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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102046
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】既設道路形状の再現方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 23/01 20060101AFI20220630BHJP
   E01C 5/06 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
E01C23/01
E01C5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216530
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000232508
【氏名又は名称】日本道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大川 柾治
(72)【発明者】
【氏名】美馬 孝之
【テーマコード(参考)】
2D051
2D053
【Fターム(参考)】
2D051AF03
2D051AF12
2D051AH02
2D051DC01
2D053AA32
2D053AA33
2D053FA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】既設道路の表面形状を容易に再現することができる既設道路形状の再現方法を提供することを目的とする。
【解決手段】不陸がある既設道路の表面形状を測定する表面形状測定工程S1と、表面形状測定工程で測定された表面形状を再現するための型を作成する型作成工程S3と、型作成工程で作成された型を用いて表層材を成形する表層材成形工程S5と、表層材成形工程で成形された表層材を、基層の上に設置する表層材設置工程S7を有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不陸がある既設道路の表面形状を測定する表面形状測定工程と、
前記表面形状測定工程で測定された表面形状を再現するための型を作成する型作成工程と、
前記型作成工程で作成された型を用いて表層材を成形する表層材成形工程と、
前記表層材成形工程で成形された表層材を、基層の上に設置する表層材設置工程と、
を有する既設道路形状の再現方法。
【請求項2】
前記表面形状測定工程は、レーザ測長器を用いて測定がされるようになっており、
前記レーザ測長器は、所定の方向に延びている第1の回動中心軸まわりで回動位置決め自在であり、前記所定の第1の回動中心軸に対して交差する方向に延びている第2の回動中心軸まわりで回動位置決め自在である請求項1に記載の既設道路形状の再現方法。
【請求項3】
前記表面形状測定工程で測定された表面形状を複数の区画に分割する平面形状分割工程を有し、
前記型作成工程は、前記平面形状分割工程で分割された区画ごとに、前記型を作成する工程であり、
前記表層材成形工程は、前記型作成工程で作成された型ごとに表層材を成形する工程であり、
前記表層材設置工程は、前記表層材成形工程で成形された複数の表層材を、前記表面形状測定工程で測定された表面形状が再現されるように、前記基層の上に設置する工程である請求項1または請求項2に記載の既設道路形状の再現方法。
【請求項4】
前記表層材成形工程で成形される表層材には、この表層材の厚さ方向で前記表層材を貫通している貫通孔が設けられており、
前記表層材設置工程は、前記基層と前記表層材との間に、前記表層材の位置、姿勢の少なくともいずれかを調整するための調整器を設けて、前記表層材の位置、姿勢の少なくともいずれかを調整し、この調整後に、前記貫通孔から前記基層と前記表層材との間に流動体状のクラウドを注入し、この注入後に前記クラウドを硬化させる工程である請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の既設道路形状の再現方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設道路形状の再現方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車会社のテストコース等で採用されている通称「悪路」と呼ばれる道路(既設道路)が知られている。悪路として、たとえば、一般の舗装道路が長期間供用されて舗装面に凹凸が生じたものを掲げることができる。
【0003】
ここで、従来の技術に関連する特許文献として、特許文献1~特許文献4を掲げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2-74728号公報
【特許文献2】特開平6-166012号公報
【特許文献3】特開平9-131718号公報
