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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101833
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】建物外壁構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/56 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
E04B2/56 642B
E04B2/56 631L
E04B2/56 631A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216158
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【弁理士】
【氏名又は名称】神保 泰三
(72)【発明者】
【氏名】大久保 雅司
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 隆
(72)【発明者】
【氏名】添田 智美
(72)【発明者】
【氏名】日村 みのり
【テーマコード(参考)】
2E002
【Fターム(参考)】
2E002MA03
(57)【要約】
【課題】縦胴縁を水平方向に間隔をあけて複数本有する外壁パネルが建物の梁に取り付けられる建物外壁構造において、外壁パネルの梁への取り付けが、当該梁に施工誤差があるような場合でも、その影響を受け難く、低コストで行う。
【解決手段】この建物外壁構造は、各外壁パネル5の縦胴縁52が取付部材6を介して耐風梁7に固定される。取付部材6は、縦胴縁52に設けられた固定用箇所52aに固定される固定部61aと、耐風梁7に形成されている鉛直片部71に上側から係合するように下向き開口を有した縦凹部62aと、を備え、縦胴縁52に対する縦凹部62aの位置が可変である。上記外壁パネル5は、縦胴縁52に対する縦凹部62aの位置が調整されて所定位置で耐風梁7に固定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦胴縁を水平方向に間隔をあけて複数本有する外壁パネルが、建物の梁に取り付けられる建物外壁構造であって、
各縦胴縁が取付部材を介して上記梁に固定されており、
上記取付部材は、上記縦胴縁に設けられた固定用箇所に固定される固定部と、上記梁に形成されている鉛直片部に係合する縦凹部と、を備え、上記縦胴縁に対する上記縦凹部の位置が可変であり、
上記縦胴縁に対する上記縦凹部の位置が調整されて上記外壁パネルが所定位置で上記梁に固定されることを特徴とする建物外壁構造。
【請求項2】
請求項1に記載の建物外壁構造において、上記縦胴縁の上記固定用箇所には、水平方向に所定間隔で離間する複数の締結用孔が形成されており、上記取付部材の上記固定部には、水平方向に上記所定間隔と異なる間隔で離間する複数の締結用孔が形成されていることを特徴とする建物外壁構造。
【請求項3】
請求項2に記載の建物外壁構造において、上記締結用孔は、締結部材の呼び径よりも大きくされていることを特徴とする建物外壁構造。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の建物外壁構造において、上記取付部材は、上記固定部を有する第1部材と、上記縦凹部を有する第2部材と、これらを相互固定する締結部材と、を備えており、
上記第1部材には、上記締結部材が挿通される、水平方向に所定間隔で離間する複数の相互締結用孔が形成されており、
上記第2部材には、上記締結部材が挿通される、水平方向に上記所定間隔と異なる間隔で離間する複数の相互締結用孔が形成されていることを特徴とする建物外壁構造。
【請求項5】
請求項4に記載の建物外壁構造において、上記第2部材の複数の相互締結用孔のなかの最も離間する相互締結用孔の内側の領域の鉛直方向下方に上記縦凹部が形成されていることを特徴とする建物外壁構造。
【請求項6】
