(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102196
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/38 20200101AFI20220630BHJP
H05B 45/325 20200101ALI20220630BHJP
【FI】
H05B45/38
H05B45/325
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216790
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】松岡 祥太
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273AA03
3K273BA38
3K273FA26
3K273FA33
3K273GA14
(57)【要約】
【課題】
図2の誤5に示す誤配線が発生し、充電媒体34に十分な電力が充電されていない状態では、点消灯スイッチ11に対するオンオフ操作に対応して照明用LED23が点消灯するので、照明用LED23は一見正常に作動する。ただし、本来点灯すべきではない非常用LED37が点灯するはずであるが、停電検知回路35が停電発生を検知しても非常用LED37が点灯しない。その場合には施工業者は誤5の誤配線の発生を認識できないという不具合が生じる。
【解決手段】照明用LED用のAC/DCコンバータに対して点滅信号を出力し、AC/DCコンバータの作動を断続的に作動させて上記照明用LEDを点滅させる点滅手段と、上記充電媒体に充電されている状態では上記点滅信号が上記AC/DCコンバータに入力されることを遮断する信号遮断手段を設けた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の交流電源から供給される電力で常時充電される充電媒体を備え、この充電媒体への充電電力が消失すると充電媒体に充電されている電力で点灯させる非常用LEDと、上記外部の交流電源から点消灯スイッチを介して供給される電力によって点灯する照明用LEDとを備えたLED照明装置であって、上記交流電源の両極に接続される2本のラインと、これら2本のラインの一方から上記点消灯スイッチを介して分岐される1本のラインの、合計3本のラインが接続されるものにおいて、上記照明用LEDを点灯させるAC/DCコンバータを備えると共に、このAC/DCコンバータに対して点滅信号を出力し、AC/DCコンバータの作動を断続的に作動させて上記照明用LEDを点滅させる点滅手段と、上記充電媒体に充電されている状態では上記点滅信号が上記AC/DCコンバータに入力されることを遮断する信号遮断手段を設けたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
上記点滅手段への電力供給は、上記照明用LEDを点灯させるAC/DCコンバータへの電源供給ラインから分岐して供給されることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
上記充電媒体は電気二重層コンデンサで構成されており、充電電力がゼロの状態から上記非常用LEDを点灯させるのに十分な電力が充電されるまでに数時間を要する充電速度で充電されるように設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部の交流電源に接続され、照明用LEDと非常用LEDとの2系統のLEDを備えており、停電発生時には充電しておいた電力によって非常用LEDを点灯させる機能を有するLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
外部の交流電源からの電力によってLEDを点灯させるLED照明装置では、交流電源から供給される電力で充電媒体に電力を充電しておき、停電が発生すると、その充電媒体に充電されている電力によって非常用LEDを点灯させるように構成されたLED照明装置が知られている。
【0003】
このようなLED照明装置では停電の発生を検知する必要があるため、点消灯スイッチによって点消灯する照明用LEDのほかに、点消灯スイッチを介することなく常時上記充電媒体を充電させる電力供給を行っており、充電媒体の充電が停止すると停電発生を検知する。そのため、LED照明装置には一方のラインに点消灯スイッチが設けられた2本のラインの他に、点消灯スイッチをバイパスするもう1本のラインを配線する必要があり、LED照明装置には合計3本のラインが接続されることになる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-195470号公報(
図4、
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような停電発生時に非常用LEDを点灯させる機能を有していないLED照明装置であれば、LED照明装置には2本のラインを接続すればよく、また、いずれのラインに点消灯スイッチが設けられていても、照明用LEDの点消灯を行うことができるので、誤配線という問題は生じない。ところが、上記のように外部の交流電源に対して3本のラインを介して接続されるLED照明装置では、これら3本のラインの誤接続という問題が生じる。LED照明装置を取り付けする現場で配線工事を行った後で点消灯スイッチをオンオフさせて正常に作動するかを確認するが、そのような確認では特定できない誤配線が発生するおそれがある。
