(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102072
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ランドセル
(51)【国際特許分類】
A45F 3/04 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
A45F3/04 400Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216592
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】391043756
【氏名又は名称】株式会社セイバン
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】樫谷 一弘
(72)【発明者】
【氏名】神田 静季
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA24
3B045CE00
(57)【要約】
【課題】補強片を破れにくくすることができ、かつ補強片の見た目がよいランドセルを提供する。
【解決手段】ランドセル100は、収容部と、蓋部2と、一対の背負いベルトと、一対の補強片RPを備えている。一対の補強片RPの各々は、本体部MPと、第1突出部P1と、第2突出部P2とを含んでいる。第1突出部P1は、本体部MPから突き出している。第2突出部P2は、第1突出部P1に対して背板1aと反対側において本体部MPから突き出している。本体部MPは、互いに重ねられた、蓋部2と、背板1aと、一対のマチ部1bのいずれかとを挟んでいる。第1突出部P1は、開口部OPを構成する背板1aの端部EPに沿うように本体部MPから折り曲げられている。第2突出部P2は、第1突出部P1を覆うように背板1aの端部EPに向けて本体部MPから折り曲げられている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が設けられた収容部と、
前記開口部を開閉可能に前記収容部に接続された蓋部と、
前記収容部に接続された一対の背負いベルトと、
前記収容部と前記蓋部とに縫い付けられた一対の補強片とを備え、
前記収容部は、前記蓋部および前記一対の背負いベルトが接続された背板と、前記背板に接続されかつ互いに向かい合うように配置された一対のマチ部とを含み、
前記一対の補強片の各々は、本体部と、前記本体部から突き出した第1突出部と、前記第1突出部に対して前記背板と反対側において前記本体部から突き出した第2突出部とを含み、
前記本体部は、互いに重ねられた、前記蓋部と、前記背板と、前記一対のマチ部のいずれかとを挟んでおり、
前記第1突出部は、前記開口部を構成する前記背板の端部に沿うように前記本体部から折り曲げられており、
前記第2突出部は、前記第1突出部を覆うように前記背板の前記端部に向けて前記本体部から折り曲げられている、ランドセル。
【請求項2】
前記第1突出部の長さは、前記第2突出部の幅以下の寸法を有しており、
前記第1突出部の幅は、前記第2突出部の長さ以下の寸法を有している、請求項1に記載のランドセル。
【請求項3】
前記第2突出部の先端は、前記背板と前記蓋部との間に挿入されている、請求項1または2に記載のランドセル。
【請求項4】
前記本体部は、前記第1突出部および前記第2突出部が接続された第1端と、前記第1端に対して前記第1突出部および前記第2突出部と反対側に配置された第2端とを含み、
前記本体部の幅は、前記第2端から前記第1端に向けて広くなっている、請求項1~3のいずれか1項に記載のランドセル。
【請求項5】
前記一対の補強片の各々は、前記蓋部に対して前記第1突出部および前記第2突出部と反対側において前記本体部から突き出した第3突出部を含み、
前記第3突出部は、前記第2突出部の高さ以上の寸法を有している、請求項1または2に記載のランドセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランドセルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ランドセルでは、収容部の背板と蓋部との接続部分の側縁に補強片が縫い付けられている。例えば、特許第5219159号公報(特許文献1)には、収容部の背板と蓋部との接続部分の側縁に補強片が縫い付けられたランドセルが記載されている。
【0003】
