IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社イトーキの特許一覧

<>
  • 特開-支持設備及び自動設備 図1
  • 特開-支持設備及び自動設備 図2
  • 特開-支持設備及び自動設備 図3
  • 特開-支持設備及び自動設備 図4
  • 特開-支持設備及び自動設備 図5
  • 特開-支持設備及び自動設備 図6
  • 特開-支持設備及び自動設備 図7
  • 特開-支持設備及び自動設備 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102040
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】支持設備及び自動設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/52 20060101AFI20220630BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20220630BHJP
   B65G 47/28 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B65G47/52 C
B65G1/00 501G
B65G47/28 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216516
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】河西 勉
(72)【発明者】
【氏名】北田 暢彦
【テーマコード(参考)】
3F022
3F044
3F081
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022HH13
3F022JJ11
3F022LL14
3F022LL31
3F044AA01
3F044AB03
3F044BB07
3F044CA01
3F044CA05
3F044CD08
3F081AA01
3F081BC03
3F081CC12
3F081CE04
3F081CE13
3F081EA09
3F081EA10
(57)【要約】
【課題】移載される物を適正な状態に支持できるようすることを目的とする。
【解決手段】支持設備(例えば移載装置60)は、上流側設備(例えば昇降装置30)から物10を受け取って下流側設備(例えば移動搬送体40)に移載するための支持設備であって、上流側設備から物10が移載される支持台62と、支持台に移載される物を少なくとも1つの方向で吸着して、支持台上において物を適正な状態に支持する吸着部64とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側設備から物を受け取って下流側設備に移載するための支持設備であって、
前記上流側設備から前記物が移載される支持台と、
前記支持台に移載される物を少なくとも1つの方向で吸着して、前記支持台上において前記物を適正な状態に支持する吸着部と、
を備える支持設備。
【請求項2】
請求項1に記載の支持設備であって、
前記吸着部は、前記支持台において前記下流側設備へ前記物を移載させるための適正位置に前記物を吸着する、支持設備。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の支持設備であって、
前記吸着部の吸着動作を制御する吸着制御部をさらに備える支持設備。
【請求項4】
請求項3に記載の支持設備であって、
前記吸着制御部は、少なくとも移載された物が適正位置に達するタイミングで吸着状態にし、少なくとも前記支持台から他の場所へ前記物が移載されるタイミングで解放状態とするように、前記吸着部を制御する、支持設備。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の支持設備であって、
前記吸着部は、前記物との間に負圧を生じさせて前記物に吸着する吸着パッドを含む、支持設備。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに支持設備であって、
前記吸着部は、前記支持台に向けて移載される前記物の移動方向に対向する位置で、前記物を受止めるようにして支持する、支持設備。
【請求項7】
請求項6に記載の支持設備であって、
前記吸着部は、前記吸着部に向って移動する前記物に対する衝撃を和らげる緩衝部を含む、支持設備。
【請求項8】
請求項7に記載の支持設備であって、
前記支持台は、前記支持台に向けて移載される前記物の移動方向に対向する位置で、前記物の移動を規制するストッパを含み、
前記吸着部は、前記支持台に向けて移載される前記物の移動方向とは逆側に出ている、支持設備。
【請求項9】
物を昇降させる昇降装置と、
前記物を水平方向に沿って移動させる移動搬送体と、
前記移動搬送体の移動方向に沿って並ぶ複数の格納空間が形成された格納棚と、
前記昇降装置と前記移動搬送体との間で前記物を中継する、請求項1から請求項8のいずれか1つに記載の支持設備と、
を備える自動設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、受渡された物を支持する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の物品を複数段に対応する各位置に昇降移動させる昇降機構部と、格納棚の各段に対応して設けられた支持台と、物品を支持して水平方向に移動する移動搬送体と、を備える自動倉庫を開示している。物品は、昇降機構部から支持台に移載される。支持台上の物品は、移動搬送体に移され移動搬送体によって格納棚に移載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-159340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
