(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102051
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】通信端末、基地局、通信システム、および制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 56/00 20090101AFI20220630BHJP
H04W 12/06 20210101ALI20220630BHJP
【FI】
H04W56/00 150
H04W12/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216559
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】辻 和輝
(72)【発明者】
【氏名】川嵜 雅央
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 丞
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067DD24
5K067DD30
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】無線送信時間を抑制して無線通信を効率よく行える通信端末を提供する。
【解決手段】通信端末12は、基地局14と無線通信を行う通信端末であって、無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を基地局14に送信する端末送信部16と、認証要求を受信した基地局14から送信されかつ基地局14によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答、および帰属要求を受信した基地局14から送信されかつ基地局14によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答、のうち少なくとも一方を受信する端末受信部18と、時刻を計時する端末計時部20と、認証応答に含まれる時刻情報および帰属応答に含まれる時刻情報のうち少なくとも一方を用いて、端末計時部20によって計時される時刻を補正する端末補正部22とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と無線通信を行う通信端末であって、
前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を前記基地局に送信する端末送信部と、
前記認証要求を受信した前記基地局から送信されかつ前記基地局によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答、および前記帰属要求を受信した前記基地局から送信されかつ前記基地局によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答、のうち少なくとも一方を受信する端末受信部と、
時刻を計時する端末計時部と、
前記認証応答に含まれる時刻情報および前記帰属応答に含まれる時刻情報のうち少なくとも一方を用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正する端末補正部とを備える、
通信端末。
【請求項2】
前記認証応答に含まれる時刻情報は、前記基地局によって計時されかつ前記基地局が前記認証要求を受信した時刻である時刻T2と、前記基地局によって計時されかつ前記基地局が前記認証応答を送信した時刻である時刻T3とを含み、
前記帰属応答に含まれる時刻情報は、前記基地局によって計時されかつ前記基地局が前記帰属要求を受信した時刻である時刻T6と、前記基地局によって計時されかつ前記基地局が前記帰属応答を送信した時刻である時刻T7とを含む、
請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記端末補正部は、
前記端末受信部が前記認証応答を受信した場合、前記認証応答に含まれる時刻情報と、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末送信部が前記認証要求を送信した時刻である時刻T1と、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末受信部が前記認証応答を受信した時刻である時刻T4とを用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正し、
前記端末受信部が前記帰属応答を受信した場合、前記帰属応答に含まれる時刻情報と、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末送信部が前記帰属要求を送信した時刻である時刻T5と、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末受信部が前記帰属応答を受信した時刻である時刻T8とを用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正する、
請求項2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記端末補正部は、前記端末受信部が前記認証応答を受信した場合、
前記時刻T1と、前記時刻T2と、前記時刻T3と、前記時刻T4とを用いて、前記端末計時部によって計時される時刻と前記基地局によって計時される時刻との時刻差である第1時刻差ΔT1を、ΔT1=((T3+T2)-(T1+T4))/2によって算出し、
前記第1時刻差ΔT1を用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正する、
請求項3に記載の通信端末。
【請求項5】
前記端末補正部は、前記端末受信部が前記帰属応答を受信した場合、
前記時刻T5と、前記時刻T6と、前記時刻T7と、前記時刻T8とを用いて、前記端末計時部によって計時される時刻と前記基地局によって計時される時刻との時刻差である第2時刻差ΔT2を、ΔT2=((T7+T6)-(T5+T8))/2によって算出し、
前記第2時刻差ΔT2を用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正する、
請求項4に記載の通信端末。
【請求項6】
前記端末送信部は、前記認証要求および前記帰属要求の両方を送信し、
前記端末受信部は、前記認証応答および前記帰属応答の両方を受信し、
前記端末補正部は、前記第1時刻差ΔT1と前記第2時刻差ΔT2との平均値である平均時刻差ΔTAを算出し、前記平均時刻差ΔTAを用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正する、
請求項5に記載の通信端末。
【請求項7】
通信端末と無線通信を行う基地局であって、
前記通信端末から送信されかつ前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を受信する基地局受信部と、
時刻を計時する基地局計時部と、
前記基地局受信部が前記認証要求を受信した場合には前記基地局計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答を前記通信端末に送信し、前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した場合には前記基地局計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答を前記通信端末に送信する基地局送信部とを備える、
基地局。
【請求項8】
前記基地局送信部は、
