(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101750
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】簡易建物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20220630BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
E04B1/343 D
E04B1/343 G
E04H6/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216009
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】須賀 陽一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 高志
(72)【発明者】
【氏名】利根川 勝
(72)【発明者】
【氏名】山口 洋平
(72)【発明者】
【氏名】中村 知朗
(72)【発明者】
【氏名】隈元 友樹
(57)【要約】
【課題】 所定の強度を満足し、屋根の高さが低く、意匠性に優れた簡易建物の提供。
【解決手段】 桁1a,1bと、垂木2,3と、屋根材4と、柱5とを備え、桁1a,1bは、中空部6からなる本体部7と、本体部7の内周側に設けた樋部8を有し、柱5は、桁1a,1bの本体部7の下面7aと樋部8の下面8aに跨って当接して桁1a,1bを支持しており、垂木2,3は、長手方向の端部が桁1a,1bの本体部7の内周側に固定してあり、屋根材4は、垂木2,3に取付けてあり、垂木2,3及び屋根材4が桁1a,1bの上下寸法H内に納まっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桁と、垂木と、屋根材と、柱とを備え、桁は、中空部からなる本体部と、本体部の内周側に設けた樋部を有し、柱は、桁の本体部の下面と樋部の下面に跨って当接して桁を支持しており、垂木は、長手方向の端部が桁の本体部の内周側に固定してあり、屋根材は、垂木に取付けてあり、垂木及び屋根材が桁の上下寸法内に納まっていることを特徴とする簡易建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路シェルターやカーポート等の簡易建物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の簡易建物は、屋根の桁の上下寸法が大きいために屋根の高さ(屋根自体の上下寸法)が高くなっており(例えば、非特許文献1参照)、大きい部材を用いることなく所定の強度が得られる簡易建物が求められていた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】三協立山アルミ株式会社発行のカタログ「三協立山アルミ パブリックエクステリア総合カタログ 2008→2009」(カタログNo.STX0240E)、2008年10月、p.154-155
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、所定の強度を満足し、屋根の高さが低く、意匠性に優れた簡易建物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による簡易建物は、桁と、垂木と、屋根材と、柱とを備え、桁は、中空部からなる本体部と、本体部の内周側に設けた樋部を有し、柱は、桁の本体部の下面と樋部の下面に跨って当接して桁を支持しており、垂木は、長手方向の端部が桁の本体部の内周側に固定してあり、屋根材は、垂木に取付けてあり、垂木及び屋根材が桁の上下寸法内に納まっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による簡易建物は、桁に中空部からなる本体部と、本体部の内周側に設けた樋部を有し、垂木は長手方向の端部を桁の本体部の内周側に固定したことで、所定の強度を確保しつつ屋根の高さを低くすることができ、しかも垂木及び屋根材が桁の上下寸法内に納まっていることで、桁で垂木及び屋根材が隠れるため、意匠性が良い。また、柱が桁の本体部の下面と樋部の下面に跨って当接していることで、桁の樋部から柱に水を流しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】本発明に係る簡易建物の第1実施形態を示す斜視図である。
【
図5-1】第1実施形態の簡易建物の施工手順を示す斜視図である。
【
図5-2】第1実施形態の簡易建物の施工手順(
図5-1の続き)を示す斜視図である。
