(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102083
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】アンテナ、アンテナ装置及び通信デバイス
(51)【国際特許分類】
H01Q 21/24 20060101AFI20220630BHJP
H01Q 9/40 20060101ALI20220630BHJP
H01Q 1/38 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
H01Q21/24
H01Q9/40
H01Q1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216611
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】鹿山 英則
(72)【発明者】
【氏名】越地 福朗
(72)【発明者】
【氏名】川原 孝司
【テーマコード(参考)】
5J021
5J046
【Fターム(参考)】
5J021AA01
5J021AA09
5J021AB02
5J021HA10
5J021JA02
5J021JA05
5J046AA02
5J046AA04
5J046AB06
(57)【要約】
【課題】無指向性にし、かつ広帯域にすることである。
【解決手段】アンテナ100Aは、接地され、延在するz方向に垂直なx方向に幅W1を有するアンテナ素子部1Aと、アンテナ素子部1Aにz方向で対向し、給電点3Aで給電され、x方向に幅W3を有するアンテナ素子部2と、を備える。アンテナ素子部1Aのx方向の幅W1は、アンテナ素子部2のx方向の幅W3よりも大きい。給電点3Aのx方向の幅の中心線L2は、アンテナ素子部2のx方向の幅W3の中心線L1からずれている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地され、延在する第1方向に垂直な第2方向に幅を有する第1のアンテナ素子部と、
前記第1のアンテナ素子部に前記第1方向で対向し、給電点で給電され、前記第2方向に幅を有する第2のアンテナ素子部と、を備え、
前記第1のアンテナ素子部の前記第2方向の幅は、前記第2のアンテナ素子部の当該第2方向の幅よりも大きく、
前記給電点の前記第2方向の幅の中心線は、前記第2のアンテナ素子部の当該第2方向の幅の中心線からずれているアンテナ。
【請求項2】
前記第1のアンテナ素子部は、前記第1方向に延在する矩形であり、
前記第2のアンテナ素子部は、前記第1方向に延在する矩形である請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
前記第1のアンテナ素子部の前記第2方向の一方の端部と、前記第2のアンテナ素子部の当該第2方向の一方の端部とは、前記第1方向の同一線上にあり、
前記給電点の中心線は、前記第2のアンテナ素子部の中心線よりも前記端部側にある請求項2に記載のアンテナ。
【請求項4】
前記第1のアンテナ素子部に電気的に接続され、前記給電点として給電する給電線路部を備える請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記給電線路部は、直線の形状又は曲げられた形状を有する請求項4に記載のアンテナ。
【請求項6】
前記第1のアンテナ素子部及び前記第2のアンテナ素子部が実装される基板を備える請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記基板上の前記第1のアンテナ素子部の実装面と、前記第2のアンテナ素子部の実装面とが、同一の面又は異なる面である請求項6に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記基板は、フレキシブル基板である請求項6又は7に記載のアンテナ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナを複数備え、
前記各アンテナの配置方向が互いに異なるアンテナ装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナ、又は請求項9に記載のアンテナ装置を備える通信デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ、アンテナ装置及び通信デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線通信で使用する電波として水平偏波もしくは垂直偏波が広く使用され、その電波を送受信するアンテナに関しても水平偏波用、垂直偏波用のアンテナが知られている。さらに、偏波が電波伝搬中に反射や回折により変化すること、ポータブルデバイスなどの送受信機自体の向きが不定であることなどにより、水平偏波及び垂直偏波を1つのアンテナで受信可能なものが求められている。
【0003】
このため、1つのアンテナで水平偏波と垂直偏波とを受信でき、かつ広帯域な平面状アンテナが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の平面状アンテナでは、特許文献1の
図8~
図10に示すように、水平偏波の指向性に数十デシベル(dB)の深い落ち込み(ヌル)があり、ヌルの方向に存在する水平偏波送信機からの電波受信、もしくはその方向に存在する水平偏波受信機への電波送信は通信断を起こす可能性が高くなる。
【0006】
本発明の課題は、特性の偏波の指向性にヌルが無い、すなわち無指向性にし、かつ広帯域にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のアンテナは、
接地され、延在する第1方向に垂直な第2方向に幅を有する第1のアンテナ素子部と、
前記第1のアンテナ素子部に前記第1方向で対向し、給電点で給電され、前記第2方向に幅を有する第2のアンテナ素子部と、を備え、
前記第1のアンテナ素子部の前記第2方向の幅は、前記第2のアンテナ素子部の当該第2方向の幅よりも大きく、
前記給電点の前記第2方向の幅の中心線は、前記第2のアンテナ素子部の当該第2方向の幅の中心線からずれている。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のアンテナにおいて、
前記第1のアンテナ素子部は、前記第1方向に延在する矩形であり、
前記第2のアンテナ素子部は、前記第1方向に延在する矩形である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のアンテナにおいて、
前記第1のアンテナ素子部の前記第2方向の一方の端部と、前記第2のアンテナ素子部の当該第2方向の一方の端部とは、前記第1方向の同一線上にあり、
前記給電点の中心線は、前記第2のアンテナ素子部の中心線よりも前記端部側にある。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナにおいて、
前記第1のアンテナ素子部に電気的に接続され、前記給電点として給電する給電線路部を備える。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のアンテナにおいて、
前記給電線路部は、直線の形状又は曲げられた形状を有する。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナにおいて、
