前記検査オーダに含まれる情報のいずれかまたはいずれかの組合せについて行われる、請求項1から3のいずれか1項に記載の放射線部門システム。
【請求項5】
前記個々のシステムには、医療情報を管理する病院情報システムと医用画像の検像を行う検像システムと前記検査画像の画像処理を行う画像処理システムとを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の放射線部門システム。
【請求項6】
医療検査の検査オーダを管理すること、
前記検査オーダに基づいて前記医療検査を実行すること、
前記医療検査で取得した検査画像を保存すること、
前記検査画像の検査情報および送受信経路をチェックすること、
を含む検査情報チェック方法。
【請求項7】
前記検査画像の検査情報および送受信経路のチェック結果に基づいて警告を発すること、を含む請求項6に記載の検査情報チェック方法。
【請求項8】
前記検査画像の送受信経路のチェックは、前記検査オーダに基づいて行われる、請求項6または7に記載の放射線部門システム。
【請求項9】
前記検査画像の検査情報のチェックは、前記検査オーダに含まれる情報のいずれかまたはいずれかの組合せについて行われる、請求項6から8のいずれか1項に記載の検査情報チェック方法。
【請求項10】
前記検査画像の検像を行うこと、
前記検査画像の画像処理を行うことを含む、請求項6から9のいずれか1項に記載の検査情報チェック方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線部門システムおよび検査情報チェック方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)検査を行なう装置やMRI(Magnetic Resonance Imaging:核磁気共鳴画像法)検査を行なう装置などの医用画像を撮影する装置であるモダリティにより撮影された医用画像は、その画像を撮影した時の撮影条件や画像処理内容などを含む画像タグ情報とともに、PACS(Picture Archiving and Communication System:画像管理システム)と呼ばれる画像サーバに保存され、病院の様々な部門において利用することが可能になっている。また、モダリティによる検査の依頼に関する情報であるオーダ情報や、実際に撮影した検査の使用物品や撮影者などを含む検査実績情報は、RIS(Radiology Information System:放射線情報システム)により管理されており、これらの情報も、病院の様々な部門において利用することが可能になっている。
【0003】
特許文献1に示される放射線部門システムでは、さらに利便性を向上させるために、次のことを開示している。すなわち、特許文献1では、二回目以降の検査を行おうとする場合に、容易に前回の検査画像を利用できるように、過去の検査画像のうち診療に用いることができるものを、放射線情報システムに検査実績情報と関連付けて記録することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した放射線部門システムでは、検査オーダはHIS(Hospital Information System:病院情報システム)で発行され、RISに伝達される。放射線部門の検査においてモダリティによる検査画像の取得、検査画像のPACSへの登録等の一連の検査画像を含む情報伝達のきっかけは、各システムのユーザの入力による。また、他に例示される放射線部門システムでは、さらに医用画像の検像を行う検像システム、画像を加工する画像処理システム等を含み、各システム間のデータの送受信経路が複雑になる。このとき、各システムのユーザが確実に次のシステムに送信を完了しているかどうかのチェックを、さらに確実に効率よくすることが求められている。また、モダリティで取得された検査画像が検査オーダに則したものであるかどうかの確認も、各システムのユーザの目視に委ねられているため、さらに確実にチェックすることが求められている。
【0006】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、検査画像の検査情報および検査画像を含む検査情報伝達経路を確実にチェックすることができる放射線部門システムおよび検査情報チェック方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の放射線部門システムは、医療検査の検査オーダを含む、放射線部門における情報を統括的に管理する放射線情報システム(RIS)と、前記検査オーダに基づいて医療検査を実行する検査装置(モダリティ)と、前記検査装置で取得した検査画像を保存する画像管理システム(PACS)と、前記個々のシステムおよび装置と通信し、前記検査画像の検査情報および送受信経路をチェックする検査情報チェックシステムと、を備える。
このような発明によれば、検査画像の検査情報および送受信経路をチェックする検査情報チェックシステムを備えるので、検査画像の内容や伝達経路を確実にチェックすることができる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記個々のシステムおよび装置の少なくとも一つは、前記検査情報チェックシステムからのチェック結果を表示する表示部を備える。
