(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101927
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】点群データを用いた3次元図面作成システム
(51)【国際特許分類】
G06F 30/10 20200101AFI20220630BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20220630BHJP
G06F 30/13 20200101ALI20220630BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20220630BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20220630BHJP
【FI】
G06F17/50 606D
G06F17/50 624A
G06F17/50 624F
G06F17/50 680B
G06T19/00 A
G06T7/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216320
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】310008701
【氏名又は名称】住友林業アーキテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】島原 卓視
【テーマコード(参考)】
5B046
5B050
5B146
5L096
【Fターム(参考)】
5B046AA03
5B046BA10
5B046DA08
5B046EA09
5B046FA17
5B050AA03
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5B050BA11
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5L096FA06
5L096FA38
5L096FA69
5L096FA81
5L096GA19
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】点群データを用いた3次元図面作成システムを提供する。
【解決手段】点群データを用いた3次元図面作成システムは、建物の内装を含む3次元空間の点群データを取得する点群データ取得部と、点群データからオブジェクトを検出するオブジェクト検出部と、点群データに基づいてオブジェクトの配置位置を特定するオブジェクト配置部と、3次元図面を生成するための中間ファイルを生成する中間ファイル生成部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
点群データを用いた3次元図面作成システムであって、
建物の内装を含む3次元空間の点群データを取得する点群データ取得部と、
前記点群データからオブジェクトを検出するオブジェクト検出部と、
前記点群データに基づいてオブジェクトの配置位置を特定するオブジェクト配置部と、
3次元図面を生成するための中間ファイルを生成する中間ファイル生成部と、
を備えることを特徴とする、3次元図面作成システム。
【請求項2】
前記中間ファイルに基づいて生成された3次元図面を表示する表示部をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の3次元図面作成システム。
【請求項3】
前記オブジェクト検出部は、前記点群データの点群の密度を用いて壁を検出することを特徴とする、請求項1又は2に記載の3次元図面作成システム。
【請求項4】
前記オブジェクト検出部は、検出した前記壁の点群をX-Y処理平面Pに射影し、前記壁に囲まれた領域を抽出し、前記領域の輪郭線を近似することにより、部屋を検出することを特徴とする、請求項3に記載の3次元図面作成システム。
【請求項5】
前記オブジェクト検出部は、点群の有無を示す2値画像を生成し、点群の密度が閾値以上である領域を抽出し、抽出した前記領域を連結して1つ以上の机からなるグループを生成し、前記グループから各々の机を検出することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の3次元図面作成システム。
【請求項6】
前記オブジェクト検出部は、検出した前記机を4方向から観察し、一定の条件を満たす領域を椅子と認定し、前記椅子を検出することを特徴とする、請求項5に記載の3次元図面作成システム。
【請求項7】
