(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102131
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布
(51)【国際特許分類】
D04H 1/46 20120101AFI20220630BHJP
D04H 3/16 20060101ALI20220630BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
D04H1/46
D04H3/16
B32B27/12
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216683
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】517247365
【氏名又は名称】衛普實業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】林 甫駿
(72)【発明者】
【氏名】廖 炳森
(72)【発明者】
【氏名】蔡 亞▲トン▼
(72)【発明者】
【氏名】王 聰嘉
(72)【発明者】
【氏名】王 秋迪
【テーマコード(参考)】
4F100
4L047
【Fターム(参考)】
4F100AA08B
4F100AJ05A
4F100AK01B
4F100AK04A
4F100AK07A
4F100AK09A
4F100AK12A
4F100AK21A
4F100AK51A
4F100AL01A
4F100AT00C
4F100BA02
4F100BA03
4F100BA05
4F100BA13B
4F100DE01B
4F100DG15A
4F100EH20B
4F100EH46C
4F100GB66
4F100JB09C
4F100JD02B
4F100JD04
4F100JD04C
4F100YY00A
4F100YY00B
4L047AA14
4L047AA16
4L047AA21
4L047AA25
4L047AB02
4L047AB03
4L047AB07
4L047BA03
4L047BA04
4L047BA09
4L047CA06
4L047CA19
4L047CB08
4L047CC03
(57)【要約】
【課題】表面は水滴を通さず、一方で気体を排出できる血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布を提供すること。
【解決手段】多層通気性フィルム101が不織布201の一面に貼合され、不織布201の目付が≦70g/m
2であり、多層通気性フィルム101が少なくとも3層の共押出しフィルムであり、目付が5~30g/m
2であり、多層通気性フィルム101中の粉体1014の重量含有率が40~60%、ドラフト倍率が≦300%であり、血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布は、合成血液浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、Phi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、透湿度が≧1500g/m
2・24hrであり、粉体1014は、平均粒径が0.5~3μmであり、炭酸カルシウムが用いられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布であって、不織布と、多層通気性フィルムを含み、
前記不織布が2つの表面を備え、目付が≦70g/m2であり、
前記多層通気性フィルムが少なくとも3層の共押出しフィルムであり、目付が5~30g/m2であり、前記多層通気性フィルムが前記不織布のうちの一表面上に貼合され、前記多層通気性フィルム中の粉体の重量含有率が40~60%、ドラフト倍率が≦300%であり、
前記血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の合成血液浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、
前記血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布のPhi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、
透湿度が≧1500g/m2・24hrであり、
前記多層通気性フィルム中の粉体の平均粒径が0.5~3μmであり、かつ
前記粉体に炭酸カルシウム(CaCO3)が用いられる、
ことを特徴とする、血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布。
【請求項2】
前記不織布が、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布の少なくとも1つである、ことを特徴とする、請求項1に記載の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布。
【請求項3】
前記不織布の繊維直径が0.5~40μmである、ことを特徴とする、請求項1に記載の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布。
【請求項4】
前記不織布の繊維材料が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、綿、ポリウレタン、スチレン(Styrene)―エチレン(Ethylene)/ブチレン(Butylene)―スチレン(Styrene)共重合体の少なくとも1つである、ことを特徴とする、請求項1に記載の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布。