【
図6】垂木及び妻垂木を取付けるときの状態を示す斜視図である。
【
図7】止水板を取付けるときの状態を示す斜視図である。
【
図8】妻破風を取付けるときの状態を示す斜視図である。
【
図9】パネル押えを取付けるときの状態を示す斜視図である。
【
図13】(a)は本発明に係る簡易建物の第2実施形態を示す正面図であり、(b)は同側面図である。
【
図15-1】第2実施形態の簡易建物の施工手順を示す斜視図である。
【
図15-2】第2実施形態の簡易建物の施工手順(
図15-1の続き)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~9は、本発明に係る簡易建物の第1実施形態を示している。本実施形態の簡易建物は、通路シェルターに適用したものであり、
図4に示すように、前後方向及び左右方向に間隔をおいて立設した4本の柱5と、柱5上に支持した屋根10とを備えている。
屋根10は、左右両側に配置された桁1a,1bと、左右の桁1a,1bの前側及び後側の端部をそれぞれ連結する妻破風11と、左右の桁1a,1bの間に前後方向に間隔をおいて架設した妻垂木3及び垂木2と、妻垂木3及び垂木2間に取付けた屋根パネル4とを備えている。左右の桁1a,1bと前後の妻破風11は水平に配置されており、周囲から見て屋根10は水平且つフラットに見える。
【0009】
桁1a,1bは、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであって、
図1に示すように、略矩形断面の中空部6からなる本体部7と、本体部7の屋根枠内周側(以下、単に「内周側」という)に設けた樋部8を一体に有している。
本体部7の下面7aには、柱5の上端部に取付けた連結金具12を受け入れる連結金具収納溝13と、連結金具13とボルト14で固定される裏板15を保持するための裏板保持溝16が、桁1a,1bの長手方向に沿って形成してある。桁1a,1bは、連結金具12と裏板15とボルト14を介して本体部7で柱5と固定してある。
樋部8は、内周側壁17と底壁18と外周側壁19とで上側が開放した略コ字型断面の溝状に形成してあり、外周側壁19は本体部7の内周側壁が兼ねており、樋部8の下面8aは本体部7の下面7aと同一平面上にある。内周側壁17は、上部が内周側にクランク状に曲がっており、内周側壁17の上端部に連結壁20が左右方向に設けてある。連結壁20の内周側端部には垂木取付部21が一段高い位置に設けてあり、連結壁20の外周側端部にはパネル押え22の取付部23が設けてある。垂木取付部21は、桁1a,1bの下面から桁1a,1bの上下寸法Hの約半分の高さ位置にある。底壁18は、内周側壁17よりも内周側に延出してあり、内周側端部に垂木2及び妻垂木3の受け部24が設けてある。底壁18には、樋部8に溜まった雨水を排水するための孔を形成し、その孔に水抜き25を取付けてある。
【0010】
従来の簡易建物(例えば、非特許文献1参照)は、桁の本体部の外周側に樋部が設けてあり、垂木の長手方向端部を桁の本体部の上面に取付けていたため、屋根の高さが高くなっていた。
本簡易建物は、桁1a,1bの外周側に中空部6からなる本体部7を設け、本体部7の内周側に樋部8を設け、樋部8の内周側に垂木取付部21を設けたことで、所定の強度を確保しながら桁1a,1bの上下寸法Hを低くすることができる。具体的には、桁1a,1bの上下寸法Hは120mmとしてある。桁1a,1bの上下寸法Hを低くすることで、屋根10の高さも低く抑えられる。樋部8が本体部7の内周側に配置されていることで、樋部8が目立たず意匠性が良い。
【0011】
図1,2に示すように、左右の桁1a,1bの前側及び後側の端面には、止水板27がねじ28で取付けてある。止水板28は、桁1a,1bの下面から桁1a,1bの上下寸法Hの約半分の高さを有し、樋部8の小口を塞いでいる。桁1a,1bの端面と止水板27の間にはシーラー29を介在させてある。また止水板27は、
図7に示すように、左右の桁1a,1bの端面間に跨って取付けられる長尺の部材となっている。
図2に示すように、止水板27の前側及び後側には、妻破風11が取付けてある。妻破風11は、アルミニウム合金の押出形材で形成してあり、高さ寸法が桁1a,1bの高さ寸法Hと略同じになっている。妻破風11は、左右の桁1a,1bにねじ30で取付けられると共に、妻垂木3と内側からねじ31で固定してある。
【0012】
妻垂木3と垂木2は、
図2に示すように、アルミニウム合金の押出形材で略矩形断面の中空状に形成してある。また妻垂木3と垂木2は、
