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特開2022-101887レーザ加工装置の光学系、レーザ加工装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101887
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】レーザ加工装置の光学系、レーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/073 20060101AFI20220630BHJP
   G02B 27/09 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B23K26/073
G02B27/09
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216246
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000133227
【氏名又は名称】株式会社タムロン
(74)【代理人】
【識別番号】100124327
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 勝博
(72)【発明者】
【氏名】小森 一範
(72)【発明者】
【氏名】坂本 敬志
(72)【発明者】
【氏名】竹本 昌紀
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168BA02
4E168BA82
4E168BA87
4E168BA88
4E168CB03
4E168CB07
4E168CB17
4E168DA36
4E168DA39
4E168EA13
4E168EA17
4E168JA02
4E168JA03
(57)【要約】
【課題】本件発明は、レーザ光のエネルギー利用効率が高く、様々な素材の加工対象物に適したエネルギー強度分布の照射点(スポット)を選択することができるレーザ加工装置の光学系、及びレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【解決手段】この目的を達成するため、光軸上に複数の異なる焦点を設けた光学面を有し、光軸に垂直な面におけるレーザ光のエネルギー強度分布が、光軸上の位置によって異なり、光軸上の異なる位置を被加工物のレーザ光の照射点とすることによって、被加工物のレーザ光の照射点におけるレーザ光のエネルギー強度分布を選択可能とするレーザ加工装置の光学系を採用した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を照射することによって被加工物を加工するレーザ加工装置の光学系であって、
光軸上に複数の異なる焦点を設けた光学面を有し、
前記光軸に垂直な面における前記レーザ光のエネルギー強度分布が、前記光軸上の位置によって異なり、
前記光軸上の異なる位置を前記被加工物の前記レーザ光の照射点とすることによって、前記被加工物の照射点における前記レーザ光の前記エネルギー強度分布を選択可能とすることを特徴とするレーザ加工装置の光学系。
【請求項2】
前記光軸上の位置によって異なる前記エネルギー強度分布の配置は、
レーザ発振器側から前記被加工物側へ向かって順に、中心部を有するリング状、リング状、ガウシアン状である第一の配置と、
レーザ発振器側から前記被加工物側へ向かって順に、ガウシアン状、リング状、中心部を有するリング状である第二の配置との、いずれか一方である請求項1に記載のレーザ加工装置の光学系。
【請求項3】
前記エネルギー強度分布の前記第一の配置において、以下の条件を満たす請求項2に記載のレーザ加工装置の光学系。
fB1<fB0<fB2 ・・・(1)
但し、fB0:前記レーザ光の前記光軸に垂直な面におけるエネルギー強度分布がリング状となる前記光軸上の位置であり、最も被加工物に近い光学面からの距離。
fB1:前記レーザ光の前記光軸に垂直な面におけるエネルギー強度分布が中心部を有するリング状となる前記光軸上の位置であり、最も被加工物に近い光学面からの距離。
fB2:前記レーザ光の前記光軸に垂直な面におけるエネルギー強度分布がガウシアン状となる前記光軸上の位置であり、最も被加工物に近い光学面からの距離。
【請求項4】
前記エネルギー強度分布の前記第二の配置において、以下の条件を満たす請求項2に記載のレーザ加工装置の光学系。
fB2<fB0<fB1 ・・・(2)
但し、fB0:前記レーザ光の前記光軸に垂直な面におけるエネルギー強度分布がリング状となる前記光軸上の位置であり、最も被加工物に近い光学面からの距離。
fB1:前記レーザ光の前記光軸に垂直な面におけるエネルギー強度分布が中心部を有するリング状となる前記光軸上の位置であり、最も被加工物に近い光学面からの距離。
fB2:前記レーザ光の前記光軸に垂直な面におけるエネルギー強度分布がガウシアン状となる前記光軸上の位置であり、最も被加工物に近い光学面からの距離。
【請求項5】
以下の条件を満たす請求項3又は請求項4に記載のレーザ加工装置の光学系。
1mm≦|fB0-fB1| ・・・(3)
【請求項6】
以下の条件を満たす請求項3又は請求項4に記載のレーザ加工装置の光学系。
1mm≦|fB0-fB2| ・・・(4)
【請求項7】
前記複数の異なる焦点を設けた光学面は、複数の異なる球面及び/又は非球面から構成される請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のレーザ加工装置の光学系。
【請求項8】
前記複数の異なる球面及び/又は非球面は、同一光学面における同心円状の複数の異なる領域に設けたものである請求項7に記載のレーザ加工装置の光学系。
【請求項9】
前記複数の異なる球面及び/又は非球面は、異なる複数の光学面のそれぞれ異なる光束が通過する領域であり、かつ、同心円状の複数の異なる領域に設けたものである請求項7に記載のレーザ加工装置の光学系。
【請求項10】
前記複数の異なる球面及び/又は非球面は、少なくとも1つの光学面が非球面である請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のレーザ加工装置の光学系。
【請求項11】
前記複数の異なる球面及び/又は非球面は、それぞれ異なる2つの光学面である請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のレーザ加工装置の光学系。
【請求項12】
前記複数の異なる球面及び/又は非球面は、それぞれ異なる2つの非球面である請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のレーザ加工装置の光学系。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか一項に記載のレーザ加工装置の光学系を備えることを特徴とするレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、レーザ加工装置の光学系、及びレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置は、レーザ光を1点に集光して被加工物に照射することによって、被加工物の表面温度を急激に上昇させ、被加工物の被照射面が融解もしくは蒸発することによって、被加工物へ切断や穴開け、溶接といった加工を施す装置である。レーザ光を1点に集光するため、ピンポイントで精密かつ微細な加工が可能である。また、より高エネルギーのレーザ光を用いることで、加工時間を短縮することができ、かつ、刃物での加工が困難な高硬度の被加工物の加工も可能である。
【0003】