請求項4または請求項5に記載の建物外壁構造において、上記相互締結用孔は、締結部材の呼び径よりも大きくされていることを特徴とする建物外壁構造。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の建物外壁構造において、上記縦胴縁の上記固定用箇所は、上記外壁パネルの面に対して直交する面上に存在することを特徴とする建物外壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、縦胴縁を水平方向に間隔をあけて複数本有する外壁パネルが、建物の梁に取り付けられる建物外壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、大判化された外壁パネルおよびこの外壁パネルを建物の梁に取り付ける構造が開示されている。上記外壁パネルは、パネルフレームと、このパネルフレームに取付けられた上下に並ぶ複数枚の横長形状の外壁面材とを備える。また、上記横長形状の複数の外壁面材は、水平方向に間隔をあけて配置された複数の縦胴縁によって一体化される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-165249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、建物の例えば耐風梁に上記外壁パネルを固定することにおいて、上記耐風梁に施工上の取付誤差が生じていると、上記縦胴縁と上記耐風梁との間隔が設計上の間隔と相違し、外壁施工が円滑に行えないという問題があった。なお、上記文献に示された発明は、上記のような梁の施工上の取付誤差に対する方策を示すものではなかった。
【0005】
なお、図12に示す従来の建物外壁構造では、外壁パネルの縦胴縁101に対面させたクリップ102をボルト103によって締め付け可能とし、クリップ102と縦胴縁101との間に耐風梁104の屋外側フランジを位置させ、縦胴縁101を耐風梁104にボルト締めで固定する構造である。この構造では、耐風梁104の施工精度で外壁パネルの取付精度が決まるため、耐風梁104の施工誤差が外壁パネルの取付誤差となる。
【0006】
一方、図13に示す従来の建物外壁構造では、外壁パネルの縦胴縁101に対面させたクリップ102をボルト103によって締め付け可能とし、クリップ102と縦胴縁101との間に通しアングル105を位置させ、縦胴縁101を通しアングル105に固定する構造である。この構造では、通しアングル105を設けることで耐風梁104の施工誤差の影響を解消できるものの、通しアングル105は現場で耐風梁104に溶接固定されるため、作業コストが高くなり、また、通しアングル105を使うことで材料コストも高くなる。
【0007】
この発明は、上記の事情に鑑み、縦胴縁を水平方向に間隔をあけて複数本有する外壁パネルが建物の梁に取り付けられる建物外壁構造において、外壁パネルの梁への取り付けが、当該梁に施工誤差があるような場合でも、その影響を受け難く且つ低コストで行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の建物外壁構造は、縦胴縁を水平方向に間隔をあけて複数本有する外壁パネルが、建物の梁に取り付けられる建物外壁構造であって、
各縦胴縁が取付部材を介して上記梁に固定されており、
上記取付部材は、上記縦胴縁に設けられた固定用箇所に固定される固定部と、上記梁に形成されている鉛直片部に係合する縦凹部と、を備え、上記縦胴縁に対する上記縦凹部の位置が可変であり、
上記縦胴縁に対する上記縦凹部の位置が調整されて上記外壁パネルが所定位置で上記梁に固定されることを特徴とする。
【0009】
上記の構成であれば、上記取付部材によって上記縦胴縁に対する上記縦凹部の位置を調整することができ、上記梁に施工誤差がある場合でも、上記外壁パネルを所定位置(設計位置)に配置した状態で上記縦凹部を上記鉛直片部に係合できる。よって、通しアングルを用いなくても、各縦胴縁を上記梁に固定する作業が容易になり、外壁施工を円滑且つ低コストで行うことができる。
【0010】
上記縦胴縁の上記固定用箇所には、水平方向に所定間隔で離間する複数の締結用孔が形成されており、上記取付部材の上記固定部には、水平方向に上記所定間隔と異なる間隔で離間する複数の締結用孔が形成されていてもよい。これによれば、上記梁に水平方向の施工誤差がある場合でも、上記複数の締結用孔の選択によって、上記取付部材の上記縦凹部を上記鉛直片部に係合することが可能である。
【0011】
上記締結用孔は、締結部材の呼び径よりも大きくされていてもよい。これによれば、締結用孔に対して上記締結部材の位置を、クリアランスの範囲で変位させることができ、この変位できる範囲で、上記梁の施工誤差に対し、上記取付部材の縦凹部を上記鉛直片部に係合することが可能になる。
【0012】
