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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102016
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】鋼管柱の継手構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/58 20060101AFI20220630BHJP
   E04B 1/24 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
E04B1/58 503H
E04B1/24 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216477
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田原 健一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 聡
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AB16
2E125AG03
2E125AG57
2E125BB02
2E125BB11
2E125BB22
2E125BD01
2E125CA05
2E125CA90
(57)【要約】
【課題】ボルト接合された部分が鋼管柱の他の部分と比べて強度が低下しないことを目的とする。
【解決手段】鋼管柱の継手構造は、第1の鋼管柱の一端に設けられた第1のフランジと、第2の鋼管柱の一端に設けられた第2のフランジと、第1のフランジ及び前記第2のフランジと接する添え板とを含む。添え板は、第1の鋼管柱及び第2の鋼管柱の材軸方向に延びるリブを有し、第1の鋼管柱と第2の鋼管柱とが、第1のフランジ、前記第2のフランジ、及び添え板を用いてボルト接合されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の鋼管柱の一端に設けられた第1のフランジと、
第2の鋼管柱の一端に設けられた第2のフランジと、
前記第1のフランジ及び前記第2のフランジと接する添え板と、
を含み、
前記添え板は、前記第1の鋼管柱及び前記第2の鋼管柱の材軸方向に延びるリブを有し、
前記第1の鋼管柱と前記第2の鋼管柱とが、前記第1のフランジ、前記第2のフランジ、及び前記添え板を用いてボルト接合されていることを特徴とする鋼管柱の継手構造。
【請求項2】
前記添え板がL字形の断面形状を有し、前記第1のフランジ及び前記第2のフランジに当接する第1部分と、前記第1部分から屈曲する第2部分が前記リブとなる、請求項1に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項3】
前記添え板が、前記第1のフランジ及び前記第2のフランジの同一面に複数並置されている、請求項2に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項4】
前記リブが、前記添え板の中央部に設けられている、請求項1に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項5】
前記リブが、前記添え板の両側に設けられている、請求項1に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項6】
前記添え板が、前記第1のフランジ及び前記第2のフランジの外側面及び内側面の一方又は両方に設けられている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項7】
前記第1のフランジの厚さが前記第1の鋼管柱の厚さより厚く、前記第2のフランジの厚さが前記第2の鋼管柱の厚さより厚い、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項8】
前記第1の鋼管柱の表面と接合され前記第1のフランジに隣接する第1の補助板と、
前記第2の鋼管柱の表面に接合され前記第2のフランジに隣接する第2の補助板と、
を含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項9】
前記第1のフランジは、前記第1の鋼管柱の内側表面と面一に設けられ、前記第1の鋼管柱の外側表面から突出し、前記第1の補助板は、前記第1の鋼管柱の外側表面に接合され、
前記第2のフランジは、前記第2の鋼管柱の内側表面と面一に設けられ、前記第2の鋼管柱の外側表面から突出し、前記第2の補助板は、前記第2の鋼管柱の外側表面に接合されている、請求項8に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項10】
前記第1の補助板は、前記第1のフランジが前記第1の鋼管柱の外側表面から突出する高さと略同一又はそれより大きい板厚を有し、
前記第2の補助板は、前記第2のフランジが前記第2の鋼管柱の外側表面から突出する高さと略同一又はそれより大きい板厚を有する、請求項9に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項11】
前記第1のフランジは、前記第1の鋼管柱の外側表面と面一に設けられ、前記第1の鋼管柱の内側表面から突出し、前記第1の補助板は、前記第1の鋼管柱の内側表面に接合され、
前記第2のフランジは、前記第2の鋼管柱の外側表面と面一に設けられ、前記第2の鋼管柱の内側表面から突出し、前記第2の補助板は、前記第2の鋼管柱の内側表面に接合されている、請求項8に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項12】
前記第1の補助板は、前記第1のフランジが前記第1の鋼管柱の内側表面から突出する高さと略同一又はそれより大きい板厚を有し、
前記第2の補助板は、前記第2のフランジが前記第2の鋼管柱の内側表面から突出する高さと略同一又はそれより大きい板厚を有する、請求項11に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項13】
前記第1の鋼管柱の一端に第1のダイアフラムが設けられ、前記第2の鋼管柱の一端に第2のダイアフラムが設けられ、
前記第1のフランジが前記第1のダイアフラムに接合され、前記第2のフランジが前記第2のダイアフラムに接合されている、請求項1に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項14】
前記第1の鋼管柱と前記第2の鋼管柱とは外径が異なっている、請求項13に記載の鋼管柱の継手構造。
【請求項15】
前記第1の鋼管柱及び前記第2の鋼管柱が角形鋼管柱である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の鋼管柱の継手構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、建造物に用いられる鋼管柱の継手構造に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄骨部材を接合する方法として溶接接合とボルト接合が知られている。溶接接合は十分な強度を確保することができる反面、高度な技能と作業時間を要し、品質及び性能が作業者の技量に影響されると指摘されている。これに対し、ボルト接合は工期の短縮を図ることができ、品質管理が容易であるという利点を有する。ボルト接合は各種の鉄骨部材の接合に用いられており、例えば、鋼管柱とH形鋼との接合、鋼管柱同士を接合する構造が開示されている(特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-179702号公報
【特許文献2】特開2004-293196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鉄骨部材をボルト接合する場合、H型鋼のような開断面形状を有する部材であれば、容易にボルト接合をすることができる。しかし、鋼管柱のような管状の部材をボルト接合する場合、容易に施工できないという問題がある。さらに、ボルト接合された部分が鋼管柱の他の部分と比べて強度が低下しないことが求められる。
【0005】
本発明の目的の一つは、このような課題を解決するための鋼管柱の継手構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造は、第1の鋼管柱の一端に設けられた第1のフランジと、第2の鋼管柱の一端に設けられた第2のフランジと、第1のフランジ及び前記第2のフランジと接する添え板とを含む。添え板は、第1の鋼管柱及び第2の鋼管柱の材軸方向に延びるリブを有し、第1の鋼管柱と第2の鋼管柱とが、第1のフランジ、前記第2のフランジ、及び添え板を用いてボルト接合されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造によれば、フランジに当接する添え板にリブを設けることで、鋼管柱に荷重が加えられた場合に接合部が座屈するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構であって、図1(B)に示す継手構造の正面図を示す。