【請求項5】
前記多層通気性フィルムが3層の共押出しフィルムであり、その層厚の比が1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1または1:5:1である、ことを特徴とする、請求項1に記載の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布。
【請求項6】
前記多層通気性フィルム中の粉体の重量含有率が40~60%であり、多層通気性フィルムの透湿度が≧1500g/m2・24hrである、ことを特徴とする、請求項1に記載の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布。
【請求項7】
前記血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の目付が40~100g/m2であり、透湿度が≧1500g/m2・24hrである、ことを特徴とする、請求項1に記載の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布。
【請求項8】
前記血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の多層通気性フィルム中の粉体の平均粒径が2μmであり、多層通気性フィルムの透湿度が≧1500g/m2・24hrである、ことを特徴とする、請求項1に記載の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布。
【請求項9】
前記血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の多層通気性フィルムの表面に、少なくとも1層の透湿防水コーティング層が塗布され、全体の透湿度が≧1500g/m2・24hrである、ことを特徴とする、請求項1に記載の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布。
【請求項10】
前記透湿防水コーティング層が、水性ポリウレタン(waterborne polyurethane)及び油性ポリウレタン(solventborne polyurethane)の少なくとも1つが選択的に用いられる、ことを特徴とする、請求項9に記載の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルスや細菌の伝染を防ぎ、血液及び感染浮遊飛沫エアロゾルを遮断するレベルP3(CNS14798)医療用防護服用として好適な血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布に関する。
【背景技術】
【0002】
パンデミックの発生時、医療用防護装備の需要が短期間に急増すると、医療用防護装備の価格も上昇し、各国は防護服やマスクなど防護装備の不足問題に注目し始める。
その中でも防護服には高い遮断性、透湿性、防水性、軽量で強靭なフィルム材料が要求される。EUのEN14126、米国のAAMI、台湾のCNS等の規格では、ウイルスや細菌の防疫用防護服の規格があるが、一般的なレベルP3(CNS14798)医療用防護服は通気性が悪く、着用感の良好な防護服の開発が待たれている。
【0003】
また、単層の通気性フィルムでは、孔の通気経路が短いと、ウイルスを遮断することができず、厚みを増して通気経路を長くすると、高い通気性が得られないという問題があった。
市販の防護服はまだ最適化した効果を達成することができていないため、防護服着用者の快適性が欠け、長時間着用することができない。伝染病発生時の防護服の需要が高まったとき、医療従事者は防護服を長時間着用する必要があるため、新世代の防護服は、防護性の面で一定の効果を維持しながら、快適性を向上することが今後の開発課題となる。
【0004】
従来、通気性複合シート材料を用いた研究には、例えば特許文献1に開示されているものがある。
これは、トップシートと、バックシートと、トップシートとバックシートの間にある吸収性芯とを有する吸収性物品に関するものである。バックシートは、水蒸気透過性で、実質的に液体不透過性である複合シート材料を含んでなり、複合材料シートは、水蒸気透過性熱可塑性フィルムに接着された、粉末接着された不織ウェブを包含する。不織ウェブは、ウェブの接着に使用される接着剤と相容性がある繊維を主として含んでなる第一層、および繊維の混合物(繊維の中には、接着剤および熱可塑性フィルムと相容性がある繊維と、相容性が無い繊維がある)を含んでなる第二層を包含する。
【0005】
また、透湿性フィルムについての研究があり、例えば特許文献2には、通気性、透湿性、機械強度および実用性は維持しつつ、耐透液性に優れた透湿性フィルムを開示している。
この透湿性フィルムは、融解ピーク温度が130~150℃で密度0.940~0.970g/cm3のポリエチレン樹脂を含むポリエチレン樹脂組成物(A)と、無機充填材(B)と、スチレン系エラストマー(C)を含み、前記ポリエチレン樹脂組成物(A)と無機充填材(B)の合計100質量部に対して前記スチレン系エラストマー(C)を1~20質量部添加した樹脂組成物からなり、滲み出し面積が5%未満の透湿性フィルムである。
【0006】
また、抗菌化合物を有する布地の製造方法についての研究がある。例えば、特許文献3には、該抗菌化合物を布地材料に化学的に結合又は付着させて製造する方法を開示している。
この処理済み布地材料は、それ自体で消毒剤又は減菌剤として機能し、洗浄耐久性及び非浸出特性も呈する。そのうち、使用する液剤は1以上の抗菌剤を含み、この処理済み布地材料を熱処理するステップを含む。
【0007】
さらに、血液バリア性とウイルスバリア性のある複合繊維コーティング層についての研究がある。
