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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101909
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】収納箱用の警報装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 13/14 20060101AFI20220630BHJP
   A47G 33/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
G08B13/14
A47G33/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216286
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】397019139
【氏名又は名称】上田技研産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111811
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】上田 全宏
【テーマコード(参考)】
5C084
【Fターム(参考)】
5C084AA03
5C084AA09
5C084CC16
5C084CC32
5C084DD22
5C084DD81
5C084GG03
5C084HH03
5C084HH08
(57)【要約】
【課題】金銭や宝飾品などの金品が収納箱から盗まれることを報知できると共に、収納箱そのものが盗まれることも報知できる警報装置を提供する。
【解決手段】収納部9が箱本体8に対して出し入れ可能に設けられた収納箱MBに設置可能な警報装置AL1であって、収納部9に設けられる収納箱8の傾きを検知する水銀スイッチ1と、収納部9が箱本体8に収納された収納位置から移動したことを検知する第2リードスイッチ21と、水銀スイッチ1及び/又は第2リードスイッチ21が収納箱8の傾き及び/又は収納部9の収納位置から移動を検知したときにそれを外部に知らせるブザー3と、警報装置を警戒状態と警戒解除状態とに切り替える第1リードスイッチ41とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納部が箱本体に対して出し入れ可能に設けられた収納箱に設置可能な警報装置であって、
前記箱本体又は前記収納部に設けられる前記収納箱の傾きを検知する傾斜センサーと、
前記収納部が前記箱本体に収納された収納位置から移動したことを検知する移動検知センサーと、
前記傾斜センサー及び/又は前記移動検知センサーが前記収納箱の傾き及び/又は前記収納部の収納位置から移動を検知したときにそれを外部に知らせる報知部材と、
警報装置を警戒状態と警戒解除状態とに切り替える主スイッチと、
を備えることを特徴とする収納箱用の警報装置。
【請求項2】
前記主スイッチが第1リードスイッチと第1磁石とから構成され、
第1リードスイッチは前記収納部又は前記箱本体に設けられ、
第1磁石は第1リードスイッチの近傍位置と警報装置から取り外した位置とに移動可能で、
第1リードスイッチと第1磁石とが所定距離以上離れると警報装置が警戒解除状態から警戒状態となる請求項1記載の収納箱用の警報装置。
【請求項3】
前記移動検知センサーが第2リードスイッチと第2磁石とから構成され、
第2リードスイッチは前記収納部及び前記箱本体の一方に設けられ、
第2磁石は前記収納部及び前記箱本体の他方の、前記収納部が収納位置にあるときに第2リードスイッチの近傍となる位置に設けられ、
第2リードスイッチと第2磁石とが所定距離以上離れると第2リードスイッチがオンになる
請求項1又は2記載の収納箱用の警報装置。
【請求項4】
前記移動検知センサーが第1リードスイッチと第2磁石とから構成され、
第1リードスイッチは前記収納部及び前記箱本体の一方に設けられ、
第2磁石は前記収納部及び前記箱本体の他方の、前記収納部が収納位置にあるときに第1リードスイッチの近傍となる位置に設けられ、
第1リードスイッチと第2磁石とが所定距離以上離れると第1リードスイッチがオンになる
