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特開2022-102149電子デバイス積層体の洗浄テーブル、洗浄装置及び洗浄方法
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  • 特開-電子デバイス積層体の洗浄テーブル、洗浄装置及び洗浄方法 図1
  • 特開-電子デバイス積層体の洗浄テーブル、洗浄装置及び洗浄方法 図2
  • 特開-電子デバイス積層体の洗浄テーブル、洗浄装置及び洗浄方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102149
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】電子デバイス積層体の洗浄テーブル、洗浄装置及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20220630BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20220630BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20220630BHJP
   B08B 1/04 20060101ALI20220630BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
H01L21/304 648A
B08B3/02 A
B08B5/02 A
B08B1/04
H01L21/304 644E
H01L21/304 643B
H01L21/304 651B
H01L21/68 P
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216712
(22)【出願日】2020-12-25
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】502384945
【氏名又は名称】淀川メデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大江 智久
(72)【発明者】
【氏名】羽渕 浩三
(72)【発明者】
【氏名】寺野 翔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 健太
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
5F131
5F157
【Fターム(参考)】
3B116AA02
3B116AB01
3B116BA12
3B116BB21
3B116BB72
3B116BB88
3B201AA02
3B201AB01
3B201AB42
3B201BA12
3B201BB21
3B201BB72
3B201BB88
3B201BB92
5F131AA03
5F131AA12
5F131AA23
5F131AA32
5F131AA33
5F131BA37
5F131CA12
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA06
5F131EB01
5F157AA29
5F157AA36
5F157AA73
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB94
5F157AC01
5F157BA02
5F157BA07
5F157BA08
5F157BA14
5F157BA31
5F157CB11
5F157DA21
5F157DA42
(57)【要約】
【課題】電子デバイス側を濡らすことなく透明基材を洗浄するための電子デバイス積層体の洗浄テーブルを提供する。
【解決手段】本発明の洗浄テーブル10は、電子デバイス積層体50の透明基材52を洗浄する洗浄テーブルであって、前記電子デバイス積層体が、前記透明基材を表面として載置される載置面11を有し、前記載置面に形成され、前記電子デバイス積層体の外周端辺53の裏面側外周縁部54と対向する位置に形成される溝20と、前記溝の外周を構成し、前記電子デバイス積層体の外周端辺まで延びる外周壁22と、前記溝と連通し、前記溝にパージガスを送給するガス送給手段24と、を有し、前記外周壁は、前記電子デバイス積層体の前記裏面側外周縁部との間に隙間23を存して配置され、前記ガス送給手段から前記溝に送給された前記パージガスは、前記電子デバイス積層体の外周端辺と前記外周壁との間の前記隙間から吹き出される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスと、前記電子デバイスの一方の面に装着された透明基材を含む電子デバイス積層体の前記透明基材を洗浄する洗浄テーブルであって、
