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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101839
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】仮置き管理システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
B65G1/137 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216171
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】森本 宜樹
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522BB01
3F522CC05
3F522CC06
3F522DD04
3F522DD23
3F522DD29
3F522DD34
3F522EE19
3F522FF12
3F522GG04
3F522GG23
3F522LL42
(57)【要約】
【課題】仮置きスペースに情報コード等を付すことなく、その仮置きスペースに仮置きされた物品を容易に探索可能な構成を提供する。
【解決手段】移動方向部26により登録対象の情報コード11と登録済の情報コード11とを撮像する間にされた携帯端末20の移動方向が検出される。そして、登録対象の物品10を仮置きスペースSに仮置きする場合、特定された登録対象の固有情報が記憶部22に記憶される際に、登録済の固有情報に関連付けられている並び順情報と移動検出部26の検出結果とに基づいて、登録対象の固有情報に関連付けられる並び順情報が生成されて記憶部22に記憶され、少なくとも一部の並び順情報が更新される。また、探索対象となる探索物品を探索する場合、その探索対象の固有情報が取得される際に、任意の物品の情報コード11から固有情報が特定されることで、任意の物品を基準とする探索物品の相対位置が検出されると、この探索物品の相対位置に関する情報が表示部24に表示されて報知される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の仮置きスペースに仮置きされた複数の物品を管理装置の利用によって探索可能に管理する仮置き管理システムであって、
前記物品には、他の物品と区別するための固有情報を特定可能な識別表示が付され、
前記管理装置は、
所定の方向に沿う前記物品の並び順に関する情報を並び順情報とするとき、前記仮置きスペースに仮置きされている前記物品に対応する前記固有情報が前記並び順情報に関連付けられて記憶される記憶部と、
撮像された前記識別表示から前記固有情報を特定可能な特定部と、
前記特定部により、前記仮置きスペースに仮置きされた前記物品の前記識別表示から前記固有情報が登録対象の固有情報として特定された際に、前記物品の隣に仮置きされている前記物品とは異なる物品の前記識別表示から前記固有情報が登録済の固有情報として特定されることで、前記登録対象の識別表示と前記登録済の識別表示とを撮像する間にされた当該管理装置の移動方向を検出する移動方向検出部と、
特定された前記登録対象の固有情報を前記記憶部に記憶する際に、前記登録済の固有情報に関連付けられている前記並び順情報と前記移動方向検出部の検出結果とに基づいて、当該固有情報に関連付けられる前記並び順情報を生成して記憶するとともに、前記記憶部に記憶されている少なくとも一部の前記並び順情報を更新する追加更新部と、
前記仮置きスペースに仮置きされている複数の前記物品から探索対象となる探索物品を探索する際に、前記探索物品の前記識別表示から特定される前記固有情報を探索対象の固有情報として取得する取得部と、
前記取得部により前記探索対象の固有情報が取得される際に、任意の物品の前記識別表示から前記特定部により前記固有情報が特定されることで、前記記憶部に記憶される情報に基づいて、前記任意の物品を基準とする前記探索物品の相対位置を検出する相対位置検出部と、
を備えることを特徴とする仮置き管理システム。
【請求項2】
前記追加更新部は、前記特定部により前記登録対象の固有情報が特定された際に2つの前記登録済の固有情報が特定されると、前記物品が2つの前記異なる物品の間に仮置きされているとして前記並び順情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の仮置き管理システム。
【請求項3】
前記識別表示は、仮置き管理と異なる目的で前記物品に予め印刷されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の仮置き管理システム。
【請求項4】
前記管理装置は、複数の携帯端末と、前記複数の携帯端末のそれぞれと通信可能な情報管理端末とを備え、
前記複数の携帯端末は、それぞれ、前記特定部、前記移動方向検出部及び前記取得部を備えるように構成され、
前記移動方向検出部は、前記携帯端末の移動方向を検出するように構成され、
前記情報管理端末は、前記記憶部、前記追加更新部及び前記相対位置検出部を備えるように構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の仮置き管理システム。
【請求項5】
前記識別表示は、少なくとも前記固有情報を光学的に読み取り可能に記録した情報コードであることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の仮置き管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、さらに、前記相対位置検出部により検出された前記探索物品の相対位置に関する情報を報知する報知部を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の仮置き管理システム。
【請求項7】
前記管理装置は、さらに、前記報知部による報知の際に、少なくとも前記探索対象の固有情報及び当該探索対象の固有情報に関連付けられる前記並び順情報を前記記憶部から削除するとともに、前記記憶部に記憶されている少なくとも一部の前記並び順情報を更新する削除更新部を備えることを特徴とする請求項6に記載の仮置き管理システム。
【請求項8】
前記識別表示は、少なくとも前記固有情報を光学的に読み取り可能に記録した情報コードであって、前記情報コードには、前記固有情報に加えて、当該情報コードが付される前記物品に関する長さ情報が含まれ、
前記削除更新部は、前記報知部による報知の後に前記特定部により撮像された情報コードから読み取られた前記物品の長さ情報に基づいて、前記探索対象の運び出しによって生じる空きスペースに関する情報を生成して、前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項7に記載の仮置き管理システム。
【請求項9】
前記探索対象の前記所定の方向に沿う長さを検出可能な長さ検出部を備え、
