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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101838
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】減速機
(51)【国際特許分類】
   F16H 55/18 20060101AFI20220630BHJP
   F16H 1/32 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
F16H55/18
F16H1/32 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216170
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】田代 崇
【テーマコード(参考)】
3J027
3J030
【Fターム(参考)】
3J027FA13
3J027FA14
3J027FC05
3J027GB03
3J027GC02
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
3J027GE05
3J027GE30
3J030AA05
3J030AB04
3J030BA01
(57)【要約】
【課題】ラトル音を抑制できる減速機を提供する。
【解決手段】減速機10は、入力軸30と、出力軸40と、入力軸30及び出力軸40を回転自在に保持する筐体20と、入力軸30に取り付けられた軸受64と、軸受64に取り付けられ、入力軸30の軸心C1から偏心した回転軸を基準に回転する遊星歯車50とを備えている。遊星歯車50は、筐体20に固定された内歯歯車23に噛合する複数の外歯51aと、出力軸40に設けられた外歯歯車44に噛合する複数の内歯52aとを有している。入力軸30と軸受64との間には、環状の弾性部材70が圧入されている。弾性部材70は、入力軸30の軸方向視で、遊星歯車50及び内歯歯車23の第一噛合位置M1と、遊星歯車50及び外歯歯車44の第二噛合位置M2とを結ぶ仮想直線V1から離れる方向に向かう付勢力(力F)を遊星歯車50に付与している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸と、
出力軸と、
前記入力軸及び前記出力軸を回転自在に保持する筐体と、
前記入力軸及び前記出力軸の一方に取り付けられた軸受と、
前記軸受に取り付けられ、前記入力軸及び前記出力軸の一方の軸心から偏心した回転軸を基準に回転する遊星歯車とを備え、
前記遊星歯車は、
前記筐体に固定された内歯歯車に噛合する複数の外歯と、
前記入力軸及び前記出力軸の他方に設けられた外歯歯車に噛合する複数の内歯とを有し、
前記入力軸及び前記出力軸の一方と前記軸受との間、または、前記軸受と前記遊星歯車との間には、環状の弾性部材が圧入されており、
前記弾性部材は、前記入力軸の軸方向視で、前記遊星歯車及び前記内歯歯車の第一噛合位置と、前記遊星歯車及び前記外歯歯車の第二噛合位置とを結ぶ仮想直線から離れる方向に向かう付勢力を前記遊星歯車に付与している
減速機。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記入力軸の軸方向視で前記仮想直線に直交する方向に沿う前記付勢力を前記遊星歯車に付与している
請求項1に記載の減速機。
【請求項3】
前記弾性部材は、全周にわたって均等な肉厚であり、
前記入力軸及び前記出力軸の一方の外周面と、前記軸受の内周面と、前記軸受の外周面と、前記遊星歯車の内周面との一つには、前記弾性部材を収容する環状の溝部が形成されていて、
前記溝部は、前記仮想直線の垂直二等分線が通過する一対の箇所のうち、一つの箇所の深さが最も浅い
請求項2に記載の減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、減速機として例えば特許文献1に開示されたサイクロイド減速機が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-231486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したサイクロイド減速機においては、各歯車の歯面同士の衝突音(ラトル音)を軽減することが望まれている。