前記電子デバイス積層体が、前記透明基材を表面として載置される載置面を有し、
前記載置面に形成され、前記電子デバイス積層体の外周端辺の裏面側外周縁部と対向する位置に形成される溝と、
前記溝の外周を構成し、前記電子デバイス積層体の外周端辺まで延びる外周壁と、
前記溝と連通し、前記溝にパージガスを送給するガス送給手段と、
を有し、
前記外周壁は、前記電子デバイス積層体の前記裏面側外周縁部との間に隙間を存して配置され、
前記ガス送給手段から前記溝に送給された前記パージガスは、前記電子デバイス積層体の前記裏面側外周縁部に吹き付けられて、前記電子デバイス積層体の外周端辺と前記外周壁との間の前記隙間から吹き出される、
電子デバイス積層体の透明基材の洗浄テーブル。
【請求項2】
前記溝は、前記電子デバイス積層体の外周端辺よりも内側の裏面側外周縁部と対向する位置に形成される、請求項1に記載の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄テーブル。
【請求項3】
前記溝は、前記載置面を一周する、
請求項1又は請求項2に記載の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄テーブル。
【請求項4】
前記溝は、前記電子デバイス積層体の角部と対向する位置に外向きに延出した延出凹部を有する、
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄テーブル。
【請求項5】
前記外周壁は、前記電子デバイス積層体の前記裏面側外周縁部に対して接近離間可能であり、前記隙間の高さ調整が行なわれる、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄テーブル。
【請求項6】
前記載置面に開設された1又は複数の吸着孔と、
前記吸着孔からサクションガスを吸引するガス吸引手段と、
をさらに有する、
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄テーブル。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の洗浄テーブルと、
前記洗浄テーブルに載置された前記電子デバイス積層体の前記透明基材に洗浄液を吹き付ける吹付手段と、
を具える電子デバイス積層体の透明基材の洗浄装置。
【請求項8】
前記吹付手段に加えて研磨装置を具えており、前記研磨装置は、前記吹付手段により洗浄液を吹き付ながら前記透明基材の研磨を行ない、又は、一旦前記吹付手段により洗浄液を吹き付けた後、前記研磨装置によって前記透明基材の研磨を行ない、再度前記洗浄液を吹き付ける、
請求項7に記載の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄装置。
【請求項9】
電子デバイスと、前記電子デバイスの一方の面に装着された透明基材を含む電子デバイス積層体の前記透明基材を洗浄する洗浄方法であって、
前記電子デバイス積層体を、載置面と前記載置面の外周に溝が形成された洗浄テーブルに、前記透明基材が表面となるように載置し、
前記溝から、パージガスを前記電子デバイス積層体の外周端辺の裏面側外周縁部に吹き付け、前記電子デバイス積層体の前記外周端辺から吹き出しつつ、
前記透明基材に洗浄液を吹き付けて洗浄する、
電子デバイス積層体の透明基材の洗浄方法。
【請求項10】
前記溝は、前記電子デバイス積層体の外周端辺よりも内側の裏面側外周縁部に形成され、前記パージガスを前記電子デバイス積層体の前記外周端辺から吹き出す、
請求項9に記載の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄方法。
【請求項11】
洗浄中、前記電子デバイス積層体を前記裏面側外周縁部よりも内側で前記洗浄テーブルに吸着する、
請求項9又は請求項10に記載の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄方法。
【請求項12】
前記透明基材に前記洗浄液を吹き付けて洗浄する工程は、前記洗浄液を吹き付ながら前記透明基材の研磨を行ない、又は、一旦前記洗浄液を吹き付けた後、前記透明基材の研磨を行ない、再度前記洗浄液を吹き付ける工程である、