図3】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、図2に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図4】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)及び(B)はその展開図を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図4(A)及び(B)に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構の正面図を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図8】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、図7に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図9】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)及び(B)はその展開図を示す。
図10】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図9(A)及び(B)に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図11】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図12】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、図11に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図13】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造の展開図を示す。
図14】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図15】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、図14に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図16】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)及び(B)はその展開図を示す。
図17】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図16(A)及び(B)に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図18】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図19】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、図18に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図20】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)及び(B)はその展開図を示す。
図21】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図20(A)及び(B)に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図22】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図23】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、図22に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図24】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図25】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、図24に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図26】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)及び(B)はその展開図を示す。
図27】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図26(A)及び(B)に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図28】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図29】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、図28に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図30】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)及び(B)はその展開図を示す。
図31】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図30(A)及び(B)に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図32】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図33】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、図32に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図34】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図35】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、図34に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図36】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)及び(B)はその展開図を示す。
図37】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図36(A)に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図38】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図36(B)に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図39】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図40】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図34に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図41】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)及び(B)はその展開図を示す。
図42】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図41(A)に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図43】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図41(B)に示す継手構造の断面模式構造を示す。
図44】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示し、(A)は展開図、(B)は斜視図を示す。
図45】本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造であって、(A)及び(B)は図44に示す継手構造の断面模式構造を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の内容を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様を含み、以下に例示される実施形態の内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、それはあくまで一例であって、本発明の内容を限定するものではない。また、本明細書において、ある図面に記載されたある要素と、他の図面に記載されたある要素とが同一又は対応する関係にあるときは、同一の符号(又は符号として記載された数字の後にa、b等を付した符号)を付して、繰り返しの説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0010】
以下に示される各実施形態は、鋼管柱の継手構造について示すが、本発明の一実施形態はこの態様に限定されず、円形鋼管、異形鋼管の継手構造についても同等に適用することができる。
【0011】
[第1の実施形態]
図1(A)及び(B)は、本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示す。図1において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。本発明の一実施形態に係る鋼管柱の継手構造は、第1の鋼管柱と第2の鋼管柱とがボルト接合によって接合された構造を有する。図1(A)及び(B)は、鋼管柱が角形鋼管柱である場合を例示する。なお、図1(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0012】