前記オブジェクト検出部は、前記点群データから天井を検出することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の3次元図面作成システム。
【請求項8】
前記オブジェクト検出部は、抽出した前記天井の点群を2次元画像に変換し、X軸方向及びY軸方向の各々について1次元波形を生成し、蛍光灯の短辺のピークを抽出し、前記短辺のピーク付近にて前記蛍光灯の長辺のピークを抽出し、蛍光灯を検出することを特徴とする、請求項7に記載の3次元図面作成システム。
【請求項9】
前記オブジェクト検出部は、上面の高さから所定の長さだけ低い範囲内に点群が存在し、かつ前記上面の高さから所定の長さだけ高い範囲に点群が存在しない領域を抽出し、前記領域に含まれる点群をグループ化して、収納家具を検出することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の3次元図面作成システム。
【請求項10】
点群データを用いた3次元図面作成方法であって、
建物の内装を含む3次元空間の点群データを取得するステップと、
前記点群データからオブジェクトを検出するステップと、
前記点群データに基づいてオブジェクトの配置位置を特定するステップと、
3次元図面を生成するための中間ファイルを生成するステップと、
を備えることを特徴とする、3次元図面作成方法。
【請求項11】
コンピュータに、請求項10に記載の方法の各ステップを実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元図形生成システムに関し、特に、建物の内装を含む3次元空間の点群データを用いて自動的に3次元図面を作成する3次元図面作成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィス等の移転やリフォーム、レイアウト変更等を行う際に、オフィスの内装を3次元スキャナによりスキャンして取得した点群データを用いることが行われているが、オフィス等のレイアウトを示した現況図の図面を作成する際には、手動により点群データから家具や設備等に相当するデータを抽出し、手動により現況図を作成している。
【0003】
しかしながら、点群データから手動により現況図を作成する工程には膨大な時間と手間を要していた。そのため、点群データから自動的に家具や設備等のオブジェクトを抽出し、抽出したオブジェクトを図面上の適切な位置へ自動配置するシステムが求められている。
【0004】
例えば、特許文献1では、複数の計測箇所において被測定対象物の表面形状を表す3次元点群データを測定する形状測定装置と、複数の3次元点群データを合成して合成点群データを作成する合成装置と、合成点群データから被測定対象物の3次元CADデータを作成するとき、合成点群データにおいて不連続に表される一方で連続する実体を有する被測定対象物について、連続する一体の3次元CADデータを作成する3次元CADデータ作成装置とを備えた3次元CADデータ作成システムが開示されている。
【0005】
また、特許文献2では、選別された点群データの一部をコピーアンドペーストすることができ、全体として図面データの編集を容易に実行することができ、元データが点群である場合において、計測された対象物の形状とは異なる形状を表すCADデータが容易に入手できる図面データ作成方法を開示している。
【0006】
また、特許文献3では、部屋内に設置された複数の設備機器と、これらの設備機器が設置された位置とを紐付けて平面図上に表したメンテナンス用図面を容易に作成することができるメンテナンス用図面作成装置が開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1~3はいずれも、ユーザが手動で選別や配置等の操作を行うことを必要とし、時間と手間を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2015-164073号公報
【特許文献2】特許第6005317号公報
【特許文献3】特開2017-187981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決し、建物の内容を含む3次元空間の点群データから3次元図面を自動的に作成する3次元図面作成システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明では、点群データを用いた3次元図面作成システムであって、建物の内装を含む3次元空間の点群データを取得する点群データ取得部と、前記点群データからオブジェクトを検出するオブジェクト検出部と、前記点群データに基づいてオブジェクトの配置位置を特定するオブジェクト配置部と、3次元図面を生成するための中間ファイルを生成する中間ファイル生成部とを備えることを特徴とする3次元図面作成システムを提供する。
