(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102212
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 5/04 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
A63F5/04 602A
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216816
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】390031772
【氏名又は名称】株式会社オリンピア
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【弁理士】
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【弁理士】
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】田幡 悠嗣
【テーマコード(参考)】
2C182
【Fターム(参考)】
2C182CB10
(57)【要約】
【課題】ボタンの破損対策が強化された遊技機を提供する。
【解決手段】前扉20と、前扉20に設けられたリジェクトボタン70と、を備え、リジェクトボタン70は、押し込み可能に形成された操作部71を備え、押し込まれた操作部71がストッパー部86に接触して停止する位置を停止位置とすると、メダルの面が所定方向を向いている状態とし、メダルの端部で操作部71を押し込む場合に、メダルの端部を操作部71に接触させることはできるが、操作部71を前記停止位置まで移動させることはできない。
【選択図】
図12B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前扉と、
前記前扉に設けられたリジェクトボタンと、を備え、
前記リジェクトボタンは、押し込み可能に形成された操作部を備え、
押し込まれた前記操作部がストッパー部に接触して停止する位置を停止位置とすると、
メダルの面が所定方向を向いている状態とし、メダルの端部で前記操作部を押し込む場合に、
メダルの端部を前記操作部に接触させることはできるが、前記操作部を前記停止位置まで移動させることはできない
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、複数の図柄が配列された複数のリール、スタートレバー、およびストップボタン等を備えたスロットマシンが知られている。スロットマシンでは、遊技媒体(メダル)がベットされた後、スタートレバーが操作されたことを検出すると、複数のリールの回転が開始する。また、各リールに対応して設けられたストップボタンが操作されたことを検出すると、当該ストップボタンに対応するリールの回転が停止する。
【0003】
スロットマシンでは、遊技開始に伴ってリールが回転を開始するとともに、抽選テーブルを用いた内部抽選が行われる。また、リールが停止したときに内部抽選に当選した当選役に対応する図柄組合せが複数のリールによって表示されて、この当選役が入賞となると、入賞した当選役に対応する処理として、例えば、所定枚数のメダル(遊技価値)を払い出すメダル払出処理や、メダルを新たに消費することなく再度の遊技を可能とする再遊技処理等が行われ、遊技者に遊技上の利益が付与される。
【0004】
スロットマシンには、精算ボタンが設けられたものがある(例えば特許文献1参照)。精算ボタンは、メダルの精算を実行する際に操作されるボタンある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、遊技機では、いたずら等によりメダルを用いてボタンが操作される可能性があるが、メダルを用いてボタンが操作された場合、過度な力が加わることによってボタンが破損するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ボタンの破損対策が強化された遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明に係る遊技機は、
前扉と、
前記前扉に設けられたリジェクトボタンと、を備え、
前記リジェクトボタンは、押し込み可能に形成された操作部を備え、
押し込まれた前記操作部がストッパー部に接触して停止する位置を停止位置とすると、
メダルの面が所定方向を向いている状態とし、メダルの端部で前記操作部を押し込む場合に、
メダルの端部を前記操作部に接触させることはできるが、前記操作部を前記停止位置まで移動させることはできない。
【0009】
仮に、メダルの端部で前記操作部を押し込んだ場合に、前記操作部が前記停止位置まで移動する場合、指で操作した場合よりも過度な力が前記操作部および前記ストッパー部に加わり破損するおそれがある。本発明によれば、メダルの端部で前記操作部を押し込む場合に、メダルの端部を前記操作部に接触させることはできるが、前記操作部を前記停止位置まで移動させることはできない。このため、メダルの端部で前記操作部を操作した場合であっても、前記操作部と前記ストッパー部とが接触することがない。これにより、メダルの端部で操作することによる過度な力によってリジェクトボタンが破損するのを抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ボタンの破損対策を強化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、正面側から見た斜視図である。
【
図4】同、操作部の一部を正面側から見た斜視図である。
【
図7A】同、メダルを用いての精算ボタンの操作について説明する図である。
【
図7B】同、メダルを用いての精算ボタンの操作について説明する図である。
【
図7C】同、メダルを用いての精算ボタンの操作について説明する図である。
【
図8】同、操作部の一部を正面側から見た斜視図である。
【
図9】同、リジェクトボタンを正面側から見た図である。
【
図10】同、リジェクトボタンおよびメダル投入口ベースの概略断面図である。
【
図11】同、メダルの向きについて説明するための図である。
【
図12A】同、メダルを用いてのリジェクトボタンの操作について説明する図である。
【
図12B】同、メダルを用いてのリジェクトボタンの操作について説明する図である。
【
図12C】同、メダルを用いてのリジェクトボタンの操作について説明する図である。
【
図13A】同、メダルを用いてのリジェクトボタンの操作について説明する図である。
【
図13B】同、メダルを用いてのリジェクトボタンの操作について説明する図である。
【
図13C】同、メダルを用いてのリジェクトボタンの操作について説明する図である。
【
図14】同、変形例に係るリジェクトボタンを示すもので、(a)はリジェクトボタンを正面側から見た図であり、(b)は(a)に示すE1-E1線の断面図であり、(c)は(a)に示すE2-E2線の断面図である。
【
図15】本発明の第2の実施の形態に係る遊技機の精算ボタンを示すもので、(a)は精算ボタンを上方から見た図であり、(b)は(a)に示すA1-A1線の断面図であり、(c)は(a)に示すA2-A2線の断面図である。
【
図16】本発明の第3の実施の形態に係る遊技機の精算ボタンを示すもので、(a)は精算ボタンを正面側から見た図であり、(b)は(a)に示すB1-B1線の断面図であり、(c)は(a)に示すB2-B2線の断面図である。
【
図17】本発明の第4の実施の形態に係る遊技機の精算ボタンを示すもので、(a)は精算ボタンを正面側から見た図であり、(b)は(a)に示すC1-C1線の断面図であり、(c)は(a)に示すC2-C2線の断面図である。
【
図18】本発明の第5の実施の形態に係る遊技機の精算ボタンを示すもので、(a)は精算ボタンを正面側から見た図であり、(b)は(a)に示すD1-D1線の断面図であり、(c)は(a)に示すD2-D2線の断面図であり、(d)は(a)に示すD3-D3線の断面図である。
【
図19A】本発明の第6の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、遊技機を前方から見た図である。
【
図19B】同、
図19Aに示すS-S線の断面図であって、前扉が第1状態にある場合を示す。
【
図19C】同、
図19Aに示すS-S線の断面図であって、前扉が第2状態にある場合を示す。
【
図19D】同、
図19Aに示すS-S線の断面図であって、前扉が第3状態にある場合を示す。
【
図20】同、遊技メダルおよび遊技球を示す図である。
【
図21】同、前扉が第22状態にある場合を示す図である。
【
図22】本発明の第7の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、受皿およびキャンセルシュートを前方から見た斜視図である。
【
図23】同、受皿およびキャンセルシュートを前方から見た分解斜視図である。
【
図24】同、払出口とキャンセルシュートの接続部分を前方(正面)から見た図である。
【
図25】同、払出口とキャンセルシュートとの接続部分に設けられている段差について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下では遊技機の1つであるスロットマシンについて説明するが、本発明に係る遊技機は、スロットマシンに限ることなく、パチンコ遊技機等の遊技機であってもよい。
また、以下の説明においては、基本的に「前後」とは、スロットマシンの前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、スロットマシン側が「後」を意味し、「上下」とはスロットマシンの上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とはスロットマシンを遊技する遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各構成の自由な組み合わせ、あるいは各構成の任意の変形、もしくは各構成の省略が可能である。
【0013】
図1は、スロットマシンXを示す斜視図である。また、
図2は、スロットマシンXの筐体1の内部を示す斜視図である。このスロットマシンXは、筐体(遊技機筐体)1を備えている。また、筐体1は、天板2、背板3、底板4および左右の側板5,6を備え、当該筐体1の前面側に開口する前面開口部を有する箱形に形成されている。なお、背板3は、天板2、底板4および左右の側板5,6よりも板厚が薄くなっていてもよい。
【0014】
以下では、天板2の下面、背板3の前面、底板4の上面、左側の側板5の右面および右側の側板6の左面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の内側を向く板面を「内面」と呼ぶことがある。また、天板2の上面、背板3の背面、底板4の下面、左側の側板5の左面および右側の側板6の右面、すなわち天板2、背板3、底板4、側板5または側板6における筐体1の外側を向く板面を「外面」と呼ぶことがある。筐体1は、木製、合成樹脂製、または金属製等となっている。また、筐体1の材料は1種類に限らず、例えば一部(天板2)が木製であり、その他(背板3、底板4および左右の側板5,6)が樹脂製となっていてもよい。また、例えば天板2が2種類の材料(樹脂と金属)で構成されていてもよい。
【0015】