例えば、特許文献4には、不織繊維(可溶性繊維の完全に圧延したものが好ましい)と、該繊維の少なくとも一方の表面上にあり、かつ優れた通気性、良好な耐摩耗性を有し、血液およびウイルス剤の両方に対する保護を提供する、単片の通気性ポリマー層を含む複合繊維を開示している。
この複合繊維は、繊維状基材織物上の単片コーティング層を含み、該複合繊維がMVTR 1500g/m2/日以上であり、ASTM F1670血液バリア性試験とASTM F1671ウイルスバリア性試験の両者に合格している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】台湾特許第089110815号明細書
【特許文献2】台湾特許第102144782号明細書
【特許文献3】台湾特許第105106057号明細書
【特許文献4】台湾特許第099118884号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、高い透湿性を備え、同時に血液とウイルスの浸透を防止する、つまり、表面は水滴を通さず、一方で気体を排出できる血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布は、不織布と、多層通気性フィルムを含み、前記不織布が2つの表面を備え、目付が≦70g/m2であり、前記多層通気性フィルムが少なくとも3層の共押出しフィルムであり、目付が5~30g/m2であり、前記多層通気性フィルムが前記不織布のうちの一表面上に貼合され、前記多層通気性フィルム中の粉体の重量含有率が40~60%、ドラフト倍率が≦300%であり、前記血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の合成血液浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、前記血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布のPhi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、透湿度が≧1500g/m2・24hrであり、前記多層通気性フィルム中の粉体の平均粒径が0.5~3μmであり、かつ前記粉体に炭酸カルシウム(CaCO3)が用いられる。
【0011】
前記不織布は、スパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布の少なくとも1つである。
【0012】
前記不織布の繊維直径は0.5~40μmである。
【0013】
前記不織布の繊維材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、綿、ポリウレタン、スチレン(Styrene)―エチレン(Ethylene)/ブチレン(Butylene)―スチレン(Styrene)共重合体の少なくとも1つである。
【0014】
前記多層通気性フィルムは3層の共押出しフィルムであり、その層厚の比が1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1または1:5:1である。
【0015】
前記多層通気性フィルム中の粉体の重量含有率が40~60%であり、前記多層通気性フィルムの透湿度が≧1500g/m2・24hrである。
【0016】
前記血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の目付が40~100g/m2であり、透湿度が≧1500g/m2・24hrである。
【0017】
前記血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の多層通気性フィルム中の粉体の平均粒径が2μmであり、前記多層通気性フィルムの透湿度が≧1500g/m2・24hrである。
【0018】
前記血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の多層通気性フィルムの表面に、少なくとも1層の透湿防水コーティング層が塗布され、全体の透湿度が≧1500g/m2・24hrである。
【0019】
前記透湿防水コーティング層が、水性ポリウレタン(waterborne polyurethane)及び油性ポリウレタン(solventborne polyurethane)の少なくとも1つが選択的に用いられる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、不織布の表面に貼合される多層通気性フィルムは、共押出の3層構造であって血液及びウイルス遮断効果を備え、透湿性が高く、防護服等とした場合に着用時の快適性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例を示す血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の断面図である。
【
図2】本発明の別の実施例を示す血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
この技術分野を熟知した者であれば本明細書に開示された内容から本発明のその他利点と効果を容易に理解できるであろう。本発明は、以下に説明する実施例に限定されないことは勿論であり、本発明の要旨を逸脱することなく、各種の修飾及び変更が可能である。
【0023】
図1は、本発明の実施例を示す血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の断面図である。
本発明の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布は、不織布201と、多層通気性フィルム101を含む。