ここで、レーザ光の集光において、レーザ光の照射点におけるレーザ光の強度分布は、照射点の平面において環状であることが好ましいことが知られている。しかしながら、照射点での環径が大きいと、光エネルギーを十分に集中できないために被加工物の融解に時間を要したり、加工断面の品質が悪化したりする。また、一定の環径を維持する焦点深度が浅いと、熱レンズ効果などで焦点がずれたりしたときに照射点でのレーザ光の強度分布が環状でなくなるなどして、被加工物の溶接品質が悪化するといった問題が生じる。
【0004】
また、特許文献1では、集光レンズの凸面中央部を凹面状にカットした集光レンズを用いてレーザ光を集光することによって、レーザ光の強度分布が中央部より周辺部の方が高くなるレーザ光を照射して用いるレーザ溶接装置が開示されている。
【0005】
特許文献2では、光学系にレーザ光の位相をシフトさせる機能を導入し、レーザ光の光束の一部に位相差を設けることによって、エネルギー強度分布がガウシアン状の入力レーザ光を、その合成光のスポットにおけるエネルギー強度分布を強度分布が環状(双峰状)、またはトップハット状に変換する光学システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-305581号公報
【特許文献2】米国特許9285593号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のレーザ加工装置の光学系は、集光レンズの凸面中央部を凹面状にカットした集光レンズを用いてレーザ光を集光することによって、レーザ光の強度分布が中央部より周辺部の方が高くなるレーザ光を得ている。ここで、集光レンズの凹面状部を通過するレーザ光は、中心から拡散する方向へ屈折される。このため、集光レンズの凹面状部で屈折するレーザ光は、被加工物の照射点へ集光されることがない。つまり、被加工物のレーザ光による加工において、レーザ発振器から出力されたレーザ光のエネルギーの利用効率が悪い。
【0008】
また、特許文献2に記載のレーザ加工装置の光学系は、光の反射率が高い加工対象物に適していない。
【0009】
本件発明は、レーザ光のエネルギー利用効率が高く、様々な素材の加工対象物に適したエネルギー強度分布の照射点(スポット)を選択することができるレーザ加工装置の光学系、及びレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、鋭意研究の結果、以下の発明に想到した。
【0011】
本件発明に係るレーザ加工装置の光学系は、レーザ光を照射することによって被加工物を加工するレーザ加工装置の光学系であって、光軸上に複数の異なる焦点を設けた光学面を有し、前記光軸に垂直な面における前記レーザ光のエネルギー強度分布が、前記光軸上の位置によって異なり、前記光軸上の異なる位置を前記被加工物の前記レーザ光の照射点(スポット)とすることによって、前記被加工物の前記レーザ光の照射点(スポット)における前記レーザ光の前記エネルギー強度分布を選択可能とすることを特徴としている。
【0012】
本件発明に係るレーザ加工装置は、上述のレーザ加工装置の光学系を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本件発明に係るレーザ加工装置の光学系は、光軸上に複数の異なる焦点を設けた光学面を有することによって、光軸に垂直な面におけるレーザ光のエネルギー強度分布が、光軸上の位置によって異なり、光軸上の異なる位置を被加工物のレーザ光の照射点(スポット)とすることによって、前記被加工物の前記レーザ光の照射点(スポット)におけるレーザ光のネルギー強度分布を選択可能とすることができる。これによって、加工対象物に合わせて適切なスポットにおけるエネルギー強度分布を選択してレーザ加工を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態に係るレーザ加工装置の光学系の概略断面図である。
図2】同一の光学面に異なる球面及び/又は非球面を備える光学素子の概略断面図である。
図3】異なる2つの光学面に異なる球面及び/又は非球面を備える光学素子の概略断面図である。
図4】本実施の形態に係るレーザ加工装置の概略断面図である。
図5】実施例1のエネルギー強度分布が中心部を有するリング状である照射点における入射瞳座標に対する横収差図である。
図6】実施例1のエネルギー強度分布が中心部を有するリング状である照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む直線上でのレーザ光の強度比である。
図7】実施例1のエネルギー強度分布が中心部を有するリング状である照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。
図8】実施例1のエネルギー強度分布がリング状である照射点における入射瞳座標に対する横収差図である。
図9】実施例1のエネルギー強度分布がリング状である照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む直線上でのレーザ光の強度比である。
図10】実施例1のエネルギー強度分布がリング状である照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。
図11】実施例1のエネルギー強度分布がガウシアン状である照射点における入射瞳座標に対する横収差図である。
図12】実施例1のエネルギー強度分布がガウシアン状である照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む直線上でのレーザ光の強度比である。
図13】実施例1のエネルギー強度分布がガウシアン状である照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。
図14】実施例2のエネルギー強度分布が中心部を有するリング状である照射点における入射瞳座標に対する横収差図である。
図15】実施例2のエネルギー強度分布が中心部を有するリング状である照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む直線上でのレーザ光の強度比である。
図16】実施例2のエネルギー強度分布が中心部を有するリング状である照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。
図17】実施例2のエネルギー強度分布がリング状である照射点における入射瞳座標に対する横収差図である。
図18】実施例2のエネルギー強度分布がリング状である照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む直線上でのレーザ光の強度比である。
図19】実施例2のエネルギー強度分布がリング状である照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。
図20】実施例2のエネルギー強度分布がガウシアン状である照射点における入射瞳座標に対する横収差図である。
図21】実施例2のエネルギー強度分布がガウシアン状である照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む直線上でのレーザ光の強度比である。
図22】実施例2のエネルギー強度分布がガウシアン状である照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。
図23】比較例のエネルギー強度分布がガウシアン状である照射点における入射瞳座標に対する横収差図である。
図24】比較例のエネルギー強度分布がガウシアン状である照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む直線上でのレーザ光の強度比である。
図25】比較例のエネルギー強度分布がガウシアン状である照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。
図26】比較例のエネルギー強度分布がリング状である照射点における入射瞳座標に対する横収差図である。
図27】比較例のエネルギー強度分布がリング状である照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む直線上でのレーザ光の強度比である。
