(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022101934
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ドアの引き開け装置
(51)【国際特許分類】
E05B 1/00 20060101AFI20220630BHJP
E05B 65/06 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
E05B1/00 311R
E05B65/06 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216334
(22)【出願日】2020-12-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】308007228
【氏名又は名称】株式会社小川優機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002446
【氏名又は名称】特許業務法人アイリンク国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 集
(57)【要約】
【課題】 一動作(ワンアクション)のみで、取っ手を回転させてドア本体を手前に開けることができるようにする。
【解決手段】 取っ手1と一体的に回転する回転部材2と、上記取っ手1が設けられたドア本体Dに取り付けられるとともに、ドア本体Dに固定された回転軸13,14を中心に回動してドア面D2に対して接近したり後退したりする操作部11とを備え、上記回転部材2と上記操作部11との間には、上記ドア面D2から離れる方向の操作部11の回動を、回転部材2の回転運動に変換する変換機構20,wを備え、上記変換機構20,wによって上記操作部11の回動が回転部材2の回転運動に変換されて取っ手1が回転し、ドア本体Dを引き開け可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取っ手を回転操作させてから手前に引いて開くドア本体を開けるためのドアの引き開け装置であって、
上記取っ手と一体的に回転する回転部材と、
上記ドア本体に取り付けられるとともに、上記取っ手が取り付けられたドア面に固定された回転軸を中心に回動して上記ドア面に対して接近したり後退したりする操作部と、
上記回転部材と上記操作部との間に設けられ、上記ドア面から離れる方向の上記操作部の回動を上記回転部材の回転に変換する変換機構と
を備え、
上記変換機構によって上記操作部の回動が上記回転部材の回転に変換され、上記回転部材の回転と一体的に上記取っ手が回転し、上記ドア本体を引き開け可能にするドアの引き開け装置。
【請求項2】
上記変換機構は、一端が上記回転部材に連結され、他端が上記操作部に連結されたワイヤーと、上記ワイヤーの方向を変更する滑車とからなる
請求項1に記載のドアの引き開け装置。
【請求項3】
上記回転部材は、
上記取っ手の回転軸に固定される固定部と、
上記固定部から外方へ突出した突出部と
を備え、
上記突出部にワイヤーの上記一端が連結された
請求項2に記載のドアの引き開け装置。
【請求項4】
上記回転部材において、上記ドア面と対向する対向面に、
上記ドア面に接触して転動可能なコロ部材を備えた
請求項1~3のいずれか1項に記載のドアの引き開け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアの引き開け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、取っ手を回転させてから引いて開けるドアが知られている。
このようなドアは、閉状態で、ドア本体の脇側面から突出したストッパ部材(ラッチボルト)が、上記脇側面と対向するドア枠等に形成された凹部に挿入されており、取っ手が回されると、上記ストッパ部材がドア本体の厚みの中へ収容され、ドア本体を引いて開くようになっている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-183486号公報
【特許文献2】特開2017-160723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなドアを開ける際には、ユーザーは、ドアの取っ手を握って回し、さらに取っ手を手前に引っ張らなければならない。つまり、ユーザーは、ドアを開けるために、回転と引っ張りという2つの動作をしなければならなかった。