前記基地局受信部が前記認証要求を受信した場合、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局受信部が前記認証要求を受信した時刻である時刻T2と、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局送信部が前記認証応答を送信した時刻である時刻T3とを示す時刻情報を含む前記認証応答を送信し、
前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した場合、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した時刻である時刻T6と、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局送信部が前記帰属応答を送信した時刻である時刻T7とを示す時刻情報を含む前記帰属応答を送信する、
請求項7に記載の基地局。
【請求項9】
通信端末と無線通信を行う基地局であって、
前記通信端末から送信されかつ前記無線通信を行うための認証要求、および前記通信端末から送信されかつ前記通信端末によって計時された時刻を示す時刻情報を含みかつ前記無線通信を行うための帰属要求を受信する基地局受信部と、
前記基地局受信部が前記認証要求を受信した場合には認証応答を前記通信端末に送信し、前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した場合には帰属応答を前記通信端末に送信する基地局送信部と、
時刻を計時する基地局計時部と、
前記帰属要求に含まれる時刻情報を用いて、前記基地局計時部によって計時される時刻を補正する基地局補正部とを備える、
基地局。
【請求項10】
前記帰属要求に含まれる時刻情報は、前記通信端末によって計時されかつ前記通信端末が前記認証応答を受信した時刻である時刻T4と、前記通信端末によって計時されかつ前記通信端末が前記帰属要求を送信した時刻である時刻T5とを含む、
請求項9に記載の基地局。
【請求項11】
前記基地局補正部は、前記帰属要求に含まれる時刻情報と、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局送信部が前記認証応答を送信した時刻である時刻T3と、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した時刻である時刻T6とを用いて、前記基地局計時部によって計時される時刻を補正する、
請求項10に記載の基地局。
【請求項12】
前記基地局補正部は、
前記時刻T3と、前記時刻T4と、前記時刻T5と、前記時刻T6とを用いて、前記基地局計時部によって計時される時刻と前記通信端末によって計時される時刻との時刻差である時刻差ΔTBを、ΔTB=((T5+T4)-(T3+T6))/2によって算出し、
前記時刻差ΔTBを用いて、前記基地局計時部によって計時される時刻を補正する、
請求項11に記載の基地局。
【請求項13】
基地局と無線通信を行う通信端末であって、
前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求を前記基地局に送信する端末送信部と、
前記認証要求を受信した前記基地局から送信される認証応答、および前記帰属要求を受信した前記基地局から送信される帰属応答を受信する端末受信部と、
時刻を計時する端末計時部とを備え、
前記端末送信部は、前記端末受信部が前記認証応答を受信した場合、前記端末計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む前記帰属要求を送信する、
通信端末。
【請求項14】
前記端末送信部は、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末受信部が前記認証応答を受信した時刻である時刻T4と、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末送信部が前記帰属要求を送信した時刻である時刻T5とを示す時刻情報を含む前記帰属要求を送信する、
請求項13に記載の通信端末。
【請求項15】
請求項1から6のいずれか1項に記載の通信端末と、
請求項7または8に記載の基地局とを備える、
通信システム。
【請求項16】
請求項9から12のいずれか1項に記載の基地局と、
請求項13または14に記載の通信端末とを備える、
通信システム。
【請求項17】
時刻を計時する端末計時部を有し、基地局と無線通信を行う通信端末の制御方法であって、
前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を前記基地局に送信し、
前記認証要求を受信した前記基地局から送信されかつ前記基地局によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答、および前記帰属要求を受信した前記基地局から送信されかつ前記基地局によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答、のうち少なくとも一方を受信し、
前記認証応答に含まれる時刻情報および前記帰属応答に含まれる時刻情報のうち少なくとも一方を用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正する、
制御方法。
【請求項18】
時刻を計時する基地局計時部を有し、通信端末と無線通信を行う基地局の制御方法であって、
前記通信端末から送信されかつ前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を受信し、
前記認証要求を受信した場合には前記基地局計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答を前記通信端末に送信し、前記帰属要求を受信した場合には前記基地局計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答を前記通信端末に送信する、
制御方法。
【請求項19】
時刻を計時する基地局計時部を有し、通信端末と無線通信を行う基地局の制御方法であって、
前記通信端末から送信されかつ前記無線通信を行うための認証要求、および前記通信端末から送信されかつ前記通信端末によって計時された時刻を示す時刻情報を含みかつ前記無線通信を行うための帰属要求を受信し、
前記認証要求を受信した場合には認証応答を前記通信端末に送信し、前記帰属要求を受信した場合には帰属応答を前記通信端末に送信し、
前記帰属要求に含まれる時刻情報を用いて、前記基地局計時部によって計時される時刻を補正する、
制御方法。
【請求項20】
時刻を計時する端末計時部を有し、基地局と無線通信を行う通信端末の制御方法であって、
前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求を前記基地局に送信し、
前記認証要求を受信した前記基地局から送信される認証応答、および前記帰属要求を受信した前記基地局から送信される帰属応答を受信し、
前記認証応答を受信した場合、前記端末計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む前記帰属要求を送信する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末、基地局、通信システム、および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信の方式としてLPWA(Low Power Wide Area)が普及しつつある。LPWAに属する通信規格の1つにIEEE802.11ah規格がある。IEEE802.11ah規格のようなサブギガ帯域(たとえば、920MHz帯域)を使用する無線通信規格では、単位時間当たりの無線送信時間が法令により制限されている。したがって、IEEE802.11ah規格を使用するような無線通信では、無線送信時間を抑制することが望ましい。