図28】比較例のエネルギー強度分布がリング状である照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。
図29】比較例のエネルギー強度分布がリング状である照射点における入射瞳座標に対する横収差図である。
図30】比較例のエネルギー強度分布がリング状である照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む直線上でのレーザ光の強度比である。
図31】比較例のエネルギー強度分布がリング状である照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本件発明に係るレーザ加工装置に用いる光学系、及びレーザ加工装置の実施の形態を説明する。
【0016】
1.レーザ加工装置に用いる光学系の実施の形態
本件発明に係るレーザ加工装置に用いる光学系、及びレーザ加工装置は、レーザ光を照射することによって被加工物を加工するレーザ加工装置に用いる光学系と、当該光学系を備えたレーザ加工装置である。当該光学系は、光軸上に複数の異なる焦点を設けた光学面を有している。これによって、光軸に垂直な面におけるレーザ光のエネルギー強度分布は、光軸上の位置によって異なるものとなる。
【0017】
このとき、当該光学系は、光軸上の異なる位置を前記被加工物の前記レーザ光の照射点(スポット)とすることによって、前記被加工物の照射点における前記レーザ光の前記エネルギー強度分布を選択可能とすることができる。具体的には、当該光学系は、被加工物のレーザ光の照射点におけるレーザ光のエネルギー強度分布を、ガウシアン状と、リング状(環状、双峰状)と、中心部を有するリング状(環状と環状の中心部からなる形状)との、少なくとも3モードに入射レーザ光を変換し、選択することができる。
【0018】
本件発明によれば、後述するように、スポットにおけるエネルギー強度分布が、例えばガウシアン状の場合は鉄などの溶接や切断などに、環状の場合は銅や溶融亜鉛めっき鋼板など被加工物の重ね溶接や突合せ溶接などに、環状と環状の中心部からなるものの場合はアルミニウム材など光の反射率が高い被加工物の溶接や切断などにと、加工対象物に合わせてスポットにおける適切なエネルギー強度分布を選択してレーザ加工を行うことが可能となる。
【0019】
本実施の形態に係るレーザ加工装置の光学系の概略断面図を図1に示す。図1aは、レーザ光の光軸10上の位置における、光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布が、エネルギー分布制御用光学素子5側から順に、ガウシアン状、リング状、中心部を有するリング状である、エネルギー強度分布の第一の配置を示している。また、図1bは、レーザ光の光軸10上の位置における、光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布が、エネルギー分布制御用光学素子6側から順に、中心部を有するリング状、リング状、ガウシアン状である、エネルギー強度分布の第二の配置を示している。
【0020】
〔エネルギー強度分布の第一の配置の光学系〕
まず、図1aを参照して第一の配置の光学系1を説明する。図1aは、エネルギー分布制御用光学素子5の配置されている側から、エネルギー分布制御用光学素子5へレーザ光を入射した場合の、エネルギー分布制御用光学素子5から出射されるレーザ光の略軌跡を示している。光軸10は、エネルギー分布制御用光学素子5の光学中心を通っている。エネルギー分布制御用光学素子5は、光学面の領域11、光学面の領域12、光学面の領域21、光学面の領域22を有している。そして、光学面の領域11と光学面の領域21とは、エネルギー分布制御用光学素子5の光学中心を中心とする、同じ同心円の領域である。また、光学面の領域12と光学面の領域22とは、エネルギー分布制御用光学素子5の光学中心を中心とする、同じ同心円の領域である。
【0021】
光学面の領域11と光学面の領域21とを含むエネルギー分布制御用光学素子5の同心円状の領域の焦点は、光軸10の照射点C51の位置にある。一方、光学面の領域12と光学面の領域22とを含むエネルギー分布制御用光学素子5の同心円状の領域の焦点は、光軸10の照射点G52の位置にある。このように、第一の配置の光学系1は、光軸上に複数の異なる焦点を設けた光学面を有している。なお、図1aにおいて、光学面の領域11から出射されるレーザ光の光束101と、光学面の領域21から出射されるレーザ光の光束201と、光学面の領域12から出射されるレーザ光の光束102と、光学面の領域22から出射されるレーザ光の光束202は、それぞれの光学面の領域から出射されるレーザ光の光束を、1本の線で簡略化して表現している。
【0022】
ここで、光学面の領域11から出射されるレーザ光の光束101と、光学面の領域21から出射されるレーザ光の光束201とを含む、エネルギー分布制御用光学素子5から出射される光束は、照射点C51の位置で1点に収束する。そして、当該光束は、照射点C51の位置を通過後、照射点R50の位置と照射点G52の位置とを、徐々に拡散状に広がりながら通過する。また、光学面の領域12から出射されるレーザ光の光束102と、光学面の領域22から出射されるレーザ光の光束202とを含む、エネルギー分布制御用光学素子5から出射される光束は、焦点に向けて徐々に収束しながら照射点C51の位置と照射点R50の位置とを通過する。そして、当該光束は、照射点G52の位置で1点に収束する。
【0023】
このとき、照射点C51の位置においては、レーザ光の光束102とレーザ光の光束202とを含むエネルギー分布制御用光学素子5から出射される光束は、レーザ光の光束101とレーザ光の光束201とを含むエネルギー分布制御用光学素子5から出射される光束の近傍を通過する。したがって、照射点G51の位置における、光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布は、光軸10を中心とした中心部を有するリング状となる。
【0024】
また、レーザ光の光束101とレーザ光の光束201とを含むエネルギー分布制御用光学素子5から出射される光束は、照射点C51の位置で焦点に収束した後、拡散状に広がりながら照射点R50の位置に至る。一方、レーザ光の光束102とレーザ光の光束202とを含むエネルギー分布制御用光学素子5から出射される光束は、照射点C52の位置にある焦点へ向かって収束しながら照射点R50の位置に至る。このようにして、レーザ光の光束101とレーザ光の光束201とを含むエネルギー分布制御用光学素子5から出射される光束と、レーザ光の光束102とレーザ光の光束202とを含むエネルギー分布制御用光学素子5から出射される光束とは、光軸10に垂直な面の同じ位置を通過する。したがって、照射点R50の位置における、光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布は、光軸10を中心としたリング状となる。
【0025】
さらに、照射点G52の位置においては、レーザ光の光束101とレーザ光の光束201とを含むエネルギー分布制御用光学素子5から出射される光束は、照射点C51の位置を通過後、徐々に拡散状に広がる。したがって、照射点G52の位置における、光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布は、光軸10を中心としたガウシアン状となる。
【0026】
すなわち、エネルギー強度分布の第一の配置の光学系1は、レーザ光の光軸10上の照射点C51の位置、照射点R50の位置、及び照射点G52の位置における光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布が、順に、中心部を有するリング状、リング状、ガウシアン状となる、エネルギー強度分布の第一の配置を有している。このとき、加工対象物を照射点C51の位置に設置することによって、中心部を有するリング状のスポットにおけるエネルギー強度分布でレーザ加工を施すことができる。また、加工対象物を照射点R50の位置の位置に設置することによって、リング状のスポットにおけるエネルギー強度分布でレーザ加工を施すことができる。さらに、加工対象物を照射点G52の位置に設置することによって、ガウシアン状のスポットにおけるエネルギー強度分布でレーザ加工を施すことができる。