【0011】
本発明のある態様による3次元図面作成システムは、中間ファイルに基づいて生成された3次元図面を表示する表示部をさらに備えることを特徴とする。
【0012】
オブジェクト検出部は、オフィス等の内装を構成する天井、床、壁、部屋等の構造や、机、椅子、蛍光灯、ロッカーやキャビネット等の収納家具等の家具や設備であるオブジェクトを検出する。
【0013】
本発明のある態様による3次元図面作成システムにおいて、オブジェクト検出部は、点群データから天井を検出することを特徴とする。
【0014】
本発明のある態様による3次元図面作成システムにおいて、オブジェクト検出部は、点群データから床を検出することを特徴とする。
【0015】
本発明のある態様による3次元図面作成システムにおいて、オブジェクト検出部は、点群データの点群の密度を用いて壁を検出することを特徴とする。
【0016】
本発明のある態様による3次元図面作成システムにおいて、オブジェクト検出部は、検出した前記壁の点群をX-Y処理平面Pに射影し、前記壁に囲まれた領域を抽出し、前記領域の輪郭線を近似することにより、部屋を検出することを特徴とする。
【0017】
本発明のある態様による3次元図面作成システムにおいて、オブジェクト検出部は、点群の有無を示す2値画像を生成し、点群の密度が閾値以上である領域を抽出し、抽出した前記領域を連結して1つ以上の机からなるグループを生成し、前記グループから各々の机を検出することを特徴とする。
【0018】
本発明のある態様による3次元図面作成システムにおいて、オブジェクト検出部は、検出した前記机を4方向から観察し、一定の条件を満たす領域を椅子と認定し、前記椅子を検出することを特徴とする。
【0019】
本発明のある態様による3次元図面作成システムにおいて、オブジェクト検出部は、抽出した前記天井の点群を2次元画像に変換し、X軸方向及びY軸方向の各々について1次元波形を生成し、蛍光灯の短辺のピークを抽出し、前記短辺のピーク付近にて前記蛍光灯の長辺のピークを抽出し、蛍光灯を検出することを特徴とする。
【0020】
本発明のある態様による3次元図面作成システムにおいて、オブジェクト検出部は、上面の高さから所定の長さだけ低い範囲内に点群が存在し、かつ前記上面の高さから所定の長さだけ高い範囲に点群が存在しない領域を抽出し、前記領域に含まれる点群をグループ化して、ロッカーやキャビネット等の収納家具を検出することを特徴とする。
【0021】
また、本発明では、点群データを用いた3次元図面作成方法であって、建物の内装を含む3次元空間の点群データを取得するステップと、前記点群データからオブジェクトを検出するステップと、前記点群データに基づいてオブジェクトの配置位置を特定するステップと、3次元図面を生成するための中間ファイルを生成するステップとを備えることを特徴とする、3次元図面作成方法を提供する。
【0022】
また、本発明では、コンピュータに、上記の方法の各ステップを実行させることを特徴とするプログラムを提供する。
【0023】
本発明において、「オブジェクト」とは、例えば、オフィス等の内装を構成する天井、床、壁、部屋等の構造や、机、椅子、蛍光灯、ロッカーやキャビネット等の収納家具等の家具や設備等をいう。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、建物の内装を含む3次元空間の点群データから自動的に3次元図形を生成するという効果を奏する。
本発明の他の目的、特徴および利点は添付図面に関する以下の本発明の実施例の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明による3次元図面作成システムの全体を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明による3次元図面作成システムにおける点群データと処理平面との関係を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明によるオブジェクト検出部の部屋の検出の流れを示す図である。
【
図4】
図4は、本発明のオブジェクト検出部による机の検出の流れを示す図である。
【
図5】
図5は、机の検出においてユーザからの情報の入力を受け付けるユーザインタフェースの画面の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明にオブジェクト検出部による椅子の検出の流れを示す図である。
【
図7】
図7は、本発明にオブジェクト検出部による蛍光灯の検出の流れを示す図である。
【
図8】