図1(A)及び(B)に示す鋼管柱の継手構造は、第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112とが上下に配置され、フランジと添え板によりボルト接合された構造を有する。第1の鋼管柱102は、一端(下端)に第1のフランジ104が設けられ、第2の鋼管柱112は、一端(上端)に第2のフランジ114が設けられる。第1のフランジ104及び第2のフランジ114は、それぞれの鋼管柱の各面に対応して設けられる。すなわち、第1のフランジ104は、第1の鋼管柱102の4つの面に対応して4つ設けられ、第2のフランジ114は、第2の鋼管柱112の4つの面に対応して4つ設けられる。
【0013】
本実施形態に係る第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112とは、同じ断面形状及び同じ断面寸法を有する。第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112の厚さに対し、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の厚さは同じであってもよいが、本実施形態では第1のフランジ104及び第2のフランジ114の方が厚く形成されている例を示す。すなわち、本実施形態では、第1のフランジ104の厚さが、4個配置される第1のフランジ104の合計断面積が、第1の鋼管柱102の材軸方向に直交する断面の面積よりも大きくなるように設定される。第2のフランジ114の厚さと、第2の鋼管柱112との関係についても同様である。
【0014】
例えば、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の厚さは、第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112の厚さに比べて1.2倍から3倍、好ましくは1.5倍から2倍の厚さを有するように設定される。このように、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の厚さを、第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112の厚さより大きくすることで、接合部100の実質的な断面積を増加させることができ、それにより接合部100の強度を高めることができる。
【0015】
第1のフランジ104及び第2のフランジ114の長さ(鋼管柱の材軸方向の長さ)は、複数のボルトを直列に配置することができる長さを有し、その幅は、第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112の外径より小さくされている。
【0016】
第1のフランジ104は第1の鋼管柱102の一端(下端)に溶接され、第2のフランジ114は第2の鋼管柱112の一端(上端)に溶接される。第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112は、第1のフランジ104及び第2のフランジ114を用いて接合される。接合部100には、第1のフランジ104及び第2のフランジ114に当接する添え板が設けられる。図1(A)は、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の外側に第1の添え板105が適用され、内側に第2の添え板115が適用される例を示す。
【0017】
第1の鋼管柱102、第2の鋼管柱112、第1のフランジ104、第2のフランジ114、第1の添え板105、及び第2の添え板115は、鉄鋼材料で形成される。例えば、これらの部材は構造用圧延鋼材で形成される。
【0018】
本実施形態において、第1の添え板105及び第2の添え板115は、左右2つに分割されている。左右に分割された第1の添え板105a、105b及び第2の添え板115a、115bのそれぞれは、リブ120が設けられる。リブ120は、第1の添え板105a、105b及び第2の添え板115a、115bの上下方向に延び、それぞれの一端に沿って設けられる。別言すれば、リブ120は、鋼管柱の材軸方向と平行な方向に沿って、第1の添え板105a、105b及び第2の添え板115a、115bの一端から他端にかけて設けられる。
【0019】
第1の添え板105a、105b及び第2の添え板115a、115bはL字形の断面形状を有する。第1の添え板105a、105b及び第2の添え板115a、115bは、フランジに当接する第1の部分と、第1の部分から折れ曲がり突き出された第2の部分とを有し、その第2の部分によりリブ120が形成される。
【0020】
本実施形態において、リブ120の長さ(材軸方向の長さ)は添え板の長さと同じであり、幅は添え板の厚さと同じ又は同程度となる。また、リブ120の高さ(添え板の表面か突出する高さ)は、接合部100に求められる強度に応じて適宜設定される。例えば、リブ120の高さは、フランジの幅の0.2倍以上0.5倍以下の範囲で設けられる。添え板の厚さを大きくすることで接合部100の強度を高めることができ、リブ120の幅及び/又は高さを大きくすることで座屈を生じさせる荷重に対する耐性を高めることができる。
【0021】
第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)のそれぞれは、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の両方に当接することのできる長さ(材軸方向の長さ)を有する。第1のフランジ104、第2のフランジ114、第1の添え板105(105a、105b)、第2の添え板115(115a、115b)にはボルト孔が設けられる。第1のフランジ104及び第2のフランジ114は、外側に配置された第1の添え板105(105a、105b)と内側に配置された第2の添え板115(115、115b)とで挟まれてボルト締めされる。その結果、図1(B)に示すように、鋼管柱の継手構造には、第1のフランジ104、第2のフランジ、第1の添え板105(105a、105b)、及び第2の添え板115(115a、115b)により接合部100が形成される。
【0022】
なお、第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)のうち、一方の添え板は省略されてもよい。すなわち、第1の添え板105(105a、105b)と第2の添え板115(115a、115b)との一方の添え板のみによって十分な接合強度を確保することができる場合は、他方の添え板が省略されてもよい。
【0023】
図1(A)及び(B)は、第1の添え板105a、105b及び第2の添え板115a、115bのそれぞれのリブ120が、フランジの中央部分に配置された例を示す。図示されないが、リブ120は、フランジの両側部分に配置されてもよいし、中央部分と端部分に配置されてもよい。
【0024】
第1の補助板108が第1のフランジ104に隣接して第1の鋼管柱102に設けられ、第2の補助板118が第2のフランジ114に隣接して第2の鋼管柱112に設けられる。第1の補助板108及び第2の補助板118は鉄鋼材料で形成され、第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112にそれぞれ溶接接合される。図1(B)に示すように、第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112とが接合された状態で、材軸方向に第1の補助板108、第1のフランジ104、第2のフランジ114、第2の補助板118が並んで配置され、第1のフランジ104及び第2のフランジ114に当接するように第1の添え板105(裏面側には第2の添え板115)が設けられる。
【0025】
第1のフランジ104の厚さが第1の鋼管柱102の厚さより大きいとき、第1のフランジ104は厚さの差分だけ第1の鋼管柱102の外面から突出するように設けられる。第1の補助板108は、その突出する段差の高さと同じ厚さを有し、第1のフランジ104の外面と面一になるように設けられてもよい。第2の補助板118も第2の鋼管柱112に同様に設けられる。
【0026】
図2は、図1(B)に示す鋼管柱の継手構造の正面図を示す。第1のフランジ104は第1の鋼管柱102に接合され、第2のフランジ114は第2の鋼管柱112に接合される。第1のフランジ104は裏側面が第1の鋼管柱102の内側表面と面一になるように配置され、第2のフランジ114は裏側面が第2の鋼管柱112の内側表面と面一になるように配置され、それぞれ溶接される。溶接部130aには鋼管柱の内側から当て金132が設けられてもよい。溶接部130aは、第1のフランジ104と第1の鋼管柱102との境界部分及び第2のフランジ114と第2の鋼管柱112との境界部分に形成される。第1のフランジ104は第1の鋼管柱102の柱面から厚さの差分だけ突出するように設けられ、第2のフランジ114は第2の鋼管柱112の柱面から厚さの差分だけ突出するように設けられる。
【0027】
第1の補助板108は第1の鋼管柱102の柱面に溶接され、第2の補助板118は第2の鋼管柱112の柱面に溶接される。溶接部130bは、第1の補助板108及び第2の補助板118の外周に沿って設けられる。また、第1の補助板108は溶接部130aで第1のフランジ104及び第1の鋼管柱102と溶接され、第2の補助板118は溶接部130aで第2のフランジ114及び第2の鋼管柱112と溶接される。
【0028】