筐体1の正面側には、筐体1の前面開口部を開閉可能に閉塞する前扉20が設けられている。前扉20は、筐体1にヒンジ29を介して回動可能に連結されており、筐体1の開口部を開閉するようになっている。なお、前扉20は、上側部分と下側部分とで分かれている等、複数の扉に分かれているものであってもよい。また、スロットマシンXは、遊技場における機種の交換時に筐体1、前扉20の下側部分および筐体1内の電源ユニット10やホッパーユニット11等が遊技場の島設備に取り付けられたままで、前扉20の上側部分およびリールユニット14等が交換可能ないわゆる分離型筐体タイプのものであってもよい。前扉20が、上扉と下扉とに分割されている場合、上扉および下扉はそれぞれ筐体1に対して開閉自在となっている。上扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口上部を開閉するようになっている。また、下扉は、ヒンジ29を介して回動可能に連結され、筐体1の開口下部を開閉するようになっている。
【0016】
前扉20の上部側には、平板状のパネル21が設けられている。パネル21の背面には演出装置としての表示装置(液晶ディスプレイ)が設けられている。表示装置には、演出当の画像が表示される。また、前扉20の中央部は、透明な表示窓(窓部)22が設けられている。
【0017】
表示窓22の奥には、3個のリール15a~15c(
図2参照)が横一列に設けられている。そして、表示窓22を介してリール15a~15cの一部が視認可能となっている。各リール15a~15cの外周面には、複数種類の図柄が周方向に沿って一列に配列されており、リール15a~15cが停止すると、表示窓22を介して1リール当たり3個の連続する図柄(上段図柄、中段図柄および下段図柄)が表示される。また、表示窓22には、リール15a~15cの図柄を視認するための表示位置として、上段、中段、下段が設けられており、リール15a~15cの表示位置の組合せによって有効ラインが設定されている。本実施形態の遊技機では、第1リール15aの中段と、第2リール15bの中段と、第3リール15cの中段と、によって有効ラインが構成されている。また、本実施形態の遊技機では、1回の遊技に関して必要なメダルの数(規定枚数)が「3」に設定されており、規定枚数のメダルが投入されると、有効ラインが有効化されるようになっている。3個のリール15a~15cが停止したときに、表示窓22を介して表示される図柄の組み合わせによって当選役が入賞したか否かが表示される。スロットマシンXでは、遊技開始に伴ってリール15a~15cが回転を開始するとともに、内部抽選が実行され、当選役のいずれかの当選またはハズレ(不当選)が決定される。そして、リール15a~15cが停止したときに、当選役抽選で当選した当選役に対応する図柄組合せが有効ラインに表示されると、この当選役が入賞となり、入賞した当選役に対応する処理(入賞処理)が実行される。
【0018】
前扉20には、演出(報知)等を行う演出装置としての照明装置24,25、スピーカ等が設けられている。照明装置24は、前扉20のパネル21の上部側に設けられている。また、照明装置25,25は、前扉20の左右両端部に設けられている。これらの照明装置24,25を含む、発光性または非発光性の立体的形状を有する装飾部材26が前扉20の所定部分に設けられ、遊技機の前面側の外形は凹凸を有するものとなっている。すなわち装飾部材26によって、遊技機が装飾されている。
【0019】
スピーカ(図示せず)は、前扉20に複数設けられ、例えば上部および下部に設けられている。スピーカは、各種演出用の音(音楽、BGM、効果音、音声等)を出力する。なお、演出装置として、照明装置24,25やスピーカの他に、各種演出用の画像(動画、静止画)を表示する表示装置(液晶ディスプレイ)や、アクチュエータ等で動作可能な可動役物等が設けられていてもよい。
【0020】
前扉20の上下方向中央部には、スロットマシンXを操作するための操作部30が設けられている。この操作部30には、クレジット(貯留)されたメダルを払い出す際に操作される精算ボタン60、遊技を開始させる際に操作されるスタートレバー32、3個のリール15a~15cそれぞれの回転を停止させる際に操作されるストップボタン33(3個のストップボタン33a,33b,33c)、メダル(遊技媒体)を投入するためのメダル投入口34、メダル投入口34の下方で発生したメダル詰まりを解消する際に操作されるリジェクトボタン70、クレジットされたメダルをベット(投資)する際に操作される(最大の賭数を設定する際に操作される)MAXベットボタン35(ベットボタン)、演出の態様を変化させる際等に操作される演出ボタン36、等が設けられている。なお、演出ボタンは、操作部30以外の所定の箇所(前扉20)に設けられていてもよい。
【0021】
また、前扉20の下部には、スロットマシン内部よりメダルを排出するためのメダル払出口(図示せず)と、メダル払出口から排出されたメダルを溜めておくための受皿38、等が形成されている。また、操作部30と受皿38との間には遊技機の外観を装飾するための下パネル39が設けられている。この下パネル39の背面側には、照明用の光源(LED)が設けられており、この光源からの光によって下パネル39が背後から照らされるようになっている。なお、下パネル39は、押し込み可能に形成され、演出ボタンと同等の機能を有する演出操作部となっていてもよい。
【0022】
図2に示すように、筐体1の内部には、リールユニット14等が設けられている。リールユニット14は、周囲に複数の図柄を表示した3個のリール15a,15b,15cと、リール15a~15cを回転させるための駆動モータ(ステッピングモータ)と、これらリール15a~15cおよび駆動モータ等が取り付けられこれらを一体的に支持するリールフレーム(フレーム部材)13とを有している。
【0023】
また、底板4の上面には、各部品に電力を供給する電源ユニット10、メダルを貯留するとともにメダルを払い出す払い出し装置としてのホッパーユニット11(メダル払出装置11)、メダル払出装置11に貯蔵されたメダルが一定量に達した際に余剰メダルが送り出されるキャッシュボックス12等が設けられている。なお、筐体1の内部(内側)に電源ユニット10等の部品が配置されたものを、裏箱ユニットと称してもよい。
【0024】
図3は、遊技に用いられる遊技メダルMを示している。ここで、遊技メダルMの直径を寸法L1とし、遊技メダルMの厚さを寸法L2とする。寸法M1はφ25(直径約25mm)となっており、寸法M2は約1.6mmとなっている。以下では、直径が約25mmとなっており、厚さが約1.6mmとなっている遊技メダルM(メダル)を用いることを前提として説明する。
【0025】
(精算ボタン60)
図4は操作部30の一部を前方から見た斜視図である。精算ボタン60は、前扉20に設けられている操作部30のパネル部90に取り付けられている。精算ボタン60は、スロットマシンXに電子的に貯留されたメダルや、ベットされているが遊技に使用されていないメダルを精算し、メダル排出口を介して受皿38に排出する(払い出す)ために設けられている。「精算」とは、遊技に使用するメダルを遊技者に返却することを意味する。
【0026】
精算ボタン60は、押下操作可能に形成されており、精算ボタン60が操作(押下)されると、精算処理が実行される。精算処理では、貯留(クレジット)またはベットのうちの少なくとも一方に設定されているメダルが精算される。換言すると、精算ボタン60の操作に基づく精算の対象は、クレジットに設定されているメダルのみならず、ベットに設定されているメダルも含む。ベットおよびクレジットの双方にメダルが設定されている場合、精算ボタン60の操作に基づく精算のパターンとしては、例えば次の2つのパターンがある。1つ目のパターンは、1回の精算ボタン60の操作によってベットに設定されているメダルおよびクレジットに設定されているメダルの双方が一括して精算されるパターンである。2つ目のパターンは、1回目の精算ボタン60の操作によってベットに設定されているメダルのみが精算され、ベットに設定されているメダルの精算後における2回目の精算ボタン60の操作によってクレジットに設定されているメダルが精算されるパターンである。
【0027】
図5は、精算ボタン60の概略断面図(軸方向断面図)である。なお、
図5では、断面であることを示すハッチングを省略している。精算ボタン60が操作されるとは、具体的には、精算ボタン60の操作部61(第1操作部)が押し込まれることを言う。換言すると、精算ボタン60は、操作部61が押し込み可能に形成されている。以下、押し込まれていない状態の操作部61が位置する側を手前側と言い、押し込まれた状態の操作部61が位置する側を奥側と言い、手前側から奥側に向かう方向を押し込み方向と言うことがある。
【0028】
精算ボタン60は、操作部61、弾性部材62、操作検知部(図示せず)、ケース部64およびコネクタ部65等を備えている。ケース部64は、樹脂等で略円筒状に形成されている。ケース部64の内側には、操作部61、弾性部材62および操作検知部等が収容されている。
【0029】
操作部61は、押し込み方向(操作方向)から見て円形状の外形を有しており、樹脂等で形成されている。ここで、操作部61における視認可能な面(露出している面)であって、指等で触れることが可能な面を表面(操作面)とする。なお、
図5では、操作部61の表面が僅かに凹んだ形状(凹曲面)となっているが、これに限らず、平面であってもよく、僅かに凸(凸曲面)となっていてもよい。
【0030】
弾性部材62としては、例えば、ばねがある。弾性部材62は、操作部61の裏面側に設けられ、操作部61と接触しており、操作部61を押し込み方向とは逆の方向に付勢している。弾性部材62によって裏面側から付勢された操作部61は、所定の箇所がケース部64の所定の箇所に接触しており、ケース部64から飛び出さないようになっている。この状態で操作部61を押し込むと、弾性部材62が撓み、操作部61が奥側へ移動する(入り込む)ようになっている。
【0031】
操作検知部としては、例えば、センサ(フォトセンサ)がある。操作検知部は、発光素子と受光素子とを備えており、発光素子から光が出力され、当該光が受光素子に入力されるようになっている。操作検知部は、当該光の変化を検知すると、所定の信号(ON信号)を出力する。本実施形態では、操作部61が押し込まれ、操作部61が所定の位置(検知位置とする)まで移動すると、操作部61の所定の箇所が当該光を遮る。これにより、操作検知部が光の変化を検知し、ON信号を出力する。当該ON信号は、操作部61が操作された(操作部61の操作を検知した)ことを示す信号と言うことができる。
【0032】
ケース部64の奥側の端部には、コネクタ部65が設けられている。図示を省略するが、このコネクタ部65には、配線を有する相手側コネクタが挿入されており、この配線を介して、精算ボタン60が電気的に接続されるようになっている。また、当該配線を介して、操作検知部からの信号(ON信号およびOFF信号)が所定の制御基板(メイン制御基板)に送信される。
【0033】
ケース部64の内側(内周面)には、他の箇所よりも径(内径)が小さく形成されたストッパー部66(メカエンド)(第1ストッパー部)が設けられている。ストッパー部66は、軸方向と直交する平面を有しており、操作部61の裏面側における所定の箇所と接触(当接)可能に形成されている。ストッパー部66は、操作部61の奥側への移動を規制する機能を有している。換言すると、操作部61は、ストッパー部66に接触すると、それ以上奥に押し込むことができない状態となる。
【0034】
ここで、
図6Aに示すように、操作されていない(押し込まれていない)状態の操作部61の位置を「初期位置」(非操作位置)とする。
【0035】
図6Bに示すように、
図6Aに示す状態から操作部61が押し込まれると、操作部61が奥側へ移動する。
【0036】
図6Cに示すように、