前記第1のアンテナ素子部及び前記第2のアンテナ素子部が実装される基板を備える。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のアンテナにおいて、
前記基板上の前記第1のアンテナ素子部の実装面と、前記第2のアンテナ素子部の実装面とが、同一の面又は異なる面である。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項6又は7に記載のアンテナにおいて、
前記基板は、フレキシブル基板である。
【0015】
請求項9に記載の発明のアンテナ装置は、
請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナを複数備え、
前記各アンテナの配置方向が互いに異なる。
【0016】
請求項10に記載の発明の通信デバイスは、
請求項1から8のいずれか一項に記載のアンテナ、又は請求項9に記載のアンテナ装置を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、無指向性にでき、かつ広帯域にできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施の形態のアンテナを示す平面図である。
【
図2】第1の実施の形態のアンテナの断面図である。
【
図3】(a)は、比較例のアンテナを流れるアンテナ電流を示す図である。(b)は、第1の実施の形態のアンテナを流れるアンテナ電流を示す図である。
【
図4】(a)は、比較例のアンテナの6.0[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、比較例のアンテナの6.0[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。(c)は、比較例のアンテナの6.0[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図5】(a)は、比較例のアンテナの7.25[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、比較例のアンテナの7.25[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。(c)は、比較例のアンテナの7.25[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図6】(a)は、比較例のアンテナの8.5[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、比較例のアンテナの8.5[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図6(c)は、比較例のアンテナの8.5[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図7】(a)は、第1の実施の形態のアンテナの6.0[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、第1の実施の形態のアンテナの6.0[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。(c)は、第1の実施の形態のアンテナの6.0[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図8】(a)は、第1の実施の形態のアンテナの7.25[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、第1の実施の形態のアンテナの7.25[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。(c)は、第1の実施の形態のアンテナの7.25[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図9】(a)は、第1の実施の形態のアンテナの8.5[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、第1の実施の形態のアンテナの8.5[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。(c)は、第1の実施の形態のアンテナの8.5[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図10】第1の実施の形態のアンテナの周波数に対するSパラメータS11を示す図である。
【
図11】(a)は、ユーザのスマートフォンにより開錠されるスマートロックシステムのドアを示す図である。(b)は、スマートロック送受信機を有するドアの拡大図である。
【
図12】ユーザのスマートフォンにより開錠されるスマートロックシステムのスマートロック送受信機を有する車両を示す図である。
【
図13】第2の実施の形態のアンテナの平面図である。
【
図14】第2の実施の形態のアンテナの断面図である。
【
図15】(a)は、第2の実施の形態のアンテナの6.0[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、第2の実施の形態のアンテナの6.0[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。(c)は、第2の実施の形態のアンテナの6.0[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図16】(a)は、第2の実施の形態のアンテナの7.25[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、第2の実施の形態のアンテナの7.25[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。(c)は、第2の実施の形態のアンテナの7.25[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図17】(a)は、第2の実施の形態のアンテナの8.5[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、第2の実施の形態のアンテナの8.5[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。(c)は、第2の実施の形態のアンテナの8.5[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図18】第2の実施の形態のアンテナの周波数に対するSパラメータS11を示す図である。
【
図19】第3の実施の形態のアンテナの平面図である。
【
図20】第3の実施の形態のアンテナの断面図である。
【
