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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102116
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/34 20200101AFI20220630BHJP
   D06F 19/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
D06F33/34
D06F19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216655
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】荒井 英行
(72)【発明者】
【氏名】税所 貴史
【テーマコード(参考)】
3B167
3B168
【Fターム(参考)】
3B167AA15
3B167AB04
3B167AE01
3B167AE02
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE07
3B167BA52
3B167FB01
3B167FB05
3B167HA13
3B167JA01
3B167JC22
3B167KA18
3B167KA52
3B167KA90
3B167KB01
3B167KB16
3B167LA23
3B167LC30
3B167LE04
3B167LE07
3B167LF07
3B167LF11
3B167LF30
3B167LG05
3B168AA15
3B168AB04
3B168AE01
3B168AE02
3B168AE04
3B168AE05
3B168AE07
3B168BA52
(57)【要約】
【課題】水不足により被洗浄物の洗浄効果が発揮されないままの状態で洗浄運転が行われることを抑制でき得る洗濯機を提供する。
【解決手段】全自動洗濯機1は、洗浄水が溜められ、当該洗浄水に被洗浄物が浸漬される貯水槽と、超音波を発生させる超音波発生体と、貯水槽に溜めるための洗浄水を供給する給水ユニットと、超音波発生体の周囲に配置されたサーミスタ140と、超音波発生体および給水ユニットを制御する制御部701と、を備える。超音波発生体は、被洗浄物に浸透した洗浄水に接触して、当該洗浄水に発生した超音波を伝播させる。制御部701は、貯水槽内に洗浄水が溜められた状態で超音波発生体を動作させ、超音波発生体の動作中にサーミスタ140により検出された温度に基づいて、貯水槽内に洗浄水を補給するために給水ユニットに洗浄水の供給を行わせる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が溜められ、当該水に被洗浄物が浸漬される貯水槽と、
超音波を発生させる超音波発生体と、
前記貯水槽に溜めるための水を供給する給水部と、
前記超音波発生体の周囲に配置された温度検出部と、
前記超音波発生体および前記給水部を制御する制御部と、を備え、
前記超音波発生体は、被洗浄物に浸透した水に接触して、当該水に超音波を伝播させ、
前記制御部は、
前記貯水槽内に水が溜められた状態で前記超音波発生体を動作させ、
前記超音波発生体の動作中に前記温度検出部により検出された温度に基づいて、前記貯水槽内に水を補給するために前記給水部に水の供給を行わせる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記制御部は、
前記超音波発生体の動作前または動作初期に前記温度検出部により基準温度を検出し、
前記超音波発生体の動作中に前記温度検出部により検出された温度から、前記基準温度に対する温度上昇値を求め、
前記温度上昇値が閾値を超えた場合に前記給水部に水の供給を行わせる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗濯機において、
前記貯水槽に供給される水が溜められる貯留部を、さらに備え、
前記給水部は、前記貯留部に水を供給し、
前記貯水槽内の水が減少すると、前記貯留部から前記貯水槽に水が補給され、
前記制御部は、前記超音波発生体の動作中に前記温度検出部により検出された温度に基づいて、前記給水部に前記貯留部への水の供給を行わせる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項3に記載の洗濯機において、
前記制御部は、前記超音波発生体の動作が開始されてから所定時間が経過したことに基づいて、前記給水部に前記貯留部への水の供給を行わせる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯機において、
前記貯留部に溜められる水に混入される洗剤を供給する洗剤供給部を、さらに備え、
前記制御部は、前記所定時間の経過に基づく前記貯留部への給水のときの洗剤の供給量が、前記温度検出部により検出された温度に基づく前記貯留部への給水のときの前記洗剤の供給量よりも少なくなるように前記洗剤供給部を制御する、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
上面板における洗濯物の投入口の周囲、たとえば、投入口の前側に、超音波洗浄装置が配置された洗濯機が、特許文献1に記載されている。超音波洗浄装置は、水が溜められる貯水槽と、貯水槽の真上に位置する超音波発生体を有する超音波発生ユニットとを備える。水が溜められた貯水槽内に被洗浄物の汚れの付着部分がセットされ、洗浄運転が開始される。水が浸透した汚れの付着部分に、超音発生体から発生した超音波エネルギーが作用し、汚れが剥離する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-68435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の超音波洗浄装置では、貯水槽内の水が不足することにより、被洗浄物へ十分に洗浄水が浸透できなくなると、被洗浄物に水に含まれる水が超音波発生体の先端に接触しなくなるため、超音波が水に伝播せず、被洗浄物の洗浄効果が発揮されにくくなる。
【0005】
