(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102047
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】面ファスナーのずれ止め方法
(51)【国際特許分類】
A44B 99/00 20100101AFI20220630BHJP
【FI】
A44B99/00 611Z
A44B99/00 601Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216533
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000212533
【氏名又は名称】ワールドウォーターバッグ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊夫
(57)【要約】 (修正有)
【課題】面ファスナーの面に対して平行に働く引張り力が持続してもズレ動くことがなく、負傷するような危険性のない安全性が高い面ファスナーのズレ止め方法を提供する。
【解決手段】裏面に粘着部(粘着層n1,n2)を有し、表面にループ又はフックを有する面ファスナー10,20を、前記粘着部側が貼着するように被着体A,Bに貼着し、前記面ファスナー及び被着体に合成樹脂製の留め具30を貫通させることにより面ファスナー及び被着体を固定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面に粘着部を有し、表面にループ又はフックを有する面ファスナーを、前記粘着部側が貼着するように被着体に貼着し、
前記面ファスナー及び被着体に合成樹脂製の留め具を貫通させることにより面ファスナー及び被着体を固定する
ことを特徴とする面ファスナーのズレ止め方法。
【請求項2】
前記面ファスナーは、その周囲の一部又は全周に、ループ又はフックを有していない固定代部が設けられており、
前記面ファスナーにおける前記固定代部及び被着体に前記留め具を貫通させることにより固定する
ことを特徴とする請求項1に記載の面ファスナーのズレ止め方法。
【請求項3】
前記留め具は、前記面ファスナー及び被着体を貫通する縦軸部と、当該縦軸部の一方の端部に縦軸部と一体になることによりT字形をなし、前記面ファスナー及び被着体を縦軸部と共に貫通する第1横軸部と、当該縦軸部の他方の端部に形成され、前記面ファスナー及び被着体を貫通しない第2横軸部とを有し、
前記第1横軸部及び第2横軸部の一方を前記面ファスナーの表面側の面に係合させ、前記第1横軸部及び第2横軸部の他方を前記被着体の面ファスナーを貼着していない側の面に係合させて固定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の面ファスナーのズレ止め方法。
【請求項4】
前記留め具は、第1横軸部の一方の片軸を縦軸部に沿わせて折り曲げ、第1横軸部の他方の片軸を縦軸部の端部から延びるように突出させた状態から、前記第1横軸部における各片軸の折り曲げ及び突出を開放すると、第1横軸部は元のT字形の形態に戻る復元力を備えている
ことを特徴とする請求項3に記載の面ファスナーのズレ止め方法。
【請求項5】
裏面に粘着部を有し、表面にループ又はフックを有すると共に対向する両辺部に固定代部を有する矩形状の面ファスナーを、前記粘着部側が貼着するように被着体に貼着し、
前記面ファスナーにおける前記固定代部及び被着体を貫通する縦軸部と、当該縦軸部の一方の端部に縦軸部と一体になることによりT字形をなす第1横軸部と、当該縦軸部の他方の端部に縦軸部と一体になることによりT字形をなす第2横軸部とを備えてなる合成樹脂製の留め具であって、第1横軸部の一方の片軸を縦軸部に沿わせて折り曲げ、第1横軸部の他方の片軸を縦軸部の端部から延びるように突出させた状態から、第1横軸部における各片軸の折り曲げ及び突出を開放すると、元のT字形の形態に戻る復元力を備えている留め具を、
第1横軸部の一方の片軸を縦軸部に沿わせて折り曲げ、第1横軸部の他方の片軸を縦軸部の端部から延びるように突出させた状態で、第1横軸部において突出させた片軸の先端から面ファスナーの固定代部及び被着体を貫通させ、前記第1横軸部が、その復元力により元のT字形の形態に戻ることにより、前記第1横軸部及び第2横軸部の一方が固定代部の表面側の面に係合させ、前記第1横軸部及び第2横軸部の他方が被着体の面ファスナーを貼着していない側の面に係合させることにより、面ファスナーと被着体との貼着箇所がズレないように固定する
ことを特徴とする面ファスナーのズレ止め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面ファスナーのずれ止め方法に関し、特に粘着により取着する面ファスナーのずれ止め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、面ファスナーを被着体に取着する場合に縫着する手段がとられていた。最近では、この縫着の手間をなくするために、裏面に粘着部を有する面ファスナーが用いられるようになってきた。
【0003】
図8(a)から