【0003】
センサーノードのデータを収集するようなシステム、たとえば、センサーノードをクライアントとし、センサーノードからのデータを収集する機器をサーバとしたクライアントサーバシステムでは、クライアントおよびサーバの時刻情報を同期させる処理を行うことが一般的である。このようなクライアントサーバシステムの通信経路をIEEE802.11ah規格のような無線通信規格で実現しようとしたとき、時刻同期のための通信フレームを送信するだけでも単位時間当たりの無線送信時間が消費されてしまう。
【0004】
特許文献1には、子機と親機との間で無線通信する無線センサネットワークにおける時刻同期方法が開示されている。特許文献1の時刻同期方法では、親機は、時刻同期命令を発行せず、子機からの計測データを受信したとき、送信元の子機へ返す受信確認(ACK)に現在時刻を埋め込んで送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の時刻同期方法は、子機と親機との無線接続が完了した後に現在時刻を送信して時刻同期を行う方法であるので、無線送信時間を抑制できず無線通信を効率よく行えないという課題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、無線送信時間を抑制して無線通信を効率よく行える通信端末等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信端末は、基地局と無線通信を行う通信端末であって、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を前記基地局に送信する端末送信部と、前記認証要求を受信した前記基地局から送信されかつ前記基地局によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答、および前記帰属要求を受信した前記基地局から送信されかつ前記基地局によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答、のうち少なくとも一方を受信する端末受信部と、時刻を計時する端末計時部と、前記認証応答に含まれる時刻情報および前記帰属応答に含まれる時刻情報のうち少なくとも一方を用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正する端末補正部とを備える。
【0009】
これによれば、通信端末は、基地局によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答、および基地局によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答の少なくとも一方を受信し、認証応答に含まれる時刻情報および帰属応答に含まれる時刻情報の少なくとも一方を用いて、端末計時部によって計時される時刻を補正できる。したがって、通信端末と基地局との無線接続が完了した後に、端末計時部によって計時される時刻を補正するための時刻情報を送受信する必要がないので、無線送信時間を抑制して無線通信を効率よく行える。
【0010】
また、前記認証応答に含まれる時刻情報は、前記基地局によって計時されかつ前記基地局が前記認証要求を受信した時刻である時刻T2と、前記基地局によって計時されかつ前記基地局が前記認証応答を送信した時刻である時刻T3とを含み、前記帰属応答に含まれる時刻情報は、前記基地局によって計時されかつ前記基地局が前記帰属要求を受信した時刻である時刻T6と、前記基地局によって計時されかつ前記基地局が前記帰属応答を送信した時刻である時刻T7とを含んでもよい。
【0011】
これによれば、時刻T2と時刻T3、および/または、時刻T6と時刻T7を用いて、端末計時部によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行える。
【0012】
また、前記端末補正部は、前記端末受信部が前記認証応答を受信した場合、前記認証応答に含まれる時刻情報と、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末送信部が前記認証要求を送信した時刻である時刻T1と、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末受信部が前記認証応答を受信した時刻である時刻T4とを用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正し、前記端末受信部が前記帰属応答を受信した場合、前記帰属応答に含まれる時刻情報と、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末送信部が前記帰属要求を送信した時刻である時刻T5と、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末受信部が前記帰属応答を受信した時刻である時刻T8とを用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正してもよい。
【0013】
これによれば、認証応答に含まれる時刻情報に加えて、時刻T1と、時刻T4との双方を用いることによって、端末計時部によって計時される時刻を容易に補正できるので、さらに効率よく無線通信できかつ確実に時刻同期ができる。また、帰属応答に含まれる時刻情報に加えて、時刻T5と、時刻T8とを用いることによって、端末計時部によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0014】
また、前記端末補正部は、前記端末受信部が前記認証応答を受信した場合、前記時刻T1と、前記時刻T2と、前記時刻T3と、前記時刻T4とを用いて、前記端末計時部によって計時される時刻と前記基地局によって計時される時刻との時刻差である第1時刻差ΔT1を、ΔT1=((T3+T2)-(T1+T4))/2によって算出し、前記第1時刻差ΔT1を用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正してもよい。
【0015】
これによれば、第1時刻差ΔT1を容易に算出でき、第1時刻差ΔT1を用いて、端末計時部によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0016】
また、前記端末補正部は、前記端末受信部が前記帰属応答を受信した場合、前記時刻T5と、前記時刻T6と、前記時刻T7と、前記時刻T8とを用いて、前記端末計時部によって計時される時刻と前記基地局によって計時される時刻との時刻差である第2時刻差ΔT2を、ΔT2=((T7+T6)-(T5+T8))/2によって算出し、前記第2時刻差ΔT2を用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正してもよい。
【0017】
これによれば、第2時刻差ΔT2を容易に算出でき、第2時刻差ΔT2を用いて、端末計時部によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0018】
また、前記端末送信部は、前記認証要求および前記帰属要求の両方を送信し、前記端末受信部は、前記認証応答および前記帰属応答の両方を受信し、前記端末補正部は、前記第1時刻差ΔT1と前記第2時刻差ΔT2との平均値である平均時刻差ΔTAを算出し、前記平均時刻差ΔTAを用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正してもよい。
【0019】
これによれば、第1時刻差ΔT1と第2時刻差ΔT2との平均値である平均時刻差ΔTAを用いて、端末計時部によって計時される時刻を補正できるので、当該時刻をより精度よく補正できる。