図8は、本発明にオブジェクト検出部による収納家具の検出の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0026】
図1は、本発明による3次元図面作成システム1の全体を示す図である。本発明による3次元図面作成システム1は、建物の内装を含む3次元空間の点群データを取得する点群データ取得部10と、点群データからオブジェクトを検出するオブジェクト検出部20と、点群データに基づいてオブジェクトの配置位置を特定するオブジェクト配置部30と、3次元図面を生成するための中間ファイルを生成する中間ファイル生成部40とを備える。
【0027】
3次元図面作成システム1は、中間ファイルに基づいて生成された3次元図面を表示する表示部50をさらに備えるようにしてもよい。
【0028】
図2は、本発明による3次元図面作成システムにおける点群データと処理平面との関係を示す図である。
3次元図面作成システム1は、点群データ取得部10で取得した3次元空間の点群データDを3次元のボクセル単位に分割する。3次元空間の点群データを含む3次元のボクセルBを水平方向にスライスした平面をX-Y処理平面Pとすると、3次元空間の点群データDを含む3次元のボクセルBを上面から見たX-Y処理平面Pは、メッシュ状に分割されている。メッシュ状に分割されたX-Y処理平面Pは、以下で説明する各種のオブジェクトの検出に用いられる。検出するオブジェクトは、例えば、天井、床、壁、部屋、机、椅子、蛍光灯、ロッカーやキャビネット等の収納家具等、オフィス等の内装を構成する構造、家具、設備等である。
【0029】
図3は、本発明によるオブジェクト検出部の部屋の検出の流れを示す図である。
部屋の検出に先立って、天井の検出、床の検出及び壁の検出を行う。
3次元図面作成システム1において、オブジェクト検出部20は、点群データDから天井を検出する。点群データ取得部10で取得した3次元空間の点群データDは、3次元のボクセル単位に分割されている。ここで、3次元のボクセルBのうち最も高い位置に存在する点は、天井を構成する点と推定することができるが、取得した3次元空間の点群データDにはノイズも含まれ得る。そこで、3次元のボクセルBを上面から見たX-Y処理平面Pを上面から順にスキャンし、最も点群の数が多いX-Y処理平面Pを天井と推定するようにしてもよい。これにより、天井を構成する平面と天井の輪郭線が定義される。
【0030】
3次元図面作成システム1において、オブジェクト検出部20は、点群データDから天井を検出する。点群データ取得部10で取得した3次元空間の点群データDは、3次元のボクセル単位に分割されている。ここで、3次元のボクセルBのうち最も低い位置に存在する点は、床を構成する点と推定することができるが、取得した3次元空間の点群データDにはノイズも含まれ得る。そこで、3次元のボクセルBを上面から見たX-Y処理平面Pを下面から順にスキャンし、最も点群の数が多いX-Y処理平面Pを床と推定するようにしてもよい。これにより、床を構成する平面と床の輪郭線が定義される。
【0031】
3次元図面作成システム1において、オブジェクト検出部20は、点群データDの点群の密度を用いて壁を検出する。3次元のボクセルBを水平方向にスライスしたX-Y処理平面Pに3次元空間の点群データDを投影し、壁の点群を得ることができる。また、X-Y処理平面Pを所定の閾値で2値化し、壁の輪郭線を得るようにしてもよい。
【0032】
壁を検出する際に、壁の欠損に対応するため、天井の輪郭線を壁の一部として加えるようにしてもよい。天井付近に点群がないメッシュを壁と判定しないことにより、壁の点群に含まれるロッカーやキャビネット等の収納家具等を排除することができる。
【0033】
オブジェクト検出部20は、検出した壁の点群をX-Y処理平面Pに射影し、壁に囲まれた領域を抽出し、領域の輪郭線を近似することにより、部屋を検出する。オブジェクト検出部20は、まず、X-Y処理平面Pをメッシュ状に分割する。次に、壁の点群をX-Y処理平面Pに射影する。このとき、天井付近に点群がない場合は射影しないようにしてもよい。次に、ノイズ除去を行う。ノイズ除去を行った後に、壁に囲まれた領域を抽出する。次に、壁に囲まれた領域の輪郭線を近似し、部屋を得る。
【0034】
オブジェクト検出部20において部屋を検出する際に、部屋の面積が閾値以下のものは部屋であると判定しないようにしてもよい。また、各部屋の頂点数をなるべく削減するため、点群の大きな欠損がない場合は部屋を囲む矩形を部屋の輪郭とする。
【0035】
図4は、本発明のオブジェクト検出部による机の検出の流れを示す図である。
机の検出では、まず前処理として2値化画像の生成を行い、次に机のグループの検出を行い、続いて机のグループからの机の分割を行い、各机を検出する。