このような構成によれば、チェック結果を表示する表示部を備えるので、チェック結果を適格に把握することができる。
【0009】
本発明の一態様においては、前記検査情報チェックシステムは、前記個々のシステムおよび装置のデータの送受信を前記検査オーダに基づいてチェックする。
このような構成によれば、個々のシステムおよび装置のデータの送受信を検査オーダに基づいてチェックするので、検査の進捗を適格に把握でき、データの滞留を確認できる。
【0010】
本発明の一態様においては、前記検査情報チェックシステムにおける、前記検査画像の検査情報のチェックは、前記検査オーダに含まれる情報のいずれかまたはいずれかの組合せについて行われる。
このような構成によれば、検査画像の検査情報のチェックを適切に選択して行うことができる。
【0011】
本発明の一態様においては、前記個々のシステムには、医療情報を管理する病院情報システム(HIS)と医用画像の検像を行う検像システムと前記検査画像の画像処理を行う画像処理システムとを含む。
このような構成によれば、さらに構成要素の増えた放射線部門システムにも対応できる。
【0012】
本発明の検査情報チェック方法は、医療検査の検査オーダを管理すること、前記検査オーダに基づいて医療検査を実行すること、前記医療検査で取得した検査画像を保存すること、前記検査画像の検査情報および送受信経路をチェックすること、を含む。
このような発明によれば、検査画像の検査情報および送受信経路をチェックするので、検査画像の内容や伝達経路を確実にチェックすることができる。
【0013】
本発明の一態様においては、前記検査画像の検査情報および送受信経路のチェック結果に基づいて警告を発すること、を含む。
このような構成によれば、チェック結果に基づいて警告を発するので、検査画像の内容や送受信経路に問題がある場合に迅速に対応可能である。
【0014】
本発明の一態様においては、前記検査画像の送受信経路のチェックは、前記検査オーダに基づいて行われる。
このような構成によれば、送受信経路を検査オーダに基づいてチェックするので、検査の進捗を適格に把握でき、データの滞留を確認できる。
【0015】
本発明の一態様においては、前記検査画像の検査情報のチェックは、前記検査オーダに含まれる情報のいずれかまたはいずれかの組合せについて行われる。
このような構成によれば、検査画像の検査情報のチェックを適切に選択して行うことができる方法を提供できる。
【0016】
本発明の一態様においては、前記検査画像の検像を行うこと、前記検査画像の画像処理を行うことを含む。
このような構成によれば、さらに構成要素の増えた放射線部門システムにも対応できる方法を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、検査画像の検査情報および検査画像を含む検査情報伝達経路を確実にチェックすることができる放射線部門システムおよび検査情報チェック方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る放射線部門システムの構成例を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る放射線部門システムにおいて行われる処理の例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る放射線部門システムの個々のシステムと装置の関係を示す模式図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る放射線部門システムにおいて行われる処理の例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る放射線部門システムにおいて行われる処理の例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る放射線部門システムにおいて行われる処理の例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る放射線部門システムにおいて行われる処理の例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る放射線部門システムの個々のシステムと装置の関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る放射線部門システムの構成例を示す図である。放射線部門システム1は、医療検査の検査オーダを含む、放射線部門における情報を統括的に管理するRIS(Radiology Information System:放射線情報システム)3と、検査オーダに基づいて医療検査を実行する、例えばCT検査やMRI検査などを行なうモダリティ(検査装置)5と、医用画像を保存するPACS(Picture Archiving and Communication System:画像管理システム)7と、個々のシステムおよび装置と通信し、検査画像の検査情報および送受信経路をチェックする検査情報チェックシステム9と、を備えている。放射線部門システム1は、更に撮影された医用画像の確認処理を行う検像システム13と、検査画像の画像処理を行う画像処理システム15と、を含んでいる。