第1の補助板108を第1のフランジ104に隣接して第1の鋼管柱102に溶接し、第2の補助板118を第2のフランジ114に隣接して第2の鋼管柱112に溶接することで、第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112の接合部に隣接する部分の厚さを第1のフランジ104及び第2のフランジ114の厚さと同程度にすることができる。すなわち、第1の補助板108及び第2の補助板118により鋼管柱の実質的な厚さが大きくなり、接合部100の強度を高めることができる。さらに、本実施形態では、第1の添え板105及び第2の添え板115にリブ120が設けられることで、鋼管柱に荷重が加えられた場合に接合部100が座屈するのを防ぐことができる。
【0029】
なお、第1の補助板108及び第2の補助板118の平面視における寸法に特段の限定はない。例えば、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の長さ及び幅と略同一の寸法を有していてもよい。
【0030】
図3は、図2に示すA1-B1間の断面模式構造を示し、切断面を下から第1の鋼管柱102の方向を見たときの接合部100の構造を示す。接合部100は、第1のフランジ104が第1の鋼管柱102の各面に対応して設けられ、第1の補助板108a、108bと第2の補助板118a、118bとによって挟まれてボルト締めされた構造を有する。図3は、第1の鋼管柱102の各面に形成された接合部100を、時計回りに接合部100a、接合部100b、接合部100c、接合部100dとして示す。
【0031】
接合部100aは、第1のフランジ104と、第1のフランジ104を挟む第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)により形成される。第1の添え板105(105a、105b)のリブ120aは、第1の鋼管柱102の外側に突出するように設けられ、第2の添え板115(115a、115b)のリブ120bは第1の鋼管柱102の内側に突出するように設けられる。このような構造は、接合部100b、接合部100c、接合部100dについても同様である。
【0032】
接合部100aは、隣接する接合部100b及び接合部100dと離隔して設けられる。別言すれば、第1の鋼管柱102の各面に形成される接合部100a、100b、100c、100dは、隣接する接合部と離隔して設けられる。このような接合部の配置により、第1の鋼管柱102の角部に開口部122が形成される。開口部122は、接合部100の内側の空間と外側とをつなぐ領域となる。図示されないが、第2の鋼管柱112の側も同様の構造が形成される。
【0033】
本実施形態に係る鋼管柱の継手構造は、鋼管柱の角部に対応して開口部122を有することにより、ボルト接合の施工を容易に行うことができる。図3に示すように、第1の鋼管柱102の内側にリブ120bが突出する場合には、リブ120bが障害となりボルト接合の施工が困難になる場合がある。しかし、開口部122が形成されることにより、ボルト接合の施工が容易となる。すなわち、作業者は、開口部122を使って内側からボルトをボルト孔に差し込み、工具を使ってボルト接合の作業を容易に行うことができる。
【0034】
図1(B)に示すように、開口部122の高さは、第1のフランジ104の長さ(鋼管柱の材軸方向の長さ)と第2のフランジ114の長さ(同)との合計長さと同程度にすることができ、開口部122の幅は、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の幅によって適宜設定することができる。これにより、作業者が鋼管柱の内側にボルトや工具等を入れて作業するのに十分な大きさの開口部122を形成することができる。
【0035】
図4(A)及び(B)は、本実施形態に係る鋼管柱の継手構造の展開図を示す。また、図5(A)及び(B)は、当該継手構造の接合部の断面模式構造を示す。
【0036】
図4(A)は、リブ120が第1の添え板105(105a、105b)に設けられ、第2の添え板115が平板状である場合の展開図を示し、図5(A)はその接合部100の断面模式構造を示す。少なくとも第1の添え板105にリブ120が設けられることにより、接合部100の強度を高め座屈を防ぐことができる。
【0037】
図4(B)は、リブ120が第2の添え板115(115a、115b)に設けられ、第1の添え板105が平板状である場合の展開図を示し、図5(B)はその接合部100の断面模式構造を示す。この例では、第1の添え板105にリブが設けられないことにより、柱体からリブが突出しない構造とすることができ、外観に影響を与えず、意匠性に影響を与えないようにすることができる。
【0038】
本実施形態に係る鋼管柱の継手構造は、第1の添え板105及び第2の添え板115の一方又は両方にリブ120が設けられることにより、鋼管柱の接合部100の強度を高めることができる。すなわち、リブ120が設けられることで、鋼管柱に荷重が加えられた場合に接合部100が座屈することの防止することができる。さらに、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の厚さが、第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112の厚さよりも大きいことによっても接合部100の強度が高められる。
【0039】
また、本実施形態に係る鋼管柱の継手構造は、第1のフランジ104の上端部に当接するように第1の鋼管柱102に溶接された第1の補助板108が設けられ、第2のフランジ114の下端部に当接するように第2の鋼管柱112に溶接された第2の補助板118が設けられることにより、第1のフランジ104及び第2のフランジ114から第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112の側に作用する応力を、第1の補助板108及び第2の補助板118に分散させることができる。それにより、第1の鋼管柱102と第1のフランジ104との界面、及び第2の鋼管柱112と第2のフランジ114との界面に応力が集中することを防ぐことができ、接合部100の強度を高めることができる。
【0040】
[変形例1]
図6は、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の取り付け位置が、図1乃至図3と異なる態様を示す。図4は、鋼管柱の継手構造の正面図を示し、第1のフランジ104が第1の鋼管柱102の外側表面と面一に設けられ、第2のフランジ114が第2の鋼管柱112の外側表面と面一に設けられた構造を示す。また、第1の補助板108が第1のフランジ104に隣接して第1の鋼管柱102の内側表面に設けられ、第2の補助板118が第2のフランジ114に隣接して第2の鋼管柱112の内側表面に設けられる。
【0041】
第1の添え板105及び第2の添え板115の構成は同様である。このように第1のフランジ104及び第2のフランジ114の取り付け位置が変更された場合であっても、第1の添え板105及び第2の添え板115を用いて第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112を接合することができる。
【0042】
[第2の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態に示す鋼管柱の継手構造において、添え板の構造が異なる一例を示す。以下の説明においては第1の実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0043】
図7(A)及び(B)は、本実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示す。図7において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。図8は鋼管柱の継手構造の断面模式図を示す。本実施形態において、第1の添え板106及び第2の添え板116は、リブ120を形成する棒状の部材が添え板を形成する板状の部材に接合された構造を有する。なお、図7(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0044】
図7(A)に示すように、第1の添え板106及び第2の添え板116は、中央部分を縦貫するようにリブ120a、120bが設けられる。リブ120a、120bは、第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112の材軸方向と平行な方向に沿って、第1の添え板106及び第2の添え板116のそれぞれの上端から下端にかけて設けられる。図8に示すように、リブ120a、120bは、第1の添え板106及び第2の添え板116に溶接される。リブ120aが第1添え板106に当接された部分には溶接部124aが形成され、リブ120bが当接された部分には溶接部124bが形成される(なお、図7(A)及び(B)ではリブ120a、120bの溶接部が省略されている)。第1の添え板106及び第2の添え板116にリブ120a、120bが溶接されていることで、接合部100の強度を高めることができる。例えば、鋼管柱に荷重が加えられた場合に接合部100が座屈するのを防止することができる。
【0045】
リブ120a、120bを形成する部材(棒状の部材又は板状の部材)を別部材とし、板状部材に溶接することで、添え板に設けるリブ120a、120bの幅、厚さを適宜選択することができる。それにより、接合部100に要求される強度に応じてリブ120a、120bの大きさを設計することができる。例えば、リブ120a、120bの幅及び高さを高くすることで、座屈荷重(接合部が座屈するときの荷重)を大きくすることができ、鋼管柱の強度を高めることができる。
【0046】