図1に示すように、長手方向の中央部が上方に盛り上がるように弓状に湾曲しており、長手方向の端部は中空部の上壁32より下の部分が切り欠いてあり、上壁32の端部を桁1a,1bの垂木取付部21上に載置し、上方からのねじ33で固定してある。このように長手方向の端部を切り欠くことで、妻垂木3と垂木2を低い位置に配置することができ、妻垂木3及び垂木2と屋根パネル4は高さを低くした桁1a,1bの上下寸法H内に納まっている。
【0013】
屋根パネル4は、樹脂パネルを長方形に切断して形成したものであり、
図1,2に示すように、前後の縁部が妻垂木3又は垂木2の上面に載置され、妻垂木3及び垂木2に上方からねじ34で取付けたパネル押え35で押さえてあり、左右の縁部が桁1a,1bに取付けたパネル押え22で押さえて取付けてある。
【0014】
柱5は、
図1に示すように、桁1a,1bの本体部7の下面7aと樋部8の下面8aに跨って当接して桁1a,1bを支持している。柱5は、
図3に示すように、柱本体36と、柱本体36の前側及び後側に取付けられる柱カバー37,37と、柱カバー37を柱本体36に取付けているねじ42を隠すための目板38とを備えている。
柱本体36は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、内周側部36aが外周側部36bよりも細くなった略T字形断面の中空形材となっている。
柱カバー37は、アルミニウム合金の押出形材で形成してあり、柱本体36の内周側の細くなった分のスペースに取付けられ、外側の壁39が柱本体36の外周側部36bと面一になっている。柱カバー37は、外周側の縁部を柱本体36に形成された溝40に係止し、内周側の部分をねじ42で柱本体36に取付けてある。柱カバー37は中空部41を有しており、前後の柱カバー37,37のうちの一方の柱カバー37(図示のものは前側の柱カバー37)の中空部41が水抜き25を介して桁1a,1bの樋部8と連通し、この中空部41が屋根の雨水を排水するための竪樋を兼ねている。
屋根10上に降った雨水は、
図1中の矢印43に示すように、湾曲した屋根パネル4上を伝って桁1a,1bの樋部8に流れ、その後、矢印44に示すように、樋部8から水抜き25を通って柱カバー37の中空部41へと流れ、柱カバー37の下端部より外部に排水される。
【0015】
このように本簡易建物は、柱5が桁1a,1bの本体部7の下面7aと樋部8の下面8aに跨って当接して桁1a,1bを支持しているため、樋部8から柱5(より詳細には、柱カバー37の中空部41)に直接雨水を流すことができる。さらに、桁1a,1bは本体部7の柱5との当接面(本体部7の下面7a)と樋部8の柱5との当接面(樋部8の下面8a)とが同一平面上にあることで、桁1a,1bの上下寸法Hを低くできると共に、桁1a,1bを下方から見たときに本体部7と樋部8の境目が無くすっきりして見えるし、柱5は上端をまっすぐに切断するだけでよいため、柱5の加工が容易になる。また、柱カバー37が竪樋を兼ねており、通常、柱に沿って取付けられる塩ビの丸パイプよりなる竪樋を有しないので、意匠性がよい。
【0016】
次に、本簡易建物の施工手順を説明する。まず、柱本体36の上端部に被固定具45をねじ46で固定し(
図1,2参照)、被固定具45の上面に連結金具12をボルト47で固定しておく。次に、連結金具12を取付けた4本の柱本体36を地面の所定の位置に立設する。その後、
図5-1(a)に示すように、前後の柱本体36,36上に跨って桁1a,1bを載せ、桁1a,1bの裏板保持溝16に保持させた裏板15と連結金具12をボルト14で固定して、柱本体36と桁1a,1bを連結する。
次に、
図5-1(b)に示すように、柱本体36に柱カバー37を取付ける。
次に、
図5-1(c)に示すように、左右の桁1a,1bの間に妻垂木3と垂木2を架設する。妻垂木3と垂木2は、
図6に示すように、長手方向の端部が屋根パネル4を受ける上壁32の部分を残してあらかじめ切り欠いてあり、切り残した上壁32をシーラー48を挟んで桁1a,1bの垂木取付部21に載置し、上方からのねじ33で固定する。
次に、
図5-2(d)と
図7,8に示すように、左右の桁1a,1bの前側及び後側の端面に跨って止水板27と妻破風11を取付ける。
次に、
図5-2(e)と
図9に示すように、妻垂木3及び垂木2上に屋根パネル4を載せ、桁1a,1bと妻垂木3及び垂木2にパネル押え22,35を取付けて屋根パネル4を固定する。
【0017】
図10~15は、本発明の簡易建物の第2実施形態を示している。本簡易建物は、カーポートに適用したものであって、屋根材として折板9を使用したものとなっている。
本簡易建物は、
図13,14に示すように、前後方向及び左右方向に間隔をおいて立設した4本の柱5と、柱5上に支持した屋根10とを備えている。