この発明の目的は、手前側に開くドアを、一動作(ワンアクション)で開けることができるようにするドア引き開け装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、取っ手を回転操作させてから手前に引いて開くドア本体を開けるためのドアの引き開け装置であって、上記取っ手と一体的に回転する回転部材と、上記ドア本体に取り付けられるとともに、上記取っ手が取り付けられたドア面に固定された回転軸を中心に回動して上記ドア面に対して接近したり後退したりする操作部と、上記回転部材と上記操作部との間に設けられ、上記ドア面から離れる方向の上記操作部の回動を上記回転部材の回転に変換する変換機構とを備え、上記変換機構によって上記操作部の回動が上記回転部材の回転に変換され、上記回転部材の回転と一体的に上記取っ手が回転し、上記ドア本体を引き開け可能にする。
【0006】
第2の発明は、上記変換機構は、一端が上記回転部材に連結され、他端が上記操作部に連結されたワイヤーと、上記ワイヤーの方向を変更する滑車とからなる。
【0007】
第3の発明は、上記回転部材が、上記取っ手の回転軸に固定される固定部と、上記固定部から外方へ突出した突出部とを備え、上記突出部にワイヤーの上記一端が連結されている。
【0008】
第4の発明は、上記回転部材において、上記ドア面と対向する対向面に、上記ドア面に接触して転動可能なコロ部材を備えている。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明によれば、操作部を手前に引くだけで、取っ手を回転させながらドア本体を手前に引くことができるようになる。これにより、第1の発明の装置をドア本体に後付けすることによって、取っ手を回してから手前に引くという2つの動作(ツーアクション)を必要としていたドア本体を、操作部を手前に引くという一動作(ワンアクション)で開けることができるようになった。
【0010】
第2の発明によれば、ワイヤーを介するといった簡易な構造によって、操作部の運動を取っ手の回転に変換することができる。
【0011】
第3の発明では、ワイヤーの一端が回転部材の突出部に連結されているので、回転部材を回転させる力の作用点と当該回転部材の回転中心との距離が大きくなって、より小さな力で回転部材を回転させることができる。
【0012】
第4の発明によれば、回転部材に設けたコロ部材がドア面に接触しているので、回転部材がドア面に対して摺動することを防止し、回転部材の回転がスムーズになって取っ手の回転もスムーズにできる。また、コロ部材をドア面に接触させることで、取っ手への回転部材の取付位置を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は第1実施形態の斜視図で、ドア本体の閉状態を示している。
【
図2】
図2は第1実施形態の斜視図で、ドア本体の開動作時を示している。
【
図3】
図3は第1実施形態の回転部材の正面図である。
【
図4】
図4は第1実施形態の回転部材を下方から見た図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の回転部材の取付状態の正面図である。
【
図6】
図6は、第3実施形態の回転部材の取付状態の正面図である。
【
図7】
図7は第4実施形態の回転部材の斜視図である。
【
図8】
図8は第4実施形態の回転部材の取付状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〈第1実施形態〉
この発明の第1実施形態を説明する。
図1,2は第1実施形態の取付状態を示した図で、
図1はドア本体Dの閉状態、
図2はドア本体Dの開動作時を示している。
図3は、第1の実施形態の装置をドア本体に取り付けた状態での回転部材の正面図、
図4は回転部材を下方から見た図である。
図1,2に示すように、第1実施形態のドア引き開け装置は、取っ手としてレバー1が既に取り付けられているドア本体D用の装置である。
【0015】
上記ドア本体Dの厚み内には、図示しない既存のストッパ機構が組み込まれている。ストッパ機構は、レバー1に外力を作用させない自然状態でドア本体Dの脇側面D1から図示しないストッパ部材を突出させる。また、このストッパ機構は、レバー1が回されると、ドア本体Dの脇側面D1から突出したストッパ部材を当該ドア本体D内へ収容し、ドア本体Dを手前側に引き開けることを可能にする。
【0016】
また、レバー1は、ハンドル1aと回転軸1bとを備え、ハンドル1aは、ドア本体Dの脇側面D1とは反対側の脇側面側に向かって延びており、自然状態でその軸線が略水平になっている。レバー1は、このハンドル1aが
