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特開2022-102068排気系部品及びこれを用いた排気系部品組付体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102068
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】排気系部品及びこれを用いた排気系部品組付体
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20220630BHJP
【FI】
F01N13/08 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216587
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小暮 拓
【テーマコード(参考)】
3G004
【Fターム(参考)】
3G004BA05
3G004DA01
3G004EA00
3G004GA00
(57)【要約】
【課題】フランジ部に熱応力が集中しにくくし、フランジ部を損傷から保護することができる排気系部品及びこれを用いた排気系部品組付体を提供する。
【解決手段】排気系部品1は、流通管部2及びフランジ部3を備える。流通管部2は、排ガスが流通する流路20を形成する部位である。フランジ部3は、流通管部2の端部22から外周側に突出して形成されており、フランジ部3には、複数の取付用穴31が形成されている。流通管部2の端部22における、フランジ部3の内周側に位置する内壁面201には、流通管部2の一般部21の内壁面201に比べて単位長さ当たりの表面積が大きく、排ガスの熱をフランジ部3へ移動させるための凹凸4が形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスが流通する流路を形成する流通管部と、
前記流通管部の端部から外周側に突出し、複数の取付用穴が形成されたフランジ部と、を備え、
前記流通管部の端部における、前記フランジ部の内周側に位置する内壁面には、前記流通管部の一般部の内壁面に比べて単位長さ当たりの表面積が大きい凹凸が形成されている、排気系部品。
【請求項2】
前記排気系部品は、鋳造品であり、
前記フランジ部における、複数の前記取付用穴の外周側に位置する部位は、他の部位よりも外周側に突出しており、
前記フランジ部の軸方向の内側端面における、前記取付用穴の周りには、機械加工による座面及び段差部が形成されている、請求項1に記載の排気系部品。
【請求項3】
前記凹凸は、前記流通管部の一般部の内壁面よりも外周側の部位を利用して、前記流通管部の軸方向に沿って周方向に並ぶ状態で形成された複数の溝と、複数の前記溝同士の間に形成された複数のフィンとによって構成されている、請求項1又は2に記載の排気系部品。
【請求項4】
複数の前記溝は、前記フランジ部の軸方向の内側端面から外側端面に向かうに連れて外周側に深くなるテーパ状に形成されている、請求項3に記載の排気系部品。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の排気系部品と、前記排気系部品の前記フランジ部が取り付けられた取付対象部品とを備える排気系部品組付体であって、
前記取付対象部品は、前記流通管部の前記流路と連通された取付側流路を有しており、
前記取付側流路の内壁面には、前記取付側流路の一般部の内壁面に比べて単位長さ当たりの表面積が大きい取付側凹凸が形成されている、排気系部品組付体。
【請求項6】
前記取付側凹凸は、前記取付側流路の一般部の内壁面よりも外周側の部位を利用して、前記取付側流路の軸方向に沿って周方向に並ぶ状態で形成された複数の取付側溝と、複数の前記取付側溝同士の間に形成された複数の取付側フィンとによって構成されている、請求項5に記載の排気系部品組付体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガスが流れる部位に使用される排気系部品及びこれを用いた排気系部品組付体に関する。
【背景技術】
【0002】
排気系部品は、エンジン、タービン等から排気される排ガスを流通させるために用いられる。排気系部品は、排気マニホルド、排気管、排気再循環の配管等として用いられ、排ガスによって高温に加熱される。排気系部品は、排ガスが流通する流通管部と、流通管部を対象部品に取り付けるためのフランジ部とを有する。フランジ部には、ボルト等が挿通される取付用穴が複数形成されており、排気系部品は、フランジ部が取付対象部品に対面する状態で、取付用穴を利用して取付対象部品に取り付けられる。
【0003】