【0005】
このため、本発明は、ラトル音を抑制できる減速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る減速機は、入力軸と、出力軸と、入力軸及び出力軸を回転自在に保持する筐体と、入力軸及び出力軸の一方に取り付けられた軸受と、軸受に取り付けられ、入力軸及び出力軸の一方の軸心から偏心した回転軸を基準に回転する遊星歯車とを備える。遊星歯車は、筐体に固定された内歯歯車に噛合する複数の外歯と、入力軸及び出力軸の他方に設けられた外歯歯車に噛合する複数の内歯とを有する。入力軸及び出力軸の一方と軸受との間、または、軸受と遊星歯車との間には、環状の弾性部材が圧入されている。弾性部材は、入力軸の軸方向視で、遊星歯車及び内歯歯車の第一噛合位置と、遊星歯車及び外歯歯車の第二噛合位置とを結ぶ仮想直線から離れる方向に向かう付勢力を遊星歯車に付与している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ラトル音を低減可能な減速機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態に係る減速機の構成概要を示す断面図である。
図2】実施の形態に係る入力軸の概略構成を示す平面図である。
図3】実施の形態に係る遊星歯車が第一噛合位置で内歯歯車に噛合している状態での各部の位置関係を示す模式図である。
図4】比較例に係る第一噛合位置での内歯歯車の歯と遊星歯車の外歯との状態を示す模式図である。
図5】実施の形態に係る第一噛合位置での内歯歯車の歯と遊星歯車の外歯との状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態及びその変形例について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態及び変形例は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態及び変形例で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及び変形例おける構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0010】
また、図面は、本発明を示すために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、及び比率とは異なる場合がある。さらに、以下の実施の形態及び特許請求の範囲において、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現が用いられる場合があるが、これらの表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交である、とは、当該2つの方向が完全に直交であることを意味するだけでなく、実質的に直交であること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
【0011】
(実施の形態)
まず、図1を用いて、実施の形態に係る減速機10の全般的な構成を説明する。図1は、実施の形態に係る減速機10の構成概要を示す断面図である。減速機10は、入力軸30から入力された回転を変化させて出力軸40に伝達する装置である。具体的には、減速機10は、入力軸30の回転速度より小さな回転速度で出力軸40を回転させるサイクロイド減速機である。図1に示すように、減速機10は、筐体20と、入力軸30と、出力軸40と、遊星歯車50と、複数の軸受61、62、63、64とを備えている。
【0012】
筐体20は、入力軸30と、出力軸40と、遊星歯車50と、複数の軸受61、62、63、64とを収容するハウジングである。筐体20は、各軸受61、62、63、64を介して、入力軸30、出力軸40及び遊星歯車50を回転自在に保持している。
【0013】
具体的には、筐体20の一端面には入力軸30が貫通する第一貫通孔21が形成されており、筐体20の他端面には出力軸40が貫通する第二貫通孔22が形成されている。第一貫通孔21をなす内周面には、入力軸30を回転自在に支持する軸受61が取り付けられている。第二貫通孔22をなす内周面には、出力軸40を回転自在に支持する軸受62が取り付けられている。また、筐体20の内周面には、内歯歯車23が固定されている。内歯歯車23の内周面には、複数のサイクロイド歯が形成されている。