【0027】
上述したエネルギー強度分布の第一の配置の光学系1は、以下の条件式(1)を満たすことが好ましい。エネルギー強度分布の第一の配置の光学系1が、条件式(1)を満たすことによって、レーザ光の光軸10上の位置における、光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布が、エネルギー分布制御用光学素子5側から順に、中心部を有するリング状、リング状、ガウシアン状となるからである。
【0028】
fB1<fB0<fB2 ・・・(1)
但し、fB0:レーザ光の光軸に垂直な面におけるエネルギー強度分布がリング状となる光軸上の位置であり、最も被加工物に近い光学面(カバーガラスなど光学的に意味を持たないものは除く)からの距離。
fB1:前記レーザ光の前記光軸に垂直な面におけるエネルギー強度分布が中心部を有するリング状となる前記光軸上の位置であり、最も被加工物に近い光学面(カバーガラスなど光学的に意味を持たないものは除く)からの距離。
fB2:前記レーザ光の前記光軸に垂直な面におけるエネルギー強度分布がガウシアン状となる前記光軸上の位置であり、最も被加工物に近い光学面(カバーガラスなど光学的に意味を持たないものは除く)からの距離。
【0029】
〔エネルギー強度分布の第二の配置の光学系〕
次に、図1bを参照して第二の配置の光学系2を説明する。図1bは、エネルギー分布制御用光学素子6の配置されている側から、エネルギー分布制御用光学素子6へレーザ光を入射した場合の、エネルギー分布制御用光学素子6から出射されるレーザ光の略軌跡を示している。光軸10は、エネルギー分布制御用光学素子6の光学中心を通っている。エネルギー分布制御用光学素子6は、光学面の領域31、光学面の領域32、光学面の領域41、光学面の領域42を有している。そして、光学面の領域31と光学面の領域41とは、エネルギー分布制御用光学素子6の光学中心を中心とする、同じ同心円の領域である。また、光学面の領域32と光学面の領域42とは、エネルギー分布制御用光学素子6の光学中心を中心とする、同じ同心円の領域である。
【0030】
光学面の領域31と光学面の領域41とを含むエネルギー分布制御用光学素子6の同心円状の領域の焦点は、光軸10の照射点C51の位置にある。一方、光学面の領域32と光学面の領域42とを含むエネルギー分布制御用光学素子6の同心円状の領域の焦点は、光軸10の照射点G52の位置にある。このように、第二の配置の光学系2は、光軸上に複数の異なる焦点を設けた光学面を有している。なお、図1bにおいて、光学面の領域31から出射されるレーザ光の光束301と、光学面の領域41から出射されるレーザ光の光束401と、光学面の領域32から出射されるレーザ光の光束302と、光学面の領域42から出射されるレーザ光の光束402は、それぞれの光学面の領域から出射されるレーザ光の光束を、1本の線で簡略化して表現している。
【0031】
ここで、光学面の領域31から出射されるレーザ光の光束301と、光学面の領域41から出射されるレーザ光の光束401とを含む、エネルギー分布制御用光学素子6から出射される光束は、焦点に向けて徐々に収束しながら照射点G52の位置と照射点R50の位置とを通過する。そして、当該光束は、照射点C51の位置で1点に収束する。また、光学面の領域32から出射されるレーザ光の光束302と、光学面の領域42から出射されるレーザ光の光束402とを含む、エネルギー分布制御用光学素子6から出射される光束は、照射点G52の位置で1点に収束する。そして、当該光束は、照射点G52の位置を通過後、照射点R50の位置と照射点C51の位置とを、徐々に拡散状に広がりながら通過する。
【0032】
このとき、照射点G52の位置においては、レーザ光の光束301とレーザ光の光束401とを含むエネルギー分布制御用光学素子6から出射される光束は、照射点G52の位置においては光軸10に対して収束しきっていない。したがって、照射点G52の位置における、光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布は、光軸10を中心としたガウシアン状となる。
【0033】
また、レーザ光の光束301とレーザ光の光束401とを含むエネルギー分布制御用光学素子6から出射される光束は、照射点C51の位置にある焦点へ向かって収束しながら照射点R50の位置に至る。一方、レーザ光の光束302とレーザ光の光束402とを含むエネルギー分布制御用光学素子6から出射される光束は、照射点G52の位置で焦点に収束した後、拡散状に広がりながら照射点R50の位置に至る。このようにして、レーザ光の光束301とレーザ光の光束401とを含むエネルギー分布制御用光学素子6から出射される光束と、レーザ光の光束302とレーザ光の光束402とを含むエネルギー分布制御用光学素子6から出射される光束とは、光軸10に垂直な面の同じ位置を通過する。したがって、照射点R50の位置における、光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布は、光軸10を中心としたリング状となる。
【0034】
さらに、照射点C51の位置においては、レーザ光の光束302とレーザ光の光束402とを含むエネルギー分布制御用光学素子6から出射される光束は、レーザ光の光束301とレーザ光の光束401とを含むエネルギー分布制御用光学素子6から出射される光束の近傍を通過する。したがって、照射点C51の位置における、光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布は、光軸10を中心とした中心部を有するリング状となる。
【0035】
すなわち、エネルギー強度分布の第二の配置の光学系2は、レーザ光の光軸10上の照射点G52の位置、照射点R50の位置、及び照射点C51の位置における光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布が、順に、ガウシアン状、リング状、中心部を有するリング状となる、エネルギー強度分布の第二の配置を有している。このとき、加工対象物を照射点G52の位置に設置することによって、ガウシアン状のスポットにおけるエネルギー強度分布でレーザ加工を施すことができる。また、加工対象物を照射点R50の位置の位置に設置することによって、リング状のスポットにおけるエネルギー強度分布でレーザ加工を施すことができる。さらに、加工対象物を照射点C51の位置に設置することによって、中心部を有するリング状のスポットにおけるエネルギー強度分布でレーザ加工を施すことができる。
【0036】
上述したエネルギー強度分布の第二の配置の光学系2は、以下の条件式(2)を満たすことが好ましい。エネルギー強度分布の第二の配置の光学系2が、条件式(2)を満たすことによって、レーザ光の光軸10上の位置における、光軸10に垂直な面でのエネルギー強度分布が、エネルギー分布制御用光学素子6側から順に、ガウシアン状、リング状、中心部を有するリング状となるからである。
【0037】
fB2<fB0<fB1 ・・・(2)
【0038】
〔エネルギー強度分布の第一の配置の光学系及び第二の配置の光学系に共通の条件〕
本実施の形態に係るレーザ加工装置の光学系は、以下の条件式(3)を満たすことが好ましい。本実施の形態に係るレーザ加工装置の光学系が、条件式(3)を満たすことによって、照射点R50と照射点C51との間の距離を適切に保つことができる。このことによって、複数の異なる焦点を設けた光学面を有する光学素子がレーザ光により温められ焦点がずれたとしても、照射点におけるエネルギー強度分布が変わらず、溶接、切断などの加工ができなくなることを防ぐことができるからである。
