(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101755
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】給水ポンプの検査方法
(51)【国際特許分類】
F25C 1/25 20180101AFI20220630BHJP
【FI】
F25C1/25 305P
F25C1/25 305D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216016
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】大谷 貴史
(72)【発明者】
【氏名】青木 均史
【テーマコード(参考)】
3L110
【Fターム(参考)】
3L110AA02
3L110AC04
3L110BA00
(57)【要約】
【課題】吐水量を確認しなくても製氷機の良否を判定することができる検査方法を提供する。
【解決手段】冷蔵庫10の内部に配設される製氷機25において、給水タンク26から製氷皿27に水を輸送する給水ポンプ28を検査する検査方法であり、給水ポンプ28を動作させるステップと、給水ポンプ28が動作した際の電圧に基づいて、給水ポンプ28の良否を判定するステップと、を具備する。このようにすることで、効率的に良否を判定することができる給水ポンプ28の検査方法を提供することができる。即ち、給水ポンプ28が動作した際の電圧に基づいて給水ポンプ28の良否を判定することで、ポンプによる吐水量を計測する必要が無いので、ポンプの良否を簡易に判定することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫の内部に配設される製氷機において、給水タンクから製氷皿に水を輸送する給水ポンプを検査する検査方法であり、
前記給水ポンプを動作させるステップと、
前記給水ポンプが動作した際の電圧に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定するステップと、を具備することを特徴とする給水ポンプの検査方法。
【請求項2】
前記動作させるステップでは、前記給水ポンプを、正転方向および逆転方向に動作させ、
前記判定するステップでは、前記給水ポンプが正転方向に運転された際の電圧、および、前記給水ポンプが逆転方向に運転された際の電圧に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定することを特徴とする請求項1に記載の給水ポンプの検査方法。
【請求項3】
前記動作させるステップでは、前記給水タンクに前記水がある場合、および、前記給水タンクに前記水が無い場合において、前記給水ポンプを、正転方向および逆転方向に動作させ、
前記判定するステップでは、前記給水タンクに前記水がある場合、および、前記給水タンクに前記水が無い場合において、前記給水ポンプが正転方向に運転された際の電圧、および、前記給水ポンプが逆転方向に運転された際の電圧に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定することを特徴とする請求項1に記載の給水ポンプの検査方法。
【請求項4】
前記判定するステップでは、前記冷蔵庫に備えられた変換回路により検出された電圧値に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の給水ポンプの検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水ポンプの検査方法に関し、特に、冷蔵庫の製氷機に設けられる給水ポンプを検査する給水ポンプの検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の冷蔵庫では、自動製氷機を備えたものがある。この自動製氷機は、冷蔵室に給水タンクおよび給水ポンプが配置され、冷凍室に製氷皿が配置される。自動製氷機が製氷する際には、給水タンクに貯留された水が、給水ポンプの吸引力により製氷皿に送水され、製氷皿にて水が凍結することで、氷が製造される。自動製氷機を備えた冷蔵庫は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
自動製氷機を備えた冷蔵庫の製造工程では、冷蔵庫の組立工程が終了した後に、冷蔵庫が備える各種構成機器の動作を確認するテスト工程がある。このテスト工程では、自動製氷機の動作も確認する。具体的には、給水タンクに水を貯留し、給水ポンプを稼働させ、給水ポンプが送水する水の流量を確認することで、自動製氷機の動作確認を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した背景技術では、製氷機の良否を効率的に確認する観点から改善の余地があった。