前記削除更新部は、前記報知部による報知の後に前記長さ検出部により検出された前記探索対象の長さに基づいて、前記探索対象の運び出しによって生じる空きスペースに関する情報を生成して、前記記憶部に記憶することを特徴とする請求項7に記載の仮置き管理システム。
【請求項10】
前記複数の物品の少なくとも一部は、2以上の単品から構成され、
前記固有情報には、前記単品の個数に関する情報が含まれることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の仮置き管理システム。
【請求項11】
前記複数の物品の少なくとも一部は、2以上の単品から構成され、
前記特定部により撮像された前記識別表示から前記固有情報が特定される際に、当該識別表示を付した前記物品を構成する前記単品の個数を個数情報として取得する個数取得部を備え、
前記記憶部には、前記個数取得部により取得された前記個数情報が対応する前記固有情報及び前記並び順情報に関連付けられて記憶されることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の仮置き管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮置きされた物品を探索可能に管理する仮置き管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、入荷した荷物を仮置き用のスペースに一時的に仮置きした後、所定の搬送指示に応じてその仮置きされていた荷物を後工程に搬送する作業があり、このように仮置きされた複数の荷物を探索可能に管理する必要がある。このような仮置きされた荷物などの物品を管理する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される倉庫管理システムが知られている。この倉庫管理システムでは、入荷した商品を棚に載せる際に、その棚に付けられたロケーションコードと商品の商品コードとを読み取ってホストに送信することで管理データが生成される。これにより、商品を探索する際、探索すべき商品の商品コードに関連付けられるロケーションコードをホストから取得することで、その取得したロケーションコードに対応する棚、すなわち、探索すべき商品が載せられた棚の場所を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-035830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した倉庫管理システムでは、探索すべき商品が載せられた棚の場所を特定するために、棚ごとにロケーションコードを付す必要がある。そうすると、ロケーションコードを付した棚には仮置きできても、ロケーションコードを付せない場所に仮置きできないという問題がある。また、棚ごとにロケーションコードを付すために、仮置きできる棚の場所を予め決めておく必要があり、仮置きできる場所を容易に追加変更等できないという問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、仮置きスペースに情報コード等を付すことなく、その仮置きスペースに仮置きされた物品を容易に探索可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
所定の仮置きスペース(S)に仮置きされた複数の物品(10,10a~10e)を管理装置(20,20a,30)の利用によって探索可能に管理する仮置き管理システム(1,1a)であって、
前記物品には、他の物品と区別するための固有情報を特定可能な識別表示(11)が付され、
前記管理装置は、
所定の方向(F)に沿う前記物品の並び順に関する情報を並び順情報とするとき、前記仮置きスペースに仮置きされている前記物品に対応する前記固有情報が前記並び順情報に関連付けられて記憶される記憶部(22,32)と、
撮像された前記識別表示から前記固有情報を特定可能な特定部(21,23)と、
前記特定部により、前記仮置きスペースに仮置きされた前記物品の前記識別表示から前記固有情報が登録対象の固有情報として特定された際に、前記物品の隣に仮置きされている前記物品とは異なる物品の前記識別表示から前記固有情報が登録済の固有情報として特定されることで、前記登録対象の識別表示と前記登録済の識別表示とを撮像する間にされた当該管理装置の移動方向を検出する移動方向検出部(26)と、
特定された前記登録対象の固有情報を前記記憶部に記憶する際に、前記登録済の固有情報に関連付けられている前記並び順情報と前記移動方向検出部の検出結果とに基づいて、当該固有情報に関連付けられる前記並び順情報を生成して記憶するとともに、前記記憶部に記憶されている少なくとも一部の前記並び順情報を更新する追加更新部(21,31)と、
前記仮置きスペースに仮置きされている複数の前記物品から探索対象となる探索物品(10x)を探索する際に、前記探索物品の前記識別表示から特定される前記固有情報を探索対象の固有情報として取得する取得部(23,25)と、
前記取得部により前記探索対象の固有情報が取得される際に、任意の物品の前記識別表示から前記特定部により前記固有情報が特定されることで、前記記憶部に記憶される情報に基づいて、前記任意の物品を基準とする前記探索物品の相対位置を検出する相対位置検出部(21,31)と、
を備えることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明では、移動方向検出部により登録対象の識別表示と登録済の識別表示とを撮像する間にされた管理装置の移動方向が検出される。そして、登録対象の物品を仮置きスペースに仮置きする場合、特定された登録対象の固有情報が記憶部に記憶される際に、登録済の固有情報に関連付けられている並び順情報と移動方向検出部の検出結果とに基づいて、登録対象の固有情報に関連付けられる並び順情報が生成されて記憶部に記憶され、少なくとも一部の並び順情報が更新される。また、探索対象となる探索物品を探索する場合、取得部により探索対象の固有情報が取得される際に、任意の物品の識別表示から特定部により固有情報が特定されることで、相対位置検出部により任意の物品を基準とする探索物品の相対位置が検出される。
【0008】