物品が昇降機構部から支持台を経て移動搬送体に円滑に移されるためには、支持台において、昇降機構部から移される物品を適正な状態に支持することが要請される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
支持設備は、上流側設備から物を受け取って下流側設備に移載するための支持設備であって、前記上流側設備から前記物が移載される支持台と、前記支持台に移載される物を少なくとも1つの方向で吸着して、前記支持台上において前記物を適正な状態に支持する吸着部と、を備える。
【0006】
また、自動設備は、物を昇降させる昇降装置と、前記物を水平方向に沿って移動させる移動搬送体と、前記移動搬送体の移動方向に沿って並ぶ複数の格納空間が形成された格納棚と、前記昇降装置と前記移動搬送体との間で前記物を中継する上記支持設備と、を備える自動設備である。
【発明の効果】
【0007】
この支持設備又は自動設備によると、支持台上において物を吸着部によって吸着するため、移載される物を適正な状態に支持できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】自動倉庫を示す概略側面図である。
図2】自動倉庫を示す概略平面図である。
図3】昇降装置、移載装置及び移動搬送体を示す平面図である。
図4】昇降装置及び移載装置を示す部分側面図である。
図5】自動倉庫及び移載装置の機能ブロック図である。
図6】吸着動作の処理例を示すフローチャートである。
図7】支持台上における吸着部の動作を示す説明図である。
図8】支持台上における吸着部の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る支持設備及び自動設備について説明する。本実施形態では、自動設備が自動倉庫である例が説明される。また、支持設備が、物の移動方向において、上流側設備から物を受け取って下流側設備に移載するための設備である例が説明される。
【0010】
<全体構成について>
自動倉庫の全体構成について説明する。図1は自動倉庫20を示す概略側面図であり、図2は自動倉庫20を示す概略平面図である。
【0011】
自動倉庫20は、昇降装置30と、移動搬送体40と、格納棚50と、移載装置60とを備える。
【0012】
格納棚50は、移動搬送体40の走行路48の少なくとも一方側に設けられる。ここでは、走行路48の両側に一対の格納棚50が設けられる。格納棚50は、上下方向において間隔をあけて支持された複数段の棚52を有する。それぞれの段の棚52に物10を支持することができる。各段における棚52においても、複数の物10を支持することができる。このため、格納棚50全体として見ると、複数の物10が上下左右に配列した状態で格納される。格納棚50において、物10が格納される空間が格納空間である。このため、格納棚50には、走行路48を走行する移動搬送体40の移動方向に沿って並ぶ複数の格納空間が形成される。各格納空間は仕切無く連続していておよいし、仕切られていてもよい。
【0013】
走行路48は、格納棚50の延在方向に沿って、ここでは、一対の格納棚50の間で、その間の延在方向に沿って設けられている。走行路48は、格納棚50の延在方向に沿い、かつ、移載装置60迄延在している。走行路48は、上下の複数の棚段のそれぞれに対応して設けられている。各走行路48は、例えば、一対のレールを備えた構成であってもよい。レールは、格納棚50の横フレームを兼ねていてもよいし、格納棚50とは別体として構成されていてもよい。
【0014】
移動搬送体40は、ピッカーとも呼ばれる装置であり、上記走行路48を往復走行可能に構成されている。移動搬送体40には、格納棚50及び移載装置60に対して物10を出し入れする物出し入れ機構42が設けられている。格納棚50に対しては、走行路48側から物10が出し入れされる。走行路48を走行する移動搬送体40は、一対の格納棚50の両方に対して物10を出し入れすることができる。
【0015】
本実施形態では、複数の走行路48及び複数の移動搬送体40が、上下の各棚段に対応して設けられている例で説明するが、これは必須ではない。例えば、上下の複数の棚段に共通する1つの走行路が設けられ、当該走行路を移載台車が走行してもよい。この場合、移載台車に昇降機構を設けて、上下の複数の棚に対して格納物を出し入れできるようにするとよい。また、1つの走行路に対して複数の移載台車が走行してもよい。
【0016】
格納棚50の延在方向の一部には昇降装置30及び移載装置60が設けられる。本実施形態では、一対の格納棚50のそれぞれの一端部に入庫用の移載装置60及び入庫用の昇降装置30が設けられる。また、一対の格納棚50のそれぞれの他端部に出庫用の移載装置60及び出庫用の昇降装置30が設けられる。一対の格納棚50の長手方向中間部に、移載装置及び昇降装置が設けられてもよい。移載装置及び昇降装置は、入庫用と出庫用とに分けられている必要は無く、入出庫兼用とされてもよい。
【0017】
移載装置60は、仮置き棚とも呼ばれる部分であり、昇降装置30と移動搬送体40との間で物を中継する装置である。移載装置60は、複数の棚段それぞれに対応する複数の支持台62を備える。複数の支持台62は、格納棚50の隣の位置で、対応する棚52と同じ高さ位置に設けられる。このため、各棚段に対応して設けられた移動搬送体40が、当該棚段において、支持台62及び棚52に対して物10を移載することができる。