【0020】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る基地局は、通信端末と無線通信を行う基地局であって、前記通信端末から送信されかつ前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を受信する基地局受信部と、時刻を計時する基地局計時部と、前記基地局受信部が前記認証要求を受信した場合には前記基地局計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答を前記通信端末に送信し、前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した場合には前記基地局計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答を前記通信端末に送信する基地局送信部とを備える。
【0021】
これによれば、基地局は、基地局計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答、および基地局計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答の少なくとも一方を送信し、通信端末は、認証応答に含まれる時刻情報および帰属応答に含まれる時刻情報の少なくとも一方を用いて、通信端末によって計時される時刻を補正できる。したがって、通信端末と基地局との無線接続が完了した後に、通信端末によって計時される時刻を補正するための時刻情報を送受信する必要がないので、無線送信時間を抑制して無線通信を効率よく行える。
【0022】
また、前記基地局送信部は、前記基地局受信部が前記認証要求を受信した場合、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局受信部が前記認証要求を受信した時刻である時刻T2と、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局送信部が前記認証応答を送信した時刻である時刻T3とを示す時刻情報を含む前記認証応答を送信し、前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した場合、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した時刻である時刻T6と、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局送信部が前記帰属応答を送信した時刻である時刻T7とを示す時刻情報を含む前記帰属応答を送信してもよい。
【0023】
これによれば、通信端末は、通信端末によって計時される時刻と基地局計時部によって計時される時刻との時刻差を容易に算出でき、当該時刻差を用いて、通信端末によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0024】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信システムは、上記の通信端末と、上記の基地局とを備える。
【0025】
これによれば、上記の通信端末と同様の効果を奏する。
【0026】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、時刻を計時する端末計時部を有し、基地局と無線通信を行う通信端末の制御方法であって、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を前記基地局に送信し、前記認証要求を受信した前記基地局から送信されかつ前記基地局によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答、および前記帰属要求を受信した前記基地局から送信されかつ前記基地局によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答、のうち少なくとも一方を受信し、前記認証応答に含まれる時刻情報および前記帰属応答に含まれる時刻情報のうち少なくとも一方を用いて、前記端末計時部によって計時される時刻を補正する。
【0027】
これによれば、上記の通信端末と同様の効果を奏する。
【0028】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、時刻を計時する基地局計時部を有し、通信端末と無線通信を行う基地局の制御方法であって、前記通信端末から送信されかつ前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求のうち少なくとも一方を受信し、前記認証要求を受信した場合には前記基地局計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答を前記通信端末に送信し、前記帰属要求を受信した場合には前記基地局計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答を前記通信端末に送信する。
【0029】
これによれば、上記の基地局と同様の効果を奏する。
【0030】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る基地局は、通信端末と無線通信を行う基地局であって、前記通信端末から送信されかつ前記無線通信を行うための認証要求、および前記通信端末から送信されかつ前記通信端末によって計時された時刻を示す時刻情報を含みかつ前記無線通信を行うための帰属要求を受信する基地局受信部と、前記基地局受信部が前記認証要求を受信した場合には認証応答を前記通信端末に送信し、前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した場合には帰属応答を前記通信端末に送信する基地局送信部と、時刻を計時する基地局計時部と、前記帰属要求に含まれる時刻情報を用いて、前記基地局計時部によって計時される時刻を補正する基地局補正部とを備える。
【0031】
これによれば、基地局は、通信端末によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属要求を受信し、帰属要求に含まれる時刻情報を用いて、基地局計時部によって計時される時刻を補正できる。したがって、通信端末と基地局との無線接続が完了した後に、基地局計時部によって計時される時刻を補正するための時刻情報を送受信する必要がないので、無線送信時間を抑制して無線通信を効率よく行える。
【0032】
また、前記帰属要求に含まれる時刻情報は、前記通信端末によって計時されかつ前記通信端末が前記認証応答を受信した時刻である時刻T4と、前記通信端末によって計時されかつ前記通信端末が前記帰属要求を送信した時刻である時刻T5とを含んでもよい。
【0033】
これによれば、時刻T4と時刻T5とを用いて、基地局計時部によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行える。
【0034】
また、前記基地局補正部は、前記帰属要求に含まれる時刻情報と、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局送信部が前記認証応答を送信した時刻である時刻T3と、前記基地局計時部によって計時されかつ前記基地局受信部が前記帰属要求を受信した時刻である時刻T6とを用いて、前記基地局計時部によって計時される時刻を補正してもよい。
【0035】
これによれば、帰属要求に含まれる時刻情報に加えて、時刻T3と、時刻T6とを用いることによって、基地局計時部によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0036】
また、前記基地局補正部は、前記時刻T3と、前記時刻T4と、前記時刻T5と、前記時刻T6とを用いて、前記基地局計時部によって計時される時刻と前記通信端末によって計時される時刻との時刻差である時刻差ΔTBを、ΔTB=((T5+T4)-(T3+T6))/2によって算出し、前記時刻差ΔTBを用いて、前記基地局計時部によって計時される時刻を補正してもよい。