そこで、本発明は、水不足により被洗浄物の洗浄効果が発揮されないままの状態で洗浄運転が行われることを抑制でき得る洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主たる態様に係る洗濯機は、水が溜められ、当該水に被洗浄物が浸漬される貯水槽と、超音波を発生させる超音波発生体と、前記貯水槽に溜めるための水を供給する給水部と、前記超音波発生体の周囲に配置された温度検出部と、前記超音波発生体および前記給水部を制御する制御部と、を備える。ここで、前記超音波発生体は、被洗浄物に浸透した水に接触して、当該水に超音波を伝播させる。前記制御部は、前記貯水槽内に水が溜められた状態で前記超音波発生体を動作させ、前記超音波発生体の動作中に前記温度検出部により検出された温度に基づいて、前記貯水槽内に水を補給するために前記給水部に水の供給を行わせる。
【0007】
貯水槽内の水が不足しておらず、被洗浄物へ十分に水が浸透している場合、被洗浄物に含まれる水に超音波発生体の先端に接触するため、超音波発生体が水により冷却される。一方、貯水槽内の水が不足した場合、被洗浄物へ十分に水が浸透できなくなり、被洗浄物に含まれる水が超音波発生体の先端に接触しなくなる。これにより、超音波発生体が水により冷却されなくなるため、超音波発生体の温度が上昇する。
【0008】
本態様に係る洗濯機によれば、超音波発生体の動作中に温度検出部により検出された温度に基づいて、貯水槽内の水が不足していると見做される場合に、貯水槽内に水を補給するために給水部から水の供給が行われる。これにより、水不足により被洗浄物の洗浄効果が発揮されないままの状態で洗浄運転が行われることを抑制できる。
【0009】
本態様に係る洗濯機において、前記制御部は、前記超音波発生体の動作前または動作初期に前記温度検出部により基準温度を検出し、前記超音波発生体の動作中に前記温度検出部により検出された温度から、前記基準温度に対する温度上昇値を求め、前記温度上昇値が閾値を超えた場合に前記給水部に水の供給を行わせるような構成とされ得る。
【0010】
上記の構成によれば、温度上昇値が用いられるより、周囲温度等により変化し得る超音波発生体の動作前の温度に影響されにくくなるので、精度よく水不足を判定して給水部による水の補給を行うことができる。
【0011】
本態様に係る洗濯機において、前記貯水槽に供給される水が溜められる貯留部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記給水部は、前記貯留部に水を供給し、前記貯水槽内の水が減少すると、前記貯留部から前記貯水槽に水が補給される。前記制御部は、前記超音波発生体の動作中に前記温度検出部により検出された温度に基づいて、前記給水部に前記貯留部への水の供給を行わせる。
【0012】
上記の構成によれば、超音波発生体の動作中に温度検出部により検出された温度に基づいて、貯留部が空になることで貯水槽内の水が不足していると見做される場合に、給水部から貯留部へ水の供給が行われる。これにより、水不足により被洗浄物の洗浄効果が発揮されないままの状態で洗浄運転が行われることを抑制できる。
【0013】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記超音波発生体の動作が開始されてから所定時間が経過したことに基づいて、前記給水部に前記貯留部への水の供給を行わせるような構成とされ得る。
【0014】
このような構成とされれば、貯水槽内の水が不足する前に、貯留部へ水を補給することが可能となる。また、所定時間の経過に基づく水の補給が行われる前に貯水槽内が水不足になっても、そのときには、温度検出部の検出温度に基づく水の補給が行われるので、所定時間の経過に基づく水の補給の頻度を少なくでき、洗浄運転の後に貯留部内に多くの水が残ってしまうことを抑制できる。
【0015】
上記のように、所定時間の経過に基づく水の補給が行われる構成とされた場合、さらに、前記貯留部に溜められる水に混入される洗剤を供給する洗剤供給部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記制御部は、前記所定時間の経過に基づく前記貯留部への給水のときの洗剤の供給量が、前記温度検出部により検出された温度に基づく前記貯留部への給水のときの前記洗剤の供給量よりも少なくなるように前記洗剤供給部を制御するよう構成され得る。
【0016】
このような構成とされれば、洗剤の力が加わることによって洗浄力が高まる。さらに、所定時間の経過に基づく補給が行われるときの洗剤の供給量が、検出温度に基づく補給が行われるときの洗剤の供給量より少なくされるので、洗剤が無駄に使用されることを抑制できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、水不足により被洗浄物の洗浄効果が発揮されないままの状態で洗浄運転が行われることを抑制でき得る洗濯機を提供できる。
【0018】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
図2図2は、実施の形態に係る、給水ユニットの構成を示す概略図である。
図3図3(a)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が収納部から引き出された状態にあるときの超音波洗浄装置および上面板の斜視図である。図3(b)および(c)は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が収納部に収納された状態にあるときの超音波洗浄装置および上面板の要部の斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る、貯水部が本体部から離脱した状態の超音波洗浄装置の斜視図である。
図5図5は、実施の形態に係る、超音波洗浄部および本体部の側面断面図である。
図6図6(a)は、実施の形態に係る、固定部材が超音波発生体の上部に通された状態を示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)のA-A´断面図である。
図7図7は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が収納部に収納された状態にあるときの超音波洗浄装置、貯留タンク、供給バルブ、供給ノズルおよび排水受け部の側面断面図である。
図8図8は、実施の形態に係る、超音波洗浄部と貯水部が収納部から引き出された状態にあるときの超音波洗浄装置、貯留タンク、供給バルブ、供給ノズルおよび排水受け部の側面断面図である。