【0018】
昇降装置30は物10を昇降させる装置であり、物10を支持した状態で昇降する昇降棚32を備える。昇降棚32は、昇降駆動機構34によって昇降駆動される。昇降駆動機構34は、例えば、モータと、スプロケット又は循環ベルトを有し、モータを回転させることで、スプロケット又は循環ベルトが循環回転され、これにより、当該スプロケット又は循環ベルトに連結された昇降棚32が昇降する構成であってもよい。昇降棚32が昇降駆動されることで、昇降棚32が、移載装置60の隣の位置で、複数の支持台62のそれぞれに対応する位置に昇降移動される。昇降棚32がいずれかの支持台62に対応する高さ位置で、当該物10と隣合うことで、物10が昇降棚32と支持台62との間で水平移動して移載されることができる。
【0019】
制御部90は、昇降装置30の昇降動作、移載動作、移載装置60における移載動作、移動搬送体40の走行動作、物10の出入動作を制御する。この自動倉庫20においては、制御部90による制御下、物10の入庫、及び、出庫がなされる。
【0020】
入庫される物10に着目すると、入庫用コンベア16等によって入庫される物10が昇降装置30に移載される。すると、昇降装置30は、当該物10を、その物10が格納される棚段に対応する位置に昇降移動させる。この後、昇降棚32に支持された物10が移載装置60に移載される。移載装置60によって支持された物10は、移動搬送体40に移載される。移動搬送体40は、物10を支持した状態で走行路48を走行し、格納棚50における物10の格納予定位置に向けて移動する。移動搬送体40が格納予定位置に達すると、物10が移動搬送体40から格納棚50に移載され、当該物10が格納棚50に格納される。昇降装置30によって物10が格納予定となる棚段の位置に昇降された後、移動搬送体40が当該物10を取込むまで、物10が移載装置60に一時的に支持される。このため、昇降装置30及び移動搬送体40の待機時間を減らすことができ、物10の入庫が効率的に行われる。
【0021】
出庫される物10に着目すると、当該物10の格納位置に対応する棚段の移動搬送体40が、当該物10の格納位置に対応する位置に走行移動する。この後、移動搬送体40が格納棚50から物10を取込む。物10を取込んだ移動搬送体40は、出庫用の移載装置60に向けて移動し、物10を移載装置60に移載する。出庫用の昇降装置30は、昇降棚32を、当該出庫される物10に対応する棚段の位置に昇降移動させる。そして、当該棚段において移載装置60上の物10が昇降棚32に移載される。出庫用の昇降装置30は、昇降棚32を出庫に適した位置、例えば、出庫用コンベア18の高さ位置に移動させる。この後、物10が当該出庫用コンベア18に移載される。物10は、出庫用コンベア18によって外部に出庫される。移動搬送体40が出庫用の移載装置60に向けて移動した後、昇降棚32が出庫のための高さ位置に移動するまで、物10が移載装置60に一時的に支持され得る。このため、出庫に際しても、昇降装置30及び移動搬送体40の待機時間を減らすことができ、物10の出庫が効率的に行われる。
【0022】
なお、本自動倉庫20においては、物10が入庫される際に、当該物10の特定情報(物の識別符号又は識別名称)と格納位置とを対応付けたデータベースが生成、更新される。物10が入庫される際、当該データベースを参照することで、格納棚50における空き位置が特定され、当該空き位置のうちの1つが格納予定位置として選ばれる。また、物10が出庫される際には、データベースを参照することで、当該物10の格納位置が特定される。データベースは、上記制御部90における記憶部に格納されてもよいし、他の記憶部に格納されてもよい。
【0023】
<移載装置について>
入庫用の移載装置60に着目した説明がなされる。図3はいずれか1つの棚段において入庫用の昇降装置30、入庫用の移載装置60及び移動搬送体40を示す平面図である。図4は昇降装置30及び移載装置60を示す部分側面図である。入庫用の移載装置60は、上流側設備の一例である昇降装置30から物10を受取って、当該物10を下流側設備の一例である移動搬送体40に物10を移載する支持設備の一例である。
【0024】
図3及び図4では、昇降棚32が、物10の入庫対象となる棚段に昇降移動した状態が示される。この状態では、昇降棚32と当該棚段における支持台62とが同じ高さ位置に配置され、昇降棚32によって支持された物10が水平方向に移動して当該棚段の支持台62に移載される。
【0025】
昇降棚32は、物10を支持した状態で、昇降駆動機構34によって昇降される部分である。本実施形態では、昇降棚32は、いわゆるローラコンベアであり、枠部33fに複数のローラ33aが並列状態で回転可能に支持された構成とされる。複数のローラ33aは、昇降棚32から支持台62に向う方向に並んでいる。複数のローラ33aのうちの一部又は全部は、駆動ローラとしてモータによって回転駆動される。昇降棚32上に物10が載置された状態で、駆動ローラが回転駆動されることによって、昇降棚32上の物10が支持台62に向けて水平方向に移動する。
【0026】
移載装置60は、支持台62と吸着部64とを備える。支持台62と吸着部64とは、各棚段に対応して設けられる。
【0027】
支持台62に対して、上流側設備である入庫用の昇降装置30から物10が移載される。本実施形態では、支持台62は、いわゆるローラコンベアであり、枠部63fに複数のローラ63aが並列状態で回転可能に支持された構成とされる。複数のローラ63aは、支持台62から昇降棚32に向う方向に並んでいる。複数のローラ63aのうちの一部又は全部は、駆動ローラとしてモータによって回転駆動される。昇降棚32上の物10が支持台62に送られると、駆動ローラが回転駆動されることによって、当該物10が昇降棚32からから遠ざかる位置、ここでは、格納棚50寄りの位置に移動する。