これにより、物品を仮置きした作業者は、その物品の識別表示と隣に仮置きされている当該物品とは異なる物品の識別表示とを管理装置にて撮像することで、その物品の固有情報(登録対象の固有情報)を、並び順情報に関連付けて記憶部に記憶することができる。移動方向検出部により検出される登録対象の識別表示と登録済の識別表示とを撮像する間にされた当該管理装置の移動方向に基づいて、仮置きした物品とその隣に仮置きされている他の物品との上記所定の方向に沿う並び順を把握できるからである。また、登録対象の固有情報及び並び順情報の記憶時に、他の固有情報に関連付けられる並び順情報も更新することができる。例えば、物品Aの固有情報に関して並び順情報「001」、物品Bの固有情報に関して並び順情報「002」、物品Cの固有情報に関して並び順情報「003」と関連付けて記憶されており、物品Dが物品Aの物品B側に仮置きされる場合を想定する。この場合、物品Dの固有情報に関して並び順情報「002」と追加記憶され、物品Bの固有情報に関して並び順情報「003」、物品Cの固有情報に関して並び順情報「004」と更新される。そして、探索物品の探索時には、取得部にて探索物品の固有情報を取得するとともに、任意の物品の識別表示を撮像することで、その任意の物品を基準とする探索物品の相対位置が検出されるので、その検出結果に応じて、識別表示が撮像された任意の物品を基準に探索物品を探索することができる。したがって、仮置きスペースに情報コード等を付すことなく、その仮置きスペースに仮置きされた物品を容易に探索可能なシステムを実現することができる。
【0009】
請求項2の発明では、追加更新部は、特定部により登録対象の固有情報が特定された際に2つの登録済の固有情報が特定されると、その物品が2つの上記異なる物品の間に仮置きされているとして並び順情報を生成する。これにより、仮置きする物品を既に仮置きされている物品間に仮置きする際、その仮置きされている両物品にそれぞれ付された識別表示を管理装置にて撮像することで、特定された2つの登録済の固有情報に関連付けられる並び順情報に基づいて登録対象の固有情報に関連付けられる並び順情報が生成される。このため、1つの登録済の固有情報に関連付けられる並び順情報に基づいて登録対象の固有情報に関連付けられる並び順情報を生成する場合と比較して、誤って並び順情報が生成されてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0010】
請求項3の発明では、識別表示は、仮置き管理と異なる目的で物品に予め印刷されたものであるため、仮置きの可能性のある各物品のそれぞれに対して仮置き管理専用に識別表示を付す作業等も必要もないので、システムの利便性を高めることができる。
【0011】
請求項4の発明では、管理装置は、複数の携帯端末と、これら複数の携帯端末のそれぞれと通信可能な情報管理端末とを備えている。複数の携帯端末は、それぞれ、特定部、移動方向検出部及び取得部を備えるように構成されて、移動方向検出部は、携帯端末の移動方向を検出するように構成される。情報管理端末は、記憶部、追加更新部及び相対位置検出部を備えるように構成される。
【0012】
これにより、各携帯端末を利用して物品を仮置きする場合でも、それらの情報を情報管理端末にて一括管理できるため、複数の作業者がほぼ同時に物品の仮置き作業を実施できるので、仮置き作業に関して作業効率の向上を図ることができる。
【0013】
請求項5の発明では、識別表示は、少なくとも固有情報を光学的に読み取り可能に記録した情報コードである。このため、情報コードを撮像した撮像画像から固有情報を容易に特定できるだけでなく、その情報コードに固有情報と異なる他の情報を追加して記録することもできるので、システムの利便性を高めることができる。
【0014】
請求項6の発明では、管理装置は、さらに、相対位置検出部により検出された探索物品の相対位置に関する情報を報知する報知部を備えるため、この報知によって探索物品を容易に探索することができる。
【0015】
請求項7の発明では、管理装置は、さらに、報知部による報知の際に、少なくとも探索対象の固有情報及び当該探索対象の固有情報に関連付けられる並び順情報を記憶部から削除するとともに、記憶部に記憶されている少なくとも一部の並び順情報を更新する削除更新部を備える。これにより、記憶部に記憶される固有情報及び並び順情報に関して管理の手間を省くことができる。
【0016】
請求項8の発明では、識別表示は、少なくとも固有情報を光学的に読み取り可能に記録した情報コードであって、この情報コードには、固有情報に加えて、当該情報コードが付される物品に関する長さ情報が含まれ、削除更新部は、報知部による報知の後に特定部により撮像された情報コードから読み取られた物品の長さ情報に基づいて、探索対象の運び出しによって生じる空きスペースに関する情報を生成して、記憶部に記憶する。
【0017】
これにより、報知部による報知を受けて探索対象を運び出す際に、その探索対象に付された情報コードを管理装置にて撮像することで、当該探索対象の長さ(大きさ)を考慮した空きスペースに関する情報を記憶部に記憶することができる。このため、多数の物品が既に仮置きされている仮置きスペースに対して新たに物品を仮置きする際に、記憶部に記憶される空きスペースに関する情報に基づいて空きスペースを探索することで、多数の物品が仮置きされている場合でも、仮置き可能なスペースを容易に見つけることができる。
【0018】
請求項9の発明では、削除更新部は、報知部による報知の後に長さ検出部により検出された探索対象の長さに基づいて、探索対象の運び出しによって生じる空きスペースに関する情報を生成して、記憶部に記憶する。
【0019】
これにより、報知部による報知を受けて探索対象を運び出す際に、その探索対象の上記所定の方向に沿う長さが長さ検出部により検出されることで、当該探索対象の長さ(大きさ)を考慮した空きスペースに関する情報を記憶部に記憶することができる。このため、多数の物品が既に仮置きされている仮置きスペースに対して新たに物品を仮置きする際に、記憶部に記憶される空きスペースに関する情報に基づいて空きスペースを探索することで、多数の物品が仮置きされている場合でも、仮置き可能なスペースを容易に見つけることができる。
【0020】
請求項10の発明では、複数の物品の少なくとも一部は、2以上の単品から構成され、固有情報には、単品の個数に関する情報が含まれる。これにより、探索物品が2以上の単品によって構成されてその1つの単品に識別表示が付される状態であっても、探索物品の相対位置に関する情報を報知する際にその探索物品を構成する単品の個数も把握できるので、その個数も合わせて報知することができる。このため、探索物品がより明確になるので、探索対象の探索をより容易に実施することができる。
【0021】
請求項11の発明では、複数の物品の少なくとも一部は、2以上の単品から構成され、特定部により撮像された識別表示から固有情報が特定される際に、当該識別表示を付した物品を構成する単品の個数を個数情報として取得する個数取得部が設けられる。そして、記憶部には、個数取得部により取得された個数情報が対応する固有情報及び並び順情報に関連付けられて記憶される。これにより、探索物品が2以上の単品によって構成されてその1つの単品に識別表示が付される状態であっても、探索物品の相対位置に関する情報を報知する際にその探索物品を構成する単品の個数も把握できるので、その個数も合わせて報知することができる。このため、探索物品がより明確になるので、探索対象の探索をより容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る仮置き管理システムの概要を示す説明図である。