【0039】
1mm≦|fB0-fB1| ・・・(3)
【0040】
なお、上記の効果を得るうえで、条件式(3)の下限値は、2mmであることがより好ましい。また、条件式(3)の上限値は特に限定する必要はないが、例えば50mmであれば、照射点におけるエネルギー強度分布を変更する際に、図4における光学系83と被加工物85との距離の調整が容易となるため好ましく、40mmであることがより好ましく、20mmであることが更に好ましい。
【0041】
さらに、本実施の形態に係るレーザ加工装置の光学系は、以下の条件式(4)を満たすことが好ましい。本実施の形態に係るレーザ加工装置の光学系が、条件式(4)を満たすことによって、照射点R50と照射点G52との間の距離を適切に保つことができる。複数の異なる焦点を設けた光学面を有する光学素子がレーザ光により温められ焦点がずれたとしても、照射点におけるエネルギー強度分布が変わらず、溶接、切断などの加工ができなくなることを防ぐことができるからである。
【0042】
1mm≦|fB0-fB2| ・・・(4)
【0043】
なお、上記の効果を得るうえで、条件式(4)の下限値は、2mmであることがより好ましい。また、条件式(4)の上限値は特に限定する必要はないが、例えば50mmであれば、照射点におけるエネルギー強度分布を変更する際に、図4における光学系83と被加工物85との距離の調整が容易となるため好ましく、40mmであることがより好ましく、20mmであることが更に好ましい。
【0044】
〔異なる焦点を設けた光学面〕
本実施の形態に係るレーザ加工装置の光学系は、光軸上に複数の異なる焦点を設けた光学面を有している。図1a及び図1bに示した光学系においては、エネルギー分布制御用光学素子5及びエネルギー分布制御用光学素子6が、光軸上に複数の異なる焦点を設けた光学面を有しているものである。このとき、複数の異なる焦点を設けた光学面は、複数の異なる球面及び/又は非球面であることが好ましい。光学面が、複数の異なる球面及び/又は非球面であることによって、当該光学面に、複数の異なる焦点を設けることができるからである。
【0045】
そして、前述の、複数の異なる球面及び/又は非球面は、同一光学面における同心円状の複数の異なる領域に設けたものであることが好ましい。図2に、同一の光学面に異なる球面及び/又は非球面を備える光学素子70の概略断面図を示す。光学素子70は基材71からなり、基材11は光学材料を用いて形成されたものであればその材質に特に限定はない。基材11は、レーザ光を通過させる光学面72と光学面73とを備えており、破線Oは光学素子70の中心軸を示している。そして、光学面72上に、第1の光学領域74と第2の光学領域75との2つの球面及び/又は非球面を、光学素子の中心軸であるOを中心として同心円状に設けている。このとき、2つの同心円状の第1の光学領域74と第2の光学領域75との界面で屈折した入射光は、それぞれ2つの異なる焦点へ収束する。
【0046】
これは、エネルギー分布制御用光学素子5であれば、光学面の領域12及び光学面の領域22が第1の光学領域74に相当し、光学面の領域11及び光学面の領域21が第2の光学領域75に相当するものである。そして、エネルギー分布制御用光学素子6であれば、光学面の領域32及び光学面の領域42が第1の光学領域74に相当し、光学面の領域31及び光学面の領域41が第2の光学領域75に相当するものである。
【0047】
また、複数の異なる球面及び/又は非球面は、異なる複数の光学面のそれぞれ異なる光束が通過する領域であり、かつ、同心円状の複数の異なる領域に設けたものであることも好ましい。図3に、同一の光学素子における異なる2つの光学面に異なる球面及び/又は非球面を備える光学素子70’の概略断面図を示す。光学素子70’は基材71’からなり、基材71’はレーザ光を通過させる光学面72’と光学面73’とを備えている。そして、光学面72’上に第1の光学領域74’と、光学面73’上に第2の光学領域75’との2つの球面及び/又は非球面を、光学素子の中心軸であるO’を中心として同心円状に設けている。このとき、第1の光学領域74’と第2の光学領域75’とは、それぞれ異なる光束が通過する位置にある。そして、2つの同心円状の、第1の光学領域74’と第2の光学領域75’との界面で屈折した入射光は、それぞれ2つの異なる焦点へ収束する。
【0048】
これは、エネルギー分布制御用光学素子5であれば、光学面の領域12及び光学面の領域22が第1の光学領域74’に相当し、光学面の領域11及び光学面の領域21が第2の光学領域75’に相当するものである。そして、エネルギー分布制御用光学素子6であれば、光学面の領域32及び光学面の領域42が第1の光学領域74’に相当し、光学面の領域31及び光学面の領域41が第2の光学領域75’に相当するものである。
【0049】
ここで、本件発明に係る複数の異なる球面及び/又は非球面は、少なくとも1つの光学面が非球面であることが好ましい。非球面は球面では実現しがたい横収差を得ることが容易なため、本件発明に係る複数の光学面に、異なる焦点を設けることが可能だからである。
【0050】
また、本件発明に係る複数の異なる球面及び/又は非球面は、それぞれ異なる2つの光学面であることが好ましい。本件発明に係る複数の異なる焦点を設けた光学面からなる光学系を、簡素に構成できるからである。
【0051】
さらに、本件発明に係る複数の異なる球面及び/又は非球面は、それぞれ異なる2つの非球面であることが好ましい。非球面は球面では実現しがたい横収差を得ることが容易なため、本件発明に係る複数の異なる焦点を設けた光学面からなる光学系を、簡素に構成でき、焦点距離の調整も容易だからである。
【0052】
2.レーザ加工装置の実施の形態
本件発明に係るレーザ加工装置は、上述のレーザ加工装置の光学系を備えている。このとき、光学系において、光軸上の異なる位置を被加工物のレーザ光の照射点とすることによって、被加工物のレーザ光の照射点におけるレーザ光のエネルギー強度分布を選択可能とすることができる。具体的には、被加工物のレーザ光の照射点におけるレーザ光のエネルギー強度分布を、ガウシアン状と、環状(双峰状)と、環状と環状の中心部からなるものとの、少なくとも3モードに入射レーザ光を変換し、選択することができる。
【0053】
図4に、本実施の形態に係るレーザ加工装置80を示す。レーザ加工装置80は、レーザ発振器81、光路82、光学系83、加工ステージ84から概略なっている。光学系83は、上述のレーザ加工装置の光学系である。そして、加工ステージ84上には、被加工物85が設置される。レーザ発振器81は加工に用いるレーザ光を出力する装置である。被加工物85の材料や、加工の厚み、加工精度などによって使用するレーザ光の種類や出力が選ばれる。光路82は、レーザ発振器81から出力されたレーザ光を光学系83へ伝送するためのものであり、反射ミラーを利用するタイプや、光ファイバーを用いるタイプがある。そして光学系83は、伝送されたレーザ光を所定の形状に集光して、被加工物85の照射点に照射する。加工ステージ84は被加工物85を固定して設置し、被加工物85の照射点におけるレーザ光のエネルギー強度分布を選択するために、被加工物85もしくは光学系83、あるいはその両方を動かすための装置を備えている。
【0054】
レーザ加工装置80は、上述の光学系83を用いることによって、光軸上の異なる位置を被加工物85のレーザ光の照射点とすることによって、被加工物85のレーザ光の照射点におけるレーザ光のエネルギー強度分布を、ガウシアン状と、環状(双峰状)と、環状と環状の中心部からなるものとの、少なくとも3モードに入射レーザ光を変換し、選択することができる。このことによって、スポットにおけるエネルギー強度分布が、例えばガウシアン状の場合は鉄の溶接や切断などに、環状の場合は銅や溶融亜鉛めっき鋼板など被加工物の重ね溶接や突合せ溶接などに、環状と環状の中心部からなるものの場合は光の反射率が高いアルミニウム材など光の反射率が高い被加工物の溶接や切断などにと、加工対象物に合わせて適切なスポットにおけるエネルギー強度分布を選択してレーザ加工を行うことが可能となる。