【0028】
本実施形態では、ローラ33a、63aのうちの駆動ローラによって物10が昇降棚32から支持台62に移載される例が説明されたが、必ずしもその必要は無い。例えば、アクチュエータの駆動によって進退可能なプッシャ等によって物を押して、当該物を昇降棚32から支持台62に移動させてもよい。この場合、昇降棚32及び支持台62の少なくとも一方は、コンベアでなく、単なる板であってもよい。
【0029】
本実施形態では、昇降棚32は、1つの物10を載置可能なサイズであり、支持台62は、複数(例えば2つ)の物10を載置可能なサイズである。支持台62が複数(例えば2つ)の物10を載置可能であれば、昇降棚32から移載された複数の物10が、移動搬送体40により取込まれる迄、支持台62上で一時的に支持され得る。このため、昇降装置30及び移動搬送体40の稼働効率がさらに向上する。なお、昇降棚32、支持台62のサイズは任意である。昇降棚32が複数の物10を支持可能なサイズであってもよいし、支持台62が1つの物10を支持可能なサイズであってもよい。
【0030】
移動搬送体40は、物出し入れ機構42として、一対のアーム43と引っ掛け部44とを備える。一対のアーム43は、移動搬送体40における支持部41の両側部から格納棚50又は移載装置60側に向けて進退可能かつ伸縮可能に構成されている。引っ掛け部44は、一対のアームの43の端部で、一対のアームの43に向けて突出する姿勢と当該突出姿勢から退避した姿勢との間で起伏可能に構成されている。
【0031】
本実施形態では、移動搬送体40は、走行路48の両側に対して物10を出し入れするので、一対のアーム43は、走行路48の両側に進退可能かつ伸縮可能である。また、アーム43の両端それぞれで、引っ掛け部44が起伏可能とされている。
【0032】
移動搬送体40が支持台62上の物10を取込む際には、移動搬送体40が、走行路48に沿って走行して上記支持台62に対向する位置に移動する。本実施形態では、移動搬送体40は、支持台62のうち格納棚50寄りの中継位置に移動する。この状態で、一対のアームの43が支持台62側に向けて延び出ると、一対のアーム43が支持台62上の物10の両側外側に位置することとなる。この状態では、一対のアームの43の端部が、物10に対して移動搬送体40の反対側に突出している。この状態で、退避姿勢にある引っ掛け部44が突出姿勢に姿勢変更すると、引っ掛け部44が物10に対して移動搬送体40とは反対側に位置することとなる。この状態で、一対のアーム43が自己の支持部41に向けて縮みつつ退避すると、引っ掛け部44が引っ掛っている物10が支持部41に向けて押されるようにして移動する。これにより、物10が支持台62から移動搬送体40に向けて引込まれるようにして移載される。物10が移動搬送体40内に取込まれた後、移動搬送体40が走行路48に沿って移動し、格納棚50における所定の格納予定位置に対向する位置に移動する。この後、移載方向反対側の引っ掛け部44を突出させた姿勢で、一対のアーム43が所定の格納予定位置に向けて進出移動することで、移動搬送体40上の物が当該所定の格納位置に向けて移載されて、格納棚50に格納される。
【0033】
上記のように、移動搬送体40が支持台62から物10を取込む際には、一対のアーム43が進出して物10の両側外側に位置する。しかしながら、物10が一対アーム43間からずれて位置していたり、物10が傾いていたりすると、進出する一対のアーム43が物10にあたってしまう。そうすると、一対のアーム43による物10の取込み作業がうまく行われない場合があり得る。
【0034】
吸着部64は、支持台62に移載される物10を少なくとも1つの方向で吸着して、支持台62上において物10を適正な状態に支持する。吸着部64は、支持台62に移載される物10を少なくとも1つの方向で吸着すればよい。このため、吸着方向は、1つの吸着方向であってもよいし、複数の水平方向であってもよいし、水平方向の吸着と鉛直方向の吸着との組合わせであってもよい。本実施形態では、吸着部64は、上流側設備である昇降棚32から支持台62に物10が移載する方向に沿う方向に沿って物10を吸着する。また、吸着部64は、当該物10が移動する向きの奥側から当該奥側に吸着する。また、適正な状態とは、下流側設備に対する移載に適した状態であり、本実施形態では、一対のアーム43によって物10を適正に取込むことができる状態である。より具体的には、本実施形態における適正な状態とは、移動搬送体40が上記中継位置に位置する状態で一対のアーム43が進出する際に、物10が当該一対のアーム43の間の領域に収まる状態である。物10の適正な状態は、当該物10の位置及び姿勢の少なくとも一方によって定義されてもよい。
【0035】
より具体的には、支持台62に対して上流側設備から物10が移載される向きの奥側に吸着部64が設けられる。吸着部64は、負圧によって物10を吸着する部分であり、皿状に広がるパッド部64aを有する。吸着部64は、パッド部64aの小径側開口に連なるベローズ部64bを有していてもよい(図5図7及び図8参照)。パッド部64a及びベローズ部64bは、ゴム等の弾性材によって形成されていてもよい。吸着部64は、吸着パッドと呼ばれる部品であってもよい。吸着部64は、配管を介して真空ポンプ68に接続されている。真空ポンプ68の吸引によって吸着部64内に負圧が発生し、この負圧によって物10が吸引される。吸着部は、真空ポンプ等の吸引によって吸引を行う構成である必要は無い。例えば、吸着部は、皿状の吸盤部分に物10が押付けられることによって吸盤部分が物10を吸着し、アクチュエータ等の駆動によって吸盤部分を平たい状態に変形させることによって吸着状態を解放する構成であってもよい。