【0037】
これによれば、時刻差ΔTBを容易に算出でき、時刻差ΔTBを用いて、基地局計時部によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0038】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信端末は、基地局と無線通信を行う通信端末であって、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求を前記基地局に送信する端末送信部と、前記認証要求を受信した前記基地局から送信される認証応答、および前記帰属要求を受信した前記基地局から送信される帰属応答を受信する端末受信部と、時刻を計時する端末計時部とを備え、前記端末送信部は、前記端末受信部が前記認証応答を受信した場合、前記端末計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む前記帰属要求を送信する。
【0039】
これによれば、通信端末は、端末計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属要求を送信し、基地局は、帰属要求に含まれる時刻情報を用いて、基地局によって計時される時刻を補正できる。したがって、通信端末と基地局との無線接続が完了した後に、基地局によって計時される時刻を補正するための時刻情報を送受信する必要がないので、無線送信時間を抑制して無線通信をさらに効率よく行える。
【0040】
また、前記端末送信部は、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末受信部が前記認証応答を受信した時刻である時刻T4と、前記端末計時部によって計時されかつ前記端末送信部が前記帰属要求を送信した時刻である時刻T5とを示す時刻情報を含む前記帰属要求を送信してもよい。
【0041】
これによれば、基地局は、端末計時部によって計時される時刻と基地局によって計時される時刻との時刻差を容易に算出でき、当該時刻差を用いて、基地局によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0042】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信システムは、上記の基地局と、上記の通信端末とを備える。
【0043】
これによれば、上記の基地局と同様の効果を奏する。
【0044】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、時刻を計時する基地局計時部を有し、通信端末と無線通信を行う基地局の制御方法であって、前記通信端末から送信されかつ前記無線通信を行うための認証要求、および前記通信端末から送信されかつ前記通信端末によって計時された時刻を示す時刻情報を含みかつ前記無線通信を行うための帰属要求を受信し、前記認証要求を受信した場合には認証応答を前記通信端末に送信し、前記帰属要求を受信した場合には帰属応答を前記通信端末に送信し、前記帰属要求に含まれる時刻情報を用いて、前記基地局計時部によって計時される時刻を補正する。
【0045】
これによれば、上記の基地局と同様の効果を奏する。
【0046】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る制御方法は、時刻を計時する端末計時部を有し、基地局と無線通信を行う通信端末の制御方法であって、前記無線通信を行うための認証要求および帰属要求を前記基地局に送信し、前記認証要求を受信した前記基地局から送信される認証応答、および前記帰属要求を受信した前記基地局から送信される帰属応答を受信し、前記認証応答を受信した場合、前記端末計時部によって計時された時刻を示す時刻情報を含む前記帰属要求を送信する。
【0047】
これによれば、上記の通信端末と同様の効果を奏する。
【0048】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0049】
本発明により、通信端末等は、無線送信時間を抑制して無線通信を効率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係る通信システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1の通信システムにおける通信端末と基地局との間で送信される通信フレームの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1の通信システムの時刻同期の処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図4】
図4は、第2の実施の形態に係る通信システムの機能構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図4の通信システムの時刻同期の処理の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0052】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0053】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る通信システム10の機能構成を示すブロック図である。
図1を参照して、通信システム10について説明する。
【0054】
図1に示すように、通信システム10は、通信端末12と、基地局14とを備えている。
図1では簡略化して基地局と通信端末を1:1の最小構成として表したが、基地局1台に対し複数の端末を備えるシステムであってもよい。
【0055】
通信端末12は、基地局14と無線通信を行う。通信端末12は、基地局14を親機とする子機であり、一般的にステーションとも呼ばれる。たとえば、通信端末12と基地局14との無線通信は、通信フレームを送信できる時間が制限されている通信帯域でなされる。具体的には、たとえば、当該無線通信は、IEEE802.11ah規格に準拠した無線通信であり、920MHz帯でなされる。通信端末12は、端末送信部16と、端末受信部18と、端末計時部20と、端末補正部22とを有している。
【0056】
端末送信部16は、認証要求(Authentication)および帰属要求(Association Request)を送信する。認証要求は、通信端末12と基地局14との無線接続を確立させて通信端末12と基地局14とが無線通信を行うための認証要求であり、通信端末12を基地局14に無線接続するための認証を受けるための要求である。帰属要求は、通信端末12と基地局14との無線接続を確立させて通信端末12と基地局14とが無線通信を行うための帰属要求であり、通信端末12を基地局14に帰属させるための要求である。第1の実施の形態では、端末送信部16は、端末計時部20によって計時された時刻を示す時刻情報である第1時刻情報(第1時刻情報および後述の第2~第4時刻情報については、
図3の説明において詳述する)を含む認証要求、および端末計時部20によって計時された時刻を示す時刻情報である第2時刻情報を含む帰属要求を送信し、メモリ等記憶媒体に一時記憶する。たとえば、端末送信部16は、アンテナおよび回路等によって実現される。
【0057】
端末受信部18は、認証要求を受信した基地局14から送信される認証応答(Authentication)、および帰属要求を受信した基地局14から送信される帰属応答(Association Response)を受信する。第1の実施の形態では、端末受信部18は、基地局14によって計時された時刻を示す時刻情報である第3時刻情報を含む認証応答、および基地局14によって計時された時刻を示す時刻情報である第4時刻情報を含む帰属応答を受信し、メモリ等記憶媒体に一時記憶する。たとえば、端末受信部18は、アンテナおよび回路等によって実現される。