請求項2記載の収納箱用の警報装置。
【請求項5】
前記傾斜センサーがボールスイッチ又は水銀スイッチである
請求項1~4のいずれかに記載の収納箱用の警報装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載の警報装置を搭載したことを特徴とする収納箱。
【請求項7】
前記収納部の前記箱本体からの取り出しを不能とする鍵機構を有する請求項1~6のいずれかに記載の収納箱。
【請求項8】
前記収納箱が賽銭箱である請求項1~7のいずれかに記載の収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収納箱用の警報装置に関し、より詳細には賽銭箱や宝石箱、金庫などに設置可能な警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金銭や宝飾品などが収納された収納箱を盗難から守るためにこれまでから種々の提案がなされている。例えば特許文献1には、宝石箱において箱体内にカメラを設置して窃盗犯等を撮影可能とする技術が提案されている。また特許文献2には、自動販売機において正当な保守者以外の者が保守用扉を開けると音響ブザーが吹鳴して警報を発するようにする技術が提案されている。そしてまた特許文献3には、自動販売機において従来の鍵のほかに電気鍵を設けて二重に施錠可能とする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-51499号公報
【特許文献2】特開平7-14077号公報
【特許文献3】特開平8-30852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記提案の各技術によれば盗難防止にある程度の効果は期待できるものの、特許文献1の提案技術では、カメラが内蔵された宝石箱そのものが盗まれた場合には当該宝石箱が見つからない限りカメラの撮影画像を窃盗犯の特定などに活用することはできない。またそもそも宝石箱の盗難防止に対して直接的な抑止効果はない。また特許文献2及び特許文献3の提案技術は移動困難な重量を有する自動販売機に関するものであるため、自動販売機そのものが盗まれることは前提としていない。
【0005】
そこで本発明の目的は、金銭や宝飾品などの金品が収納箱から盗まれることを報知すると共に、収納箱そのものが盗まれることも報知する警報装置を提供することにある。
【0006】
また本発明の他の目的は、収納している金品が盗まれること及び収納箱そのものが盗まれることを抑制可能な収納箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成する本発明の一態様に係る警報装置は、収納部が箱本体に対して出し入れ可能に設けられた収納箱に設置可能な警報装置であって、前記箱本体又は前記収納部に設けられる前記収納箱の傾きを検知する傾斜センサーと、前記収納部が前記箱本体に収納された収納位置から移動したことを検知する移動検知センサーと、前記傾斜センサー及び/又は前記移動検知センサーが前記収納箱の傾き及び/又は前記収納部の収納位置から移動を検知したときにそれを外部に知らせる報知部材と、警報装置を警戒状態と警戒解除状態とに切り替える主スイッチとを備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、警報装置が警戒状態の場合に、収納箱が箱本体の収納位置から移動したとき又は収納箱が傾いたときブザーやランプなどの報知部材が作動して異常が外部に報知される。
【0009】
上記収納箱では、前記主スイッチが第1リードスイッチと第1磁石とから構成され、第1リードスイッチは前記収納部又は前記箱本体に設けられ、第1磁石は第1リートスイッチの近傍位置に設置可能で且つ警報装置から取り外し可能で、第1リードスイッチと第1磁石とが所定距離以上離れると警報装置が警戒解除状態から警戒状態となるのが好ましい。
【0010】
これにより、前記主スイッチは電源を必要とせず簡単で軽量なものとすることができる。
【0011】
