(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101844
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ガラスパネル装置
(51)【国際特許分類】
A47B 13/00 20060101AFI20220630BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20220630BHJP
A47B 17/00 20060101ALI20220630BHJP
A47B 96/04 20060101ALI20220630BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20220630BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20220630BHJP
C03C 15/00 20060101ALI20220630BHJP
C03C 19/00 20060101ALI20220630BHJP
C03C 17/22 20060101ALI20220630BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
A47B13/00 Z
E04B2/74 561H
A47B17/00 Z
A47B96/04 Z
A61L9/20
A61L9/00 C
C03C15/00 Z
C03C19/00 A
C03C17/22 Z
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216179
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】509154420
【氏名又は名称】株式会社NSC
(72)【発明者】
【氏名】田村 達彦
【テーマコード(参考)】
3B053
4C058
4C180
4G059
【Fターム(参考)】
3B053NQ02
3B053NQ09
3B053SE10
4C058AA02
4C058BB06
4C058BB09
4C058KK02
4C058KK27
4C180AA07
4C180CC03
4C180DD03
4C180HH11
4C180HH15
4C180MM10
4G059AA01
4G059AB05
4G059AB11
4G059AC01
4G059AC30
(57)【要約】
【課題】 飛沫感染を防止することが可能であり、かつ、作業者によるメンテナンス作業を不要にすることが可能なガラスパネル装置を提供する。
【解決手段】 ガラスパネル装置10は、主面において飛沫を遮るように構成された板状のガラスパネル14と、ガラスパネル14の端部を支持するように構成された支持ユニット12と、備える。支持ユニット12は、ガラスパネル14の端面からガラスパネル14の内部に紫外光を入射させる紫外光照射ユニットを備える。ガラスパネル14は、複数の貫通孔144からなる通気部142と、端面から入射した紫外光の一部を主面側に拡散するための粗面部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面において飛沫を遮るように構成された板状のガラスパネルと、
前記ガラスパネルの端部を支持するように構成された支持ユニットと、
を少なくとも備え、
前記支持ユニットは、前記ガラスパネルの端面から前記ガラスパネルの内部に紫外光を入射させる手段を備える一方で、
前記ガラスパネルは、複数の貫通孔からなる通気部と、前記端面から入射した紫外光の一部を主面側に拡散するための粗面部と、を備えることを特徴とするガラスパネル装置。
【請求項2】
前記ガラスパネルの前記複数の貫通孔は、それぞれの孔径が前記ガラスパネルの厚みよりも小さくなるように構成されることを特徴とする請求項1に記載のガラスパネル装置。
【請求項3】
前記ガラスパネルの主面および複数の貫通孔の内壁に、光触媒膜が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のガラスパネル装置。
【請求項4】
前記複数の貫通孔の孔径が、前記ガラスパネルの厚みの半分以下であることを特徴とする請求項2または3に記載のガラスパネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラスパネルを板厚方向に通過する空気を浄化する機能を備えたガラスパネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