この公報に記載されたランドセルでは、補強片は、矩形の本体と、本体の上端部に一体に形成された突起とを有している。突起は、本体の上端部に対して直角に外側へ突出する基端部と、基端部の先端から連続し基端部よりも幅広の係止部からなっている。突起は、背板の上端部に沿って折り曲げられている。係止部の基端部から両側へ突出した部分は、背板の表面と裏面に折り曲げられている。係止部の基端部から両側へ突出した一方は、背板と蓋部材との間に差し込まれている。係止部の基端部から両側へ突出した他方は、マチ部の側縁部と本体の裏面との間に差し込まれている。この状態で係止部が糸で縫い付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に記載されたランドセルでは、突起の背板の上端部に沿う部分の強度が低いため、突起の背板の上端部に沿う部分が糸で縫い付けられることによって補強片が破れやすい。また、突起よりも正面側において本体の上端部の生地端が露出するため、補強片の見た目が良くない。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされてものであり、その目的は、補強片を破れにくくすることができ、かつ補強片の見た目がよいランドセルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のランドセルは、収容部と、蓋部と、一対の背負いベルトと、一対の補強片とを備えている。収容部には開口部が設けられている。蓋部は、開口部を開閉可能に収容部に接続されている。一対の背負いベルトは、収容部に接続されている。一対の補強片は、収容部と蓋部とに縫い付けられている。収容部は、背板と、一対のマチ部とを含んでいる。背板には、蓋部および一対の背負いベルトが接続されている。一対のマチ部は、背板に接続されかつ互いに向かい合うように配置されている。一対の補強片の各々は、本体部と、第1突出部と、第2突出部とを含んでいる。第1突出部は、本体部から突き出している。第2突出部は、第1突出部に対して背板と反対側において本体部から突き出している。本体部は、互いに重ねられた、蓋部と、背板と、一対のマチ部のいずれかとを挟んでいる。第1突出部は、開口部を構成する背板の端部に沿うように本体部から折り曲げられている。第2突出部は、第1突出部を覆うように背板の端部に向けて本体部から折り曲げられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のランドセルによれば、補強片を破れにくくすることができ、かつ補強片の見た目を良くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係るランドセルの概略斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るランドセルの概略背面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るランドセルの蓋部が開いた状態での概略斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るランドセルにおける補強片の概略展開正面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るランドセルにおける補強片の概略展開上面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るランドセルの蓋部が開いた状態での補強片の構成を示す概略斜視図である。
【
図8】
図7の補強片の構成を示す概略側面図である。
【
図9】比較例のランドセルにおける補強片の構成を示す概略斜視図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るランドセルの変形例1における補強片の概略側面図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係るランドセルの変形例2における補強片の概略展開正面図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係るランドセルの変形例2における補強片の概略展開上面図である。
【
図13】本発明の実施の形態に係るランドセルの変形例2における補強片の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。なお、以下の図においては、同一または相当する部分に同一の符号を付すものとし、重複する説明は繰り返さない。
【0011】
図1~
図8を参照して、実施の形態に係るランドセル100の構成について説明する。
図1~
図3に示されるように、実施の形態に係るランドセル100は、収容部1と、蓋部2と、一対の背負いベルト3と、連結部材4と、副収容部5と、前ポケット6と、マチベルト7と、接続部8と、先端部9と、保持部10と、補強部11と、糸12と、保護テープ13と、補強片RPとを主に有している。