上記取付部材は、上記固定部を有する第1部材と、上記縦凹部を有する第2部材と、これらを相互固定する締結部材と、を備えており、
上記第1部材には、上記締結部材が挿通される、水平方向に所定間隔で離間する複数の相互締結用孔が形成されており、
上記第2部材には、上記締結部材が挿通される、水平方向に上記所定間隔と異なる間隔で離間する複数の相互締結用孔が形成されていてもよい。これによれば、上記梁に水平方向の施工誤差がある場合でも、上記複数の相互締結用孔の選択によって、各縦凹部を上記鉛直片部に係合することが可能である。
【0013】
上記第2部材の複数の相互締結用孔のなかの最も離間する相互締結用孔の内側の領域の鉛直方向下方に上記縦凹部が形成されていてもよい。これによれば、上記第2部材の左右反転によって、上記縦凹部を基準とした上記複数の相互締結用孔の位置を変化させることができるので、施工誤差の対応範囲を大きくすることができる。
【0014】
上記相互締結用孔は、締結部材の呼び径よりも大きくされていてもよい。これによれば、上記相互締結用孔に対して上記締結部材の位置を、クリアランスの範囲で変位させることができ、この変位できる範囲で、上記梁の施工誤差に対し、上記取付部材の縦凹部を上記鉛直片部に係合することが可能になる。
【0015】
上記縦胴縁の上記固定用箇所は、上記外壁パネルの面に対して直交する面上に存在してもよい。これによれば、上記取付部材を上記縦凹部の位置可変方向にずらすことが容易になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明であれば、梁の施工誤差に対して、通しアングルを用いなくても、各縦胴縁を上記梁に固定する作業が容易になり、外壁施工を円滑且つ低コストで行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態にかかる建物外壁構造で用いられる外壁パネルを例示した斜視図である。
図2】同図(A)は図1の外壁面材における外壁面材の上部および下部を示した断面図であり、同図(B)は図1の上下に配置された外壁面材の嵌め込み箇所の断面図である。
図3】同図(A)は実施形態にかかる建物外壁構造の概略を示した側面図であり、同図(B)は同平面図であり、同図(C)は同背面図である。
図4】同図(A)は実施形態にかかる建物外壁構造で用いた取付部材の第1部材の正面図であり、同図(B)は第2部材の正面図であり、同図(C)は第1部材と第2部材を相互連結した状態を示した正面図である。
図5】実施形態にかかる建物外壁構造の概略を示した側面図である。
図6】同図(A)、(B)、(C)は、実施形態にかかる建物外壁構造において耐風梁に屋外方向の施工誤差がある場合の取付部材の縦凹部の水平方向位置調整を示した説明図である。
図7】同図(A)、(B)、(C)は、実施形態にかかる建物外壁構造において耐風梁に屋外方向の施工誤差がある場合の取付部材の縦凹部の水平方向位置調整を示した説明図である。
図8】同図(A)、(B)、(C)は、実施形態にかかる建物外壁構造において耐風梁に屋内方向の施工誤差がある場合の取付部材の縦凹部の水平方向位置調整を示した説明図である。
図9】同図(A)、(B)、(C)は、実施形態にかかる建物外壁構造において耐風梁に屋内方向の施工誤差がある場合の取付部材の縦凹部の水平方向位置調整を示した説明図である。
図10】実施形態にかかる建物外壁構造であって、縦凹部に等辺アングルを配置して補強した例の概略を示した側面図である。
図11】実施形態にかかる建物外壁構造であって、縦胴縁に2枚の取付部材を設ける例の概略を示した概略の斜視図である。
図12】従来の建物外壁構造を示した斜視図である。
図13】従来の建物外壁構造を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示すように、この実施形態にかかる建物外壁構造で用いられる外壁パネル5は、上下に複数並べられた横長の外壁面材51が、水平方向に間隔をあけて複数本配置された縦胴縁52によって相互に連結されて一体化された構造を有する。図1に示す例では、リップ溝形鋼や角鋼管からなる6本の縦胴縁52を備えている。
【0019】
上記外壁面材51は、例えば、図2(A)および図2(B)に示すように、不燃断熱材51aを鋼板51b、51cで挟み込んだ金属サンドイッチパネルである。2枚の外壁面材51を上下に並べた場合、下段に位置する外壁面材51の上端面に形成された横幅方向に長い2か所の凹部51dに、上段に位置する外壁面材51の下端面に形成された横幅方向に長い2か所の凸部51eが嵌まり込むことにより、上下の外壁面材51が互いに面外方向に位置ずれしないように組み合わされる。