図9図9は、実施の形態に係る、貯留タンク、供給バルブおよび供給ノズルの斜視図である。
図10図10は、実施の形態に係る、全自動洗濯機の構成を示すブロック図である。
図11図11は、実施の形態に係る、貯留タンクへの洗浄水の補給処理を示すフローチャートである。
図12図12は、変更例1に係る、貯留タンクへの洗浄水の補給処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の洗濯機の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、全自動洗濯機1の側面断面図である。
【0022】
全自動洗濯機1は、外郭を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、洗濯物の投入口14が形成される。投入口14は、開閉自在な上蓋15により覆われる。上面板12の前部には、内部に制御ユニット16が配置される。制御ユニット16は、全自動洗濯機1による洗濯運転および後述する超音波洗浄装置50による洗浄運転を制御する。
【0023】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が、防振装置を有する4本の吊棒21により弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、内槽である洗濯脱水槽22が配される。洗濯脱水槽22は、上面が開口し、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が配される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。
【0024】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を駆動するトルクを発生させる駆動ユニット30が配される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。
【0025】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ40が設けられる。排水バルブ40は、排水ホース41に接続される。排水バルブ40が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース41を通じて機外へ排出される。
【0026】
外槽20の上部には、溢水口20bが形成される。外槽20内に所定の溢水水位以上の水が溜められると、溢水口20bから水が排出される。外槽20の外面には、溢水口20bを覆うように溢水受け部25が設けられる。溢水受け部25の底部には、溢水パイプ26の一端が接続される。溢水パイプ26の他端は、排水ホース41に接続される。溢水口20bから排出された水は、溢水受け部25により受けられた後、溢水パイプ26を通って排水ホース41へ流れる。
【0027】
上面板12の後部のほぼ中央には、超音波洗浄装置50が配置される。超音波洗浄装置50では、主に、被洗浄物に部分的に付着した汚れを、全自動洗濯機1での洗濯に先立って除去するための洗浄運転が行われる。
【0028】
上面板12の後部には、超音波洗浄装置50の後方に貯留タンク60が配置され、超音波洗浄装置50の下方に排水受け部70が配置される。貯留タンク60には、超音波洗浄装置50の貯水槽210に供給される洗剤を含む水が、洗浄水として溜められる。
【0029】
排水受け部70は、貯水槽210から排出された水を受ける。排水受け部70には、受けた水が排出される排出孔71が形成される。排出孔71には、排水パイプ72の一端が接続される。排水パイプ72の他端は、溢水パイプ26の上部に接続される。
【0030】
上面板12の後部には、洗濯脱水槽22内に水道水を供給するための給水ユニット80が配される。
【0031】
図2は、給水ユニット80の構成を示す概略図である。
【0032】
給水ユニット80は、給水バルブ81を有する。給水バルブ81は、いわゆる2連バルブであり、電磁バルブであるメインバルブ82とサブバルブ83とを有する。給水バルブ81の入水口81aは、図示しない給水ホースを介して水道栓に接続される。メインバルブ82の出口には、メイン給水路84が接続される。メイン給水路84は、洗濯脱水槽22の上部に位置する注水ボックス85に接続される。注水ボックス85の底面には、注水口85aが形成される。
【0033】
給水ユニット80には、洗濯脱水槽22内に洗濯用の液剤の一つである液体洗剤を自動投入するための自動投入機構90が含まれる。自動投入機構90は、貯留タンク60に洗浄水を供給する機能も備える。給水ユニット80は、本発明の給水部に相当し、自動投入機構90は、本発明の洗剤供給部に相当する。
【0034】
自動投入機構90は、洗剤タンク91と、供給パイプ92と、第1三方バルブ93と、サブ給水路94と、洗剤供給路95と、第2三方バルブ96と、洗浄水供給路97と、供給ポンプ98とを備える。給水バルブ81のサブバルブ83も、自動投入機構90に含まれる。
【0035】
洗剤タンク91には、液体洗剤が原液の状態で貯留される。供給パイプ92は、洗剤タンク91の液体洗剤を第1三方バルブ93の一方の入口へと導く。
【0036】
サブ給水路94は、サブバルブ83の出口と第1三方バルブ93の他方の入口とに接続される。
【0037】
第1三方バルブ93の出口に洗剤供給路95が接続される。洗剤供給路95は、注水ボックス85に接続される。
【0038】
第1三方バルブ93は、供給パイプ92を洗剤供給路95に連通させる状態と、サブ給水路94を洗剤供給路95に連通させる状態との間で切り替えることができる。
【0039】
洗剤供給路95には、第2三方バルブ96が設けられる。第2三方バルブ96の入口には、洗剤供給路95の上流側供給路95aが接続され、第2三方バルブ96の一方の出口には、洗剤供給路95の下流側供給路95bが接続される。また、第2三方バルブ96の他方の出口には、洗浄水供給路97の一端が接続される。洗浄水供給路97の他端は、貯留タンク60に接続される。
【0040】
第2三方バルブ96は、上流側供給路95aを下流側供給路95bに連通させる状態と、上流側供給路95aを洗浄水供給路97に連通させる状態との間で切り替えることができる。
【0041】
上流側供給路95aには、供給ポンプ98が配置される。供給ポンプ98は、たとえば、ピストン式ポンプとすることができる。