図21】(a)は、第3の実施の形態のアンテナの6.0[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、第3の実施の形態のアンテナの6.0[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。(c)は、第3の実施の形態のアンテナの6.0[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図22】(a)は、第3の実施の形態のアンテナの7.25[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、第3の実施の形態のアンテナの7.25[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。(c)は、第3の実施の形態のアンテナの7.25[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図23】(a)は、第3の実施の形態のアンテナの8.5[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。(b)は、第3の実施の形態のアンテナの8.5[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。(c)は、第3の実施の形態のアンテナの8.5[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【
図24】第3の実施の形態のアンテナの周波数に対するSパラメータS11を示す図である。
【
図27】第3の変形例のアンテナ装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明に係る第1~第3の実施の形態及び第1~第3の変形例を順に詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1~
図12を参照して、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。まず、
図1、
図2を参照して、本実施の形態のアンテナ100Aの装置構成を説明する。
図1は、本実施の形態のアンテナ100Aの平面図である。
図2は、アンテナ100Aの断面図である。
【0021】
図1及び
図2に示すように、アンテナ100Aは、一般的なダイポールアンテナの形状を変えた平面(ダイポール)アンテナである。アンテナ100Aは、アンテナ素子部1A,2と、基板10Aと、を備える。なお、
図2は、アンテナ100Aの後述する給電点3Aの中心線L2における断面図であるものとする。また、
図1、
図2に示すように、x軸、y軸、z軸をとるものとする。
【0022】
基板10Aは、ガラスエポキシ樹脂などの変形しない誘電体基板である。アンテナ素子部1Aは、基板10Aの+y側の一面上に実装され、z方向に延在する平面状の矩形の導体である。アンテナ素子部1Aのx方向(横方向)の長さを幅W1とし、z方向(縦方向)の長さを長さH1とする。アンテナ素子部2は、基板10A上のアンテナ素子部1Aの実装面と同一面(+y側の一面)上に実装され、アンテナ素子部1Aにz方向で対向し、z方向に延在する平面状の矩形の導体である。アンテナ素子部2のx方向の長さを幅W3とし、z方向(縦方向)の長さを長さH3とする。アンテナ素子部1A,2は、例えば、銅箔などの金属からなる。
【0023】
アンテナ素子部1A,2は、W1>W3を有し、またそれぞれの右端(-x方向の端部)がx方向において揃えられている(z方向の同一線上にある)ため、L字型の形状となっている。
【0024】
また、アンテナ100Aは、給電点3Aを有する。給電点3Aは、アンテナ電流がアンテナ素子部2に給電され、グランド電位がアンテナ素子部1Aに印加される場所である。例えば、基板10Bに実装されたアンテナ回路部(図示略)に接続された同軸ケーブル(図示略)のうち、アンテナ電流が流れる内部導体(図示略)がアンテナ素子部2の下端部(-z方向の端近傍)に電気的に接続され、接地された外部導体(図示略)がアンテナ素子部1Aの上端部(+z方向の端近傍)に電気的に接続される。給電点3Aは、当該内部導体が接続されるアンテナ素子部2の下端部と、当該外部導体が接続されたアンテナ素子部1Aの上端部とを含む。
【0025】
アンテナ素子部2のx方向の幅W3の中心線を中心線L1とする。給電点3Aのx方向の幅の中心線を中心線L2とする。また、アンテナ素子部2の右端(-x方向の端部)から中心線L2までのx方向の長さを長さS2とする。また、アンテナ素子部1Aの上端(+z方向の端部)と、アンテナ素子部2の下端(-z方向の端部)と、の間のz方向の距離を長さH2とする。
【0026】
仮に、幅W1,W3が共に小さく、かつアンテナ素子部1A,2と給電点3Aとが直線状に配置される場合に、一般的な直線ダイポールアンテナとなる。これに対し、アンテナ100Aでは、幅W1,W3を大きく幅を持たせることにより広帯域化が可能となっている。
【0027】
また、特許文献1のアンテナでは、直線ダイポールアンテナのアンテナ素子を折り曲げてL字型の形状にすることで水平偏波と垂直偏波との両方を送受信可能としている。これに対し、アンテナ100Aでは、W1>W3とすることで、アンテナ素子部のL字型の形状を形成し、x方向の偏波とz方向の偏波との両方を送受信可能としている。
【0028】
ここで、
図3(a)、
図3(b)を参照して、アンテナ100Aにおいて、アンテナ素子部2の中心線L1と、給電点3Aの中心線L2とをずらす構成を説明する。
図3(a)は、比較例のアンテナ100aを流れるアンテナ電流を示す図である。
図3(b)は、アンテナ100Aを流れるアンテナ電流を示す図である。
【0029】
図3(a)に示すように、比較例としてのアンテナ100aを考える。アンテナ100aは、アンテナ素子部1A,2と、基板10Aと、を備えるが、中心線L1,L2がz方向の同一線上になるように、給電点3Aが配置されている。
【0030】
アンテナ100aにおいて、
図3(a)に矢印の経路で示すように、アンテナ電流が流れる。これに対し、アンテナ100Aにおいて、中心線L2が中心線L1から-x方向にずれているため、
図3(b)に矢印の経路で示すように、アンテナ100aの経路とは異なる経路でアンテナ電流が流れる。この経路の差が、後述するアンテナの指向性に影響する。
【0031】
つぎに、
図4(a)~
図10を参照して、比較例のアンテナ100aと、本実施の形態のアンテナ100Aとのアンテナ特性を説明する。
図4(a)は、アンテナ100aの6.0[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図4(b)は、アンテナ100aの6.0[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図4(c)は、アンテナ100aの6.0[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
図5(a)は、アンテナ100aの7.25[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図5(b)は、アンテナ100aの7.25[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図5(c)は、アンテナ100aの7.25[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
