(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101751
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】車両用後方画像表示装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
H04N7/18 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216010
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】谷口 敬大
【テーマコード(参考)】
5C054
【Fターム(参考)】
5C054FC12
5C054FD00
5C054FE05
5C054FE06
5C054FE21
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】後方画像の表示を遮ることがなく、表示の違和感を防止しつつ距離の把握が容易となる車両用後方画像表示装置を提供すること。
【解決手段】車両用後方画像表示装置1は、車両の後方を撮像する左カメラ10L、右カメラ10Rと、撮像された画像に含まれる一部領域に対応する第1の後方画像を生成する左後方前画像生成部30L、右後方前画像生成部30Rと、残りの領域に対応する第2の後方画像を第1の後方画像とは異なる表示態様で生成する左後方後画像生成部32L、右後方後画像生成部32Rと、第1および第2の後方画像を含む全体後方画像を表示する左表示処理部36L、右表示処理部36R、左表示部38L、右表示部38Rとを備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に含まれる一部領域に対応する第1の後方画像を生成する第1の後方画像生成手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に含まれる残りの領域に対応する第2の後方画像を、前記第1の後方画像とは異なる表示態様で生成する第2の後方画像生成手段と、
前記第1および第2の後方画像を含む全体後方画像を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする車両用後方画像表示装置。
【請求項2】
前記第1および第2の後方画像のそれぞれは、少なくとも一方の色味、色調、明るさの一つあるいは二つ以上を変更することにより表示態様を異ならせることを特徴とする請求項1に記載の車両用後方画像表示装置。
【請求項3】
前記一部領域と前記残りの領域は、自車位置からの距離の遠近に対応して区分けされていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用後方画像表示装置。
【請求項4】
自車位置からの距離が近い側に対応する前記第1の後方画像および前記第2の後方画像のいずれか一方の明るさを他方よりも暗くすることを特徴とする請求項3に記載の車両用後方画像表示装置。
【請求項5】
自車位置からの距離の遠近に対応した前記一部領域と前記残りの領域の区分けは、前記撮像手段によって撮像された画像に含まれる路面に沿った距離に基づいて行うことを特徴とするで請求項3または4に記載の車両用後方画像表示装置。
【請求項6】
前記一部領域と前記残りの領域は、車両を後退させる際の車両の予測軌跡に対応して区分けされていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用後方画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて後側方を撮像して表示する車両用後方画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドアミラーの反射像に相当する後側方映像のモニタ表示において、距離指標画像を後続車との車間距離の変化を把握し易い位置に表示するようにした車両用後方視界支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置では、後側方映像のモニタ表示に、ポール形状のアイコンや壁形状のアイコンなどで表された距離指標画像が含まれており、後続車までの距離がわかるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された車両用後方視界支援装置では、モニタ表示内で後側方映像に重ねてポール形状や壁形状などの距離指標画像としてのアイコンが表示されるため、これらのアイコンが後側方映像の一部を隠してしまい、利用者に伝える情報量が減少するという問題があった。