【0012】
図1は、実施の形態に係るランドセル100の正面側から見た概略斜視図である。
図2は、実施の形態に係るランドセル100の背面側から見た概略背面図である。
図3は、実施の形態に係るランドセル100の蓋部2が開いた状態を正面側から見た概略斜視図である。
【0013】
収容部1は、背板1aと、一対のマチ部1bと、前板1cと、底部1dとを含んでいる。収容部1には開口部OPが設けられている。
【0014】
本実施の形態では、開口部OPが上側に配置されかつ底部1dが下側に配置された状態において、開口部OPと底部1dとが向かい合う方向を上下方向D1とする。また、開口部OPが上側に配置されかつ底部1dが下側に配置された状態において、一対のマチ部1bが互いに向かい合う方向を左右方向D2とする。また、開口部OPが上側に配置されかつ底部1dが下側に配置された状態において、背板1aと前板1cとが向かい合う方向を前後方向D3とする。上下方向D1と、左右方向D2と、前後方向D3とは互いに直交している。
【0015】
収容部1の上端に開口部OPが設けられている。背板1a、一対のマチ部1b、前板1cおよび底部1dの各々の上端は、開口部OPを構成している。収容部1は、開口部OPに連通する収容空間ISを有している。収容空間ISは、背板1a、一対のマチ部1b、前板1cおよび底部1dのそれぞれによって取り囲まれた空間である。収容部1は、開口部OPを通して収容空間ISに教科書等を収容可能に構成されている。
【0016】
背板1aには蓋部2および一対の背負いベルト3が接続されている。背板1aには蓋部2が接続されている。背板1aには、連結部材4が取り付けられている。連結部材4の一部は、カバー部材によって覆われている。一対の背負いベルト3のそれぞれは連結部材4を介して背板1aに接続されている。
【0017】
一対のマチ部1bは、背板1aに接続されている。一対のマチ部1bは、背板1aの外縁に接続されている。一対のマチ部1bは、互いに向かい合うように配置されている。一対のマチ部1bは、底部1dの両端から立ち上がるように構成されている。
【0018】
前板1cは、一対のマチ部1bおよび底部1dに接続されている。前板1cは、背板1aと向かい合うように配置されている。
【0019】
底部1dは、背板1a、一対のマチ部1bおよび前板1cに接続されている。底部1dは、収容部1の下端に配置されている。底部1dは、開口部OPと向かい合うように配置されている。
【0020】
蓋部2は、開口部OPを開閉可能に収容部1に接続されている。具体的には、蓋部2の下端部は、収容部1の背板1aの上端部に接続されている。蓋部2は、背板1aの上端部を基端にして開口部OPを開閉可能に構成されている。
【0021】
図1に示されるように、蓋部2が閉じられた状態で、蓋部2は、収容部1の開口部OP、前板1c、副収容部5および前ポケット6を覆うことが可能に構成されている。また、
図3に示されるように、蓋部2が開かれた状態で、蓋部2は、収容部1の開口部OP、前板1c、副収容部5および前ポケット6を露出させることが可能に構成されている。
【0022】
蓋部2に接続部8を介して先端部9が接続されている。接続部8の根元は蓋部2に接続されている。接続部8の先端は先端部9に接続されている。先端部9は、収容部1の底部1dに取り付けられた保持部10に着脱可能に構成されている。先端部9には、保持部10の摘体と係合可能な係合孔が設けられている。
【0023】
一対の背負いベルト3は、収容部1に接続されている。具体的には、一対の背負いベルト3のそれぞれの一端は、連結部材4を介して背板1aの上端部に接続されている。一対の背負いベルト3のそれぞれの他端は、保持部10を介して収容部1の底部1dに接続されている。一対の背負いベルト3は、左右に1本ずつ設けられている。一対の背負いベルト3は、使用者がランドセル100を背負ったときに使用者の両肩に装着されるように構成されている。
【0024】
連結部材4は、一対の背負いベルト3を背板1aに取り付けるように構成されている。連結部材4は、背板1aの外側に配置されている。連結部材4は、背板1aの上部に配置されている。
【0025】
副収容部5は、前板1cよりも前側に配置されている。副収容部5は、前板1cに対して収容空間ISと反対側に配置されている。副収容部5は、文房具等を収容可能に構成されている。
【0026】
前ポケット6は、副収容部5よりも前側に配置されている。前ポケット6は、副収容部5に対して収容部1と反対側に配置されている。前ポケット6は、ファスナーにより開閉可能に構成されている。
【0027】
マチベルト7は、収容部1の一対のマチ部1bと副収容部5とにわたって配置されている。マチベルト7は、一対のマチ部1bの上側に配置されている。