【0020】
ここにおいて、個々のシステムおよび装置の少なくとも一つは、検査情報チェックシステムからのチェック結果を表示する表示部を備える。本実施形態では、RIS3、検像システム13、PACS7に表示部11を備えている。また、個々のシステム及び装置は、通信ネットワークNを介して相互に通信可能とされている。通信ネットワークNは、LAN(Local Area Network)のようなローカルなネットワークでもよいし、インターネットのようなグローバルなネットワークでもよい。その形態は、有線であっても無線であってもよい。また、放射線部門システム1は、HIS(Hospital Information System:病院情報システム)2と通信ネットワークNで通信可能とされ、HIS2により発行される検査オーダをRIS3で受信する。
【0021】
上述の個々のシステムは、PCまたはワークステーション上で実行されるアプリケーションによって実装されてよい。または、アプリケーション実行用のサーバ上のプログラムであってもよく、各システムの端末は、通信ネットワークNを介してアプリケーションサーバと通信しデータの登録、閲覧、変換、修正などのそれぞれのユーザロールを実行してよい。また、検査画像に関するデータは、デジタル画像データや関連する診療データを通信したり、保存したりする方法を定めたDICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)に従って行われてよい。以下、検査画像の送受信というとき、検査画像とそれに付随するDICOMに規定された検査情報を共に含むものとする。
【0022】
検査情報チェックシステム9は、検査オーダに基づいて、検査画像の検査情報、および個々のシステムおよび装置のデータの送受信をチェックし、チェック結果を表示部に表示する。このとき、検査情報チェックシステム9は、チェック結果に異常または異常の予兆がある場合は、警告を発する。警告は、異常または異常の予兆のあるデータのテキストをハイライト表示にすることで行ってよい。また、異常または異常の予兆のあるデータにアクセスしたときに警告音を発してよい。
【0023】
検査情報チェックシステム9における、検査オーダに基づく、検査画像の検査情報のチェックは、検査オーダに含まれる情報のいずれかまたはいずれかの組合せについて行われる。例えばこれらに限定するものではないが、具体的には、患者ID、患者氏名、検査画像の部位、検査画像の枚数、検査画像が造影剤ありか否かその両方か、を含み、これらのいずれかまたはいずれかの組合せについて行われる。
【0024】
つぎに、上述のように構成された放射線部門システム1の処理について、
図2と
図3を参照して説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る放射線部門システムにおいて行われる処理の例を示す図である。
図3は、本発明の実施形態に係る放射線部門システムの個々のシステムと装置の関係を示す模式図である。
【0025】
<RIS、モダリティ、検像システム、PACSによる実施形態>
(1)放射線部門システム1がスタート(
図2:S001)すると、HIS2にて発行された検査オーダがRIS3に送信され、RIS3に検査オーダの登録が行われる(
図2:S002)。
(2)実際に医療検査が開始され、技師が検査開始指示をすると、RIS3から検査オーダがモダリティ5に送信(
図3:経路a)される。同時に、検査情報チェックシステム9にも検査オーダが送信される(
図2:S003、
図3:経路n1)。
(3)検査情報チェックシステム9は、新たな検査オーダに紐付いたチェックカテゴリを設定する。ここでチェックカテゴリとは、検査オーダに含まれる情報のいずれかまたはいずれかの組合せを含む。例えばこれらに限定するものではないが、具体的には、検査オーダに基づく、システム、検査装置間の送受信経路、患者ID、患者氏名、を含み、検査に必要な検査画像の種類、枚数、検査画像の部位、検査画像が造影剤ありか否かその両方か、画像処理の要否や種類等のいずれかまたはいずれかの組合せを含む(
図2:S004)。本実施形態では、送受信経路は、RIS3、モダリティ5、検像システム13、PACS7がこの順序に設定されている。
【0026】
(4)技師が検査オーダに基づき、モダリティ5を用いた検査を行う(
図2:S005)。
(5)モダリティ5から検査画像を検像システム13に送信する(
図2:S006、
図3:経路b)。このとき、RIS3とモダリティ5の両方において、検査完了指示(操作)が行われる。
(6)モダリティ5から検査情報チェックシステム9に検査情報と送信記録が送信される(
図2:S007、
図3:経路n2)。
【0027】
(7)検査情報チェックシステム9は、モダリティ5から受信した検査情報と送信記録を工程(3)S004で設定したカテゴリに基づいてチェックする(