【0058】
端末計時部20は、時刻を計時する。たとえば、端末計時部20は、通信端末12に内蔵されている時計等である。
【0059】
端末補正部22は、認証応答に含まれる第3時刻情報および帰属応答に含まれる第4時刻情報を用いて、端末計時部20によって計時される時刻を補正する。たとえば、端末補正部22は、プロセッサ等によって実現される。
【0060】
基地局14は、通信端末12と無線通信を行う。基地局14は、通信端末12を子機とする親機であり、一般的にアクセスポイントとも呼ばれる。基地局14は、基地局受信部24と、基地局送信部26と、基地局計時部28とを有している。
【0061】
基地局受信部24は、通信端末12から送信される認証要求、および通信端末12から送信される帰属要求を受信する。第1の実施の形態では、基地局受信部24は、第1時刻情報を含む認証要求、および第2時刻情報を含む帰属要求を受信し、メモリ等記憶媒体に一時記憶する。たとえば、基地局受信部24は、アンテナおよび回路等によって実現される。
【0062】
基地局送信部26は、基地局受信部24が通信端末12から送信された認証要求を受信した場合、通信端末12に認証応答を送信し、基地局受信部24が通信端末12から送信された帰属要求を受信した場合、通信端末12に帰属応答を送信する。第1の実施の形態では、基地局送信部26は、第3時刻情報を含む認証応答を送信、および第4時刻情報を含む帰属応答を送信し、メモリ等記憶媒体に一時記憶する。たとえば、基地局送信部26は、アンテナおよび回路等によって実現される。
【0063】
基地局計時部28は、時刻を計時する。たとえば、基地局計時部28は、基地局14に内蔵されている時計等である。
【0064】
なお、端末計時部20が計時する時刻と基地局計時部28が計時する時刻とは、時刻合わせの誤差および/または計時の個体差等によって、差が生じ得る。
【0065】
図2は、
図1の通信システム10における通信端末12と基地局14との間で送信される通信フレームの一例を示す図である。
図2を参照して、通信端末12と基地局14との間で送信される通信フレームの一例について説明する。
【0066】
図2に示すように、通信フレームは、IEEE Std.802.11-2016の9.4.2.26のVendor Specific Elementを含んでいる。たとえば、認証要求の送信および認証応答の送信には、IEEE Std.802.11-2016の9.3.3.12のAuthentication frame formatに、当該Vendor Specific Elementを付与した通信フレームが用いられる。また、帰属要求の送信には、IEEE Std.802.11-2016の9.3.3.6のAssociation Request frame formatに、当該Vendor Specific Elementを付与した通信フレームが用いられる。また、帰属応答の送信には、IEEE Std.802.11-2016の9.3.3.7のAssociation Response frame formatに、当該Vendor Specific Elementを付与した通信フレームが用いられる。
【0067】
通信端末12と基地局14との間で送信される通信フレームは、Element IDと、Lengthと、Organization Identifierと、Vendor-specific Contentとを含んでいる。
【0068】
Element IDは、Elementを識別するためのIDであり、ここでは、Vendor Specific Elementであることを示す221が使用される。
【0069】
Lengthは、Elementのデータ長を示す。Organization Identifierは、通信フレームの送信元(組織)を識別するための情報であり、IEEEによって割り当てられた一意の識別子が含められる。たとえば、Organization Identifierは、通信フレームの送信元のMACアドレスを示す。Vendor-specific Contentには、第1時刻情報、第2時刻情報、第3時刻情報、または第4時刻情報等が含まれる。たとえば、Vendor-specific Contentには、マイクロ秒単位でカウントアップした8バイトのデータが含められる。
【0070】
なお、認証要求、帰属要求、認証応答、および帰属応答の送信に用いられる通信フレームは、上記の構成に限定されず、時刻情報を含めることができる通信フレームを用いることができる。
【0071】
図3は、
図1の通信システム10の時刻同期の処理の一例を示すシーケンス図である。
図3を参照して、通信システム10の時刻同期の処理の一例について説明する。
【0072】
なお、
図3に示す通信システム10の時刻同期の処理は、
図3における接続処理の前に既に通信端末12と基地局14との間で無線接続を確立するための手順の一部が行われている前提で説明する。ここで、無線接続を確立するための手順の一部については、既知の技術(たとえば、プローブ要求および応答処理など)であり、詳細に説明しないが、何れにしても通信端末12と基地局14との間で無線通信を既にでき開始できる状態にある。
【0073】
図3に示すように、端末送信部16は、第1時刻情報を認証要求に埋め込み(ステップS1)、第1時刻情報を含む認証要求を基地局14に送信する(ステップS2)とともに、この第1時刻情報を一時記憶する。たとえば、第1時刻情報は、端末計時部20によって計時されかつ端末送信部16が認証要求を送信した時刻である時刻T1を示し、端末送信部16は、認証要求送信用の通信フレームのVendor-specific Contentに時刻T1を示す第1時刻情報を埋め込んで当該通信フレームを基地局14に送信する。
【0074】
基地局受信部24は、端末送信部16から認証要求が送信されると、当該認証要求を受信する(ステップS3)。
【0075】
基地局送信部26は、基地局受信部24が端末送信部16から送信された認証要求を受信した場合、第3時刻情報を認証応答に埋め込み(ステップS4)、第3時刻情報を含む認証応答を通信端末12に送信する(ステップS5)。たとえば、第3時刻情報は、基地局計時部28によって計時されかつ基地局受信部24が認証要求を受信した時刻である時刻T2、および基地局計時部28によって計時されかつ基地局送信部26が認証応答を送信した時刻である時刻T3を示し、基地局送信部26は、認証応答送信用の通信フレームのVendor-specific Contentに時刻T2および時刻T3を示す第3時刻情報を埋め込んで当該通信フレームを通信端末12に送信する。
【0076】
端末受信部18は、基地局送信部26から認証応答が送信されると、当該認証応答を受信する(ステップS6)とともに、当該認証応答に含まれる第3時刻情報を一時記憶する。
【0077】
端末送信部16は、端末受信部18が基地局送信部26から送信された認証応答を受信した場合、第2時刻情報を帰属要求に埋め込み(ステップS7)、第2時刻情報を含む帰属要求を基地局14に送信する(ステップS8)とともに、この第2時刻情報を一時記憶する。たとえば、第2時刻情報は、端末計時部20によって計時されかつ端末受信部18が認証応答を受信した時刻である時刻T4、および端末計時部20によって計時されかつ端末送信部16が帰属要求を送信した時刻である時刻T5を示し、端末送信部16は、帰属要求送信用の通信フレームのVendor-specific Contentに時刻T4および時刻T5を示す第2時刻情報を埋め込んで当該通信フレームを基地局14に送信する。
【0078】
基地局受信部24は、端末送信部16から帰属要求が送信されると、当該帰属要求を受信する(ステップS9)。
【0079】