屋根10は、左右両側に配置された桁1a,1bと、左右の桁1a,1bの前側及び後側の端部をそれぞれ連結する妻破風11と、左右の桁1a,1bの間に前後方向に間隔をおいて架設した妻垂木3及び垂木2と、妻垂木3及び垂木2間に取付けた折板9とを備えている。左右の桁1a,1bと前後の妻破風11は、第1実施形態と同様に水平に配置されており、周囲から見て屋根10は水平且つフラットに見える。
【0018】
左右の桁1a,1bは、アルミニウム合金の押出形材よりなり、
図10に示すように、略矩形断面の中空部6a,6bを上下に二つ積層して設けた本体部7と、本体部7の内周側に設けた樋部8を一体に有している。
本体部7の下面7aには、ボルト49を下方に突出して保持したボルトレール50を収納するボルトレール収納溝51が桁1a,1bの長手方向に沿って形成してある。
樋部8は、内周側壁17と底壁18と外周側壁19とで上側が開放した略コ字型断面の溝状に形成してあり、外周側壁19は本体部7の内周側壁が兼ねており、樋部8の下面8aは本体部7の下面7aと同一平面上にある。樋部8の下面8aにも、ボルトレール収納溝51が長手方向に沿って形成してある。
樋部8の外周側壁19及び内周側壁17の上端部には、妻垂木3及び垂木2の長手方向端部が載置される載置部52a,52bが設けてある。左右の桁1a,1bでは、樋部8の深さが異なっており、
図1の右側の桁1bの方が左側の桁1aよりも樋部8の深さが深く、載置部52a,52bの高さは右側の桁1bの方が左側の桁1aよりも高くなっている。したがって、左右の桁1a,1bの載置部52a,52b上に長手方向端部を載置して左右の桁1a,1b間に架設した妻垂木3及び垂木2は、右側が少し高くなるように若干傾斜している。樋部8の底壁18には、樋部8に溜まった雨水を排水するための孔を形成し、その孔に水抜き25を取付けてある。
【0019】
このように桁1a,1bは、外周側に中空部6a,6bからなる本体部7を設け、本体部7の内周側に樋部8を設け、本体部7の内周側に妻垂木3及び垂木2の長手方向端部を取付けたことで、本体部7の外周側に樋部8を設けた場合と比較して、桁1a,1bの上下寸法Hを低くすることができる。具体的には、桁1a,1bの上下寸法Hは180mmで、屋根材の厚みが厚い分、第1実施形態のものよりは高くなっている。
【0020】
妻垂木3と垂木2は、
図11に示すように、アルミニウム合金の押出形材で略矩形断面の中空状に形成してある。妻垂木3と垂木2は、下壁53が側方に張り出しており、その張り出した部分を、
図10に示すように、桁1a,1bの樋部8の外周側壁19より突設した載置部52aに載置し、上方からねじ54で固定してある。
【0021】
折板9は、
図11に示すように、鋼板を折り曲げて山部55と谷部56を前後方向に交互に有する形状としたものであり、
図14に示すように、前後方向に複数並べて配置してある。
図11に示すように、折板9は前後の端部が何れも山部55になっており、隣り合う前側の折板9の後端部の山部55と後側の折板9の前端部の山部55とを上下に重ねて垂木2の上面に載置し、ルーフボルト57で固定してある。また、一番前の折板9の前端部の山部55と、一番後ろの折板9の後端部の山部55は、妻垂木3の上面に載置してルーフボルト57で固定してある。
折板9は、
図10に示すように、左右方向の長さが垂木2及び妻垂木3よりも短くなっており、左右の縁部9aが桁1a,1bの樋部8の内周側壁17のやや外周側に位置している。そして折板9は、左右方向の端部で谷部56が桁1a,1bの樋部8の内周側壁17より突設した載置部52bに載置され、上方からのねじ58で固定してある。
折板9は、妻垂木3及び垂木2と同様に右側が少し高くなるように傾斜して配置されており、屋根10上に降った雨水は、
図10中に矢印43に示すように、折板9の谷部56を伝って左側の桁1aの樋部8に流れる。
妻垂木3及び垂木2と折板9は、桁1a,1bの上下寸法H内に納まっている。
【0022】
図10,14に示すように、妻垂木3と垂木2の上面には水切り59が前後方向に沿って取付けてある。水切り59は、折板9と桁1a,1bの本体部7との間の隙間を覆い、桁1a,1bの樋部8に落葉等が入るのを防いでいる。
【0023】
柱5は、
図10に示すように、桁1a,1bの本体部7の下面7aと樋部8の下面8aに跨って当接して桁1a,1bを支持している。桁1a,1bの本体部7の下面7aと樋部8の下面8aのボルトレール収納溝51には、ボルト49を下方に突出する状態で保持したボルトレール50が保持され、そのボルト49を連結金具60に挿通してナット掛けすることで、桁1a,1bの下面に連結金具60が取付けてある。連結金具60は、