特に、これらのアイコンを後続車に重ねて表示を行う場合には、アイコンが目立ってしまって、表示に違和感があったり、後続車までの距離が把握しにくいことがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、後方画像内の表示物を隠すことがなく、違和感が生まれることを防止しつつ距離の把握が容易となる車両用後方画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用後方画像表示装置は、車両の後方を撮像する撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像に含まれる一部領域に対応する第1の後方画像を生成する第1の後方画像生成手段と、撮像手段によって撮像された画像に含まれる残りの領域に対応する第2の後方画像を、第1の後方画像とは異なる表示態様で生成する第2の後方画像生成手段と、第1および第2の後方画像を含む全体後方画像を表示する表示手段とを備えている。
【0007】
第1の後方画像と第2の後方画像の表示態様を変えているだけであるため、全体後方画像の表示自体が遮られることを防止することができる。また、アイコン等を追加するわけではなく、全体後方画像の一部が隠れることもないため、違和感が生まれることを防止しつつ、距離を把握することが容易となる。
【0008】
また、上述した第1および第2の後方画像のそれぞれは、少なくとも一方の色味、色調、明るさの一つあるいは二つ以上を変更することにより表示態様を異ならせることが望ましい。色味、色調、明るさの変更によって表示態様を異ならせる場合には、全体後方画像の内容自体には変更がなく、表示の違和感を最小限に抑えることができる。
【0009】
また、上述した一部領域と残りの領域は、自車位置からの距離の遠近に対応して区分けされていることが望ましい。これにより、全体後方画像に含まれる後方車両等までの距離の把握が容易となる。
【0010】
また、自車位置からの距離が近い側に対応する第1の後方画像および第2の後方画像のいずれか一方の明るさを他方よりも暗くすることが望ましい。車両に近い側の動きの速い後方画像を暗くすることにより、この画像を見ている利用者(運転者)の疲労感を低減することができる。
【0011】
また、自車位置からの距離の遠近に対応した一部領域と残りの領域の区分けは、撮像手段によって撮像された画像に含まれる路面に沿った距離に基づいて行うことが望ましい。これにより、第1の後方画像と第2の後方画像を全体画像内で直線状の境界線で単純に2分割することができ、画像表示処理を簡略化することができる。
【0012】
また、上述した一部領域と残りの領域は、車両を後退させる際の車両の予測軌跡に対応して区分けされていることが望ましい。これにより、車両の後退時に予測軌跡を表示する際に、全体後方画像の表示物が部分的に遮蔽されることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態の車両用後方画像表示装置の構成を示す図である。
【
図3】変形例の車両用後方画像表示装置の構成を示す図である。
【
図4】
図3に示した車両用後方画像表示装置で作成される全体後方画像の一例を示す図である。
【
図5】他の変形例の車両用後方画像表示装置の構成を示す図である。
【
図6】
図5に示した車両用後方画像表示装置で作成される全体後方画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用後方画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、一実施形態の車両用後方画像表示装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の車両用後方画像表示装置1は、左カメラ10L、右カメラ10R、左画像格納部20L、右画像格納部20R、左後方前画像生成部30L、左後方後画像生成部32L、右後方前画像生成部30R、右後方後画像生成部32R、左画像合成部34L、右画像合成部34R、左表示処理部36L、右表示処理部36R、左表示部38L、右表示部38Rを備えている。
【0016】
左カメラ10Lは、物理的な左側のドアミラーが備わっていると仮定したときに、車両の運転者から見てこのドアミラーに映る領域が撮像範囲に含まれるように車両左側の後側方を撮像する。右カメラ10Rは、物理的な右側のドアミラーが備わっていると仮定したときに、車両の運転者から見てこのドアミラーに映る領域が撮像範囲に含まれるように車両右側の後側方を撮像する。なお、本実施形態の車両には左右のドアミラーは備わっておらず、代わりに、左カメラ10Lと右カメラ10Rの撮像によって得られた画像が表示される。