【0006】
具体的には、給水ポンプの吐水量を確認することで、製氷機の良否を判定しようとすると、作業員が、計量器を給水ポンプの吐出側に配置し、吐水量を目視で確認する必要があった。このような確認作業は繁雑であり長時間を要する課題があった。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、吐水量を確認しなくても製氷機の良否を判定することができる検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の給水ポンプの検査方法は、冷蔵庫の内部に配設される製氷機において、給水タンクから製氷皿に水を輸送する給水ポンプを検査する検査方法であり、前記給水ポンプを動作させるステップと、前記給水ポンプが動作した際の電流に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定するステップと、を具備することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の給水ポンプの検査方法では、前記動作させるステップでは、前記給水ポンプを、正転方向および逆転方向に動作させ、前記判定するステップでは、前記給水ポンプが正転方向に運転された際の電流、および、前記給水ポンプが逆転方向に運転された際の電流に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の給水ポンプの検査方法では、前記動作させるステップでは、前記給水タンクに前記水がある場合、および、前記給水タンクに前記水が無い場合において、前記給水ポンプを、正転方向および逆転方向に動作させ、前記判定するステップでは、前記給水タンクに前記水がある場合、および、前記給水タンクに前記水が無い場合において、前記給水ポンプが正転方向に運転された際の電流、および、前記給水ポンプが逆転方向に運転された際の電流に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の給水ポンプの検査方法では、前記判定するステップでは、前記冷蔵庫に備えられた変換回路により検出された電圧値に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の給水ポンプの検査方法は、冷蔵庫の内部に配設される製氷機において、給水タンクから製氷皿に水を輸送する給水ポンプを検査する検査方法であり、前記給水ポンプを動作させるステップと、前記給水ポンプが動作した際の電流に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定するステップと、を具備することを特徴とする。従って、本発明の給水ポンプの検査方法によれば、給水ポンプが動作した際の電流に基づいて給水ポンプの良否を判定することで、ポンプによる吐水量を計測する必要が無いので、吐水量を確認しなくても製氷機の良否を判定することができる。
【0013】
また、本発明の給水ポンプの検査方法では、前記動作させるステップでは、前記給水ポンプを、正転方向および逆転方向に動作させ、前記判定するステップでは、前記給水ポンプが正転方向に運転された際の電流、および、前記給水ポンプが逆転方向に運転された際の電流に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定することを特徴とする。従って、本発明の給水ポンプの検査方法によれば、給水ポンプが正転方向および逆転方向に運転された際の電流に基づいて、給水ポンプの良否を判定することで、より正確に良否を判定することができる。
【0014】
また、本発明の給水ポンプの検査方法では、前記動作させるステップでは、前記給水タンクに前記水がある場合、および、前記給水タンクに前記水が無い場合において、前記給水ポンプを、正転方向および逆転方向に動作させ、前記判定するステップでは、前記給水タンクに前記水がある場合、および、前記給水タンクに前記水が無い場合において、前記給水ポンプが正転方向に運転された際の電流、および、前記給水ポンプが逆転方向に運転された際の電流に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定することを特徴とする。従って、本発明の給水ポンプの検査方法によれば、給水タンクに水がある場合、および、給水タンクに水が無い場合において、給水ポンプの電流に基づいて良否を判定することで、給水タンクの動作確認に加えて、変換回路の検査も行うことができる。
【0015】