【0028】
補強部11は、収容部1の開口部OPを補強するためのものである。補強部11は、収容部1の一対のマチ部1bおよび前板1cに連続して取り付けられている。補強部11は、収容部1の一対のマチ部1bおよび前板1cの上端部に取り付けられている。補強部11は、収容部1の一対のマチ部1bおよび前板1cの外側に取り付けられている。
【0029】
一対の補強片RPは、収容部1と蓋部2とに縫い付けられている。一対の補強片RPの各々は、収容部1と蓋部2との接続部分の上下方向D1における上端であって左右方向D2における左端および右端にそれぞれ糸12で縫い付けられている。収容部1および蓋部2の各々の側縁部は保護テープ13で覆われている。一対の補強片RPは、保護テープ13の外側から糸12で収容部1および蓋部2に縫い付けられている。ランドセルの蓋部2が開いた状態で、収容部1のマチ部1bおよび蓋部2の各々の側壁部は、互いに略直線状に配置されている。
【0030】
次に、
図4~
図8を参照して、補強片RPの構成について詳しく説明する。
【0031】
図4は、補強片RPの正面側から見た補強片RPの概略展開正面図である。
図5は、補強片RPの上面側から見た補強片RPの概略展開上面図である。
図6は、ランドセル100の正面側から見たランドセル100の蓋部2が開いた状態での補強片RPの構成を示す概略斜視図である。
図7は、
図6のVII部の拡大図である。
図8は、ランドセル100の側面側から見た
図7の補強片RPの構成を示す概略側面図である。
図8は、説明の便宜のため、背板1a、マチ部1b、蓋部2、補強部11および補強片RPのみを図示している。
【0032】
図4および
図5に示されるように、一対の補強片RPの各々は、本体部MPと、第1突出部P1と、第2突出部P2とを含んでいる。本体部MPは、略台形状に構成されている。本体部MPは、第1端E1と、第2端E2とを有している。第1突出部P1は、本体部MPから突き出している。具体的には、第1突出部P1は、本体部MPの第1端E1から第2端E2と反対側に突き出している。第1突出部P1は、本体部MPに接続された長方形状と、長方形状に対して本体部MPと反対側で長方形状に接続された円弧形状とから構成されている。第2突出部P2は、本体部MPから突き出している。具体的には、第2突出部P2は、本体部MPの第1端E1から第2端E2と反対側に突き出している。第2突出部P2は、本体部MPに接続された略四分円形状と、略四分円形状に対して第1突出部P1と反対側で本体部MPおよび略四分円形状に接続された略正方形状とから構成されている。
【0033】
第1突出部P1の長さLP1は、第2突出部P2の幅WP2以下の寸法を有していることが好ましい。第1突出部P1の幅WP1は、第2突出部P2の長さLP2以下の寸法を有していることが好ましい。第1突出部P1の長さLP1は、第1突出部P1が本体部MPから突き出す方向に沿う第1突出部P1の長さである。第1突出部P1の幅WP1は、第1突出部P1が本体部MPから突き出す方向に直交する方向に沿う第1突出部P1の幅である。第2突出部P2の長さLP2は、第2突出部P2が本体部MPから突き出す方向に沿う第2突出部P2の長さである。第2突出部P2の幅WP2は、第2突出部P2が本体部MPから突き出す方向に直交する方向に沿う第2突出部P2の幅である。
【0034】
第1突出部P1の幅WP1は、背板1aの上端部の幅以上の寸法を有していることが好ましい。第2突出部P2の長さLP2は、背板1aの上端部の幅以上の寸法を有していることが好ましい。
【0035】
第1端E1には、第1突出部P1および第2突出部P2が接続されている。第2端E2は、第1端E1に対して第1突出部P1および第2突出部P2と反対側に配置されている。本体部MPの幅は、第2端E2から第1端E1に向けて広くなっている。第1端E1の幅WE1は、第2端E2の幅WE2よりも大きい。本体部MPは、第2端E2に向けて幅が狭くなるようにテーパ状に構成されている。
【0036】
第1突出部P1と第2突出部P2とは、第1端E1と第2端E2とが向かい合う方向と直交する方向に並んで配置されている。第1突出部P1と第2突出部P2とは互いに隣接している。
【0037】
本実施の形態では、一対の補強片RPの各々は、均一な厚みを有している。また、本実施の形態では、一対の補強片RPの各々は、互いに同じ厚みを有している。
【0038】
図6~
図8に示されるように、本体部MPは、互いに重ねられた、蓋部2と、背板1aと、一対のマチ部1bのいずれかとを挟んでいる。本実施の形態では、本体部MPは、マチ部1bに重ねられた補強部11を挟んでいる。本体部MPは、蓋部2の下端部、背板1aの上端部、一対のマチ部1bのいずれかの上端部、補強部11を覆うように、上下方向D1に延びている。本体部MPは、蓋部2、背板1a、一対のマチ部1bのいずれか、補強部11が重ねられた部分において、各々の側縁部を覆うように蓋部2から収容部1にわたって延びている。