【特許文献4】特開平11-269816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、悪路での走行テストを一層効率良くするため等の理由で、上記悪路と同形状の悪路を複数箇所に製作(複製)するか、もしくは、上記悪路を修復する必要が増えている。ここで、悪路での走行テストをより正確なものにするために、上記悪路(悪路の表面形状)を正確に再現することが重要である。
【0006】
しかしながら、数値データを用いずに上記悪路を製作してあったり、上記悪路の表面形状の数値データがなくなっている場合があり、これらの場合に、上記悪路(既設道路の表面形状)を正確に再現することはとても難しい。
【0007】
本発明は、既設道路の表面形状を容易に再現することができる既設道路形状の再現方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係る既設道路形状の再現方法は、不陸がある既設道路の表面形状を測定する表面形状測定工程と、前記表面形状測定工程で測定された表面形状を再現するための型を作成する型作成工程と、前記型作成工程で作成された型を用いて表層材を成形する表層材成形工程と、前記表層材成形工程で成形された表層材を、基層の上に設置する表層材設置工程とを有する。
【0009】
また、本発明の態様に係る既設道路形状の再現方法は、前記表面形状測定工程では、レーザ測長器を用いて測定がされるようになっており、前記レーザ測長器が、所定の方向に延びている第1の回動中心軸まわりで回動位置決め自在であり、前記所定の第1の回動中心軸に対して交差する方向に延びている第2の回動中心軸まわりで回動位置決め自在であるになっている。
【0010】
また、本発明の態様に係る既設道路形状の再現方法は、前記表面形状測定工程で測定された表面形状を複数の区画に分割する平面形状分割工程を有し、前記型作成工程では、前記平面形状分割工程で分割された区画ごとに、前記型を作成し、前記表層材成形工程では、前記型作成工程で作成された型ごとに表層材を成形し、前記表層材設置工程では、前記表層材成形工程で成形された複数の表層材を、前記表面形状測定工程で測定された表面形状が再現されるように、前記基層の上に設置する。
【0011】
また、本発明の態様に係る既設道路形状の再現方法では、前記表層材成形工程で成形される表層材は、この表層材の厚さ方向で前記表層材を貫通している貫通孔が設けられており、前記表層材設置工程では、前記基層と前記表層材との間に、前記表層材の位置、姿勢の少なくともいずれかを調整するための調整器を設けて、前記表層材の位置、姿勢の少なくともいずれかを調整し、この調整後に、前記貫通孔から前記基層と前記表層材との間に流動体状のクラウドを注入し、この注入後に前記クラウドを硬化させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、既設道路の表面形状を容易に再現することができる既設道路形状の再現方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る既設道路形状の再現方法における既設道路の表面形状を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る既設道路形状の再現方法における表面形状測定工程を説明する図であり、(b)は(a)におけるIIB矢視図である。
図3】本発明の実施形態に係る既設道路形状の再現方法における型作成工程を説明する図である。
図4】本発明の実施形態に係る既設道路形状の再現方法における表層材成形工程を説明する図である。
図5】本発明の実施形態に係る既設道路形状の再現方法で成形された表層材を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る既設道路形状の再現方法における表層材設置工程を説明する図である。
図7】変形例に係る既設道路形状の再現方法で得られた道路を示す図である。
図8図7におけるVIII矢視図である。
図9】本発明の実施形態に係る既設道路形状の再現方法における表面形状測定工程で得られた数値データを示す図である。
図10】極座標を直交座標に変換するための式である。
図11】本発明の実施形態に係る既設道路形状の再現方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係る既設道路形状の再現方法(悪路の再現方法)は、たとえば、自動車のテストコースに採用されている既設道路1を複製しもしくは補修することで再現する方法である。既設道路形状の再現方法は、図11で示すように、表面形状測定工程S1と型作成工程S3と表層材成形工程S5と表層材設置工程S7とを有する。
【0015】
表面形状測定工程S1では、不陸がある既設道路1の表面形状(上面7の形状)を測定する(図2参照)。型作成工程S3では、表面形状測定工程S1で測定された既設道路1の上面(路面)7の形状を再現するための型3を作成する(図3参照)。
【0016】