図8(b)に示すように、被着体Aに粘着部(粘着層n1)により貼着したループ側の面ファスナー10に対し、被着体Bに粘着部(粘着層n2)により貼着したフック側の面ファスナー20を接触させると、ループとフックとの絡合により容易に剥がすことができなくなる。この絡合力は、面ファスナーの面に対して平行に働く引張り力に対して強く働くので、被着体に対する粘着層n1,n2による粘着力より大きくなる場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の面ファスナーの面に対して平行に働く引張り力が持続すると、粘着により被着体A,Bに貼着されている面ファスナー10,20は、
図8(c)に示すように、徐々に被着体A,Bからズレ動いていき、面ファスナーによる固定位置が移動してしまう不具合が生じていた。
【0005】
このズレを防ぐために、簡便な方法としては、ステープラを使用し、コの字形の金属製の針を差し込んで面ファスナーと被着体とを固定することが考えられる。このステープラにおけるコの字形の針先は平らに折り曲げられることにより針が抜け出ないようになっている。しかしながら、平らに折り曲げられた針先が起き上がっていく現象はよく見られることであり、この針先が金属製であるため、場合によっては手指を負傷するなどの危険性がある。
【0006】
そこで、本発明者は鋭意研究を重ねて、面ファスナーの面に対して平行に働く引張り力が持続してもズレ動くことがなく、負傷するような危険性のない安全性が高い面ファスナーのズレ止め方法を案出した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る面ファスナーのズレ止め方法は、裏面に粘着部を有し、表面にループ又はフックを有する面ファスナーを、前記粘着部側が貼着するように被着体に貼着し、前記面ファスナー及び被着体に合成樹脂製の留め具を貫通させることにより面ファスナー及び被着体を固定することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2に係る面ファスナーのズレ止め方法は、前記請求項1に記載の面ファスナーのズレ止め方法の構成に加えて、前記面ファスナーは、その周囲の一部又は全周に、ループ又はフックを有していない固定代部が設けられており、前記面ファスナーにおける前記固定代部及び被着体に前記留め具を貫通させることにより固定することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3に係る面ファスナーのズレ止め方法は、前記請求項1又は2に記載の面ファスナーのズレ止め方法の構成に加えて、前記留め具は、前記面ファスナー及び被着体を貫通する縦軸部と、当該縦軸部の一方の端部に縦軸部と一体になることによりT字形をなし、前記面ファスナー及び被着体を縦軸部と共に貫通する第1横軸部と、当該縦軸部の他方の端部に形成され、前記面ファスナー及び被着体を貫通しない第2横軸部とを有し、前記第1横軸部及び第2横軸部の一方を前記面ファスナーの表面側の面に係合させ、前記第1横軸部及び第2横軸部の他方を前記被着体の面ファスナーを貼着していない側の面に係合させて固定することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4に係る面ファスナーのズレ止め方法は、前記請求項3に記載の面ファスナーのズレ止め方法の構成に加えて、前記留め具は、第1横軸部の一方の片軸を縦軸部に沿わせて折り曲げ、第1横軸部の他方の片軸を縦軸部の端部から延びるように突出させた状態から、前記第1横軸部における各片軸の折り曲げ及び突出を開放すると、第1横軸部は元のT字形の形態に戻る復元力を備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5に係る面ファスナーのズレ止め方法は、裏面に粘着部を有し、表面にループ又はフックを有すると共に対向する両辺部に固定代部を有する矩形状の面ファスナーを、前記粘着部側が貼着するように被着体に貼着し、前記面ファスナーにおける前記固定代部及び被着体を貫通する縦軸部と、当該縦軸部の一方の端部に縦軸部と一体になることによりT字形をなす第1横軸部と、当該縦軸部の他方の端部に縦軸部と一体になることによりT字形をなす第2横軸部とを備えてなる合成樹脂製の留め具であって、第1横軸部の一方の片軸を縦軸部に沿わせて折り曲げ、第1横軸部の他方の片軸を縦軸部の端部から延びるように突出させた状態から、第1横軸部における各片軸の折り曲げ及び突出を開放すると、元のT字形の形態に戻る復元力を備えている留め具を、第1横軸部の一方の片軸を縦軸部に沿わせて折り曲げ、第1横軸部の他方の片軸を縦軸部の端部から延びるように突出させた状態で、第1横軸部において突出させた片軸の先端から面ファスナーの固定代部及び被着体を貫通させ、前記第1横軸部が、その復元力により元のT字形の形態に戻ることにより、前記第1横軸部及び第2横軸部の一方が固定代部の表面側の面に係合させ、前記第1横軸部及び第2横軸部の他方が被着体の面ファスナーを貼着していない側の面に係合させることにより、面ファスナーと被着体との貼着箇所がズレないように固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る面ファスナーのズレ止め方法は、上記のように構成したため、面ファスナーと被着体との粘着部の固定に加えて、面ファスナーと被着体とを貫通する留め具により、面ファスナーの面に対して平行に働く引張り力が持続しても、被着体に対して面ファスナーがズレ動かなくなる利点がある。また、前記留め具が合成樹脂製であるため金属製のような危険性がなく、取り扱いが安全である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例であって、被着体に貼着したループ側の面ファスナーを示す斜視図であり、図中(a)は面ファスナーの表面側から見た図であり、図中(b)は被着体の裏面側から見た図である。