【0042】
次に、超音波洗浄装置50の構成と、貯留タンク60および排水受け部70を含む、超音波洗浄装置50の周辺の構成について、詳細に説明する。
【0043】
図3(a)は、超音波洗浄部100と貯水部200が収納部17から引き出された状態にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の斜視図である。図3(b)および(c)は、超音波洗浄部100と貯水部200が収納部17に収納された状態にあるときの超音波洗浄装置50および上面板12の要部の斜視図である。図3(c)では、収納部17の内部が見えるよう、カバー19の図示が省略されている。
【0044】
上面板12には、後部の中央部に、超音波洗浄装置50が収納される収納部17が設けられる。上面板12は、収納部17の前方が出入口18として開口する。出入口18には、カバー19が設けられる。
【0045】
超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と、貯水部200と、本体部300とを備える。超音波洗浄部100は、超音波を発生させる超音波発生体110を有する。本体部300は、超音波洗浄部100を保持する。貯水部200は、本体部300に装着され、超音波発生体110の下方に位置する。貯水部200には、洗浄水が溜められる貯水槽210が設けられる。
【0046】
図3(a)に示すように、洗浄運転が行われるとき、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と貯水部200とが収納部17から前方に引き出されて上面板12の投入口14の内側に張り出す状態となる。一方、図3(b)および(c)に示すように、洗浄運転が行われないとき、超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100と貯水部200とが収納部17に収納される状態となる。出入口18がカバー19により閉じられる。
【0047】
図4は、貯水部200が本体部300から離脱した状態の超音波洗浄装置50の斜視図である。図5は、超音波洗浄部100および本体部300の側面断面図である。
【0048】
超音波洗浄装置50は、超音波洗浄部100が本体部300に保持され、貯水部200が本体部300に離脱可能に装着される。
【0049】
超音波洗浄部100は、超音波発生体110と、ハウジング120とを備える。超音波発生体110は、超音波振動子111と、超音波振動子111に結合される振動ホーン112とを含む。超音波発生体110は、超音波振動子111の高周波振動により、振動ホーン112の先端から超音波を発生させる。ハウジング120は、前後方向に長く、その先端部121が下方に屈曲するようなアーム形状を有する。ハウジング120内の前部に超音波発生体110が配置される。超音波発生体110は、枠状の固定部材130により上側から押さえ付けられる。振動ホーン112の先端部がハウジング120の開口部122から露出する。ハウジング120の後部123が、本体部300の上部に固定される。
【0050】
貯水部200には、前面に取っ手201が形成される。また、貯水部200には、貯水部200の形状に沿った形状を有する貯水槽210が形成される。貯水槽210には、後面の下部に排水口211が形成される。排水口211は、弁体220により閉塞される。弁体220には、弁可動部材230が連結される。弁可動部材230は、後部231が貯水部200よりも後方に張り出す。弁可動部材230は、図示しないスプリングにより、弁体220が閉じる後方向に付勢される。
【0051】
図6(a)は、固定部材130が超音波発生体110の上部に通された状態を示す斜視図であり、図6(b)は、図6(a)のA-A´断面図である。
【0052】
超音波発生体110の温度を検出するために、超音波発生体110の周囲に、サーミスタ140が配置される。サーミスタ140は、本発明の温度検出部に相当する。
【0053】
サーミスタ140は、固定部材130に設けられた保持部131により保持される。保持部131は、サーミスタ140に対応した形状の収容部132を有する。
【0054】
サーミスタ140は、保持部131の収容部132に収容される。サーミスタ140が保持部131に保持された状態において、サーミスタ140の正面141は、保持部131の外部に露出し、固定部材130の内部に臨む。そして、サーミスタ140の正面141は、超音波発生体110の側面に近接あるいは接触する。超音波発生体110が発熱すると、その熱がサーミスタ140に伝播する。これにより、超音波発生体110の温度がサーミスタ140で検出される。
【0055】
図7は、超音波洗浄部100と貯水部200が収納部17に収納された状態にあるときの超音波洗浄装置50、貯留タンク60、供給バルブ400、供給ノズル500および排水受け部70の側面断面図である。図8は、超音波洗浄部100と貯水部200が収納部17から引き出された状態にあるときの超音波洗浄装置50、貯留タンク60、供給バルブ400、供給ノズル500および排水受け部70の側面断面図である。図9は、貯留タンク60、供給バルブ400および供給ノズル500の斜視図である。
【0056】
収納部17には、貯留タンク60と、供給バルブ400と、供給ノズル500とが超音波洗浄装置50の背後に配置される。貯留タンク60は、本発明の貯留部に相当する。
【0057】
供給バルブ400は、電磁バルブである。供給バルブ400は、左右の側面に入口を有し、下面に出口を下面に有するバルブケーシング410と、バルブケーシング410の出口を開閉する弁体420と、弁体420を駆動するソレノイド等の駆動部430と、を含む。バルブケーシング410の出口は、供給ノズル500の入口に接続される。
【0058】
貯留タンク60は、樹脂材料により形成され、供給バルブ400を挟んで第1タンク61と第2タンク62とに分かれる。第1タンク61と第2タンク62は、それらの上部が第1タンク61から延びる連通部63により繋がる。第1タンク61の下部に形成された流出口64が、バルブケーシング410の左側の入口に接続される。第2タンク62の下部に形成された流出口65が、バルブケーシング410の右側の入口に接続される。第1タンク61と第2タンク62は、互いの流出口64,65がバルブケーシング410を介して繋がる。
【0059】