【0024】
不織布201は、2つの表面を備え、不織布201の目付が≦70g/m2である。
多層通気性フィルム101は少なくとも3層の共押出しフィルムであり、多層通気性フィルム101の目付が5~30g/m2である。
多層通気性フィルム101は不織布201の一表面上に貼合される。
多層通気性フィルム101中の粉体1014の重量含有率が40~60%、ドラフト倍率≦300%である。
【0025】
血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の合成血液浸透性は圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布のPhi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、透湿度が≧1500g/m2・24hrである。
【0026】
多層通気性フィルム101中の粉体1014の平均粒径は0.5~3μmであり、粉体1014としては炭酸カルシウム(CaCO3)が用いられる。
【0027】
不織布201はスパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布の少なくとも1つである。
不織布201の繊維直径は0.5~40μmである。好ましくは、不織布201の繊維直径は2~5μmである。
不織布201の繊維材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、綿、ポリウレタン、スチレン(Styrene)―エチレン(Ethylene)/ブチレン(Butylene)―スチレン(Styrene)共重合体の少なくとも1つである。
【0028】
多層通気性フィルム101は3層の共押出しフィルムであり、その層厚の比は1:1:1、1:2:1、1:3:1、1:4:1または1:5:1である。
多層通気性フィルム101中の粉体1014の重量含有率は40~60%、多層通気性フィルム101の透湿度が≧1500g/m2・24hrである(CNS 12222)。
【0029】
血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布は、目付が40~100g/m2、透湿度が≧1500g/m2・24hrであり(CNS 12222)、耐水圧が≧140cmH2O、衝撃透過性が≦0.5g(CNS 14801)、引張強度縦方向が≧50N (ASTM D 5034)、引張強度横方向が≧40N (ASTM D 5034)、破裂強度が≧2000 kPa、縫合部強さが≧40N、引裂強度縦方向が≧20N (ASTM D 4533)、引裂強度横方向が≧20N (ASTM D 4533)であり、合成血液浸透性が圧力>13.8 kPaでの試験の結果不透過であり(CNS 14799)、及びウイルス浸透性が圧力>13.8 kPaでの試験の結果不透過であり(CNS 14800)、即ちCNS 14798国家標準レベルP3試験に合格している。
【0030】
その衝撃透過性の実験方法は、サンプルを傾斜45度の実験プラットフォームに固定し、実験プラットフォームから0.6メートルの距離にある漏斗状容器に500c.c.の水を入れ、布材の表面上に衝突させ、吸水紙で背面の水滴を吸い取った重さが≦0.5gであった。
【0031】
血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の多層通気性フィルム101中の粉体1014の平均粒径が2μm、透湿度が≧1500g/m2・24hrである(CNS 12222)。
【0032】
図2は、本発明の別の実施例を示す血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の断面図である。
別の実施例では、上記実施例のものに加えて、血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の多層通気性フィルム101の表面に少なくとも1層の透湿防水コーティング層301が塗布され、全体の透湿度が≧1500g/m
2・24hrである(CNS 12222)。
【0033】
透湿防水コーティング層301は水性ポリウレタン(waterborne polyurethane)及び油性ポリウレタン(solventborne polyurethane)の少なくとも1つが選択的に用いられる。
透湿防水コーティング層301の厚みは薄型化して塗布することができ、透湿防水コーティング層301の材料の使用量を減少できる。
透湿防水コーティング層301は耐擦傷性を備え、多層通気性フィルム101の表面印刷物の脱落を防止し、多層通気性フィルム101の耐温度寸法安定性向上を補助して、加工でヒートシール処理を行うとき製品歩留まりを高めることができる。
透湿防水コーティング層301は光沢面またはツヤ消し面の構造を選択的に用い、血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布の視覚効果を変化させることができる。
【0034】
本発明の効果について理解を促進するために、単層通気性フィルムを貼合した不織布の比較例を挙げる。
これは上記実施例と同じ不織布201と、単層通気性フィルムを含む。
不織布201は2つの表面を備え、不織布201の目付が≦70g/m2である。
単層通気性フィルムは押出しフィルムであり、該単層通気性フィルムの目付が5~30g/m2であり、該単層通気性フィルムが不織布201のうちの一表面上に貼合される。該単層通気性フィルム中の粉体1014は上記実施例の粉体1014と同じであり、粉体1014の重量含有率が40~60%、ドラフト倍率が≦300%である。
【0035】