【0006】
図2を参照して、1はLED照明装置である。このLED照明装置1には外部の交流電源PSから交流電力が供給される。交流電源PSからの2本の電力供給用のラインには便宜上、「+」と「-」を付して区別する。また、一方のラインであるAC+から点消灯スイッチ11を介して接続されるラインをSWとして、正常に配線された場合、ターミナル1にはAC+が接続され、ターミナル2にはSWが接続され、ターミナル3にはAC-が接続される。
【0007】
一方、LED照明装置1内には点消灯スイッチ11に対する操作によって照明用LED23が点消灯する照明用回路部2と、停電などの発生により交流電源PSからの電力供給が停止すると非常用LED37を連続点灯させるための非常用回路部3とが設けられている。
【0008】
照明用回路部2はターミナル2とターミナル3とに接続されており、点消灯スイッチ11がオンになると照明用回路部2に交流電力が供給され、点消灯スイッチ11がオフになると照明用回路部2への電力供給が停止する。この照明用回路部2に供給された交流電力はブリッジ21で整流され、AC/DCコンバータ22で所定の電圧の直流電力に変換され、照明用LED23に供給される。
【0009】
一方、上記非常用回路部3にはターミナル1とターミナル3とが接続されており、点消灯スイッチ11のオンオフ状態の如何に関わらず、交流電源PSからの交流電力が常に供給される。その供給された交流電力はブリッジ31とAC/DCコンバータ32とで所定の電圧の直流電力に変換された後、DC/DCコンバータ33で充電媒体34を充電するための電圧と電流に変換して、この充電媒体34を充電する。停電などによって充電媒体34に対する充電が停止すると停電検知回路35がその充電停止を検知して、充電媒体34に充電されている電力で非常用LED37を点灯させる。
【0010】
上記充電媒体34は充電可能な2次電池を利用してもよいが、メンテナンス性に優れた電気二重層コンデンサを用いてもよい。ただし、充電媒体34を急速に充電するためには多くの電力が消費される点と、停電が発生する頻度はそれほど多くない点とを考慮して、DC/DCコンバータ33は充電媒体34に充電されている電力がゼロの状態から非常用LED37を点灯させるのに十分な電力が充電されるまでに少なくとも数時間を要するほどの省電力で充電媒体34を充電するように設定されている。従って、LED照明装置1を設置した直後は停電が発生しても非常用LED37が点灯しない場合が生じる。
【0011】
上記構成で、交流電源PSからの3本のラインが正常に配線されていればよいが、誤配線が生じた場合に、その誤配線を施工業者がいち早く認識して正常な配線に修正する必要がある。
【0012】
誤配線のパターンは
図2の上部に示した表に記載したように、誤1から誤5までの5個のパターンが考えられる。
【0013】
誤1であれば、照明用回路部2にはAC+とSWが配線されるが、AC+とSWは同電位であるため電力が供給されず、点消灯スイッチ11をオンオフ操作しても照明用LED23は点灯せず、従って誤配線であることを直ちに認識できる。
【0014】
誤2であれば、照明用回路部2にはAC+とAC-とが配線され、照明用LED23は点灯するが、点消灯スイッチ11をオフにしても照明用LED23は消灯せず、従って誤配線であることを直ちに認識できる。
【0015】
誤3であれば、誤1と同様に点消灯スイッチ11をオンオフ操作しても照明用LED23が点灯しないので誤配線であることを直ちに認識できる。
【0016】
誤4であれば、誤2と同様に点消灯スイッチ11をオフにしても照明用LED23は点灯し続けるので、誤配線であることを直ちに認識できる。
【0017】
誤5であれば、照明用回路部2には点消灯スイッチ11を介して電力が供給されるので、点消灯スイッチ11に対するオンオフ操作に対応して照明用LED23が点消灯するので、照明用LED23は一見正常に作動する。ただし、非常用回路部3には電力が供給されず、停電が発生した場合と同様の状態になるので、本来は点灯しない非常用LED37が点灯するはずである。ところが、上述のように充電媒体34が十分に充電されるために数時間を要するので、LED照明装置1を施工した直後では停電検知回路35が停電発生を検知しても非常用LED37が点灯しない場合が生じ、その場合には施工業者は誤配線の発生を認識できないという不具合が生じる。
【0018】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、交流電源から3本のラインを介して電力供給を受けるLED照明装置であっても、施工時の誤配線の発生を確実に認識できるLED照明装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するために本発明によるLED照明装置は、外部の交流電源から供給される電力で常時充電される充電媒体を備え、この充電媒体への充電電力が消失すると充電媒体に充電されている電力で点灯させる非常用LEDと、上記外部の交流電源から点消灯スイッチを介して供給される電力によって点灯する照明用LEDとを備えたLED照明装置であって、上記交流電源の両極に接続される2本のラインと、これら2本のラインの一方から上記点消灯スイッチを介して分岐される1本のラインの、合計3本のラインが接続されるものにおいて、上記照明用LEDを点灯させるAC/DCコンバータを備えると共に、このAC/DCコンバータに対して点滅信号を出力し、AC/DCコンバータの作動を断続的に作動させて上記照明用LEDを点滅させる点滅手段と、上記充電媒体に充電されている状態では上記点滅信号が上記AC/DCコンバータに入力されることを遮断する信号遮断手段を設けたことを特徴とする。