第1タンク61には、貯留タンク60内への洗浄水の流入口66が形成される。流入口66は、自動投入機構90の洗浄水供給路97に接続される。自動投入機構90から供給された洗浄水は、流入口66から第1タンク61内に流入した後、バルブケーシング410および連通部63を通じて第2タンク62内へ流入する。これにより、貯留タンク60内に洗浄水が溜められる。貯留タンク60の貯水容量は、貯水槽210の貯水容量よりも大きくされている。
【0060】
供給バルブ400、即ち弁体420が開放されると、貯留タンク60の第1タンク61内および第2タンク62内の各々から、洗浄水がバルブケーシング410の出口を通じて流出する。
【0061】
供給ノズル500は、樹脂材料により形成され、供給バルブ400から前方に延び、その先端部500aが下方に屈曲する。先端部500aの下面には、放出口501が形成される。
【0062】
収納部17には、超音波洗浄装置50の下方に、ほぼ方形の皿状の排水受け部70が配置される。排水受け部70の右側面には、後部の下端に排出孔71が形成される。排出孔71から右方に延びる接続管73に、排水パイプ72が接続される。
【0063】
図10は、全自動洗濯機1の構成を示すブロック図である。
【0064】
全自動洗濯機1は、上述した構成に加え、操作部610と、水位検出部620とを備える。また、制御ユニット16は、制御部701、記憶部702、操作検出部703、モータ駆動部704、クラッチ駆動部705、5つのバルブ駆動部706~710、ポンプ駆動部711および振動子駆動部712を含む。
【0065】
操作部610は、電源オンボタン611、電源オフボタン612、スタートボタン613、コース選択ボタン614、洗浄ボタン615等の各種の操作ボタンを含む。電源オンボタン611および電源オフボタン612は、それぞれ、全自動洗濯機1に電源を投入および遮断するためのボタンである。スタートボタン613は、洗濯運転および洗浄運転をスタートさせるためのボタンである。コース選択ボタン614は、洗濯運転に係る複数の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのボタンである。洗浄ボタン615は、洗浄運転を選択するためのボタンである。
【0066】
水位検出部620は、貯留タンク60内に配置された一対の電極端子を含み、貯留タンク60内の水位が満水状態の水位になったことを検出する。
【0067】
操作検出部703は、操作部610の各種操作ボタンの中から、ユーザに操作された操作ボタンに応じた操作信号を制御部701に出力する。
【0068】
モータ駆動部704、クラッチ駆動部705、5つのバルブ駆動部706~710、ポンプ駆動部711および振動子駆動部712は、それぞれ、制御部701からの制御信号に従って、駆動モータ31、クラッチ機構32a、給水バルブ81、第1三方バルブ93、第2三方バルブ96、供給バルブ400、排水バルブ40、供給ポンプ98および超音波振動子111を駆動する。
【0069】
記憶部702は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部702には、各種運転コースの洗濯運転および超音波洗浄装置50による洗浄運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部702には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0070】
制御部701は、CPU等を含み、操作検出部703、水位検出部620、サーミスタ140等からの各信号に基づいて、記憶部702に記憶されたプログラムに従い、モータ駆動部704、クラッチ駆動部705、5つのバルブ駆動部706~710、ポンプ駆動部711、振動子駆動部712等を制御する。この結果、制御部701は、超音波発生体110、給水ユニット80および自動投入機構90を制御する。
【0071】
全自動洗濯機1では、各種運転コースの洗濯運転を行うことができる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0072】
洗い工程およびすすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態で、パルセータ24が右方向および左方向に回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生する。洗い工程では、発生した水流と水に含まれる洗剤とにより洗濯物が洗われる。すすぎ工程では、発生した水流により洗濯物がすすがれる。
【0073】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0074】
洗い工程での給水時には、自動投入機構90により、洗濯脱水槽22内に液体洗剤が自動投入される。この際、まず、第1三方バルブ93が、供給パイプ92を洗剤供給路95に連通させる状態に切り替えられる。また、第2三方バルブ96が、上流側供給路95aを下流側供給路95bに連通させる状態に切り替えられる。供給ポンプ98が作動すると、ポンプ作用によって、図2の破線矢印に示すように、洗剤タンク91内の液体洗剤が洗剤供給路95に排出される。供給ポンプ98は、予め決められた時間だけ動作し、これにより、予め決められた量の液体洗剤が洗剤供給路95に溜まる。
【0075】
次に、第1三方バルブ93が、サブ給水路94を洗剤供給路95に連通させる状態に切り替えられ、メインバルブ82とサブバルブ83が開かれる。水道栓からの水がメイン給水路84を流れて注水ボックス85の注水口85aから洗濯脱水槽22内に放出される。同時に、図2の実線矢印に示すように、水道栓からの水が、サブ給水路94、第1三方バルブ93を通って洗剤供給路95へと流れ、液体洗剤を押し流す。水に押し流された液体洗剤は、図2の一点鎖線矢印に示すように、水とともに洗剤供給路95を流れ、注水口85aから洗濯脱水槽22内へ投入される。洗濯脱水槽22内の水位が所定の洗い水位に到達すると、メインバルブ82とサブバルブ83が閉じられて、給水が終了する。
【0076】
さらに、全自動洗濯機1では、超音波洗浄装置50による洗浄運転を行うことができる。
【0077】
ユーザは、洗浄運転を行う場合、図3(a)にように、超音波洗浄装置50の超音波洗浄部100および貯水部200が収納部17から引き出す。図8に示すように、貯水槽210は、弁体220により排水口211が閉鎖された状態となる。