【0017】
左カメラ10Lによる撮像によって得られた画像は左画像格納部20Lに格納される。また、右カメラ10Rによる撮像によって得られた画像は右画像格納部20Rに格納される。
【0018】
左後方前画像生成部30Lは、左カメラ10Lで撮像されて左画像格納部20Lに格納された画像の中から表示対象となる左画像の前半分(一部領域)を抽出し、この前半分に対応する左後方前画像(第1の後方画像)を生成する。
【0019】
左後方後画像生成部32Lは、左カメラ10Lで撮像されて左画像格納部20Lに格納された画像の中から表示対象となる左画像の後半分(残りの領域)を抽出し、この後半分に対応する左後方後画像(第2の後方画像)を生成する。
【0020】
本実施形態では、上述した一部領域と残りの領域は、自車位置からの距離に対応して区分けされている。例えば、画像に含まれる路面に沿った距離が自車両から10mまでの領域(一部領域)に対応して左後方前画像(第1の後方画像)が生成される。また、10m以上の領域(残りの領域)に対応して左後方後画像(第2の後方画像)が生成される。
【0021】
また、左後方前画像と左後方後画像は、異なる表示態様で生成される。具体的には、少なくとも一方の画像について、色味、色調、明るさの中の一つあるいは二つ以上を異ならせることで、異なる表示態様が実現される。例えば、左後方後画像は、左カメラ10Lの撮像によって得られた画像の各画素値をそのまま用いて生成される。一方、左後方前画像は、左カメラ10Lの撮像によって得られた画像の各画素値をそのまま用いるのではなく、左後方後画像と左後方前画像との境界が目視により確認できるように、明るさを多少暗くして生成される。
【0022】
左画像合成部34Lは、このようにして生成された左後方後画像と左後方前画像とを合成した全体左後方画像を生成する。左表示処理部36Lは、合成された全体左後方画像を左表示部38Lに表示する処理を行う。例えば、左表示部38Lは、液晶表示装置によって構成されており、ダッシュボードの左側端部近傍に配置されている。
【0023】
このようにして左カメラ10Lによって撮像された画像に基づいて全体左後方画像が表示されるが、全体右後方画像についても同様にして表示が行われる。
【0024】
右後方前画像生成部30Rは、右カメラ10Rで撮像されて右画像格納部20Rに格納された画像の中から表示対象となる右画像の前半分(一部領域)を抽出し、この前半分に対応する右後方前画像(第1の後方画像)を生成する。
【0025】
右後方後画像生成部32Rは、右カメラ10Rで撮像されて右画像格納部20右に格納された画像の中から表示対象となる右画像の後半分(残りの領域)を抽出し、この後半分に対応する右後方後画像(第2の後方画像)を生成する。
【0026】
上述したように、本実施形態では、上述した一部領域と残りの領域は、自車位置からの距離に対応して区分けされている。例えば、画像に含まれる路面に沿った距離が自車両から10mまでの領域(一部領域)に対応して右後方前画像(第1の後方画像)が生成される。また、10m以上の領域(残りの領域)に対応して右後方後画像(第2の後方画像)が生成される。
【0027】
また、右後方前画像と右後方後画像は、異なる表示態様で生成される。具体的には、少なくとも一方の画像について、色味、色調、明るさの中の一つあるいは二つ以上を異ならせることで、異なる表示態様が実現される。例えば、右後方後画像は、右カメラ10Rの撮像によって得られた画像の各画素値をそのまま用いて生成される。一方、右後方前画像は、右カメラ10Rの撮像によって得られた画像の各画素値をそのまま用いるのではなく、右後方後画像と右後方前画像との境界が目視により確認できるように、明るさを多少暗くして生成される。
【0028】
右画像合成部34Rは、このようにして生成された右後方後画像と右後方前画像とを合成した全体右後方画像を生成する。右表示処理部36Rは、合成された全体右後方画像を右表示部38Rに表示する処理を行う。例えば、右表示部38Rは、液晶表示装置によって構成されており、ダッシュボードの右側端部近傍に配置されている。
【0029】
図2は、全体左後方画像の一例を示す図である。
図2において、S1は左後方前画像を、S2は左後方後画像を示している。また、Lは左後方前画像S1と左後方後画像S2との境界(自車両から10mの位置)を示している。