新型コロナウィルス(COVID19)の感染拡大に伴い、人から人に対して病気が感染することを予防することが関心を集めるようになった。特に、人と人との空間を仕切ることによって飛沫感染を防止するという簡易な手法が注目されており、飲食店、図書館等の公共施設、商店、駅、オフィス等の様々な場所において空間仕切り部材が採用されるに到っている。
【0003】
ところが、空間仕切り部材を設置した場合、空間仕切り部材に付着した菌やウィルスによって感染が発生しないようにするために、定期的に空間仕切り部材を消毒する必要があった。
【0004】
そこで、従来技術の中には、上方に取り外し可能なフィルム状透視カバーを用いて飛沫感染を防止するように構成された飛沫防止スタンドを採用するものがあった(例えば、特許文献1参照。)。そして、このような構成を採用することによって、面倒な消毒作業が必要でなくなる、とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の従来技術では、フィルム状透視カバーの交換作業が依然として必要であるため、面倒な作業から完全に開放されるとは言えなかった。
【0007】
また、フィルム状透視カバーに付着したウィルス等が長く生存していた場合には、フィルム状透視カバーの交換作業時において、作業者がウィルスと接触して感染するリスクが依然として存在する。
【0008】
本発明の目的は、飛沫感染を防止することが可能であり、かつ、作業者によるメンテナンス作業を不要にすることが可能なガラスパネル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るガラスパネル装置は、主面において飛沫を遮るように構成された板状のガラスパネルと、ガラスパネルの端部を支持するように構成された支持ユニットと、を少なくとも備える。ガラスパネル装置は、例えば、デスクの上に配置することによってデスク使用者同士が発声やせき・くしゃみ等で飛沫感染することを防止する役割を果たす。その他にも、部屋のパーテーションとして利用することも可能である。さらに、小型化することによってフェイスシールドの用途として利用することも可能である。
【0010】
支持ユニットは、ガラスパネルの端面からガラスパネルの内部に紫外光を入射させる手段を備える。この紫外光は、ガラスパネルにおける少なくとも複数の貫通孔および主面(使用者が発した飛沫が接触し易い飛沫接触面)に届くことを意図している。紫外光を照射する手段の例としては、紫外光を照射するランプをアレイ状に複数配置してなる紫外光照射ユニットが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0011】
ガラスパネルは、複数の貫通孔からなる通気部と、端面から入射した紫外光の一部を主面側に拡散するための粗面部と、を備える。複数の貫通孔は、ガラスパネルの厚み方向において空気を通過させる用途で設けられる。ただし、貫通孔は、飛沫を遮るというガラスパネルの本質的機能を損ねないように、孔径が小さくなるように設計されている。孔径は、1mm以下、さらに好ましくは100μm以下(例えば、50μm程度)に設計されるべきである。
【0012】
例えば、レーザアシストエッチング処理を用いることによってガラスパネルの複数の貫通孔のそれぞれの孔径をガラスパネルの厚みよりも小さくし易くなるため、このような構成を採用することが好ましい。
【0013】
また、複数の貫通孔の孔径が、ガラスパネルの厚みの半分以下であることがさらに好ましい。
【0014】
上述のような構成を用いることによって、ガラスパネルにウィルス・菌を含む飛沫が付着した場合であっても、紫外光によって消滅させたり不活化させたりすることが可能となる。このため、ガラスパネルを消毒したり交換したりする作業を不要にすることが可能になる。ガラスパネルに接触するメンテナンス作業が必要なくなることにより、より一層、感染防止効果が期待できる。
【0015】
上述の構成において、ガラスパネルの主面および複数の貫通孔の内壁に、光触媒膜が設けられる構成を採用することが好ましい。この構成を採用することで、紫外光照射だけで不活化できなかったウィルス・菌が存在する場合であっても、これらのウィルス・菌をより確実に不活化等させることが可能になる。
【0016】
あえて、ガラスパネルに通気用の貫通孔を設けているが、貫通孔を通過するウィルス・菌は紫外光照射によって不活化等するため、貫通孔の存在によって飛沫感染リスクが高まることはない。