図6(a)は、アンテナ100aの8.5[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図6(b)は、アンテナ100aの8.5[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図6(c)は、アンテナ100aの8.5[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
【0032】
図7(a)は、アンテナ100Aの6.0[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図7(b)は、アンテナ100Aの6.0[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図7(c)は、アンテナ100Aの6.0[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
図8(a)は、アンテナ100Aの7.25[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図8(b)は、アンテナ100Aの7.25[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図8(c)は、アンテナ100Aの7.25[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
図9(a)は、アンテナ100Aの8.5[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図9(b)は、アンテナ100Aの8.5[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図9(c)は、アンテナ100Aの8.5[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
図10は、アンテナ100Aの周波数に対するSパラメータS11を示す図である。
【0033】
所定の寸法パターンの比較例のアンテナ100aと、本実施の形態のアンテナ100Aと、のアンテナ特性をシミュレーションした。アンテナ100a及びアンテナ100Aの幅W1、長さH1、長さH2、幅W3、長さH3、長さS2の寸法を下記表Iのように設定した。
【表1】
【0034】
中心線L1と中心線L2とのx方向のズレ量は、W3/2-S2で計算される。アンテナ100aにおける中心線L1と中心線L2とのズレ量は、0[mm]である。アンテナ100Aにおける中心線L1と中心線L2とのズレ量は、1.0[mm]である。
【0035】
図4(a)に、表Iの寸法のアンテナ100aの6.0[GHz]におけるzx面の-180~+180[°]の各角度の利得[dB]である2次元放射パターンのシミュレーション結果を示す。
図4(a)において、アンテナ100Aのうち、x軸に沿ったコンポーネントの利得を破線で示し、アンテナ100Aのうち、z軸に沿ったコンポーネントの利得を一点鎖線で示し、アンテナ100Aのうち、x軸に沿ったコンポーネントと、アンテナ100Aのうち、z軸に沿ったコンポーネントと、の合計の利得を実線で示し、これらの線種は、本実施の形態の他の2次元放射パターンの図や、他の実施の形態の2次元放射パターンの図でも同様であるものとする。
【0036】
同様にして、
図4(b)、
図4(c)に、それぞれ、表Iの寸法のアンテナ100aの6.0[GHz]におけるxy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。すると、6.0[GHz]での表Iの寸法のアンテナ100aの2次元放射パターンにおいて、特にzx面で、ある角度に合計の利得の深い落ち込み(ヌル)が発生している。
【0037】
同様にして、
図5(a)、
図5(b)、
図5(c)に、それぞれ、表Iの寸法のアンテナ100aの7.25[GHz]におけるzx面、xy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。7.25[GHz]においても、表Iの寸法のアンテナ100aの2次元放射パターンにおいて、特にzx面で、ある角度に合計の利得のヌルが発生している。
【0038】
同様にして、
図6(a)、
図6(b)、
図6(c)に、それぞれ、表Iの寸法のアンテナ100aの8.5[GHz]におけるzx面、xy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。8.5[GHz]においても、表Iの寸法のアンテナ100aの2次元放射パターンにおいて、特にzx面で、ある角度に合計の利得のヌルが発生している。
【0039】
同様にして、
図7(a)、
図7(b)、
図7(c)に、それぞれ、表Iの寸法のアンテナ100Aの6.0[GHz]におけるzx面、xy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。すると、
図3(b)で示したように、6.0[GHz]での表Iの寸法のアンテナ100Aの2次元放射パターンにおいて、アンテナ素子部1Aとアンテナ素子部2とに流れる電流経路のバランスを変更することにより、アンテナ100aに比べて、特にzx面で、合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。
【0040】
同様にして、
図8(a)、
図8(b)、
図8(c)に、それぞれ、表Iの寸法のアンテナ100Aの7.25[GHz]におけるzx面、xy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。7.25[GHz]においても、表Iの寸法のアンテナ100Aの2次元放射パターンにおいて、アンテナ100aに比べて、特にzx面で、合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。
【0041】
同様にして、
図9(a)、
図9(b)、
図9(c)に、それぞれ、表Iの寸法のアンテナ100Aの8.5[GHz]におけるzx面、xy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。8.5[GHz]においても、表Iの寸法のアンテナ100Aの2次元放射パターンにおいて、アンテナ100aに比べて、特にzx面で、合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。このように、表Iの寸法のアンテナ100Aは、6.0、7.25、8.5[GHz]で、2次元放射パターンの合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。
【0042】
加えて、
図10に示すように、表Iの寸法のアンテナ100Aの反射特性としてのSパラメータS11は、5.4~10[GHz]で-10[dB]以下となり、共振がとれている。このため、表Iの寸法のアンテナ100Aは、5.4から数[GHz]以上の広帯域な領域(範囲)で共振がとれて広帯域性を実現できるとともに、2次元放射パターンのヌル改善、すなわち無指向性にできる。
【0043】
つぎに、
図11(a)~
図12を参照して、アンテナ100Aの用途の例を説明する。
図11(a)は、ユーザU1のスマートフォン200により開錠されるスマートロックシステムのドアD1を示す図である。
図11(b)は、スマートロック送受信機300を有するドアD1の拡大図である。