【0039】
第1突出部P1は、開口部OPを構成する背板1aの端部EPに沿うように本体部MPから折り曲げられている。第1突出部P1は、本体部MPから折り曲げられた状態で背板1aの端部EPに重ねられている。第1突出部P1は、背板1aの上端部に沿うように左右方向D2に延びている。
【0040】
第2突出部P2は、第1突出部P1に対して背板1aと反対側において本体部MPから突き出している。第2突出部P2は、第1突出部P1を覆うように背板1aの端部に向けて本体部MPから折り曲げられている。第2突出部P2は、本体部MPから折り曲げられた状態で第1突出部P1に重ねられている。第2突出部P2は、第1突出部P1と交差するように前後方向D3に延びている。第2突出部P2が本体部MPから折り曲げられた方向は、第1突出部P1が本体部MPから折り曲げられた方向と交差している。
【0041】
一対の補強片RPの各々の側端は、左右方向D2において、保護テープ13の側端に沿うように構成されている。一対の補強片RPは、保護テープ13よりも強度が高くなるように構成されていることが好ましい。一対の補強片RPの材料は、たとえば、人工皮革、天然皮革などである。
【0042】
次に、実施の形態に係るランドセル100の作用効果について比較例と対比して説明する。
【0043】
図9は、比較例のランドセル100における補強片RPの構成を示す概略斜視図であり、
図7に対応する概略斜視図である。
【0044】
図9を参照して、比較例のランドセル100における補強片RPでは、突起部PPの構成が実施の形態に係るランドセル100と主に異なっている。
【0045】
比較例のランドセル100における補強片RPは、矩形の本体部MPと、本体部MPから突き出した突起部PPとを含んでいる。突起部PPは、本体部MPの上端部に対して直角に外側へ突出する基端部PAと、基端部PAの先端から連続し基端部PAよりも幅広の係止部PBとを含んでいる。突起部PPは、背板1aの上端部に沿って折り曲げられている。係止部PBの基端部PAから両側へ突出した部分は、背板1aの表面と裏面に折り曲げられている。係止部PBの基端部PAから両側へ突出した一方は、背板1aと蓋部2との間に差し込まれている。係止部PBの基端部PAから両側へ突出した他方は、マチ部1bの側縁部と本体部MPの裏面との間に差し込まれている。この状態で係止部PBが糸12で縫い付けられている。
【0046】
比較例のランドセル100では、突起部PPの背板1aの上端部に沿う部分が一層である。したがって、突起部PPの背板1aの上端部に沿う部分の強度が低い。このため、突起部PPの背板1aの上端部に沿う部分が糸12で縫い付けられることによって補強片RPが破れやすい。また、突起部PPよりも正面側において本体部MPの上端部の生地端が露出する。生地端は外観を良くするための処理が施されていない。そのため、補強片RPの見た目が良くない。
【0047】
実施の形態に係るランドセル100によれば、第2突出部P2は、第1突出部P1を覆うように背板1aの端部EPに向けて本体部MPから折り曲げられている。このため、第2突出部P2によって第1突出部P1が覆われている。したがって、第1突出部P1および第2突出部P2が糸12で縫い付けられても補強片RPを破れにくくすることができる。また、第1突出部P1に対して背板1aと反対側において本体部MPの上端部の生地端が露出しないため、補強片RPの見た目を良くすることができる。
【0048】
また、比較例の係止部PBの基端部PAから両側へ突出した部分が背板1aの表面と裏面に折り曲げられている場合に比べて、第2突出部P2を折り曲げる作用が容易である。このため、補強片RPの取り付け作業が容易となる。
【0049】
また、第1突出部P1に対して背板1aと反対側において第1突出部P1と本体部MPとの間の隙間が生じることを抑制することができる。このため、当該隙間から水などが入ることを抑制することができる。
【0050】
実施の形態に係るランドセル100によれば、第1突出部P1の長さLP1は、第2突出部P2の幅WP2以下の寸法を有しており、第1突出部P1の幅WP1は、第2突出部P2の長さLP2以下の寸法を有している。このため、第2突出部P2によって第1突出部P1の全体を覆うことができる。したがって、第1突出部P1の第2突出部P2に覆われていない部分が糸12で縫い付けられることを防止することができる。よって、補強片RPを確実に破れにくくすることができる。また、第2突出部P2によって第1突出部P1の全体を覆うことができるため、補強片RPの見た目を確実に良くすることができる。