【0036】
吸着部64は、パッド部64aの大径側開口を上流側設備である昇降棚32に向けた姿勢で、支持台62における格納棚50寄りの位置に支持される。このため、昇降棚32から支持台62に向けて物10が移動していくと、上記パッド部64aの大径側開口に対向しつつ接近する。そして、パッド部64a内に負圧を生じさせることで、物10がパッド部64aに吸引される。つまり、吸着部64は、支持台62に向けて移載される物10の移動方向に対向する位置で、物10を受止めるように支持する。
【0037】
物10が吸着部64によって接触する際、上記弾性材によって形成されたパッド部64aが当該物10に対する衝撃を和らげるように変形することができる。このため、パッド部64aは、物に対する衝撃を和らげる緩衝部として機能することができる。吸着部64がベローズ部64bを有する場合、物10が吸着部64に接触する際、当該ベローズ部64bも変形することができる。このため、ベローズ部64bを緩衝部として機能することができる。
【0038】
吸着部64は、1つであってもよいし、複数であってもよい。ここでは、複数(図では3つ)の吸着部64が、支持台62上における物10の移動方向に対して直交する水平方向に沿って間隔をあけて並ぶように設けられる。このため、昇降棚32から支持台62に移載される物10は、その移動方向に対して直交する水平方向に沿って複数箇所で吸着される。このため、物10が支持台62に対して傾き難くなる。吸着部64は、物10の移動方向に直交する方向において、少なくとも2つ設けられており、物10の両端を2つの吸着部64で吸着できることが好ましい。吸着部64が4つ以上あれば、物10をより確実に適正な状態で支持できる。吸着部64は、1つであってもよい。この場合、物10の移動方向に直交する方向において、物10の一端側に吸着部64が設けられ、他端側にストッパが設けられてもよい。
【0039】
また、支持台62には、支持台62に向けて移載される物10の移動方向に対向する位置、ここでは、格納棚50寄りの位置で、物10の移動を規制するストッパ66が設けられる。ここでは、ストッパ66は、細長い板状に形成され、その長尺方向が支持台62上における物10の移動方向に対して直交する方向に沿っている。また、ストッパ66の厚み方向が支持台62における物10の移動方向に沿っている。ストッパ66は、パッド部64a及びベローズ部64bよりも剛体であってもよい。ストッパ66には、上記吸着部64を配置可能な孔69hが形成されている。孔69hは、例えばパッド部64aを配置可能な大きさに形成されている。吸着部64は、パッド部64a側の部分を物10の移動方向とは逆側、即ち、昇降棚32側に突出させた姿勢で、上記孔69h内に配置されるように支持される。そして、物10が吸着部64に向けて移動して吸着部64によって吸着される際、吸着部64が大きく変形したとしても、当該物10がストッパ66に当ることによってその移動が規制される。
【0040】
なお、物10が自然状態の吸着部64に接触する位置でも、物10がストッパ66に接触した位置でも、一対のアーム43は、当該物10の両側外側に当該物10に干渉することなく進退移動することができる。このため、適正位置は、物10が自然状態の吸着部64に接触する位置からストッパ66に接触する位置までの範囲に含まれる位置であればよい。
【0041】
なお、上記吸着部64及びストッパ66は、支持台62上に向けてアーム43が進出する際において、当該アーム43よりも下方の位置に設けられている。このため、アーム43は、吸着部64及びストッパ66に干渉せず、進退することができる。
【0042】
また、支持台62には、物10が吸着部64に達する前に当該物10を検出する位置センサ67が設けられる。位置センサ67は、光センサであってもよい。物10の物理的性質に応じ、位置センサとして、その他の磁気センサ、誘電形近接センサ等が用いられてもよい。位置センサは、上記各例のように非接触センサである必要は無く、例えば、リミットスイッチのように、接触型のセンサであってもよい。位置センサ67の位置は任意である。例えば、位置センサ67は、ローラ63aの軸方向一端側に設けられてもよいし、ローラ63a間の下方又は支持台62の上方に設けられてもよい。また、物10が吸着部64に向う際の正面(つまり、支持台62のうち吸着部64側)に位置センサが設けられ、当該位置センサが吸着部64への物10の接近又は移動を検知してもよい。物10が吸着部64に達する所定距離手前の位置に達すると、当該物10が位置センサ67によって検出される。
【0043】
図5は自動倉庫20及び移載装置60の機能ブロック図である。図5では物10を昇降装置30から移載装置60を経て移動搬送体40に移載する際の機能を中心とする機能ブロックが示される。
【0044】
同図に示すように、制御部90は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ92、記憶部93等を備えるコンピュータによって構成されている。記憶部93は、フラッシュメモリ或はハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。プロセッサは、記憶部93に予め格納されたプログラム93aに従って処理を行うことで、自動倉庫20の入出庫に係る動作を制御する。自動倉庫20の入出庫に係る動作の一部が、昇降棚32から移載装置60を経て移動搬送体40に物10を移載する際の動作である。プロセッサ92は、単コアプロセッサであってもよいし、マルチコアプロセッサであってもよい。制御部90による処理は、単一のコンピュータによって行われてもよいし、互いに連結する複数のコンピュータによって行われてもよい。