排気系部品は熱の影響を受けて変形することが懸念されるため、排気系部品を熱から保護するための種々の形状の工夫がなされている。例えば、特許文献1に記載された排気マニホルドにおいては、出口ポートに排ガスを送る集合管に複数の枝管が接続されており、出口ポートを間に介する隣接した2本の枝管の交差部には、排ガスを出口ポート側に導く導流壁が設けられている。導流壁によって、各排気ポートから流入する排ガスの流れが集合管部に滞ることなく滑らかに出口ポートに向かって導かれる。これにより、集合管の表面温度が低下し、集合管及び枝管の取付フランジの変形が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-109825号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、排気系部品のフランジ部は、流通管部から外周側に突出しているために、排ガスによって加熱されにくい状態にある。発明者らの研究により、排気系部品の使用時においては、流通管部からフランジ部の先端側に向けて温度が低くなる温度分布の存在が確認された。フランジ部には、流通管部との温度差を受けて熱応力が作用する。この熱応力を受けて、フランジ部は、流通管部が位置する軸方向の内側へ変形しようとする。このとき、特に、取付用穴の内周側に位置する部位に熱応力が集中し、この部位が損傷するおそれがある。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、フランジ部に熱応力が集中しにくくし、フランジ部を損傷から保護することができる排気系部品及びこれを用いた排気系部品組付体を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
排ガスが流通する流路を形成する流通管部と、
前記流通管部の端部から外周側に突出し、複数の取付用穴が形成されたフランジ部と、を備え、
前記流通管部の端部における、前記フランジ部の内周側に位置する内壁面には、前記流通管部の一般部の内壁面に比べて単位長さ当たりの表面積が大きい凹凸が形成されている、排気系部品にある。
【0008】
本発明の他の態様は、
前記排気系部品と、前記排気系部品の前記フランジ部が取り付けられた取付対象部品とを備える排気系部品組付体であって、
前記取付対象部品は、前記流通管部の前記流路と連通された取付側流路を有しており、
前記取付側流路の内壁面には、前記取付側流路の一般部の内壁面に比べて単位長さ当たりの表面積が大きい取付側凹凸が形成されている、排気系部品組付体にある。
【発明の効果】
【0009】
(排気系部品)
前記一態様の排気系部品においては、流通管部の端部における、フランジ部の内周側に位置する内壁面に凹凸が形成されている。この凹凸の形成により、流通管部の端部における、フランジ部の内周側に位置する内壁面の単位長さ当たりの表面積は、流通管部の一般部の内壁面の単位長さ当たりの表面積に比べて大きい。そして、流通管部内を排ガスが流通するときには、排ガスの熱がフランジ部へ移動しやすくなる。
【0010】
これにより、流通管部とフランジ部との温度差が小さくなり、この温度差に伴ってフランジ部に生じる熱応力が小さくなる。そして、フランジ部における、取付用穴の内周側に位置する部位に熱応力が集中しにくくなり、フランジ部を損傷から保護することができる。
【0011】
前記一態様の排気系部品によれば、フランジ部に熱応力が集中しにくくし、フランジ部を損傷から保護することができる。
【0012】
「単位長さ当たりの表面積」とは、流通管部の軸方向への単位長さ当たりにおける、内壁面の表面積のことをいう。内壁面の単位長さ当たりの表面積が大きくなると、排ガスの熱が伝達されやすくなる。
【0013】
(排気系部品組付体)
前記他の態様の排気系部品組付体においては、取付対象部品に取付側凹凸が形成されていることにより、取付対象部品における、排気系部品のフランジ部と対面する部位の温度を高くすることができる。これにより、排気系部品のフランジ部の温度がさらに低下しにくくし、フランジ部の段差部に熱応力がさらに集中しにくくすることができる。
【0014】
前記他の態様の排気系部品組付体によれば、排気系部品のフランジ部に熱応力が集中しにくくし、フランジ部を損傷から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態1にかかる、排気系部品をフランジ部の側から見た状態で示す斜視図。
図2】実施形態1にかかる、排気系部品を流通管部の側から見た状態で示す斜視図。
図3】実施形態1にかかる、排気系部品を示す断面図。
図4】実施形態1にかかる、排気系部品及び取付対象部品による排気系部品組付体を示す断面図。
図5】実施形態1にかかる、他の排気系部品を示す断面図。
図6】実施形態1にかかる、従来の排気系部品における使用時の温度分布を示す断面図。
図7】実施形態1にかかる、排気系部品における使用時の温度分布を示す断面図。
図8】実施形態2にかかる、排気系部品及び取付対象部品による排気系部品組付体を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
前述した排気系部品及びこれを用いた排気系部品組付体にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