【0055】
レーザ加工装置80の光学系83は、レーザ光を略平行光にするコリメートレンズや、レーザ光を集光する集光レンズなどを備えていてもよい。また、エネルギー分布制御用光学素子5(又はエネルギー分布制御用光学素子6)にコリメートレンズとしての機能を併せ持たせ、かつ、当該エネルギー分布制御用光学素子5(又はエネルギー分布制御用光学素子6)の被加工物側に集光レンズを配置してもよい。これらの場合、上述のfB0、fB1、fB2は、光学系83が備える最も被加工物に近い光学面(カバーガラスなど光学的に意味を持たないものは除く)からの距離となる。
【0056】
以上説明した本件発明に係る実施の形態は、本件発明の一態様であり、本件発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、以下実施例を挙げて本件発明をより具体的に説明するが、本件発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例0057】
図1aで説明した、エネルギー強度分布の第一の配置の実施例を説明する。実施例1で用いるエネルギー分布制御用光学素子は、図2に示すような、複数の異なる焦点を設けた光学面を、同一光学面における同心円状の複数の異なる領域に設けたものである。ここで、非球面の光学面形状は、以下の(5)式のように偶数次非球面式にてあらわすことができる。
z(r)=(r/R)/[1+{1-ε・r/R1/2]+Ar+Br+Cr+Dr+Er10 ・・・(5)
但し、
z(r):光軸に対して垂直に距離r離れた位置での光軸方向の面位置(サグ量)。
R:曲率半径。
ε:(1+k)であり、kは円錐定数。
A、B、C、D、E:非球面係数。
【0058】
実施例1のエネルギー強度分布制御用光学素子として、光学面の有効径が37.3mmである光学素子を用いる。当該光学素子の、図2の第1の光学領域74に相当する部分は、面径16.0mm以内の領域であり、この領域の非球面は、(5)式を用いると以下の数値を満足する形状である。
R=-200.0
ε=-1.5237×10
A=2.6803×10-3
B=9.1279×10-10
C=0.0
D=0.0
E=0.0
【0059】
同様に、当該光学素子の、図2の第2の光学領域75に相当する部分は、面径16.0mm以上の領域であり、この領域の非球面は、(5)式を用いると以下の数値を満足する形状である。
R=200.0
ε=-1.5237×10
A=2.6974×10-3
B=4.5648×10-9
C=0.0
D=0.0
E=0.0
【0060】
このとき、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が219.4mmの位置における、入射瞳座標に対する横収差図を図5に示す。ここで、Pxは任意の入射瞳座標であり、PyはPxに直交した入射瞳座標である。そして、ex、eyは横収差量を示している。
【0061】
図5において、入射瞳座標のPx、Pyは共に、同じ横収差特性を示している。すなわち、横収差は光軸に対して回転対称である。そして、実施例1の光学素子は、上述のように異なる焦点を設けたことから、入射瞳座標における第1の光学領域74に相当する部分と、第2の光学領域75に相当する部分との横収差特性が異なっている。具体的には、第1の光学領域74に相当する部分の横収差は、ほぼ一定の大きさの横収差量を示している。一方、第2の光学領域75に相当する部分に相当する部分の横収差は、横収差値がゼロに近い値を示している。
【0062】
このような横収差特性を示す照射点におけるエネルギー強度分布特性を、Zemax社のOptical Design Programを用いて光学シミュレーションを行った結果を図6及び図7に示す。図6は、図5の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む任意の直線上でのレーザ光の強度比である。図7は、図5の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。図6及び図7から、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が219.4mmの位置にあって、図5の横収差特性を示す照射点のエネルギー強度分布は、中心部を有するリング状であることが明らかとなった。
【0063】
次に、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が221.9mmの位置における、入射瞳座標に対する横収差図を図8に示す。ここで、Pxは任意の入射瞳座標であり、PyはPxに直交した入射瞳座標である。そして、ex、eyは横収差量を示している。
【0064】
図8において、入射瞳座標のPx、Pyは共に、同じ横収差特性を示している。すなわち、横収差は光軸に対して回転対称である。そして、実施例1の光学素子は、上述のように異なる焦点を設けたことから、入射瞳座標における第1の光学領域74に相当する部分と、第2の光学領域75に相当する部分との横収差特性が異なっている。具体的には、第1の光学領域74に相当する部分の横収差は、ほぼ一定の大きさの横収差量を示している。同様に、第2の光学領域75に相当する部分に相当する部分の横収差も、一定の大きさの横収差量を示している。
【0065】
このような横収差特性を示す照射点におけるエネルギー強度分布特性を、Zemax社のOptical Design Programを用いて光学シミュレーションを行った結果を図9及び図10に示す。図9は、図8の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む任意の直線上でのレーザ光の強度比である。図10は、図8の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。図9及び図10から、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が221.9mmの位置にあって、図8の横収差特性を示す照射点のエネルギー強度分布は、リング状であることが明らかとなった。
【0066】
次に、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が228.4mmの位置における、入射瞳座標に対する横収差図を図11に示す。ここで、Pxは任意の入射瞳座標であり、PyはPxに直交した入射瞳座標である。そして、ex、eyは横収差量を示している。
【0067】
図11において、入射瞳座標のPx、Pyは共に、同じ横収差特性を示している。すなわち、横収差は光軸に対して回転対称である。そして、実施例1の光学素子は、上述のように異なる焦点を設けたことから、入射瞳座標における第1の光学領域74に相当する部分と、第2の光学領域75に相当する部分との横収差特性が異なっている。具体的には、第1の光学領域74に相当する部分の横収差は、全体として横収差の少ない特性を示している。一方、第2の光学領域75に相当する部分に相当する部分の横収差は、横収差が大きく、かつ、入射瞳座標の原点から離れるにつれてより大きな横収差となる特性を示している。
【0068】
このような横収差特性を示す照射点におけるエネルギー強度分布特性を、Zemax社のOptical Design Programを用いて光学シミュレーションを行った結果を図12及び図13に示す。図12は、図11の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む任意の直線上でのレーザ光の強度比である。図13は、図11の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。図12及び図13から、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が228.4mmの位置にあって、図11の横収差特性を示す照射点のエネルギー強度分布は、ガウシアン状であることが明らかとなった。