【0017】
むしろ、通気用の貫通孔の存在によって、大声を出さなくても会話し易くなるため、使用者が発声する際の飛沫の量自体を少なくすることが期待できる。また、ガラスパネルによって空気の流れが遮られにくく、空気の滞留が発生しにくくなるため、ガラスパネル装置の存在によって部屋の換気に支障をきたしにくいという効果も期待できる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、飛沫感染を防止することが可能であり、かつ、作業者によるメンテナンス作業を不要にすることが可能なガラスパネル装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係るガラスパネル装置の概略を示す図である。
【
図3】紫外光照射ユニットによる紫外光照射状態の一例を示す図である。
【
図4】ガラスパネルの製造方法の一例を示す図である。
【
図5】ガラスパネルの製造方法の一例を示す図である。
【
図6】ガラスパネルの製造におけるエッチング処理の例を示す図である。
【
図7】ガラスパネル装置の他の適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図を用いて、本発明の一実施形態であるガラスパネル装置10を説明する。ここでは、
図1(A)に示すように、ガラスパネル装置10は、デスク100の上に配置することによって、デスク100を使用する複数の使用者間での飛沫感染を防止する。
【0021】
ガラスパネル装置10は、支持ユニット12およびガラスパネル14を少なくとも備える。支持ユニット12は、ガラスパネル14を支持するように構成される。一方で、ガラスパネル14は、その主面によって、デスクの使用者が発声や呼吸において発する飛沫を遮るように構成される。
【0022】
ガラスパネル14は、隔てるべき領域の大きさに応じて、その幅や高さが設定される(通常は、幅500mm~1500mm程度、高さ70mm~120mm程度)。厚みについては、要求される強度や許容される重量を考慮して設定されるが、ここでは、厚み2~3mm程度のものを採用している。ただし、ガラスパネル14のサイズは、前述の例に限定されるものではなく、使用者にとって最適なサイズを適宜採用することが可能である。
【0023】
また、ガラスパネル14は、空気を通過させることが可能な通気部142を備えている。この通気部142は、
図1(B)に示すように、複数の通気用貫通孔144を備えている。この実施形態においては、それぞれの貫通孔144は、厚み方向においてほぼ断面積が等しい形状(ほぼ円柱状)を呈している。ただし、貫通孔144の形状はこれに限定されるものではなく、円以外の形状であっても良いし、厚み方向において断面積が変化する形状であっても良い。
【0024】
通気用貫通孔144は、それぞれの孔の径が、ガラスパネル14の厚みよりも小さくなるように構成される。具体的には、後述のレーザアシストエッチングによる異方性エッチングを用いることにより、厚み2~3mmに対して、孔の直径が20~50μm程度の通気用貫通孔144が実現している。このように、通気用貫通孔144の径を小さくすることによって、使用者の声を通して会話し易くしつつ、発声時やせき・くしゃみ時の飛沫の通過をある程度阻止する効果が期待できる。
さらに、ガラスパネル14は、その端面から入射した紫外光の一部を主面側に拡散するための粗面部がその主面に設けられているが、これについては後述する。
【0025】
上述したようなガラスパネル14を支持するための支持ユニット12は、
図2(A)および
図2(B)に示すように、上方に開放した溝状を呈するパネル支持部122を有している。このパネル支持部122にガラスパネル14の下部が嵌まり込むことによって、ガラスパネル14が支持ユニット12によって安定的に支持されることになる。また、パネル支持部122の底部には、ガラス部材等の透明部材からなる透光部126が設けられる。
【0026】
さらに、支持ユニット12は、
図2(B)に示すように、パネル支持部122に嵌った状態のガラスパネル14に対して、紫外光を照射するための紫外光照射ユニット124を備えている。紫外光照射ユニット124はガラスパネル14の端面(ここでは底面)からガラスパネル14の内部に紫外光を入射させる。
【0027】