図12は、ユーザU1のスマートフォン200により開錠されるスマートロックシステムのスマートロック送受信機400を有する車両C1を示す図である。
【0044】
本実施の形態のアンテナ100Aは、例えば、
図11(a)、
図11(b)に示すように、住宅設備向けのスマートロックシステムのドアD1に設けられた通信デバイスとしてのスマートロック送受信機300に搭載される。このスマートロックシステムにおいて、スマートロック送受信機300は、アンテナ100Aを介して、ユーザU1が有するスマートフォン200と、IR-UWB(Impulse Radio-Ultra Wide Band)などの通信方式で無線通信する。ここでは、スマートフォン200は、ドアD1を開錠する権限のあるユーザU1が所持する端末である旨の設定がされているものとする。このスマートロックシステムは、スマートロック送受信機300とスマートフォン200との無線通信により、スマートフォン200の距離を測定し、ユーザU1(スマートフォン200)がドアD1の周辺の領域AR1より外にいるときに、ドアD1を施錠し、ユーザU1(スマートフォン200)が領域AR1内に進入した場合に、ドアD1を開錠する。
【0045】
スマートロック送受信機300のアンテナ100Aの基板10Aに実装されるアンテナ回路部(図示略)は、例えば、変復調回路、信号処理回路を備える。また、スマートロックシステムは、例えば、スマートロック送受信機300、制御部(図示略)、ドアD1の施錠・開錠機構(図示略)などを備え、当該制御部により、スマートロック送受信機300から入力される無線通信の情報に応じて、当該施錠・開錠機構を制御して、ドアD1の施錠又は開錠を行う。
【0046】
また、アンテナ100Aは、
図12に示すように、自動車向けのスマートロックシステムの車両C1に設けられた通信デバイスとしてのスマートロック送受信機400に搭載される構成としてもよい。このスマートロックシステムにおいて、スマートロック送受信機400は、アンテナ100Aを介して、ユーザU1が有するスマートフォン200と、IR-UWBなどの通信方式で無線通信する。ここでも、スマートフォン200は、車両C1を開錠する権限のあるユーザU1が所持する端末である旨の設定がされているものとする。このスマートロックシステムは、スマートロック送受信機400とスマートフォン200との無線通信により、スマートフォン200の距離を測定し、ユーザU1(スマートフォン200)がドアD1の周辺の領域AR2より外にいるときに、車両C1のドアを施錠し、ユーザU1(スマートフォン200)が領域AR2内に進入した場合に、車両C1のドアを開錠する。
【0047】
スマートロック送受信機300,400内のアンテナ100Aは、アンテナ100Aが無指向性を有するため、無線通信に適切な多様な位置に配置できる。また、ユーザU1が所持する通信デバイスは、スマートフォン200に限定されるものではなく、リモコンキーなど、スマートロック送受信機300,400と無線通信可能な他の通信デバイスとしてもよい。
【0048】
なお、アンテナ100Aは、スマートロックシステムの送受信機への搭載に限定されるものではなく、他の無線通信の送受信機、端末装置、システムなどの通信デバイスに搭載可能である。また、スマートロックシステムの送受信機へ搭載されるアンテナ100Aは、比較的小型となるが、小型に限定されるものではない。これらの用途、大きさは、後述する他の実施の形態のアンテナでも同様である。
【0049】
以上、本実施の形態によれば、アンテナ100Aは、給電点3Aで接地され、延在する第1方向としてのz方向に垂直な第2方向としてのx方向で幅W1を有するアンテナ素子部1Aと、アンテナ素子部1Aにz方向に対向し、給電点3Aでアンテナ電流を給電され、x方向に幅W3を有するアンテナ素子部2と、を備える。アンテナ素子部1Aのx方向の幅W1は、アンテナ素子部2のx方向の幅W3よりも大きい。アンテナ素子部2のx方向の幅W3の中心線L1と、給電点3Aのx方向の幅の中心線L2と、が互いにずれている。
【0050】
このため、アンテナ100Aにおいて、W1>W3であるので、L字型の形状を形成して、x方向及びz方向の偏波の送受信ができ、中心線L1と中心線L2とが互いにずれた線上にあるので、特にxz面において、特性の偏波の指向性のヌルを低減して、無指向性にでき、かつアンテナ素子部1A,2がそれぞれ(0以上の)幅W1,W3を有するので、広帯域にできる。つまり、広帯域で無指向性を実現できる。
【0051】
また、アンテナ素子部1Aは、x方向に延在する矩形である。アンテナ素子部2は、x方向に延在する矩形である。このため、アンテナ100Aを容易に広帯域にできるとともに、アンテナ100Aを簡単に構成できる。
【0052】
また、アンテナ素子部1Aのx方向の一方(-x方向)の端部(右端)と、アンテナ素子部2のx方向の一方(-x方向)の端部(右端)とは、z方向の同一線上にある。給電点3Aの中心線L2は、アンテナ素子部2の中心線L1よりも-x方向の端部(右端)側にある。このため、アンテナ100Aを容易に、より無指向性にできる。
【0053】
また、アンテナ100Aは、アンテナ素子部1A,2が実装される基板10Aを備える。このため、基板10Aにより、アンテナ素子部1A,2を支持できる。
【0054】
また、基板10A上のアンテナ素子部1Aの実装面と、アンテナ素子部2の実装面とが、同一の面である。このため、アンテナ100Aを簡単に構成できる。
【0055】
また、スマートロック送受信機300,400は、アンテナ100Aを備える。このため、無指向性でかつ広帯域の無線通信を実現できる。
【0056】
(第2の実施の形態)
図13~
図18を参照して、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。まず、
図13及び
図14を参照して、本実施の形態のアンテナ100Bの装置構成を説明する。
図13は、本実施の形態のアンテナ100Bの平面図である。
図14は、アンテナ100Bの断面図である。なお、アンテナ100Bの装置構成において、上記第1の実施の形態のアンテナ100Aと同様の構成部分には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0057】
図13及び
図14に示すように、アンテナ100Bは、アンテナ素子部1B,2と、給電線路部4と、基板10Bと、を備える。なお、
図14は、アンテナ100Bの後述する給電点3B(給電線路部4)の中心線L2における断面図であるものとする。また、
図13、
図14に示すように、x軸、y軸、z軸をとるものとする。
【0058】
基板10Bは、ガラスエポキシ樹脂などの変形しない誘電体基板であり、給電線路部4のアンテナ素子部2と逆側の延在方向(-z方向)の先に、アンテナ回路部(図示略)が実装されているものとする。
【0059】
アンテナ素子部1Bは、基板10Bの-y側の一面上に実装された平面状の矩形の導体であり、例えば、銅箔などの金属からなる。アンテナ素子部1Bのx方向(横方向)の長さを幅W1とし、z方向(縦方向)の長さを長さH1とする。アンテナ素子部2は、第1の実施の形態と同様である。アンテナ素子部1B,2は、それぞれの右端(-x方向の端部)がx方向において揃えられており(z方向に延在する同一線上に配置されており)、W1>W3であるため、L字型の形状となっている。
【0060】
