IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 菅原 主水の特許一覧

<>
  • 特開-尿飛散防止具 図1
  • 特開-尿飛散防止具 図2
  • 特開-尿飛散防止具 図3
  • 特開-尿飛散防止具 図4
  • 特開-尿飛散防止具 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102003
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】尿飛散防止具
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20220630BHJP
   A47K 17/02 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
E03D9/00 F
A47K17/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216448
(22)【出願日】2020-12-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】520512638
【氏名又は名称】菅原 主水
(74)【代理人】
【識別番号】100122242
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 多香子
(72)【発明者】
【氏名】菅原 主水
【テーマコード(参考)】
2D037
2D038
【Fターム(参考)】
2D037BA23
2D038ZA02
(57)【要約】
【課題】様々な形状の便座に取り付けが可能で、尿が漏れ出すのを確実に防止することができ、安価に使用することができる尿飛散防止具を提供する。
【解決手段】便座の前部内側円弧に沿って湾曲させるとともに、便座の裏面から便器本体側に向けて垂下して便器本体と便座との間に形成される隙間を遮るように取り付けられるシート状の遮蔽部材と、遮蔽部材を保持する保持部材と、保持部材に間隔を空けて複数設けられ、保持部材を便座の裏面に貼着させる粘着部材と、保持部材の遮蔽部材とは反対側に設けられた支持部材と、支持部材に支持され、上端部が便座の裏面に当接するとともに下端部が便器本体の上面に当接して隙間を塞ぐように取り付けられ、遮蔽部材で遮蔽しきれなかった尿が隙間から漏れ出すのを防止するシート状の漏れ防止部材とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体と便座との間に形成される隙間から尿が飛散しないようにするための尿飛散防止具あって、
前記便座の前部内側円弧に沿って湾曲させるとともに、前記便座の裏面から前記便器本体側に向けて垂下して前記隙間を遮るように取り付けられるシート状の遮蔽部材と、
前記遮蔽部材を保持する保持部材と、
前記保持部材に間隔を空けて複数設けられ、前記保持部材を前記便座の裏面に貼着させる粘着部材と、
前記保持部材の前記遮蔽部材とは反対側に設けられた支持部材と、
前記支持部材に支持され、上端部が前記便座の裏面に当接するとともに下端部が前記便器本体の上面に当接して前記隙間を塞ぐように取り付けられ、前記遮蔽部材で遮蔽しきれなかった尿が前記隙間から漏れ出すのを防止するシート状の漏れ防止部材と
を有することを特徴とする尿飛散防止具。
【請求項2】
前記保持部材は、支柱部と、前記支柱部の一方の長辺に間隔を空けて複数個設けられた保持部と、前記支柱部の他方の長辺に間隔を空けて複数個設けられた取付け部とを有し、
前記保持部は、前記遮蔽部材を保持し、
前記取付け部には、前記粘着部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の尿飛散防止具。
【請求項3】
前記遮蔽部材の前記便座に取り付ける側の辺の近傍には、該辺に沿って断続的に複数の第一切込み部が設けられており、
前記保持部には、前記遮蔽部材を保持する面から突出する第一爪部が設けられており、
前記第一爪部は、前記第一切込み部を係止することを特徴とする請求項2に記載の尿飛散防止具。
【請求項4】