図2:S008)。ここで検査情報についてチェックされるのは、検査オーダに含まれる情報のいずれかまたはいずれかの組合せについてである。例えばこれらに限定するものではないが、具体的には、モダリティ5で取得した検査画像の内容すなわち撮影部位と枚数が検査オーダに基づいたものであるかどうか、さらに、患者ID、患者氏名、を含み、検査画像の部位、検査画像の枚数、検査画像が造影剤ありか否かその両方か、のいずれかまたはいずれかの組合せについて行われる。
検査画像の枚数については、例えばX線撮影であれば、検査オーダに基づいて検査部位とその撮影方向、枚数についてチェックされる。CT検査またはMRI検査であれば、検査オーダに基づいて予め定められた規定の検査画像の枚数をたとえばルックアップテーブルから取得し、検査枚数がその規定枚数の範囲にあるかどうかがチェックされる。
この検査情報のチェックにおいて、検査工程が正しく行われているかどうかは、検査情報に含まれる画像情報で判断することができる。例えば、後述の画像処理工程が正しく行われたどうかは、「3D再構成あり」を検査オーダに含む場合、画像情報に「3D WSで生成された」という情報があるかどうかで判別することができる。
【0028】
(8)検査情報チェックシステム9は、チェック結果を、RIS3、検像システム13、PACS7の表示部11に表示する(
図2:S009、
図3:経路n1、n3、n4)。また、検査情報チェックシステム9は、検査オーダが発行されてからの時間も計測しており、予め定められた時間を経過した後も、モダリティ5からの送信がない場合、その結果を警告とともに表示する。
【0029】
(9)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれる場合(
図2:S010-Yes)、その警告を認識した各システムのユーザは、警告の解消のためのアクションをとる(
図2:S011)。例えば、検査画像の内容や枚数にくいちがいがある場合は、モダリティ5において必要な検査画像を追加取得する。モダリティ5からの送信先が間違っている場合、正しい送信先に送信し直す。あるいは予め定められた時間経過後に、モダリティ5において送信が行われていない場合、検査画像の状況を確認し、検査を実施し、検査画像を正しい経路(本実施形態の場合、モダリティ5から検像システム13)へ送信する。
【0030】
(10)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれない場合(
図2:S010-No)、および警告が解消された場合(
図2:S011)、検像システム13において、検像が行われる(
図2:S012)。
(11)検像システム13から検査画像と検像結果をPACS7に送信する(
図2:S013、
図3:経路c)。
(12)検像システム13から検査情報チェックシステム9に検査情報と送信記録が送信される(
図2:S014、
図3:経路n3)。
【0031】
(13)検査情報チェックシステム9は、検像システム13から受信した検査情報と送信記録を工程(3)S004で設定したカテゴリに基づいてチェックする(
図2:S015)。ここで検査情報についてのチェックは、工程(7)S008と同様である。送受信経路については、検査画像が検像システム13の次にPACS7に送信が行われたかどうかがチェックされる。
【0032】
(14)検査情報チェックシステム9は、チェック結果を、RIS3、検像システム13、PACS7の表示部11に表示する(
図2:S016、
図3:経路n1、n3、n4)。また、検査情報チェックシステム9は、検査オーダが発行されてからの時間も計測しており、予め定められた時間を経過した後も、検像システム13からの送信がない場合、その結果を警告とともに表示する。
【0033】
(15)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれる場合(
図2:S017-Yes)、その警告を認識した各システムのユーザは、警告の解消のためのアクションをとる(
図2:S018)。例えば、検査画像の内容や枚数にくいちがいがある場合は、その原因を調べ、くいちがいを解消する。検像システム13からの送信先が間違っている場合、正しい送信先に送信し直す。あるいは予め定められた時間経過後に、検像システム13において送信が行われていない場合、検査画像の状況を確認し、検像を実施し、検査画像を正しい経路(本実施形態の場合、検像システム13からPACS7)へ送信する。
【0034】
(16)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれない場合(
図2:S017-No)、および警告が解消された場合(
図2:S018)、放射線部門システム1の一つの検査オーダに関する処理が終了する(
図2:S019)。
【0035】
なお、上述の放射線部門システム1の処理について、送受信の確認には、送信情報を使用しているが、これには、通信プロトコルにおける送信先からの受信成功の情報を含んでいてよい。また、送信情報ではなく、受信情報に基づいて、または送信、受信双方の情報に基づいて、送受信の確認をしてよい。以下に続く複数の実施形態についても同様である。