図1に示すように時計回りCW1方向に回されたとき、回転軸1bに連動させたストッパ部材がドア本体Dの脇側面D1から突出した状態からドア本体D内に収容されるようにしている。
【0017】
そして、第1実施形態のドア引き開け装置は、
図1,
図2に示すように、レバー1に取り付けられる回転部材2と、ドア本体D側に取り付けられる操作機構3とを備えている。
上記回転部材2は樹脂の型成型部品などで、
図3、
図4に示すように略C字状の固定部4とその外方にドア本体Dの脇側面D1とは反対の脇側面側に延びたバー状の突出部5とを備えている。なお、
図4はレバー1に取り付けられた回転部材2を下方から見た図で、図中の符号2aが当該回転部材2においてドア本体Dと対向する対向面である。
【0018】
上記固定部4はレバー1の回転軸1bを挿入可能な挿入孔4aと、この挿入孔4aを構成する内壁から外方へ向かい当該固定部4の外周近くまで延びるスリット4bとを備えている。
また、固定部4には、上記挿入孔4aの開口部4cを挟んで対向する位置に鉛直方向に貫通する一対の貫通孔4d,4eが形成されている。これら貫通孔4d,4eにはボルト6とナット7とを挿通し、これらを締め付けることによって、挿入孔4aに挿入された回転軸1bに対して固定部4が強固に固定されるようにしている。なお、上記貫通孔4d,4eのそれぞれは回転部材2の外周面側の端部が大径部とされ、この大径部内に、ボルト6の頭部とナット7とが収まるようにしている。
【0019】
また、固定部4から突出した突出部5は、
図4に示すように、固定部4から離れるにしたがって上記対向面2aからの水平方向の高さhが高くなるようにしている。すなわち、突出部5は、固定部4から離れるにしたがって水平方向に肉厚になっている。そのため、突出部5の先端側をレバー1のハンドル1aの上側面1a1に接触させることができ、仮に回転部材2の固定部4と回転軸1bとの固定が不十分だったとしても、回転部材2の時計周りCW1方向の回転を、レバー1に伝達することができる。
【0020】
さらに、突出部5には、後で説明するワイヤーwを挿通するためのワイヤー挿通孔8が形成されている。このワイヤー挿通孔8は、突出部5を鉛直方向に貫通しており、一端に大径部8aが形成され、この大径部8aを塞ぐキャップ9を備えている。
また、回転部材2には、ドア本体Dのドア面D2と対向する対向面2aの両端付近に、ドア面D2上で転動可能な一対のコロ部材10,10が設けられている。したがって、回転部材2は、上記コロ部材10,10をドア面D2に接触させた状態で、レバー1の回転軸1bに固定される。
【0021】
一方、操作機構3は、
図1、
図2に示すように、ドア本体Dに取り付けられたとき、鉛直方向に長さを有する長尺の棒状の操作部11と、その上下の両端に連続する連結部12,13と、連結部12,13が取り付けられる取付部材16,17とを備えている。操作部11は、使用者によって操作される部位になる。
【0022】
上記連結部12,13は、それぞれ回転軸14,15を介して取付部材16,17に対して回動自在に連結されている。これにより、操作部11は、ドア面D2に対して接近したり後退したりする方向に操作可能になっている。
なお、連結部12,13のうち下側に設けられる連結部13には、ワイヤーwを案内する案内ピン13aと、ワイヤーwを固定するための留めボルト13bとが備えられている。
【0023】
取付部材16,17は、いずれも脇側面D1側からドア本体Dを挟んで取り付けられるように、板材を曲げ加工して形成された部材である。そして、取付部材16,17は、ドア面D2に接触する面を両面テープ等によってドア面D2に接着されている。また、取付部材16,17は、ドア面D2に対して直角に突出した板状の取付片16a,17aを備えている。
【0024】
上側の取付部材16の取付片16aには、上記回転軸14が設けられるとともに、ケース18が固定されている。ケース18には、図示しないトーションばねが組み込まれている。上記トーションばねの両端は、それぞれ、取付片16aと操作機構3の上側の連結部12とに連結され、トーションばねが操作部11を自然状態に戻す方向の弾性力を発揮するようにしている。上記操作部11の自然状態とは、ドア本体Dの閉状態で、レバー1及び操作部11に外力が作用していない状態である。
【0025】
したがって、操作部11に使用者が作用させた外力を開放すると、操作部11はドア面D2に接近する方向に回動して自然状態に復帰する。
また、上記取付片16a上には、ストッパ片19を起立させている。このストッパ片19は、操作部11がドア面D2に接近する方向に回動したとき、連結部12に当接して、操作部11の回動を停止させるように機能する。