図6Bに示す状態からさらに操作部61が押し込まれ、操作部61が所定の位置に到達すると、操作検知部により、操作部61が操作されたことが検知される。このように、操作が検知される操作部61の位置を「検知位置」(第1検知位置)とする。また、「初期位置」から「検知位置」までの操作部61の移動量を移動量T1とする。
【0037】
図6Dに示すように、
図6Cに示す状態からさらに操作部61が押し込まれると、操作部61は、ストッパー部66に接触(当接)して停止する。このように、ストッパー部66に接触して停止した操作部61の位置を「停止位置」(第1停止位置)(最大押し込み位置)とする。操作部61がストッパー部66に接触して停止した場合、操作部61が最も奥側に位置し、操作部61の押し込み量が最大となる。また、「初期位置」から「停止位置」までの操作部61の移動量を移動量T2とする。
【0038】
なお、
図6B~
図6Dに示す状態で、操作部61の操作(押下)を開放すると、操作部61は、弾性部材62の付勢力によって
図6Aに示す「初期位置」に復帰する。
【0039】
図4に示すように、ケース部64の一端部(手前側の端部)であって、操作部61の周囲を囲む部分の形状は露出している(視認可能となっている)(意匠を構成している)。ここで、ケース部64における当該端部をボタン周囲部64a(ボタン縁部)とする。
図5に示すように、ボタン周囲部64aは、径方向に所定の幅を有しており、径方向内側の部分が平面となっており、径方向外側の部分が外側に向かうほど下方(奥側)に傾斜する傾斜面となっている。なお、ボタン周囲部64aと操作部61の操作面とは、略同じ高さとなっている。略同じ高さとは、例えばパネル部90の上面を基準とした場合に、パネル部90の上面からの出代が略同じとなっていることをいう。また、ボタン周囲部64aと操作部61の操作面とが略同一面上にある、とも言える。
【0040】
図5に示すように、操作部61の直径は、約11.5mmとなっている。なお、操作部61の直径とは、操作部61における操作面側の部分(本例では最外形の部分)の直径である。また、ボタン周囲部64aの内径は、約12mmとなっている。ボタン周囲部64aと操作部61との間には、径方向において所定の隙間(僅かな隙間)が設けられている。操作部61は押し込み可能となっており、ボタン周囲部64aは押し込み不可能となっている。
【0041】
次に、メダルを用いて操作部61を操作する場合について説明する。メダルには、表面と裏面と側面(側部、外周面)とがあるが、以下、「メダルの端部」と言う場合、メダルの側面を指すものとする。なお、後述するが「メダルの面」と言う場合、表面または裏面を指すものとする。
【0042】
図7Aは、メダルの端部を操作部61の操作面に接触させた状態を示している。換言すると、メダルの端部を操作部61(の操作面)に接触させることが可能となっている。このとき、メダルの端部はボタン周囲部64aに接触していない。
【0043】
図7Bは、
図7Aに示す状態からメダルの端部で操作部61を押し込み、メダルの端部が所定の箇所(ボタン周囲部64a)に接触して、操作部61が所定の位置で停止した状態を示している。このときの操作部61の初期位置からの移動量は、
図6Dで示した移動量T2未満となっている。すなわち、操作部61は、ストッパー部66に接触せず、停止位置に到達していない。換言すると、メダルの端部を用いて(メダルの端部で操作部61を押し込む場合に)、操作部61を停止位置まで移動させることができない。操作部61がストッパー部66に接触するよりも前に、メダルの端部がボタン周囲部64aに接触するようになっているとも言える。
【0044】
指ではなくメダルの端部で操作部61を強く叩くように意地悪(いたずら)操作した場合において、仮に操作部61がストッパー部66に接触した場合、指で操作した場合よりも大きい力(過度な力)が操作部61およびストッパー部66に加わる。したがって、操作部61やストッパー部66が破損するおそれがある。
【0045】
本実施形態では、指よりも大きな力が加わりやすいメダルの端部で操作部61を操作した(押し込んだ)場合には、操作部61とストッパー部66とが接触しないようになっている。このため、操作部61およびストッパー部66に、メダルの端部での操作による過度な力が加わることがない。これにより、部品の破損を防ぐことができる。なお、指よりも幅(直径)の大きいメダルで操作した場合には、メダルの端部がボタン周囲部64aに接触するため、操作部61を奥まで押し込むことができないようになっているとも言える。本実施形態では、メダルの端部で操作部61を操作した際のストローク量が、操作部61とストッパー部66とが接触しないストローク量となるように、当該ストローク量と、メダルの大きさに対するボタンの周囲の形状(ボタン周囲部64a)が、好適に設計されている。
【0046】
また、
図7Bにおいて、操作部61の移動量が移動量T2未満としたが、
図6Cで示した移動量T1以上にはなり得る、としてもよい。すなわち、操作部61が停止位置に到達しないが、検知位置には到達し得るとしてもよい。換言すると、メダルの端部を用いて(メダルの端部で操作部61を押し込む場合に)、操作部61を停止位置まで移動させることはできないが、操作部61を検知位置までは移動させることができる、としてもよい。
【0047】
この場合、操作部61とストッパー部66とが接触しないため、過度な力が加わることによる部品の破損を防止できるとともに、メダルの端部で操作した場合であっても精算処理を実行させることはできるという効果を奏する。
【0048】
図7Cは、
図7Bに示す状態において、仮に操作部61をストッパー部66に接触する位置(停止位置)まで移動させた状態を示している。この場合、メダルの端部と操作部61の操作面との間に所定の隙間が形成されることとなる。
【0049】
なお、本実施形態では、精算ボタン60が操作部30の上面(MAXベットボタン35等が設けられている側の面)に設けられている場合(
図4)を示したが、精算ボタン60は、操作部30の前面(スタートレバー32が設けられている側の面)に設けられていてもよい。その場合、操作部61の押し込み方向は、前方から後方へ向かう方向となる。
【0050】
また、本実施形態では、ボタン周囲部64aがケース部64により構成されている場合を示したが、これに限らず、ボタン周囲部64aは、パネル部90(意匠部材)の一部によって形成されていてもよい。
【0051】
(リジェクトボタン70)
図8は操作部30の一部を前方から見た斜視図である。本実施形態では、リジェクトボタン70は、前扉20に設けられている操作部30のメダル投入口34の付近(メダル投入口34の左側)に設けられている。具体的には、メダル投入口34を有するメダル投入口ベース80にリジェクトボタン70用の貫通孔85が設けられており、その貫通孔85にリジェクトボタン70の操作部71が挿通されている。リジェクトボタン70は、メダル投入口34を介して投入したメダルが、メダル投入口34の下方で詰まった場合に、メダル詰まりを解消し、メダルを返却させる(メダルを取り除く)ために設けられている。
【0052】
図9は、リジェクトボタン70を正面から見た図である。なお、
図9では、メダル投入口ベース80も図示している。リジェクトボタン70は、操作部71(第2操作部)が押し込み可能に形成されている。
図9に示すように、リジェクトボタン70は、操作部71、弾性部材(図示せず)、回転部材73およびブラケット74等を備えている。操作部71は、押し込み方向(操作方向)から見て円形状の外形を有しており、金属等で形成されている。ここで、操作部71における視認可能な面(露出している面)であって、指等で触れることが可能な面を表面(操作面)とする。
【0053】
回転部材73は、中央部に設けられた回転軸部を介して左右方向に略反対側となる位置に形成された2つの腕部73a,73bを有している。一方の腕部73aは、操作部71の奥側の端部と接触し(操作部71を下方から支持し)、他方の端部73bは、ブラケット74の端部(上端部)と係合している。回転部材73は回転可能に支持されており、弾性部材としてのねじりばね(図示せず)によって、操作部71を持ち上げる方向に(
図9において反時計回りに)付勢している。操作部71は、所定の箇所がメダル投入口ベース80の所定の箇所に接触することによって、貫通孔85から飛び出ないようになっている。この状態で操作部71を押し込むと、ねじりばねの付勢力に抗って回転部材73が回転し、操作部71が奥側へ入り込むとともに、ブラケット74が上方へ移動する。そして、操作部71が押し込まれて、所定の位置まで移動すると、ブラケット74の移動量が所定の移動量に達し、メダル詰まりが解消されるようになっている。
【0054】
図10は、リジェクトボタン70の一部(操作部71)およびメダル投入口ベース80の概略断面図(軸方向断面図)である。なお、
図10では、断面であることを示すハッチングを省略している。メダル投入口ベース80に設けられた貫通孔85の内側(内周面)には、他の箇所よりも径(内径)が小さく形成されたストッパー部86(メカエンド)(第2ストッパー部)が設けられている。ストッパー部86は、軸方向と直交する平面を有しており、操作部71の裏面側における所定の箇所と接触(当接)可能に形成されている。ストッパー部86は、操作部71の奥側への移動を規制する機能を有している。換言すると、操作部71は、ストッパー部86に接触すると、それ以上奥に押し込むことができない状態となる。ストッパー部86をリジェクトボタン70の一部としてもよい。
【0055】
ここで、
図9に示すように、操作されていない(押し込まれていない)状態の操作部71の位置を「初期位置」(非操作位置)とする。操作部71は、押し込まれると奥側へ移動する。そして、操作部71が所定の位置に到達すると、ブラケット74の移動量が所定の移動量に達し、メダル詰まりが解消される。このように、ブラケット74の移動量が所定の移動量に達する際の操作部71の位置を「作動位置」(第2検知位置)とする。また、「初期位置」から「作動位置」までの操作部71の移動量を移動量V1とする。さらに操作部71が押し込まれると、操作部71は、ストッパー部86(
図10)に接触(当接)して停止する。このように、ストッパー部86に接触して停止した操作部71の位置を「停止位置」(第2停止位置)(最大押し込み位置)とする。操作部71がストッパー部86に接触して停止した場合、操作部71が最も奥側に位置し、操作部71の押し込み量が最大となる。また、「初期位置」から「停止位置」までの操作部71の移動量を移動量V2とする。
【0056】
なお、操作部71を押し込んだ状態で操作部71の操作(押し込み)を開放すると、弾性部材の付勢力によって回転部材73が回転し、操作部71は「初期位置」に復帰する。
【0057】
図8に示すように、操作部71の周囲を囲む部分は、メダル投入口ベース80によって形成されている。ここで、メダル投入口ベース80における操作部71の周囲を囲む部分をボタン周囲部83(ボタン周囲部)と呼ぶ。本実施形態では、ボタン周囲部83は、後方から前方に向けて下方に傾斜する傾斜面(前後方向に傾斜する面)となっている。
【0058】
図10に示すように、操作部71の直径は、約10mmとなっている。なお、操作部71の直径とは、操作部71における操作面側の部分(本例では最外形の部分)の直径である。また、ボタン周囲部83(貫通孔85)の内径は、約10.5mmとなっている。ボタン周囲部83と操作部71との間には、径方向において所定の隙間(僅かな隙間)が設けられている。操作部71は押し込み可能となっており、ボタン周囲部83は押し込み不可能となっている。また、本実施形態では、操作部71がボタン周囲部83から所定の長さ突出している。
【0059】
次に、メダルの端部を用いて操作部71を操作する場合について説明する。
ここで、