本形態の排気系部品1は、図1図3に示すように、流通管部2及びフランジ部3を備える。流通管部2は、排ガスGが流通する流路20を形成する部位である。フランジ部3は、流通管部2の端部22から外周側に突出して形成されており、フランジ部3には、複数の取付用穴31が形成されている。流通管部2の端部22における、フランジ部3の内周側に位置する内壁面201には、流通管部2の一般部21の内壁面201に比べて単位長さ当たりの表面積が大きく、排ガスGの熱をフランジ部3へ移動させるための凹凸4が形成されている。
【0017】
以下に、本形態の排気系部品1及びこれを用いた排気系部品組付体10について詳説する。
(排気系部品1)
図4に示すように、本形態の排気系部品1は、エンジン等の内燃機関における排気系統に用いられるものである。排気系部品1は、種々の金属材料の鋳造品によって形成されている。排気系部品1は、ダイカスト品として形成されていてもよい。排気系部品1は、フランジ部3の軸方向Lの外側端面301が取付対象部品5に対面する状態で、取付用穴31を利用して取付対象部品5に取り付けられる。「フランジ部3の軸方向Lの外側端面301」とは、フランジ部3における、流通管部2から遠い側の軸方向Lの端面のことをいう。
【0018】
ここで、軸方向Lとは、流通管部2の中心を通る中心軸線が延びる方向のことをいう。外周側とは、中心軸線から放射状に広がる径方向Rの外周側のことをいい、内周側とは、中心軸線から放射状に広がる径方向Rの内周側のことをいう。また、中心軸線の周りの方向のことを周方向Cという。図3及び図4においては、排ガスGの流れを双方向の矢印で示すが、排ガスGの実際の流れは一方向の流れとなる。
【0019】
排気系部品1は、排気マニホルドの一部を構成してもよく、排気管の一部を構成してもよい。また、排気系部品1は、排ガスGを燃焼用空気に混合させるための排気再循環の配管の一部を構成してもよく、ターボチャージャの配管の一部を構成してもよい。排気系部品1は、排ガスGが内部を流れる種々の用途に用いてもよい。また、排気系部品1は、内燃機関としてのタービンエンジンの配管、外燃機関としての蒸気タービンの配管等としてもよい。
【0020】
(流通管部2)
図1図3に示すように、本形態の流通管部2は、円環形状の断面を有している。流通管部2の内周側には、排ガスGが流通する流路20が形成されている。流路20は、フランジ部3の内周側にも流通管部2から連続して形成されている。流通管部2は、直管形状に形成する以外にも、種々の曲管形状に形成してもよい。流通管部2は、円環形状以外にも、角環形状、扁平管形状、楕円管形状等の断面を有していてもよい。流通管部2は、排ガスGが流通する種々のものとすればよい。
【0021】
流通管部2は、1本の連続的な管形状に形成する以外にも、複数に枝分かれした管形状としてもよい。流通管部2が複数に枝分かれした管形状を有する場合には、フランジ部3は、すべての流通管部2の端部22に形成してもよい。
【0022】
(フランジ部3)
図1図3に示すように、フランジ部3は、流通管部2の端部22の全周から突出する板形状に形成されている。フランジ部3の軸方向Lの外側端面301の全体は、切削等の機械加工が行われた、平滑な加工面として形成されている。フランジ部3における、複数の取付用穴31の外周側に位置する部位は、他の部位よりも外周側に突出している。換言すれば、複数の取付用穴31は、フランジ部3における円形状部位の周方向Cの複数箇所から外周側に突出する複数の突出部32を利用して形成されている。
【0023】
図4に示すように、本形態の複数の取付用穴31は、ボルト6のネジ部62を挿通するための挿通穴として、フランジ部3の軸方向Lに平行に形成されている。取付用穴31は、ボルト6のネジ部62が螺合されるネジ穴として形成されていてもよい。
【0024】
図2及び図3に示すように、フランジ部3の軸方向Lの内側端面302における、複数の取付用穴31の周りには、切削等の機械加工による座面33及び段差部34が形成されている。内側端面302とは、フランジ部3における、流通管部2の側に位置する端面のことをいう。座面33は、ボルト6の頭部61が着座するよう、座ぐり加工が行われた平滑な加工面(座ぐり面)として形成されている。段差部34は、フランジ部3における、座面33が形成された部位と、座面33が形成されていない部位との境界部位に形成されている。段差部34は、切削工具の形状に沿った円弧状(曲面状)の断面を有する。
【0025】
(凹凸4)
図1及び図3に示すように、内壁面201における凹凸4は、排ガスGの熱が、一般部21の内壁面201に比べて移動しやすくするために形成されている。凹凸4は、熱移動促進用のものである。本形態の凹凸4は、フランジ部3の内周側に位置する内壁面201において、流通管部2の一般部21の内壁面201よりも外周側の部位を利用して、流通管部2の軸方向Lに沿って周方向Cに並ぶ状態で形成された複数の溝41と、複数の溝41同士の間に形成された複数のフィン42とによって構成されている。
【0026】
溝41及びフィン42は、周方向Cに等間隔に交互に形成されている。複数の溝41及びフィン42が軸方向Lに平行に形成されていることにより、鋳造品としての排気系部品1の型成形及び離型が容易になる。図1図3及び図4において、溝41及びフィン42は、部分的に省略して示す。