【0036】
<RIS、モダリティ、画像処理システム、検像システム、PACS、による実施形態>
つぎに、
図3、
図4、
図5を参照して放射線部門システム1の別の例における処理について説明する。
図4、
図5は、本発明の実施形態に係る放射線部門システムにおいて行われる処理の例を示す図であって、一連の処理を2図にわたって示している。本実施形態においては、あらたに画像処理システム15が追加された処理例について示されている。すなわち、CT検査やMRI検査において、得られた検査画像に対して画像処理を施し3D画像を得る処理例が本実施形態に該当する。ここでは、
図2の処理例と同様の処理には、同符号を付している。ここにおいて、S001からS005、およびS012からS019における処理は、
図2の処理例と同じであるので、ここではその説明を省略し、S101からS113までの処理について以下に説明する。
【0037】
(1)モダリティ5から検査画像を画像処理システム15に送信する(
図4:S101、
図3:経路d)。
(2)モダリティ5から検査情報チェックシステム9に検査情報と送信記録が送信される(
図2:S102、
図3:経路n2)。
【0038】
(3)検査情報チェックシステム9は、モダリティ5から受信した検査情報と送信記録を予め設定したカテゴリに基づいてチェックする(
図4:S103)。ここで検査情報についてチェックされるのは、
図2の処理例と同じであるので、ここではその説明を省略する。
送受信経路については、本実施形態では、検査オーダに基づいて、RIS3、モダリティ5、画像処理システム15、検像システム13、PACS7がこの順序に設定されているので、検査画像がモダリティ5の次に画像処理システム15に送信が行われたかどうかがチェックされる。
【0039】
(4)検査情報チェックシステム9は、チェック結果を、RIS3、検像システム13、PACS7の表示部11に表示する(
図4:S104、
図3:経路n1、n3、n4)。また、検査情報チェックシステム9は、検査オーダが発行されてからの時間も計測しており、予め定められた時間を経過した後も、モダリティ5からの送信がない場合、その結果を警告とともに表示する。
【0040】
(5)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれる場合(
図4:S105-Yes)、その警告を認識した各システムのユーザは、警告の解消のためのアクションをとる(
図4:S106)。例えば、検査画像の内容や枚数にくいちがいがある場合は、モダリティ5において必要な検査画像を追加取得する。モダリティ5からの送信先が間違っている場合、正しい送信先に送信し直す。あるいは予め定められた時間経過後に、モダリティ5において送信が行われていない場合、検査画像の状況を確認し、検査を実施し、検査画像を正しい経路(本実施形態の場合、モダリティ5から画像処理システム15)へ送信する。
【0041】
(6)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれない場合(
図4:S105-No)、および警告が解消された場合(
図4:S106)、画像処理システム15において、画像処理が行われる(
図4:S107)。
(7)画像処理システム15から画像処理済の画像を含む検査画像を検像システム13に送信する(
図4:S108、
図3:経路e)。
(8)画像処理システム15から検査情報チェックシステム9に検査情報と送信記録が送信される(
図4:S109、
図3:経路n5)。
【0042】
(9)検査情報チェックシステム9は、画像処理システム15から受信した検査情報と送信記録を予め設定したカテゴリに基づいてチェックする(
図4:S110)。
送受信経路については、本実施形態では、S004において、検査オーダに基づいて、RIS3、モダリティ5、画像処理システム15、検像システム13、PACS7がこの順序に設定されているので、検査画像が画像処理システム15の次に検像システム13に送信が行われたかどうかがチェックされる。
【0043】
(10)検査情報チェックシステム9は、チェック結果を、RIS3、検像システム13、PACS7の表示部11に表示する(
図4:S111、
図3:経路n1、n3、n4)。また、検査情報チェックシステム9は、検査オーダが発行されてからの時間も計測しており、予め定められた時間を経過した後も、画像処理システム15からの送信がない場合、その結果を警告とともに表示する。
【0044】
(11)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれる場合(
図5:S112-Yes)、その警告を認識した各システムのユーザは、警告の解消のためのアクションをとる(
図5:S113)。例えば、ここでは、画像処理の方法や処理された画像の数にくいちがいがある場合は、画像処理システム15において必要な画像処理を追加する、もしくは必要な処理を加えた画像を作成する。画像処理システム15からの送信先が間違っている場合、正しい送信先に送信し直す。あるいは予め定められた時間経過後に、画像処理システム15において送信が行われていない場合、画像処理の状況を確認し、画像処理を実施し、検査画像を正しい経路(本実施形態の場合、画像処理システム15から検像システム13)へ送信する。