【0014】
図2は、実施の形態に係る入力軸30の概略構成を示す平面図である。図1及び図2に示すように、入力軸30は、本体部31と鍔部32とを有している。本体部31は円柱状に形成されており、その一端部が第一貫通孔21から筐体20外に突出している。本体部31において、他端部は、出力軸40に取り付けられた軸受63によって回転自在に支持されている。また、本体部31において一端部と鍔部32との間は、軸受61によって回転自在に支持されている。
【0015】
鍔部32は、本体部31の外周面から本体部31の全周にわたって連続的に突出した円環状の部位である。鍔部32の軸心C2は本体部31の軸心C1に対して偏心している。本実施の形態では、鍔部32の軸心C2は、本体部31の軸心C1においてZ軸プラス方向に第一所定長さL1だけ位置ずれしている。
【0016】
鍔部32の外周面には、円環状の溝部33が形成されている。図2において溝部33の底面を二点鎖線で示している。溝部33の底面は、Y軸方向視で円形状であり、その中心位置C3が、鍔部32の軸心C2からX軸マイナス方向に第二所定長さL2だけ位置ずれしている。これにより、溝部33において鍔部32の外周面から底面までの深さは、周方向に変動することになり、X軸プラス方向の端部で最も深く(深さD1)、X軸マイナス方向の端部で最も浅く(深さD2)なっている。
【0017】
溝部33には、円環状の弾性部材70が取り付けられている。具体的には、弾性部材70は、Oリングである。図2では、弾性部材70にハッチングを付して図示している。また、図2では、弾性部材70は溝部33内に嵌め込まれているが、外力を受けていない状態を示している。この状態においては、弾性部材70は全周にわたって均等な肉厚となっている。上述したように、溝部33の深さが周方向で変動しているので、鍔部32からの弾性部材70の突出量も周方向で変動する。具体的には、弾性部材70は、溝部33における最も深い部分(X軸プラス方向の端部)で最も小さく突出し、溝部33における最も浅い部分(X軸マイナス方向の端部)で最も大きく突出している。
【0018】
図1に示すように、弾性部材70の外方には、当該弾性部材70を圧縮するように軸受64が取り付けられている。これにより、弾性部材70は、入力軸30の鍔部32と軸受64との間に圧縮された状態で取り付けられている。
【0019】
出力軸40は、軸部41と、筒部42と、フランジ部43とを備えている。軸部41は円柱状の部位であり、筐体20の外方に配置されている。軸部41の軸心と、入力軸30の本体部31の軸心C1とは同軸上に配置されている。
【0020】
筒部42は、軸部41におけるY軸マイナス方向の端部に連続した円筒状の部位である。筒部42は、軸受62、63によって回転自在に支持されている。具体的には、筒部42の内周面には、軸受63が取り付けられており、筒部42の外周面には、軸受62が取り付けられている。これにより、出力軸40は、軸受63によって入力軸30に対し相対的に回転し、軸受62によって筐体20に対し相対的に回転する。
【0021】
フランジ部43は、筒部42におけるY軸マイナス方向の端部から径方向外方に延設され、かつ全周にわたって連続的に延設された部位である。フランジ部43の外周面には外歯歯車44が形成されている。外歯歯車44の複数の歯はサイクロイド歯である。
【0022】
遊星歯車50は、軸受64により回転自在に支持されている。遊星歯車50は、第一筒部51と第二筒部52とを有している。第一筒部51は、軸受64に嵌合する円筒状の部位であり、その外周面に、内歯歯車23に噛合する複数の外歯51aが形成されている。各外歯51aは、サイクロイド歯である。遊星歯車50は、軸受64及び弾性部材70を介して、入力軸30の鍔部32に取り付けられている。鍔部32の軸心C2は本体部31の軸心C1から偏心している。遊星歯車50は、軸心C2を回転軸として回転するのに対し、内歯歯車23の基準円は軸心C1を中心としている。このため、遊星歯車50が回転すると、複数の外歯51aは、内歯歯車23に対して揺動しながら回転する。例えば、本実施の形態では、遊星歯車50の複数の外歯51aは、内歯歯車23に対してZ軸プラス方向の端部で噛合する(第一噛合位置M1)。第一噛合位置M1で噛合している際には、遊星歯車50の複数の外歯51aは、Z軸マイナス方向の端部で内歯歯車23から最も離間している。