図11に示すように、メダルの面(表裏面)が、左右方向と垂直または略垂直となっている状態を、メダルの面(表裏面)が左右方向(左方向または右方向)を向いている状態という。また、メダルの面(表裏面)が、前後方向と垂直または略垂直となっている状態を、メダルの面(表裏面)が前後方向(前方向または後方向)を向いている状態という。また、メダルの面(表裏面)が、上下方向と垂直または略垂直となっている状態を、メダルの面(表裏面)が上下方向(上方向または下方向)を向いている状態という。また、図示は省略するが、メダルの面(表裏面)は、所定の方向(所定の軸)(左右方向、前後方向または上下方向)に対して斜めとなっていてもよく、その場合、メダルの面(表裏面)が斜め方向を向いている状態という。メダルの面が所定方向を向いている状態という場合の所定方向には、左右方向、前後方向、上下方向または斜め方向がある。
【0060】
図12Aは、
図8に示すX-X線の断面図(左右方向に沿った断面図)にメダルを加えた図である。なお、
図12Aでは、断面であることを示すハッチングを省略している。
図12Aは、メダルの面が所定方向(前後方向)を向く状態とし、メダルの端部を操作部71の表面(操作面)に接触させた状態を示している。換言すると、メダルの端部を操作部71(の操作面)に接触させることが可能となっている。このとき、メダルの端部はボタン周囲部83に接触していない。
【0061】
図12Bは、
図12Aに示す状態からメダルの端部で操作部71を押し込み、メダルの端部が所定の箇所(ボタン周囲部83)に接触して、操作部71が所定の位置で停止した状態を示している。このときの操作部71の初期位置からの移動量は、移動量V2未満となっている。すなわち、操作部71は、ストッパー部86に接触せず、停止位置に到達していない。
【0062】
図12Cは、
図12Bに示す状態において、仮に操作部71をストッパー部86に接触する位置(停止位置)まで移動させた状態を示している。この場合、メダルの端部と操作部71の操作面との間に所定の隙間が形成されることとなる。
【0063】
また、
図13Aは、
図8に示すY-Y線の断面図(前後方向に沿った断面図)にメダルを加えた図である。なお、
図13Aでは、断面であることを示すハッチングは省略している。
図13Aは、メダルの面が所定方向(左右方向)を向く状態とし、メダルの端部を操作部71の表面(操作面)に接触させた状態を示している。換言すると、メダルの端部を操作部71(の操作面)に接触させることが可能となっている。このとき、メダルの端部はボタン周囲部83に接触していない。
【0064】
図13Bは、
図13Aに示す状態からメダルの端部で操作部71を押し込み、メダルの端部が所定の箇所(ボタン周囲部83)に接触して、操作部71が所定の位置で停止した状態を示している。このときの操作部71の初期位置からの移動量は、移動量V2未満となっている。すなわち、操作部71は、ストッパー部86に接触せず、停止位置に到達していない。
【0065】
図13Cは、
図13Bに示す状態において、仮に操作部71をストッパー部86に接触する位置(停止位置)まで移動させた状態を示している。この場合、メダルの端部と操作部71の操作面との間に所定の隙間が形成されることとなる。
【0066】
なお、上記では、メダルの面が前後方向を向く状態とした場合およびメダルの面が左右方向を向く状態とした場合を示したが、本実施形態では、メダルの端部で操作部71を押し込む場合に、(1)メダルの面がいずれの方向を向いている状態であってもメダルの端部を操作部71に接触させることが可能である。また、メダルの端部で操作部71を押し込む場合に、(2)メダルの面がいずれの方向を向いている状態であっても操作部71を停止位置まで移動させることはできない。換言すると、操作部71がストッパー部86に接触するよりも前に、メダルの端部が所定の箇所(ボタン周囲部83)に接触するようになっている。
【0067】
なお、メダルの面が前後方向を向く状態とし、メダルの端部で操作部71を押し込んだ際の操作部71の移動量と、メダルの面が左右方向を向く状態とし、メダルの端部で操作部71を押し込んだ際の操作部71の移動量とは、異なっていてもよい。例えば、メダルの面が左右方向を向く状態(傾斜に沿う方向)とした場合の方が、メダルの面が前後方向を向く状態(傾斜に直交する方向)とした場合よりも、操作部71を奥まで移動させる(奥まで押し込む)ことができるようになっていてもよい。
【0068】
指ではなくメダルの端部で操作部71を強く叩くように意地悪(いたずら)操作した場合において、仮に操作部71がストッパー部86に接触した場合、指で操作した場合よりも大きい力(過度な力)が操作部71およびストッパー部86に加わる。したがって、操作部71やストッパー部86が破損するおそれがある。
【0069】
本実施形態では、指よりも大きな力が加わりやすいメダルの端部で操作部71を操作した(押し込んだ)場合には、操作部71とストッパー部86とが接触しないようになっている。このため、操作部71およびストッパー部86に、メダルの端部での操作による過度な力が加わることがない。これにより、部品の破損を防ぐことができる。なお、指よりも幅(直径)の大きいメダルで操作した場合には、メダルの端部がボタン周囲部83に接触するため、操作部71を奥まで押し込むことができないようになっているとも言える。本実施形態では、メダルの端部で操作部71を操作した際のストローク量が、操作部71とストッパー部86とが接触しないストローク量となるように、当該ストローク量と、メダルの大きさに対するボタンの周囲の形状(ボタン周囲部83)が、好適に設計されている。
【0070】
また、操作部71の移動量が、移動量V2未満としたが、移動量V1以上にはなり得る、としてもよい。つまり、操作部71が停止位置に到達しないが、作動位置には到達するようになっていてもよい。換言すると、メダルの端部を用いて(メダルの端部で操作部71を押し込む場合に)、操作部71を停止位置まで移動させることはできないが、操作部71を作動位置までは移動させることができる、としてもよい。
【0071】
この場合、操作部71とストッパー部86とが接触しないため、過度な力が加わることによる部品の破損を防止できるとともに、メダルの端部で操作した場合であってもメダル詰まりの解消を実行させることができるという効果を奏する。
【0072】
(変形例)
本実施形態では、リジェクトボタン70が操作部30の上面(メダル投入口34の左側)に設けられている場合を示したが、リジェクトボタン70は、メダル投入口34と離れた位置、例えば操作部30(前扉20)の前面(ストップボタン33a,33b,33cが設けられている側の面)に設けられていてもよい。その場合には、本実施形態におけるメダル投入口ベース80をパネル部90とすればよい。以下、
図14を用いて説明する。
【0073】
図14(a)は、本変形例のリジェクトボタン70を正面側(前方側)から見た図である。
図14(b)は、
図14(a)に示すE1-E1線の断面図である。
図14(c)は、
図14(a)に示すE2-E2線の断面図である。パネル部90には、前方から見て円形状を有し、後方側に凹む凹部99が設けられている。凹部99の底面には貫通孔が設けられており、この貫通孔にリジェクトボタン70(操作部71)が挿通されている。操作部71の先端は、パネル部90の前面よりも前方側に所定の長さ突出している。操作部71は、前方から後方に向かって押し込み可能となっている。なお、図示は省略するが、ストッパー部86は、パネル部90(前扉20)の内部における所定の箇所に設けられている。
【0074】
本変形例では、メダルの面がいずれの方向を向いている状態であっても、メダルの端部を操作部71(の操作面)に接触させることができる。しかし、メダルの端部が所定の箇所(パネル部90の端部)(ボタン周囲部)に接触するため、操作部71を所定の位置(例えば作動位置や停止位置)まで押し込むことはできない。よって、メダルの端部で操作した場合であっても、操作部71とストッパー部86とが接触せず、過度な力が加わることによる部品の破損を防止できる。
【0075】
本実施形態の遊技機は、
前扉と、
前記前扉に設けられた精算ボタンと、を備え、
前記精算ボタンは、押し込み可能に形成された操作部を備え、
押し込まれた前記操作部がストッパー部に接触して停止する位置を停止位置とすると、
メダルの面が所定方向を向いている状態とし、メダルの端部で前記操作部を押し込む場合に、
メダルの端部を前記操作部に接触させることはできるが、前記操作部を前記停止位置まで移動させることはできない。
【0076】
仮に、メダルの端部で前記操作部を押し込んだ場合に、前記操作部が前記停止位置まで移動する場合、指で操作した場合よりも過度な力が前記操作部および前記ストッパー部に加わり破損するおそれがある。本実施形態の遊技機によれば、メダルの端部で前記操作部を押し込む場合に、メダルの端部を前記操作部に接触させることはできるが、前記操作部を前記停止位置まで移動させることはできない。このため、メダルの端部で前記操作部を操作した場合であっても、前記操作部と前記ストッパー部とが接触することがない。これにより、メダルの端部で操作することによる過度な力によって精算ボタンが破損するのを抑制できる。
【0077】
また、本実施形態の遊技機は、
押し込まれた前記操作部の操作が検知される位置を検知位置とすると、
メダルの面が所定方向を向いている状態とし、メダルの端部で前記操作部を押し込む場合に、
前記操作部を前記検知位置まで移動させることができる。
【0078】
前記操作部と前記ストッパー部とが接触しないため、過度な力が加わることによる部品の破損を防止できるとともに、メダルの端部で操作した場合であっても精算処理を実行させることはできる。
【0079】
また、本実施形態の遊技機は、
前扉と、
前記前扉に設けられたリジェクトボタンと、を備え、
前記リジェクトボタンは、押し込み可能に形成された操作部を備え、
押し込まれた前記操作部がストッパー部に接触して停止する位置を停止位置とすると、
メダルの面が所定方向を向いている状態とし、メダルの端部で前記操作部を押し込む場合に、
メダルの端部を前記操作部に接触させることはできるが、前記操作部を前記停止位置まで移動させることはできない。
【0080】
仮に、メダルの端部で前記操作部を押し込んだ場合に、前記操作部が前記停止位置まで移動する場合、指で操作した場合よりも過度な力が前記操作部および前記ストッパー部に加わり破損するおそれがある。本実施形態の遊技機によれば、メダルの端部で前記操作部を押し込む場合に、メダルの端部を前記操作部に接触させることはできるが、前記操作部を前記停止位置まで移動させることはできない。このため、メダルの端部で前記操作部を操作した場合であっても、前記操作部と前記ストッパー部とが接触することがない。これにより、メダルの端部で操作することによる過度な力によってリジェクトボタンが破損するのを抑制できる。
【0081】
また、本実施形態の遊技機は、
前扉と、
前記前扉に設けられた精算ボタンおよびリジェクトボタンと、を備え、
前記精算ボタンは、押し込み可能に形成された第1操作部を備え、
前記リジェクトボタンは、押し込み可能に形成された第2操作部を備え、
押し込まれた前記第1操作部が第1ストッパー部に接触して停止する位置を第1停止位置とし、
押し込まれた前記第2操作部が第2ストッパー部に接触して停止する位置を第2停止位置とすると、
メダルの面が第1所定方向を向いている状態とし、メダルの端部で前記第1操作部を押し込む場合に、メダルの端部を前記第1操作部に接触させることはできるが、前記第1操作部を前記第1停止位置まで移動させることはできず、