【0069】
以上のことから、実施例1の光学系は、エネルギー強度分布特性が光学素子側から順に、中心部を有するリング状、リング状、ガウシアン状となる照射点を有することが明らかになった。そして、光学素子の光学面からの光軸上の各照射点の距離は、fB1=219.4mm、fB0=221.9mm、fB2=228.4mmであった。すなわち、実施例1の光学系は、条件式(1)を満足することが明らかとなった。
【0070】
さらに、
|fB0-fB1|=2.5
|fB0-fB2|=6.5
であることから、実施例1の光学系は、条件式(3)、条件式(4)を満足することが明らかとなった。
【実施例0071】
次に、図1bで説明した、エネルギー強度分布の第二の配置の実施例を説明する。実施例2で用いるエネルギー分布制御用光学素子は、図2に示すような、複数の異なる焦点を設けた光学面を、同一光学面における同心円状の複数の異なる領域に設けたものである。
【0072】
実施例2のエネルギー強度分布制御用光学素子として、光学面の有効径が37.3mmである光学素子を用いる。当該光学素子の、図2の第1の光学領域74に相当する部分は、面径16.0mm以内の領域であり、この領域の非球面は、(5)式を用いると以下の数値を満足する形状である。
R=200.0
ε=-1.5237×10
A=2.6791×10-3
B=4.9802×10-9
C=0.0
D=0.0
E=0.0
【0073】
同様に、当該光学素子の、図2の第2の光学領域75に相当する部分は、面径16.0mm以上の領域であり、この領域の非球面は、(5)式を用いると以下の数値を満足する形状である。
R=-200.0
ε=-1.5237×10
A=2.6626×10-3
B=3.5921×10-9
C=0.0
D=0.0
E=0.0
【0074】
このとき、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が218.4mmの位置における、入射瞳座標に対する横収差図を図14に示す。ここで、Pxは任意の入射瞳座標であり、PyはPxに直交した入射瞳座標である。そして、ex、eyは横収差量を示している。
【0075】
図14において、入射瞳座標のPx、Pyは共に、同じ横収差特性を示している。すなわち、横収差は光軸に対して回転対称である。そして、実施例2の光学素子は、上述のように異なる焦点を設けたことから、入射瞳座標における第1の光学領域74に相当する部分と、第2の光学領域75に相当する部分との横収差特性が異なっている。具体的には、第1の光学領域74に相当する部分の横収差は、全体として横収差の少ない特性を示している。一方、第2の光学領域75に相当する部分に相当する部分の横収差は、横収差が大きく、かつ、入射瞳座標の原点から離れるにつれてより大きな横収差となる特性を示している。
【0076】
このような横収差特性を示す照射点におけるエネルギー強度分布特性を、Zemax社のOptical Design Programを用いて光学シミュレーションを行った結果を図15及び図16に示す。図15は、図14の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む任意の直線上でのレーザ光の強度比である。図16は、図14の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。図15及び図16から、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が218.4mmの位置にあって、図14の横収差特性を示す照射点のエネルギー強度分布は、ガウシアン
状であることが明らかとなった。
【0077】
次に、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が224.9mmの位置における、入射瞳座標に対する横収差図を図17に示す。ここで、Pxは任意の入射瞳座標であり、PyはPxに直交した入射瞳座標である。そして、ex、eyは横収差量を示している。
【0078】
図17において、入射瞳座標のPx、Pyは共に、同じ横収差特性を示している。すなわち、横収差は光軸に対して回転対称である。そして、実施例2の光学素子は、上述のように異なる焦点を設けたことから、入射瞳座標における第1の光学領域74に相当する部分と、第2の光学領域75に相当する部分との横収差特性が異なっている。具体的には、第1の光学領域74に相当する部分の横収差は、ほぼ一定の大きさの横収差量を示している。同様に、第2の光学領域75に相当する部分に相当する部分の横収差も、一定の大きさの横収差量を示している。
【0079】
このような横収差特性を示す照射点におけるエネルギー強度分布特性を、Zemax社のOptical Design Programを用いて光学シミュレーションを行った結果を図18及び図19に示す。図18は、図17の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む任意の直線上でのレーザ光の強度比である。図19は、図17の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。図18及び図19から、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が224.9mmの位置にあって、図17の横収差特性を示す照射点のエネルギー強度分布は、リング状であることが明らかとなった。
【0080】
次に、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が227.4mmの位置における、入射瞳座標に対する横収差図を図20に示す。ここで、Pxは任意の入射瞳座標であり、PyはPxに直交した入射瞳座標である。そして、ex、eyは横収差量を示している。
【0081】
図20において、入射瞳座標のPx、Pyは共に、同じ横収差特性を示している。すなわち、横収差は光軸に対して回転対称である。そして、実施例2の光学素子は、上述のように異なる焦点を設けたことから、入射瞳座標における第1の光学領域74に相当する部分と、第2の光学領域75に相当する部分との横収差特性が異なっている。具体的には、第1の光学領域74に相当する部分の横収差は、ほぼ一定の大きさの横収差量を示している。一方、第2の光学領域75に相当する部分に相当する部分の横収差は、横収差値がゼロに近い値を示している。
【0082】
このような横収差特性を示す照射点におけるエネルギー強度分布特性を、Zemax社のOptical Design Programを用いて光学シミュレーションを行った結果を図21及び図22に示す。図21は、図20の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む任意の直線上でのレーザ光の強度比である。図22は、図20の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。図21及び図22から、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が227.4mmの位置にあって、図20の横収差特性を示す照射点のエネルギー強度分布は、中心部を有するリング状であることが明らかとなった。
【0083】
以上のことから、実施例2の光学系は、エネルギー強度分布特性が光学素子側から順に、ガウシアン状、リング状、中心部を有するリング状となる照射点を有することが明らかになった。そして、光学素子の光学面からの光軸上の各照射点の距離は、fB2=218.4mm、fB0=224.9mm、fB1=227.4mmであった。すなわち、実施例2の光学系は、条件式(2)を満足することが明らかとなった。
【0084】
さらに、
|fB0-fB1|=2.5
|fB0-fB2|=6.5
であることから、実施例2の光学系は、条件式(3)、条件式(4)を満足することが明らかとなった。
【比較例】