【0045】
制御部90と昇降装置30、移載装置60及び移動搬送体40は、通信可能に接続されている。制御部90による制御下、昇降装置30における昇降動作及び移載動作、移載装置60における移載動作及び吸着動作、移動搬送体40における走行及び物10の出し入れ制御がなされる。移載装置60における位置センサ67の検出出力が制御部90に出力される。
【0046】
また、真空ポンプ68は、上記各棚段の吸着部64に配管を介して接続されている。各棚段において、配管に電磁弁69a及び圧力センサ69bが設けられる。電磁弁69aは、例えば、真空ポンプ68、吸着部64及び外空間に繋がる3つのポートを有し、吸着部64側のポートを、真空ポンプ68側のポートと外空間側のポートとに切替可能な電磁弁である。吸着部64側のポートを、真空ポンプ68側のポートに切替えることで、真空ポンプ68によって吸着部64内の空間が吸引され、吸着部64内に負圧が生じ、吸着部64が物10を吸引可能な状態となる。吸着部64側のポートを外空間側のポートに切替えることで、吸着部64内の空間が外空間に開放され、吸着状態が解放される。圧力センサ69bは、例えば、電磁弁69aと吸着部64との間の配管圧力を検出するセンサである。吸着部64が物10を吸引すると、吸着部64から外気が吸引され難くなり、圧力センサ69bによる検出圧力が小さくなる。
【0047】
電磁弁69a及び圧力センサ69bが上記制御部90に接続されている。制御部90は、圧力センサ69bの検出出力に基づき、電磁弁69aを制御することができる。制御部90は、吸着部64の吸着動作を制御する吸着制御部としての機能を有する。吸着制御部は、少なくとも支持台62に移載された物10が適正位置に達するタイミングで吸着状態にし、少なくとも支持台62から他の場所(ここでは移動搬送体40)へ物10が移載されるタイミングで解放状態となるように、吸着部64を制御する。
【0048】
なお、真空ポンプ68は、複数の棚段毎に設けられてもよいし、複数の棚段に共通して設けられてもよい。後者の場合、真空ポンプ68から引出される配管が格段で分れて吸着部64に接続されるとよい。配管と配線とは1つにまとめられて取回されてもよい。後者の場合でも、複数の棚段毎に電磁弁69a及び圧力センサ69bが設けられれば、棚段別に吸着部64の吸着動作が制御され得る。
【0049】
制御部90による吸着動作の例についてより具体的に説明する。図6は制御部90による吸着動作の処理例を示すフローチャートである。
【0050】
物10が入庫用コンベア16等を介して入庫されると、予め生成更新されたデータベースを参照することで、当該物10の格納予定位置が決定される。ステップS1では、決定された格納予定位置に応じて、昇降装置30へ昇降指令を与える。即ち、入庫すべき物10を支持した昇降棚32が、当該格納予定位置に応じた格納段の位置へ移動するように、昇降装置30に昇降指令を与える。また、格納予定位置に応じた格納段の移動搬送体40が移載装置60側の中継位置に移動するように、当該移動搬送体40に移動指令を与える。
【0051】
次ステップS2において、昇降装置30の動作信号等に基づき、昇降棚32が格納予定位置に応じた格納段に位置したか否かが判定される。NOと判定されると本処理が繰返され、昇降棚32が格納段に位置すると判定されると次ステップS3に進む。
【0052】
次ステップS3では、制御部90は、格納段における昇降棚32及び支持台62に移載指令を与える。これにより、昇降棚32のローラ33a及び支持台62のローラ63aのうちの駆動ローラが回転駆動して、物10が昇降棚32から支持台62に向けて移動する(図7参照)。
【0053】
次ステップS4において、位置センサ67の検出信号に基づいて、物10の検知の有無が判定される。位置センサ67による物10の検出位置は、物10の移動方向において所定距離手前のラインLaである。物10が検出された場合、物10が吸着部64に達する手前のラインLaを吸着部64側に超えて位置することになる。NOと判定された場合、ステップS4の処理を繰返し、物10が検出されると、次ステップS5に進む。
【0054】
ステップS5では、制御部90は吸着部64が吸着動作を行うように、電磁弁69aに指令を与える。電磁弁69aは、真空ポンプ68と吸着部64とが配管を介して繋がるように弁体を切替える。これにより、吸着部64内の空間が真空ポンプ68によって吸引される(図8の矢印A参照)。
【0055】
ステップS6では、吸着がされたか否かが判定される。すなわち、物10がラインLaを超えて吸着部64側に移動し、当該吸着部64によって吸着されると、吸着部64の開口が物10の吸着面によって閉じられる。このため、吸着部64と電磁弁69aとの間の気圧が真空状態に近づき、圧力センサ69bによる検出圧力が小さくなる。圧力センサ69bによる検出圧力が予め定められた基準値以下又は未満となることをもって、吸着部64による吸着の有無が判定される。各棚段に複数の吸着部64が設けられる場合、複数の吸着部のそれぞれに圧力センサ69bを設けてもよいし、複数の吸着部に対して共通する1つの圧力センサ69bを設けてもよい。前者の場合、複数の圧力センサによる検出値の全てを基準値と比較して吸着の有無を判定してもよい。ステップS6において吸着無しと判定されると、本ステップS6を繰返し、吸着有りと判定されると、ステップS7に進む。
【0056】
なお、ステップS4からS6を経ることによって、物10が上記ラインLaを超えて吸着部64によって吸着される迄、吸着部64による吸着がなされる。このため、少なくとも移載された物10が適正位置に達するタイミングで、吸着部64は吸着状態となるように制御される。