【0020】
また、図示しない地組架台を用いることにより、上記複数の外壁面材51を上下に並べて縦胴縁52で連結した外壁パネル5を、当該外壁パネル5が取り付けられる建物の躯体の外壁取付箇所とは異なる場所で組み立てることができる。
【0021】
図3(A)、(B)、(C)に示すように、外壁パネル5は、建物の耐風梁7の鉛直片部71に、上記縦胴縁52に対する後述の縦凹部62aの位置が可変である取付部材6を用いて固定される。この実施形態では、耐風梁7は、H形鋼をそのフランジが左右に位置するように配置され、屋外側に位置するフランジの上側部が上記鉛直片部71となる。
【0022】
上記取付部材6は、図4(A)、(B)、(C)に示すように、板状の鋼材からなる第1部材61と、同様に板状の鋼材からなる第2部材62とからなり、ボルト・ナット等の締結部材によって相互に固定される。また、取付部材6は、縦胴縁52に設けられた固定用箇所52aにボルト・ナット等の締結部材を用いて固定される。固定用箇所52aには、外壁パネル5の面外の水平方向に所定間隔(例えば、35mm長さ)で離間する2個の締結用孔が、上下2段、すなわち縦横2個ずつ合計4個形成されている。固定用箇所52aは、外壁パネル5の面に対して直交する縦胴縁52の面(リップ溝形鋼のウェブ面)上に形成されている。
【0023】
第1部材61は、固定用箇所52aに固定される固定部61aを有する。固定部61aには、固定用箇所52aにおける上記所定間隔と異なる間隔(例えば、30mm長さ)で上記面外の水平方向に離間する2個の締結用孔が、上下2段、すなわち縦横2個ずつ合計4個形成されている。固定部61aを固定用箇所52aに固定することにおいては、縦に2個の締結用孔が用いられる。
【0024】
また、上記第1部材61には、上記面外の水平方向に所定間隔で離間する3個の相互締結用孔61b(例えば、各30mm離間)が、上下2段、すなわち縦2横3で合計6個形成されている。
【0025】
上記第2部材62は、耐風梁7の鉛直片部71に上側から係合するように下向き開口を有した縦凹部62aを有する。
【0026】
また、上記第2部材62には、上記第1部材61における上記所定間隔と異なる間隔で上記面外の水平方向に離間する3個の相互締結用孔62b(例えば、40mm離間と50mm離間)が、上下2段、すなわち縦2横3で合計6個形成されている。
【0027】
そして、第2部材62の3列の相互締結用孔62bのなかの最も離間する相互締結用孔62bの内側の領域の鉛直方向下方に上記縦凹部62aが形成されている。この実施形態では、3列の相互締結用孔62bの中央の孔芯と縦凹部62aの中央線を鉛直線上で一致させている。第2部材62を左右反転して用いることで、上記3列の相互締結用孔62bの上記縦胴縁52に近い側から間隔を40mmと50mmの順にできる他、当該間隔を50mmと40mmの順に変えることができる。すなわち、縦凹部62aを基準に第2部材62の左右反転で上記複数列の相互締結用孔62bの列間隔を異ならせる構成とすることができる。
【0028】
上記第1部材61と上記第2部材62は、上記相互締結用孔62bに挿通されたボルト・ナット等の締結部材によって相互に固定される。この固定においては、縦に2個の相互締結用孔62bが用いられる。
【0029】
上記締結用孔は、締結部材の呼び径(雄螺子外径)よりも大きくされている。この実施形態では、締結部材であるM12のボルトに対して、上記締結用孔の直径はφ15mmとされる。なお、固定部61aの締結用孔と固定用箇所52aの締結用孔の一方のみ、上記のように大きくする態様としてもよい。
【0030】
また、相互締結用孔61bおよび相互締結用孔62bも、締結部材の呼び径よりも大きくされている。この実施形態では、締結部材であるM12のボルトに対して、上記相互締結用孔62bの直径はφ15mmとされる。なお、相互締結用孔61bと相互締結用孔62bの一方のみ、上記のように大きくする態様としてもよい。
【0031】
縦凹部62aの高さは、例えば、35mmとされとおり、図5に示すように、耐風梁7の鉛直片部71の上端部と縦凹部62aのとの掛かりが設計通りである場合には、この掛かりの高さは20mm確保される。一方、耐風梁7に鉛直方向に10mm高い施工誤差がある場合、掛かりの高さは30mmとなり、耐風梁7に鉛直方向に10mm低い施工誤差がある場合、掛かりの高さは10mmとなる。