また、本発明の給水ポンプの検査方法では、前記判定するステップでは、前記冷蔵庫に備えられた変換回路により検出された電圧値に基づいて、前記給水ポンプの良否を判定することを特徴とする。従って、本発明の給水ポンプの検査方法によれば、冷蔵庫に備えられた変換回路を用いることで、外部に準備された検査装置を用いて容易に検査を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す側方断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、製氷機を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、製氷機のテストを行う際の接続構成を示す接続図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、給水ポンプからの電流を電圧に変換する変換回路を示す回路図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る冷蔵庫を示す図であり、給水ポンプの検査方法を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態に係る冷蔵庫において給水ポンプが良品である場合を示すグラフであり、(A)は給水タンクに水がある時の電圧の変化を示すグラフであり、(B)は給水タンクに水が無い時の電圧の変化を示すグラフである。
【
図7】本発明の実施形態に係る冷蔵庫において給水ポンプに不良品が発生した場合を示すグラフであり、(A)はリード線が断線した場合を示すグラフであり、(B)は他のリード線が断線した場合を示すグラフであり、(C)はリード線が逆に接続された場合を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る冷蔵庫10を図面に基づき詳細に説明する。本実施形態の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では、上下前後左右の各方向を用いて説明するが、左右とは冷蔵庫10を前方から見た場合の左右である。
【0018】
図1は、冷蔵庫10を示す側方断面図である。冷蔵庫10の本体部を構成する断熱箱体11は、所定形状に曲折加工された鋼板からなる外箱12と、外箱12と離間した内側に配置された合成樹脂板から成る内箱13と、外箱12と内箱13との間に充填された断熱材14とから構成されている。断熱箱体11の内部には、貯蔵室として、上方から冷蔵室18および冷凍室19が形成されている。冷蔵室18と冷凍室19とは、断熱構造を有する断熱仕切壁23により区切られている。
【0019】
冷凍室19の奥側には、冷却室15が区画形成されている。冷却室15の内部には、冷却器である蒸発器16が配設されている。また、冷蔵庫10の下端側後方には機械室20が区画形成され、機械室20には圧縮機22が配置されている。蒸発器16および圧縮機22は、ここでは図示しない凝縮器および膨張手段と共に、冷媒圧縮式の冷凍サイクル21を形成している。冷凍サイクル21を運転することで、蒸発器16により冷却室15の内部の冷気を冷却し、この冷気を送風機24により各貯蔵室に送風することで、各貯蔵室の庫内温度が所定の冷却温度帯域とされる。具体的には、送風機24から送風された冷気は、図示しない送風路を経由して冷蔵室18および冷凍室19に送風される。また、冷蔵室18および冷凍室19を冷却した冷気は、図示しない帰還風路を経由して冷却室15に帰還する。係る構成により、冷蔵室18は冷蔵温度帯域に冷却され、冷凍室19は冷凍温度帯域に冷却される。
【0020】
冷却室15の内部であって、蒸発器16の下方には、除霜ヒータ17が配置される。冷媒圧縮冷凍サイクルの運転に伴い、蒸発器16の表面に厚い着霜が生じる。このようになると、図示しない制御手段は、圧縮機22を停止して冷却室15を閉鎖し、除霜ヒータ17を通電して加熱することで、霜を溶融除去する除霜運転を行う。
【0021】
製氷機25は、冷蔵庫10に内蔵され、自動製氷機能を実現する装置である。製氷機25は、給水タンク26と、給水ポンプ28と、製氷皿27と、を有している。
【0022】
給水タンク26は、冷蔵室18の下部に配置され、製氷のための水が貯留される合成樹脂板から成るタンクである。給水タンク26には、ユーザが、水道水等の水を補充する。
【0023】
給水ポンプ28は、冷蔵室18の内部に於いて給水タンク26の近傍に配置され、給水タンク26から製氷皿27に送水する。
【0024】
製氷皿27は、冷凍室19の上部に配置され、水を凍結させて製氷するための部材である。
【0025】
給水タンク26と給水ポンプ28とは輸送パイプ32を介して接続されている。また、給水ポンプ28と製氷皿27とは輸送パイプ31を介して接続されている。
【0026】