この単層通気性フィルムを貼合した不織布の合成血液浸透性は圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、該単層通気性フィルムを貼合した不織布のPhi-X174バクテリオファージ浸透性の圧力2.0psiで1分間の持続に耐える試験結果がPhi-X174バクテリオファージ<1 PFU/mlであり、透湿度が≧1500g/m2・24hrである。単層通気性フィルム中の粉体1014の平均粒径は0.5~3μmであり、粉体1014としては炭酸カルシウム(CaCO3)が選択的に用いられる。
【0036】
不織布201はスパンレース不織布、ニードルパンチ不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布の少なくとも1つである。
不織布201の繊維直径は0.5~40μmである。好ましくは、不織布201の繊維直径は2~5μmである。
不織布201の繊維材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、綿、ポリウレタン、スチレン(Styrene)―エチレン(Ethylene)/ブチレン(Butylene)―スチレン(Styrene)共重合体の少なくとも1つである。
単層通気性フィルム中の粉体1014の重量含有率が40~60%、透湿度が≧1500g/m2・24hrである(CNS 12222)。
【0037】
単層通気性フィルムを貼合した不織布は、目付が40~100g/m2であり、透湿度が≧1500g/m2・24hr(CNS 12222)であり、耐水圧が≧140cmH2Oであり、衝撃透過性が≦0.5g(CNS 14801)、引張強度縦方向が≧50N (ASTM D 5034)、引張強度横方向が≧40N (ASTM D 5034)、破裂強度が≧2000 kPa、縫合部強さが≧40N、引裂強度縦方向が≧20N (ASTM D 4533)、引裂強度横方向が≧20N (ASTM D 4533)である。
該単層通気性フィルムを貼合した不織布の単層通気性フィルム中の粉体1014の平均粒径が2μm、透湿度が≧1500g/m2・24hrである(CNS 12222)。
【0038】
該単層通気性フィルムを貼合した不織布は、合成血液浸透性が圧力>13.8 kPaでの試験の結果不透過である(CNS 14799)が、ウイルス浸透性が圧力>13.8 kPaでの試験の結果透過がある(CNS 14800)と示され、即ち、CNS 14798国家標準レベルP3試験に合格しなかった。
【0039】
本発明の実施例における多層通気性フィルム101は、ウイルス遮断効果を備え、共押出の3層構造の通気性フィルムを有する。
図1に示すように、第1層通気性フィルム1011は最も外層でバクテリオファージ懸濁液に接触し、バクテリオファージ懸濁液の大部分を遮断する必要があるため、孔数が少なく、孔径分布が広く、膜厚が比較的厚く、薄膜表面が緻密で疎水特性を発揮して懸濁液を遮断する必要がある。
【0040】
第2層通気性フィルム1012は炭酸カルシウム粉が懸濁液で湿潤し、バクテリオファージが拡散して浸透する可能性があるので、接触したバクテリオファージ濃度を最低にするために、この層の粉体1014は細かさがより細かく、孔径はより小さくなっており、これにより湿潤浸透を回避する。
第3層通気性フィルム1013はすべてのウイルス透過を遮断する。粉体1014の寸法は遮断層と差異を大きくする必要があり、連続した孔の形成を回避することで、完全遮断の効果が達せられる。
【0041】
同時に、第1層通気性フィルム1011、第2層通気性フィルム1012、及び第3層通気性フィルム1013の内部に大径の孔、多くの微細孔を形成する設計も、これらの孔の蒸気圧により形成される透湿効果を高め、着用時の快適性を向上することができる。
多層通気性フィルム101は、各フィルム層の孔数、孔径及び膜厚等の規格設計により、最高レベルの防護性を有する血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布を開発する。
【0042】
本発明の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布は、血液及びウイルス遮断性の特徴を通じて、多層通気性フィルム101の各層の厚み、粉体1014の成分により、各層の融合流動特性を形成し、通気チャネルを一部遮断または延長することができる。
その材料成分と製造条件は上記実施例の説明で開示されており、かつ比較例と比較して格別な効果を備え、従来技術と差別化できる。このため、従来の欠点を改善し、使用上大きな実用性がある。
【0043】
以上をまとめると、本発明の実施例において開示された血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布は、血液及びPhi-X174バクテリオファージ浸透性が圧力2.0psiで1分間の持続に耐えることができ、透湿度が≧1500g/m2・24hrの防護服への応用に適している。また、防護服に応用した場合の軽量化、着用時の快適性という利点もある。本発明の血液及びウイルス遮断防水透湿複合不織布は、少なくとも3層の共押出しフィルムの多層通気性フィルムが不織布の表面に貼合され、通気チャネルを部分的に遮断または延長する。
【0044】
以上は、本発明の実施例の説明であり、これを以って本発明の権利範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない変化や修飾はすべて本発明の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0045】
101 多層通気性フィルム
1011 第1層通気性フィルム
1012 第2層通気性フィルム
1013 第3層通気性フィルム
1014 粉体
201 不織布
301 透湿防水コーティング層