【0051】
実施の形態に係るランドセル100によれば、本体部MPの幅WP1は、第2端E2から第1端E1に向けて広くなっている。本体部MPの幅が広くなっている部分を蓋部2と収容部1とが重なる箇所に配置し、本体部MPの幅が狭くなっている部分を収容部1のみに配置することによって、補強片RPの側端を左右方向D2において保護テープ13の側端に沿わせることができる。これにより、補強片RPの見た目をさらに良くすることができる。
【0052】
次に、実施の形態に係るランドセル100の変形例について説明する。実施の形態に係るランドセル100の変形例は、特に説明しない限り、上記の実施の形態に係るランドセル100と同一の構成および効果を有している。
【0053】
図10を参照して、実施の形態に係るランドセル100の変形例1は、補強片RPの第2突出部P2の構成が実施の形態に係るランドセル100と異なっている。
図10は、実施の形態に係るランドセル100の変形例1における補強片RPの概略側面図であり、
図8に対応する概略側面図である。
【0054】
実施の形態に係るランドセル100の変形例1では、第2突出部P2の先端TPは、背板1aと蓋部2との間に挿入されている。第2突出部P2の先端TPは、第2突出部P2が本体部MPから突き出す方向における第2突出部P2の先端である。
【0055】
実施の形態に係るランドセル100の変形例1によれば、第2突出部P2の先端TPは、背板1aと蓋部2との間に挿入されているため、先端TPの生地端が露出しない。このため、補強片RPの見た目をさらに良くすることができる。また、第2突出部P2の先端TPが背板1aと蓋部2との間に挿入されているため、第2突出部P2を抜けにくくすることができる。
【0056】
図11および
図12を参照して、実施の形態に係るランドセル100の変形例2は、補強片RPが第3突出部P3を備えている点で主に異なっている。
図11は、実施の形態に係るランドセル100の変形例2における補強片RPの概略展開正面図であり、
図4に対応する概略展開正面図である。
図12は、実施の形態に係るランドセル100の変形例2における補強片RPの概略展開上面図であり、
図5に対応する概略展開上面図である。
【0057】
実施の形態に係るランドセル100の変形例2では、一対の補強片RPの各々は、第1突出部P1および第2突出部P2に加えて、第3突出部P3を含んでいる。第3突出部P3は、本体部MPから突き出している。具体的には、第3突出部P3は、本体部MPの第1端E1から第2端E2と反対側に突き出している。第3突出部P3は、本体部MPに接続された長方形状と、長方形状に対して本体部MPと反対側で長方形状に接続された円弧形状とから構成されている。
【0058】
第3突出部P3は、第1突出部P1に対して第2突出部P2と反対側において本体部MPから突き出している。第3突出部P3は、第1突出部P1に隣接している。
【0059】
なお、実施の形態に係るランドセル100の変形例2における補強片RPでは、実施の形態に係るランドセル100の変形例2における補強片RPに比べて、第1突出部P1および第2突出部P2の形状が異なっている。第1突出部P1は、本体部MPに接続された長方形状と、長方形状に対して本体部MPと反対側で長方形状に接続された円弧形状とから構成されている。第2突出部P2は、本体部MPに接続された長方形状と、長方形状に対して本体部MPと反対側で長方形状に接続された円弧形状とから構成されている。
【0060】
図13を参照して、第3突出部P3は、蓋部2に対して第1突出部P1および第2突出部P2と反対側において本体部MPから突き出している。
図13は、実施の形態に係るランドセル100の変形例2における補強片RPの概略側面図であり、
図8に対応する概略側面図である。第3突出部P3は、第2突出部P2の高さ以上の寸法を有している。第3突出部P3は、蓋部2を挟んで第2突出部P2の高さ以上の寸法を有している。
【0061】
実施の形態に係るランドセル100の変形例2によれば、第3突出部P3は、第2突出部P2の高さ以上の寸法を有しているため、第2突出部P2が糸12で縫い付けられたときに第3突出部P3を確実に縫い付けることができる。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0063】
1 収容部、1a 背板、1b マチ部、1c 前板、1d 底部、2 蓋部、3 ベルト、4 連結部材、5 副収容部、6 前ポケット、7 マチベルト、8 接続部、9 先端部、10 保持部、11 補強部、12 糸、13 保護テープ、100 ランドセル、E1 第1端、E2 第2端、MP 本体部、OP 開口部、P1 第1突出部、P2 第2突出部、P3 第3突出部、RP 補強片、TP 先端。