メダルの面が第2所定方向を向いている状態とし、メダルの端部で前記第2操作部を押し込む場合に、メダルの端部を前記第2操作部に接触させることはできるが、前記第2操作部を前記第2停止位置まで移動させることはできない。
なお、前記第1所定方向と前記第2所定方向とは、同じ方向(同じ向き)であってもよく、異なる方向(異なる向き)であってもよい。
【0082】
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態の遊技機は、基本的に第1の実施の形態の遊技機と同様の構成を有するものであるため、第1の実施の形態の遊技機と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
【0083】
本実施形態では、精算ボタン60は、操作部30の上面における所定の位置(例えばMAXベットボタン35の左側)に設けられている。精算ボタン60は、パネル部90に取り付けられている。
【0084】
図15(a)は、本実施形態の精算ボタン60を上方側から見た図である。
図15(b)は、
図15(a)に示すA1-A1線の断面図である。
図15(c)は、
図15(a)に示すA2-A2線の断面図である。操作部61は横長の四角形状に形成されており、押し込み可能となっている。なお、操作部61は、例えば横長の台形状等であってもよい。ボタン周囲部64aは、操作部61の周囲を囲むように(操作部61の周囲に沿って)形成されており、横長の四角形状となっている。本実施形態では、ボタン周囲部64aは、操作部61の操作面よりも上方に突出している。換言すると、操作部61の操作面は、ボタン周囲部64aよりも奥側に位置している。なお、ボタン周囲部64aは、精算ボタン60とは別に構成される意匠部材(パネル部90)の一部として形成されていてもよく、精算ボタン60の構成部品(ケース部64)で形成されていてもよい。
【0085】
また、本実施形態では、精算ボタン60を、左右方向(横方向)に長尺なものとするが、これに限らず、前後方向(上下方向)に長尺(つまり縦長)なものとしてもよい。
【0086】
ここで、精算ボタン60の長手方向に沿う方向を第1の方向とし、精算ボタン60の短手方向に沿う方向を第2の方向とする。なお、第2の方向を第1の方向と直交する方向と言ってもよい。
【0087】
メダルの端部で操作部61を押し込む場合に、メダルの面がいずれの方向を向いている状態であっても(メダルの面が第1の方向および第2の方向を含むいずれの方向を向いている状態であっても)、メダルの端部を操作部61(の操作面)に接触させることはできる。
【0088】
一方、メダルの端部で操作部61を押し込む場合に、メダルの面が第2の方向(前後方向)を向いている状態では、メダルの端部で操作部61を停止位置まで移動させることが可能であるが、メダルの面が第1の方向(左右方向)を向いている状態では、メダルの端部で操作部61を停止位置まで移動させることができない。すなわち、メダルの向きには、操作部61を停止位置まで移動させることができる向きと、操作部61を停止位置まで移動させることができない向きとがある。メダルの向きが所定の向きである場合、たとえメダルの端部で操作された場合であっても、操作部61とストッパー部66とが接触しないため、過度な力が加わることによる部品の破損を防止できる。
【0089】
また、本実施形態のリジェクトボタン70について図示は省略するが、本実施形態では、メダルの端部で操作部71を押し込む場合に、メダルの端部を操作部71(の操作面)に接触させることは可能であるが、操作部71を停止位置まで移動させることはできないようになっている。よって、メダルの端部で操作した場合であっても、操作部71とストッパー部86とが接触せず、過度な力が加わることによる部品の破損を防止できる。
【0090】
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態の遊技機は、基本的に第1の実施の形態の遊技機と同様の構成を有するものであるため、第1の実施の形態の遊技機と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
【0091】
本実施形態では、精算ボタン60は操作部30(前扉20)の前面における所定の位置(スタートレバー32の左側)に設けられている。精算ボタン60は、パネル部90に取り付けられている。
【0092】
図16(a)は、本実施形態の精算ボタン60を前方側から見た図である。
図16(b)は、
図16(a)に示すB1-B1線の断面図である。
図16(c)は、
図16(a)に示すB2-B2線の断面図である。パネル部90には、精算ボタン60を露出させるための孔部91が設けられている。孔部91は前後方向に貫通する孔となっており、精算ボタン60は、孔部91の奥側(後方側)に配置されている。孔部91の直径は、指を挿入することが可能な長さとなっており、かつ、メダルの直径よりも小さくなっている。
【0093】
本実施形態では、メダルの面がいずれの方向を向いている状態であっても(メダルの向きをいずれの向きとした場合であっても)、メダルの端部を操作部61(の操作面)に接触させることができない。換言すると、メダルの端部で操作部61を押し込もうとした場合に、メダルの端部を操作部61(の操作面)に接触させることができる場合がない。具体的には、メダルの端部が所定の箇所(パネル部90の端部)(ボタン周囲部)(前扉の形状の一部)に接触して、メダルを孔部91の中へ挿入することができないため、メダルの端部を操作部61に接触させることができない。よって、メダルの端部で操作しようとした場合であっても、メダルの端部が操作部61に接触せず、操作部61とストッパー部66とが接触することがないため、過度な力が加わることによる部品の破損を防止できる。
【0094】
また、本実施形態のリジェクトボタン70について図示は省略するが、本実施形態では、メダルの端部で操作部71を押し込む場合に、メダルの端部を操作部71(の操作面)に接触させることは可能であるが、操作部71を停止位置まで移動させることはできないようになっている。よって、メダルの端部で操作した場合であっても、操作部71とストッパー部86とが接触せず、過度な力が加わることによる部品の破損を防止できる。
【0095】
(変形例)
本実施形態では、孔部91が前方から見て円形状となっているものとしたが、孔部91は、前方から見て例えば楕円形状となっていてもよい。このとき、メダルの面が特定方向を向いている状態(メダルの面が楕円の短軸方向と垂直または略垂直となっている状態)で、メダルを孔部91の中へ挿入可能となっていてもよい。その場合、メダルの端部を操作部61(の操作面)に接触させることが可能となっていてもよく、さらにはメダルの端部で操作部61を停止位置まで移動させることが可能となっていてもよい。このようにメダルの面が特定方向を向いている状態とした場合に、メダルの端部で操作部61を押し込み可能となっていたとしても、操作部61は前後方向に所定の長さを有する孔部91の奥側に設けられている。したがって、メダルを持っている指がパネル部90の端部と接触し妨げとなるため、メダルの端部で勢いよく操作部61を操作することが困難となっている。したがって、メダルの端部で操作されて過度な力が加わることによる部品の破損を抑制できる。
【0096】
(第4の実施の形態)
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。
本実施の形態の遊技機は、基本的に第1の実施の形態の遊技機と同様の構成を有するものであるため、第1の実施の形態の遊技機と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
【0097】
本実施形態では、第3の実施の形態と同様に、精算ボタン60は操作部30(前扉20)の前面における所定の位置(例えばスタートレバー32の左側)に設けられている。精算ボタン60は、パネル部90に取り付けられている。
【0098】
図17(a)は、本実施形態の精算ボタン60を前方側から見た図である。
図17(b)は、
図17(a)に示すC1-C1線の断面図である。
図17(c)は、
図17(a)に示すC2-C2線の断面図である。パネル部90には孔部91が設けられているが、本実施形態では、孔部91は、後方から前方に向かうほど開口(径)が大きくなる(拡がる)ように形成されている。換言すると、孔部91の内周面は、前方側ほど開口が大きくなるテーパー状となっている。孔部91は、メダルを挿入可能な大きさで形成されている。
【0099】
本実施形態では、メダルの面がいずれの方向を向いている状態であっても、メダルの端部を操作部61(の操作面)に接触させることができ、メダルの端部で操作部61を停止位置まで移動させることができるようになっている。ただし、メダルの端部で操作部61を操作可能となっていたとしても、操作部61は前後方向に所定の長さを有する孔部91の奥側に設けられており、メダルを持っている指がパネル部90の端部と接触し妨げとなるため、メダルの端部で勢いよく操作部61を操作することが困難となっている。したがって、メダルの端部で操作されて過度な力が加わることによる部品の破損を抑制できる。
【0100】
また、本実施形態のリジェクトボタン70について図示は省略するが、本実施形態では、メダルの端部で操作部71を押し込む場合に、メダルの端部を操作部71(の操作面)に接触させることは可能であるが、操作部71を停止位置まで移動させることはできないようになっている。よって、メダルの端部で操作した場合であっても、操作部71とストッパー部86とが接触せず、過度な力が加わることによる部品の破損を防止できる。
【0101】
(第5の実施の形態)
次に本発明の第5の実施の形態について説明する。
本実施の形態の遊技機は、基本的に第1の実施の形態の遊技機と同様の構成を有するものであるため、第1の実施の形態の遊技機と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
【0102】
本実施形態では、第3の実施の形態および第4の実施の形態と同様に、精算ボタン60は操作部30(前扉20)の前面における所定の位置(例えばスタートレバー32の左側)に設けられている。精算ボタン60は、パネル部90に取り付けられている。
【0103】
図18(a)は、本実施形態の精算ボタン60を前方側から見た図である。
図18(b)は、
図18(a)に示すD1-D1線の断面図である。
図18(c)は、
図18(a)に示すD2-D2線の断面図である。
図18(d)は、
図18(a)に示すD3-D3線の断面図である。
本実施形態では、孔部91は前方から見て略四角形状となっている。孔部91は、指を挿入可能な大きさで形成されており、縦の長さおよび横の長さが、メダルの直径よりも小さくなっている。また、孔部91の対角方向の長さは、前方側においてメダルの直径よりも大きくなっており、後方に向かうほど徐々に小さくなっている。ここで、孔部91を正面から見た場合の左右方向を第1の方向とし、上下方向を第2の方向とする。また、第1の方向および第2の方向以外の所定の方向(孔部91の対角線に沿う方向)を特定方向とする。
【0104】
メダルの面が第1の方向(左右方向)を向く状態とした場合およびメダルの面が第2の方向(上下方向)を向く状態とした場合、メダルの端部が所定の箇所(パネル部90の端部)(ボタン周囲部)(前扉の形状の一部)に接触して、メダルを孔部91の中へ挿入することができないため、メダルの端部を操作部61に接触させることができない。
【0105】
一方、メダルの面が特定方向を向く状態とした場合、メダルを孔部91の中へ挿入し、メダルの端部を操作部61(の操作面)に接触させることは可能となっている。ただし、その場合であっても、メダルが孔部91の内周面(内壁)に接触するため、メダルの端部で操作部61を停止位置まで移動させることはできないようになっている。つまり、メダルの面が特定方向を向く状態とした場合、メダルの端部を操作部61に接触させることはできるが、操作部61を停止位置まで移動させることはできない。