【0026】
一方、下側の取付部材17の取付片17aには、回転軸15が設けられるとともに、操作機構3の下側の連結部13がこの回転軸15を中心に回動自在に取り付けられている。
さらに、取付部材17には、上記取付片17aの端部から上方向に向かい、ドア面D2から突出する取付片17bが形成されている。取付片17bには、ドア本体Dの脇側面D1の反対側の脇側面側に向く面に滑車20が取り付けられている。なお、上記取付片17bは、下方が上方に比べてドア本体Dの脇側面D1側に近くなるように、鉛直線に対して傾斜するように設けられている。これによって、滑車20も、鉛直線に対して傾斜している。
【0027】
上記のようにレバー1に固定された回転部材2と、ドア面D2側に設けられた操作部11とは、ワイヤーwで連結される。
具体的には、ワイヤーwの一端に玉部材などの留めを設け、このワイヤーwを回転部材2の突出部5に形成されたワイヤー挿通孔8の大径部8a側から挿通し、上記留め部分が大径部8a内に留まるようにしている。そして、大径部8aはキャップ9で塞がれている。
【0028】
上記ワイヤー挿通孔8から引き出されたワイヤーwは、レバー1より下方に固定された取付部材17の取付片17bに設けられた滑車20と、連結部13に設けられた案内ピン13aに架け回されてから、他端が留めボルト13bで連結部13に固定されている(
図2参照)。
このように、ワイヤーwの一端を回転部材2の突出部5に固定するとともに、他端を操作機構3の連結部13に連結する際には、レバー1の自然状態でワイヤーwに弛みがでないように、ワイヤーwの張力を調整している。
なお、ワイヤーwは、金属や樹脂など材質は限定されないが、材質や断面形状によって伸び難いものにすることが好ましい。
【0029】
(作用・効果等)
以下にこの第1実施形態の作用、効果等を説明する。
使用者は、
図1に示すドア本体Dの閉状態からドア本体Dを開けたいとき、操作機構3の操作部11に手をかけて手前に引く方向の外力を作用させる。操作部11が時計回りCW2方向に回動し、操作部11はドア面D2から後退する方向(手前方向)に移動する。このように操作部11が移動すれば連結部13も同様に回動し、連結部13に他端を固定されたワイヤーwが引っ張られる。
【0030】
上記ワイヤーwの一端は、滑車20を介して回転部材2の突出部5に連結されているので、連結部13がドア面D2から後退する方向に移動すれば、滑車20と突出部5との間のワイヤーwは下方に引っ張られる。これにより、突出部5が引っ張られて回転部材2が時計回りCW1方向に回転し、レバー1を回転させる(
図2参照)。つまり、上記滑車20及びワイヤーwが、操作部11の回動を回転部材2の回転運動に変換してレバー1を回転させる変換機構を構成している。
【0031】
レバー1が時計回りCW1方向に回転すれば、ドア本体Dの脇側面D1から突出していたストッパ部材がドア本体D内に収容され、ドア本体Dを引き開け可能にする。
この状態でさらに操作部11がドア面D2から後退する方向(手前方向)に引かれれば、操作部11とともにドア本体Dが手前に移動し、ドア本体Dを開けることができる。
このように、使用者は、操作部11を手前に引くという一動作(ワンアクション)だけで、レバー1の回転とドア本体Dの開動作とを連続的に行なうことができる。この第1実施形態では、従来のように、回してから引くという2段階の動作(ツーアクション)は必要なく、より簡単にドアを引き開けることができる。
【0032】
また、操作部11は鉛直方向に長さを有する長尺の棒状のため、使用者は操作部11に手をかけて引くだけで操作部11を回動させることができる。そのため、使用者は操作部11をしっかり握る必要がなく、例えば高齢者や幼児など握力が弱い者でも簡単にドア本体Dを開けることができる。
このようなドア引き開け装置は、回転部材2をレバー1に取り付けるとともに、操作機構3をドア本体Dに取り付けることで、一動作で開けることができるドアに事後的に改良することができる。
【0033】
なお、この第1実施形態では取付部材16,17を、ドア本体Dを挟んで取り付けるようにして、ドア面D2にビス孔などを形成しないようにしているが、回転軸14,15を所定の位置に配置できるものであれば、取付部材16,17の形状はどのようなものでも構わないし、固定手段も特に限定されない。
【0034】