前記支持部材は、漏れ防止部材を支持するための桁部と、前記桁部と前記保持部材とを連結する連結部とを有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の尿飛散防止具。
【請求項5】
前記桁部の前記連結部とは反対側には、前記支持部材を立体的に組み立てるための舌部が設けられており、
前記舌部には、第二切込み部が設けられており、
前記連結部には、前記便座に取り付けられる際に前記便座と対向する面とは逆側の面から突出する第二爪部が設けられており、
前記第二爪部は、前記第二切込み部を係止することを特徴とする請求項4に記載の尿飛散防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿飛散防止具に関し、特に、洋式便器の便器本体と便座との間の隙間から外方に尿が飛散することを防ぐための尿飛散防止具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な洋式便器では、便器本体と便座との間に隙間があるため、特に男性が便座に着座して排尿するときに、前述の隙間から尿が便器の外方に飛散して漏れ出し、使用者の着衣、便器、トイレ内の床面や壁面等を汚してしまうという問題があった。この問題は、男性が健常者である場合にも発生するが、要介護者、高齢者等、身体の不自由な人では、大量に漏れてしまう場合がある。特に、高齢者の介護施設では、施設利用者がトイレを使用するたびに介護士等が掃除をしなければならず、介護士等の負担になっていた。また、同様に、男児の場合も、便器本体と便座との間の隙間から尿が大量に漏れしまう場合が多く、トイレや着衣の衛生面が保たれず、衣類の洗濯やトイレの掃除が、保護者への多大なるストレスの要因でもあった。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば、便器本体と便座との間の隙間を埋める厚さで形成され、裏面に接着部を設けた吸水シートが提案されている(例えば、特許文献1)。この吸水シートを便座の裏に接着することにより、前方に向けて飛散した尿が吸水シートに吸水されるため、便器の外方に漏れ出すことを防止できる。
【0004】
また、便器本体と便座との間の隙間を遮るように垂下するシート状の遮蔽部と、この遮蔽部を便座に取り付けるための取付部とからなる尿飛散防止具も知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-229301号公報
【特許文献2】実用新案登録第3120727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の吸水シートは、尿を含んだ吸水シートを放置すると悪臭の原因となるため、使用する度あるいは頻繁に交換する必要があり、費用がかかるという問題があった。
【0007】
特許文献2の尿飛散防止具は、短冊状のシート部材で構成されており、円弧状に曲げて便座の裏面に取り付けるので、曲げ易いように、取付部に数箇所の切り込みが施されている。この切込みの間隔が大きく、切込みの数が少ないと、取付部の個々の直線部分が長くなるため、遮蔽部が便器の円弧に追従しきれず、便座を下したときに便器本体の縁部に干渉してしまうという問題があった。便器本体の縁部に干渉しないように、便座の内側縁部より内側に尿飛散防止具と取り付けると、遮蔽部の先端部で陰茎を傷つけてしまうおそれがある。切込みの間隔が小さく、切込みの数が多いと、取付部の個々の直線部分が短くなるので、遮蔽部が便座の円弧に追従しやすくなる。しかしながら、切込みの終端において、遮蔽部と便座との間に隙間ができるため、切込みが多いと該隙間も多くなり、尿が漏れ出すという問題があった。
【0008】
また、特許文献2の段落[0016]に記載されているように、尿飛散防止具を、L字状やT字状の円弧状に形成されたプラスチック部材で構成した場合は、予め円弧状に成形されているため、便座の形状によっては、便座の裏面に取り付けて便座を下すと便器に干渉し、便器の縁部に干渉しないように、便座の内側縁部より内側に尿飛散防止具と取り付けると、遮蔽部の先端部で陰茎を傷つけてしまうおそれがあるという問題があった。
【0009】
さらに、特許文献2の尿飛散防止具は、取付部の面積が大きいので、裏面に凹みがある便座には取り付けることができないという問題があった。