図2図1の携帯端末の電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図3図3(A)は、4つの物品が仮置きスペースに仮置きされている状態を説明する説明図であり、図3(B)は、図3(A)の仮置き状態に対して新たに物品を仮置きした状態を説明する説明図であり、図3(C)は、図3(C)の仮置き状態から物品を運び出す際の状態を説明する説明図である。
図4図4(A)は、図3(A)の仮置き状態で並び順情報を示す説明図であり、図4(B)は、図3(B)の仮置き状態で並び順情報を示す説明図であり、図4(C)は、図3(B)の仮置き状態から固有情報「1003」及び並び順情報「004」が削除された状態での並び順情報を示す説明図である。
図5】第1実施形態における携帯端末での仮置き登録処理の流れを例示するフローチャートである。
図6】第1実施形態における携帯端末での物品探索処理の流れを例示するフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る仮置き管理システムの概要を示す説明図である。
図8図7のサーバの電気的構成を概略的に例示するブロック図である。
図9】第2実施形態における携帯端末での仮置き登録処理の流れを例示するフローチャートである。
図10】第2実施形態における携帯端末での物品探索処理の流れを例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、本発明の仮置き管理システムを具現化した第1実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態に係る仮置き管理システム1は、所定の仮置きスペースSに対して所定の方向(以下、仮置き方向Fともいう)に沿って仮置きされた複数の物品10を探索可能に管理するシステムである。各物品10は、例えば、仕入先から受け入れた納入品であって、受け入れ以降の後工程に運ぶ前に仮置きスペースSにて一時的にストックされ、所定の作業指示に従って運び出されるものである。
【0024】
各物品10には、他の物品と区別するための固有情報を特定可能な識別表示として、固有情報を光学的に読み取り可能に記録した情報コード11が付されており、仮置き管理システム1は、情報コード11を読み取ることで仮置きされた各物品を管理する管理装置として携帯端末20を備えている。
【0025】
本実施形態では、仮置きスペースSは、図1に示すように、壁面Wに向かう作業者から見て壁面Wの前方にて左右に長くなるように設けられており、各物品10は、仮置きスペースSにおいて壁面Wに沿うようにして一列で仮置きされる。
【0026】
各物品10に付される情報コード11は、例えば、QRコード(登録商標)であって、仮置き管理と異なる目的(例えば、製造管理用などの目的)で予め印刷されているもので、上記固有情報に加えて、その物品10に関する情報(物品名や種別、大きさなど)が記録されるように生成される。
【0027】
携帯端末20は、情報コード11などを光学的に読み取り可能な携帯型の光学的情報読取装置として構成されるもので、図2に示すように、CPU等からなる制御部21、ROM、RAMなどの半導体メモリ等からなる記憶部22、カメラとして構成される撮像部23、制御部21によって表示内容が制御されるタッチパネル式の表示部24、タッチパネルに対するタッチ操作やキー操作に応じた操作信号を制御部21に出力する操作部25、携帯端末20の移動方向を検出可能な移動検出部26と、外部機器と通信するための通信部27などを備えている。
【0028】
記憶部22には、後述する仮置き登録処理を実行するためのアプリケーションプログラム(以下、仮置きアプリともいう)や物品探索処理を実行するためのアプリケーションプログラム(以下、物品探索アプリともいう)、上述した仮置き登録処理及び物品探索処理にて読み書きされる所定のデータベース(以下、物品位置管理データベースともいう)等が、制御部21により利用可能に予め格納されている。
【0029】
本実施形態では、記憶部22に構築される上記物品位置管理データベースは、仮置きスペースSに仮置きされる物品10の固有情報と仮置き方向Fに沿う物品10の並び順に関する情報(以下、並び順情報ともいう)とが関連付けられて記憶されるように構成されている。例えば、図3(A)に示すように仮置きスペースSに4つの物品10a,物品10b,物品10c,物品10dが仮置きされている状態では、物品10aに付される情報コード11aの固有情報が「1001」、物品10bに付される情報コード11bの固有情報が「1002」、物品10cに付される情報コード11cの固有情報が「1003」、物品10dに付される情報コード11dの固有情報が「1004」である場合、仮置き方向Fを基準として、図4(A)に示すように、固有情報「1001」に並び順情報「001」が関連付けられ、固有情報「1002」に並び順情報「002」が関連付けられ、固有情報「1003」に並び順情報「003」が関連付けられ、固有情報「1004」に並び順情報「004」が関連付けられる。本実施形態では、並び順情報は、壁面Wに向かう作業者から見て左側の物品10から右側の物品10にかけて1つずつ大きくなるように設定される。
【0030】
このように物品位置管理データベースが構成されることで、例えば、固有情報「1002」が記録される情報コードを付した物品(10b)は、その固有情報「1002」に関連付けられる並び順情報「002」を基準に、隣の並び順情報「001」に関連付けられる固有情報「1001」が記録される情報コードを付した物品(10a)と別の隣の並び順情報「003」に関連付けられる固有情報「1003」が記録される情報コードを付した物品(10c)との間に仮置きされていることを把握することができる。
【0031】
移動検出部26は、ジャイロセンサや加速度センサなどの慣性計測装置(IMU)であって、制御部21により制御されて、検出した携帯端末20の移動方向に関する情報等を制御部21に出力するように構成されている。
【0032】
このように構成される携帯端末20では、制御部21にてなされる読取処理により、撮像部23により撮像された情報コード11の撮像画像に対して公知のデコード処理を行うことで、その情報コード11に記録される固有情報等が読み取られる。このように撮像された情報コード11から固有情報を読み取ることでその固有情報を特定可能な制御部21及び撮像部23は、「特定部」の一例に相当し得る。
【0033】
そして、携帯端末20では、仮置きスペースSに物品10を仮置きする際に上記仮置きアプリの起動に応じて実行される仮置き登録処理により、仮置きする物品10に関する情報が記憶部22の上記物品位置管理データベースに登録される。そして、仮置きスペースSに仮置きされている複数の物品10から探索対象となる探索物品10xを探索する際に上記物品探索アプリの起動に応じて実行される物品探索処理により、探索物品10xの仮置き場所が作業者に対して報知される。
【0034】
以下、物品10を仮置きする際に携帯端末20にて実行される上記仮置き登録処理と、複数の物品10から探索物品10xを探索する際に携帯端末20にて実行される上記物品探索処理とについて説明する。