【0078】
ユーザにより、洗浄ボタン615が操作されて洗浄運転が選択された後、スタートボタン613が操作されると、洗浄運転が開始される。
【0079】
洗浄運転が開始されると、自動投入機構90により、貯留タンク60内への洗浄水の供給が行われる。即ち、第1三方バルブ93が、供給パイプ92を洗剤供給路95に連通させる状態に切り替えられる。また、第2三方バルブ96が、上流側供給路95aを洗浄水供給路97に連通させる状態に切り替えられる。さらに、供給バルブ400が閉じられる。供給ポンプ98が所定時間動作し、所定量の液体洗剤が洗剤供給路95に溜まる。このときの洗剤の供給量が標準量となる。標準量は、洗剤タンク91に収容される洗剤の種類に応じて変更され得る。
【0080】
次に、第1三方バルブ93が、サブ給水路94を洗剤供給路95に連通させる状態に切り替えられ、サブバルブ83が開かれる。水道栓からの水が、サブ給水路94、第1三方バルブ93を通って洗剤供給路95へと流れ、液体洗剤を押し流す。水と液体洗剤とが混合されて洗浄水となる。図2の太線矢印に示すように、洗浄水は、洗浄水供給路97を通り、貯留タンク60内に流入する。
【0081】
貯留タンク60内の水位が満水状態の水位に達したことが水位検出部620により検出されると、サブバルブ83が閉じられる。こうして、自動投入機構90からの洗浄水の供給により、貯留タンク60内に所定の水量および所定の洗剤濃度の洗浄水が溜められる。
【0082】
次に、供給バルブ400が開かれる。貯留タンク60内の洗浄水が、供給ノズル500を通って放出口501から貯水槽210内に放出される。貯水槽210内に洗浄水が溜められ、貯水槽210内の水位が上昇する。図8の一点鎖線のように、貯水槽210内の水位が放出口501の高さまで上昇し、放出口501が洗浄水で塞がれると、貯留タンク60内の空気圧と外部の空気圧とが釣り合う。これにより、供給バルブ400が開かれた状態のままで、貯留タンク60からの給水が停止する。貯留タンク60内には、満水時の3分の1程度の洗浄水が残る。超音波発生体110の先端が水面に触れる。
【0083】
貯水槽210内に洗浄水が溜められると、ユーザは、被洗浄物の汚れの付着部分を、貯水槽210と超音波発生体110の振動ホーン112との間にセットする。被洗浄物の汚れの付着部分が洗浄水に浸され、被洗浄物の内部に浸透した洗浄水が表面に浸み出す。被洗浄物の表面には薄い水の層が形成され、この水の層に振動ホーン112が接触する状態となる。
【0084】
被洗浄物が吸水することにより、貯水槽210内の水量が減少して水位が下がり、供給ノズル500の放出口501が洗浄水で塞がれなくなると、放出口501が再び洗浄水で塞がれるまで貯留タンク60から貯水槽210内に洗浄水が補給される。これにより、貯水槽210内の水位、即ち水量が適正な状態に維持される。
【0085】
供給バルブ400が開かれた後に所定の待機時間が経過すると、超音波振動子111に通電が行われて超音波発生体110が作動する。振動ホーン112の先端から超音波が発生し、超音波の作用によって被洗浄物から汚れが剥離する。この際、洗剤の力が加わることにより、洗浄力が高まる。
【0086】
超音波発生体110が動作を開始してから、所定の運転時間、たとえば3分が経過すると、超音波発生体110の動作が停止され、洗浄運転が終了する。
【0087】
ユーザは、図3(b)および(c)のように、超音波洗浄装置50の超音波洗浄部100および貯水部200を収納部17に収納する。図7に示すように、弁可動部材230が、排水受け部70の後壁に当接して前方へ移動する。これにより、弁体220が前方へ移動し、排水口211が開放される。排水口211が開放されると、貯水槽210内の洗浄水が排水受け部70へ排出される。排水受け部70に排出された洗浄水は、排出孔71から排出され、排水パイプ72、溢水パイプ26および排水ホース41を流れて、機外へ排出される。このとき、供給バルブ400は開放されており、貯留タンク60に残った洗浄水も貯水槽210等を経由して機外へ排出される。
【0088】
ところで、吸水性の高い複数の被洗浄物が一度に洗浄された場合などに、1回分の貯水量では洗浄運転が終了するまでに貯留タンク60内が空になってしまい、貯水槽210内の洗浄水が不足する事態になる虞がある。洗浄水が不足することにより、被洗浄物へ十分に洗浄水が浸透できなくなると、被洗浄物に含まれる洗浄水が超音波発生体110の振動ホーン112の先端に接触しなくなるため、超音波が洗浄水に伝播せず、被洗浄物の洗浄効果が発揮されにくくなる。
【0089】
そこで、本実施の形態では、制御部701により洗浄水の補給処理が実行される。これにより、超音波発生体110の動作による洗浄が行われている間に必要なタイミングで貯留タンク60内へ洗浄水が補給される。
【0090】
補給処理において、制御部701は、超音波発生体110の動作中にサーミスタ140により検出された温度に基づいて、貯水槽210内に水を補給するために給水ユニット80に貯留タンク60内への水の供給を行わせる。さらに、制御部701は、超音波発生体110の動作が開始されてから所定時間である補給時間が経過したことに基づいて、給水ユニット80に貯留タンク60内への水の供給を行わせる。
【0091】
図11は、貯留タンク60への洗浄水の補給処理を示すフローチャートである。
【0092】
洗浄運転が開始されると補給処理が開始される。制御部701は、まず、サーミスタ140により、動作前の超音波発生体110の温度を、基準温度T1として検出する(S101)。その後、超音波振動子111への通電が行われて超音波発生体110が作動すると(S102:YES)、制御部701は、サーミスタ140により、動作中の超音波発生体110の温度T2を検出する(S103)。そして、制御部701は、温度T2と基準温度T1との差分を、基準温度T1に対する温度上昇値ΔTとして算出する(S104)。
【0093】
次に、制御部701は、温度上昇値ΔTが閾値を超えているか否かを判定する(S105)。貯水槽210内の洗浄水が不足しておらず、被洗浄物へ十分に洗浄水が浸透している場合、被洗浄物に含まれる洗浄水に超音波発生体110の振動ホーン112の先端に接触するため、超音波発生体110が洗浄水により冷却される。これにより、超音波発生体110の温度はあまり上昇せず、温度上昇値ΔTは閾値を超えない。
【0094】