【0032】
また、耐風梁7が設計位置よりも水平方向に外側に出る施工誤差が生じた場合、図6(A)、(B)、(C)に示すように、G1、G2、G3において、それぞれ、固定用箇所52aの締結用孔、固定部61aの締結用孔、上記相互締結用孔61bおよび上記相互締結用孔62bの選択により、上記取付部材6の上記縦凹部62aを上記鉛直片部71に係合することができる。すなわち、縦胴縁52に対する縦凹部62aの位置が調整されて上記外壁パネルが所定位置で耐風梁7に固定される。なお、上記Gは、耐風梁7の屋外側フランジと縦胴縁52の屋内側面との間の距離である。
【0033】
同様に、耐風梁7が上記よりも少ない量で水平方向に外側に出る施工誤差が生じた場合、図7(A)、(B)、(C)に示すように、G4、G5、G6において、それぞれ、固定用箇所52aの締結用孔、固定部61aの締結用孔、上記相互締結用孔61bおよび上記相互締結用孔62bの選択により、上記縦凹部62aを上記鉛直片部71に係合することができる。すなわち、縦胴縁52に対する縦凹部62aの位置が調整されて上記外壁パネルが所定位置で耐風梁7に固定される。
【0034】
なお、図6図7においては、選択される締結用孔をハッチングで示している。また、G5、G6においては、第2部材62を左右反転して用いている。また、上記G1~G6間の各間隔は5mmとなっており、この5mm間の誤差については、上記締結用孔および相互締結用孔61b、62bの径をボルトの呼び径よりも大きくしたこと(例えば、M12のボルトに対して孔の直径を15mmとすると、±3mm調整可)で対応することができる。すなわち、上記Gにおける例えば5mm間隔での調整(段階的調整)を可能とする上記孔の配置と、当該孔を大きくしたことによる例えば±3mmの調整(各段階内での微調整)との組み合わせによって、耐風梁7の施工誤差に細かく対応することができる。
【0035】
また、耐風梁7が設計位置よりも水平方向に内側に入る施工誤差が生じた場合、図8(A)、(B)、(C)に示すように、G7、G8、G9において、それぞれ、固定用箇所52aの締結用孔、固定部61aの締結用孔、上記相互締結用孔61bおよび上記相互締結用孔62bの選択により、上記縦凹部62aを上記鉛直片部71に係合することができる。すなわち、縦胴縁52に対する縦凹部62aの位置が調整されて上記外壁パネルが所定位置で耐風梁7に固定される。
【0036】
同様に、耐風梁7が上記よりも大きい量で水平方向に内側に入る施工誤差が生じた場合、図9(A)、(B)、(C)に示すように、G10、G11、G12において、それぞれ、固定用箇所52aの締結用孔、固定部61aの締結用孔、上記相互締結用孔61bおよび上記相互締結用孔62bの選択により、上記縦凹部62aを上記鉛直片部71に係合することができる。すなわち、縦胴縁52に対する縦凹部62aの位置が調整されて上記外壁パネルが所定位置(設計位置)で耐風梁7に固定される。
【0037】
なお、図8図9においては、選択される締結用孔をハッチングで示している。また、G10、G11においては、第2部材62を左右反転して用いている。また、上記G7~G12間の各間隔は5mmとなっており、この5mm間の誤差については、上記締結用孔および相互締結用孔61b、62bの径をボルトの呼び径よりも大きくしたこと(上記と同様に、例えば、M12のボルトに対して孔の直径を15mmとすると、±3mm調整可)で対応することができる。すなわち、上記と同様に、上記Gにおける例えば5mm間隔での調整(段階的調整)を可能とする上記孔の配置と、当該孔を大きくしたことによる例えば±3mmの調整(各段階内での微調整)との組み合わせによって、耐風梁7の施工誤差に細かく対応することができる。
【0038】
上記の構成であれば、取付部材6によって、縦胴縁52に対する縦凹部62aの位置が可変となるので、耐風梁7に水平方向の施工誤差がある場合でも、外壁パネル5を所定位置(設計位置)に配置した状態で、縦凹部62aを鉛直片部71に係合することが可能である。よって、各縦胴縁52を耐風梁7に取付部材6を介して固定する作業が容易になり、外壁施工を円滑且つ低コストで行うことができる。
【0039】
上記縦胴縁52の固定用箇所52aに複数の締結用孔が所定間隔形成され、固定部61aにも複数の締結用孔が上記所定間隔と異なる間隔で形成されていると、耐風梁7に水平方向の施工誤差がある場合でも、上記複数の締結用孔の選択によって、各縦凹部62aを鉛直片部71に係合することが可能である。なお、固定用箇所52aに形成される締結用孔を螺子孔とすることもできる。