図7(B)及び図8に示すように、接合部100には開口部122が形成される。開口部122を有することにより、第1の添え板106及び第2の添え板116にリブ120a、120bが設けられても、ボルト接合の施工を容易に行うことができる。なお、鋼管柱の外側に配置される第1の添え板106に関しては、リブ120aが最初から設けられていてもよいし、ボルト接合を形成した後にリブ120aが溶接されてもよい。
【0047】
図9(A)及び(B)は、本実施形態に係る鋼管柱の継手構造の展開図を示す。また、図10(A)及び(B)は、当該継手構造の接合部の断面模式構造を示す。
【0048】
図9(A)は、リブ120aが第1の添え板106に設けられ、第2の添え板116にリブが設けられず平板状である場合を示し、図10(A)はその接合部100の断面模式構造を示す。第1の添え板106にリブ120aが設けられることにより、接合部100の強度を高め座屈を防ぐことができる。
【0049】
図9(B)は、リブ120bが第2の添え板116に設けられ、第1の添え板106にリブが設けられず平板状である場合を示し、図10(B)はその接合部100の断面模式構造を示す。この例では、第1の添え板106にリブが設けられないことにより、柱体からリブが突出しない構造とすることができ、外観に影響を与えず、意匠性に影響を与えないようにすることができる。このように、第1の添え板106及び第2の添え板116の一方のみにリブが設けられる構造としても、座屈荷重(接合部が座屈するときの荷重)を大きくすることができ、鋼管柱の強度を高めることができる。
【0050】
なお、本実施形態では、リブ120a、120bが材軸方向と平行な方向に配置される例を示すが、リブ120a、120bの配置はこれに限定されず添え板の一端から対角の他端にかけて斜めに配置されてもよい。
【0051】
本実施形態に係る鋼管柱の継手構造は、リブの形態が異なる他は第1の実施形態と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
[第3の実施形態]
本実施形態は、第2の実施形態に示す鋼管柱の継手構造において、添え板の構造が異なる他の一例を示す。以下の説明においては第2の実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0053】
図11(A)及び(B)は、本実施形態に係る鋼管柱の継手構造を示す。図11において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。図12は鋼管柱の継手構造の断面模式図を示す。本実施形態においても、第1の添え板107及び第2の添え板117は、板状部材にリブ120cが設けられた構造を有するが、リブ120cの取り付け位置が第2の実施形態と異なっている。なお、図11(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0054】
図11(A)に示すように、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の外側に配置される第1の添え板107にリブ120cが複数設けられ、内側に設けられる第2の添え板117にはリブが設けられない構成を有する。図11(A)及び(B)に示すように、リブ120cは、第1の添え板107の上端から下端にかけて、材軸方向に沿って設けられる。図11(A)及び(B)は、リブ120cが第1の添え板107の左右両端に設けられる態様を示すが、リブ120cの取り付け位置は図示されるものに限定されず、第1の添え板107が第1のフランジ104及び第2のフランジ114に取り付けられる際に、ボルト及びナットと干渉しない位置であれば、左右の端部より内側に設けられてもよい。図12に示すように、リブ120cは第1の添え板107に当接され溶接部124cにおいて溶接される(なお、図11(A)及び(B)ではリブ120cの溶接部が省略されている)。
【0055】
図11(B)及び図12に示すように、接合部100は開口部122を有し、第1の添え板107にリブ120cが設けられても、ボルト接合の施工を容易に行うことができる。なお、第1の添え板107は、リブ120cが最初から設けられていてもよいし、ボルト接合を形成した後にリブ120cが溶接されてもよい。
【0056】
このように、第1の添え板107に複数のリブ120を設け第2の添え板117にリブを設けない構成としても、両方の添え板にリブが設けられた第2の実施形態における継手構造と同等の強度を得ることができる。
【0057】
[変形例2]
図13に示すように、第1の添え板107の中央部分にリブ120aを設け両側にリブ120cを設け、第2の添え板117には中央部分にリブ120bを設ける構成とすることができる。図13に示す構成によれば、第1の添え板107に設けるリブ120の数を増やすことができるので、接合部100の強度をより高めることができる。
【0058】
本実施形態に係る鋼管柱の継手構造は、リブの形態が異なる他は第2の実施形態と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0059】
[第4の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態に示す鋼管柱の継手構造において、フランジの構成が異なる一例を示す。以下の説明においては第1の実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0060】
(1)第1の構成
図14(A)及び(B)は、本実施形態の第1の構成に係る鋼管柱の継手構造を示す。図14において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。図15は鋼管柱の継手構造の断面模式図を示す。本実施形態の第1の構成において、第1のフランジ104は第1の鋼管柱102から連続する部材で形成され、第2のフランジ114は第2の鋼管柱112から連続する部材で形成される。なお、図14(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0061】
図14(A)及び(B)に示すように、第1の鋼管柱102の一端(下端)に第1のフランジ104が設けられ、第2の鋼管柱112の一端(上端)に第2のフランジ114が設けられる。第1のフランジ104は、第1の鋼管柱102から連続し同一の厚さを有し、第2のフランジ114は第2の鋼管柱112から連続し同一の厚さを有する。第1のフランジ104は第1の鋼管柱102の各面に対応して設けられ、第2のフランジ114は第2の鋼管柱112の各面に対応して設けられる。
【0062】
第1のフランジ104及び第2のフランジ114は、それぞれの鋼管柱の角部を切欠くことにより形成されてもよい。図14(A)及び(B)は、断面形状が角形である第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112の角部を切欠くことにより第1の切欠部109及び第2の切欠部119が形成され、それにより第1のフランジ104及び第2のフランジ114が形成される形態を示す。
【0063】
第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112とは、第1の実施形態に示す断面がL字形に屈曲した第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)を用いて接合される。第1の添え板105(105a、105b)は、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の外側から当接され、第2の添え板115(115a、115b)は第1のフランジ104及び第2のフランジ114の内側から当接される。
【0064】
図14(A)及び(B)、並びに図15に示す鋼管柱の継手構造においても、第1の添え板105及び第2の添え板115にリブ120が設けられることにより、鋼管柱に荷重が加えられた場合に接合部100が座屈するのを防ぐことができる。
【0065】
図15は、接合部100の断面模式構造として、第1の鋼管柱102側の構造を示す。第1の鋼管柱102には、第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)により、各面に接合部100a、100b、100c、100dが形成される。第1のフランジ104は、第1の切欠部109により隣接する第1のフランジと離隔して形成される。図示されないが、第2の鋼管柱112も同様の構造を有する。このような構成により、図15及び図14(B)に示すように、接合部100に開口部122が形成される。開口部122は、第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112の内側の空間と外側の空間との境界をなくし、接合部100の内側の空間と外側とをつなぐ領域となる。
【0066】
本実施形態の第1の構成においても、鋼管柱の角部に対応して開口部122が形成されることにより、ボルト接合の施工を容易に行うことができる。開口部122は、鋼管柱の各角部に対応して形成されるため、第1の添え板105a、105b及び第2の添え板115a、115bが材軸方向に対して左右に分割されていても、ボルト接合の作業を容易に行うことができる。
【0067】
図16(A)及び(B)は、本実施形態の第1の構成に係る鋼管柱の継手構造の展開図を示す。また、図17(A)及び(B)は、当該継手構造の接合部の断面模式構造を示す。なお、図16(A)及び(B)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0068】
図16(A)は、リブ120が第1の添え板105に設けられ、第2の添え板115が平板状である場合の展開図を示し、図17(A)はその接合部100の断面模式構造を示す。少なくとも第1の添え板105(105a、105b)にリブ120が設けられることにより、鋼管柱に荷重が加えられた場合に接合部100の座屈を防ぐことができる。