【0085】
比較例で用いるエネルギー分布制御用光学素子は、単一の焦点を設けたものである。比較例のエネルギー強度分布制御用光学素子として、光学面の有効径が37.3mmである光学素子を用いる。当該光学素子の非球面は、(5)式を用いると以下の数値を満足する形状である。
R=200.0
ε=-1.4666×10
A=2.6747×10-3
B=1.3586×10-8
C=0.0
D=0.0
E=0.0
【0086】
このとき、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が218.4mmの位置における、入射瞳座標に対する横収差図を図23に示す。ここで、Pxは任意の入射瞳座標であり、PyはPxに直交した入射瞳座標である。そして、ex、eyは横収差量を示している。
【0087】
図23において、入射瞳座標のPx、Pyは共に、同じ横収差特性を示している。すなわち、横収差は光軸に対して回転対称である。そして、比較例の光学素子は、上述のように単一の焦点を設けたことから、入射瞳座標の原点以外では、急激に変化する横収差特性は示さない。そして、入射瞳座標の原点から離れるに従って、緩やかに横収差値が変化し、かつ、入射瞳座標の途中位置において、横収差値がゼロとなる。
【0088】
このような横収差特性を示す照射点におけるエネルギー強度分布特性を、Zemax社のOptical Design Programを用いて光学シミュレーションを行った結果を図24及び図25に示す。図24は、図23の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む任意の直線上でのレーザ光の強度比である。図25は、図23の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。図24及び図25から、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が218.4mmの位置にあって、図23の横収差特性を示す照射点のエネルギー強度分布は、ガウシアン状であることが明らかとなった。
【0089】
次に、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が223.4mmの位置における、入射瞳座標に対する横収差図を図26に示す。ここで、Pxは任意の入射瞳座標であり、PyはPxに直交した入射瞳座標である。そして、ex、eyは横収差量を示している。
【0090】
図26において、入射瞳座標のPx、Pyは共に、同じ横収差特性を示している。すなわち、横収差は光軸に対して回転対称である。そして、比較例の光学素子は、上述のように単一の焦点を設けたことから、入射瞳座標の原点以外では、急激に変化する横収差特性は示さない。そして、横収差は一定の大きさの横収差量を示している。
【0091】
このような横収差特性を示す照射点におけるエネルギー強度分布特性を、Zemax社のOptical Design Programを用いて光学シミュレーションを行った結果を図27及び図28に示す。図27は、図26の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む任意の直線上でのレーザ光の強度比である。図28は、図26の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。図27及び図28から、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が223.4mmの位置にあって、図26の横収差特性を示す照射点のエネルギー強度分布は、リング状であることが明らかとなった。
【0092】
次に、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が227.4mmの位置における、入射瞳座標に対する横収差図を図29に示す。ここで、Pxは任意の入射瞳座標であり、PyはPxに直交した入射瞳座標である。そして、ex、eyは横収差量を示している。
【0093】
図29において、入射瞳座標のPx、Pyは共に、同じ横収差特性を示している。すなわち、横収差は光軸に対して回転対称である。そして、比較例の光学素子は、上述のように単一の焦点を設けたことから、入射瞳座標の原点以外では、急激に変化する横収差特性は示さない。そして、入射瞳座標の原点から離れるに従って、緩やかに横収差値が変化している。
【0094】
このような横収差特性を示す照射点におけるエネルギー強度分布特性を、Zemax社のOptical Design Programを用いて光学シミュレーションを行った結果を図30及び図31に示す。図30は、図29の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上の光軸を含む任意の直線上でのレーザ光の強度比である。図31は、図29の横収差特性を示す照射点における光軸に垂直な平面上のレーザ光の強度比である。図30及び図31から、当該光学素子の光学面からの光軸上の距離が227.4mmの位置にあって、図29の横収差特性を示す照射点のエネルギー強度分布は、リング状であることが明らかとなった。
【0095】
以上のことから、比較例の光学系は、エネルギー強度分布特性が光学素子側から順に、ガウシアン状、リング状、リング状となることが明らかになった。すなわち、比較例は、単一の焦点を有し、複数の異なる焦点を有していないため、本件発明に係るレーザ加工装置の光学系が満足する「エネルギー強度分布の第一の配置」、「エネルギー強度分布の第二の配置」を満足しないことが明らかとなった。同様に、比較例は、条件式(1)、条件式(2)、条件式(3)、条件式(4)を満足しないことが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本件発明に係るレーザ加工装置の光学系は、光軸上に複数の異なる焦点を設けた光学面を有することによって、光軸に垂直な面におけるレーザ光のエネルギー強度分布が、光軸上の位置によって異なり、光軸上の異なる位置を被加工物のレーザ光の照射点とすることによって、被加工物のレーザ光の照射点におけるレーザ光のエネルギー強度分布を、ガウシアン状と、環状(双峰状)と、環状と環状の中心部からなるものとの、少なくとも3モードに入射レーザ光を変換し、選択することができる。これによって、スポットにおけるエネルギー強度分布が、例えばガウシアン状の場合は鉄の溶接や切断などに、環状(双峰状)の場合は銅や溶融亜鉛めっき鋼板の重ね溶接や突合せ溶接などに、環状と環状の中心部からなるものの場合は光の反射率が高いアルミニウム材の溶接や切断などにと、加工対象物に合わせて適切なスポットにおけるエネルギー強度分布を選択してレーザ加工を行うことが可能となる。すなわち、レーザ光を集光して被加工物に照射することによって被加工物へ切断や穴開け、溶接といった加工を施すレーザ加工装置に好適である。
【符号の説明】
【0097】
1 第一の配置の光学系
2 第二の配置の光学系
5 エネルギー分布制御用光学素子
6 エネルギー分布制御用光学素子
10 光軸
11 光学面の領域
12 光学面の領域
21 光学面の領域
22 光学面の領域
31 光学面の領域
32 光学面の領域
41 光学面の領域
42 光学面の領域
50 照射点R(リング状、環状)
51 照射点C(中心部を有するリング状)
52 照射点G(ガウシアン状)
70 光学素子
71 基材
72 光学面
73 光学面
74 第1の光学領域
75 第2の光学領域
70’ 光学素子
71’ 基材
72’ 光学面
73’ 光学面
74’ 第1の光学領域
75’ 第2の光学領域
80 レーザ加工装置
81 レーザ発振器
82 光路
83 光学系
84 加工ステージ
85 被加工物
101 光束
102 光束
201 光束
202 光束
301 光束
302 光束
401 光束
402 光束
図1
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