この実施形態においては、紫外光照射ユニット124として、220nm~280nm(UV-C)の紫外光をパネル支持部122の長さ方向の全域にわたって照射するように構成されたUV-C紫外光照射装置を採用している。ただし、ガラスパネル14を通過するウィルス・菌等に効果を発揮するものであれば、紫外光照射ユニット124として他の構成を採用することも可能である。
【0028】
図3(A)~
図3(C)に示すように、紫外光照射ユニット124は、ガラスパネル14における少なくとも複数の通気用貫通孔144および使用者等が発した飛沫が接触し得る両主面に対して紫外光を照射するように構成されている。
【0029】
紫外光照射ユニット124が照射する紫外光は、細長くて狭い範囲を下から上に向かって移動する。上に向かう紫外光の一部は、
図3(C)に示すように、ガラスパネル14の粗面部(図示省略)によって拡散反射されることによって主面に届く。なお、220nm~280nm(UV-C)の紫外光は人体への悪影響が低いため、デスク100の使用者の健康リスクはほとんどないと言える。
【0030】
複数の通気用貫通孔144に対して紫外光が照射されることによって、これらの通気用貫通孔144を通過するエアに含まれるウィルス・菌を消滅/不活化することが可能になる。また、ガラスパネル14の両主面にも紫外光を届かせることによって、ガラスパネル14の両主面に付着したウィルス・菌を消滅/不活化させることが可能になる。
【0031】
さらに、ガラスパネル14における両主面や通気用貫通孔144の内壁に光触媒膜を設けることが好ましい。このような構成を採用すれば、ガラスパネル14の両主面や通気用貫通孔144の内壁に付着したウィルス・菌を、さらに効率的に消滅/不活化させることが可能になる。
【0032】
ガラスパネル14の内部の紫外光をガラスパネル14の主面に導くための粗面部は、主面における所望の領域の算術平均粗さRaを適宜調整することによって設けられる。例えば、算術平均粗さRaを10nm~1000nm程度にしておけば、紫外光の拡散反射の効果を奏しつつ、ガラスパネル14の透明性を維持することが可能である。粗面部を形成するための表面処理の例としては、ブラスト処理やエッチング処理による粗面化処理(AG加工等)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0033】
紫外光照射ユニット124が照射する紫外光を利用して、ガラスパネル14の各所に付着したウィルス・菌を消滅/不活化させることによって、ガラスパネル14を定期的に消毒したり交換したりするといったメンテナンス作業を不要にすることが可能になる。
【0034】
しかも、ガラスパネル14の好適な位置に通気部142が設けられているため、ガラスパネル14越しの会話が行い易くなる結果、必要以上の大きな声を発する必要がなくなり、飛沫感染の予防が図られる。
【0035】
ガラスパネル14に通気部142が設けられていることにより、ガラスパネル14が原因で部屋の空気が滞留するといったことも起こりにくくなるため、部屋の換気に支障をきたしにくくなる。
【0036】
続いて、
図4~6を用いて、ガラスパネル装置10の生産手法の一例について説明する。まず、ガラスパネル装置10の製造にあたって、
図4(A)および
図4(B)に示すように、ガラスパネル14における通気用貫通孔144が形成されるべき位置にレーザビームが照射される。このレーザビームの照射によって、レーザビームの照射位置にエッチングされやすい性質の改質部が形成される。
【0037】
レーザビームは、ガラスパネル14における通気用貫通孔144の形成予定位置をエッチングされ易い性質に改質できる限り、その種類および照射条件は特に限定されない。
【0038】
この実施形態では、レーザヘッドから、短パルスレーザ(例えばピコ秒レーザ、フェムト秒レーザ)から発振されるレーザビームが照射されているが、例えば、CO2レーザ、ナノ秒レーザ等を用いても良い。
【0039】
また、この実施形態では、レーザビームの平均レーザエネルギが、約30μJ~300μJ程度になるように出力制御が行われているが、これに限定されるものでもない。
【0040】
レーザビームは、適宜、その集光領域が調整されることが好ましい。ここでは、レーザビームの集光領域がガラスパネル14の厚み方向の全域にわたるように調整されている。このため、
図4(C)に示すように、後述のエッチング処理によって容易に改質部が溶解し、その結果、通気用貫通孔144が形成されやすくなる。
【0041】
続いて、