製氷機25が製氷を行う際には、先ず、ユーザが、給水タンク26に水を補充する。次に、ここでは図示しない演算制御部の指示に基づいて、給水ポンプ28が給水タンク26の内部の水を製氷皿27に移送する。給水タンク26の内部の水は、輸送パイプ32、給水ポンプ28および輸送パイプ31を経由して、製氷皿27に供給される。製氷皿27に供給された水が凍結したら、製氷皿27から氷を離脱させる離氷工程を実行する。これにより、ここでは図示しない氷貯蔵容器に氷が貯蔵される。
【0027】
【0028】
給水タンク26は、略直方体形状を呈しており、その内部に水を貯留することができる。給水タンク26の後方側には給水ポンプ28が配置されており、給水タンク26と給水ポンプ28とは輸送パイプ32を介して接続されている。また、給水ポンプ28からは輸送パイプ31が下方に向かって伸びている。
【0029】
図3は、製氷機25のテストを行う際の接続構成を示す接続図である。
【0030】
冷蔵庫10には、給水ポンプ28と、変換回路29と、が内蔵されている。給水ポンプ28は、上記したようにモータの駆動力で水を給水タンク26から製氷皿27まで送水する機能を有する。変換回路29は、給水ポンプ28の良否を検査する際に、給水ポンプ28に供給される電流を電圧に変換する回路であり、冷蔵庫10の冷却運転を制御する制御基板に組み込まれている。
【0031】
検査機30は、冷蔵庫10の良否を検査するステップに於いて、冷蔵庫10に接続される外部装置であり、例えば、所定のプログラムが組み込まれた小型コンピュータである。
【0032】
変換回路29は検査機30と接続される。変換回路29と検査機30とは、接続線により接続されても良いし、無線的に接続されても良い。
【0033】
図4は、給水ポンプ28からの電流を電圧に変換する変換回路29の一例を示す回路図である。変換回路29は、給水ポンプ28から入力される電流を、電圧として取り出すことができる。
【0034】
給水ポンプ28の-側端子は、経路33を介して、オペアンプ55の非反転入力端子に接続されている。また、オペアンプ55の反転入力端子は、経路35を介して接地されており、経路35には抵抗50が介装されている。経路33の接続点61と、経路35の接続点60とは経路34を介して接続されており、経路34には抵抗51が介装されている。経路35の接続点63は、経路36を介して検査機30と接続されている。経路36には、抵抗52と抵抗53とが介装されている。
【0035】
オペアンプ55は経路37を介して電源と接続されており、経路38を介して接地されている。また、経路37の接続点64と、経路38の接続点62とは経路39を介して接続されている。経路39には、コンデンサ56が介装されている。
【0036】
オペアンプ55の出力端子は、経路40を介して、経路36の接続点65に接続されている。
【0037】
抵抗54、コンデンサ57、コンデンサ58、ダイオード59の一端側端子は経路36に接続され、他端側端子は共通に接地されている。抵抗54、コンデンサ57、コンデンサ58およびダイオード59は、検査機30への出力電圧を安定化させる素子である。
【0038】
給水ポンプ28の検査を実行する際、給水ポンプ28を稼働させると、経路33に電流が流れ、その電流の大きさに応じた電圧が、オペアンプ55、経路40、接続点65および経路36を経由して、検査機30に出力される。例えば、給水ポンプ28に流れる電流の電流値をIpとし、変換回路29から検査機30に出力される電圧の電圧値をVoutとした場合、Vout=6.4×Ipの式が成立する。即ち、検査機30には、変換回路29を介して、給水ポンプ28に流れる電流に比例した電圧が出力される。
【0039】
図5は、給水ポンプ28の検査方法を示すフローチャートである。冷蔵庫10の製造工程では、組立工程が終了した後に、冷凍サイクル等の各種構成機器の検査を実行する。給水ポンプ28の検査ステップは、係る検査の一つである。
【0040】
ステップS10では、冷蔵庫10の組立工程が終了した後に、給水ポンプ28の良否を判定するため、作業者が変換回路29と検査機30とを接続する。具体的には、冷蔵庫10の制御基板の一部である変換回路29に、検査機30の端子を接続する。
【0041】
ステップS11では、作業者が給水タンク26に注水する。
【0042】
ステップS12では、制御装置の指示に基づいて、給水ポンプ28の正転運転および逆転運転を行う。即ち、給水ポンプ28に含まれるモータの正転および逆転を行う。
【0043】
ステップS13では、検査機30の制御装置の指示に基づいて、ステップS12において給水ポンプ28の正転運転および逆転運転が行われた際の、上記した変換回路29の出力である電圧を計測して記録する。ここで、制御装置は、例えば、冷蔵庫10に備えられた制御基板、または、検査機30に備えられたマイコンである。本実施形態では、給水ポンプ28が動作した際に流れる電流を、前述した変換回路29により電圧として検出し、この電圧値に基づいて給水ポンプ28の良否を判定している。