また上記収納箱では、前記移動検知センサーが第2リードスイッチと第2磁石とから構成され、第2リードスイッチは前記収納部及び前記箱本体の一方に設けられ、第2磁石は前記収納部及び前記箱本体の他方の、前記収納部が収納位置にあるときに第2リードスイッチの近傍位置に設けられ、第2リードスイッチと第2磁石とが所定距離以上離れたことを検知するようにしてもよい。
【0012】
これにより、前記移動検知センサーは電源を必要とせず簡単で軽量なものとすることができる。
【0013】
また上記収納箱では、前記移動検知センサーが第1リードスイッチと第2磁石とから構成され、第1リードスイッチは前記収納部及び前記箱本体の一方に設けられ、第2磁石は前記収納部及び前記箱本体の他方の、前記収納部が収納位置にあるときに第1リードスイッチの近傍位置に設けられ、第1リードスイッチと第2磁石とが所定距離以上離れたことを検知するようにしてもよい。
【0014】
これにより、警戒状態と警戒解除状態との切り替えと収納部の移動検知とが1つのリードスイッチで行えるようになる。
【0015】
また上記収納箱では、前記傾斜センサーがボールスイッチ又は水銀スイッチであるのが好ましい。
【0016】
これにより、前記傾斜センサーは電源を必要とせず簡単で軽量なものとすることができる。
【0017】
また前記目的を達成する本発明の一態様に係る収納箱は、前記のいずれかに記載の警報装置を搭載したことを特徴とする。
【0018】
上記収納箱では、前記収納部の前記箱本体からの取り出しを不能とする鍵機構を有するのが好ましい。
【0019】
これにより鍵機構を解除しないと箱本体から収納部を取り出すことができなくなり、許可無く収納部が箱本体から取り出されることが防止できる。
【0020】
前記収納箱は賽銭箱として使用されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の警報装置によれば、金銭や宝飾品など金品が収納箱から盗まれることを報知可能であると共に、収納箱そのものが盗まれることも報知可能である。
【0022】
また本発明の収納箱によれば、銭や宝飾品など金品が収納箱から盗まれることが抑制されると共に、収納箱そのものが盗まれることも抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態の警報装置AL1およびそれを設けた賽銭箱(収納箱)MBの斜視図である。
図2図1の賽銭箱MBの箱本体8から賽銭受け部9を引き出した状態の斜視図である。
図3図1の賽銭受け部9の平面図である。
図4図1の賽銭箱MBの底面図である。
図5】第1実施形態の警報装置AL1の回路図である。
図6】第2実施形態の賽銭受け部9の平面図である。
図7】第2実施形態の賽銭箱MBの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る警報装置およびそれを備えた収納箱について図に基づいて詳述するが本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。また、本明細書における「左右方向」、「上下方向」、「前後方向」は各図に示す左右方向、上下方向、前後方向をいうものとする。
【0025】
(第1実施形態)
図1は本発明に係る警報装置AL1およびそれを設けた賽銭箱(収納箱)MBの一実施形態を示す斜視図であり、図2は賽銭箱MBの箱本体8から賽銭受け部(収納部)9を引き出した状態の斜視図である。これらの図に示す賽銭箱MBは、上面開口で略直方体形状の箱本体8と、箱本体8の内底部に位置し、箱本体8に対して出し入れ可能な賽銭受け部9とを備える。箱本体8の上面開口部には、下面が水平面で左右方向に延在する三角柱81が、硬貨及び紙幣が通過可能な隙間を有して前後方向に所定間隔で設けられている。また、箱本体8の右側壁の下部には賽銭受け部9を出し入れ可能な収納開口82が設けられている。賽銭受け部9は上面開口の直方体形状であって、底面積は箱本体8の内底面と同じか僅かに小さく、高さは箱本体8の収納開口82の高さと同じか僅かに小さい。賽銭受け部9の高さは一般に数cm~十数cm程度の範囲で箱本体8の大きさに合わせて適宜決定される。そして、賽銭受け部9が収納開口82から箱本体8内に収納された状態において賽銭受け部9の右側壁と箱本体8の右側壁の外面は面一となるよう設定されている。
【0026】