【0027】
複数の溝41は、フランジ部3の軸方向Lの内側端面302から外側端面301に向かうに連れて外周側に深くなるテーパ状に形成されている。本形態の複数の溝41は、流通管部2の端部22の内壁面201から外周側に陥没する状態で形成されている。複数のフィン42は、流通管部2の端部22の内壁面201から外周側に形成されている。複数のフィン42の内壁面201は、流通管部2の一般部21の内壁面201と同一面を形成している。
【0028】
複数のフィン42が流通管部2の一般部21の内壁面201よりも内周側に突出していないことにより、複数のフィン42が流通管部2の流路20内の排ガスGの流れの妨げにならない。また、複数の溝41の深さがテーパ状になっていることによっても、流通管部2の流路20内の排ガスGの流れが停滞しにくくなる。
【0029】
複数の溝41の深さは、テーパ状になっておらず、例えば、軸方向Lに平行なストレート状になっていてもよい。また、複数の溝41は、例えば、軸方向Lに対して傾斜する状態、換言すれば螺旋状に形成されていてもよい。また、複数のフィン42は、流通管部2の端部22の内壁面201において、流通管部2の一般部21の内壁面201よりも内周側に突出する状態で形成されていてもよい。
【0030】
また、図5に示すように、凹凸4は、複数の溝41及びフィン42によって形成する以外にも、例えば、流通管部2の端部22の内壁面201の、周方向C及び軸方向Lの複数箇所において陥没する凹部43によって形成してもよい。また、凹凸4は、例えば、流通管部2の端部22の内壁面201の、周方向C及び軸方向Lの複数箇所において突出する凸部によって形成してもよい。
【0031】
また、凹凸4は、流通管部2の端部22の内壁面201の全周に形成する以外にも、例えば、流通管部2の端部22の内壁面201における、複数の取付用穴31の内周側に位置する部分にのみ形成してもよい。
【0032】
(取付対象部品5及び排気系部品組付体10)
図4に示すように、本形態の排気系部品1が取り付けられる取付対象部品5は、流通管部2の流路20と連通されて排ガスGが流通する取付側流路50を有している。排気系部品1は、フランジ部3の取付用穴31に挿通されたボルト6のネジ部62が取付対象部品5のネジ穴53に締め付けられることによって、取付対象部品5に取り付けられている。そして、排気系部品1と取付対象部品5とによって排気系部品組付体10が構成されている。
【0033】
本形態の取付側流路50の内径は、流通管部2の流路20の内径と同じである。フランジ部3の内周側に位置する内壁面201に形成された複数のフィン42は、取付対象部品5の取付側流路50よりも内周側にほとんど突出していない。これにより、排ガスGが取付側流路50及び流路20を連続して流れる際に、複数のフィン42が排ガスGの流れの妨げになることが防止される。
【0034】
なお、取付対象部品5の取付側流路50は、流通管部2の流路20の内径よりも大きく形成されていてもよく、流通管部2の流路20の内径よりも小さく形成されていてもよい。また、取付対象部品5は、排気系部品1のフランジ部3と対面するフランジ部を有する部品であってもよい。換言すれば、取付対象部品5は、フランジ部3と対面するフランジ部を有する配管部品であってもよい。
【0035】
(温度分布)
フランジ部3における、取付用穴31が形成された複数の突出部32は、排ガスGが流通する流路20から最も離れており、排気系部品1の使用時において、温度が最も低くなる部位である。図6には、フランジ部93の内周側に位置する内壁面に凹凸が形成されていない、従来の排気系部品9における使用時の温度分布について示す。図6においては、排気系部品9の温度をT1~T10の10段階に区切って示し、温度が最も高い場合をT1、温度が最も低い場合をT10として示す。
【0036】
従来の排気系部品9においては、流通管部92からフランジ部93に近づくに連れて温度の低下が著しくなり、フランジ部93においてはT7~T10の温度になる。そして、流通管部92とフランジ部93との温度差が大きく、特に、フランジ部93の内周側の部位に作用する圧縮応力が大きくなる。その結果、フランジ部93には、軸方向Lの外側(図6における二点鎖線の側)に変形しようとする応力が働く。これにより、フランジ部93の軸方向Lの内側端面における、座面933に隣接する段差部934に応力集中が生じ、場合によっては、この段差部934に亀裂が生じるおそれがある。
【0037】
一方、図7には、フランジ部3の内周側に位置する内壁面201に凹凸4が形成された、本形態の排気系部品1における使用時の温度分布について示す。図7においても、排気系部品1の温度をT1~T10の10段階に区切って示し、温度が最も高い場合をT1、温度が最も低い場合をT10として示す。
【0038】