【0023】
第二筒部52は、第一筒部51におけるY軸プラス方向の端部から径方向外方に延設され、かつY軸プラス方向に延設された円筒状の部位である。第二筒部52は、第一筒部51と同軸上に配置されている。第二筒部52の内周面には、出力軸40の外歯歯車44に噛合する複数の内歯52aが形成されている。各内歯52aは、サイクロイド歯である。前述したように遊星歯車50は軸心C2を回転軸として回転する。これに対し、外歯歯車44の基準円は軸心C1を中心としているため、遊星歯車50が回転すると、複数の内歯52aは、外歯歯車44に対して揺動しながら回転する。例えば、本実施の形態では、遊星歯車50の複数の内歯52aは、外歯歯車44に対してZ軸マイナス方向の端部で噛合する(第二噛合位置M2)。第二噛合位置M2で噛合している際には、遊星歯車50の複数の内歯52aは、Z軸プラス方向の端部で外歯歯車44から最も離間している。
【0024】
このような構成であるために、各歯(外歯歯車44の歯、内歯歯車23の歯、外歯51a、内歯52a)の設置個数に応じた減速比で、入力軸30に入力された回転速度が減速されて、出力軸40で出力されることになる。
【0025】
図3は、実施の形態に係る遊星歯車50が第一噛合位置M1で内歯歯車23に噛合している状態での各部の位置関係を示す模式図である。図3においては、各歯の歯形は明記せず全体と円形状として図示している。
【0026】
図3に示すように、軸受64は、弾性部材70を圧縮して鍔部32に取り付けられている。このとき、弾性部材70は、鍔部32からの突出量が最も小さい部分(X軸プラス方向の端部)では圧縮量が最も小さく、鍔部32からの突出量が最も大きい部分(X軸マイナス方向の端部)では圧縮量が最も大きい。つまり、軸受64を介して弾性部材70から遊星歯車50が受ける反力(復元力)は、遊星歯車50におけるX軸マイナス方向の端部で最も大きくなる(図3の力F)。この力Fは、第一噛合位置M1と第二噛合位置M2とを結ぶ仮想直線V1から直交する方向に沿って離れる付勢力である。この力Fによって、第一噛合位置M1では、内歯歯車23の歯に向けて遊星歯車50の外歯51aが付勢される。
【0027】
なお、仮想直線V1の垂直二等分線V2は、溝部33に対し二箇所で通過する。溝部33において、この二箇所のうち、一方が最も深い部位であり、他方が最も浅い部位である。
【0028】
図4は、比較例に係る第一噛合位置M1での内歯歯車23の歯と遊星歯車50の外歯51aとの状態を示す模式図である。比較例では、溝部33が周方向に均等な深さであり、弾性部材70の突出量も均等である場合を示している。このため、遊星歯車50には力Fが作用しないために、図5に示すように、内歯歯車23の歯と遊星歯車50の外歯51aとの間に隙間が生じ、当該隙間を起因としてラトル音が発生しうる。これは、第二噛合位置M2における外歯歯車44の歯と内歯52aとの関係でも同様である。
【0029】
図5は、実施の形態に係る第一噛合位置M1での内歯歯車23の歯と遊星歯車50の外歯51aとの状態を示す模式図である。図5に示すように、本実施の形態では、遊星歯車50に力Fが作用しているために、内歯歯車23の歯に対して遊星歯車50の外歯51aが付勢され、押し当てられることになる。このため、内歯歯車23の歯と遊星歯車50の外歯51aとの間の隙間が抑制され、ラトル音も生じにくくなる。これは、第二噛合位置M2における外歯歯車44の歯と内歯52aとの関係でも同様である。
【0030】
(効果など)
以上説明したように、本実施の形態に係る減速機10は、入力軸30と、出力軸40と、入力軸30及び出力軸40を回転自在に保持する筐体20と、入力軸30に取り付けられた軸受64と、軸受64に取り付けられ、入力軸30の軸心C1から偏心した回転軸を基準に回転する遊星歯車50とを備えている。遊星歯車50は、筐体20に固定された内歯歯車23に噛合する複数の外歯51aと、出力軸40に設けられた外歯歯車44に噛合する複数の内歯52aとを有している。入力軸30と軸受64との間には、環状の弾性部材70が圧入されている。弾性部材70は、入力軸30の軸方向視で、遊星歯車50及び内歯歯車23の第一噛合位置M1と、遊星歯車50及び外歯歯車44の第二噛合位置M2とを結ぶ仮想直線V1から離れる方向に向かう付勢力(力F)を遊星歯車50に付与している。
【0031】