オブジェクト検出部20は、点群の有無を示す2値化画像を生成し、点群の密度が閾値以上である領域を抽出し、抽出した領域を連結して1つ以上の机からなるグループを生成し、グループから各々の机を検出する。
【0036】
図5は、机の検出においてユーザからの情報の入力を受け付けるユーザインタフェースの画面の一例を示す図である。
図5の(a)は情報の入力前の画面の一例であり、
図5の(b)は情報の入力後の画面の一例である。
オフィス等の机の配置は、典型的には、複数の机を連結した島が構成され、複数の島が部屋内に配置されている。本発明による3次元図面作成システム1では、まず机の島に相当する机のグループを検出し、そのグループを分割し、そのグループを構成する個々の机を検出する。なお、典型的には、1つのグループは複数の机によって構成されるが、1つのグループが1つの机から構成されていてもよい。島の形状は、例えば、四角形、ロの字型、コの字型等の様々な形状が想定される。そのため、オブジェクト検出部20は、予めユーザから机の配置に関する情報の入力を受け付ける。ユーザからの入力を受け付ける情報は、その部屋に存在する島の形状、1つの島を構成する机の数、及び各机の縦・横の寸法である。机の配置に関する情報は、テーブル形式の入力フォームを用いてユーザから受け付けるようにしてもよい。
【0037】
机の島に相当する机のグループの検出について説明する。机のグループを検出する際には、部屋の点群データから、天井、床、壁の点群データを取り除き、ノイズ除去を行った後に残る点群データを用いて行われる。まず、3次元空間の点群データDを含む3次元のボクセルBのうち、床から一定の高さの範囲をスキャンする。スキャンする高さの範囲は、一般的な机の高さに基づいて、任意の範囲を設定することができる。そのスキャン範囲について、X-Y処理平面P上の点群の集合を検出し、机の島に相当する机のグループを検出する。X-Y処理平面P上の点群の集合を検出は、X-Y処理平面Pを一定の閾値で2値化し、机のグループを検出するようにしてもよい。ここで、X-Y処理平面Pの各画素又は1つのメッシュについて、部屋に存在する複数の机のグループのうち、どのグループに割り当てるか、又はどのグループにも割り当てないかを判定するようにしてもよい。また、机のグループへの割り当てを行う際に、面積の一致率を計算し、一定の閾値より低い場合は、机のグループへの割り当てを保留して、誤検出の連鎖を防止するようにしてもよい。
【0038】
次に、検出された1つのグループから各机を分割し、各机を検出する。各机の分割には、ユーザから受け付けた机の配置に関する情報が用いられる。ユーザから受け付けた机の配置に関する情報には、島の形状、1つの島を構成する机の数、及び各机の縦・横の寸法が含まれる。これらの情報を用いて、1つのグループから各机を分割し、各机を検出する。各机の分割は、大きい島を構成するグループから順に行うようにしてもよい。
【0039】
図6は、本発明にオブジェクト検出部による椅子の検出の流れを示す図である。まず、オブジェクト検出部20で検出した机の情報を取得する。次に、水平方向に机を観察し、椅子の背もたれ及び/又は座面を検出し、次に、垂直方向に机を観察し、椅子の背もたれ及び/又は座面を検出する。
オブジェクト検出部20は、検出した机を4方向から観察し、一定の条件を満たす領域を椅子と認定し、椅子を検出する。椅子は机の周りに存在することを想定し、机の検出を行った後に、机を基準として椅子を検出する。椅子の検出は、机の端部から突出した椅子の背もたれ部分の全部又は一部を検出することにより行う。また、椅子の検出は、机の端から突出した椅子の座面部分の全部又は一部を検出することにより行うようにしてもよい。例えば、机の天面と並行な方向から机及び椅子を観察した場合、机の天面から垂直方向に上方に突出した背もたれ部分の全部又は一部を検出することにより、椅子を検出してもよい。また、例えば、机の天面に垂直な方向から机及び椅子を観察した場合、机の端部から水平方向に突出した椅子の背もたれ部分及び/又は座面部分の全部又は一部を検出することにより、椅子を検出してもよい。
【0040】