まず、物品10を仮置きする際に実行される上記仮置き登録処理について説明する。なお、図3(A)に示すように、仮置きスペースSに4つの物品10a,物品10b,物品10c,物品10dが既に仮置きされている状態から、図3(B)に示すように、新たに物品10eを仮置きする場合を例に説明する。
【0035】
図3(A)に示すような仮置き状態を見た作業者は、物品10aと物品10bとの間に仮置き可能なスペースがあることを視認することで、新たに仮置きすべき物品10eを、例えば、図3(B)に示すように、物品10aと物品10bとの間に仮置きする。そして、作業者は、上記仮置きアプリを起動した携帯端末20で物品10eに付された情報コード11eを読み取る作業を行った後に、隣に仮置きされているいずれかの物品10に付した情報コード11を読み取る作業を行うことで、作業者による仮置き作業が終了する。
【0036】
ここで、上述のような作業者による仮置き作業の際に、携帯端末20の制御部21にて実行される上記仮置き登録処理について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
上記仮置きアプリを起動した携帯端末20にて上記仮置き登録処理が開始されると、撮像部23を利用した撮像処理がなされて(図5のS101)、その撮像画像に対して情報コードをデコードするためのデコード処理がなされる(S103)。上述のように物品10eに付された情報コード11eを読み取る作業を行うことで、撮像された情報コード11eのデコードに成功すると(S105でYes)、その情報コード11eから読み取られた固有情報が、登録対象の固有情報として認識される。続いて、ステップS107に示す移動方向検出処理がなされて、移動検出部26の検出結果に基づいて、携帯端末20の移動方向を検出可能な状態になる。
【0037】
このような携帯端末20の移動方向を検出可能な状態にて、撮像部23を利用した撮像処理がなされて(S109)、その撮像画像に対してデコード処理がなされ(S111)、そのデコードが成功しない場合には(S113でNo)、携帯端末20の移動方向を検出可能な状態が継続される(S107)。
【0038】
そして、作業者が物品10eの隣に仮置きされている物品10aの情報コード11aを読み取る作業を行うことで、撮像された情報コード11aのデコードに成功すると(S113でYes)、その情報コード11aから読み取られた固有情報が、登録済の固有情報として認識される。続いて、ステップS115に示す相対位置検出処理がなされて、情報コード11eの読み取りから情報コード11aの読み取りからまでの移動検出部26の検出結果に基づいて、物品10eと物品10aとの仮置き方向Fにおける相対位置が検出される。具体的には、図3(B)の例では、物品10eは作業者から見て物品10aの「右側」に位置していると検出される。なお、物品10eの隣に仮置きされている物品10bの情報コード11bが読み取られている場合には、その情報コード11bから読み取られた固有情報が、登録済の固有情報として認識され、情報コード11eの読み取りから情報コード11bの読み取りからまでの移動検出部26の検出結果に基づいて、物品10eと物品10bとの仮置き方向Fにおける相対位置が検出される。なお、移動検出部26は、登録対象の識別表示(情報コード11e)と登録済の識別表示(情報コード11a,11b)とを撮像する間にされた携帯端末20の移動方向を検出する「移動方向検出部」の一例に相当し得る。
【0039】
次に、ステップS117に示す追加更新処理がなされ、情報コード11eから読み取った固有情報が生成された並び順情報に関連付けられて記憶部22の物品位置管理データベースに記憶されるとともに、少なくとも一部の並び順情報が更新される。上述したように、図3(A)に示す仮置き状態に対して図3(B)に示すように物品10eを物品10aと物品10bとの間に仮置きした場合には、物品位置管理データベースでは、図4(B)に示すように、図4(A)に示す状態に対して、情報コード11eの固有情報「2001」及び並び順情報「002」が追加され、固有情報「1002」に関連付けられる並び順情報が「003」に更新され、固有情報「1003」に関連付けられる並び順情報が「004」に更新され、固有情報「1004」に関連付けられる並び順情報が「005」に更新される。移動検出部26により検出される登録対象の情報コード11eと登録済の情報コード11aとを撮像する間にされた携帯端末20の移動方向に基づいて、仮置きした物品10eとその隣に仮置きされている他の物品10aとの仮置き方向Fに沿う並び順を把握できるからである。なお、上記追加更新処理を行う制御部21は、記憶部22の物品位置管理データベースに対して登録対象の固有情報及び並び順情報を記憶するとともに少なくとも一部の並び順情報を更新する「追加更新部」の一例に相当し得る。
【0040】
次に、仮置きスペースSに仮置きされていた物品10を探索する際に実行される上記物品探索処理について説明する。なお、図3(B)に示すように、仮置きスペースSに5つの物品10a,物品10b,物品10c,物品10d,物品10eが仮置きされている状態から、物品10cを探索物品10xとして探索して運び出す場合を例に説明する。
【0041】
所定の作業指示票に従って物品10cを運び出す作業指示を受けた作業者は、上記物品探索アプリを起動した携帯端末20を用いて物品10cに対応する固有情報を取得する作業を行う。その後、作業者は、図3(C)に示すように、仮置きされている5つの物品10a,物品10b,物品10c,物品10d,物品10eのうちの1つとなる任意の物品の情報コード11を携帯端末20にて撮像する作業を行う。これにより、撮像した情報コード11を付した任意の物品を基準とする物品10c(10x)の相対位置に関する情報が、携帯端末20の表示部24に画面表示されて報知される。この報知を受けた作業者は、5つの物品10a~10eの中から探索対象となる物品10cを容易に見つけることができ、当該物品10cに付した情報コード11cを携帯端末20にて撮像してからその物品10cを運び出すように作業する。
【0042】
ここで、上述のような作業者による運び出し作業の際に、携帯端末20の制御部21にて実行される上記物品探索処理について、図6に示すフローチャートを参照して説明する。
上記物品探索アプリを起動した携帯端末20にて上記物品探索処理が開始されると、図6のステップS201に示す固有情報取得処理がなされる。この処理では、上記所定の作業指示票に表示されるQRコード等を撮像部23にて撮像して読み取ることで、探索対象となる物品10cに対応する固有情報が取得される。なお、上述した固有情報の取得は、上記所定の作業指示票に表示されるQRコード等を撮像部23にて撮像して読み取ることによって実施されることに限らず、例えば、操作部25に対する作業者の入力操作によって実施されてもよい。撮像部23又は操作部25は、固有情報を取得する「取得部」の一例に相当し得る。
【0043】