制御部701は、温度上昇値ΔTが閾値を超えていない場合(S105:NO)、補給時間の経過に基づく貯留タンク60内への洗浄水の補給が完了しているか否かを判定する(S106)。そして、制御部701は、補給時間の経過に基づく補給が完了していない場合、超音波発生体110の動作が開始してから補給時間が経過したか否かを判定する(S107)。補給時間は、たとえば、1分に設定され、制御部701に設けられた、図示しないタイマーにより計時される。
【0095】
制御部701は、補給時間が経過していなければ(S107:NO)、S103の処理に戻り、温度T2を検出して温度上昇値ΔTを算出し、温度上昇値ΔTが閾値を超えたか否かを監視しながら、補給時間が経過するのを待つ(S103~S107)。
【0096】
その後、制御部701は、温度上昇値ΔTが閾値を超えることなく補給時間が経過すると(S107:YES)、給水ユニット80を動作させて、水位検出部620が満水状態の水位を検出するまで、貯留タンク60内に洗浄水を供給する(S108)。このとき、自動投入機構90により、洗浄運転の開始時と同じ標準量の洗剤が供給される。また、供給バルブ400は、貯留タンク60内への洗浄水の供給中は閉鎖され、供給が完了すると開放される。
【0097】
上述のように、被洗浄物に吸収される洗浄水が多くなった場合、補給時間が経過する前に、貯留タンク60内が空になって、貯水槽210内の洗浄水が不足することが起こり得る。このようになった場合、被洗浄物へ十分に洗浄水が浸透できなくなり、被洗浄物に含まれる洗浄水が超音波発生体110の振動ホーン112の先端に接触しなくなる。これにより、超音波発生体110が洗浄水により冷却されなくなるため、超音波発生体110の温度が上昇し、温度上昇値ΔTが閾値を超える。
【0098】
制御部701は、温度上昇値ΔTが閾値を超えた場合(S105:YES)、給水ユニット80を動作させて、水位検出部620が満水状態の水位を検出するまで、貯留タンク60内に洗浄水を供給する(S109)。このとき、自動投入機構90により、標準量の洗剤が供給される。
【0099】
なお、供給バルブ400は、貯留タンク60内への洗浄水の供給中は閉鎖され、供給が完了すると開放される。さらに、貯留タンク60内に洗浄水が供給されている間、超音波発生体110の動作は中断され、運転時間の計時も中断される。
【0100】
制御部701は、補給時間の経過に基づく補給が完了した後は(S106:YES)、温度T2を検出して温度上昇値ΔTを算出し、温度上昇値ΔTが閾値を超えたか否かを監視しながら、運転時間の経過により超音波振動子111への通電が停止されて超音波発生体110の動作が停止されるのを待つ(S103~S106、S110)。
【0101】
そして、制御部701は、超音波発生体110の動作が停止されると(S110:YES)、補給処理を終了する。
【0102】
なお、稀ではあるものの、補給時間の経過に基づく補給が完了した後、超音波発生体110の動作が停止されるまでの間に、再度、貯留タンク60内が空になって、貯水槽210内の洗浄水が不足することも起こり得る。この場合、温度上昇値ΔTが閾値を超えるため(S105:YES)、制御部701は、給水ユニット80を動作させて貯留タンク60内に洗浄水を供給する(S109)。
【0103】
上記補給処理の他、制御部701は、超音波発生体110の動作中に、サーミスタ140により、超音波発生体110に異常な発熱が生じたか否かを監視している。超音波発生体110の発熱量が多く、サーミスタ140により検出された温度が上限温度に到達すると、制御部701は、超音波発生体110の動作を停止させる。
【0104】
<実施の形態の効果>
以上、本実施の形態によれば、超音波発生体110の動作中にサーミスタ140により検出された温度に基づいて、貯水槽210内の洗浄水が不足していると見做される場合に、貯水槽210内に洗浄水を補給するために給水ユニット80から貯留タンク60へ洗浄水の供給が行われる。これにより、水不足により被洗浄物の洗浄効果が発揮されないままの状態で洗浄運転が行われることを抑制できる。
【0105】
また、本実施の形態によれば、超音波発生体110の動作前にサーミスタ140により基準温度T1が検出され、超音波発生体110の動作中にサーミスタ140により検出された温度T2から基準温度T1に対する温度上昇値ΔTが求められ、温度上昇値ΔTが閾値を超えた場合に給水ユニット80による洗浄水の供給が行われる。このように、温度上昇値ΔTが用いられるより、周囲温度等により変化し得る超音波発生体110の動作前の温度に影響されにくくなるので、精度よく洗浄水不足を判定して給水ユニット80による洗浄水の補給を行うことができる。
【0106】
さらに、本実施の形態によれば、超音波発生体110の動作が開始されてから補給時間が経過したことに基づいて給水ユニット80から貯留タンク60へ洗浄水の供給が行われるので、貯水槽210内の洗浄水が不足する前に、貯留タンク60へ洗浄水を補給することが可能となる。また、補給時間の経過に基づく洗浄水の補給が行われる前に貯水槽210内が洗浄水不足になっても、そのときには、サーミスタ140の検出温度に基づく洗浄水の補給が行われるので、補給時間の経過に基づく洗浄水の補給の頻度を少なくでき、たとえば、本実施の形態ように1回にでき、洗浄運転の後に貯留タンク60内に多くの洗浄水が残ってしまうことを抑制できる。
【0107】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態によって何ら制限されるものではなく、また、本発明の実施の形態も、上記以外に種々の変更が可能である。
【0108】
<変更例1>
図12は、変更例1に係る、貯留タンク60への洗浄水の補給処理を示すフローチャートである。
【0109】
上記実施の形態では、自動投入機構90による洗剤の供給量(以下、「洗剤量」という)が、検出温度に基づく洗浄水の補給(S109)の場合と補給時間の経過に基づく洗浄水の補給(S108)の場合とで一定とされ、標準量とされた。
【0110】
変更例1では、検出温度に基づく洗浄水の補給の場合と補給時間の経過に基づく洗浄水の補給の場合のそれぞれに応じた洗剤量の設定が行われる。
【0111】
図12を参照して、制御部701は、温度上昇値ΔTが閾値を超えた場合(S105:YES)、洗剤量を標準量に設定した後に(S111)、給水ユニット80を動作させて、貯留タンク60内に洗浄水を供給する(S109)。自動投入機構90により標準量の洗剤が供給される。