【0010】
そこで、本発明は、様々な形状の便座に取り付けが可能で、尿が漏れ出すのを確実に防止することができ、安価に使用することができる尿飛散防止具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明による尿飛散防止具は、便器本体と便座との間に形成される隙間から尿が飛散しないようにするための尿飛散防止具あって、前記便座の前部内側円弧に沿って湾曲させるとともに、前記便座の裏面から前記便器本体側に向けて垂下して前記隙間を遮るように取り付けられるシート状の遮蔽部材と、前記遮蔽部材を保持する保持部材と、前記保持部材に間隔を空けて複数設けられ、前記保持部材を前記便座の裏面に貼着させる粘着部材と、前記保持部材の前記遮蔽部材とは反対側に設けられた支持部材と、前記支持部材に支持され、上端部が前記便座の裏面に当接するとともに下端部が前記便器本体の上面に当接して前記隙間を塞ぐように取り付けられ、前記遮蔽部材で遮蔽しきれなかった尿が前記隙間から漏れ出すのを防止するシート状の漏れ防止部材とを有することを特徴とする。
【0012】
上述の尿飛散防止具は、前記保持部材が、支柱部と、前記支柱部の一方の長辺に間隔を空けて複数個設けられた保持部と、前記支柱部の他方の長辺に間隔を空けて複数個設けられた取付け部とを有し、前記保持部は、前記遮蔽部材を保持し、前記取付け部には、前記粘着部材が設けられていることが好ましい。
【0013】
また、上述の尿飛散防止具は、前記遮蔽部材の前記便座に取り付ける側の辺の近傍には、該辺に沿って断続的に複数の第一切込み部が設けられており、前記保持部には、前記遮蔽部材を保持する面から突出する第一爪部が設けられており、前記第一爪部は、前記第一切込み部を係止することが好ましい。
【0014】
また、上述の尿飛散防止具は、前記支持部材は、漏れ防止部材を支持するための桁部と、前記桁部と前記保持部材とを連結する連結部とを有することが好ましい。
【0015】
また、上述の尿飛散防止具は、前記桁部の前記連結部とは反対側には、前記支持部材を立体的に組み立てるための舌部が設けられており、前記舌部には、第二切込み部が設けられており、前記連結部には、前記便座に取り付けられる際に前記便座と対向する面とは逆側の面から突出する第二爪部が設けられており、前記第二爪部は、前記第二切込み部を係止することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る尿飛散防止具によれば、様々な形状の便座に取り付けが可能で、尿が漏れ出すのを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る尿飛散防止具を便座の裏面に取り付けた様子を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る尿飛散防止具を便座の裏面に取り付けた様子を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る尿飛散防止具の使用時の状態を説明するための断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る尿飛散防止具の使用前の状態を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る尿飛散防止具の使用方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
本発明に係る尿飛散防止具1は、図1に示すように、便器本体2と、便器本体2の上部に回動自在に設けられた便座3とを備えた洋式便器の便座3の裏面に取り付けられ、便座3を下ろし、便座3に着座して排尿する際に、便器本体2と便座3との間に形成される隙間4(図3参照)から尿が飛散しないようにするためのものである。
【0020】
尿飛散防止具1は、図1,2に示すように、便座3の前部内側円弧に沿って湾曲させるとともに、便座3の裏面から便器本体2側に向けて垂下して隙間4を遮るように取り付けられるシート状の遮蔽部材5を有しており、遮蔽部材5は保持部材6に保持されている。保持部材6には、保持部材6を便座3の裏面に貼着させる粘着部材7が、間隔を空けて複数設けられている。