基地局送信部26は、基地局受信部24が端末送信部16から送信された帰属要求を受信した場合、第4時刻情報を帰属応答に埋め込み(ステップS10)、第4時刻情報を含む帰属応答を通信端末12に送信する(ステップS11)。たとえば、第4時刻情報は、基地局計時部28によって計時されかつ基地局受信部24が帰属要求を受信した時刻である時刻T6、および基地局計時部28によって計時されかつ基地局送信部26が帰属応答を送信した時刻である時刻T7を示し、基地局送信部26は、帰属応答送信用の通信フレームのVendor-specific Contentに時刻T6および時刻T7を示す第4時刻情報を埋め込んで当該通信フレームを通信端末12に送信する。
【0080】
端末受信部18は、基地局送信部26から帰属応答が送信されると、当該帰属応答を受信する(ステップS12)とともに、当該帰属応答に含まれる第4時刻情報および当該帰属応答を受信した時刻T8を一時記憶する。
【0081】
つぎに、端末補正部22は、端末受信部18が基地局送信部26から送信された帰属応答を受信した場合、端末計時部20によって計時される時刻を補正する(ステップS13)。
【0082】
たとえば、端末補正部22は、一時記憶された時刻T1と時刻T2と時刻T3と時刻T4とを用いて、端末計時部20によって計時される時刻と基地局計時部28によって計時される時刻との時刻差である第1時刻差ΔT1を算出し、また、一時記憶された時刻T5と時刻T6と時刻T7と時刻T8とを用いて、端末計時部20によって計時される時刻と基地局計時部28によって計時される時刻との時刻差である第2時刻差ΔT2を算出する。そして、端末補正部22は、第1時刻差ΔT1と第2時刻差ΔT2との平均値である平均時刻差ΔTAを算出し、平均時刻差ΔTAを用いて、端末計時部20によって計時される時刻を補正する。
【0083】
具体的には、たとえば、端末補正部22は、第1時刻差ΔT1を、ΔT1=((T3+T2)-(T1+T4))/2によって算出する。たとえば、時刻T1が0ミリ秒、時刻T2が4ミリ秒、時刻T3が5ミリ秒、時刻T4が3ミリ秒であるとしたとき、第1時刻差ΔT1は、((5+4)-(0+3))/2=3となり、3ミリ秒となる。
【0084】
また、端末補正部22は、第2時刻差ΔT2を、ΔT2=((T7+T6)-(T5+T8))/2によって算出する。たとえば、時刻T5が5ミリ秒、時刻T6が9ミリ秒、時刻T7が10ミリ秒、時刻T8が8ミリ秒であるとしたとき、第2時刻差ΔT2は、((10+9)-(5+8))/2=3となり、3ミリ秒となる。
【0085】
端末補正部22は、平均時刻差ΔTAを、ΔTA=(ΔT1+ΔT2)/2によって算出する。ここでは、時刻差ΔT1が3ミリ秒であり、時刻差ΔT2が3ミリ秒であるので、平均時刻差ΔTAは、(3+3)/2=3となり、3ミリ秒である。したがって、端末計時部20によって計時されている時刻が、基地局計時部28によって計時されている時刻よりも3ミリ秒遅延していることがわかる。端末補正部22は、端末計時部20によって計時される時刻が、端末計時部20が現在計時している時刻に平均時刻差ΔTAを加算した時刻になるように、端末計時部20を制御し、端末計時部20によって計時される時刻を補正する。これによって、端末計時部20によって計時される時刻と基地局計時部28によって計時される時刻とが同期される。
【0086】
このように、通信端末12と基地局14とを無線接続するための接続処理において、認証要求および帰属要求の少なくとも一方に基地局14によって計時された時刻を示す時刻情報を含めることによって、通信端末12と基地局14との無線接続の完了と同時、または通信端末12と基地局14との無線接続の完了の前後に、端末計時部20によって計時される時刻を基地局計時部28によって計時される時刻に同期させることができ、通信端末12および基地局14は効率よく無線通信できる。
【0087】
なお、端末送信部16は、認証要求および帰属要求のいずれか一方のみに端末計時部20が計時した時刻を示す時刻情報を含めて送信してもよく、端末受信部18は、基地局計時部28によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答および基地局計時部28によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答のいずれか一方のみを受信してもよい。
【0088】
また、認証要求および帰属要求には、端末計時部20によって計時された時刻を示す時刻情報が含まれていなくてもよい。
【0089】
また、認証応答および帰属応答の一方には、基地局14によって計時された時刻を示す時刻情報が含まれていなくてもよい。
【0090】
また、端末補正部22は、認証応答に含まれる第3時刻情報および帰属応答に含まれる第4時刻情報の一方のみを用いて、端末計時部20によって計時される時刻を補正してもよい。
【0091】
以上、通信システム10について説明した。
【0092】
通信端末12によれば、通信端末12は、基地局14によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答、および基地局14によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答の少なくとも一方を受信し、認証応答に含まれる時刻情報および帰属応答に含まれる時刻情報の少なくとも一方を用いて、端末計時部20によって計時される時刻を補正できる。したがって、通信端末12と基地局14との無線接続が完了した後に、端末計時部20によって計時される時刻を補正するための時刻情報を送受信する必要がないので、無線送信時間を抑制して無線通信を効率よく行える。
【0093】
また、時刻T2と時刻T3、および、時刻T6と時刻T7を用いて、端末計時部20によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行える。
【0094】
また、認証応答に含まれる時刻情報に加えて、時刻T1と、時刻T4とを用いることによって、端末計時部20によって計時される時刻を容易に補正できるので、さらに効率よく無線通信できかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0095】
また、帰属応答に含まれる時刻情報に加えて、時刻T5と、時刻T8とを用いることによって、端末計時部20によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0096】
また、第1時刻差ΔT1を容易に算出でき、第1時刻差ΔT1を用いて、端末計時部20によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0097】
また、第2時刻差ΔT2を容易に算出でき、第2時刻差ΔT2を用いて、端末計時部20によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0098】
また、第1時刻差ΔT1と第2時刻差ΔT2との平均値である平均時刻差ΔTAを用いて、端末計時部20によって計時される時刻を補正できるので、当該時刻をより精度よく補正できる。
【0099】
基地局14によれば、基地局14は、基地局計時部28によって計時された時刻を示す時刻情報を含む認証応答、および基地局計時部28によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属応答の少なくとも一方を送信し、通信端末12は、認証応答に含まれる時刻情報および帰属応答に含まれる時刻情報の少なくとも一方を用いて、通信端末12によって計時される時刻を補正できる。したがって、通信端末12と基地局14との無線接続が完了した後に、通信端末12によって計時される時刻を補正するための時刻情報を送受信する必要がないので、無線送信時間を抑制して無線通信をさらに効率よく行える。
【0100】