また、連結部13がドア面D2から後退する方向に移動してワイヤーwの他端が回動すると、取付部材17の取付片17bには、滑車20を通過したワイヤーwによって、取付部材17のドア面D2に接触している部位を当該ドア面D2から剥がす方向の力Fが作用する。しかし、この第1実施形態では、滑車20を取り付ける取付片17bを、鉛直線に対して傾斜するように設けて、ワイヤーwを案内する案内ピン13aと、滑車20を通過したワイヤーwの位置とを近づけ、上記力Fが小さくなるようにしている。そのため、取付部材17の上記接触部位がドア面D2から剥がれることを防止し、取付部材17の脱落を防止することができる。
【0035】
さらに、第1実施形態では、回転部材2を、ドア面D2との対向面2aに設けられたコロ部材10,10をドア面D2に接触させた状態でレバー1に固定しているので、回転部材2がドア面D2に対して摺動することを防止し、回転部材2のスムーズな回転を維持することができる。
【0036】
また、コロ部材10,10はドア面D2と上記対向面2aとの間隔を維持するスペーサとしても機能する。ドア面D2と上記対向面2aとの間隔は、突出部5に連結されたワイヤーwの一端側の位置に影響するため、その位置が変化すれば、ワイヤーwの経路や張力にもばらつきが出てしまう。ドア面D2に接触するコロ部材10,10を設けずに、ドア面D2と対向面2aとの間隔を正確に管理することは難しいが、第1実施形態のようにコロ部材10,10を設ければ、コロ部材10,10をドア面D2に接触させるだけで、回転部材2の取り付け位置を簡単に管理することができる。
【0037】
(第2実施形態)
図5に示す第2実施形態を説明する。
図5は、第2実施形態の回転部材の取付状態の正面図である。
第2実施形態は、取っ手であるノブ21を備えたドア本体Dのための引き開け装置で、上記レバー1とは異なるノブ21に、ノブ21と一体的に回転する回転部材22を固定している。
第2実施形態のドア本体Dは、上記ノブ21を時計まわりCW1方向に回してから手前に引くことで、開けることができるものである。
【0038】
図5では図示していないが、ドア本体Dのドア面D2側には、
図1,
図2に示した第1実施形態と同じ操作機構3を備えている。
以下の説明では、第1実施形態と異なる部分を中心に説明するとともに、
図1,
図2も参照する。また、
図5において
図1,
図2と同じ符号を用いた構成要素は、第1実施形態と同様の構成要素である。
【0039】
第2実施形態の回転部材22は、樹脂などで形成され、円周の一部に当該回転部材22を構成する側壁を貫通するスリット22aを形成した略円筒形の部材である。
上記スリット22aを挟んだ両側には、互いに対向する位置に貫通孔22b,22cが形成されている。上記ノブ21の外周に回転部材22を被せてから、貫通孔22b,22cにボルト23を挿通させ、ボルト23の端部にナット24を締め付けることで、回転部材22がノブ21に固定されている。なお、上記貫通孔22b,22cはそれぞれ回転部材22の外周面側に大径部を備え、これら大径部内にはそれぞれボルト23の頭部とナット24とが収容される。
【0040】
また、回転部材22は、
図5に示す取り付け状態で、ノブ21の上部に対応する位置にねじ穴22dが設けられ、このねじ穴22dにねじこまれた留めボルト25によって、ワイヤーwの図示しない一端が連結されている。
上記ワイヤーwの他端は、第1実施形態と同様に、滑車20を経由して操作機構3の連結部13に固定されている。
【0041】
また、上記回転部材22の外周面には、ワイヤーwが回転部材22から外れないようにするための図示しない案内溝が形成されている。
なお、回転部材22においてドア面D2と対向する対向面には、ドア面D2に接触して転動可能なコロ部材を設けても良い。
【0042】
(作用・効果等)
この第2実施形態においても、使用者が操作機構3の操作部11を手前に引くだけで、ワイヤーwが
図5の矢印a方向に移動し、回転部材22とともにノブ21を時計回りCW1方向に回転させることができる。ノブ21が回転して、図示しないストッパ部材が脇側面D1からドア本体D内に収容されると、操作部11に作用させた外力がドア本体Dを手前に引く力となり、ドア本体Dを開けることができる。
この第2実施形態でも、事後的に設けた装置によって、操作部11を手前に引くという一動作(ワンアクション)で、ドア本体Dを開けることができる。
【0043】
(第3実施形態)
図6に示す第3実施形態を説明する。
図6は、第3実施形態の回転部材26の取付状態の正面図である。
第3実施形態は、第2実施形態と同様に、ノブ21を備えたドア本体D用の引き開け装置であり、
図6に示した回転部材26と
図1,
図2に示した操作機構3とによって構成されている。回転部材26以外は、上記他の実施形態と同じ構成なので、以下の説明にも
図1,
図2を参照する。
【0044】