給電線路部4は、アンテナ素子部2に一体的に電気的に接続されたマイクロストリップ給電線路である。給電線路部4は、基板10Bの+y側の一面上に実装された平面状でかつ直線状の矩形の導体であり、例えば、銅箔などの金属からなる。給電線路部4は、-z方向の先端が基板10B上のアンテナ回路部のアンテナ電流の給電端子に電気的に接続されている。アンテナ素子部2は、基板10B上のアンテナ回路部の接地端子に電気的に接続されている。
【0061】
このように、第1の実施の形態と異なり、アンテナ100Bは、アンテナ素子部2と給電線路部4とが、基板10Bの同じ一方の面に存在し、アンテナ素子部1Bがもう一方の別の面に存在する。なお、ここで、アンテナ素子部2及び給電線路部4の面と、アンテナ素子部1Bの面との間に、誘電体の層を更にいくつか挟む構成としてもよい。
【0062】
また、アンテナ100Bは、給電点3Bを有する。給電点3Bは、給電線路部4によりアンテナ電流がアンテナ素子部2に給電され、グランド電位がアンテナ素子部1Bに印加されている場所である。
【0063】
給電線路部4のx方向の長さを幅W2とする。また、給電点3B(給電線路部4)のx方向の中心線を中心線L2とする。また、アンテナ素子部2の右端(-x方向の端部)から中心線L2までのx方向の長さを長さS2とする。また、アンテナ素子部1Bの上端(+z方向の端部)と、アンテナ素子部2の下端(-z方向の端部)と、の間のz方向の距離を長さH2とする。
【0064】
つぎに、
図15(a)~
図18を参照して、本実施の形態のアンテナ100Bのアンテナ特性を説明する。
図15(a)は、アンテナ100Bの6.0[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図15(b)は、アンテナ100Bの6.0[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図15(c)は、アンテナ100Bの6.0[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
図16(a)は、アンテナ100Bの7.25[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図16(b)は、アンテナ100Bの7.25[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図16(c)は、アンテナ100Bの7.25[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
図17(a)は、アンテナ100Bの8.5[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図17(b)は、アンテナ100Bの8.5[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図17(c)は、アンテナ100Bの8.5[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
図18は、アンテナ100Bの周波数に対するSパラメータS11を示す図である。
【0065】
本実施の形態のアンテナ100Bのアンテナ特性をシミュレーションした。アンテナ100Bの幅W1、長さH1、幅W2、長さH2、幅W3、長さH3、長さS2の寸法を下記表IIのように設定した。
【表2】
【0066】
アンテナ100Bにおける中心線L1と中心線L2とのx方向のズレ量は、1.0[mm]である。
【0067】
図15(a)に、表IIの寸法のアンテナ100Bの6.0[GHz]におけるzx面の-180~+180[°]の各角度の利得[dB]である2次元放射パターンのシミュレーション結果を示す。同様にして、
図15(b)、
図15(c)に、それぞれ、表IIの寸法のアンテナ100Bの6.0[GHz]におけるxy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。すると、6.0[GHz]での表IIの寸法のアンテナ100Bの2次元放射パターンにおいて、第1の実施の形態の比較例のアンテナ100aに比べて、特にzx面で、合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。
【0068】
同様にして、
図16(a)、
図16(b)、
図16(c)に、それぞれ、表IIの寸法のアンテナ100Bの7.25[GHz]におけるzx面、xy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。7.25[GHz]においても、表IIの寸法のアンテナ100Bの2次元放射パターンにおいて、アンテナ100aに比べて、特にzx面で、合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。
【0069】
同様にして、
図17(a)、
図17(b)、
図17(c)に、それぞれ、表IIの寸法のアンテナ100Bの8.5[GHz]におけるzx面、xy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。8.5[GHz]においても、表IIの寸法のアンテナ100Bの2次元放射パターンにおいて、アンテナ100aに比べて、特にzx面で、合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。このように、表IIの寸法のアンテナ100Bは、6.0、7.25、8.5[GHz]で、2次元放射パターンの合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。
【0070】
加えて、
図18に示すように、表IIの寸法のアンテナ100Bの反射特性としてのSパラメータS11は、5.3~10[GHz]で-10[dB]以下となり、共振がとれている。このため、表IIの寸法のアンテナ100Aは、5.3[GHz]から数[GHz]以上の広帯域な領域(範囲)で共振がとれて広帯域性を実現できるとともに、2次元放射パターンのヌル改善、すなわち無指向性にできる。
【0071】
以上、本実施の形態によれば、アンテナ100Bにより、第1の実施の形態のアンテナ100Aと同様に、無指向性にでき、かつ広帯域にできる。また、アンテナ100Bは、アンテナ素子部2に電気的に接続され、給電点3Bとしてアンテナ電流を給電する給電線路部4を備える。給電線路部4は、直線の形状を有する。このため、基板10B上の-z方向に実装されたアンテナ回路部(図示略)からアンテナ素子部2にアンテナ電流を容易に給電できる。
【0072】
また、基板10B上のアンテナ素子部1Bの実装面と、アンテナ素子部2の実装面とが、異なる面である。このため、アンテナ素子部1Bと給電線路部4とを短絡することなく、アンテナ100Bを容易に構成できる。
【0073】
(第3の実施の形態)
図19~
図24を参照して、本発明に係る第3の実施の形態を説明する。まず、
図19及び
図20を参照して、本実施の形態のアンテナ100Cの装置構成を説明する。
図19は、本実施の形態のアンテナ100Cの平面図である。
図20は、アンテナ100Cの断面図である。なお、アンテナ100Cの装置構成において、上記第1、第2の実施の形態のアンテナ100A,100Bと同様の構成部分には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0074】