【0021】
保持部材6の遮蔽部材5とは反対側には、支持部材8が設けられており、支持部材8には、図3に示すように、上端部が便座3の裏面に当接するとともに下端部が便器本体2の上面に当接して隙間4を塞ぐように取り付けられ、遮蔽部材5で遮蔽しきれなかった尿が隙間4から漏れ出すのを防止するシート状の漏れ防止部材9が設けられている。
【0022】
以下、各構成要素について、より詳細に説明する。
【0023】
(遮蔽部材5)
図1~4を参照して、遮蔽部材5は、シート状の短冊形状を有しており、使い捨てし易く、防臭性、耐水性に優れた可撓性を有する材料で構成されている。
【0024】
遮蔽部材5の大きさは、便器前方の便座3と便器本体2との間の隙間4を遮ることができれば、特に限定されるものではないが、長さが10~30cm、幅が2.5~6cmであることが好ましく、長さが15~25cm、幅3~4cmであることがより好ましい。長さが10cm未満であると、遮蔽部材5の側方の便座3と便器本体2との間の隙間4から尿が漏れるおそれがあり、30cm超であると、便座3への取り付けに手間がかかったり、便器の形状によっては干渉しやすくなったりする。幅が2.5cm未満であると、便座3と便器本体2との間の隙間4が大きな便器では隙間4を遮ることができなくなるおそれがあり、6cm超であると、便器本体2の内底面に干渉するおそれがある。なお、遮蔽部材5の長さとは、便座3に取り付ける際に便座3と平行になる辺の長さであり、該辺の長さが異なる場合は最も長い辺の長さである。遮蔽部材5の幅とは、便座3に取り付ける際に便座3と直行する辺の長さである。
【0025】
遮蔽部材5は、例えば、ポリエチレン、塩化ビニール、アクリル、ポリプロピレン、プラスチック等の合成樹脂、パラフィン蝋を塗布、浸透させる等した耐水紙で構成することができるが、ポリエチレンで構成することが好適である。
【0026】
遮蔽部材5の形状は、便器前方の便座3と便器本体2との間の隙間4を遮ることができれば、特に限定されるものではないが、矩形、台形、角丸四角形等が好適である。本実施形態においては、便座3に取り付ける側とは反対側の辺が長く、便座3に取り付ける側とは反対側の両角を角丸とした角丸台形となっている。このような台形形状とすることにより、使用後に便座3を上げた際に、側辺が便器側に向かって低くなるように傾斜するため、遮蔽部材5に付着した尿が側辺を伝って便器本体2内に落ちる。また、便座3に取り付ける側とは反対側の両角を角丸としたため、ケガを防止することができる。
【0027】
また、遮蔽部材5は、便座3に取り付ける側の辺の近傍に、該辺に沿って断続的に複数の第一切込み部51を有している。この第一切込み部51は、後述の保持部材6に設けられた第一爪部61に係止させるためのものである。
【0028】
(保持部材6)
保持部材6は、遮蔽部材5の便座3に取り付ける側の辺と同程度の長さを有する細長い形状の支柱部62を有している。支柱部62は、使い捨てし易く、防臭性、耐水性に優れた可撓性を有する材料で構成されており、例えば、ポリエチレン、塩化ビニール、アクリル、ポリプロピレン、プラスチック等の合成樹脂、パラフィン蝋を塗布、浸透させる等した耐水紙で構成することができる。
【0029】
支柱部62の一方の長辺には、遮蔽部材5を保持するための保持部63が、間隔を空けて複数個設けられている。保持部63の個数は限定されるものではなく、遮蔽部材5を湾曲保持可能なように適宜設計することができるが、2~10個が好ましく、3~6個がさらに好ましい。保持部63の形状は、後述の第一爪部61が形成できれば限定されるものではないが、矩形や半円形、角丸矩形等とすることができる。保持部63の支柱部62と接続している部分の長さは、限定されるものではないが、1~4cmが好ましく、1.5~2cmがより好ましい。保持部63の支柱部62と接続している部分の長さが4cm超であると、保持部材6を便座3の前部内側円弧に沿って湾曲させて取りつける際に、便座3の円弧に追従しきれないおそれがある。保持部63は、支柱部62と同一材料により一体的に構成することが好ましい。
【0030】