【0020】
上記
図2に示した誤5の誤配線が生じた場合、充電媒体は充電されていない状態であっても、上記信号遮断手段は点滅手段からの点滅信号が照明用LEDを点灯させるAC/DCコンバータに入力されることを遮断できず、従って、点消灯スイッチをオンにしても照明用LEDは連続して点灯せず点滅する。非常用LEDが点灯しなくても、この照明用LEDの点滅によって施工業者は誤配線の発生を認識する。
【0021】
上記点滅手段は点消灯スイッチのオンオフに関係なく作動させてもよいが、上記点滅手段への電力供給は、上記照明用LEDを点灯させるAC/DCコンバータへの電源供給ラインから分岐して供給されるように構成して、照明用のAC/DCコンバータに連動して作動されることが望ましい。
【0022】
なお、上記充電媒体は電気二重層コンデンサで構成されており、充電電力がゼロの状態から上記非常用LEDを点灯させるのに十分な電力が充電されるまでに数時間を要する充電速度で充電されるように設定することが望ましい。
【発明の効果】
【0023】
以上の説明から明らかなように、本発明は、LED照明装置の施工直後であって、充電媒体に非常用LEDを点灯させるのに十分な電力が充電されていない場合であっても、誤配線の発生を確実に施工業者に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】従来のLED照明装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を参照して、上記
図2と同じ符号を付した構成は
図2に示したものと同様であるので、それらについての説明は省力する。
【0026】
本発明によるLED照明装置1の特徴は点滅回路部4を設けた点にある。この点滅回路部4は上述の
図2に示した誤5を認識するためのものである。誤1から誤4については上述の通り、施工業者は各誤配線を認識することができるので、重複する説明は省略する。
【0027】
この点滅回路部4は上記照明用回路部2への電力供給ラインから分岐された電力によって作動する。従って、照明用回路部2が作動する状態ではこの点滅回路部4は必ず作動するように構成されている。点滅回路部4にはPWM生成回路43が設けられており、点滅回路部4に電力が供給されると、このPWM生成回路43が作動して所定の周波数のパルス信号を出力する。このパルス信号の周波数は目視によって視認できる必要があるので、数十Hz程度に設定されている。そして、このPWM生成回路43から出力されるパルス信号は電界効果トランジスタ(以下、FETという)44のゲートに入力されるように構成されている。
【0028】
さらに、非常用回路部3にはAC/DCコンバータ32とDC/DCコンバータ33との間にフォトカプラの構成部品であるLED41が新たに設けられている。このLED41と対を成すフォトトランジスタ42は上記点滅回路部4のFET44のゲートとグランドとの間に設けられている。従って、非常用回路部3が正常に作動している状態ではLED41が発光してフォトトランジスタがオン状態になり、FET44のゲートをグランドに落とすので、PWM生成回路43からパルス信号が出力されてもFET44はオフ状態を保持し続ける。
【0029】
また、上記照明用回路部2のAC/DCコンバータ22には電圧変換用のIC5が内蔵されている。そして、このICにはNTC端子51が設けられている。このNTC端子51がHi状態であればAC/DCコンバータ22は作動して照明用LED23を点灯させるが、NTC端子51がLowになるとIC5は動作を停止して照明用LED23が消灯するように構成されている。
【0030】
上記構成で、上記交流電源PSからの3本のラインが正常に配線されていれば、点消灯スイッチ11をオンにすれば照明用LED23が点灯し、点消灯スイッチ11をオフにすれば照明用LED23は消灯する。そして、非常用LED37は消灯したままの状態を維持する。
【0031】
ただし、上記の誤5に示した誤配線が生じており、かつ充電媒体34に十分な電力が充電されてない状態で点消灯スイッチ11がオンになると、非常用LED37は点灯しないものの、LED41が点灯しないためフォトトランジスタ42がオフになり、PWM生成回路から出力されるパルス信号によってFET44がオンオフ状態を繰り返す。そして、FET44がオン状態になるごとにNTC端子51がLowに落とされるので照明用LED23が消灯し、その結果、照明用LED23が点滅して誤5の誤配線が発生していることが目視によって認識することができる。
【0032】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0033】
1 照明装置
2 照明用回路部
3 非常用回路部
4 点滅回路部
11 点消灯スイッチ
23 照明用LED
37 非常用LED