図2に示すように、本実施形態では、利用者(運転者)は、自車両から10mの位置を、距離指標画像としてのアイコンや補助画像を用いることなく、表示態様を異ならせた左後方前画像S1と左後方後画像S2の境界Lとして認識することができる。
【0030】
このように、本実施形態の車両用後方画像表示装置1では、第1の後方画像(左後方前画像、右後方前画像)と第2の後方画像(左後方後画像、右後方後画像)の表示態様を変えているだけであるため、全体後方画像(全体左後方画像、全体右後方画像)の表示自体が遮られることを防止することができる。また、アイコン等を追加するわけではなく、全体後方画像の一部が隠れることもないため、違和感が生まれることを防止しつつ、距離を把握することが容易となる。特に、色味、色調、明るさの変更によって表示態様を異ならせる場合には、全体後方画像の内容自体には変更がなく、表示の違和感を最小限に抑えることができる。
【0031】
また、第1の後方画像と第2の後方画像は、自車位置からの距離の遠近に対応して区分けされているため、全体後方画像に含まれる後方車両等までの距離の把握が容易となる。また、自車位置からの距離が近い側に対応する第1の後方画像の方が、この画像に含まれる後方車両などの動きが速くなるため、この第1の後方画像の明るさを第2の後方画像の明るさよりも暗くすることにより、この画像を見ている利用者(運転者)の疲労感を低減することができる。また、この距離を路面に沿った距離とすることにより、
図2に示すように、全体画像内で直線状の境界Lで単純に第1の後方画像と第2の後方画像を2分割することができ、画像表示処理を簡略化することができる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、第1の後方画像と第2の後方画像の少なくとも一方について色味、色調、明るさを変更したが、これらの変更を後方画像全体に対して行うのではなく、2つの後方画像の境界近傍のみを変更したり、グラデーションをつけて徐々に変更するようにしてもよい。
【0033】
また、上述した実施形態では、一例として、第1の後方画像と第2の後方画像との区分けを、自車位置からの距離が路面に沿って10mの位置で行うことを説明したが、後方車両の3次元位置を検出し、自車位置からの所定距離(例えば10m)を三次元空間内の距離で判定するようにしてもよい。
【0034】
図3は、変形例の車両用後方画像表示装置の構成を示す図である。
図3に示す車両用後方画像表示装置1Aは、左カメラ10L、右カメラ10R、左画像格納部20L、右画像格納部20R、左後方前画像生成部30LA、左後方後画像生成部32L、右後方前画像生成部30RA、右後方後画像生成部32R、左画像合成部34L、右画像合成部34R、左表示処理部36L、右表示処理部36R、左表示部38L、右表示部38R、三次センサ40L、40Rを備えている。この車両用後方画像表示装置1Aは、
図1に示した車両用後方画像表示装置1に対して、三次元センサ40L、40Rを追加するとともに、左後方前画像生成部30Lを左後方前画像生成部30LAに、右後方前画像生成部30Rを右後方前画像生成部30RAに変更したものである。
【0035】
三次元センサ40Lは、車両の左後方に存在する後方車両等の障害物の三次元位置を検出する。左後方前画像生成部30LAは、左カメラ10Lで撮像されて左画像格納部20Lに格納された画像の中から表示対象となる左画像の前半分(一部領域)を抽出し、この前半分に対応する左後方前画像(第1の後方画像)を生成するという動作は左後方前画像生成部30Lと基本的に同じであるが、三次元センサ40Lによって検出された自車両からの距離が所定値(例えば10m)未満の障害物の画像も第1の後方画像に含まれる。
【0036】
同様に、三次元センサ40Rは、車両の右後方に存在する後方車両等の障害物の三次元位置を検出する。右後方前画像生成部30RAは、右カメラ10Rで撮像されて右画像格納部20Rに格納された画像の中から表示対象となる右画像の前半分(一部領域)を抽出し、この前半分に対応する右後方前画像(第1の後方画像)を生成するという動作は右後方前画像生成部30Rと基本的に同じであるが、三次元センサ40Rによって検出された自車両からの距離が所定値(例えば10m)未満の障害物の画像も第1の後方画像に含まれる。
【0037】
図4は、
図3に示した車両用後方画像表示装置1Aで作成される全体後方画像の一例を示す図である。
図4に示す例では、障害物として検出された後方車両Cの前側の一部までの距離が所定値未満であり、その部分画像が第1の後方画像に含まれる。自車両からの距離が、部分的に所定値未満である障害物について、その3次元形状を反映した表示とすることにより、違和感が生まれることを防止することができる。