保持部63には、遮蔽部材5を保持する面から突出する第一爪部61が設けられている。第一爪部61は、遮蔽部材5の第一切込み部51を係止させるものである。第一爪部61は、保持部63に別体で設けてもよいが、本実施形態においては、保持部63に5角形の底辺を除く4辺の部分に切込みを設け、使用時に、底辺部分から折り曲げて突出させることで形成することができるようになっている。第一爪部61の形状は5角形に限定されるものではなく、矩形、半円、三角形等、適宜設計可能であるが、先端部分の幅が保持部63との接続部分の幅よりも小さい方が、遮蔽部材5を取り付けやすい。
【0031】
なお、本実施形態においては、上述のように、遮蔽部材5と保持部材6とを別体で構成し、遮蔽部材5の第一切込み部51を保持部材6の第一爪部61に係止させるようにしたが、遮蔽部材5と保持部材6とを一体的に構成してもよい。ただし、最も汚染されやすい遮蔽部材5のみを頻繁に取り換えることが好ましいため、遮蔽部材5と保持部材6とは別体で構成することが好ましい。
【0032】
支柱部62の他方の長辺には、保持部材6を便座3の裏面に取り付けるための取付け部64が、間隔を空けて複数個設けられている。取付け部64の個数は限定されるものではなく、遮蔽支柱部62を湾曲させた状態で、便座3の裏面に取付け可能なように適宜設計することができるが、2~10個が好ましく、3~6個がさらに好ましい。取付け部64の形状は、一面に後述の粘着部材7を設けることができれば限定されるものではないが、矩形や半円形、角丸矩形等とすることができる。取付け部64の支柱部62と接続している部分の長さは、限定されるものではないが、0.5~2cmが好ましく、0.5~1.5cmがより好ましい。取付け部64の支柱部62と接続している部分の長さが2cm超であると、保持部材6を便座3の前部内側円弧に沿って湾曲させて取りつける際に、便座3の円弧に追従しきれないおそれがある。取付け部64同士の間隔が、取付け部64の長さよりも大きいことも好ましい。取付け部64の支柱部62と接続している部分と直行する部分最大幅は、限定されるものではないが、1~3cmが好ましく、1~1.5cmがより好ましい。取付け部64の支柱部62と接続している部分と直行する部分最大幅が3cm超であると、便座3の裏面がくり抜かれたように凹んだ形状をしている場合に、上手く取り付けることができないおそれがある。取付け部64は、支柱部62と同一材料により一体的に構成することが好ましい。
【0033】
本実施形態においては、保持部材6は1枚のシートにより構成されており、便座3に取り付けられる際には、取付け部64の便座3への取付け面から支柱部62および保持部63が垂下するように、取付け部64と支柱部62とが境界部分で略垂直に折り曲げられる。このため、折り曲げやすいように、取付け部64と支柱部62との境界部分にシートの厚み方向にわずかに切込みを入れた折り目線を設けてもよい。
【0034】
(支持部材8)
支持部材8は、漏れ防止部材9を長手方向に撓まないように支持するための桁部81と、桁部81と保持部材6とを連結する連結部82とを有する。桁部81の連結部82とは反対側には、支持部材8を立体的に組み立てるための舌部83が設けられている。桁部81、連結部82および舌部83は、保持部材6と同一材料により一体的に構成することが好ましい。
【0035】
桁部81は、支柱部62と同程度の長さを有する細長い形状を有している。桁部81の一方の長辺中央部分には、桁部81を支柱部62と連結する連結部82が設けられている。連結部82の大きさは、特に限定されるものではなく、適宜設計可能であるが、支柱部62と桁部81との距離ができるだけ短くなるようにした方が、より効果的に遮蔽部材5で遮蔽しきれなかった尿が外に漏れるのを防止することができる。また、連結部82は、細長い桁部81を安定して支えられるように、桁部81との接続部分はある程度の長さを有することが好ましい。連結部82の支柱部62との接続部分は、支柱部62が円弧状に湾曲して取り付けられるため、取付け部64と同程度の長さとすることが好ましい。本実施形態においては、連結部82の支柱部62側の辺は取付け部64の長さより長くなっているが、連結部82の両側部においては支柱部62との境界に切れ目が設けられており、支柱部62との接続部分は、連結部82の中央部分のみとなっている。
【0036】