【0069】
図16(B)は、リブ120が第2の添え板115(115a、115b)に設けられ、第1の添え板105が平板状である場合の展開図を示し、図17(B)はその接合部100の断面模式構造を示す。第1の添え板105にリブが設けられないことにより、柱体からリブが突出しない構造とすることができ、外観に影響を与えず、意匠性に影響を与えないようにすることができる。
【0070】
図14乃至図17に示す鋼管柱の継手構造は、第1の鋼管柱102及び第1のフランジ104、並びに第2の鋼管柱112及び第2のフランジ114の構成が異なる他は第1の実施形態と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0071】
(2)第2の構成
図18(A)及び(B)は、本実施形態の第2の構成に係る鋼管柱の継手構造を示す。図18において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。図19は鋼管柱の継手構造の断面模式図を示す。本実施形態の第2の構成において、第1の添え板106及び第2の添え板116は、第2の実施形態と同様の構成を有する。第1の鋼管柱102には、第1の切欠部109によって第1のフランジ104が形成され、第2の鋼管柱112には、第2の切欠部119によって第2のフランジ114が形成されている。なお、図18(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0072】
図18(A)に示すように、第1の添え板106及び第2の添え板116は、中央部分を縦貫するリブ120a、120bが設けられ、図19に示すように、第1の添え板106と第2の添え板116とによって第1のフランジ104及び第2のフランジ114が挟まれて接合部100が形成される。図19に示すように、リブ120a、120bは、第1の添え板106及び第2の添え板116に当接され、溶接部124a、124bにおいて溶接される(なお、図18(A)及び(B)ではリブ120a、120bの溶接部が省略されている)。図18(B)及び図19に示すように、接合部100に開口部122を有し、第1の添え板106及び第2の添え板116にリブ120a、120bが設けられても、ボルト接合の施工を容易に行うことができる。
【0073】
図18(A)及び(B)、並びに図19に示す鋼管柱の継手構造は、第1の鋼管柱102及び第1のフランジ104、並びに第2の鋼管柱112及び第2のフランジ114の構成が異なる他は第2の実施形態と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0074】
図20(A)及び(B)は、本実施形態の第2の構成に係る鋼管柱の継手構造の展開図を示す。また、図21(A)及び(B)は、当該継手構造の接合部の断面模式構造を示す。なお、図20(A)及び(B)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。また、図20(A)及び(B)において溶接部は省略されている。
【0075】
図20(A)は、リブ120aが第1の添え板106に設けられ、第2の添え板116にリブが設けられず平板状である場合を示し、図21(A)はその接合部100の断面模式構造を示す。図20(B)は、リブ120bが第2の添え板116に設けられ、第1の添え板106にリブが設けられず平板状である場合を示し、図21(B)はその接合部100の断面模式構造を示す。第1の添え板106及び第2の添え板116の一方のみにリブが設けられる構造としても、接合部100にリブが含まれることとなり、接合部100の強度を高め座屈を防ぐことができる。
【0076】
図18(A)及び(B)、並びに図21(A)及び(B)に示す鋼管柱の継手構造は、第1の鋼管柱102に設けられる第1のフランジ104及び第2の鋼管柱112に設けられる第2のフランジ114の構成が異なる他は第2の実施形態と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0077】
なお、本実施形態の第2の構成では、リブ120a、120bが材軸方向と平行な方向に配置される例を示すが、リブ120の配置はこれに限定されず添え板の一端から対角の他端にかけて斜めに配置されてもよい。
【0078】
(3)第3の構成
図22(A)及び(B)は、本実施形態の第3の構成に係る鋼管柱の継手構造を示す。図22において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。図23は鋼管柱の継手構造の断面模式図を示す。本実施形態の第3の構成において、第1の添え板107及び第2の添え板117は、第3の実施形態と同様の構成を有する。なお、図22(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0079】
図22(A)に示すように、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の外側に配置される第1の添え板107にリブ120cが複数設けられ、内側に設けられる第2の添え板117にはリブが設けられない構成を有する。第1の鋼管柱102には、第1の切欠部109によって第1のフランジ104が形成され、第2の鋼管柱112には、第2の切欠部119によって第2のフランジ114が形成されている。
【0080】
図22(A)に示すように、第1の添え板107は、左右両側にリブ120cが設けられ、図23に示すように、第1の添え板107と第2の添え板117とによって第1のフランジ104及び第2のフランジ114が挟まれて接合部100が形成される。リブ120cは、第1の添え板107に溶接され溶接部124cが形成される。図22(B)及び図23に示すように、接合部100に開口部122を有し、第1の添え板107にリブ120cが設けられても、ボルト接合の施工を容易に行うことができる。なお、第1の添え板107は、リブ120cが最初から設けられていてもよいし、ボルト接合を形成した後にリブ120cが溶接されてもよい。
【0081】
図22(A)及び(B)、並びに図23に示す鋼管柱の継手構造は、第1の鋼管柱102及び第1のフランジ104、並びに第2の鋼管柱112及び第2のフランジ114の構成が異なる他は、第3の実施形態と同様であり、また、変形例2と組み合わせることも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0082】
[第5の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態に示す鋼管柱の継手構造において、鋼管柱にダイアフラムが設けられた一例を示す。以下の説明においては第1の実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0083】
(1)第1の構成
【0084】
図24(A)及び(B)は、本実施形態の第1の構成に係る鋼管柱の継手構造を示す。図24において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。図25は鋼管柱の継手構造の断面模式図を示す。なお、図24(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0085】
本実施形態の第1の構成において、第1の鋼管柱102の端部には第1のダイアフラム103が設けられ、第2の鋼管柱112の端部には第2のダイアフラム113が設けられる。第1のダイアフラム103は、第1の鋼管柱102の開放端を塞ぐように設けられ、第2のダイアフラム113は、第2の鋼管柱112の開放端を塞ぐように設けられる。第1のダイアフラム103及び第2のダイアフラム113は、鋼管柱と同じ鉄鋼材料で形成される。第1のダイアフラム103及び第2のダイアフラム113は、例えば、溶接により第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112とそれぞれ接合される。
【0086】
第1のフランジ104は第1のダイアフラム103の面内に立設するように設けられる。第1のフランジ104は、第1のダイアフラム103の面内で第1の鋼管柱102の各面に対応するように設けられる。第1のフランジ104は第1のダイアフラム103に溶接される。第2のフランジ114も第2のダイアフラム113に同様に設けられる。
【0087】
なお、図24(A)は、第1のダイアフラム103及び第2のダイアフラム113が4つの面を形成するように配置される例を示すが、図示される配置に限定されず様々な配置をすることができる。例えば、第1のダイアフラム103及び第2のダイアフラム113は、平面視で三角形、五角形、六角形を形成するように配置することができる。
【0088】
ダイアフラムを介してフランジを設けることで、接合部100の強度設計における自由度を高めることができる。すなわち、鋼管柱の柱径及び厚さに拘束されずに接合部にフランジを設けることができる。例えば、鋼管柱の肉厚に対しフランジの板厚を大きくすることができる。また、フランジの配置を、鋼管柱の柱径に制限されずに、ダイアフラムの面内で自由に配置することができる。
【0089】
図24(A)及び図25に示すように、第1のフランジ104は第1の鋼管柱102の角部と重ならない位置に設けられ、第2のフランジ114は第2の鋼管柱112の角部に重ならないように設けられる。このようなフランジの配置により、第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112を接合したとき、継手部分に開口部122を形成することができる。図24(B)は、第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112とが接合されたとき、接合部100に開口部122が形成される態様を示す。