【0057】
ステップS7では、制御部90は、吸着部64を解放状態とするように、電磁弁69aに指令を与える。電磁弁69aは、吸着部64内の空間が外空間と繋がるように、弁体を切替える。これにより、吸着部64内の空間が外空間に解放され、吸着部64による物10の吸着状態が解放される。物10自体は支持台62上に載置されているため、吸着部64による吸着が解除されても、上記適正位置及び適正姿勢を維持する。
【0058】
次ステップS8において、制御部90は、移動搬送体40に移載指令を与える。これにより、移動搬送体40は、一対のアーム43を移載装置60側に向けて進出移動させる。この際、物10は支持台62上において適正位置及び適正姿勢に支持されているため、一対のアーム43は物10に対する干渉を抑制されつつ、物10の両外側に位置に進出移動することができる。このため、物10を移動搬送体40内に失敗無く取込むことができる。
【0059】
次ステップS9において、制御部90は、移動搬送体40に格納予定位置への移動指令を与える。移動搬送体40は、格納予定位置に対応する位置に移動して、当該物10を格納予定位置に移載する。これにより、物10が格納棚50に格納される。
【0060】
このように構成された自動設備としての自動倉庫20、支持設備としての移載装置60によると、吸着部64によって、支持台62上に移載される物10を少なくとも1つの方向で吸着し、支持台62上で物10を適正な状態に支持することができる。特に、物10が吸着部64によって吸着されると、跳ね返らずに適正な状態に支持される。また、物10が斜め姿勢である場合等には、吸着部64が物10を吸着することによって、適正な状態に近づけられる。
【0061】
適正な状態とは、次の処理、例えば、下流側設備である移動搬送体40へ物10を移載させるため適正位置であってもよい。これにより、支持台62から移動搬送体40への物10の移載が円滑に行われ得る。
【0062】
特に、物10の入出庫速度を上げるため、物10の移動速度を上げて支持台62上でストッパにより物を所定位置で停止させようとする場合を考える。この場合、物10の移動速度を速めるほど、ストッパでの跳ね返りが大きくなり、物10の停止位置が所定位置からずれたり、傾いたりし易くなる。物10をストッパに繰返し当てて傾きを無くすことが考えられるが、その場合、繰返しの移動時間が発生してしまう。また、傾きが解消できない場合には、装置動作を停止して人が手作業で傾きを解消することも考えられる。
【0063】
上記のように吸着部64によって物10を適正な状態に吸着することで、短時間で効率よく物10を適正な状態に支持することができ、また、過度な傾きも発生し難くなり。また、物10が吸着部64に繰返し当てられることも抑制されるため、物10及び装置に対するダメージも少ない。
【0064】
また、制御部90によって吸着部64の吸着動作を制御することによって、物10の移動タイミング等に合わせて吸着及び吸着解放状態を制御でき、物10の移載が円滑に行われ得る。
【0065】
例えば、支持台62に移載された物10が適正位置に達するタイミングで吸着部64が吸着状態となり、少なくとも支持台62から他の場所で物10が移載されるタイミングで吸着部64が解放状態となればよい。これにより、上流側設備である昇降棚32から物10が支持台62に移載されるタイミングで物10を適正位置で吸着することができる。その後、物10が支持台62から下流側設備である移動搬送体40に移載されるタイミングで、当該移載に支障が無いように吸着部64が解放状態となり、当該移載が円滑になされ得る。
【0066】
また、吸着部64は、物10との間に負圧を生じさせて物に吸着する吸着パッドを含むため、物10の材質に対する制約を少なくでき、各種物10を吸着部64によって吸着することができる。
【0067】
また、吸着部64は、支持台62に向けて移載される物10の移動方向に対向する位置で、物10を受止めるようにして支持するため、吸着部64を移動させたりしなくても、物10を適正な状態で吸着することができ、吸着部64の構成の簡易化を図ることができる。
【0068】
また、吸着部64は、緩衝部としてパッド部64aを含むため、吸着部64が物10を受止める際に物に対する衝撃が和らげられる。吸着部64がベローズ部64bを含めば、物10に対する衝撃がより和らげられる。
【0069】
また、吸着部64とは別にストッパ66が設けられていると、緩衝部としてのパッド部64aが変形しても、物10はストッパ66に当接して止ることができる。これにより、物10は、一定範囲内の適正な位置で支持され得る。
【0070】
{変形例}
本実施形態では、物10が位置センサ67によって検出されるタイミングで吸着部64を吸着状態にしたが、必ずしもその必要は無い。例えば、昇降棚32から支持台62への移載動作開始と共に吸着部64を吸着状態としてもよい。また、下流側設備への移載時以外、吸着部64の吸着動作を継続してもよい。
【0071】