【0044】
ステップS14では、給水タンク26から水を抜く。例えば、冷蔵庫10側の制御装置の指示に基づいて、給水タンク26に貯留された水が無くなるまで、給水ポンプ28を稼働させる。
【0045】
ステップS15では、制御装置の指示に基づいて、給水タンク26に水が無い状態で、給水ポンプ28の正転運転および逆転運転を行う。
【0046】
ステップS16では、検査機30の制御装置の指示に基づいて、ステップS15において給水ポンプ28の正転運転および逆転運転が行われた際の、上記した変換回路29の出力である電圧を計測して記録する。
【0047】
ステップS17では、検査機30の制御装置の指示により、上記したステップS13およびステップS16において記録した電圧値の変化に基づいて、給水ポンプ28の良否を判定する。更に、ステップS17が終了した後に、ディスプレイまたはスピーカ等の報知手段を用いて、作業員に対して良否判定を報知するようにしても良い。
【0048】
上記工程が終了したら、検査機30の接続端子を変換回路29から取り外す。
【0049】
その後、給水ポンプ28が良品であれば、その他の試験項目の結果も勘案し、冷蔵庫10の製造工程を終了する。一方、給水ポンプ28が不良品であれば、給水ポンプ28を取り替える。または、給水ポンプ28とリード線との接続が不適切であれば、リード線の接続を修正する。
【0050】
図6は、上記した給水ポンプ28およびその接続が正常である場合を示しており、
図6(A)は給水タンク26に水がある時の電圧の変化を示すグラフであり、
図6(B)は給水タンク26に水が無い時の電圧の変化を示すグラフである。ここで示すグラフでは、横軸が時間を示しており、縦軸が検査機30に印加される電圧を示している。
【0051】
図6(A)を参照して、給水タンク26に水がある場合に、期間T11では給水ポンプ28を逆転させており、期間T12では給水ポンプ28を正転させており、期間T13では給水ポンプ28を逆転させている。これら以外の期間は、給水ポンプ28は稼働されていない非運転期間である。このようにすることで、給水タンク26に水がある時の給水ポンプ28の動作を確認することができ、更に、給水ポンプ28の給水量を確認することができる。更に、給水タンク26に水がある時に、給水ポンプ28の動作を確認することで、給水ポンプ28の正転と逆転が正しく切り替わっているかを検査することができる。
【0052】
このグラフから明らかなように、期間T11、期間T12および期間T13の何れでも、非運転期間に比べて、電圧が高くなっている。ここで、期間T11の電圧と、期間T12の電圧とを比較することで、給水ポンプ28の良否の判定することができる。
【0053】
具体的な良否判定の一例を説明する。給水ポンプ28は、無負荷において0.05A~0.16Aの電流が流れ、定格負荷時において0.2A~0.5Aの電流が流れる。一方、変換回路29の出力電圧は、給水ポンプ28に流れる電流の6.4倍である。よって、無負荷時において変換回路29の出力電圧は0.32V~1.02Vとなり、定格負荷時において変換回路29の出力電圧は1.28V~3.2Vになる。検査機30は、この電圧値に基づいて、給水ポンプ28を良否判定する。
【0054】
例えば、給水ポンプ28が無負荷となる期間T11におけるピーク電圧が、給水ポンプ28が定格負荷時となる期間T12におけるピーク電圧よりも低ければ、給水ポンプ28は良品であると判定することができる。即ち、給水ポンプ28は故障しておらず、給水ポンプ28に適切に配線されていると判定できる。更に、給水ポンプ28の正転と逆転とを切り換える信号が正しく出力されていることも確認できる。
【0055】
また、
図6(A)を参照して、給水ポンプ28が定格負荷となる期間T12におけるピーク電圧が、予め定められた閾値電圧、例えば、1.2V以上であれば、給水ポンプ28は良品であると判定することができる。
【0056】
更には、給水ポンプ28が正転あるいは逆転しているときの電圧値が、給水ポンプ28が停止しているときの電圧値よりも高ければ、給水ポンプ28は良品であると判定することができる。例えば、
図6(A)を参照して、期間T11の電圧が、期間T11と期間T12との間の電圧よりも高ければ、給水ポンプ28は良品であると判定することができる。
【0057】
ここで、上記した各判定は何れか1を採用しても良いし、2以上を採用しても良い。
【0058】
図6(B)を参照して、給水タンク26に水が無い場合に、期間T21では給水ポンプ28を逆転させており、期間T22では給水ポンプ28を正転させており、期間T23では給水ポンプ28を逆転させている。このようにすることで、給水タンク26に水が無いときの給水ポンプ28の動作を確認することができる。
【0059】
ここでも、給水ポンプ28が正転する期間T22におけるピーク電圧に基づいて、給水タンク26の良否判定を行うことができる。