また、オブジェクト検出部20は、検出した椅子のタイプを推定するようにしてもよい。ここで、椅子のタイプとは、例えばオフィスチェア又はパイプ椅子である。椅子のタイプの推定は、机の上に物が乗っている面積の割合によって推定する。まず検出した机の上に物が乗っている部分を検出する。机の天面よりも上に存在し、机の天面に接続している点群の集合を机の上に乗っている物と認識することができ、1つの机の上に物が乗っている面積の合計を算出する。一般に、オフィスチェアとともに用いられる机には物が多く存在し、パイプ椅子とともに用いられる机には物があまり存在しないことが多い。そこで、ある椅子が近接している机の一定以上の面積に物が乗っている場合は、オフィスチェアと推定し、ある椅子が近接している机の一定以上の面積に物が乗っていない場合は、パイプ椅子と推定するようにしてもよい。例えば、ある椅子が近接している机の面積の50%以上に物が乗っている場合は、オフィスチェアと推定し、ある椅子が近接している机の面積の50%以上に物が乗っていない場合は、パイプ椅子と推定するようにしてもよい。
【0041】
図7は、本発明にオブジェクト検出部による蛍光灯の検出の流れを示す図である。
まず、オブジェクト検出部20で検出した天井の点群データを取得する。次に、点群を2次元画像に変換する。次に、X軸方向の1次元波形をプロットし、X軸方向のピーク位置を検出する。次に、Y軸方向の1次元波形をプロットし、Y軸方向のピーク位置を検出する。ピーク位置を結んだ線分が交差する位置に蛍光灯が存在すると推定する。
オブジェクト検出部20は、抽出した天井の点群を2次元画像に変換し、X軸方向及びY軸方向の各々について1次元波形を生成し、蛍光灯の短辺のピークを抽出し、短辺のピーク付近にて蛍光灯の長辺のピークを抽出し、蛍光灯を検出する。抽出した天井の点群は光の強度を表す2次元画像に変換され、光の強度をX軸方向の1次元波形にプロットし、その波形のピークの位置を抽出し、そのピークの位置に蛍光灯が存在すると推定する。同様に、光の強度をY軸方向の1次元波形にプロットし、その波形のピークの位置を抽出し、そのピークの位置に蛍光灯が存在すると推定する。X軸方向のピークの位置を結んだ線分とY軸方向のピークの位置を結んだ線分とが交差する点が蛍光灯の中心点又は重心になると仮定し、蛍光灯を検出する。
【0042】
図8は、本発明にオブジェクト検出部による収納家具の検出の流れを示す図である。
3次元の点群データDのボクセルBのX-Y処理平面Pをスキャンし、所定の範囲に点群があるか否かを判定し、所定の範囲に点群がある場合には、その平面を収納家具の上面と推定する。ここで、収納家具には、例えばロッカーやキャビネット等の任意の種類の収納家具が含まれる。次に、収納家具の上面から床までの点群をグループ化する。
オブジェクト検出部20は、上面の高さから所定の長さだけ低い範囲内に点群が存在し、かつ上面の高さから所定の長さだけ高い範囲に点群が存在しない領域を抽出し、領域に含まれる点群をグループ化して、収納家具を検出する。3次元空間の点群データDを含む3次元のボクセルBを上面から見たX-Y処理平面PをボクセルBの上面側から順にスキャンし、そのX-Y処理平面Pを収納家具の上面と仮定した場合に、上面の高さから所定の長さだけ低い範囲内に点群が存在し、かつ上面の高さから所定の長さだけ高い範囲に点群が存在しないX-Y処理平面Pを収納家具の上面と推定する。収納家具の上面から床までに存在する点群をグループ化し、収納家具の点群とすることにより、収納家具を検出する。
【0043】
以下、本発明による点群データを用いた3次元図面作成方法について説明する。本発明による点群データを用いた3次元図面作成方法は、建物の内装を含む3次元空間の点群データDを取得するステップと、点群データDからオブジェクトを検出するステップと、点群データDに基づいてオブジェクトの配置位置を特定するステップと、3次元図面を生成するための中間ファイルを生成するステップとを備える。
【0044】
本発明による点群データを用いた3次元図面作成方法は、中間ファイルに基づいて生成された3次元図面を表示するステップをさらに備えるようにしてもよい。
【0045】
3次元図面作成方法は、オフィス等の内装を構成する天井、床、壁、部屋等の構造や、机、椅子、蛍光灯、ロッカーやキャビネット等の収納家具等の家具や設備であるオブジェクトを検出するための以下のステップを備える。
【0046】
天井の検出を行うステップでは、3次元図面作成システム1のオブジェクト検出部20により、点群データDから天井を検出する。天井の検出を行うステップは、3次元空間の点群データDを含む3次元のボクセルBを上面から見たX-Y処理平面Pを上面から順にスキャンするステップと、最も点群の数が多いX-Y処理平面Pを天井と推定するステップと、天井を構成する平面又は天井の輪郭線を定義するステップを有するようにしてもよい。
【0047】
床を検出するステップでは、オブジェクト検出部20により、点群データDから床を検出する。床を検出するステップは、3次元のボクセルBを上面から見たX-Y処理平面Pを下面から順にスキャンするステップと、最も点群の数が多いX-Y処理平面Pを床と推定するステップと、床を構成する平面又は床の輪郭線を定義するステップを有するようにしてもよい。