【0045】
(12)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれない場合(
図5:S112-No)、および警告が解消された場合(
図5:S113)、検像システム13において、検像が行われる(
図5:S012)。以下に続く処理は
図2の処理例と同様に行われ、放射線部門システム1の一つの検査オーダに関する処理が終了する(
図5:S019)。
【0046】
<RIS、モダリティ、PACS、による実施形態>
つぎに、
図3、
図6を参照して放射線部門システム1の別の例における処理について説明する。本実施形態においては、
図2の処理例に対して、検像システム13を使用しない処理例について示されている。すなわち、検像システム13と画像処理システム15とを含まない簡素な場合の処理例が本実施形態に該当する。また、本実施形態は、検像システム13と画像処理システム15とがなんらかの障害によって使用できない場合の緊急事態の想定を含む。ここでは、
図2の処理例と同様の処理には、同符号を付している。ここにおいて、S001からS005における処理は、
図2の処理例と同じであるので、ここではその説明を省略し、S201からS207までの処理について以下に説明する。
【0047】
(1)モダリティ5から検査画像をPACS7に送信する(
図6:S201、
図3:経路f)。
(2)モダリティ5から検査情報チェックシステム9に検査情報と送信記録が送信される(
図6:S202、
図3:経路n2)。
【0048】
(3)検査情報チェックシステム9は、モダリティ5から受信した検査情報と送信記録を予め設定したカテゴリに基づいてチェックする(
図6:S203)。ここで検査情報についてチェックされるのは、
図2の処理例と同じであるので、ここではその説明を省略する。送受信経路については、本実施形態では、検査オーダに基づいて、RIS3、モダリティ5、PACS7がこの順序に設定されているので、検査画像がモダリティ5の次にPACS7に送信が行われたかどうかがチェックされる。
【0049】
(4)検査情報チェックシステム9は、チェック結果を、RIS3、PACS7と可能であれば検像システム13の表示部11に表示する(
図6:S204、
図3:経路n1、n4可能であればn3)。また、検査情報チェックシステム9は、検査オーダが発行されてからの時間も計測しており、予め定められた時間を経過した後も、モダリティ5からの送信がない場合、その結果を警告とともに表示する。
【0050】
(5)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれる場合(
図6:S205-Yes)、その警告を認識した各システムのユーザは、警告の解消のためのアクションをとる(
図6:S206)。例えば、検像システム13や画像処理システム15が何らかの障害によって使用できない原因を検索し、正しく動作するようにする。
【0051】
(6)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれない場合(
図6:S205-No)、および警告が解消された場合(
図6:S206)、放射線部門システム1の一つの検査オーダに関する処理が終了する(
図6:S207)。
【0052】
<RIS、モダリティ、画像処理システム、PACS、による実施形態>
つぎに、
図3、
図7を参照して放射線部門システム1の別の例における処理について説明する。本実施形態は、RIS、モダリティ、画像処理システム、PACSによる処理例である。
図4、
図5の処理例に対して、検像システム13を使用しない処理例について示されている。本実施形態は、検像システム13がなんらかの障害によって使用できない場合の緊急事態の想定を含む。ここでは、
図4、
図5の処理例と同様の処理には、同符号を付している。ここにおいて、S001からS005、S101からS107における処理は、
図4、
図5の処理例と同じであるので、ここではその説明を省略し、S301からS307までの処理について以下に説明する。
【0053】
(1)画像処理システム15から画像処理済の画像を含む検査画像をPACS7に送信する(
図7:S301、
図3:経路g)。
(2)画像処理システム15から検査情報チェックシステム9に検査情報と送信記録が送信される(
図7:S302、
図3:経路n5)。
【0054】
(3)検査情報チェックシステム9は、画像処理システム15から受信した検査情報と送信記録を予め設定したカテゴリに基づいてチェックする(
図7:S303)。ここで検査情報についてチェックされるのは、
図2の処理例に加え、予め設定した画像処理が行われたかどうかを含んでいる。
送受信経路については、本実施形態では、検査オーダに基づいて、RIS3、モダリティ5、画像処理システム15、PACS7がこの順序に設定されているので、検査画像が画像処理システム15の次にPACS7に送信が行われたかどうかがチェックされる。
【0055】