連結部82の中央部には、便座3に取り付けられる際に便座3と対向する面とは逆側の面から突出する第二爪部84が設けられている。第二爪部84は、舌部83の第二切込み部85を係止させるものである。第二爪部84は、連結部82に別体で設けてもよいが、本実施形態においては、連結部82に四角形の一辺を除く三辺の部分に切込みを設け、使用時に、切り込むが設けられていない一辺から折り曲げて突出させることで形成することができるようになっている。第二爪部84には切欠き部86が設けられており、舌部83が組み立てのために折り曲げられた力に抗して元の状態に戻ろうとしても、舌部83の第二切込み部85に切欠き部86の突起が引っかかって切欠き部86が第一爪部61から抜け落ちずに係止される。
【0037】
桁部81の他方の長辺中央部分には、支持部材8を立体的に組み立てるための舌部83が設けられている。図3を参照して、支柱部62は組み立てられたときに、桁部81が便座3の取付け面から垂直方向に引き立てられるため、この桁部81に支持される漏れ防止部材9が、便座3裏面に対して垂直方向に取り付けられるため、便座3裏面と便器本体2との間の隙間4が漏れ防止部材9により塞がれるようになっている。舌部83の大きさ、形状は限定されるものではなく、適宜設計可能であるが、矩形とすることが好適である。舌部83には、第二爪部84に係止させるための第二切込み部85が設けられている。
【0038】
本実施形態においては、保持部材6と支持部材8とは1枚のシートにより構成されており、便座3に取り付けられる際には、連結部82と支柱部62および桁部81とがそれぞれ境界部分で略垂直に折り曲げられる。このため、折り曲げやすいように、連結部82と支柱部62との境界部分および連結部82と桁部81との境界部分にシートの厚み方向にわずかに切込みを入れた折り目線を設けてもよい。
【0039】
なお、本実施形態においては、上述のように、保持部材6および支持部材8を一枚のシートにより構成し、組み立てることにより所定の立体形状となるようにしたが、これに限定されるものではなく、予め立体的に成形してもよい。
【0040】
(粘着部材7)
保持部材6の取付け部64の便座3に取り付ける面には、粘着部材7が設けられている。粘着部材7は、公知の両面粘着テープで構成することができ、一面は保持部材6の取付け部64の便座3に取り付ける面に貼合されており、他面は便座3に取り付けるまでは剥離フィルム(図示しない)で保護されていることが好ましい。また、両面粘着テープに代えて、保持部材6の取付け部64の便座3に取り付ける面に、公知の粘着剤組成物のワニスを塗布して乾燥させることにより粘着部材7を形成してもよい。この場合も、表面は便座3に取り付けるまでは剥離フィルムで保護されていることが好ましい。また、本実施形態においては、連結部82の支柱部62との接続部分近傍にも、粘着部材7が設けられている。
【0041】
なお、特許文献2のように広範囲にわたって粘着テープを用いて尿飛散防止具を便座裏面に貼着させると、尿飛散防止具を取り外したときに、粘着テープの粘着剤の残渣が便座裏面に付着しやすくなる。特に、賃貸住宅において、便座裏面に粘着剤の残渣が付着した場合、現状回復をするのに費用がかかる場合がある。これに対して、本発明の粘着部材7が設けられている取付け部64は、支柱部62に対して間隔を空けて設けられており、一つ一つの粘着部7の面積が小さいため、尿飛散防止具1を取り外したときに、便座裏面に粘着剤の残渣が付着しにく、付着してもより少ない労力で除去することができる。
【0042】
(漏れ防止部材9)
漏れ防止部材9は、シート状の短冊形状を有しており、使い捨てし易く、防臭性、耐水性に優れ、可撓性および柔軟性を有する材料で構成されている。
【0043】
漏れ防止部材9の大きさは、上端部が便座3の裏面に当接するとともに下端部が便器本体2の上面に当接して便器前方の便座3と便器本体2との間の隙間4を塞ぐことができれば、特に限定されるものではないが、長さが10~30cm、幅が2~6cmであることが好ましく、長さが15~20cm、幅が2~5cmであることがより好ましい。長さが10cm未満であると、遮蔽部材5の側方の便座3と便器本体2との間の隙間4から尿が漏れるおそれがあり、30cm超であると、便座3の側方に飛び出してしまう。幅が2cm未満であると、便座3と便器本体2との間の隙間4が大きな便器では隙間4を塞ぐことができなくなるおそれがあり、6cm超であると、便座3の側方および前方に飛び出してしまう。漏れ防止部材9の幅は、一般的な便座3と便器本体2との間の隙間4より大きいことが重要である。なお、漏れ防止部材9の長さとは、便座3に取り付ける際に便座3と平行方向の辺の長さである。漏れ防止部材9の幅とは、便座3に取り付ける際に便座3と平行方向の辺と直行する辺の長さである。漏れ防止部材9は、取付け時に適宜カットして便座3の形状に合わせることが望ましい。