【0048】
壁を検出するステップでは、オブジェクト検出部20により、点群データDの点群の密度を用いて壁を検出する。壁を検出するステップは、3次元のボクセルBを水平方向にスライスしたX-Y処理平面Pに3次元空間の点群データDを投影し、壁の点群を得るステップと、X-Y処理平面Pを所定の閾値で2値化し、壁の輪郭線を得るステップを有するようにしてもよい。また、壁を検出するステップは、壁を検出する際に、壁の欠損に対応するため、天井の輪郭線を壁の一部として加えるステップをさらに有するようにしてもよい。
【0049】
部屋を検出するステップでは、オブジェクト検出部20により、検出した壁の点群をX-Y処理平面Pに射影し、壁に囲まれた領域を抽出し、領域の輪郭線を近似することにより、部屋を検出する。部屋を検出するステップは、X-Y処理平面Pをメッシュ状に分割するステップと、壁の点群をX-Y処理平面Pに射影するステップを有するようにしてもよい。このとき、天井付近に点群がない場合は射影しないようにしてもよい。部屋を検出するステップは、ノイズ除去を行うステップと、ノイズ除去を行った後に、壁に囲まれた領域を抽出するステップと、壁に囲まれた領域の輪郭線を近似し、部屋を得るステップを有するようにしてもよい。
【0050】
机を検出するステップでは、オブジェクト検出部20により、点群の有無を示す2値画像を生成し、点群の密度が閾値以上である領域を抽出し、抽出した領域を連結して1つ以上の机からなるグループを生成し、グループから各々の机を検出する。
【0051】
机を検出するステップは、机の島に相当する机のグループを検出するステップと、そのグループを分割し、そのグループを構成する個々の机を検出するステップを有するようにしてもよい。また、机を検出するステップは、予めユーザから机の配置に関する情報の入力を受け付けるステップを有するようにしてもよい。ユーザからの入力を受け付ける情報は、その部屋に存在する島の形状、1つの島を構成する机の数、及び各机の縦・横の寸法である。机を検出するステップは、机の配置に関する情報をテーブル形式の入力フォームを用いてユーザから受け付けるステップを有するようにしてもよい。
【0052】
机を検出するステップは、3次元空間の点群データDを含む3次元のボクセルBのうち、床から一定の高さの範囲をスキャンするステップと、そのスキャン範囲について、X-Y処理平面P上の点群の集合を検出し、机の島に相当する机のグループを検出するステップを有するようにしてもよい。X-Y処理平面P上の点群の集合を検出するステップは、X-Y処理平面Pを一定の閾値で2値化するステップを有するようにしてもよい。机を検出するステップは、X-Y処理平面Pの各画素又は1つのメッシュについて、部屋に存在する複数の机のグループのうち、どのグループに割り当てるか、又はどのグループにも割り当てないかを判定するステップを有するようにしてもよい。また、机のグループへの割り当てを行うステップは、面積の一致率を計算し、一定の閾値より低い場合は、机のグループへの割り当てを保留するようにしてもよい。
【0053】
机を検出するステップでは、検出された1つのグループから各机を分割し、各机を検出する。各机の分割には、ユーザから受け付けた机の配置に関する情報が用いられる。ユーザから受け付けた机の配置に関する情報には、島の形状、1つの島を構成する机の数、及び各机の縦・横の寸法が含まれる。これらの情報を用いて、1つのグループから各机を分割し、各机を検出する。各机の分割は、大きい島を構成するグループから順に行うようにしてもよい。
【0054】
椅子を検出するステップでは、オブジェクト検出部20により、検出した机を4方向から観察し、一定の条件を満たす領域を椅子と認定し、椅子を検出する。椅子を検出するステップは、机の検出を行った後に、机を基準として椅子を検出する。椅子を検出するステップでは、机の端部から突出した椅子の背もたれ部分の全部又は一部を検出することにより行う。また、椅子を検出するステップでは、机の端から突出した椅子の座面部分の全部又は一部を検出することにより行うようにしてもよい。例えば、机の天面と並行な方向から机及び椅子を観察した場合、机の天面から垂直方向に上方に突出した背もたれ部分の全部又は一部を検出することにより、椅子を検出してもよい。また、例えば、机の天面に垂直な方向から机及び椅子を観察した場合、机の端部から水平方向に突出した椅子の背もたれ部分及び/又は座面部分の全部又は一部を検出することにより、椅子を検出してもよい。
【0055】