請求項9乃至請求項11の何れかに記載の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELディスプレイパネルなどの電子デバイスに透明基材を積層してなる電子デバイス積層体の透明基材を洗浄するための洗浄テーブル、洗浄装置及び洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、有機ELディスプレイ(OLED)、液晶パネル(LCD)などの電子デバイスは、発光層を正孔輸送層と電子輸送層で挟持すると共に、これらをさらに電極で挟み、導電性基板上に配置して構成される。導電性基板はフレキシブル基板であるから、電子デバイスを製造する際には、硬くて平坦性の高いガラスやプラスチック等からなる透明基材に電子デバイスを積層した電子デバイス積層体の形態としている。そして、透明基材を後工程にて、LLO(レーザーリフトオフ)等により電子デバイス積層体から剥離してOLEDパネルなどの電子デバイスが作製される。
【0003】
LLOでは、透明基材にレーザーを照射して、透明基材の剥離を行なっている。このとき、透明基材上に異物があるとレーザーが遮られてしまい、透明基材を上手く剥離できない。そこで、透明基材の表面に存在する異物を除去するための洗浄や研磨が必要になる。特許文献1は、段落0060で透明基材の洗浄方法を列挙しているが、具体的な洗浄方法を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6492140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
透明基材を効率良く洗浄するには、高圧の水噴射による水洗浄が好適である。しかしながら、電子デバイス側が水に濡れると性能低下してしまうため、電子デバイス側を濡らすことなく洗浄することが求められる。
【0006】
本発明は、電子デバイス側を濡らすことなく透明基材を水洗浄するための電子デバイス積層体の洗浄テーブル、洗浄装置及び洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄テーブルは、
電子デバイスと、前記電子デバイスの一方の面に装着された透明基材を含む電子デバイス積層体の前記透明基材を洗浄する洗浄テーブルであって、
前記電子デバイス積層体が、前記透明基材を表面として載置される載置面を有し、
前記載置面の外周に形成され、前記電子デバイス積層体の外周端辺の裏面側外周縁部と対向する位置に形成される溝と、
前記溝の外周を構成し、前記電子デバイス積層体の外周端辺まで延びる外周壁と、
前記溝と連通し、前記溝にパージガスを送給するガス送給手段と、
を有し、
前記外周壁は、前記電子デバイス積層体の前記裏面側外周縁部との間に隙間を存して配置され、
前記ガス送給手段から前記溝に送給された前記パージガスは、前記電子デバイス積層体の前記裏面側外周縁部に吹き付けられて、前記電子デバイス積層体の外周端辺と前記外周壁との間の前記隙間から吹き出される。
【0008】
前記溝は、前記電子デバイス積層体の外周端辺よりも内側の裏面側外周縁部と対向する位置に形成することが望ましい。
【0009】
前記溝は、前記載置面を一周する構成とすることができる。
【0010】
前記溝は、前記電子デバイス積層体の角部と対向する位置に外向きに延出した延出凹部を有することが望ましい。
【0011】
前記外周壁は、前記電子デバイス積層体の前記裏面側外周縁部に対して接近離間可能であり、前記隙間の高さ調整が行なわれる構成とすることが望ましい。
【0012】
前記載置面に開設された1又は複数の吸着孔と、
前記吸着孔からサクションガスを吸引するガス吸引手段と、
をさらに有する構成とすることができる。
【0013】
また、本発明の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄装置は、
上記記載の洗浄テーブルと、
前記洗浄テーブルに載置された前記電子デバイス積層体の前記透明基材に洗浄液を吹き付ける吹付手段と、
を具える。
【0014】
前記吹付手段に加えて研磨装置を具えており、前記研磨装置は、前記吹付手段により洗浄液を吹き付ながら前記透明基材の研磨を行ない、又は、一旦前記吹付手段により洗浄液を吹き付けた後、前記研磨装置によって前記透明基材の研磨を行ない、再度前記洗浄液を吹き付ける構成とすることができる。
【0015】
また、本発明の電子デバイス積層体の透明基材の洗浄方法は、
電子デバイスと、前記電子デバイスの一方の面に装着された透明基材を含む電子デバイス積層体の前記透明基材を洗浄する洗浄方法であって、
前記電子デバイス積層体を、載置面と前記載置面の外周に溝が形成された洗浄テーブルに、前記透明基材が表面となるように載置し、