【0040】
固定用箇所52aの締結用孔および固定部61aの締結用孔が締結部材の呼び径よりも大きくされていていると、上記締結用孔に対して上記締結部材の位置を、クリアランスの範囲で変位させることができ、この変位できる範囲で、耐風梁7の施工誤差に対し、取付部材6の縦凹部62aを鉛直片部71に係合することが可能になる。なお、上記締結用孔は、例えば、締結部材の呼び径に1mmを加算した寸法(望ましくは上記呼び径に2mmを加算した寸法)よりも大きく、当該呼び径に5mmを加算した寸法(望ましくは上記呼び径に4mmを加算した寸法)以下とすることができる。
【0041】
取付部材6は第1部材61と第2部材62とからなると、耐風梁7に水平方向の施工誤差がある場合でも、相互締結用孔61bと相互締結用孔62bの選択によって、各縦凹部62aを鉛直片部71に係合することが可能である。
【0042】
第2部材62の複数の相互締結用孔62bのなかの最も離間する相互締結用孔62bの内側の領域の鉛直方向下方に縦凹部62aが形成されていると、第2部材62の左右反転によって、縦凹部62aを基準とした複数の相互締結用孔62bの位置を変化させることができる。
【0043】
相互締結用孔61bおよび相互締結用孔62bが、締結部材の呼び径よりも大きくされていると、相互締結用孔61bおよび相互締結用孔62bに対して上記締結部材の位置を、クリアランスの範囲で変位させることができ、この変位できる範囲で、耐風梁7の施工誤差に対し、取付部材6の縦凹部62aを鉛直片部71に係合することが可能になる。なお、上記相互締結用孔61b、62bは、例えば、締結部材の呼び径に1mmを加算した寸法(望ましくは上記呼び径に2mmを加算した寸法)よりも大きく、当該呼び径に5mmを加算した寸法(望ましくは上記呼び径に4mmを加算した寸法)以下とすることができる。
【0044】
縦胴縁52の固定用箇所52aが外壁パネル5の面に対して直交する面上に存在すると、取付部材6を縦凹部62aの位置可変方向にずらすことが容易である。
【0045】
なお、図10に示すように、縦凹部62aの縁に沿って立片部63aの外面が水平方向に突出するように、アングル(例えば、30mm×30mm×3mm)63が第2部材62に溶接固定されていてもよい。上記縦凹部62aの溝面には外壁パネル5が風圧を受けた場合に、鉛直片部71との接触によって大きな圧力が生じるが、アングル63の立片部63aが鉛直片部71に接触することで大きな接触面積が確保され、縦凹部62aの支圧負担を小さくすることができる。
【0046】
また、図11に示すように、縦胴縁52の固定用箇所52aを、外壁パネル5の面に対して直交する2面に形成し、1本の縦胴縁52について2枚の取付部材6を設けてもよい。この場合、2枚の取付部材6によって、各縦凹部62aの支圧負担は半減される。図11に示す構造では、縦胴縁52として閉断面構造の角鋼管を用い、当該角鋼管を貫通する長ボルトとナットを用いて2枚の取付部材6を縦胴縁52に固定している。
【0047】
縦凹部62aに係合する耐風梁7の部位は、H形鋼におけるフランジ部に限らない。また、外壁パネル5は、外壁面材51を上下に複数枚並べた大判化パネルに限らない。また、取付部材6を第1部材61と第2部材62の2枚構成とし、耐風梁7等の梁の施工誤差の対応範囲を大きくした例を示したが、これに限らない。取付部材6を1枚板で構成し、縦胴縁52の固定用箇所52aへの取り付けに際しての締結用孔の選択と、締結用孔の径を大きくする締結部材の位置変位とによっても、梁の施工誤差に対応することができる。
【0048】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0049】
5 :外壁パネル
6 :取付部材
7 :耐風梁
51 :外壁面材
51a :不燃断熱材
51b :鋼板
51c :鋼板
51d :凹部
51e :凸部
52 :縦胴縁
52a :固定用箇所
61 :第1部材
61a :固定部
61b :相互締結用孔
62 :第2部材
62a :縦凹部
62b :相互締結用孔
63 :アングル
63a :立片部
71 :鉛直片部
図1
図2
図3
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図5
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