【0090】
接合部100には、第1の実施形態に示す第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)が用いられる。第1の添え板105(105a、105b)は、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の外側から当接され、第2の添え板115(115a、115b)は第1のフランジ104及び第2のフランジ114の内側から当接される。
【0091】
本実施形態においても、第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)にリブ120が設けられることにより、接合部100の強度を高めることができる。例えば、鋼管柱に座屈荷重が作用したとき接合部100の座屈を防止することができる。
【0092】
図25は、接合部100の断面模式構造であって、第1の鋼管柱102の側を見たときの模式的な構造を示す。第1の鋼管柱102には、第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)により、各面に接合部100a、100b、100c、100dが形成される。第1のフランジ104は、隣接する第1のフランジと離隔して形成される。図示されないが、第2の鋼管柱112も同様の構造を有する。このような構成により、図24(B)及び図25に示すように、継手部分には開口部122が形成される。
【0093】
本実施形態においても、鋼管柱の角部に対応して開口部122が形成されることにより、ボルト接合の施工を容易に行うことができる。開口部122は、鋼管柱の各角部に対応して形成されるため、第1の添え板105a、105b及び第2の添え板115a、115bが材軸方向に対して左右に分割されていても、ボルト接合の作業を容易に行うことができる。
【0094】
図24(A)及び(B)、並びに図25に示す鋼管柱の継手構造においても、第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)がリブ120を有することにより、接合部100の強度を高めることができ、鋼管柱に荷重が加えられた場合に接合部100が座屈するのを防止することができる。
【0095】
図26(A)及び(B)は、本実施形態の第1の構成に係る鋼管柱の継手構造の展開図を示す。また、図27(A)及び(B)は、当該継手構造の接合部の断面模式構造を示す。なお、図27(A)及び(B)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0096】
図26(A)は、リブ120が第1の添え板105に設けられ、第2の添え板115が平板状である場合の展開図を示し、図27(A)はその接合部100の断面模式構造を示す。図26(B)は、リブ120が第2の添え板115(115a、115b)に設けられ、第1の添え板105が平板状である場合の展開図を示し、図27(B)はその接合部100の断面模式構造を示す。第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)の一方にリブ120が設けられることにより、鋼管柱に荷重が加えられた場合に接合部100の座屈を防ぐことができる。
【0097】
本実施形態の第1の構成に係る鋼管柱の継手構造は、第1のダイアフラム103及び第2のダイアフラム113が設けられたことの他は、第1の実施形態と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0098】
(2)第2の構成
図28(A)及び(B)は、本実施形態の第2の構成に係る鋼管柱の継手構造を示す。図28において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。図29は鋼管柱の継手構造の断面模式図を示す。本実施形態の第2の構成において、第1のフランジ104は第1のダイアフラム103に接合され、第2のフランジ114は第2のダイアフラム113に接合され、第1の添え板106及び第2の添え板116は、第2の実施形態と同様の構成を有する。なお、図28(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0099】
図30(A)及び(B)は、本実施形態の第2の構成に係る鋼管柱の継手構造の展開図を示す。また、図31(A)及び(B)は、当該継手構造の接合部の断面模式構造を示す。なお、図30(A)及び(B)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0100】
図30(A)及び図31(B)は、リブ120aが第1の添え板106に設けられ、第2の添え板116にリブが設けられず平板状である場合を示す。図30(B)及び図31(B)は、リブ120bが第2の添え板116に設けられ、第1の添え板106にリブが設けられず平板状である場合を示す。第1の添え板106及び第2の添え板116の一方のみにリブが設けられる構造としても、接合部100にリブが含まれることとなり、接合部100の強度を高め座屈を防ぐことができる。
【0101】
本実施形態の第2の構成は、鋼管柱にダイアフラムが設けられたことの他は、第2の実施形態と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0102】
なお、本実施形態の第2の構成では、リブ120a、120bが材軸方向と平行な方向に配置される例を示すが、リブ120の配置はこれに限定されず添え板の一端から対角の他端にかけて斜めに配置されてもよい。
【0103】
(3)第3の構成
図32(A)及び(B)は、本実施形態の第3の構成に係る鋼管柱の継手構造を示す。図32において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。図33は鋼管柱の継手構造の断面模式図を示す。本実施形態の第3の構成において、第1のフランジ104は第1のダイアフラム103に接合され、第2のフランジ114は第2のダイアフラム113に接合され、第1の添え板107及び第2の添え板117は、第3の実施形態と同様の構成を有する。なお、図32(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0104】
図32(A)に示すように、第1の添え板107はリブ120cが設けられ、第2の添え板117にはリブが設けられていない。第1の添え板107に設けられたリブ120cは、材軸方向に沿って伸び、左右両側に設けられる。図33に示すように、第1の添え板107と第2の添え板117とによって第1のフランジ104及び第2のフランジ114が挟まれて接合部100が形成される。リブ120cは、第1の添え板107に溶接され溶接部124cが形成される。図33及び図32(B)に示すように、継手部分には開口部122が形成されるため、第1の添え板107にリブ120cが設けられても、ボルト接合の施工を容易に行うことができる。
【0105】
本実施形態の第3の構成は、鋼管柱にダイアフラムが設けられたことの他は、第3の実施形態と同様であり、また、変形例2と組み合わせることも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0106】
[第6の実施形態]
本実施形態は、第5の実施形態に示す鋼管柱の継手構造において、第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112との柱径が異なる場合の一例を示す。以下の説明においては第5の実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0107】
(1)第1の構成
図34(A)及び(B)は、本実施形態の第1の構成に係る鋼管柱の継手構造を示す。図34において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。図35は鋼管柱の継手構造の断面模式図を示す。なお、図34(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0108】
本実施形態において、第1の鋼管柱102に対し第2の鋼管柱112は柱径(柱の太さ)が太くされている。すなわち、上側に配置される第1の鋼管柱102に対し、下側に配置される第2の鋼管柱112112の柱径は太いものが用いられる。本実施形態の第1の構成に係る鋼管柱の継手構造は、柱径の異なる(太さの異なる)鋼管柱を繋ぎ合わせた構造を有している。
【0109】
図34(A)に示すように、第1の鋼管柱102に第1のダイアフラム103が設けられ、第2の鋼管柱112に第2のダイアフラム113が設けられる。第1のダイアフラム103は第1の鋼管柱102の一端(下端)を塞ぐように溶接され、第2のダイアフラム113は第2の鋼管柱112の一端(上端)を塞ぐように溶接される。
【0110】
第1の鋼管柱102及び第2の鋼管柱112は柱径(太さ)が異なるため、それに応じて第1のダイアフラム103と第2のダイアフラム113の平面視における面積が異なっていてもよい。ダイアフラムは鋼管柱の端面を塞ぐことのできる大きさを有していればよく、第1のダイアフラム103対し、第2のダイアフラム113の平面視における大きさは大きくてもよい。また、下側に配置される第2のダイアフラム113は、剛性および耐力を高めるために第1のダイアフラム103に対して厚さが大きい方が好ましい。
【0111】