これによれば、遊星歯車50に対して仮想直線V1から離れる方向に向かう力Fが付勢されているので、当該力Fにより、内歯歯車23の歯と遊星歯車50の外歯51aとの間の隙間と、外歯歯車44の歯と遊星歯車50の内歯52aとの間の隙間とが抑制される。これにより、当該隙間を起因としたラトル音を抑制することができる。
【0032】
特に、本実施の形態では、弾性部材70は、入力軸30の軸方向視で仮想直線V1に直交する方向に沿う付勢力(力F)を遊星歯車50に付与している。これによれば、力Fが仮想直線V1に直交する方向に沿っているので、遊星歯車50を安定して付勢することができる。したがって、安定してラトル音の抑制効果を発揮することが可能である。
【0033】
また、弾性部材70は、全周にわたって均等な肉厚である。入力軸30の外周面には、弾性部材70を収容する環状の溝部33が形成されている。溝部33は、仮想直線V1の垂直二等分線V2が通過する一対の箇所のうち、一つの箇所の深さが最も浅い。
【0034】
これによれば、溝部33において仮想直線V1の垂直二等分線V2が通過する一対の箇所のうち、一つの箇所の深さが最も浅いので、全周にわたって均等な肉厚の弾性部材70を用いたとしても、仮想直線V1に直交する方向に沿う力Fを発生させることができる。つまり、汎用の弾性部材70(Oリング)を用いて力Fを発生させることができ、製造効率を高めることができる。
【0035】
(その他)
以上、本発明に係る減速機について、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を上記実施の形態に施したものも、あるいは、上記説明された複数の構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0036】
例えば、上記実施の形態では、入力軸30に設けられた溝部33に弾性部材70が収容されている場合を例示した。しかしながら、軸受64の内周面にのみ弾性部材70を収容する溝部を形成してもよい。
【0037】
また、上記実施の形態では、弾性部材70は、入力軸30と軸受64との間に配置される場合を例示した。しかしながら、弾性部材70は軸受64と遊星歯車50との間に配置されていてもよい。この場合、弾性部材70を収容する溝部は、軸受64の外周面または遊星歯車の内周面に形成されることになる。
【0038】
また、上記実施の形態では、入力軸30側に遊星歯車50が取り付けられている場合を例示したが、入力軸30を出力軸として、出力軸40を入力軸とすることも可能である。つまり、出力軸側に遊星歯車を取り付けてもよい。この場合、弾性部材70を収容する溝部は、出力軸の外周面に設けられてもよい。
【0039】
また、上記実施の形態では、肉厚の均等な弾性部材70を用いるとともに、溝部33の深さを周方向に変動させることで、仮想直線V1に直交する方向に沿う力Fを発生させる場合を例示した。しかしながら、溝部の深さが周方向で均等であっても、肉厚が周方向に変動する弾性部材を用いることで、仮想直線V1に直交する方向に沿う力Fを発生させることも可能である。なお、溝部の深さが周方向に変動し、かつ弾性部材の肉厚が周方向に変動していてもよい。
【0040】
また、上記実施の形態では、仮想直線V1に直交する方向に沿う力Fを発生させる場合を例示したが、力Fは仮想直線V1に直交していなくても交差する方向に沿っていればよい。この場合においても、遊星歯車50に対して仮想直線V1から離れる方向に向かう力Fが付勢される。この力Fにより、内歯歯車23の歯と遊星歯車50の外歯51aとの間の隙間と、外歯歯車44の歯と遊星歯車50の内歯52aとの間の隙間とを抑制することができ、ラトル音を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、例えば、自動車等の移動体または産業機械等に搭載される減速機として有用である。
【符号の説明】
【0042】
10…減速機、20…筐体、21…第一貫通孔、22…第二貫通孔、23…内歯歯車、30…入力軸、31…本体部、32…鍔部、33…溝部、40…出力軸、41…軸部、42…筒部、43…フランジ部、44…外歯歯車、50…遊星歯車、51…第一筒部、51a…外歯、52…第二筒部、52a…内歯、61,62,63,64…軸受、70…弾性部材、C1,C2…軸心、C3…中心位置、F…力(付勢力)、L1…第一所定長さ、L2…第二所定長さ、M1…第一噛合位置、M2…第二噛合位置、V1…仮想直線、V2…垂直二等分線
図1
図2
図3
図4
図5