図2及び図3に示すように、賽銭受け部9の右側壁の後側部には左右方向に貫通する貫通孔91が形成されている。そして貫通孔91の内側開口に連続して、この貫通孔91の内径と略同一の内径を有する筒体5が左右方向に延在するように取り付けられている。筒体5は透磁性を有する材料で形成されている。後述するように、棒状キー6がこの貫通孔91を通って筒体5に対して抜き差し可能とされる。また、賽銭受け部9の後壁の内面に沿って左右方向に、第2リードスイッチ21と、水銀スイッチ(傾斜センサー)1と、電池BTと、ブザー(報知部材)3とが設けられている。賽銭受け部9の底壁内面の、筒体5の軸方向略中央部の対向位置には第1リードスイッチ(図3に図示)41が設けられている。また、賽銭受け部9の筒体5に対して抜き差し可能に棒状キー6が設けられている。
【0027】
棒状キー6は、貫通孔91および筒体5の内径よりも僅かに小さい外径の円筒状部61と、円筒状部61の軸方向一方端に設けられた貫通孔91の内径よりも大きい直径の球状把持部62とを有する。棒状キー6が貫通孔91を介して筒体5内に装着されると、棒状キー6の球状把持部62が賽銭受け部9の貫通孔91の外側開口の外縁部に当接し、これにより棒状キー6が賽銭受け部9に装着されたときの左右方向の位置決めがなされる。また、棒状キー6の円筒状部61には、棒状キー6が賽銭受け部9の筒体5に装着されたときに第1リードスイッチ41と対向する位置に第1磁石42が内蔵されている。
【0028】
図4に賽銭箱MBの底面図を示す。賽銭箱MBの底壁の外面側の、賽銭受け部9が箱本体8に収納された収納位置にある状態で第2リードスイッチ21と対向する位置に底壁の外面から上方に向かって穴83が形成され、この穴83内に第2磁石22が埋設されている。穴83の深さは第2磁石22の厚み以上底壁の厚み未満である。なお、第2磁石22の磁力が賽銭箱MBの底壁の外面からでも第2リードスイッチ21を作動可能させる力を有する場合には、賽銭箱MBの底壁に穴83を形成することなく賽銭箱MBの底壁外面に第2磁石22は貼るだけでも構わない。ただし、長期間にわたる保持性や意匠性などの観点からは第2磁石22は賽銭箱MBの底壁に埋設するのが好ましい。より好ましくは第2磁石22の埋設位置がわからないように装飾を施しておくのが好ましい。あるいはまた賽銭箱MBの底壁の内面に第2磁石22の厚み以上で底壁の厚み未満の穴を形成してこの穴内に第2磁石22を設置してもよい。
【0029】
箱本体8と賽銭受け部9と間には掛け金70が設けられ丸カン71に南京錠72が取り付けられている。これにより、賽銭受け部9が箱本体8から許可無く引き出されることが防止される。本実施形態では掛け金70と南京錠72とが鍵機構を構成する。
【0030】
また本実施形態では第1リードスイッチ41、第2リードスイッチ21、水銀スイッチ1、第1磁石42、第2磁石22、ブザー3が本発明に係る警報装置AL1を構成する。そして、第1リードスイッチ41と第1磁石42とが警報装置AL1を作動状態と作動解除状態とに切り替える主スイッチ4を構成し、第2リードスイッチ21と第2磁石22とが賽銭受け部9が箱本体8の収納位置から移動したことを検知する移動検知センサー2を構成する。
【0031】
(回路図)
図5に第1実施形態の警報装置AL1の回路図を示す。図5の破線で示す部分はブザー3の停止のタイミング調整する回路であって、スイッチ機能としてのトランジスタ11およびトランジスタ12、ブザー3を停止するタイミング調整用のコンデンサ13および抵抗14と、電流調整用の抵抗15と、誤動作防止用の抵抗16と、コンデンサに溜まった電荷を放電可能にするためのダイオード17とから構成される。なお、図5に示す回路図のコンデンサ18はノイズ除去用であり、抵抗19はブザー3に流れる電流調整用である。
【0032】