【
図2】本発明の実施例であって、被着体に貼着したフック側の面ファスナーを示す斜視図であり、図中(a)は面ファスナーの表面側から見た図であり、図中(b)は被着体の裏面側から見た図である。
【
図3】本発明の実施例であって、被着体に貼着した面ファスナーに対して、留め具を差し込もうとする状態を示す一部拡大図付き概略斜視図である。
【
図4】本発明の実施例であって、被着体に貼着した面ファスナーに対して、留め具を差し込んでいる状態を示す概略斜視図である。
【
図5】本発明の実施例であって、被着体に貼着した面ファスナーに対して、留め具を差し込んだ状態を示す概略斜視図である。
【
図6】本発明の実施例であって、被着体に貼着したループ側の面ファスナーに対して、その上から被着体に貼着したフック側の面ファスナーを取着する状態を、面ファスナーの長手側から見た断面図(図を見やすくするためにハッチングは省略)である。
【
図7】本発明の実施例であって、被着体に貼着したループ側の面ファスナーに対して、その上から被着体に貼着したフック側の面ファスナーを取着する状態を、面ファスナーの短手側から見た断面図(図を見やすくするためにハッチングは省略)である。
【
図8】留め具を使用しない場合の断面図(図を見やすくするためにハッチングは省略)であって、図中(a)は、被着体に貼着したループ側の面ファスナーに対して、その上から被着体に貼着したフック側の面ファスナーを接触させようとする図であり、図中(b)は、ループ側の面ファスナーに対してフック側の面ファスナーを上から接触させた図であり、図中(c)は、被着体に対して、ループ側の面ファスナー及びフック側の面ファスナーが図において左右方向にズレ動いた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好適な実施例を添付の図面の従って詳細に説明する。
【実施例0015】
図1(a)は、後述する留め具30が貫通可能な被着体A、例えば衣服や容器の一部等に貼着したループ側の矩形状の面ファスナー10を示す。当該面ファスナー10は、その表面にループ11が形成されており、ループ11を設けていない裏面は、
図3~
図7に示すように、粘着部となる粘着層n1を有し、被着体Aに容易に貼着できるようになっている。
【0016】
前記面ファスナー10は、その表面における長手方向両端部にループ11を設けていない固定代部12を備えている。そして、当該固定代部12には、複数の後述する構造の留め具30が、面ファスナー10における固定代部12から、
図1(b)に示すように、被着体Aの裏面側までを貫通するように配されている。
【0017】
なお、面ファスナー10は、矩形に限られるものではなく、円形や小判形のようなものでもよく、形状は限定されない。また、前記固定代部12は、長手方向両端部だけに限られるものではなく、短手方向両端部てもよく、両方向の両端部でもよい。すなわち、固定代部は周囲の一部又は全周でもよい。さらに、固定代部12が設けられていない面ファスナーの場合には、ループ部分に留め具30を貫通させてもよい。
【0018】
図2(a)は、後述する留め具30が貫通可能な被着体Bに貼着したフック側の面ファスナー20を示す。当該面ファスナー20は、前記面ファスナー10に取着するためのものであって、その表面には前記ループ11に絡合するフック21が形成されており、フック21を設けていない裏面は、
図3~
図7に示すように、粘着部となる粘着層n2を有し、被着体Bに容易に貼着できるようになっている。
【0019】
前記面ファスナー20は、その表面における長手方向両端部にフック21を設けていない固定代部22を備えている。そして、当該固定代部22には、複数の後述する構造の留め具30が、面ファスナー20における固定代部22から、
図2(b)に示すように、被着体Bの裏面側までを貫通するように配されている。
【0020】
なお、面ファスナー20は、矩形に限られるものではなく、円形や小判形のものでもよく、形状は限定されない。また、前記固定代部22は、長手方向両端部だけに限られるものではなく、短手方向両端部てもよく、両方向の両端部でもよい。すなわち、固定代部は周囲の一部又は全周でもよい。さらに、固定代部22が設けられていない面ファスナーの場合には、フック部分に留め具30を貫通させてもよい。
【0021】
次に、留め具30の構造、及び、留め具30を使用しての被着体A,Bに貼着されている面ファスナー10,20の固定方法について説明する。
【0022】
図3~