前記溝から、パージガスを前記電子デバイス積層体の外周端辺の裏面側外周縁部に吹き付け、前記電子デバイス積層体の前記外周端辺から吹き出しつつ、
前記透明基材に洗浄液を吹き付けて洗浄する。
【0016】
前記溝は、前記電子デバイス積層体の外周端辺よりも内側の裏面側外周縁部と対向する位置に形成され、前記パージガスを前記電子デバイス積層体の前記外周端辺から吹き出すことで、より洗浄液残りなどが無く効果的に洗浄できる。
【0017】
上記洗浄方法は、洗浄中、前記電子デバイス積層体を前記裏面側外周縁部よりも内側で前記洗浄テーブルに吸着することが望ましい。
【0018】
前記透明基材に前記洗浄液を吹き付けて洗浄する工程は、前記洗浄液を吹き付ながら前記透明基材の研磨を行ない、又は、一旦前記洗浄液を吹き付けた後、前記透明基材の研磨を行ない、再度前記洗浄液を吹き付ける工程とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の洗浄テーブルによれば、電子デバイス積層体を載置面に載置し、透明基材に洗浄液を吹き付けることで透明基材の洗浄を好適に行なうことができる。このとき、電子デバイス積層体の外周端辺からパージガスを吹き出すことで、透明基材に吹き付けられた洗浄液は吹き飛ばされ、透明基材の裏面側にある電子デバイスに付着したり回り込んだりすることはなく、電子デバイスの水濡れを防止できる。また、載置面に形成された吸着孔からサクションガスを吸引して電子デバイス積層体を吸着させることで、電子デバイス積層体がパージガスによって載置面から浮いたり、位置ずれしたりすることはない。
【0020】
本発明の電子デバイス積層体の洗浄装置及び洗浄方法によれば、電子デバイスの水濡れを防止しつつ、透明基材を洗浄液で洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る洗浄テーブルに電子デバイス積層体を載置した状態を示す斜視図である。
図2図2は、電子デバイス積層体を載置した洗浄テーブルの外周縁部近傍の断面図である。
図3図3は、洗浄テーブルの角部近傍の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る洗浄テーブル10について、図面を参照しながら説明を行なう。
【0023】
図1は本発明の洗浄テーブル10に電子デバイス積層体50を載置した斜視図、図2は外周縁部近傍の断面図、図3は洗浄テーブル10の角部近傍の平面図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、本発明の洗浄テーブル10は、電子デバイス積層体50を上面に載置する台である。電子デバイス積層体50は、前掲のとおり、有機ELディスプレイ(OLED)、液晶パネル(LCD)などの電子デバイス51であり、たとえばフレキシブル基板に形成される。そして、可撓性を有する電子デバイス51は、製造の過程での撓み変形を防止し、取扱いを容易にするために硬くて平坦性の高いガラス(キャリアガラス)やプラスチック等からなる透明基材52に配置される。
【0025】
洗浄テーブル10は、電子デバイス積層体50を透明基材52が表面となるように載置して使用される。たとえば、洗浄装置(図示せず)では、図2示すように、洗浄テーブル10は、ジェットノズルの如き吹付手段(同じく図示せず)から吹き出された洗浄液40の直下を自走又はベルトコンベア等に載せられて移動し、上方から洗浄液40が吹き付けられて、透明基材52の表面が洗浄される。洗浄液はたとえば純水、洗剤、有機溶剤(アルコールやアセトンを含む)に界面活性剤等を加えたものを例示できる。
【0026】
本発明の洗浄テーブル10は、電子デバイス積層体50を載置し、周面からパージガス25を吹き出すことで電子デバイス積層体50の外周端辺を滴下する洗浄液を吹き飛ばすものである。電子デバイス積層体50について、図2に示すように外周端辺(端面)を符号53で示し、また、電子デバイス積層体50の裏面側であって、外周端辺53の一定幅を有する領域を裏面側外周縁部54と称する。
【0027】
洗浄テーブル10について詳述すると、図1に示すように、洗浄テーブル10は、電子デバイス積層体50の形状と略同一とすることができる。洗浄テーブル10は、一実施形態として、電子デバイス積層体50よりもやや小さい載置面11と、載置面11の外周に形成された溝20、及び、溝20を構成する外周壁22を有し、外周壁22の外形が電子デバイス積層体50の外形と略一致するようにしている。たとえば、図2に示すように、洗浄テーブル10は、載置面11を第1基体12とし、第1基体12の外周に溝構成体13を配置し、第1基体12の下方に第2基体14を配置した構成とすることができる。なお、洗浄テーブル10の構成はこれに限らず、一体物、或いは、図示以外の基体等から構成することもできる。