回転部材26は、ノブ21の外周に取り付ける略円筒形の固定部27とドア本体Dの脇側面D1とは反対側の脇側面側に延びた突出部28とからなる。固定部27は、円周の一部に側壁を貫通するスリット27aと、このスリット27aを挟んだ両側の貫通孔27b,27cとを備えている。これら貫通孔27b,27cには、
図5に示す第2実施形態と同様に、ボルト23を挿通させ、このボルト23にナット24を締め付けることによって、回転部材26がノブ21に固定されている。
【0045】
また、突出部28の先端付近には、ワイヤー挿通孔28aが形成され、ワイヤーwの一端が大径部28b内に留められている。なお、符号29は、大径部28bを塞ぐキャップである。
上記ワイヤー挿通孔28aから引き出されたワイヤーwの図示しない他端は、操作機構3の連結部13に留めボルト13bによって連結されている(
図1,
図2参照)。
さらに、この第3実施形態の回転部材26にも、ドア面D2と対向する対向面にドア面D2に接触して転動可能なコロ部材を設けても良い。
【0046】
(作用・効果等)
この第3実施形態においても、使用者が操作機構3の操作部11を手前に引くと、ワイヤーwが
図6の矢印a方向に移動し、回転部材26とともにノブ21を時計回りCW1方向に回転させることができる。ノブ21が回転して、図示しないストッパ部材が脇側面D1からドア本体D内に収容されると、操作部11に作用させた外力がドア本体Dを手前に引く力となり、ドア本体Dを開けることができる。
この第3実施形態も、操作部11を手前に引くという一動作(ワンアクション)で、ドア本体Dを開けることができる。
【0047】
また、第3実施形態では上記突出部28にワイヤーwの一端を連結しているので、ワイヤーwを介して外力が作用する点と回転部材26の回転中心との距離が第2実施形態と比べて大きくなる。その分、小さな力で回転部材26を回転させてノブ21を回転させることができる。
【0048】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を説明する。
図7は第4実施形態の回転部材の斜視図、
図8は第4実施形態の回転部材の取り付け状態を示した正面図である。
第4実施形態は、第1実施形態と同様に、レバー1を備えたドア本体Dを開けるための装置であって、
図7,
図8に示す回転部材30と、上記他の実施形態と同じ、
図1,
図2に示した操作機構3とで構成される。したがって、以下の説明には
図1,
図2も参照する。
【0049】
この第4実施形態の回転部材30は、少し弾力を備えた樹脂製部材で、中央にレバー1のハンドル1aが挿入される貫通孔30aと、この貫通孔30aに向かって形成された固定用ビス孔30bと、上記貫通孔30aからハンドル1aの下方へ貫通するワイヤー挿通孔30cとを備えている。
【0050】
上記回転部材30は、レバー1のハンドル1aの先端付近に被せられ、その外壁から固定用ビス孔30bに留めビス31をねじ込んでレバー1と一体化される。なお、回転部材30をハンドル1aに取り付ける前に、一端に貫通孔30aを通過しない大きさの留め部を備えたワイヤーwを、上記貫通孔30a側から挿通させておく。したがって、ハンドル1aに固定された回転部材30には、下方に延びるワイヤーwが連結されることになる。
そして、ワイヤーwの他端は、第1実施形態と同様に、滑車20を経由させて操作機構3の連結部13に連結されている(
図1,
図2参照)。
【0051】
(作用・効果等)
この第4実施形態でも、操作部11を手前に引いて操作機構3を回動させれば、ワイヤーwが矢印a方向に移動して回転部材30が回転し、当該回転部材30とともにレバー1が時計回りCW1方向へ回転する。レバー1が、時計回りCW1方向に回転すれば、図示しないストッパ部材がドア本体D内に収容され、ドア本体Dを引き開けることができる。
つまり、使用者は、操作機構3の操作部11を手前に引くという一動作(ワンアクション)だけで、ドア本体Dを開けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
取っ手をしっかり握れないときや、握りたくないときなどにも、スムーズにドアを開けることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 (取っ手)レバー
2 回転部材
3 操作機構
4 固定部
5 突出部
8 ワイヤー挿通孔
10 コロ部材
11 操作部
20 滑車
21 (取っ手)ノブ
22 回転部材
26 回転部材
27 固定部
28 突出部
28a ワイヤー挿通孔
30 回転部材
30c ワイヤー挿通孔
D ドア本体
D2 ドア面
w ワイヤー