図5は、被着体A,Bに貼着されている面ファスナー10,20を留め具30により固定する方法を段階的に示す図である。
【0023】
図3において左上部に留め具30を示す。留め具30は、合成樹脂製の材料で形成されており、縦軸部31と、縦軸部31の一方の端部に縦軸部31と一体になることによりT字形をなす第1横軸部32と、縦軸部31の他方の端部に縦軸部31と一体になることによりT字形をなす第2横軸部33とからなる形態をなす。前記第1横軸部32は、縦軸部31と共に面ファスナー10,20及び被着体A,Bを貫通する側であり、第2横軸部33は面ファスナー10,20及び被着体A,Bを貫通しない側である。
【0024】
なお、第2横軸部33は、縦軸部31と一体になることによりT字形をなす形態に限られず、面ファスナー10,20及び被着体A,Bを貫通しない形状であればよい。
【0025】
前記T字形の頭部である第1横軸部32は、面ファスナーにおける粘着部を有していない側の面、すなわちループ又はフックを有している表面、又は、被着体における面ファスナーを貼着していない側の面に係合するようになっている。
【0026】
また、前記T字形の頭部である第2横軸部33は、面ファスナーにおける粘着部を有していない側の面、すなわちループ又はフックを有している表面、又は、被着体における面ファスナーを貼着していない側の面に係合するようになっている。
【0027】
前記第1横軸部32は、
図3の拡大図に示すように、そのT字形の頭部の一方の片軸32aを縦軸部31に沿わせて折り曲げ、他方の片軸32bを縦軸部31の端部から延びるように突出させた状態から、前記第1横軸部32の折り曲げ及び突出を開放すると、片軸32a,32bが復元して、元のT字形の形態に戻る復元力を備えている。
【0028】
前記の片軸32a,32bとは、縦軸部31を境にしてT字形の頭部である第1横軸部32から横方向に向かう第1横軸部32の一方の半部及び他方の半部のことである。
【0029】
このような性能を有する留め具30を、
図3及び
図4に示すように、第1横軸部32のT字形の頭部の一方の片軸32aを縦軸部31に沿わせて折り曲げ、第1横軸部32のT字形の頭部の他方の片軸32bを縦軸部31の端部から延びるように突出させる。その状態で、第1横軸部32の前記突出させた片軸32bの先端から面ファスナー10,20の固定代部12,22と被着体A,Bとを貫通させる。そして、
図5に示すように、前記第1横軸部32が、その復元力により片軸32a,32bが復元してT字形に戻り、固定代部12,22の粘着部を有していない面又は被着体A,Bの面ファスナーを貼着していない面に係合する。
【0030】
図6及び
図7は、被着体Aに貼着したループ側の面ファスナー10に対して、その上から被着体Bに貼着したフック側の面ファスナー20を取着する状態を示す。
図6は、面ファスナー10,20の長手側の側面から見た図であり、当該図面に示されるように、前記第1横軸部32及び第2横軸部33は短手方向に平行に配される。したがって、面ファスナー10,20の短手側の側面から見た
図7に示されるように、前記第1横軸部32及び第2横軸部33は、固定代部12,22の粘着部を有していない面又は被着体の面ファスナー10,20を貼着していない面に沿って図において左右に延びるので、第1横軸部32及び第2横軸部33は被着体A,B及び面ファスナー10,20から抜け出ないようになる。
【0031】
なお、
図6及び
図7における第1横軸部32及び第2横軸部33の向きは例示であり、縦軸部31が回転すればその向きは変わるが、いずれの向きにおいても第1横軸部32及び第2横軸部33は被着体A,B及び面ファスナー10,20から抜け出ないことに変わりはない。
【0032】
以上により、留め具30における縦軸部31が面ファスナー10,20と被着体A,Bとを貫通し、第1横軸部32及び第2横軸部33が面ファスナー10,20及び被着体A,Bから抜け出ないので、留め具30により、被着体Aとループ側の面ファスナー10とが固定され、また、被着体Bとフック側の面ファスナー20とが固定される。
【0033】
したがって、面ファスナー10,20がそれぞれ貼着されている各被着体A,Bは、粘着部による粘着力の固定に加えて、面ファスナー10,20のそれぞれと被着体A,Bのそれぞれとを貫通する留め具30の構造的な働きにより面ファスナー10,20と被着体A,Bとの貼着箇所がズレ動かないように固定されるので、面ファスナー10,20のそれぞれに対して被着体A,Bのそれぞれがズレ動くことがない。
【0034】
また、留め具30は合成樹脂製であるため、先端部が曲がりやすくても元に戻りやすいので起立する状態のままで先端部が肌に接触するようなことはなく、また、先端部が曲がりやすいので肌に先端部が接触しても負傷するおそれがないので、安全性が極めて高い。
【0035】
なお、上記の実施例においては、ループ側の面ファスナー及びフック側の面ファスナーの双方に対して留め具を使用したものであるが、被着体の状況(例えば一方の被着体に留め具が貫通しない場合)に応じ、いずれか一方に留め具を使用してもよい。
【0036】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。