【0038】
また、上述した実施形態では、自車両からの距離に着目して一部領域と残りの領域(第1の後方画像と第2の後方画像)を区分けしたが、距離以外に着目してこれらの区分けを行うようにしてもよい。例えば、一部領域として、車両を後退させる際の車両の予測軌跡に対応して一部領域(第1の後方画像)を設定し、それ以外に対応して残りの領域(第2の後方画像)を設定するようにしてもよい。
【0039】
図5は、他の変形例の車両用後方画像表示装置の構成を示す図である。
図5に示す車両用後方画像表示装置1Bは、左カメラ10L、右カメラ10R、左画像格納部20L、右画像格納部20R、左予測軌跡画像生成部30LB、左後方画像生成部32LB、右予測軌跡画像生成部30RB、右後方画像生成部32RB、左画像合成部34L、右画像合成部34R、左表示処理部36L、右表示処理部36R、左表示部38L、右表示部38R、ステアリングセンサ42を備えている。この車両用後方画像表示装置1Bは、
図1に示した車両用後方画像表示装置1に対して、ステアリングセンサ42を追加するとともに、左後方前画像生成部30Lを左予測軌跡画像生成部30LBに、右後方前画像生成部30Rを右予測軌跡画像生成部30RBに、左後方後画像生成部32Lを左後方画像生成部32LBに、右後方後画像生成部32Rを右後方画像生成部32RBに変更したものである。
【0040】
ステアリングセンサ42は、車両後退時にステアリングの操舵角を検出する。左予測軌跡画像生成部30LBは、車両後退時にステアリングが左に切られたときに、左カメラ10Lで撮像されて左画像格納部20Lに格納された画像の中から、後退時の車両の軌跡に対応する一部領域を抽出し、この一部領域に対応する部分画像(第1の後方画像)を生成する。左後方画像生成部32LBは、左カメラ10Lで撮像されて左画像格納部20Lに格納された画像の中から表示対象となる左画像(第2の後方画像)を生成する。第2の後方画像は、後退時の車両の軌跡に対応する一部領域を除く残りの領域に対応する。左画像合成部34Lは、このようにして左後方画像生成部32LBによって生成された左画像に、左予測軌跡画像生成部30LBによって生成された部分画像を合成する。
【0041】
同様に、右予測軌跡画像生成部30RBは、車両後退時にステアリングが右に切られたときに、右カメラ10Rで撮像されて右画像格納部20Rに格納された画像の中から、後退時の車両の軌跡に対応する一部領域を抽出し、この一部領域に対応する部分画像(第1の後方画像)を生成する。右後方画像生成部32RBは、右カメラ10Rで撮像されて右画像格納部20Rに格納された画像の中から表示対象となる右画像(第2の後方画像)を生成する。第2の後方画像は、後退時の車両の軌跡に対応する一部領域を除く残りの領域に対応する。右画像合成部34Rは、このようにして右後方画像生成部32RBによって生成された右画像に、右予測軌跡画像生成部30RBによって生成された部分画像を合成する。
【0042】
図6は、
図5に示した車両用後方画像表示装置1Bで作成される全体後方画像の一例を示す図である。
図6に示す例では、車両後退時に車両が進行する予測軌跡を示す予測軌跡画像S3(第1の後方画像)とそれ以外の後方画像S4(第2の後方画像)とが全体後方画像に含まれており、これら予測軌跡画像S3と後方画像S4の表示態様が異なっている(
図6に示す例では、予測軌跡画像S3の明るさが後方画像S4よりも暗くなっているが、色味や色調を変更するようにしてもよい)。このように、車両の後退時に予測軌跡を表示する場合であっても、補助線などを追加する必要がないため、全体後方画像の表示を部分的に妨げることを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
上述したように、本発明によれば、後方画像の表示において、第1の後方画像と第2の後方画像の表示態様を変えることにより、全体後方画像の表示自体が遮られることを防止することができる。第1の後方画像と第2の後方画像とで表示態様を変えているだけであってアイコン等を追加することもないため、全体後方画像の一部が隠れることもなく、違和感が生まれることを防止しつつ距離の把握が容易となる。
【符号の説明】
【0044】
1 車両用後方画像表示装置
10L 左カメラ
10R 右カメラ
20L 左画像格納部
20R 右画像格納部
30L 左後方前画像生成部
30R 右後方前画像生成部
32L 左後方後画像生成部
32R 右後方後画像生成部
34L 左画像合成部
34R 右画像合成部
36L 左表示処理部
36R 右表示処理部
38L 左表示部
38R 右表示部