また、検出した椅子のタイプを推定するステップを有するようにしてもよい。椅子のタイプを推定するステップでは、机の上に物が乗っている面積の割合によって推定するようにしてもよい。椅子のタイプを推定するステップは、検出した机の上に物が乗っている部分を検出するステップと、机の天面よりも上に存在し、机の天面に接続している点群の集合を机の上に乗っている物と認識するステップと、1つの机の上に物が乗っている面積の合計を算出するステップを有するようにしてもよい。椅子のタイプを推定するステップは、ある椅子が近接している机の一定以上の面積に物が乗っている場合は、オフィスチェアと推定し、ある椅子が近接している机の一定以上の面積に物が乗っていない場合は、パイプ椅子と推定するようにしてもよい。例えば、ある椅子が近接している机の面積の50%以上に物が乗っている場合は、オフィスチェアと推定し、ある椅子が近接している机の面積の50%以上に物が乗っていない場合は、パイプ椅子と推定するようにしてもよい。
【0056】
蛍光灯を検出するステップでは、オブジェクト検出部20により、抽出した前記天井の点群を2次元画像に変換し、X軸方向及びY軸方向の各々について1次元波形を生成し、蛍光灯の短辺のピークを抽出し、前記短辺のピーク付近にて前記蛍光灯の長辺のピークを抽出し、蛍光灯を検出する。蛍光灯を検出するステップは、抽出した天井の点群を光の強度を表す2次元画像に変換するステップと、光の強度をX軸方向の1次元波形にプロットするステップと、その波形のピークの位置を抽出し、そのピークの位置に蛍光灯が存在すると推定するステップを有するようにしてもよい。同様に、蛍光灯を検出するステップは、光の強度をY軸方向の1次元波形にプロットするステップと、その波形のピークの位置を抽出し、そのピークの位置に蛍光灯が存在すると推定するステップを有するようにしてもよい。蛍光灯を検出するステップは、X軸方向のピークの位置を結んだ線分とY軸方向のピークの位置を結んだ線分とが交差する点が蛍光灯の中心点又は重心になると仮定し、蛍光灯を検出するようにしてもよい。
【0057】
収納家具を検出するステップでは、オブジェクト検出部20により、上面の高さから所定の長さだけ低い範囲内に点群が存在し、かつ前記上面の高さから所定の長さだけ高い範囲に点群が存在しない領域を抽出し、前記領域に含まれる点群をグループ化して、収納家具を検出する。収納家具を検出するステップは、3次元空間の点群データDを含む3次元のボクセルBを上面から見たX-Y処理平面Pをボクセルの上面側から順にスキャンするステップと、そのX-Y処理平面Pを収納家具の上面と仮定した場合に、上面の高さから所定の長さだけ低い範囲内に点群が存在し、かつ上面の高さから所定の長さだけ高い範囲に点群が存在しないX-Y処理平面Pを収納家具の上面と推定するステップを有するようにしてもよい。収納家具を検出するステップは、収納家具の上面から床までに存在する点群をグループ化し、収納家具の点群とすることにより、収納家具を検出するようにしてもよい。
【0058】
また、本発明では、コンピュータに、本発明による3次元図面作成方法の各ステップを実行させるプログラムを提供する。プログラムはコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されるようにしてもよい。また、プログラムはサーバー内に格納され、サーバー上で実行され、及び/又はネットワークを介してその機能を提供するようにしてもよい。
【0059】
オブジェクト配置部30は、点群データDに基づいてオブジェクトの配置位置を特定する。検出されたオブジェクトのうち、天井、床、壁及び部屋等の部屋の構造に関するオブジェクトについては、オブジェクト検出部20で検出されたオブジェクトの点群の位置をそのままオブジェクトの配置位置としてもよい。また、検出されたオブジェクトのうち、机、椅子、蛍光灯及びロッカーやキャビネット等の収納家具等の部屋の中に配置される家具や設備等に関するオブジェクトについては、オブジェクト検出部20で検出されたオブジェクトの点群の位置をそのままオブジェクトの配置位置とするか、又は必要な場合には位置の補間をするようにしてもよい。
【0060】
これまでに説明した実施例においては、3次元空間の点群データに基づいてオブジェクトの検出及び配置を行ったが、本発明の他の実施例においては、3次元空間を撮影した実画像の情報を併せて利用するようにしてもよい。例えば、オブジェクトの検出を行う際に、3次元空間の点群データと併せて実画像の情報を利用して、オブジェクトの検出を行うようにしてもよい。また、例えば、オブジェクトの配置に関して、オブジェクトの配置位置を補間する際に、実画像の情報に基づいてオブジェクトの配置位置を補間するようにしてもよい。
上記記載は実施例についてなされたが、本発明はそれに限らず、本発明の精神と添付の請求の範囲の範囲内で種々の変更および修正をすることができることは当業者に明らかである。