第1のフランジ104は第1のダイアフラム103の面内に立設するように設けられる。第1のフランジ104は、第1のダイアフラム103の面内で第1の鋼管柱102の各面に対応するように設けられる。第1のフランジ104は第1のダイアフラム103に溶接される。第2のフランジ114も第2のダイアフラム113に同様に設けられる。それにより、第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112を接合したとき、継手部分に開口部122を形成することができる。図34(B)は、第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112とが接合されたとき、接合部100に開口部122が形成される態様を示す。
【0112】
接合部100には、第1の実施形態に示す第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)が用いられる。第1の添え板105(105a、105b)は、第1のフランジ104及び第2のフランジ114の外側から当接され、第2の添え板115(115a、115b)は第1のフランジ104及び第2のフランジ114の内側から当接される。
【0113】
本実施形態においても、第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)にリブ120が設けられることにより、接合部100の強度を高めることができる。例えば、鋼管柱に座屈荷重が作用したとき接合部100の座屈を防止することができる。
【0114】
図35(A)は、接合部100の第2の鋼管柱112の側を見た断面模式構造を示し、同図(B)は接合部100の第1の鋼管柱102の側を見た断面模式構造を示す。第1の鋼管柱102には、第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)により、各面に接合部100a、100b、100c、100dが形成される。第1のフランジ104は、隣接する第1のフランジと離隔して形成される。図示されないが、第2の鋼管柱112も同様の構造を有する。このような構成により、図34(B)及び図35に示すように、継手部分には開口部122が形成される。
【0115】
本実施形態においても、鋼管柱の角部に対応して開口部122が形成されることにより、ボルト接合の施工を容易に行うことができる。開口部122は、鋼管柱の各角部に対応して形成されるため、第1の添え板105a、105b及び第2の添え板115a、115bが材軸方向に対して左右に分割されていても、ボルト接合の作業を容易に行うことができる。
【0116】
図34(A)及び(B)、並びに図35に示す鋼管柱の継手構造においても、第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)がリブ120を有することにより、接合部100の強度を高めることができ、鋼管柱に荷重が加えられた場合に接合部100が座屈するのを防止することができる。
【0117】
さらに、鋼管柱の端部にダイアフラムを設けることで、太さの異なる鋼管柱を接合することができる。それに加え、鋼管柱の厚さに対しフランジの厚さを大きくすることができ、接合部の強度を高めることができる。
【0118】
図36(A)及び(B)は、本実施形態の第1の構成に係る鋼管柱の継手構造の展開図を示す。また、図37(A)及び(B)、並びに図38(A)及び(B)は、当該継手構造の接合部の断面模式構造を示す。なお、図37(A)及び(B)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0119】
図36(A)は、リブ120が第1の添え板105に設けられ、第2の添え板115が平板状である場合の展開図を示し、図37(A)は接合部100の第2の鋼管柱112の側を見た断面模式構造を示し、同図(B)は接合部100の第1の鋼管柱102の側を見た断面模式構造を示す。図36(B)は、リブ120が第2の添え板115(115a、115b)に設けられ、第1の添え板105が平板状である場合の展開図を示し、図38(A)は接合部100の第2の鋼管柱112の側を見た断面模式構造を示し、同図(B)は接合部100の第1の鋼管柱102の側を見た断面模式構造を示す。第1の添え板105(105a、105b)及び第2の添え板115(115a、115b)の一方にリブ120が設けられることにより、鋼管柱に荷重が加えられた場合に接合部100の座屈を防ぐことができる。
【0120】
本実施形態の第1の構成に係る鋼管柱の継手構造は、第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112の柱径と、第1のダイアフラム103及び第2のダイアフラム113の構成が異なることの他は、第5の実施形態の第1の構成と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0121】
(2)第2の構成
図39(A)及び(B)は、本実施形態の第2の構成に係る鋼管柱の継手構造を示す。図39において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。図40は鋼管柱の継手構造の断面模式図を示す。本実施形態の第2の構成において、第1のフランジ104は第1のダイアフラム103に接合され、第2のフランジ114は第2のダイアフラム113に接合され、第1の添え板106及び第2の添え板116は、第2の実施形態と同様の構成を有する。なお、図39(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0122】
図41(A)は、リブ120aが第1の添え板105に設けられ、第2の添え板116が平板状である場合の展開図を示し、図42(A)は接合部100の第2の鋼管柱112の側を見た断面模式構造を示し、同図(B)は接合部100の第1の鋼管柱102の側を見た断面模式構造を示す。図41(B)は、リブ120bが第2の添え板116に設けられ、第1の添え板106が平板状である場合の展開図を示し、図43(A)は接合部100の第2の鋼管柱112の側を見た断面模式構造を示し、同図(B)は接合部100の第1の鋼管柱102の側を見た断面模式構造を示す。なお、図41(A)及び(B)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0123】
図41(A)、図41-1(A)及び(B)は、リブ120aが第1の添え板106に設けられ、第2の添え板116にリブが設けられず平板状である場合を示す。図30(B)及び図43(A)及び(B)は、リブ120bが第2の添え板116に設けられ、第1の添え板106にリブが設けられず平板状である場合を示す。第1の添え板106及び第2の添え板116の一方のみにリブが設けられる構造としても、接合部100にリブが含まれることとなり、接合部100の強度を高め座屈を防ぐことができる。
【0124】
本実施形態の第2の構成に係る鋼管柱の継手構造は、第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112の柱径と、第1のダイアフラム103及び第2のダイアフラム113の構成が異なることの他は、第5の実施形態の第2の構成と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【0125】
なお、本実施形態の第2の構成では、リブ120a、120bが材軸方向と平行な方向に配置される例を示すが、リブ120の配置はこれに限定されず添え板の一端から対角の他端にかけて斜めに配置されてもよい。
【0126】
(3)第3の構成
図44(A)及び(B)は、本実施形態の第3の構成に係る鋼管柱の継手構造を示す。図44において、(A)は鋼管柱の継手構造の展開図を示し、(B)はその斜視図を示す。図45は鋼管柱の継手構造の断面模式図を示す。本実施形態の第3の構成において、第1のフランジ104は第1のダイアフラム103に接合され、第2のフランジ114は第2のダイアフラム113に接合され、第1の添え板107及び第2の添え板117は、第3の実施形態と同様の構成を有する。なお、図44(A)において、ボルト及びナット等の締結部材は省略されている。
【0127】
図44(A)に示すように、第1の添え板107はリブ120cが設けられ、第2の添え板117にはリブが設けられていない。第1の添え板107に設けられたリブ120cは、材軸方向に沿って伸び、左右両側に設けられる。図45に示すように、第1の添え板107と第2の添え板117とによって第1のフランジ104及び第2のフランジ114が挟まれて接合部100が形成される。リブ120cは、第1の添え板107に溶接され溶接部124cが形成される。図45及び図44(B)に示すように、継手部分には開口部122が形成されるため、第1の添え板107にリブ120cが設けられても、ボルト接合の施工を容易に行うことができる。
【0128】
本実施形態の第3の構成は、第1の鋼管柱102と第2の鋼管柱112の柱径と、第1のダイアフラム103及び第2のダイアフラム113の構成が異なることの他は、第5の実施形態の第2の構成と同様であり、同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0129】
100・・・接合部、102・・・第1の鋼管柱、103・・・第1のダイアフラム、104・・・第1のフランジ、105・・・第1の添え板、106・・・第1の添え板、107・・・第1の添え板、108・・・第1の補助板、109・・・第1の切欠部、112・・・第2の鋼管柱、113・・・第2のダイアフラム、114・・・第2のフランジ、115・・・第2の添え板、116・・・第2の添え板、117・・・第2の添え板、118・・・第2の補助板、119・・・第2の切欠部、120・・・リブ、122・・・開口部、124・・・溶接部、130・・・溶接部、132・・・当て金
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45