探索対象となる物品10cに対応する固有情報「1003」が取得されると、撮像部23を利用した撮像処理がなされて(S203)、その撮像画像に対して情報コードをデコードするためのデコード処理がなされる(S205)。
【0044】
上述のように任意の物品に付された情報コード11を読み取る作業を行うことで、撮像された情報コード11のデコードに成功して探索対象の固有情報と異なる固有情報が読み取られると(S207でYes)、ステップS209に示す相対位置検出処理がなされる。この処理では、物品位置管理データベースに記憶される情報を利用して、任意の物品を基準とする仮置き方向Fにおける物品10cの相対位置が検出される。
【0045】
例えば、図3(C)に示すように、物品10aの情報コード11aが読み取られている場合には、物品位置管理データベースでは、その情報コード11aから読み取った固有情報「1001」には並び順情報「001」が関連付けられており、探索対象の固有情報「1003」には並び順情報「004」が関連付けられている。このため、探索対象となる物品10cの相対位置は、情報コード11aを読み取った物品10aに対して「右側3つ目」として検出される。なお、上記相対位置検出処理を行う制御部21は、「相対位置検出部」の一例に相当し得る。
【0046】
上述のように探索対象の相対位置が検出されると、ステップS211に示す相対位置報知処理がなされ、探索対象の相対位置に関する情報が表示部24に画面表示されて報知される。上述のように探索対象の相対位置が「右側3つ目」として検出されている場合には、その情報が表示部24に画面表示されて報知される(図3(C)参照)。なお、表示部24は、探索物品10xの相対位置に関する情報を報知する「報知部」の一例に相当し得る。
【0047】
続いて、撮像部23を利用した撮像処理がなされて(S213)、その撮像画像に対して情報コードをデコードするためのデコード処理がなされる(S215)。そして、ステップS217の判定処理にて、デコード処理によって読み取られた固有情報が、上記固有情報取得処理にて取得された探索対象の固有情報であるか否かについて判定される。ここで、探索対象の固有情報と異なる固有情報がデコード処理によって読み取られた場合又はデコード処理が失敗している場合には(S217でNo)、撮像した情報コードをデコードする処理が継続される(S213、S215)。
【0048】
一方、上記報知によって探索対象となる物品10を見つけた作業者がその物品10に付された情報コード11を読み取る作業を行うことで、探索対象の固有情報が読み取られると(S217でYes)、探索対象に付された情報コード11を撮像したことを示す情報が画面表示されて報知される(S219)。この報知を受けた作業者は、情報コード11を撮像した物品10が探索対象であることを容易に確認することができる。
【0049】
そして、ステップS221に示す削除更新処理がなされ、運び出された探索対象の固有情報及び並び順情報が記憶部22の物品位置管理データベースから削除されるとともに、少なくとも一部の並び順情報が更新される。上述したように、図3(B)に示す仮置き状態に対して物品10cを運び出す場合には、物品位置管理データベースでは、図4(C)に示すように、図4(B)に示す状態に対して、情報コード11cの固有情報「1003」及び並び順情報「004」が削除され、固有情報「1004」に関連付けられる並び順情報が「004」に更新される。なお、上記削除更新処理を行う制御部21は、記憶部22の物品位置管理データベースに対して探索対象の固有情報及び並び順情報を削除するとともに少なくとも一部の並び順情報を更新する「削除更新部」の一例に相当し得る。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る仮置き管理システム1では、移動検出部26により登録対象の情報コード11と登録済の情報コード11とを撮像する間にされた携帯端末20の移動方向が検出される。そして、登録対象の物品10を仮置きスペースSに仮置きする場合、特定された登録対象の固有情報が記憶部22に記憶される際に、登録済の固有情報に関連付けられている並び順情報と移動検出部26の検出結果とに基づいて、登録対象の固有情報に関連付けられる並び順情報が生成されて記憶部22に記憶され、少なくとも一部の並び順情報が更新される。また、探索対象となる探索物品10xを探索する場合、その探索対象の固有情報が取得される際に、任意の物品の情報コード11から固有情報が特定されることで、任意の物品を基準とする探索物品10xの相対位置が検出されると、この探索物品10xの相対位置に関する情報が表示部24に表示されて報知される。
【0051】
これにより、物品10を仮置きスペースSに仮置きした作業者は、その物品10の情報コード11と隣に仮置きされている他の物品10の情報コード11とを携帯端末20にて撮像することで、その物品10の固有情報(登録対象の固有情報)を、並び順情報に関連付けて記憶部22に記憶することができる。また、登録対象の固有情報及び並び順情報の記憶時に、他の固有情報に関連付けられる並び順情報も更新することができる。そして、探索物品10xの探索時には、探索物品10xの固有情報を取得するとともに、任意の物品の情報コード11を撮像することで、その任意の物品を基準とする探索物品10xの相対位置が検出されて報知される。これにより、情報コード11が撮像された任意の物品を基準に探索物品10xを探索することができる。したがって、仮置きスペースSに情報コード等を付すことなく、その仮置きスペースSに仮置きされた物品10を容易に探索可能なシステムを実現することができる。
【0052】
そして、本実施形態では、各物品10の固有情報を特定するための識別表示として、少なくとも固有情報を光学的に読み取り可能に記録した情報コード11が採用される。このため、情報コード11を撮像した撮像画像から固有情報を容易に特定できるだけでなく、その情報コード11に固有情報と異なる他の情報を追加して記録することもできるので、システムの利便性を高めることができる。なお、各物品10の固有情報を特定するための識別表示として、上述した情報コード11が採用されることに限らず、例えば、固有情報を直接特定可能な文字情報が採用されてもよいし、撮像画像から固有情報を特定可能なマーカなどの他の識別表示が採用されてもよい。
【0053】
特に、各物品10にそれぞれ識別表示として付される情報コード11は、仮置き管理と異なる目的で物品10に予め印刷されたものであるため、仮置きの可能性のある各物品10のそれぞれに対して仮置き管理専用に情報コード11などの識別表示を付す作業等も必要もないので、システムの利便性を高めることができる。なお、作業者が読み取るべき情報コード11を容易に把握できるようにする等の目的で、仮置き管理専用の情報コード11を生成して各物品10にそれぞれ付すようにしてもよい。
【0054】