表層材成形工程S5では、型作成工程S3で作成された型3を用いて表層材5を成形する(図4図5参照)。表層材設置工程S7では、表層材成形工程S5で成形された表層材5を、基層9の上に設置する(図6参照)。なお、表面形状測定工程S1を実行する前に、異物除去工程で、既設道路1の上面7の異物等を除去しておくことが望ましい。
【0017】
ここで、説明の便宜のために、空間における水平な所定の一方向をx方向とし、x方向に対して直交する水平な所定の他の一方向をy方向とし、x方向とy方向と対して直交する方向をz方向とする。また、この明細書では、x方向が道路の幅方向になっており、y方向が道路の延伸方向(長手方向)になっており、z方向が上下方向になっている。
【0018】
不陸がある既設道路1では、図1で示すように、上面(表面)7の形状が平らではない適宜の凹凸を備えた不整面の形状になっている。さらに説明すると、不陸がある既設道路1では、既設道路1の幅方向(x方向)だけでなく既設道路1の延伸方向(y方向)でも、表面7の高さ位置が変化している。すなわち、図2で示す既設道路1の表面形状(波打っている上面7の形状)は、x方向だけでなくy方向でも変化している。
【0019】
表面形状測定工程S1では、図2で示すように、レーザ測長器11を用いて、既設道路1の上面7の形状の測定がされるようになっている。レーザ測長器11は、既設道路1の幅方向で既設道路1から僅かに離れ、既設道路1の上側で既設道路1から離れたところに設置されている。
【0020】
さらに、レーザ測長器11は、第1の回動中心軸C1まわりで回動位置決め自在になっており、第1の回動中心軸C1まわりでの回動位置決めとは独立して、第2の回動中心軸C2まわりでも回動位置決め自在になっている。
【0021】
第1の回動中心軸C1は、所定の方向(たとえば、既設道路1の延伸方向;y方向)に延びている。第2の回動中心軸C2は、第1の回動中心軸C1に対して交差する所定の他の方向(上下方向;z方向)に延びている。
【0022】
レーザ測長器11は、斜め下側にある既設道路1の表面7に向けてレーザ光13を発射するようになっている。
【0023】
表面形状測定工程S1では、図2で示す角度θ、φを適宜変えて、できるだけ細かいピッチで既設道路1の表面形状を測定する。すなわち、既設道路1の上面7に存在する点の座標を、できるだけ多くの点でもとめる。さらに、既設道路1の上面7の表面粗さを無視し、うねりのみを得るようなカットオフ処理をする。
【0024】
つまり、表面形状測定工程S1で得た生データからカットオフ処理をして既設道路1の表面形状における短い波長を除去する。たとえば、外径の値が400mm程度の背の低い円柱(タイヤに相当)を、既設道路1の上で転がしたときにおける上記円柱の中心軸の軌跡で表されるような、既設道路1の平面形状を得る。
【0025】
また、既設道路形状の再現方法は、表面形状測定工程S1で測定された既設道路1の上面7の形状(表面形状)を複数の区画に分割する平面形状分割工程を有する。そして、型作成工程S3では、上記平面形状分割工程で分割された区画(表面形状の区画)ごとに、複数の型3を作成する。
【0026】
また、表層材成形工程S5では、型作成工程S3で作成された複数の型3ごとに表層材(区画に分割された表層材)5を複数成形する。さらに、表層材設置工程S7では、表層材成形工程S5で成形された複数の表層材5を、表面形状測定工程S1で測定された表面形状が再現されるように、基層9の上に順にならべて設置する。
【0027】
表層材成形工程S5で成形される表層材5には、この表層材5の厚さ方向(z方向)で表層材5を貫通している貫通孔(小径の貫通孔)15(図6参照)が設けられている。貫通孔15の内径は、カットオフして得たうねりに変化をおよぼさない値になっている。
【0028】
表層材設置工程S7では、基層9と表層材5との間に、調整器17を設置している。調整器17は、たとえば、ジャッキやスペーサで構成されており、表層材5の高さ方向の位置、表層材5の姿勢の少なくともいずれかを調整するために設けられている。表層材5の姿勢は、再生道路19の長手方向(y方向)に延びた軸まわりの回動位置と、再生道路19の幅方向(x方向)の延びた軸まわりの回動位置である。
【0029】
さらに、表層材設置工程S7では、表層材5の位置や姿勢の調整後に、貫通孔15から基層9と表層材5との間に流動体状のクラウド21を注入し、この注入後にクラウド21を硬化させる。これにより、既設道路1と同じ上面7の形状を備えた再生道路19が得られる。
【0030】
ここで、既設道路形状の再現方法についてさらに詳しく説明する。
【0031】
表面形状測定工程S1では、レーザ測長器11によって、既設道路1の上面7の測定点Pの位置を極座標でもとめる。レーザ測長器11には、測定基準点23が設けられている。
【0032】
レーザ測長器11は、既設道路1の幅方向外側に設けられているレーザ測長器設置部25に、三脚等のレーザ測長器支持体27を介して、設置されている。これにより、既設道路1に対するレーザ測長器11に測定基準点23の位置(x方向、y方向およびz方向での測定基準点23の位置)が規定されている。測定基準点23のx、y、zの座標は、たとえば、(0,0,0)になっている。