図19及び
図20に示すように、アンテナ100Cは、アンテナ素子部1B,2と、給電線路部4と、基板10Cと、を備える。なお、
図20は、アンテナ100Cの後述する給電点3C(給電線路部5)の中心線L2における断面図であるものとする。また、
図19、
図20に示すように、x軸、y軸、z軸をとるものとする。
【0075】
基板10Cは、ガラスエポキシ樹脂などの変形しない誘電体基板であり、給電線路部5のアンテナ素子部2と逆側の延在方向(-x方向)の先に、アンテナ回路部(図示略)が実装されているものとする。
【0076】
アンテナ素子部1B,2は、第2の実施の形態と同様である。
【0077】
給電線路部5は、アンテナ素子部2に一体的に電気的に接続されたマイクロストリップ給電線路である。給電線路部5は、基板10Bの+y側の一面上に実装された平面状でかつ90°折り曲げられた線状(直線部分及びR形状部分を有する線状)の導体であり、例えば、銅箔などの金属からなる。給電線路部5は、-x方向の先端が基板10C上のアンテナ回路部のアンテナ電流の給電端子に電気的に接続されている。アンテナ素子部2は、基板10C上のアンテナ回路部の接地端子に電気的に接続されている。給電線路部5のR形状部分の曲率半径を曲率半径R1とする。
【0078】
このように、第1の実施の形態と異なり、アンテナ100Cは、アンテナ素子部2と給電線路部4とが、基板10Cの同じ一方の面に存在し、アンテナ素子部1Bがもう一方の別の面に存在する。なお、ここで、アンテナ素子部2と給電線路部5の面と、アンテナ素子部1Bの面との間に、誘電体の層を更にいくつか挟む構成としてもよい。
【0079】
また、アンテナ100Cは、給電点3Cを有する。給電点3Cは、給電線路部5によりアンテナ電流がアンテナ素子部2に給電され、グランド電位がアンテナ素子部1Bに印加されている場所である。
【0080】
給電線路部5のx方向の長さを幅W2とする。また、給電線路部5(給電点3C)のz方向に延在する直線部分のx方向の中心線を中心線L2とする。また、アンテナ素子部2の右端(-x方向の端部)から給電線路部5のz方向の直線部分の中心線L2までのx方向の長さを長さS2とする。また、アンテナ素子部1Bの上端(+z方向の端部)から、給電線路部5のx方向に延在する直線部分のz方向の中心線L3までのz方向の長さを長さS1とする。
【0081】
つぎに、
図21(a)~
図24を参照して、本実施の形態のアンテナ100Cのアンテナ特性を説明する。
図21(a)は、アンテナ100Cの6.0[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図21(b)は、アンテナ100Cの6.0[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図21(c)は、アンテナ100Cの6.0[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
図22(a)は、アンテナ100Cの7.25[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図22(b)は、アンテナ100Cの7.25[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図22(c)は、アンテナ100Cの7.25[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
図23(a)は、アンテナ100Cの8.5[GHz]におけるzx面の2次元放射パターンを示す図である。
図23(b)は、アンテナ100Cの8.5[GHz]におけるxy面の2次元放射パターンを示す図である。
図23(c)は、アンテナ100Cの8.5[GHz]におけるzy面の2次元放射パターンを示す図である。
図24は、アンテナ100Cの周波数に対するSパラメータS11を示す図である。
【0082】
本実施の形態のアンテナ100Cのアンテナ特性をシミュレーションした。アンテナ100Cの幅W1、長さH1、幅W2、長さH2、幅W3、長さH3、長さS1、長さS2、曲率半径R1の寸法を下記表IIIのように設定した。
【表3】
【0083】
アンテナ100Cにおける中心線L1と中心線L2とのx方向のズレ量は、1.0[mm]である。
【0084】
図21(a)に、表IIIの寸法のアンテナ100Cの6.0[GHz]におけるzx面の-180~+180[°]の各角度の利得[dB]である2次元放射パターンのシミュレーション結果を示す。同様にして、
図21(b)、
図21(c)に、それぞれ、表IIIの寸法のアンテナ100Cの6.0[GHz]におけるxy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。すると、6.0[GHz]での表IIIの寸法のアンテナ100Cの2次元放射パターンにおいて、第1の実施の形態の比較例のアンテナ100aに比べて、特にzx面で、合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。
【0085】
同様にして、
図22(a)、
図22(b)、
図22(c)に、それぞれ、表IIIの寸法のアンテナ100Cの7.25[GHz]におけるzx面、xy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。7.25[GHz]においても、表IIIの寸法のアンテナ100Cの2次元放射パターンにおいて、アンテナ100aに比べて、特にzx面で、合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。
【0086】
同様にして、
図23(a)、
図23(b)、
図23(c)に、それぞれ、表IIIの寸法のアンテナ100Cの8.5[GHz]におけるzx面、xy面、zy面の2次元放射パターン(-180~+180[°]における利得[dB])のシミュレーション結果を示す。8.5[GHz]においても、表IIIの寸法のアンテナ100Cの2次元放射パターンにおいて、アンテナ100aに比べて、特にzx面で、合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。このように、表IIIの寸法のアンテナ100Cは、6.0、7.25、8.5[GHz]で、2次元放射パターンの合計の利得のヌルが低減され、無指向性になっている。
【0087】
加えて、
図24に示すように、表IIIの寸法のアンテナ100Cの反射特性としてのSパラメータS11は、5.0~10[GHz]で-10[dB]以下となり、共振がとれている。このため、表IIIの寸法のアンテナ100Bは、5.0[GHz]から数[GHz]以上の広帯域な領域(範囲)で共振がとれて広帯域性を実現できるとともに、2次元放射パターンのヌル改善、すなわち無指向性にできる。
【0088】
以上、本実施の形態によれば、アンテナ100Cにより、第1の実施の形態のアンテナ100Aと同様に、無指向性にでき、かつ広帯域にできる。また、アンテナ100Cは、アンテナ素子部2に電気的に接続され、給電点3Cとしてアンテナ電流を給電する給電線路部5を備える。給電線路部5は、90°に曲げられた形状を有する。このため、給電線路部5により、基板10B上の-x方向に実装されたアンテナ回路部(図示略)からアンテナ素子部2にアンテナ電流を容易に給電できる。