【0106】
よって、メダルの端部で操作しようとした場合であっても、メダルの面が第1の方向を向く状態とした場合およびメダルの面が第2の方向を向く状態とした場合には、メダルの端部が操作部61に接触することがなく、過度な力が加わることによる部品の破損を防止できる。また、メダルの面が特定方向を向く状態とした場合には、メダルの端部が操作部61に接触しても、操作部61とストッパー部66とが接触しないため、過度な力が加わることによる部品の破損を防止できる。
【0107】
なお、本実施形態のリジェクトボタン70について図示は省略するが、例えば
図14で示したリジェクトボタン70において、本実施形態では、メダルの端部で操作部71を押し込む場合に、メダルの面が左右方向を向く状態とした場合であっても、メダルの面が上下方向を向く状態とした場合であっても、操作部71を停止位置まで移動させることができる。
【0108】
(第6の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態の遊技機は、基本的に第1の実施の形態の遊技機と同様の構成を有するものであるため、第1の実施の形態の遊技機と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
【0109】
図19Aは、本実施形態の遊技機を正面から見た図である。また、
図19B、
図19C、
図19Dは、
図19Aに示すS-S線における断面図である。S-S線の位置は、遊技機の右端(筐体1の右側面)から、所定の寸法(例えばメダルの直径程度に相当する寸法)だけ左側に移動(オフセット)した位置となっている。
前扉20は、筐体1の左側に設けられたヒンジを介して筐体1に回動可能(開閉可能)に連結されており、筐体1の開口部(前面開口部)を開閉するようになっている。詳細は後述するが、
図19Bは前扉20が「第1状態」である場合を示しており、
図19Cは前扉20が「第2状態」である場合を示し、
図19Dは前扉20が「第3状態」である場合を示している。
【0110】
図19Bに示すように、前扉20の背面における、回転軸側とは反対側となる位置(前扉20の背面に正対した場合における左側)には、後方に向かって突出するように形成された被支持部81(凸部)が設けられている。本実施形態では、被支持部81の先端にローラー部が設けられている。また、筐体1の内部を正面から見た場合における右側であって、前扉20を閉じた際の被支持部81に対応する位置には、支持部82が形成されている。支持部82は、被支持部81を下方から支持可能に形成されている。
【0111】
本実施形態では、支持部82は、板状に形成されており、上下方向と垂直または略垂直となる板面を有するように配置されている。支持部82は、例えば、筐体1の右側板の内面にねじ締め等により固定されている。前扉20を開いた状態(開放状態)から閉じた状態(閉鎖状態)へと移動させる際に、まず、被支持部81のローラー部が支持部82の手前側(前方側)に接触(当接)し、次に、被支持部81のローラー部が支持部82の上に載り(乗り上げ)、次に、ローラー部が支持部82の上を後方側へ進み、所定の位置で停止する。
【0112】
前扉20の状態(位置)には、第1状態と、第2状態と、第3状態とが含まれる。
(第1状態)
図19Bに示すように、第1状態は、前扉20が閉じており(閉鎖状態であり)、前扉20の被支持部81が筐体1の支持部82によって支持されている状態である。本実施形態では、被支持部81が支持部82に荷重を加えている(載荷している)状態である。支持部82が被支持部81を上方に持ち上げているとも言える。
【0113】
(第2状態)
図19Cに示すように、第2状態は、前扉20が開いており(開放状態であり)、前扉20の被支持部81が筐体1の支持部82に当接(接触)していない状態(離間している状態)である。
【0114】
(第3状態)
図19Dに示すように、第3状態は、前扉20が開いており、前扉20の被支持部81が筐体1の支持部82に当接(接触)している状態である。第3状態は、被支持部81が支持部82に当接しているが、被支持部81が支持部82によって支持されておらず、前扉20が完全に閉まらずに開いている状態(半開放状態:少しだけ開放している状態)とも言える。なお、第3状態は、支持部82の先端部(だけ)が被支持部81を支持している状態であってもよい(被支持部81が支持部82の先端部(だけ)によって支持されている状態であってもよい)。また、第3状態は、第2状態よりも前扉20の開放角度が小さい状態とも言える。前扉20の開放角度とは、例えば、筐体1の前面と前扉20の背面とがなす角度とする。
【0115】
遊技機(筐体1)の底面4b(底板4の下面)は、相手部材(島設備等)と接触する面(設置面)となる。よって、底面4bを、筐体1の載置面Zとする。筐体1の載置面Zは、設置台(台)の上面と面一となっている。設置台は後方側から手前側へ延びるように形成されており、受皿38の下方にも位置(存在)している。以下、筐体1の載置面Zという場合、載置面Zと面一となっている面全体(設置台の上面を含む)を指すものとしてもよい。なお、受皿38の例えば左側の台の上のスペースに、遊技者は飲料等を置くことができる。
【0116】
前扉20(受皿38)の下端(下面)は、筐体1の底面4b(載置面Z)よりも上方に位置している。
図19Bに示すように、第1状態(閉鎖状態)では、前扉20(受皿38)の下端(下辺)Y1から筐体1の載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が、第1寸法L1となっている(第1寸法L1となるように設計されている)。第1寸法L1は、約3~5mm程度となっている。
【0117】
また、
図19Cに示すように、第2状態(開放状態)では、前扉20(受皿38)の下端(下辺)Y2から筐体1の載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が、第1寸法L1よりも小さい第2寸法L2となっている(第2寸法L2となるように設計されている)。第2寸法L2は、約2~3mm程度となっている。
【0118】
また、
図19Dに示すように、第3状態(半開放状態)では、前扉20(受皿38)の下端(下辺)Y3から筐体1の載置面Zまでの隙間の寸法(上下方向寸法)が第1寸法L1よりも小さい第3寸法L3となっている(第3寸法L3となるように設計されている)。第3寸法L3は、約2~3mm程度となっている。
【0119】
第1寸法L1~第3寸法L3は、前扉20(受皿38)の下端(下面)と筐体1の底面4b(載置面Z)との上下方向の距離(差)とも言える。本実施形態では、受皿38の下面は、前後方向において、後方から前方に向かうほど上方に傾斜する面となっている。よって、第1寸法L1~第3寸法L3は、受皿38の下面の後端(最下端)と、筐体1の底面4b(載置面Z)との上下方向の距離となっている。なお、筐体1の底板4の厚さは、約15mm程度となっている。
【0120】
図20に示すように、遊技メダルMの直径を寸法L4とする。また、メダルMの厚さを寸法L5とする。本実施形態に係る遊技機で遊技に使用されるメダルMは、寸法L4がφ25(直径約25mm)となっており、寸法L5が約1.6mmとなっている。ただし、メダルMは、寸法L4がφ30(直径約30mm)となっており、寸法L5が約1.7mmとなっているものであってもよい。また、遊技球Bの直径を寸法L6とする。寸法L6は約11mmである。
【0121】
図19Bで示した第1寸法L1は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。また、
図19Cで示した第2寸法L2は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。また、
図19Dで示した第3寸法L3は、遊技球Bの直径L6よりは小さく、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)。
【0122】
上述のとおり、前扉20を閉じた状態(第1状態)では被支持部81が下方から支持されるようになっている。一方、前扉20を開いた状態(第2状態および第3状態)では被支持部81の下方からの支持が解除(開放)されるようになっている。したがって、下方からの支持を失った開放状態の前扉20は、自重によって僅かに下(下方)に下がった状態となる。換言すると、下端Y2(第2状態)および下端Y3(第3状態)は、下端Y1(第1状態)よりも下方に位置し、第2寸法L2および第3寸法L3は、第1寸法L1よりも小さくなっている。さらに換言すると、閉鎖状態よりも開放状態の方が、前扉20(受皿38)の下端が、台の上面(筐体1の載置面Z)に接近するようになっている。
【0123】
(メダルMの厚さとの関係)
本実施形態の遊技機を載置面Zに載置した場合において、前扉20をいずれの状態とした場合であっても、前扉20(受皿38)の下端と載置面Zとの間に、メダルMの厚さよりも大きい隙間(第1寸法L1、第2寸法L2および第3寸法L3)が形成される。換言すると、第1寸法L1、第2寸法L2および第3寸法L3がメダルMの厚さ(寸法L5)よりも大きくなっている。このため、仮に、前扉20(受皿38)の下側と、受皿38の下方に存在する台との間にメダルMが入り込んでしまった(メダルMが隠れてしまった)状態で、前扉20を開閉した場合であっても、前扉20(受皿38)の下端とメダルMとが接触することはない。換言すると、受皿38と台との隙間に隠れたメダルMが、前扉20の開閉を妨げることがない。このため、台の上面(載置面Z)にメダルMが存在する場合であっても、前扉20をスムーズに開閉できる。また、仮に前扉20を開いた際に前扉20の下端がメダルMに接触する場合、メダルMが押し出されて台の上から落ち、メダルMを探す等の手間が生じるが、本実施形態によれば、そのような手間が生じるのを防止できる。
【0124】
また、本実施形態によれば、筐体1の載置面Z(台の上面)にメダルMが重なることなく載置されている状態において、前扉20が第2状態(開放状態)から第1状態(閉鎖状態)になることが、当該メダルMによって阻止されない(防止されない、妨げられない)。遊技場(ホール)の店員が、ホッパー内のメダルMが不足する(なくなる)ことによって発生するエンプティエラーの原因等を解消するために前扉20を開放することがあるが、開放した前扉20を閉じる際に、筐体1の載置面ZにメダルMが載置されている場合であっても、当該メダルMが前扉20に接触することなく前扉20を閉じることができる。これにより、前扉20と筐体1(筐体1の前面)との隙間にメダルMが挟まって前扉20を閉じることができないという事態や、メダルMの挟み込みによる衝撃によって前扉20が破損するという事態を回避できる。
【0125】
また、筐体1の載置面Z(台の上面)にメダルMが重なることなく載置されている状態において、前扉20が第1状態(閉鎖状態)から第2状態(開放状態)になることが、当該メダルMによって阻止されない。遊技場(ホール)の店員が、ホッパー内のメダルMが不足する(なくなる)ことによって発生するエンプティエラーの原因等を解消するため、閉じていた前扉20を開放する際に、筐体1の載置面ZにメダルMが載置されている場合であっても、当該メダルMが前扉20に接触することなく前扉20を開放することができる。これにより、前扉20と載置面Z(台の上面)との隙間にメダルMが挟まってしまい前扉20を開放することができないという事態や、メダルMが挟まった状態で強引に前扉20を開放することによって前扉20が破損するという事態を回避することができる。