本形態の排気系部品1においては、複数の凹凸4の形成によって、流通管部2からフランジ部3に向けた温度の低下幅が緩和され、フランジ部3においてはT4~T9の温度になる。そして、流通管部2とフランジ部3との温度差が緩和され、特に、フランジ部3の内周側の部位に作用する圧縮応力が小さくなる。その結果、フランジ部3が軸方向Lの外側に変形しようとする応力が小さくなる。これにより、フランジ部3の軸方向Lの内側端面302における段差部34に、応力集中が生じにくくなり、この段差部34に亀裂が生じることが防止される。
【0039】
(作用効果)
本形態の排気系部品1においては、流通管部2の端部22における、フランジ部3の内周側に位置する内壁面201に、凹凸4としての溝41及びフィン42が形成されている。この溝41及びフィン42の形成により、流通管部2の端部22における、フランジ部3の内周側に位置する内壁面201の単位長さ当たりの表面積は、流通管部2の一般部21の内壁面201の単位長さ当たりの表面積に比べて大きい。そして、流通管部2内を排ガスGが流通するときには、複数のフィン42によって熱伝達が促進され、排ガスGの熱がフランジ部3へ移動しやすくなる。
【0040】
これにより、流通管部2とフランジ部3との温度差が小さくなり、この温度差に伴ってフランジ部3に生じる熱応力が小さくなる。そして、フランジ部3における、取付用穴31の内周側に位置する段差部34に熱応力が集中しにくくなり、段差部34を亀裂等の損傷から保護することができる。
【0041】
それ故、本形態の排気系部品1及びこれを用いた排気系部品組付体10によれば、フランジ部3に熱応力が集中しにくくし、フランジ部3を亀裂等の損傷から保護することができる。
【0042】
<実施形態2>
本形態は、排気系部品1と取付対象部品5とによって構成された排気系部品組付体10の他の構成について示す。図8に示すように、本形態の取付対象部品5の取付側流路50の内壁面501には、取付側流路50の一般部52の内壁面501に比べて単位長さ当たりの表面積が大きい取付側凹凸51が形成されている。
【0043】
本形態の取付側凹凸51は、取付側流路50の一般部52の内壁面501よりも外周側の部位を利用して、取付側流路50の軸方向Lに沿って周方向Cに並ぶ状態で形成された複数の取付側溝511と、複数の取付側溝511同士の間に形成された複数の取付側フィン512とによって構成されている。取付側溝511及び取付側フィン512は、周方向Cに等間隔に交互に形成されている。取付側流路50の軸方向Lは、流通管部2及び流路20の軸方向Lと同じである。
【0044】
複数の取付側溝511は、取付対象部品5の軸方向Lの端面502から内側に向かうに連れて、外周側への深さが浅くなるテーパ状に形成されている。本形態の複数の取付側溝511は、取付側流路50の内壁面501から外周側に陥没する状態で形成されている。複数の取付側フィン512は、取付側流路50の内壁面501から外周側に形成されている。複数の取付側フィン512の内壁面501は、取付側流路50の内壁面501と同一面を形成している。
【0045】
排気系部品1に、複数の溝41及びフィン42が形成された間隔と、取付対象部品5に、複数の取付側溝511及び取付側フィン512が形成された間隔とは同じである。排気系部品1の複数のフィン42と、取付対象部品5の複数の取付側フィン512とは、軸方向Lに向けて互いに繋がっている。この構成によって、複数のフィン42及び複数の取付側フィン512が、流路20内及び取付側流路50内の排ガスGの流れの妨げにならない。
【0046】
本形態の排気系部品組付体10においては、取付対象部品5に取付側凹凸51としての取付側溝511及び取付側フィン512が形成されていることにより、取付対象部品5における、フランジ部3と対面する部位の温度を高くすることができる。これにより、排気系部品1のフランジ部3の温度がさらに低下しにくくし、フランジ部3の段差部34に熱応力がさらに集中しにくくすることができる。
【0047】
本形態の排気系部品組付体10における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1の構成、作用効果等と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の構成要素と同様である。
【0048】
本発明は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。さらに、本発明から想定される様々な構成要素の組み合わせ、形態等も本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
1 排気系部品
10 排気系部品組付体
2 流通管部
20 流路
201 内壁面
21 一般部
22 端部
3 フランジ部
301 外側端面
302 内側端面
31 取付用穴
32 突出部
33 座面
34 段差部
4 凹凸
41 溝
42 フィン
5 取付対象部品
50 取付側流路
501 内壁面
51 取付側凹凸
511 取付側溝
512 取付側フィン
52 一般部
53 ネジ穴
6 ボルト
G 排ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8