【0033】
また、レーザ測長器11は、図示しない第1の回動位置決め部と図示しない第2の回動位置決め部とによって、上述したように、第1の回動中心軸C1、第2の回動中心軸C2まわりで回動位置決め自在になっている。第1の回動中心軸C1は、測定基準点23を通ってy方向に延びている。第2の回動中心軸C2は、測定基準点23を通ってz方向に延びている。
【0034】
第1の回動位置決め部や第2の回動位置決め部は図示しないサーボモータ等のアクチュエータによって、制御装置29の制御の下、レーザ測長器11を回動させるようになっている。制御装置29は、CPU31とメモリ33とを備えて構成されている。
【0035】
さらに、第1の回動中心軸C1まわりでの第1の基準面L1からのレーザ測長器11の回動角度θを、図示しない第1の回動角度検出部で検出することができるようになっている。また、第2の回動中心軸C2まわりでの第2の基準面L2からのレーザ測長器11の回動角度φを、図示しない第2の回動角度検出部で検出することができるようになっている。
【0036】
第1の基準面L1は、測定基準点23を含みz方向に対して直交している平面(水平方向に展開している平面)であり、第2の基準面L2は、測定基準点23を含みy方向に対して直交している平面である。
【0037】
制御装置29の制御の下、レーザ測長器11からレーザ光13を既設道路1の上面7の測定点Pに向けて発射する。そして、レーザ光13を発射した時刻とレーザ光13が測定点Pで反射されて帰ってきた時刻との時間(発射したレーザ光13が戻ってくるまでの時間)によって、測定基準点23と測定点Pとの距離rをもとめる。この時に、レーザ光13と第1の基準面L1との交差角度(基準面L1からの回動角度)θとレーザ光13と第2の基準面L2との交差角度(基準面L2からの回動角度)φとをもとめる。
【0038】
これらのもとめられた距離rと回動角度θと回動角度φとは、制御装置29のCPU31で直交座標に変換されるとともに、一旦メモリ33に格納される。極座標から直交座標への変換は、図10で示す変換式でなされる。また、直交座標への変換された測定点Pの座標の原点は、測定基準点23になっている。距離rと回動角度θと回動角度φとを、既設道路1の上面7上の多数の点についてもとめる。たとえば、5mmピッチでもとめる。
【0039】
これらのもとめた既設道路1の上面7の形状の生データを、図9に示す。図9に示す点P1、P2、P3・・・は、既設道路1の上面7上の被測定点を示している。この生データにカットオフの処理をする。カットオフされた、既設道路1の上面7の形状データ(数値データ)は、制御装置29のメモリ33に格納される。なお、カットオフの処理をしないデータを、そのまま制御装置29のメモリ33に格納してもよい。
【0040】
ところで、既設道路1の上面7の、図2(a)に示す部位35のところの測定点は、既設道路1の凸部の頂上部37の陰になって、測定できない場合がある。この場合、図2(a)において既設道路1の右側にもレーザ測長器11と同様のレーザ測長器を設置し、既設道路1の右側に設置されたレーザ測長器で、部位部35の測定をし、既設道路1の左側に設置されているレーザ測長器11の測定結果を補完するようにすればよい。
【0041】
型作成工程S3、表層材成形工程S5では、たとえば、平面形状分割工程で、既設道路1の延伸方向(y方向)で分割された区画毎に、型3と表層材5とを作成する。
【0042】
型作成工程S3では、たとえば、図3で示すように、汎用の工作機械39を用いて、発泡スチロール等の合成樹脂もしくは木材もしくはその他の材料で構成された素材41を切削加工することで型3が作成される。素材41は、たとえば、所定の厚さを備えた矩形な平板状になっている。型作成工程S3で作成された型3は、既設道路1の上面7の形状の反転型になっている。なお、型作成工程S3において、切削加工に代えて他の方法を用いて型3を作成してもよい。たとえば、3Dプリンタを用いて型3を作成してもよい。
【0043】
工作機械39は、テーブル43と加工ヘッド45と制御部47とを備えて構成されている。制御部47はCPU49とメモリ51とを備えて構成されている。表面形状測定工程S1で得られた既設道路1の表面形状の数値データは、制御部47に転送されている。
【0044】
加工ヘッド45には加工工具(たとえばエンドミル)53が設置されるようになっている。加工ヘッド45に設置されたエンドミル53は、素材41を切削加工するために回転するようになっている。
【0045】
加工ヘッド45は、テーブル43に対して、x方向、y方向およびz方向で移動位置決め自在になっている。さらに、加工ヘッド45がテーブル43に対して、A軸まわりで回動位置決め自在になっており、B軸まわりで回動位置決め自在になっていてもよい。A軸とはx方向に延びている所定の軸であり、B軸とはy方向に延びている所定の軸である。
【0046】
そして、素材41がテーブル43に設置されている状態で、制御部47の制御の下、エンドミル53を回転させつつ加工ヘッド45を適宜移動することで、素材41の厚さ方向の一方の面(上面)が切削加工され、型3が作成されるようになっている。