また、本実施形態では、吸着部64による物10の吸着検出によって吸着部64を解放状態としたが、必ずしもその必要は無い。例えば、ステップS5における吸着指令後、所定時間経過後に吸着部64を解放状態としてもよい。この場合の所定時間は、例えば、物10の移動速度と、ラインLaと吸着部64との距離に鑑みて、物10がラインLaを超えて吸着部64に達するのに要する時間以上の時間として設定されてもよい。また、例えば、移動搬送体40による一対のアーム43の進出タイミングに合わせて吸着部64を解放状態としてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、物10が入庫用コンベア16から入庫用の移載装置60を経て移動搬送体40に移載される例を中心に説明したが、必ずしも入庫用の構成に採用される必要は無い。例えば、物10が、上流側設備としての移動搬送体40から出庫用の移載装置60を経て下流側設備としての出庫用の昇降装置30に移載される場合においても、上記吸着部64に係る構成が採用されてもよい。この場合、吸着部64は、移載装置60上において、移動搬送体40から送込まれる物10に対向する位置に設けられてもよい。これにより、物10が適正な状態で出庫用の移載装置60に移載され、当該位置を基準として適正姿勢で出庫用の昇降装置30に移載され得る。
【0073】
本実施形態では、吸着部64が負圧によって物10を吸着する構成が説明されたが、必ずしもその構成である必要は無い。吸着部は、電磁石等のように、磁力で物10を吸着する構成であってもよい。この場合、物10が磁力で吸着可能な被吸着材(鉄等)で形成されていてもよいし、物10にそのような被吸着材が取付けられてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、吸着部64が支持台62に対する物10の移動方向に対向する位置に設けられる例が説明されたが、必ずしもその必要は無い。吸着部は、ローラ63aの間、支持台62のうち走行路48とは反対側の位置、支持台62の上方位置に設けられてもよい。
この場合、物10の位置を検出するセンサの出力等に基づき、物10が支持台62上の適正位置を通過するタイミングで、吸着部による吸着がなされるようにしてもよい。
【0075】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【0076】
本明細書及び図面は、下記の各態様を開示する。
【0077】
第1の態様は、上流側設備から物を受け取って下流側設備に移載するための支持設備であって、前記上流側設備から前記物が移載される支持台と、前記支持台に移載される物を少なくとも1つの方向で吸着して、前記支持台上において前記物を適正な状態に支持する吸着部と、を備える支持設備である。
【0078】
この支持設備によると、支持台上において物を吸着部によって吸着するため、移載される物を適正な状態(例えば適正な位置や姿勢等)に支持できる。
【0079】
第2の態様は、第1の態様に係る支持設備であって、前記吸着部は、前記支持台において前記下流側設備へ前記物を移載させるための適正位置に前記物を吸着するものである。これにより、下流側設備に対する物の移載が円滑に行われる。
【0080】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る支持設備であって、前記吸着部の吸着動作を制御する吸着制御部をさらに備える。このように、吸着制御部が吸着部の吸着動作を制御することによって、物の移載が円滑に行われる。
【0081】
第4の態様は、第3の態様に係る支持設備であって、前記吸着制御部は、少なくとも移載された物が適正位置に達するタイミングで吸着状態にし、少なくとも前記支持台から他の場所へ前記物が移載されるタイミングで解放状態とするように、前記吸着部を制御するものである。これにより、物が移載されるタイミングで吸着部が吸着を行って物を適正位置に支持することができる。その後、支持台から他の場所へ物が移載されるタイミングで解放状態とすることで、物が他の場所へ円滑に移載される。
【0082】
第5の態様は、第1から第4のいずれか1つの態様に係る支持設備であって、前記吸着部は、前記物との間に負圧を生じさせて前記物に吸着する吸着パッドを含む。これにより、各種の物を吸着パッドによって吸着することができる。
【0083】
第6の態様は、第1から第5のいずれか1つの態様に係る支持設備であって、前記吸着部は、前記支持台に向けて移載される前記物の移動方向に対向する位置で、前記物を受止めるようにして支持するものである。この場合、支持台上を物が移動すると、物が吸着部で受止められて支持される。このため、吸着部の構成を簡易にできる。
【0084】
第7の態様は、第6の態様に係る支持設備であって、前記吸着部は、前記吸着部に向って移動する前記物に対する衝撃を和らげる緩衝部を含む。これにより、吸着部が物を受止める際に、物に対する衝撃が和らげられる。
【0085】
第8の態様は、第7の態様に係る支持設備であって、前記支持台は、前記支持台に向けて移載される前記物の移動方向に対向する位置で、前記物の移動を規制するストッパを含み、前記吸着部は、前記支持台に向けて移載される前記物の移動方向とは逆側に出ているものである。これにより、緩衝部が変形しても、物はストッパに当接する。これにより、物は適正な位置で支持される。
【0086】
第9の態様に係る自動設備は、物を昇降させる昇降装置と、前記物を水平方向に沿って移動させる移動搬送体と、前記移動搬送体の移動方向に沿って並ぶ複数の格納空間が形成された格納棚と、前記昇降装置と前記移動搬送体との間で前記物を中継する、第1から第8のいずれか1つの態様に係る支持設備と、を備える自動設備である。
【0087】
第9の態様によると、自動設備において、物を円滑に移載することができる。
【0088】
上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0089】
10 物
20 自動倉庫
30 昇降装置
32 昇降棚
34 昇降駆動機構
40 移動搬送体
50 格納棚
52 棚
60 移載装置
62 支持台
64 吸着部
64a パッド部
64b ベローズ部
66 ストッパ
90 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8