【0028】
洗浄テーブル10は、載置面11の外周、すなわち、電子デバイス積層体50の裏面側外周縁部54と対向する位置に溝20が形成される。溝20は、電子デバイス積層体50の裏面側外周縁部54の内側と対向する位置に形成することが好適である。当該溝20には、1又は複数箇所からブロワーなどのガス送給手段24により圧縮したパージガス25(たとえば空気:図2中矢印で示す)が送給される。溝20とガス送給手段24は配管等により適宜接続される。溝20は、電子デバイス積層体50の裏面側外周縁部54に沿って一周するよう形成することが望ましい。また、溝20の四隅部分、すなわち、電子デバイス積層体50の角部と対向する位置には、図3に示すように、溝20を外向きに延出した延出凹部21を有する形状とすることが望ましい。
【0029】
溝20の外周壁22は、その頂面と電子デバイス積層体50の裏面側外周縁部54との間に、図2に示すように、パージガス25が吹き出す隙間23が形成されている。図示の実施形態では、溝20は、内周壁を第1基体12の外周面とし、第1基体12の外周を囲む断面略L字状の枠体からなる溝構成体13の底部分が溝底、また、垂直部分が溝20の外周壁22を構成する。そして、望ましい実施形態として、溝20の外周壁22、すなわち溝構成体13は図2の矢印26に示すように上下に高さ調整可能な構成とする。後述するとおり、隙間23から吹き出すパージガス量やパージガス圧を調整するためである。溝構成体13の高さ調整はたとえばボルト締付量の調整や、バネとスペーサーを用いて行なうことができる。なお、溝構成体13は、長尺の杆体となるため、樹脂ではなくアルミ製やステンレス鋼製とすることが好適である。
【0030】
また、洗浄テーブル10の載置面11には、図2に示すように、電子デバイス積層体50よりもやや小さく形成される。載置面11には、図2及び図3に示すように、1又は複数の吸着孔30が開設されている。これら吸着孔30は図2に示すように、ポンプなどのガス吸引手段32に配管等を介して連繋される。そして、サクションガス33によって載置面11上の電子デバイス積層体50は吸引され、載置面11に吸着固定される。図示の実施形態では、吸着孔30は、第1基体12に略垂直に貫通開設されており、第2基体14の上面に凹設された連通溝31によってガス吸引手段32と接続されている。載置面11を構成する第1基体12は、電子デバイス積層体50の傷付き等を防止するため、樹脂製とすることが好適である。
【0031】
然して、上記構成の洗浄テーブル10は、載置面11に図1に示すように、電子デバイス積層体50を電子デバイス51が下面、透明基材52が上面となるように配置する。電子デバイス積層体50は、図2に示すように、裏面側外周縁部54が溝20及び溝20の外周壁22と対向し、内周側が吸着孔30と対向するよう載置される。
【0032】
この状態で、ガス送給手段24からパージガス25を送給すると共に、ガス吸引手段32からサクションガス33の吸引を行なう。ガス送給手段24から送給されたパージガス25は、図2に示すように、溝20から溝20の外周壁22と電子デバイス積層体50の裏面側外周縁部54との間に形成された隙間23から吹き出される。なお、溝20の四隅部分は、屈曲しているためパージガス25の吹出量が減少してしまうことがあるが、図3に示すように、溝20を外向きに延出した延出凹部21を有する形状とすることで、四隅部分からのパージガス25aを増やして、吹出量の一定化を図ることができる。
【0033】
パージガス圧によって電子デバイス積層体50は洗浄テーブル10から浮き上がり、位置ずれ等することがある。これに対し、本実施形態では、載置面11に吸着孔30を開設し、ガス吸引手段32により吸着孔30から吸引されるサクションガス圧により、電子デバイス積層体50を載置面11に吸着しているから、電子デバイス積層体50の浮き上がりや位置ずれを防止できる。
【0034】
この状態で、洗浄装置の吹付手段から図2に矢印40で示すように洗浄液を透明基材52に吹き付ける。洗浄液40は高圧噴射により吹付手段から吹き出されることが好適である。これにより、透明基材52に付着した異物は除去される。異物の原因は、たとえば付着した糊(グルー)、樹脂、その他、搬送時のローラーの跡である。洗浄液40の水圧や水量は付着した異物に応じて増減できる。また、洗浄装置には、吹付手段に加えて研磨装置(ブラシまたは、研磨材入りパッドなどを回転して押し付ける装置)を追加することで透明基材52を研磨し、異物をより効果的に除去することもできる。研磨は、吹付手段により洗浄液40を吹き付ながら透明基材52を研磨、或いは、一旦洗浄液40を吹き付けた後、透明基材52の研磨を行ない、再度洗浄液40を吹き付ける等により行なうことができる。