【0089】
(第1の変形例)
図25及び
図26を参照して、上記第1の実施の形態の変形例としての第1変形例を説明する。
図25は、本変形例のアンテナ100Dの平面図である。
図26は、アンテナ100Dの断面図である。
【0090】
まず、
図25及び
図26を参照して、本変形例のアンテナ100Dの装置構成を説明する。なお、アンテナ100Dの装置構成において、第1の実施の形態のアンテナ100Aと同様の構成部分には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0091】
アンテナ100Dは、アンテナ素子部のみにより構成されたアンテナであり、基板に代えて、車両のガラスなどの支持体上に設置される。
図25及び
図26に示すように、アンテナ100Dは、アンテナ素子部1A,2と、を備える。なお、
図26は、アンテナ100Dの給電点3Aの中心線L2における断面図であるものとする。また、
図25、
図26に示すように、x軸、y軸、z軸をとるものとする。
【0092】
アンテナ100Dのアンテナ特性は、第1の実施の形態のアンテナ100Aと同様である。
【0093】
以上、本変形例によれば、アンテナ100Dにより、第1の実施の形態のアンテナ100Aと同様に、無指向性にでき、かつ広帯域にできるとともに、アンテナ100Dの設置先の自由度を高くできる。
【0094】
なお、第2の実施の形態のアンテナ100B、第3の実施の形態のアンテナ100Cについても、同様に、アンテナ素子部、給電線路部のみにより構成されたアンテナとしてもよい。
【0095】
(第2の変形例)
上記第1の実施の形態の変形例としての第2変形例を説明する。第1の実施の形態のアンテナ100Aでは、基板10Aが変形しない構成であったが、本変形例のアンテナは、アンテナ100Aの基板を変形可能なフレキシブル基板としてのポリイミドなどからなるFPC(Flexible Printed Circuit)とした構成とする。
【0096】
本変形例のアンテナは、曲面に配置して使用することができ、また当該アンテナ全体を折り曲げて使用することもできる。
【0097】
以上、本変形例によれば、本変形例のアンテナは、基板としてFPCを備える。このため、本変形例のアンテナの設置先の自由度を上げることができるとともに、当該アンテナを容易に変形して設置できる。
【0098】
なお、第2の実施の形態のアンテナ100B、第3の実施の形態のアンテナ100Cについても、同様に、基板をFPCとする構成のアンテナとしてもよい。
【0099】
(第3の変形例)
図27を参照して、上記第1実施の形態の変形例としての第3変形例を説明する。
図27は、本変形例のアンテナ装置1000を示す平面図である。
【0100】
第1の実施の形態では、アンテナ100Aを単体で備える構成であったが、本変形例のアンテナ装置は、複数のアンテナを備える構成とする。
【0101】
まず、
図27を参照して、本実施の形態のアンテナ100Bの装置構成を説明する。なお、アンテナ100Dの装置構成において、第1の実施の形態のアンテナ100Aと同様の構成部分には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0102】
図27に示すように、アンテナ装置1000は、アンテナ100A1,100A2を備える。また、
図27に示すように、x軸、y軸、z軸をとるものとする。
【0103】
アンテナ100A1は、アンテナ100Aと同様の構成を有し、その配置方向が+z方向にアンテナ素子部1A,2が順に並ぶ方向に配置されているものとする。アンテナ100A2は、アンテナ100Aと同様の構成を有し、その配置方向が-x方向にアンテナ素子部1A,2が順に並ぶ方向に配置されているものとする。つまり、アンテナ100A1の配置方向(L字型の形状の方向)と、アンテナ100A2の配置方向(L字型の形状の方向)と、が互いに90°異なる。
【0104】
アンテナ装置1000のアンテナ特性は、アンテナ100A1,100A2がそれぞれ無指向性を有するが、アンテナ100A1,100A2の配置方向を互いに異にすることで、さらにアンテナ100A1,100A2の放射の弱い方向を互いに補うことができる。また、例えば、第1に実施の形態のスマートロック送受信機300,400が、アンテナ100Aに代えて、アンテナ装置1000を備える構成としてもよい。
【0105】
以上、本変形例によれば、アンテナ装置1000は、アンテナ100A1,100A2を備える。アンテナ100A1,100A2は、互いに90°異なる。このため、アンテナ100A1,100A2の放射の弱い方向を互いに補うので、さらに無指向性を高めることができる。
【0106】
なお、アンテナ装置が、3つ以上のアンテナ100Aを備え、各アンテナ100Aの配置方向が互いに異なる構成としてもよい。また、第2の実施の形態のアンテナ100B、第3の実施の形態のアンテナ100C、第1の変形例のアンテナ100D、第2の変形例のアンテナについても、同様に、複数のアンテナを備え、各アンテナの配置方向を互いに異にするアンテナ装置としてもよい。また、1つのアンテナ装置が備える複数のアンテナとして、第1~第3の実施の形態及び第1、第2の変形例のアンテナのうち、異なる種類のアンテナを組み合わせる構成としてもよい。
【0107】
なお、上記各実施の形態及び各変形例における記述は、本発明に係るアンテナ、アンテナ装置及び通信デバイスの一例であり、これに限定されるものではない。例えば、各実施の形態及び各変形例の構成の少なくとも2つを適宜組み合わせる構成としてもよい。
【0108】
また、上記第1の実施の形態のアンテナ100Aでは、基板10A上のアンテナ素子部2の実装面と、基板10A上のアンテナ素子部1Aの実装面と、が同じ面である構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、基板10A上のアンテナ素子部2の実装面と、基板10A上のアンテナ素子部1Aの実装面と、が異なる面とし、基板10Aのスルーホールを介して同軸ケーブルの外部導体がアンテナ素子部1Aに電気的に接続されて接地される構成としてもよい。
【0109】
また、上記第2の実施の形態のアンテナ100Bでは、基板10B上のアンテナ素子部2の実装面と、基板10B上のアンテナ素子部1Bの実装面と、が異なる面である構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、基板10B上のアンテナ素子部2の実装面と、基板10B上のアンテナ素子部1Bの実装面と、が同じ面とし、アンテナ素子部2とアンテナ素子部1Bと間に、絶縁層(誘電体の層)を設ける構成としてもよい。このアンテナ素子部の実装面が同じ面である構成は、上記第3の実施の形態のアンテナ100Cでも同様である。
【0110】
その他、上記各実施の形態及び各変形例におけるアンテナ、アンテナ装置、通信デバイスの細部構成及び詳細動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0111】
1000 アンテナ装置
100A,100a,100B,100C,100D,100A1,100A2 アンテナ
1A,2,1B アンテナ素子部
10A,10B,10C 基板
3A,3a,3B,3C 給電点
4,5 給電線路部
200 スマートフォン
300,400 スマートロック送受信機
D1 ドア
U1 ユーザ
C1 車両