なお、本実施形態の第1変形例として、上記仮置き登録処理では、仮置きする物品10の隣に位置する1つの物品10の情報コード11を読み取る際に検出される携帯端末20の移動方向に基づいて並び順情報が生成されることに限らず、仮置きする物品10の両側に位置する2つの物品10の情報コード11をそれぞれ読み取る際に検出される携帯端末20の移動方向に基づいて並び順情報が生成されてもよい。すなわち、上記追加更新処理では、登録対象の固有情報が読み取られて特定された際に2つの登録済の固有情報が読み取られて特定されると、仮置きする物品10が2つの異なる他の物品10の間に仮置きされているとして並び順情報が生成される。これにより、仮置きする物品10を既に仮置きされている物品10間に仮置きする際、その仮置きされている両物品10にそれぞれ付された情報コード11を携帯端末20にて撮像することで、特定された2つの登録済の固有情報に関連付けられる並び順情報に基づいて登録対象の固有情報に関連付けられる並び順情報が生成される。このため、1つの登録済の固有情報に関連付けられる並び順情報に基づいて登録対象の固有情報に関連付けられる並び順情報を生成する場合と比較して、誤って並び順情報が生成されてしまうことを効果的に抑制することができる。
【0055】
また、本実施形態の第2変形例として、1つの物品10が2以上の単品から構成される場合、上記固有情報にその単品の個数に関する情報を含めてもよい。これにより、探索物品10xが2以上の単品によって構成されてその1つの単品に情報コード11が付される状態であっても、探索物品10xの相対位置に関する情報を報知する際にその探索物品10xを構成する単品の個数も把握できるので、その個数も合わせて報知することができる。このため、探索物品10xがより明確になるので、探索対象の探索をより容易に実施することができる。
【0056】
また、本実施形態の第3変形例として、1つの物品10が2以上の単品から構成される場合、撮像された情報コード11から固有情報が読み取られて特定される際に(S103)、当該情報コード11を付した物品10を構成する単品の個数を個数情報として取得することで、上記物品位置管理データベースにその取得した個数情報が対応する固有情報及び並び順情報に関連付けられて記憶されてもよい。このようにしても、上記第2変形例と同様に、探索物品10xの相対位置に関する情報を報知する際にその探索物品10xを構成する単品の個数も合わせて報知することができ、探索対象の探索をより容易に実施することができる。なお、物品10を構成する単品の個数を個数情報として取得する個数取得部としては、例えば、撮像部23にて物品10を撮像した撮像画像に対する制御部21による画像解析処理等を採用することができる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、本第2実施形態に仮置き管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第2実施形態では、上記物品位置管理データベースが、携帯端末20と異なる情報管理端末として機能するサーバ30に構築される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0058】
図7に示すように、本実施形態に係る仮置き管理システム1aは、複数の携帯端末20aと各携帯端末20aのそれぞれと通信可能なサーバ30とを備えるように構成されている。このため、本実施形態では、情報コード11を読み取ることで仮置きされた各物品10を管理する「管理装置」は、各携帯端末20a及びサーバ30を備えるように構成される。なお、図7では、便宜上、複数の携帯端末20aのうちの2つを図示している。
【0059】
本実施形態では、各携帯端末20aは、図9のフローチャートに示すように、上記仮置き登録処理において、上記追加更新処理(S117)に代えて、登録対象の固有情報及び登録済の固有情報と上記相対位置検出処理(S115)の検出結果とをサーバ30に送信する追加更新情報送信処理(S117a)を行うように構成されている。また、各携帯端末20aは、図10のフローチャートに示すように、上記物品探索処理において、上記相対位置検出処理(S209)に代えて、探索対象の固有情報及び任意の物品の固有情報をサーバ30に送信することでサーバ30から探索対象の相対位置に関する情報を受信する相対位置情報受信処理(S209a)を行うように構成されている。このため、上記相対位置報知処理(S211)では、サーバ30から受信した探索対象の相対位置に関する情報が表示部24に画面表示されて報知される。また、各携帯端末20aは、上記物品探索処理において、上記削除更新処理(S221)に代えて、運び出された探索対象の固有情報をサーバ30に送信する削除更新情報送信処理(S211a)を行うように構成されている。
【0060】
図8に示すように、サーバ30は、主に、当該サーバ30全体を統括的に制御する制御部31、記憶部32、通信部33等を備えている。制御部31は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インタフェース等を有し、記憶部32とともに情報処理装置として機能する。記憶部32は、ROM、RAM、HDD等からなり、各携帯端末20aから受信した情報を利用した処理を実行するためのアプリケーションプログラムや上記物品位置管理データベース等が、制御部31により利用可能に予め格納されている。通信部33は、制御部31により制御されて、インターネット等の所定のネットワークNを介して、各携帯端末20などの他の外部機器と通信を行う通信手段としての機能を有するように構成されている。
【0061】
このように構成されるサーバ40では、制御部31にてなされる追加更新処理により、携帯端末20aから受信した情報(登録対象の固有情報及び登録済の固有情報と上記相対位置検出処理の検出結果等)に基づいて、登録対象の固有情報が生成された並び順情報とともに記憶部32の物品位置管理データベースに記憶され、少なくとも一部の並び順情報が更新される。なお、上記追加更新処理を行う制御部31は、「追加更新部」の一例に相当し得る。
【0062】
また、サーバでは、制御部31にてなされる相対位置送信処理により、携帯端末20aから探索対象の固有情報及び任意の物品の固有情報が受信されると、記憶部32の物品位置管理データベースに記憶される情報を利用して、任意の物品を基準とする仮置き方向Fにおける探索物品10xの相対位置が検出されて、その探索対象の相対位置に関する情報が携帯端末20aに送信される。なお、任意の物品を基準とする仮置き方向Fにおける探索物品10xの相対位置を検出する処理を行う制御部31は、「相対位置検出部」の一例に相当し得る。
【0063】
また、サーバでは、制御部31にてなされる削除更新処理により、携帯端末20aから運び出された探索対象の固有情報が受信されると、この受信した固有情報及び関連付けられる並び順情報が記憶部32の物品位置管理データベースから削除されるとともに、少なくとも一部の並び順情報が更新される。なお、上記削除更新処理を行う制御部31は、「削除更新部」の一例に相当し得る。
【0064】