図10,11に示すように、柱5の上端部に挿入され、前方及び後方からのボルト61で柱5と固定してある。こうして桁1a,1bは、本体部7と樋部8をそれぞれ柱5と固定してある。
柱5は、
図12に示すように、柱本体36と、柱本体36の前面に取付けた竪樋ベース62と、竪樋ベース62に係合して柱本体36の前方に取付けた竪樋63と、柱本体36の溝64に係合取付けした目板38とを備えている。
竪樋63は、矩形断面の中空部65を有し、左右の側面66,66が柱本体36の左右の側面と面一状になっている。竪樋63の中空部65は、水抜き25を介して桁1a,1bの樋部8と連通している。したがって、桁1a,1bの樋部8に入った雨水は、
図10中の矢印44に示すように、水抜き25を通って竪樋63の中空部65へと流れ、竪樋63の下端部より外部に排水される。
目板38は、柱本体36の溝64を塞ぎ、連結金具60を柱本体36に固定しているボルト61の頭を隠している。なお、竪樋63が取付けられているのは前側の柱5だけで、後側の柱5は柱本体36の前面と後面の溝64の両方に目板38が取り付けられている。
【0024】
次に、本簡易建物の施工手順を説明する。
まず、
図15-1(a)に示すように、左右の桁1a,1bの前側及び後側の端面に止水板27を取付け、桁1a,1bの下面に連結金具60を取付ける。
次に、
図15-1(b)に示すように、所定の位置に柱5(柱本体36)をそれぞれ立設し、前後の柱5の上端に左右の桁1a,1bを架設する。
次に、
図15-1(c)に示すように、左右の桁1a,1bの前側及び後側の端部間に妻垂木3と妻破風11を取付ける。
次に、
図15-1(d)に示すように、折板9に加工(孔加工)を行う。
次に、
図15-2(e)に示すように、左右の桁1a,1b間に垂木2を架設し、その後に折板9を取付ける。
次に、
図15-2(f)に示すように、水切り59を取付ける。
次に、
図15-2(g)に示すように、柱5に竪樋63を取付ける。
次に、
図15-2(h)に示すように、柱5に目板38を取付ける。
【0025】
以上に述べたように、第1実施形態及び第2実施形態の簡易建物は、桁1a,1bに中空部6,6a,6bからなる本体部7と、本体部7の内周側に設けた樋部8を有し、垂木2,3は長手方向の端部を桁1a,1bの本体部7の内周側に固定したことで、所定の強度を確保しつつ屋根10の高さを低くすることができ、しかも垂木2,3及び屋根材4,9が桁1a,1bの上下寸法H内に納まっていることで、桁1a,1bで垂木2,3及び屋根材4,9が隠れるため、意匠性が良い。また、柱5が桁1a,1bの本体部7の下面7aと樋部8の下面8aに跨って当接していることで、桁1a,1bの樋部8から柱5に水を流しやすい。
さらに、第1実施形態及び第2実施形態の簡易建物は、桁1a,1bは、本体部7の柱5との当接面7aと樋部8の柱5との当接面8aが同一平面上にあるため、桁1a,1bの上下寸法Hを低くできると共に、桁1a,1bを下方から見たときに本体部7と樋部8の境目が無くすっきりして見えるし、柱5は上端をまっすぐに切断するだけでよいため、柱5の加工が容易になる。
第1実施形態の簡易建物は、桁1a,1bは、本体部7と樋部8とが一体成形された押出形材よりなり、本体部7で柱5と固定してある。桁1a,1bは、主に本体部7で風圧や重力等に対する強度を負担するので、本体部7で柱5と固定してあることで、桁1a,1bに加わる荷重を柱5に効率よく伝達することができ、所定の強度を安定して維持できる。
また、第1実施形態の簡易建物は、屋根材4が樹脂パネルであり、垂木2,3は長手方向の端部が上壁32を残して切り欠いてあることで、屋根10の高さをより一層低くすることができる。
第2実施形態の簡易建物は、桁1a,1bは、本体部7と樋部8とが一体成形された押出形材よりなり、本体部7と樋部8をそれぞれ柱5と固定してあるので、桁1a,1bを柱5により強固に固定することができる。また、桁1a,1bの本体部7は、中間に横壁67を設けて中空部6a,6bを上下に仕切ったことで(
図10参照)、桁1a,1bの上下寸法Hが第1実施形態のものより大きくても、本体部7と樋部8を一体で押出成形することが可能になる。
【0026】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。桁、垂木及び柱の断面形状は、適宜変更することができる。桁は、本体部の下面と樋部の下面が必ずしも同一平面上になくてもよい。本発明は、通路シェルターやカーポートに限らず、サイクルポート、バス停等の小屋など、あらゆる簡易建物に適用することができる。
【符号の説明】
【0027】
1a,1b 桁
2 垂木
3 妻垂木(垂木)
4 屋根パネル(屋根材)
5 柱
6,6a,6b 中空部
7 本体部
8 樋部
9 折板(屋根材)