【0035】
透明基材52に吹き付けられた洗浄液40は、透明基材52の外周に向けて移動し、電子デバイス積層体50の外周端辺53に滴下する。本発明では、洗浄テーブル10は、電子デバイス積層体50の裏面側から外周に向けてパージガス25を吹き出す構成としているから、滴下した洗浄液40は電子デバイス51に到達せず、また、電子デバイス51側に回り込むことなく吹き飛ばすことができる(図2中、符号40a)。故に、電子デバイス51を水濡れすることなく、透明基材52を洗浄液で洗浄することができる。
【0036】
上記したとおり、洗浄液40の水圧や水量は、付着した異物に応じて増減される。また、洗浄すべき電子デバイス積層体50の面積によっても使用される水量等は増減される。これに対し、ガス送給手段24から送給されるパージガス圧及びパージガス量を増減させることで、好適に洗浄液40を吹き飛ばすことができる。一方で、パージガス25が吹き出される溝20の外周壁22と電子デバイス積層体50の裏面側外周縁部54との間の隙間23を調整することで、吹き出すパージガス圧やパージガス量の調整を行なうことができる。たとえば、ガス送給手段24から送給されるパージガス圧やパージガス量では調整しきれない微調整を、隙間23の高さ調整することで制御することが望ましい。
【0037】
洗浄後は、電子デバイス積層体50は、洗浄テーブル10に載せたまま、或いは、洗浄テーブル10から移送して、電子デバイス積層体50の水切り、乾燥やLLO等の後工程に移ればよい。
【0038】
本発明によれば、洗浄液40は洗浄テーブル10から吹き出されるパージガス25により電子デバイス51の水濡れを防止できる。故に、透明基材52を洗浄液40により洗浄でき、透明基材52の異物を効果的に除去できるから、後工程のLLO等により透明基材52を剥離する際に、異物によってレーザーが遮られてしまうことを防止でき、製品精度向上を達成できる。
【0039】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或いは範囲を限縮するように解すべきではない。また、本発明の各部構成は、上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【0040】
一実施形態として、溝20の幅及び深さは3~10mm、外周壁22の厚さは5~30mm、隙間23は0.01~5mmである。また、吸着孔30の直径は0.1~1mm、ピッチは10~30mmである。これらは、電子デバイス積層体50の面積や洗浄液40の水圧、水量により適宜調整される。なお、吸着孔30は、パージガス25の影響を受ける外周側の直径を大きくし、吸着力を高める構成とすることができる。また、電子デバイス51の表示面となる部分を小径、非表示面となる部分をこれより大きい径とすることで、吸着孔30のサクションガス33により表示面に不具合が生じることを低減しつつ、所期の吸着力を具備できる。
【符号の説明】
【0041】
10 洗浄テーブル
11 載置面
20 溝
23 隙間
24 ガス送給手段
25 パージガス
30 吸着孔
32 ガス吸引手段
33 サクションガス
40 洗浄液
50 電子デバイス積層体
52 透明基材
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-10-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
電子デバイスと、前記電子デバイスの一方の面に装着された透明基材を含む電子デバイス積層体の前記透明基材を洗浄する洗浄テーブルであって、
記透明基材を表面として前記電子デバイス積層体が載置される載置面を有し、
前記載置面に形成され、前記電子デバイス積層体の外周端辺の裏面側外周縁部と対向する位置に形成される溝と、
前記溝の外周を構成し、前記電子デバイス積層体の外周端辺まで延びる外周壁と、
前記溝と連通し、前記溝にパージガスを送給するガス送給手段と、
を有し、
前記外周壁は、前記電子デバイス積層体の前記裏面側外周縁部との間に隙間を存して配置され、
前記ガス送給手段から前記溝に送給された前記パージガスは、前記電子デバイス積層体の前記裏面側外周縁部に吹き付けられて、前記電子デバイス積層体の外周端辺と前記外周壁との間の前記隙間から吹き出される、
電子デバイス積層体の透明基材の洗浄テーブル。