【0126】
(遊技球Bとの関係)
例えば、スロットマシンとパチンコ遊技機とが近くに設置されている場合等であって、前扉20(受皿38)の付近に遊技球Bが存在している場合を考える。前扉20を閉じた状態(第1状態)において、遊技球Bが前扉20(受皿38)の下に転がり込んだ場合であっても、第1寸法L1が遊技球Bの直径L6よりも小さくなっているため、遊技球Bは受皿38の下の奥側(後方側)まで入り込まない。受皿38の下面は、手前ほど上方に向かうように傾斜しているが、遊技球Bは前扉20(受皿38)の下端に到達する前に、その傾斜面に当接(接触)して停止する。そして、その状態で前扉20が開放されると、遊技球Bは手前側へと押し出されて台の上から落下する。また、このように遊技球Bは落下するため、開いた前扉20を閉じる際の妨げとならない。なお、前扉20が第2状態や第3状態となっている場合に、遊技球Bが前扉20(受皿38)の下に転がり込んだ場合にも同様のことが言える。すなわち、遊技球Bは前扉20(受皿38)の下端に到達する前に傾斜面に接触して停止し、その状態で前扉20が開放されると、遊技球Bは手前側へと押し出されて落下する。そして、遊技球Bは落下するため、開いた前扉20を閉じる際の妨げとならない。
【0127】
なお、前扉20(受皿38)の下端と、載置面Zとの隙間(第1寸法L1~第3寸法L3)は、遊技球Bの直径L6(約11mm)よりも小さいものとしたが、メダルMの2枚分の厚さ(メダルMを2枚重ねた状態の厚さ)以下となっていることがより好ましい。メダルMの2枚分の厚さは、約3.2mm程度である。その場合、受皿38の下に遊技球Bが入り込むのをより確実に防ぐことができる。
【0128】
また、本実施形態では、第1寸法L1は、第3寸法L3よりも大きく、第3寸法L3は、第2寸法L2よりも大きく、第2寸法L2は、寸法L5(メダルMの厚さ)よりも大きくなっている。換言すると、以下の関係となっている。
L1>L3>L2>L5
なお、第3寸法L3は第2寸法L2以上であってもよい(L3≧L2)。また、第3寸法L3は、第2寸法L2と略同一であってもよい(L3≒L2)。略同一とは、例えば両者の差が1mm以内であることをいう。
【0129】
図19Dに示す状態(第3状態)において、前扉20の右辺(右端)から筐体1の右辺(右端)までの隙間(前扉20の右辺と筐体1の右辺との間の距離(最小距離)の寸法)を第4寸法L7とする。第4寸法L7は、第3状態での前扉20の右端部の開放寸法としてもよい。なお、
図19Dにおいて第4寸法L7を示したが、
図19Dは
図19Aに示すS-S線の断面図であり、厳密には前扉20の右端と筐体1の右端との間の距離(寸法)を指しているものではない。第4寸法L7は、約33mmとなっている。この第4寸法L7は、メダルMの直径寸法L4よりも大きくなっている(大きくなるように設計されている)(L7>L4)。
【0130】
なお、本実施形態では、第2寸法L2および第3寸法L3がメダルMの厚さL5よりも大きくなるように設計されているものとしたが、部品寸法の精度(バラつき)、ヒンジ29(
図2参照)の品質(耐久力)低下、組み付け誤差等に起因し、第2寸法L2や第3寸法L3がメダルMの厚さL5以下(未満)となる場合があってもよい。その場合であっても、前扉20が第3状態(
図19D)から第1状態(
図19B)に移動する過程で、前扉20の被支持部81が筐体1の支持部82の上に載る(乗り上げる)ようにして支持され(被支持部81が支持部82に載荷するように支持され)、前扉20の下端と載置面Z(底面4b)との間にメダルMの厚さ分の寸法が確保される。したがって、前扉20を閉じることができないという事態や、メダルMの挟み込みにより前扉20が破損するという事態を回避できる。
【0131】
(変形例)
図19Cに示した第2状態(開放状態)に、前扉20の開放角度が第1開放角度である第21状態と、前扉20の開放角度が第1開放角度よりも大きい第2開放角度である第22状態と、が含まれるものとする。第1開放角度は、10°(10度)以下の所定の角度となっている。また、第21状態では、回転軸側とは反対側における、前扉20の端部(右端)と筐体1の端部(右端)との間の距離(隙間)が、2枚~3枚のメダルを水平面に一列に並べた場合における一方の端部と他方の端部との間の距離(メダル2枚から3枚分の距離、例えば約50mm~約75mm程度)となっている。
本変形例では、第21状態では、前扉20の下端(右側の下端)が載置面Zに接近し、第2寸法L2が第1寸法(第1状態:閉鎖状態)よりも小さくなる(換言すると、第2状態には、第2寸法L2が第1寸法L1よりも小さくなる第21状態が含まれる)。ただし、第21状態において、第2寸法は、メダルMの厚さL5よりも大きくなっている。
【0132】
本変形例では、前扉20の開放角度が第1開放角度よりも大きい場合、開放角度が大きくなるほど、前扉20の下端(右側の下端)が載置面Zから徐々に離間する。この場合に、前扉20の右側(回転軸側とは反対側)の下端と載置面Zとの間の上下方向寸法を第2寸法L2とすると、第22状態(例えば前扉20の開放角度が最大である状態(
図21に示す全開状態))では、第2寸法L2が第1寸法よりも大きくなっている。
【0133】
本実施形態の遊技機は、
筐体と、
前記筐体に対して開閉可能に設けられた前扉と、を備え、
前記前扉の状態には、第1状態と第2状態とが含まれ、
前記第1状態は、前記前扉が閉鎖された状態であり、
前記第2状態は、前記前扉が開放された状態であり、
前記第1状態における、前記前扉の下端と、前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法を第1寸法とし、
前記第2状態における、前記前扉の下端と、前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法を第2寸法とすると、
前記第2寸法は、前記第1寸法よりも小さく、遊技メダルの厚さよりも大きい。
【0134】
このような構成によれば、前扉が前記第2状態(開放状態)の場合における前記第2寸法が、前扉が前記第1状態(閉鎖状態)の場合における前記第1寸法よりも小さいが、その場合であっても、前記第2寸法は、遊技メダルの厚さよりは大きくなっている。このため、筐体の載置面に遊技メダルが存在している状態で、前扉を開閉させた場合であっても、前扉の下端が当該遊技メダルに接触することがない。よって、前扉の開閉をスムーズに行うことができる。また、当該遊技メダルの存在によって、前扉を開閉できないという問題や、当該遊技メダルを挟み込むことにより部品が破損するという問題が生じるのを防ぐことができる。換言すると、前扉を開閉する際に部品が故障する可能性を低減できる。また、第2寸法が第1寸法よりも小さく、前扉を開放した状態における、前扉の下端と前記筐体の載置面との間の隙間が、前扉を閉鎖した状態における当該隙間よりも狭くなっている。このため、前扉が開放している状態では、当該隙間を介して部材等を差し込むことがより困難となる。したがって、不正行為を抑制できる。換言すると、不正対策性能を向上させることができる。
【0135】
また、本実施形態の遊技機において、
前記前扉の状態には、さらに第3状態が含まれ、
前記第3状態は、前記前扉が開放された状態であって、前記前扉の開放角度が前記第2状態よりも小さい状態であり、
前記第3状態における、前記前扉の下端と、前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法を第3寸法とすると、
前記第3寸法は、前記第1寸法よりも小さく、遊技メダルの厚さよりも大きい。
【0136】
前扉が前記第3状態(半開放状態)の場合における前記第3寸法が、前扉が前記第1状態(閉鎖状態)の場合における前記第1寸法よりも小さいが、その場合であっても、前記第3寸法は、遊技メダルの厚さよりは大きくなっている。これにより、当該遊技メダルの存在によって、前扉を開閉できないという問題や、当該遊技メダルを挟み込むことにより部品が破損するという問題が生じるのを防ぐことができる。換言すると、前扉の開閉をスムーズに行うことができるとともに、前扉を開閉する際に部品が故障する可能性を低減できる。
【0137】
また、本実施形態の遊技機において、
前記第1寸法、前記第2寸法および前記第3寸法は、遊技球の直径よりも小さくなっている。
【0138】
第1寸法、第2寸法、および第3寸法が遊技球の直径よりも小さくなっているため、前扉の下方において、遊技球が、前扉の下端に到達する位置まで入り込むのを防ぐことができる。また、前扉の下端よりも手前側で遊技球が停止している状態で前扉を開放すると、遊技球は手前側へと押し出されて載置面から落下する。このため、当該遊技球が、次に前扉を閉じる際の妨げとなるのを防止できる。
【0139】
また、本実施形態の遊技機は、
筐体と、
前記筐体に対して開閉可能に設けられた前扉と、を備え、
前記前扉の状態には、第1状態と第2状態とが含まれ、
前記第1状態は、前記前扉が閉鎖された状態であり、
前記第2状態は、前記前扉が開放された状態であり、
前記第1状態における、前記前扉の下端と、前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法を第1寸法とし、
前記第2状態における、前記前扉の下端と、前記筐体の載置面との間の上下方向の寸法を第2寸法とすると、
前記第2状態には、前記第2寸法が前記第1寸法よりも小さくなる第21状態が含まれ、
前記第21状態において、前記第2寸法が遊技メダルの厚さよりも大きい。
【0140】
このような構成によれば、前記第21状態では、前記第2寸法が前記第1寸法よりも小さくなるが、その場合であっても、前記第2寸法は遊技メダルの厚さよりは大きい。このため、筐体の載置面に遊技メダルが存在している状態で、前扉を開閉させた場合であっても、前扉の下端が当該遊技メダルに接触することがない。よって、前扉の開閉をスムーズに行うことができる。また、当該遊技メダルの存在によって、前扉を開閉できないという問題や、当該遊技メダルを挟み込むことにより部品が破損するという問題が生じるのを防ぐことができる。換言すると、前扉を開閉する際に部品が故障する可能性を低減できる。また、前記第21状態では、前記第2寸法が前記第1寸法よりも小さくなるため、前扉の下端と前記筐体の載置面との間の隙間を介して部材等を差し込むことがより困難となる。したがって、不正行為を抑制できる。換言すると、不正対策性能を向上させることができる。
【0141】
(第7の実施の形態)
次に本発明の第7の実施の形態について説明する。
本実施の形態の遊技機は、基本的に第1の実施の形態の遊技機と同様の構成を有するものであるため、第1の実施の形態の遊技機と同様の構成については、その説明を省略ないし簡略化する。
【0142】
メダル投入口34(
図1)の下方には、セレクタ装置(図示せず)が設けられている。セレクタ装置は、メダル投入口34から投入されたメダルを選別するために設けられている。セレクタ装置は、例えば、投入されたメダルが正規のメダルではない場合や、メダルの投入タイミングが適切でない場合等に、投入されたメダルを後述する(
図22に示す)キャンセルシュート40へ導く(キャンセルシュート40に向けて落下させる)ようになっている。
【0143】
図22に示すように、キャンセルシュート40は、受皿38に接続されている。また、受皿38は払出口90を備えている。払出口90は、受皿38における後方側(背面側)に形成されている。受皿38は、払出口90から払い出されたメダルを受けることが可能に(溜めることが可能に)、皿状に形成されている。キャンセルシュート40は、払出口90の背面側に接続されている。なお、受皿38は、前扉20の下方における前面側に設けられ、キャンセルシュート40は、前扉20の下方における背面側に設けられている。