図5(A)に示すように、ガラスパネル14における取り出すべきガラスパネル14の形状に対応する切断予定線に沿ってレーザビームを照射することによって、切断予定線に沿ってエッチングされやすい性質の改質部が形成される。ここでは、正方形状のガラス板を、所望の長方形状にしつつ角部分に丸みを持たせるようにガラスパネル14の輪郭が形成される例を示しているが、これに限定されるものではない。
【0042】
レーザビームの照射によって形成された改質部は、上述のように、エッチング処理によって溶解する。この結果、通気用貫通孔144が形成されるとともに切断予定線に沿ってガラスパネル14の外形が画定される。
【0043】
エッチング処理においては、
図5(B)に示すように、ガラスパネル14は、エッチング装置50に導入され、フッ酸および塩酸等を含むエッチング液によるエッチング処理が施される。通常、フッ酸1~10重量%、塩酸5~20重量%程度を含むエッチング液が用いられ、必要に応じて適宜、界面活性剤等が併用される。
【0044】
エッチング装置50では、
図6(A)に示すように、搬送ローラによってガラスパネル14を搬送しつつ、エッチングチャンバ52内でガラスパネル14の主面にエッチング液を接触させることによって、ガラスパネル14に対するエッチング処理が行われる。
【0045】
なお、エッチング装置50におけるエッチングチャンバ52の後段には、ガラスパネル14に付着したエッチング液を洗い流すための洗浄チャンバ53が設けられているため、ガラスパネル14はエッチング液が取り除かれた状態でエッチング装置50から排出される。
【0046】
ガラスパネル14にエッチング液を接触させる手法の一例として、
図6(A)に示すように、エッチング装置50の各エッチングチャンバ52において、ガラスパネル14に対してエッチング液をスプレイするスプレイエッチングが挙げられる。
【0047】
また、スプレイエッチングに代えて、
図6(B)に示すように、オーバーフロー型のエッチングチャンバ54において、オーバーフローしたエッチング液に接触しながらガラスパネル14が搬送される構成を採用することも可能である。
【0048】
さらには、
図6(C)に示すように、エッチング液が収納されたエッチング槽56に、キャリアに収納された単数または複数のガラスパネル14を浸漬させるディップ式のエッチングを採用することも可能である。
【0049】
エッチング処理によって、ガラスパネル14におけるガラスパネル14の改質部が貫通し通気用貫通孔144が形成される。上述のようにレーザビームの照射によってエッチング処理をアシストする手法(レーザアシストエッチング)によって、エッチング処理時間を極限まで最小化することが可能になる。
【0050】
エッチング処理時間が短縮することにより、通気用貫通孔144の形成時に、通気用貫通孔144の形状がいびつになったり意図せずにガラスパネル14の表面が粗面化したりしにくくなる。このため、通気用貫通孔144の径を、20μm~50μm程度の範囲で狙った大きさに調整することが可能になる。
【0051】
ここで、一般的な等方性エッチングの場合には、ガラスパネル14の板厚が厚くなればなるほど、通気用貫通孔144の径が大きくなってしまう傾向がある。その理由は、エッチング処理において、通気用貫通孔144の厚さ方向と同時に幅方向にもエッチングが進行するからである。
【0052】
このエッチング処理の等方性を抑制する対策として、エッチング処理において、酸化チタン等のフッ素錯化剤を添加することにより、エッチング処理における通気用貫通孔144の溝幅の拡大が抑制されることが出願人の実験によって明らかになっている。このため、必要に応じて、エッチング液にフッ素錯化剤を適量添加することによって、通気用貫通孔144の径や形状を調整することが可能になる。
【0053】
以上のように、本発明に係るガラスパネル装置10を用いることにより、デスク100の対面席に使用者が発した飛沫が飛ぶことを防止できる。しかも、通気部142の存在によって対面席の使用者の声が聞き取り易くなるため、対面での会話が重要な業界、例えば飲食業界における感染症の拡大防止に有用である。
【0054】
また、ガラスパネル装置10を、
図7(A)に示すように、パーテーションに利用したり、
図7(B)に示すように、フェイスシールドに利用したりすることも可能である。
【0055】
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
10-ガラスパネル装置
12-支持ユニット
14-ガラスパネル
100-デスク
122-パネル支持部
124-紫外光照射ユニット
126-透光部
142-通気部
144-通気用貫通孔