【0044】
漏れ防止部材9は、例えば、ポリエチレン、塩化ビニール、アクリル、ポリプロピレン、プラスチック等の合成樹脂、パラフィン蝋を塗布、浸透させる等した耐水紙で構成することができる。
【0045】
漏れ防止部材9の形状は、便器前方の便座3と便器本体2との間の隙間4を塞ぐことができれば、特に限定されるものではないが、矩形とすることが好適である。
【0046】
漏れ防止部材9は、上端部を粘着部の便座3への取付け面より突出させて桁部81に支持されている。これにより、図3を参照して、便座3に取り付けられた際に、漏れ防止部材9の上端部が便座3の裏面に当接する。また、漏れ防止部材9の幅が、一般的な便座3と便器本体2との間の隙間4より大きいため、便座3を便器本体2へ下した際に、漏れ防止部材9の下端部が便座3本体の上面に当接する。このとき、漏れ防止部材9は柔軟性を有しているため、隙間4の大きさに応じて、漏れ防止部材9の上端部および下端部が便座3裏面や便器本体2上面に追従して面接触するため、隙間4が漏れ防止部材9によって塞がれる。
【0047】
次に、本実施形態による尿飛散防止具1の使用方法について、説明する。まず、図5(A)に示すように、保持部材6と支持部材8とが一体形成されたシートを取付け部64に設けられた粘着部材7を下にして用意する。次に、図5(B)に示すように、支柱部62と保持部63との境界部分を谷折りし、第一爪部61を谷折りして取付け保持部63より突出させる。また、連結部82と桁部81との境界部分および桁部81と舌部83との境界部分をそれぞれ谷折りするとともに、第二爪部84を谷折りして連結部82より突出させる。次に、図5(C)に示すように、第二爪部84に舌部83の第二切込み部85を係止させる。次に、図5(D)に示すように、保持部63の第一爪部61に遮蔽部材5第一切込み部51を係止させる。
【0048】
そして、粘着部材7から剥離フィルムを剥離して粘着面を露出し、図1,2に示すように、保持部材6および遮蔽部材5を便座3の前部内側円弧に沿って湾曲させながら、粘着部材7を便座3の裏面に貼合させる。これにより、保持部材6に保持された遮蔽部材5および支持部材8に支持された漏れ防止部材9が便座3裏面に取り付けられる。このとき、粘着部材7が間隔を空けて便座3に貼合されるため、遮蔽部材5が便座3の円弧に十分に追従して取り付けられる。なお、漏れ防止部材9が便座3の側方より突出している場合は、その部分を鋏などで切断してもよい。
【0049】
なお、上述では、遮蔽部材5を保持部63に保持させた状態で、尿飛散防止具1を便座3の裏面に取り付けたが、遮蔽部材5を保持部63に保持させる前の図5(C)に示す状態で、便座3の裏面に取り付け、その後、遮蔽部材5を保持部63に保持させてもよい。
【0050】
そして、使用する際は、便座3を便器本体2に対して下すことにより、図3に示すように、便座3と便器本体2との間の隙間4が、遮蔽部材5により遮蔽されるとともに、漏れ防止部材9により塞がれる。このため、遮蔽部材5と便座3裏面との間の隙間4および支柱部62と便座3裏面との間の隙間から尿が漏れ出たとしても、漏れ防止部材9により尿が便器の外に漏れでるのを防止することができる。また、最も汚染されやすい遮蔽部材5は防臭性、耐水性に優れた材料で構成されているため、使用後に付着した尿を拭き取ったり、水をかけて洗い流したりして清潔に保つことができ、数回使用した後は、遮蔽部材5を保持部材6から取り外し、遮蔽部材5のみを新しいものと交換すればよいため、使用にかかる費用を抑えることができる。
【符号の説明】
【0051】
1:尿漏れ防止具
2:便器本体
3:便座
4:隙間
5:遮蔽部材
6:保持部材
7:粘着部材
8:支持部材
9:漏れ防止部材
図1
図2
図3
図4
図5