このような構成の回路において、主スイッチ4がオンの状態(警戒状態)で、水銀スイッチ1及び/又は移動検知センサー2がオンになると、電池BTからブザー3に電力が供給されブザー3が鳴る。このとき同時に電池BTからダイオード11のエミッタE側に電流が供給されベースB側とコレクタC側とに流れる。ベースB側に流れた電流は抵抗14を通ってコンデンサ13に至りここで徐々に電荷が蓄えられる。一方、コレクタC側に流れた電流はトランジスタ12のベースB側に供給されて、トランジスタ12のコレクタC側とエミッタE側との間に電流が流れる。これにより、水銀スイッチ1及び/又は移動検知センサー2が一旦オンになった後にオフになった場合であってもトランジスタ12のコレクタC側とエミッタE側との間に電流は流れるのでブザー3は鳴り続ける。そして、コンデンサ13に電荷が蓄えられてコンデンサ11のベースB側が電池BTの電圧に近づきコンデンサ11のエミッタE側とコレクタC側との間に電流が流れなくなると、トランジスタ12のコレクタC側とエミッタE側と間にも電流は流れなくなりブザー3は停止する。なお、ブザー3の作動時間はコンデンサ13の容量および抵抗14の大きさによって調整することができる。
【0033】
(使用例)
上記構成の警報装置AL1を備えた賽銭箱MBにおいて、箱本体8に賽銭受け部9が収納された通常状態では、掛け金70の丸カン71に南京錠72が取り付けられると共に、棒状キー6は賽銭受け部9から取り外されて特定の管理者によって管理される。前述のように、棒状キー6が賽銭受け部9から取り外されているので主スイッチ4の第1リードスイッチ41はオンとなって警報装置AL1は警戒状態とされている。
【0034】
このような警戒状態において、例えば盗人が賽銭箱MBから賽銭を盗もうとして賽銭箱MBを持ち上げて上下逆にしたり、あるいは掛け金70や南京錠72を壊そうと大きな外力を加えた場合には傾斜センサーが賽銭箱MBの傾きや振動を検知する。すなわち水銀スイッチ1がオンになる。すると、ブザー3に電池BTから電力が供給されてブザー3が鳴って賽銭箱MBの異常が報知される。ブザー3は一旦鳴り始めると、賽銭箱MBを元の状態に戻すあるいは外力を加えるのを停止しても、棒状キー6を賽銭受け部9に装着しない限り所定時間鳴り続ける。
【0035】
また賽銭箱MBに傾きや振動が与えられることなく賽銭箱MBから賽銭受け部9が引き出された場合には、移動検知センサー2が賽銭受け部9の移動を検知する。すなわち第2リードスイッチ21と第2磁石22が離間して第2リードスイッチ21がオンになる。すると、前記と同様にして、ブザー3が鳴って賽銭箱MBの異常が報知される。
【0036】
一方、特定の管理者が賽銭箱MBから賽銭を回収する等の場合には賽銭受け部9に棒状キー6が差し入れられて主スイッチ4がオフとされ警報装置AL1は警戒状態から警戒解除状態とされる。その後、掛け金70及び南京錠72が解錠されて賽銭受け部9が箱本体8から引き出されて賽銭受け部9に収納されている賽銭などが回収される。賽銭等の回収が終われば、賽銭受け部9は箱本体8に押し入れられて掛け金70及び南京錠72が施錠され賽銭受け部9から棒状キー6が引き抜かれて警報装置AL1は警戒解除状態から警戒状態になる。
【0037】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る警報装置AL2が第1実施形態の警報装置AL1と異なる点は、移動検知センサーと主スイッチとで共通する部材を用いる点である。具体的には、第1リードスイッチ41が主スイッチの部材および移動検知センセーの部材として用いられる。
【0038】
図6に第2実施形態の賽銭受け部9の平面図を示し、図7に第2実施形態の賽銭箱MBの底面図を示す。第2実施形態の警報装置AL2でも、第1実施形態の警報装置AL1と同様に、主スイッチは第1リードスイッチ41と第1磁石42とから構成され、第1リードスイッチ41は賽銭受け部9に設けられ、第1磁石42は棒状キー6の筒状部に内蔵される。賽銭受け部9が収納位置にあるときに棒状キー6が賽銭受け部9から引き抜かれることで警報装置AL2は警戒解除状態から警戒状態となる。
【0039】
一方、第2実施形態の警報装置AL2では、第1実施形態の警報装置AL1と異なって、移動検知センサーは第1リードスイッチ41と第2磁石22とから構成される。第1リードスイッチ41は前述のように賽銭受け部9に設けられる。第2磁石22は、賽銭箱MBの底壁の外面側の、賽銭受け部9が収納位置にある状態で第1リードスイッチ41と対向する位置に底壁の外面から上方に向かって形成され穴84内に埋設されている。つまり、第1実施形態の警報装置ALでは賽銭箱MBの底壁の第2リードスイッチ21と対向する位置に第2磁石22は配置されていたが、第2実施形態の警報装置AL2では第1リードスイッチ41と対向する位置に第2磁石22は配置される。