また、通信端末12は、通信端末12によって計時される時刻と基地局計時部28によって計時される時刻との時刻差を容易に算出でき、当該時刻差を用いて、通信端末によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0101】
(第2の実施の形態)
図4は、第2の実施の形態に係る通信システム10aの機能構成を示すブロック図である。
図4を参照して、通信システム10aについて説明する。なお、以下の説明では、通信システム10との相違点を中心に説明する。
【0102】
図4に示すように、通信システム10aは、通信端末12aと、基地局14aとを備えている。
【0103】
通信端末12aは、端末補正部22を有していない点において、通信端末12と主に異なっている。
【0104】
基地局14aは、基地局補正部30を有している点において、基地局14と主に異なっている。
【0105】
基地局補正部30は、帰属要求に含まれる第2時刻情報(時刻T4およびT5)を用いて、基地局計時部28によって計時される時刻を補正する。たとえば、基地局補正部30は、プロセッサ等によって実現される。
【0106】
図5は、
図4の通信システム10aの時刻同期の処理の一例を示すシーケンス図である。
図5を参照して、通信システム10aの時刻同期の処理の一例について説明する。第1の実施の形態において説明した
図3と同じ箇所については説明を割愛する。
【0107】
図5のステップS3、S5、S9、およびS11においては、基地局14aは、通信端末12aより受信した認証要求、帰属要求、また通信端末12aに送信する認証応答、帰属応答に含まれる時刻情報を、時刻を補正するために一時記憶する。
【0108】
また、
図5に示すように、基地局補正部30は、基地局送信部26が通信端末12aに帰属応答を送信すると(ステップS11)、基地局計時部28によって計時される時刻を補正する(ステップS14)。
【0109】
たとえば、基地局補正部30は、一時記憶された時刻T3と時刻T4と時刻T5と時刻T6とを用いて、端末計時部20によって計時される時刻と基地局計時部28によって計時される時刻との時刻差である時刻差ΔTBを算出する。そして、基地局補正部30は、時刻差ΔTBを用いて、基地局計時部28によって計時される時刻を補正する。
【0110】
具体的には、たとえば、基地局補正部30は、時刻差ΔTBを、ΔTB=((T5+T4)-(T3+T6))/2によって算出する。たとえば、時刻T3が5ミリ秒、時刻T4が3ミリ秒、時刻T5が5ミリ秒、時刻T6が9ミリ秒であるとしたとき、時刻差ΔTBは、((5+3)-(5+9))/2=-3となり、-3ミリ秒となる。したがって、基地局計時部28によって計時されている時刻が、端末計時部20によって計時されている時刻よりも3ミリ秒早いことがわかる。基地局補正部30は、基地局計時部28によって計時される時刻が、基地局計時部28が現在計時している時刻に時刻差ΔTBを加算した時刻になるように、基地局計時部28を制御し、基地局計時部28によって計時される時刻を補正する。これによって、端末計時部20によって計時される時刻と基地局計時部28によって計時される時刻とが同期される。
【0111】
このように、通信端末12aと基地局14aとを無線接続するための接続処理において、帰属要求に通信端末12aによって計時された時刻を示す時刻情報を含めることによって、通信端末12aと基地局14aとの無線接続の完了と同時、または通信端末12aと基地局14aとの無線接続の完了の前後に、基地局計時部28によって計時される時刻を端末計時部20によって計時される時刻に同期させることができ、通信端末12aおよび基地局14aは効率よく無線通信できる。
【0112】
なお、基地局補正部30は、時刻T1と時刻T2と時刻T3と時刻T4とを用いて、端末計時部20によって計時される時刻と基地局計時部28によって計時される時刻との時刻差を算出し、当該時刻差を用いて、基地局計時部28によって計時される時刻を補正してもよい。
【0113】
また、認証要求には、端末計時部20によって計時された時刻を示す時刻情報が含まれていなくてもよく、認証応答および帰属応答には、基地局計時部28によって計時された時刻を示す時刻情報が含まれていなくてもよい。
【0114】
以上、通信システム10aについて説明した。
【0115】
基地局14aによれば、基地局14aは、通信端末12aによって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属要求を受信し、帰属要求に含まれる時刻情報を用いて、基地局計時部28によって計時される時刻を補正できる。したがって、通信端末12aと基地局14aとの無線接続が完了した後に、基地局計時部28によって計時される時刻を補正するための時刻情報を送受信する必要がないので、無線送信時間を抑制して無線通信を効率よく行える。
【0116】
また、時刻T4と時刻T5とを用いて、基地局計時部28によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行える。
【0117】
また、帰属要求に含まれる時刻情報に加えて、時刻T3と、時刻T6とを用いることによって、基地局計時部28によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0118】
また、時刻差ΔTBを容易に算出でき、時刻差ΔTBを用いて、基地局計時部28によって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0119】
通信端末12aによれば、通信端末12aは、端末計時部20によって計時された時刻を示す時刻情報を含む帰属要求を送信し、基地局14aは、帰属要求に含まれる時刻情報を用いて、基地局14aによって計時される時刻を補正できる。したがって、通信端末12aと基地局14aとの無線接続が完了した後に、基地局14aによって計時される時刻を補正するための時刻情報を送受信する必要がないので、無線送信時間を抑制して無線通信を効率よく行える。
【0120】
また、基地局14aは、時刻差ΔTBを容易に算出でき、時刻差ΔTBを用いて、基地局14aによって計時される時刻を容易に補正できるので、無線通信をさらに効率よく行えかつ確実に時刻同期が可能となる。
【0121】
(他の実施の形態等)
第1および第2の実施の形態にかかる端末計時部20および基地局計時部28は、内蔵されている時計等を用いて時刻を計時するとしたが、他の実施の形態では、端末計時部20および基地局計時部28は、各装置の電源起動時からのカウンタ値を用いてもよい。たとえば、通信端末12,12aおよび基地局14,14aに備わる、ソフトウェアあるいはハードウェアカウンタを用いて、第1および第2の実施の形態にかかる時刻T1からT8までの各時刻をそれぞれのタイミングのカウンタ値に置き換えることで通信処理を行ってもよい。この場合、カウンタ値の差を用いて、第1の実施の形態にかかる端末補正部22にて、カウンタ値が同期するように補正を行うことで、通信端末12および基地局14の通信タイミングを同期されることができ、第2の実施の形態にかかる基地局補正部30にて、カウンタ値が同期するように補正を行うことで、通信端末12aおよび基地局14aの通信タイミングを同期されることができ、第1および第2の実施の形態にかかる通信システム10,10aと同様の効果を奏する。
【0122】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【0123】
以上、本発明の基地局及び端末等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、送信量の制限がある通信帯域で無線通信する通信端末等に利用され得る。
【符号の説明】
【0125】
10,10a 通信システム
12,12a 通信端末
14,14a 基地局
16 端末送信部
18 端末受信部
20 端末計時部
22 端末補正部
24 基地局受信部
26 基地局送信部
28 基地局計時部
30 基地局補正部