【0060】
例えば、給水ポンプ28が無負荷となる期間T22におけるピーク電圧が、予め定められた閾値電圧、例えば、1.2V未満であれば、給水ポンプ28は良品であると判定することができる。更に、給水ポンプ28に水が無い状態で検査することにより、冷蔵庫10の出荷に際して、給水タンク26に水が無いことの検査を行うことができる。同時に、変換回路29の機能を検査することもできる。
【0061】
図7(A)はリード線が断線した場合を示すグラフであり、
図7(B)は他のリード線が断線した場合を示すグラフであり、
図7(C)はリード線が逆に接続された場合を示すグラフである。これらグラフに示す場合においても、
図6(A)の場合と同様のタイミングで、給水ポンプ28を正転運転および逆転運転するための制御信号が、制御装置から給水ポンプ28に入力されている。
【0062】
図7(A)を参照して、ここでは、給水ポンプ28が動作しておらず、電圧値に変化が見られない。この原因は、給水ポンプ28に接続されて電力を供給するリード線の断線、または、前述した変換回路29が組み込まれた制御基板や回路素子の破損等である。
【0063】
図7(B)を参照して、ここでは、期間T31、期間T32、および期間T33の全てで、給水ポンプ28が逆転しており、給水タンク26からの給水が全く行われていない。この原因は、
図7(A)の場合と同様に、リード線、制御基板または回路素子の破損等である。
【0064】
図7(C)を参照して、ここでは、給水ポンプ28が動作しておらず、電圧値に変化が見られない。この原因は、給水ポンプ28に対してリード線が逆に接続されたことにある。
【0065】
上記から明らかなように、給水タンク26に水がある場合と無い場合において、給水ポンプ28を正転および逆転することで、給水ポンプ28およびその接続状況の良否を正確に判定することができる。
【0066】
前述した本実施形態により、以下のような主要な効果を奏することができる。
【0067】
即ち、吐水量を確認しなくても製氷機の良否を判定することができる。具体的には、給水ポンプ28が動作した際の電圧に基づいて給水ポンプ28の良否を判定することで、ポンプによる吐水量を計測する必要が無いので、ポンプの良否を簡易に判定することができる。
【0068】
更に、給水ポンプ28が正転方向および逆転方向に運転された際の電圧に基づいて、給水ポンプ28の良否を判定することで、給水ポンプ28の検査を行うことができ、更に、給水ポンプ28の接続状況も、正確に良否を判定することができる。
【0069】
更に、給水タンク26に水がある場合、および、給水タンク26に水が無い場合において、給水ポンプ28の電圧に基づいて良否を判定することで、これらの各状態に於いて、給水ポンプ28の良否判定を行うことができ、更には、変換回路29の検査も合わせて行うことができる。
【0070】
冷蔵庫10に備えられた変換回路29を用いることで、外部に準備された検査装置を用いて容易に検査を行うことができる。
【0071】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更実施が可能である。
【0072】
例えば、
図1を参照して、給水タンク26から製氷皿27に給水する際に、制御手段の指示に基づいて、給水ポンプ28の逆転運転、正転運転および逆転運転を実行することができる。最初の逆転運転により輸送パイプ31の先端に存在する水の溜まりを吸い上げる。更に、輸送パイプ31の内部を空気が導通した状態で、正転運転により給水タンク26から製氷皿27に給水する。更に、2回目の逆転運転により、サイフォン現象が発生しないようにする。このようにすることで、図示しないパイプヒータで解けた水が、輸送パイプ31の先端部近傍に残った場合、初期動作で正転すると輸送パイプ31の内部にある空気が圧縮され、先端に溜まった水が突発的に飛び散ることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0073】
10 冷蔵庫
11 断熱箱体
12 外箱
13 内箱
14 断熱材
15 冷却室
16 蒸発器
17 除霜ヒータ
18 冷蔵室
19 冷凍室
20 機械室
21 冷凍サイクル
22 圧縮機
23 断熱仕切壁
24 送風機
25 製氷機
26 給水タンク
27 製氷皿
28 給水ポンプ
29 変換回路
30 検査機
31 輸送パイプ
32 輸送パイプ
33 経路
34 経路
35 経路
36 経路
37 経路
38 経路
39 経路
40 経路
50 抵抗
51 抵抗
52 抵抗
53 抵抗
54 抵抗
55 オペアンプ
56 コンデンサ
57 コンデンサ
58 コンデンサ
59 ダイオード
60 接続点
61 接続点
62 接続点
63 接続点
64 接続点
65 接続点