このように本実施形態における仮置き管理システム1a(管理装置)は、複数の携帯端末20aと、これら複数の携帯端末20aのそれぞれと通信可能なサーバ30とを備えている。各携帯端末20aは、携帯端末20に対して、図9のフローチャートに示すように上記仮置き登録処理を行い、図10のフローチャートに示すように上記物品探索処理を行う。そして、サーバ30は、上記物品位置管理データベースが構築される記憶部32と、上述した追加更新処理、相対位置送信処理及び削除更新処理を行う制御部31とを備えるように構成される。
【0065】
これにより、各携帯端末20aを利用して物品10を仮置きする場合でも、それらの情報をサーバ30にて一括管理できるため、複数の作業者がほぼ同時に物品10の仮置き作業を実施できるので、仮置き作業に関して作業効率の向上を図ることができる。
【0066】
[第3実施形態]
次に、本第3実施形態に仮置き管理システムについて、図面を参照して説明する。
本第3実施形態では、上記物品位置管理データベースに対して空きスペースを登録可能に構成される点が、上記第1実施形態と主に異なる。したがって、第1実施形態と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0067】
本実施形態では、情報コード11は、固有情報に加えて、当該情報コード11が付される物品10に関する長さ情報が記録されるように生成される。このため、上記仮置き登録処理における追加更新処理(S117)時に、情報コード11から読み取った長さ情報及び固有情報と並び順情報とを上記物品位置管理データベースに記憶することができる。
【0068】
このように、長さ情報が上記物品位置管理データベースに登録されるため、上記物品探索処理における削除更新処理(S221)時に、削除対象となる探索対象の固有情報に関連付けられる長さ情報に基づいて、探索対象の運び出しによって生じる空きスペースに関する空きスペース情報を生成して、上記物品位置管理データベースに記憶することができる。
【0069】
すなわち、探索対象の相対位置に関する報知を受けてその探索対象を運び出す際に、当該探索対象に付された情報コード11を携帯端末20にて撮像することで、当該探索対象の長さ(大きさ)を考慮した空きスペース情報をその位置とともに上記物品位置管理データベースに記憶することができる。
【0070】
具体的には、例えば、図3(C)に示すように仮置きされている5つの物品10a~10eから物品10cを運び出す際に、その物品10cの情報コード11cに長さ情報「50cm」が記録されていると、図4(C)に示すように並び順情報が更新された後に、物品10b(並び順情報「003」)と物品10d(並び順情報「004」)との間に位置する長さ「50cm」の空きスペース情報が上記物品位置管理データベースに記憶される。
【0071】
このため、多数の物品10が既に仮置きされている仮置きスペースSに対して新たに物品10を仮置きする際に、上記物品位置管理データベースに記憶される空きスペース情報に基づいて空きスペースを探索することで、多数の物品10が仮置きされている場合でも、仮置き可能なスペースを容易に見つけることができる。
【0072】
例えば、上述のように物品10bと物品10dとの間に位置する長さ「50cm」の空きスペース情報が上記物品位置管理データベースに記憶されている状態で、任意の物品の情報コード11を読み取ることで、任意の物品の位置を基準とする空きスペースの位置を表示部24に画面表示して報知することができる。具体的には、物品10aの情報コード11aを読み取った場合には、物品10bと物品10dとの間に位置する空きスペースに関して、「右側2つ目と3つ目との間に空きスペースあり」との情報を表示部24に画面表示して報知することができる。
【0073】
なお、本実施形態の変形例として、情報コード11に長さ情報が記録されることなく、探索対象となる物品10の上記仮置き方向Fの長さを検出可能な長さ検出部を設けて、その検出した長さに応じて生成した長さ情報を上記物品位置管理データベースに記憶してもよい。上記長さ検出部としては、例えば、物品10を撮像した撮像画像からその物品10の上記仮置き方向Fの長さを検出するものを採用することができる。このようにしても、上記物品位置管理データベースに記憶される空きスペース情報に基づいて仮置き可能なスペースを容易に見つけることができる。
【0074】
なお、物品10の上記仮置き方向Fの長さを検出する上記長さ検出部として、上述した物品10の撮像画像を利用する制御部21での画像解析処理が採用されることに限らず、例えば、マーカを投光する三角測量等の算出結果を利用する制御部21での処理や画像間の移動ベクトル(オプティカルフロー)の算出結果を利用する制御部21での処理などが採用されてもよい。また、上記長さ検出部は、運び出す探索対象の物品10の上記仮置き方向Fの長さを検出することに限らず、探索対象の物品10の両側に位置する2つの物品間の距離を空きスペースの長さとして検出してもよい。
【0075】
なお、本発明は上記各実施形態等に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)仮置きスペースSは、壁面Wに向かう作業者から見て壁面Wの前方にて左右に長くなるように設けられることに限らず、例えば、仮置き可能なエリアに含まれる一方向に長いスペースを利用して設けられてもよい。
【0076】
(2)探索対象となる物品10は、仕入先から受け入れた納入品であることに限らず、例えば、工場内での搬送中に仮置きスペースSにて一時的にストックされる部品等であってもよい。また、探索対象となる物品10は、例えば、パレット等に載置された1又は2以上の単品によって構成されてもよく、このような場合には、上記パレット等に情報コード11などの識別表示を付すことができる。
【0077】
(3)移動検出部26は、ジャイロセンサや加速度センサなどの慣性計測装置(IMU)によって携帯端末20の移動方向を検出するように構成されることに限らず、例えば、連続撮像画像に対する画像解析処理によって携帯端末20の移動方向を検出するように構成されてもよいし、全地球測位システム(GPS)のような位置計測装置の計測結果によって携帯端末20の移動方向を検出するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1,1a…仮置き管理システム
10,10a~10e…物品
10x…探索物品
11,11a~11e…情報コード
20,20a…携帯端末(管理装置)
21…制御部(特定部,追加更新部,相対位置検出部,削除更新部,個数取得部)
22…記憶部
23…撮像部(特定部,取得部,個数取得部)
24…表示部(報知部)
25…操作部(取得部)
26…移動検出部(移動方向検出部)
30…サーバ(情報管理端末,管理装置)
31…制御部(追加更新部,相対位置検出部,削除更新部)
32…記憶部
F…仮置き方向
S…仮置きスペース
W…壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10