このような構成により、第2実施形態の警報装置AL2では第2リードスイッチ21が不要となり部品点数を減らすことができる。なお、第1実施形態の警報装置AL1と同様に、第2磁石22の磁力が賽銭箱MBの底壁の外面からでも第1リードスイッチ41を作動可能させる力を有する場合には、賽銭箱MBの底壁に穴84を形成することなく賽銭箱MBの底壁外面に第2磁石22は貼るだけでも構わない。ただし、長期間にわたる保持性や意匠性などの観点からは第2磁石22は賽銭箱MBの底壁に埋設するのが好ましい。より好ましくは第2磁石22の埋設位置がわからないように装飾を施しておくのが好ましい。あるいはまた賽銭箱MBの底壁の内面に第2磁石22の厚み以上の穴を形成してこの穴内に第2磁石22を設置してもよい。
【0040】
上記構成の警報装置AL2を備えた賽銭箱MBでは、賽銭受け部9が収納位置にあるときに棒状キー6が賽銭受け部9から引き抜かれると、警報装置AL2は警戒解除状態から警戒状態となる。このとき第1リードスイッチ41と第1磁石42とは離間するが、第1リードスイッチ41の近傍に第2磁石22が位置しているので第1リードスイッチ41はオンにはならない。このような警戒状態において、賽銭箱MBから賽銭受け部9が引き出されると、第1リードスイッチ41と第2磁石22とが離間するので第1リードスイッチ41がオンとなってブザー3が鳴り賽銭箱MBの異常が報知される。
【0041】
また、第1実施形態と同様に、賽銭箱MBが持ち上げられて上下逆にされたり、あるいは掛け金70や南京錠72を壊そうと大きな外力が賽銭箱MBに加えられた場合には、水銀スイッチ1がオンとなってブザー3が鳴り賽銭箱MBの異常が報知される。ブザー3は一旦鳴り始めると、賽銭箱MBを元の状態に戻すあるいは外力を加えるのを停止しても、棒状キー6を賽銭受け部9に装着しない限り所定時間は鳴り続ける。
【0042】
(その他)
本発明の警報装置AL1,AL2によれば新しい賽銭箱MBに取り付け可能であることは勿論のこと、既存の賽銭箱MBにも僅かな施工によって取り付けることができる。
【0043】
本発明で使用する傾斜センサーは水銀スイッチ1のほかボールスイッチや従来公知の傾斜センサーを用いることができる。また本発明で使用する移動検知センサーは、リードスイッチと磁石とから構成される物に限定されるものではなく従来公知の移動検知センサーを用いることができる。そしてまた、本発明で使用する主スイッチはリードスイッチと磁石とから構成される物に限定されるものではなくオン・オフが切り替え可能な従来公知のスイッチを用いることができる。
【0044】
また本発明で使用する鍵機構は掛け金70と南京錠72とから構成される物のほか従来公知の鍵機構を用いることができる。
【0045】
本発明の警報装置AL1,AL2を作動させる動力源としての電池BTは使い捨てであってもよいし充電式であってもよい。充電式電池の場合、充電用電源としては商用電源や太陽光発電源などを用いることができる。また本発明の警報装置ALの動力源として商用電源を直接用いてもよい。
【0046】
以上説明した実施形態では賽銭箱MBに警報装置AL1,AL2を取り付けていたが、本発明の警報装置AL1,AL2の取り付け対象の収納箱は、収納部が箱本体に対して出し入れ可能なものであればよく、例えば賽銭箱MBのほか宝石箱や金庫などにも取り付けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の警報装置AL1,AL2によれば、金銭や宝飾品など金品が収納箱から盗まれることを報知可能であると共に、収納箱そのものが盗まれることも報知可能となる。
【符号の説明】
【0048】
1 水銀スイッチ(傾斜センサー)
2 移動検知センサー
3 ブザー(報知手段)
4 主スイッチ
6 棒状キー
8 箱本体
9 賽銭受け部(収納部)
21 第2リードスイッチ(移動検知センサー)
22 第2磁石(移動検知センサー)
41 第1リードスイッチ(主スイッチ)
42 第1磁石(主スイッチ)
70 掛け金(鍵機構)
72 南京錠(鍵機構)
AL1,AL2 警報装置
MB 賽銭箱(収納箱)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7