【0112】
一方、制御部701は、補給時間が経過した場合(S107:YES)、サーミスタ140の検出温度に基づく洗浄水の補給が行われたか否かを判定する(S112)。
【0113】
貯留タンク60が空になると検出温度に基づく補給が行われるため、時間経過に基づく補給が行われる前に検出温度に基づく補給が行われたか否かによらず、補給時間が経過したときには、貯留タンク60内に洗浄水が残っている可能性が極めて高い。さらに、時間経過に基づく補給が行われる前に検出温度に基づく補給が行われた場合は、行われない場合よりも貯留タンク60内に多くの洗浄水が残っている可能性が極めて高い。よって、貯留タンク60内が満水状態となったときに洗浄水中の洗剤濃度が同等となるためには、時間経過に基づく洗浄水の補給の場合の方が、検出温度に基づく洗浄水の補給の場合よりも洗剤量は少なくてよく、時間経過に基づく補給が行われる前に検出温度に基づく補給が行われた場合は、さらに洗剤量が少なくてよい。
【0114】
よって、制御部701は、検出温度に基づく洗浄水の補給が行われていなかった場合(112:NO)、洗剤量を、標準量より少ない第1量に設定した後に(S113)、給水ユニット80を動作させて、貯留タンク60内に洗浄水を供給する(S108)。自動投入機構90により第1量の洗剤が供給される。一方、制御部701は、検出温度に基づく洗浄水の補給が行われていた場合(112:YES)、洗剤量を、第1量より少ない第2量に設定した後に(S114)、給水ユニット80を動作させて、貯留タンク60内に洗浄水を供給する(S108)。自動投入機構90により第2量の洗剤が供給される。
【0115】
変更例1の構成によれば、時間経過に基づく洗浄水の補給が行われるときの洗剤量が、検出温度に基づく洗浄水の補給が行われるときの洗剤量より少なくされるので、洗剤が無駄に使用されることを抑制できる。さらに、時間経過に基づく洗浄水の補給が行われるときに既に検出温度に基づく洗浄水の補給が行われていれば、行われていないときよりも洗剤量が少なくされるので、洗剤が無駄に使用されることを、一層抑制できる。
【0116】
<その他の変更例>
上記実施の形態では、超音波発生体110が動作する前に、サーミスタ140により基準温度T1が検出された。しかしながら、超音波発生体110が動作した直後など、動作してから初期の時点に、サーミスタ140により基準温度T1が検出されてもよい。この時点では、超音波発生体110の温度がその動作前とほぼ変わらない。
【0117】
また、上記実施の形態では、超音波発生体110の動作中にサーミスタ140により検出された温度T2と、基準温度T1とから温度上昇値ΔTが求められ、温度上昇値ΔTが、洗浄水の不足を判定するための閾値、即ち閾値となる温度上昇値を超えたことに基づいて、貯留タンク60内への洗浄水の補給が行われた。しかしながら、サーミスタ140により検出された温度T2が、洗浄水の不足を判定するための閾値、即ち閾値となる温度値を超えたことに基づいて、貯留タンク60内への洗浄水の補給が行われてもよい。
【0118】
さらに、上記実施の形態では、補給処理において、超音波発生体110が動作している間に、補給時間の経過に基づく洗浄水の補給が1回行われた。しかしながら、補給時間の経過に基づく洗浄水の補給が2回以上行われてもよい。さらには、補給処理において、補給時間の経過に基づく洗浄水の補給が行われず、サーミスタ140の検出温度に基づく洗浄水の補給のみが行われてもよい。
【0119】
さらに、上記実施の形態では、サーミスタ140は、固定部材130の保持部131に保持されることにより超音波発生体110の周囲に配置された。しかしながら、サーミスタ140を超音波発生体110の周囲に配置するための構成は、上記の構成に限られず、如何なるものであってもよい。
【0120】
さらに、上記実施の形態では、貯留タンク60が、供給バルブ400を挟んで第1タンク61と第2タンク62に分けられるような構成とされた。しかしながら、貯留タンク60は、洗浄水を貯留できれば、如何なる構成であってもよい。
【0121】
さらに、上記実施の形態では、貯留タンク60が設けられたが、貯留タンク60が設けられず、給水ユニット80から貯水槽210へ、直接、洗浄水が供給される構成が採られてもよい。
【0122】
さらに、上記実施の形態では、水に洗剤が混入されてなる洗浄水が、給水ユニット80により貯留タンク60に供給されて貯水槽210内に溜められた。しかしながら、洗剤が混入されていない水が、給水ユニット80により貯留タンク60に供給されて貯水槽210内に溜められてもよい。
【0123】
さらに、上記実施の形態において、自動投入機構90は、洗剤と柔軟剤とを自動投入可能な構成とされてもよい。この場合、液体の柔軟剤を収容する柔軟剤タンクが設けられる。柔軟剤タンクは、供給パイプと三方バルブとを介して、サブ給水路94に繋がる。すすぎ工程の際、洗剤タンク91からの洗剤の供給と同様な動作により、柔軟剤タンク内の柔軟剤が洗濯脱水槽22内へ供給される。
【0124】
さらに、給水ユニット80および自動投入機構90の構成は、上記実施の形態に限られない。給水ユニット80は、洗濯脱水槽22と貯留タンク60に給水が行えれば、如何なる構成であってもよいし、自動投入機構90は、洗濯脱水槽22と貯留タンク60に洗剤を供給できれば、如何なる構成であってもよい。
【0125】
さらに、上記実施の形態では、超音波洗浄装置50が全自動洗濯機1に備えられる。しかしながら、超音波洗浄装置50が、全自動洗濯機1以外の洗濯機、たとえば、ドラム式洗濯機に備えられてもよい。また、超音波洗浄装置50が、たとえば、乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機やドラム式洗濯乾燥機に備えられてもよい。ドラム式洗濯機およびドラム式洗濯乾燥機では、外槽内に、内槽であるドラムが配置される。
【0126】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0127】
1 全自動洗濯機(洗濯機)
50 超音波洗浄装置
60 貯留タンク(貯留部)
80 給水ユニット(給水部)
90 自動投入機構(洗剤供給部)
110 超音波発生体
140 サーミスタ(温度検出部)
210 貯水槽
701 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12