【0047】
表層材成形工程S5では、図4で示すように、たとえば矩形な桝状に形成されている型枠55内に、型3を設置する。型3の平面は型枠55の底面に接しており、型3の反転型を形成している凹凸面(不陸面;不整面)は、上側を向いている。
【0048】
型枠55内に型3を設置した後、型枠55内であって型3の上部に、鉄筋57を設置する。鉄筋57を設置した後、型枠55内に硬化前のコンクリート(たとえばセメントコンクリート)58を流し込む。
【0049】
この後、コンクリート58を硬化させ、硬化したコンクリート58と鉄筋57とを型枠55から取り出すことで、図5で示すような、内部に鉄筋57の骨組みが入っている表層材(分割された表層材;プレキャスト版の作成)5を得る。なお、図5では、鉄筋57の表示を省略している。
【0050】
表層材設置工程S7での表層材5の位置、姿勢の調整は、たとえば、図6で示すように、レーザ測長器11を用いてなされる。たとえば、表層材5の上面7内の所定の1つの点PAに向けてレーザ光13を発射し、所定の1つの点PAの座標が、目標とする座標(既設道路1を再現するための目標座標)になるようにする。なお、調整器17は、1つの表層材5について、お互いが適宜離れ少なくとも3つ設置されており、所定の1つの点PAも、1つの表層材5について、お互いが適宜離れ少なくとも3つ存在している。
【0051】
既設道路形状の再現方法では、表面形状測定工程S1と型作成工程S3と表層材成形工程S5と表層材設置工程S7とを用いて、既設道路1の表面形状を再現している。これにより、既設道路1の表面形状の数値化されたデータが存在しなくても、既設道路1の表面形状を容易に再現することができる。
【0052】
また、既設道路形状の再現方法の表面形状測定工程S1では、レーザ測長器11を用いて測定がされるようになっている。また、レーザ測長器11が、y方向に延びている軸C1まわりで回動位置決め自在になっているとともに、z方向に延びている軸C2まわりで回動位置決め自在になっている。
【0053】
これにより、簡素な構成の装置を用いて、既設道路1の表面形状の測定ができる。また、レーザ測長器11を、既設道路1の幅方向で既設道路1から僅かに離れており、既設道路1の上側で既設道路1から離れたところに設置することで、レーザ測長器11の設置が容易になっている。
【0054】
また、既設道路形状の再現方法の表層材成形工程S5では、型作成工程S3で作成された型(分割された型)3ごとに表層材(分割された表層材)5を成形している。表層材設置工程S7で、表層材成形工程S5で成形された複数の表層材5を、表面形状測定工程S1で測定された表面形状が再現されるように、基層9の上に設置している。
【0055】
これにより、1つあたりの表層材5の質量を小さくすることができ、表層材5の成形、表層材5の設置がしやすくなる。
【0056】
また、既設道路形状の再現方法の表層材設置工程S7では、基層9と表層材5との間に調整器17を設けて表層材5の位置、姿勢の少なくともいずれかを調整し、この調整後に、貫通孔15から基層9と表層材5との間に流動体状のクラウド21を注入し硬化させている。
【0057】
これにより、分割された表層材5を基層9の上に正確に設置することができるとともに、基層9の表面が若干うねっている等していても、既設道路1の表面形状を正確に再現することができる。
【0058】
ところで、図7図8で示すように、表層材5をx方向で2列に並べてもよい。そして、2列に並べられている表層材5のそれぞれに自動車のタイヤ59のそれぞれを設置させて、自動車を走行させてもよい。なお、図7の参照符号61で示すものは、コンクリート等の充填剤である。また、図7では、調整器17やクラウド21の表示を省略している。
【0059】
さらに、上記説明では、既設道路1が、平坦路で直線状に延びているが、既設道路1が円弧状等になって湾曲して延びていてもよいし、坂道になっていてもよいし、バンクがついていてもよい。
【0060】
また、上記説明では、表面形状測定工程S1で、レーザ測長器11を用いて既設道路1の上面7の形状の測定をしている(既設道路1の路面7の凹凸形状を取得している)が、他の方法で、既設道路1の路面7の凹凸形状を取得してもよい。たとえば、樹脂等を用いた型取りによって、既設道路1の路面7の凹凸形状を取得してもよい。この型取りによって得た型は、上述した型3と同様な型になるので、たとえば、上記型取りによって得た型を表層材成形工程S5でそのまま使用することができる。
【0061】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 既設道路
3 型
5 表層材
9 基層
11 レーザ測長器
15 貫通孔
17 調整器
21 クラウド
C1 第1の回動中心軸
C2 第2の回動中心軸
S1 表面形状測定工程
S3 型作成工程
S5 表層材成形工程
S7 表層材設置工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11