(4)検査情報チェックシステム9は、チェック結果を、RIS3、PACS7と可能であれば検像システム13の表示部11に表示する(
図7:S304、
図3:経路n1、n4可能であればn3)。また、検査情報チェックシステム9は、検査オーダが発行されてからの時間も計測しており、予め定められた時間を経過した後も、画像処理システム15からの送信がない場合、その結果を警告とともに表示する。
【0056】
(5)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれる場合(
図7:S305-Yes)、その警告を認識した各システムのユーザは、警告の解消のためのアクションをとる(
図7:S306)。例えば、ここでは、画像処理の方法や処理された画像の数にくいちがいがある場合は、画像処理システム15において必要な画像処理を追加する、もしくは必要な処理を加えた画像を作成する。画像処理システム15からの送信先が間違っている場合、正しい送信先に送信し直す。あるいは予め定められた時間経過後に、画像処理システム15において送信が行われていない場合、画像処理の状況を確認し、画像処理を実施し、検査画像を正しい経路(本実施形態の場合、画像処理システム15からPACS7)へ送信する。
【0057】
(6)各表示部11に表示されたチェック結果に警告が含まれない場合(
図7:S305-No)、および警告が解消された場合(
図7:S306)、放射線部門システム1の一つの検査オーダに関する処理が終了する(
図7:S307)。
【0058】
上述の複数の処理例では、送受信経路のチェックにおける経過時間の測定の起点を検査オーダが発行されたときとしているが、これに限定されない。経過時間の測定と、警告を発するために定められる規定時間は、前の送受信が終了してから次の送受信が行われるまでとしてよい。例えば、
図4のS108の画像処理システム15から検像システム13への送信が行われたかどうかの検査情報チェックシステム9の処理の場合、モダリティ5が画像処理システム15に検査画像を送信したとき(
図4:S101)を、時間計測の起点としてよい。この起点から定められた時間以上、画像処理システム15からの送信が行われないとき、警告を発するタイミングとしてよい。検査オーダの発行、または任意の送受信を起点として、次の送受信が行われたかどうかのチェックは、検査オーダの発行、または任意の送受信を起点とすることをきっかけとして、検査情報チェックシステム9のタイマーで開始されており、上述の種々の処理例における処理ルーチンとは、独立して行われてよい。
【0059】
(一つのワークステーションで2つのシステムが実装される実施形態)
図3は、一つのワークステーションで一つのシステムが起動されている実施形態であるが、これに限定されない。前述したように、各システムは、PC、ワークステーション上で実行されるアプリケーションとして実装できる。したがって、例えば一つのワークステーション上に2つのシステムがあってよい。
図8は、検像システム13と検査情報チェックシステム9が一つのワークステーション13,9上で実装されている放射線部門システム100の実施形態を示している。それ以外の処理や通信経路については、上述した様々な実施形態と同じであって、検像システム13と検査情報チェックシステム9における処理がワークステーション13,9で行われる。検査情報チェックシステム9が実装されるワークステーションはこれに限定されず、例えば、検査情報チェックシステム9は、RIS3上のワークステーション、あるいはPACS7のサーバ上に実装されてよい。いずれの形態も、
図1の構成、接続関係を満たしていることによって可能である。
【0060】
以上説明したように、本実施形態では、RIS3とモダリティ5とPACS7を含むシステムや検査装置と、検査情報チェックシステム9と、を備え、検査情報チェックシステム9が個々のシステムおよび装置と通信し、前記検査画像の検査情報および送受信経路をチェックする。したがって、検査オーダに基づいて検査画像、および検査情報を精査できるので、検査画像や、検査情報の予め定められた規定値とのくいちがいを迅速に発見し、対策を講じることができる。同時に送受信経路のチェックが行われ、予め設定した通信経路において、あるシステムで次のシステム、装置への送信が滞っているかどうか確認でき、対策を講じることができる。
【0061】
検査情報チェックシステム9は、予め規定された情報と実際の情報を比較しくいちがいがあると警告を発するので、迅速なタイミングで検査画像、検査情報の齟齬や検査画像の送受信の停滞を発見することができる。したがって、検査画像の検査情報および検査画像を含む検査情報伝達経路を確実にチェックすることができる放射線部門システムおよび検査情報チェック方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0062】
1、100 放射線部門システム
2 病院情報システム(HIS)
3 放射線情報システム(RIS)
5 検査装置(モダリティ)
7 画像管理システム(PACS)
9 検査情報チェックシステム
11 表示部
13 検像システム
15 画像処理システム