【0144】
図23に示すように、キャンセルシュート40(案内通路)は、前後方向において、前方側に配置される前部材41と、後方側に配置される後部材42と、を備えている。換言すると、キャンセルシュート40は、前部材41と後部材42とを前後から合わせる(組み合わせる)ことにより構成される。キャンセルシュート40は、前部材41と後部材42とを組み合わせると、内部(内側)に空間が形成されるようになっている。キャンセルシュート40は、第1開口42c、第2開口42aおよび第3開口42bを備えている。
【0145】
第2開口42aは、キャンセルシュート40の上面に形成されている。第2開口42aは、前部材41と後部材42とを組み合わせることで構成される。セレクタ装置からのメダルは、第2開口42aを介してキャンセルシュート40内に入り、キャンセルシュート40から受皿38へ払い出される。
【0146】
第3開口42bは、キャンセルシュート40の背面に形成されている。第3開口42bは、後部材42の後方側に形成されている。例えば、小役が入賞した場合や、クレジットされたメダルが存在する状態で精算ボタン31が押下された場合等に、メダル払出装置11からメダルが払い出される。メダル払出装置11から払い出されたメダルは、第3開口42bを介してキャンセルシュート40内に入り、キャンセルシュート40から受皿38へ払い出される。
【0147】
第1開口42cは、キャンセルシュート40の下方に形成されている。第1開口42cは、後部材42における前方側の下方(第2開口42aおよび第3開口42bよりも下方)に形成されている。第1開口42cは、受皿38の払出口90に接続されるようになっている。
【0148】
第2開口42aや第3開口42bからキャンセルシュート40の中に入ったメダルは、メダルの自重によってキャンセルシュート40内を通過し、第1開口42cへと導かれる(案内される)。そして、当該メダルは、第1開口42cに接続された払出口90を介して受皿38に払い出される。
【0149】
図23に示すように、キャンセルシュート40の内面のうちの下側の内面を第21内面40D(案内通路下内面)とする。また、キャンセルシュート40の内面のうちの右側の内面を第22内面40R(案内通路右内面)とする。また、キャンセルシュート40の内面のうちの左側の内面を第23内面40L(案内通路左内面)とする。本実施形態では、前後方向に所定の長さを有する第1開口42cが、案内通路の一部(キャンセルシュート40の内面)を構成している。換言すると、第21内面40Dは、第1開口42cの内面のうちの下側の内面である。第22内面40Rは、第1開口42cの内面のうちの右側の内面である。第23内面40Lは、第1開口42cの内面のうちの左側の内面である。
【0150】
また、
図23に示すように、払出口90の内面のうちの下側の内面を第11内面90D(払出口下内面)とする。また、払出口90の内面のうちの右側の内面を第12内面90R(払出口右内面)とする。また、払出口90の内面のうちの左側の内面を第13内面90L(払出口左内面)とする。
図24は、払出口90とキャンセルシュート40(第1開口42c)との境界部分(接続部分)を、前方側(正面側)から見た図である。
【0151】
ここで、仮に、払出口90の大きさと第1開口42cの大きさが同一になっているすると、例えば部品寸法の精度(バラつき)や組み付け時の精度(バラつき)等によって、払出口90のいずれかの内面が第1開口42cの内面よりも内側に位置する状態となり得る。その場合、キャンセルシュート40を通過したメダルが払出口90の内面(縁)に引っ掛かり(減速し)、メダルがスムーズに払い出されないという問題が生じ得る。
【0152】
(第1段差部G1)
本実施形態の遊技機では、払出口90とキャンセルシュート40との境界部分において、第11内面90Dが第21内面40Dよりも下方に設けられている。換言すると、払出口90とキャンセルシュート40との境界部分(接続部分)には、メダルの払出経路を下方に拡大する段差部(第1段差部G1)が形成されている。
図25のL-L断面に示すように、第11内面90Dと第21内面40Dとの間に第1段差部G1が形成されている。メダルの払出経路が下方に拡大されているため、払い出しの際にメダルが引っ掛かるという問題が生じるのを防止でき、メダルのスムーズな払い出しを実現できる。
【0153】
(第2段差部G2)
また、本実施形態の遊技機では、払出口90とキャンセルシュート40との境界部分において、第12内面90Rが第22内面40Rよりも右方に設けられている。換言すると、払出口90とキャンセルシュート40との境界部分(接続部分)には、メダルの払出経路を右側に拡大する段差部(第2段差部G2)が形成されている。
図25のN-N断面に示すように、第12内面90Rと第22内面40Rとの間に、第2段差部G2が形成されている。メダルの払出経路が右側に拡大されているため、払い出しの際にメダルが引っ掛かるという問題が生じるのを防止でき、メダルのスムーズな払い出しを実現できる。
【0154】
(第3段差部G3)
また、本実施形態の遊技機では、払出口90とキャンセルシュート40との境界部分において、第13内面90Lが第23内面40Lよりも左方に設けられている。換言すると、払出口90とキャンセルシュート40との境界部分(接続部分)には、メダルの払出経路を左側に拡大する段差部(第3段差部G3)が形成されている。
図25のM-M断面に示すように、第13内面90Lと第23内面40Lとの間に、第3段差部G3が形成されている。メダルの払出経路が左側に拡大されているため、払い出しの際にメダルが引っ掛かるという問題が生じるのを防止でき、メダルのスムーズな払い出しを実現できる。
【0155】
図24に示すように、第1段差部G1の段差の大きさ(高さ)をG1Hとする。また、第2段差部G2の段差の大きさ(幅)をG2Wとする。また、第3段差部G3の段差の大きさ(幅)をG3Wとする。G1HはG2WおよびG3Wよりも大きく形成されている。G1HをG2WおよびG3Wよりも大きくすることで、メダルの重さを効率よく利用してメダルのスムーズな払い出しが可能となる。また、G1HをG2WおよびG3Wよりも大きくすることで、受皿38に払い出されたメダルが、払出口90からキャンセルシュート40へ向けて逆流するといったことを防止できる。さらに、本実施形態では、G2WおよびG3WをG1Hよりも小さくすることで、メダルが引っ掛かるといった問題を防止しながら、可能な限りキャンセルシュート40(第1開口42c)の幅を狭めないようにすることが可能である。
【0156】
G1Hは、メダル1~2枚程度の厚さに相当する値となっている。具体的には、G1Hは、約1.6mm~約3.2mm程度となっている。なお、G1Hは、メダル1枚分の厚さ(1枚のメダルの厚さ)と同一または略同一となっていてもよい。略同一とは、両者の差がメダル1枚分の厚さの約30%(約0.5mm)以内となっていることをいう。
また、G2WおよびG3Wは、メダル1枚程度の厚さ以下の値であることが好ましい。具体的には、G2WおよびG3Wは、約1.6mm以下であることが好ましい。なお、G2WおよびG3Wは、メダル1枚分の厚さ(1枚のメダルの厚さ)と同一または略同一となっていてもよい。略同一とは、両者の差がメダル1枚分の厚さの約30%(約0.5mm)以内となっていることをいう。また、払出口90の奥行き(前方の縁から後方の縁までの距離:受皿38との境界から第1開口42cとの境界までの距離)は、メダル1~10枚程度の厚さに相当する値であることが好ましい。具体的には、当該奥行きは、約1.6mm~約16mm程度であることが好ましい。
【0157】
本実施形態では、遊技メダル(
図20に示すメダルM)として、直径が約25.0mm、厚さが約1.6mmのものを用いるものとするが、遊技メダルとして、直径が約30.3mm、厚さが約1.7mmのものを用いてもよい。
【0158】
なお、本実施形態では、キャンセルシュート40を2つの部材を組み合わせて構成する例を示したが、キャンセルシュート40は、1部材で構成されるものであってもよく、3つ以上の部材を組み合わせて構成されるものであってもよい。また、他の部材の一部がキャンセルシュート40(の一部)を兼ねるように構成されていてもよい。例えば、前扉20(下扉)に設けられている背面カバーの一部が、前部材41を兼ねる(前扉の背面カバーの一部を前部材41としても機能させる)ようになっていてもよい。
【0159】
なお、本実施形態において、「内面」という場合、線状の領域も含まれるものとする。すなわち、薄い板に開口を形成した場合、当該開口の内面(内周、縁)は、面積の小さい線状の領域となるが、この線状の領域も「内面」に含まれる。
【0160】
また、所定の厚さを有する板に開口を形成した場合に、開口端(開口の縁)は角部(板面と開口との境界である鋭利な部分)となるが、その角部に面取りやR加工(曲面加工)が施される場合がある。本実施形態において「内面」という場合、面取りが施された面(上下方向や前後方向や左右方向に傾斜した面)やR加工が施された面(曲面)を含むものとする。また、「内面」には、前述した以外の各種形状の面(屈曲面、湾曲面、微細な凹凸が形成された凹凸面等)も含まれるものとする。
【0161】
本実施形態の遊技機は、
払出口が形成された受皿と、
前記払出口へと遊技メダルを案内する案内通路と、を備え、
前記払出口の内面のうちの下側の内面を第11内面とし、
前記払出口の内面のうちの右側の内面を第12内面とし、
前記払出口の内面のうちの左側の内面を第13内面とし、
前記案内通路の内面のうちの下側の内面を第21内面とし、
前記案内通路の内面のうちの右側の内面を第22内面とし、
前記案内通路の内面のうちの左側の内面を第23内面とすると、
前記第11内面が前記第21内面よりも下方に形成されており、
前記第11内面と前記第21内面との間に第1段差部が形成されており、
前記第12内面が前記第22内面よりも右方に形成されており、
前記第12内面と前記第22内面との間に第2段差部が形成されており、
前記第13内面が前記23内面よりも左方に形成されており、
前記第13内面と前記第23内面との間に第3段差部が形成されている
ことを特徴とする。
【0162】
このような構成によれば、メダルの払出経路を下方に拡大する第1段差部と、メダルの払出経路を右側に拡大する第2段差部と、メダルの払出経路を左側に拡大する第3段差部と、が形成されているため、払い出しの際にメダルが引っ掛かることがなく、メダルのスムーズな払い出しを実現できる。
【0163】
また、本実施形態の遊技機は、
前記第1段差部の段差の大きさが、前記第2段差部および前記第3段差部の段差の大きさよりも大きい
ことを特徴とする。
【0164】
下方の払出経路の方が、左右の払出経路よりもメダルの通過頻度が高い。そこで、下方の経路の拡大量を左右の経路の拡大量よりも大きくすることで、メダルの引っ掛かりが生じるのをより確実に防ぎ、メダルのスムーズな払い出しを実現できる。一方で、左右の経路の拡大量を、下方の経路の拡大量よりも小さくすることで(間口を狭くすることで)、受皿に比較的多くのメダルが溜まった際に、払出口を介して案内通路へメダルが侵入する(逆流する)可能性を低減できる。
【0165】
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、任意の構成要素の変形または任意の構成要素の省略が可能である。換言すると、遊技機の構成等は上述した各実施の形態のそれに限定されない。また、本発明は、発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0166】
20 前扉
70 リジェクトボタン
71 操作部
86 ストッパー部