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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102252
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】成形機用金型及び成形機
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/22 20060101AFI20220630BHJP
   B22C 9/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
B22D17/22 E
B22C9/00 E
B22D17/22 B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216883
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】辻 眞
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩
(72)【発明者】
【氏名】野田 三郎
(57)【要約】
【課題】サージ圧を低減できる局部加圧装置を備えた成形機用金型を提供する。
【解決手段】実施形態の成形機用金型は、成形面と成形面に対向する支持面を有する本体部と、少なくとも一部が本体部に組み込まれた局部加圧装置と、を備え、局部加圧装置は、一端が本体部の成形面の側に露出する加圧ピンと、本体部の支持面の側に設けられ、加圧ピンを駆動するアクチュエータと、加圧ピンと本体部との間に加圧ピンを囲んで設けられ、一端が本体部の成形面の側に露出する圧力減衰部材と、圧力減衰部材と支持面との間に設けられた弾性体と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形面と前記成形面に対向する支持面を有する本体部と、少なくとも一部が前記本体部に組み込まれた局部加圧装置と、を備え、
前記局部加圧装置は、
一端が前記本体部の前記成形面の側に露出する加圧ピンと、
前記本体部の前記支持面の側に設けられ、前記加圧ピンを駆動するアクチュエータと、
前記加圧ピンと前記本体部との間に前記加圧ピンを囲んで設けられ、一端が前記本体部の前記成形面の側に露出する圧力減衰部材と、
前記圧力減衰部材と前記支持面との間に設けられた弾性体と、
を含むことを特徴とする成形機用金型。
【請求項2】
前記局部加圧装置は、前記圧力減衰部材と前記本体部との間に前記圧力減衰部材を囲んで設けられた環状の第1のシール部材を、更に含むことを特徴とする請求項1記載の成形機用金型。
【請求項3】
前記第1のシール部材は鋳鉄又はスチールを含むことを特徴とする請求項2記載の成形機用金型。
【請求項4】
前記局部加圧装置は、前記加圧ピンと前記圧力減衰部材との間に前記加圧ピンを囲んで設けられた環状の第2のシール部材を、更に含むことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の成形機用金型。
【請求項5】
前記加圧ピンは前記圧力減衰部材の他端に接触可能な環状の凸部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項4いずれか一項記載の成形機用金型。
【請求項6】
前記加圧ピンの位置をモニタする位置センサを、更に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5いずれか一項記載の成形機用金型。
【請求項7】
前記弾性体は皿ばねであることを特徴とする請求項1ないし請求項6いずれか一項記載の成形機用金型。
【請求項8】
前記加圧ピンが後退限に位置する場合の前記加圧ピンの前記一端は、前記圧力減衰部材が前進限に位置する場合の前記圧力減衰部材の前記一端と面一か前記成形面の側に突出した位置にあることを特徴とする請求項1ないし請求項7いずれか一項記載の成形機用金型。
【請求項9】
前記加圧ピンが後退限に位置する場合の前記加圧ピンの前記一端は、前記圧力減衰部材が前進限に位置する場合の前記圧力減衰部材の前記一端よりも前記支持面の側にあることを特徴とする請求項1ないし請求項7いずれか一項記載の成形機用金型。
【請求項10】
前記請求項1ないし請求項9いずれか一項記載の成形機用金型を備える成形機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型内の空洞に射出装置を用いて溶湯を充填することで成形品を製造する成形機用金型、及び成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
成形機の一例であるダイカストマシンは、型締装置を用いて型締めされた金型内の空洞(キャビティ)に、射出装置を用いて溶湯を充填することで、成形品(ダイカスト品)を製造する。ダイカストマシンでは、特に成形品の大型化や薄肉化に対応するために、金型内の空洞に短時間で溶湯を充填することが要求される。
【0003】
短時間で溶湯を充填するために、射出装置の射出速度を高速化する必要がある。しかし、射出速度を高速化すると、射出プランジャの慣性力によって溶湯に生じるサージ圧により、バリが吹きやすくなるという問題が生じる。したがって、サージ圧の低減を実現することが望まれる。
【0004】
また、成形品の品質を向上させるために、成形品の内部の引け巣を抑制することが望まれる。引け巣を抑制する方法として、例えば、溶湯が金型内で凝固を開始してから、金型に設けた加圧ピンを成形品に押し込む局部加圧法がある。
【0005】
特許文献1には、ばねを用いて溶湯に生じるサージ圧を減衰する圧力減衰装置が記載されている。また、特許文献2には、ばねの力を用いて加圧ピンを成形品に押し込む局部加圧装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭59-2580号公報
【特許文献2】実開平2-81748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、サージ圧を低減できる局部加圧装置を備えた成形機用金型及び成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の成形機用金型は、成形面と前記成形面に対向する支持面を有する本体部と、少なくとも一部が前記本体部に組み込まれた局部加圧装置と、を備え、前記局部加圧装置は、一端が前記本体部の前記成形面の側に露出する加圧ピンと、前記本体部の前記支持面の側に設けられ、前記加圧ピンを駆動するアクチュエータと、前記加圧ピンと前記本体部との間に前記加圧ピンを囲んで設けられ、一端が前記本体部の前記成形面の側に露出する圧力減衰部材と、前記圧力減衰部材と前記支持面との間に設けられた弾性体と、を含む。
【0009】
上記態様の成形機用金型において、前記局部加圧装置は、前記圧力減衰部材と前記本体部との間に前記圧力減衰部材を囲んで設けられた環状の第1のシール部材を、更に含むことが好ましい。
【0010】
上記態様の成形機用金型において、前記第1のシール部材は鋳鉄又はスチールを含むことが好ましい。
【0011】
上記態様の成形機用金型において、前記局部加圧装置は、前記加圧ピンと前記圧力減衰部材との間に前記加圧ピンを囲んで設けられた環状の第2のシール部材を、更に含むことが好ましい。
【0012】
上記態様の成形機用金型において、前記加圧ピンは前記圧力減衰部材の他端に接触可能な環状の凸部を有することが好ましい。
【0013】
上記態様の成形機用金型において、前記加圧ピンの位置をモニタする位置センサを、更に備えることが好ましい。
【0014】
上記態様の成形機用金型において、前記弾性体は皿ばねであることが好ましい。
【0015】
上記態様の成形機用金型において、前記加圧ピンが後退限に位置する場合の前記加圧ピンの前記一端は、前記圧力減衰部材が前進限に位置する場合の前記圧力減衰部材の前記一端と面一か前記成形面の側に突出した位置にあることが好ましい。
【0016】
上記態様の成形機用金型において、前記加圧ピンが後退限に位置する場合の前記加圧ピンの前記一端は、前記圧力減衰部材が前進限に位置する場合の前記圧力減衰部材の前記一端よりも前記支持面の側にあることが好ましい。
【0017】
本発明の一態様の成形機は、上記態様の成形機用金型を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、サージ圧を低減できる局部加圧装置を備えた成形機用金型及び成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態の成形機の全体構成を示す模式図。
図2】第1の実施形態の成形機用金型の模式断面図。
図3】第1の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図4】第1の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図5】第1の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図6】第1の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図7】第1の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図8】第1の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図9】第1の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図10】第1の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図11】第1の実施形態の成形機の動作の一例を示すグラフ。
図12】第2の実施形態の成形機用金型の模式断面図。
図13】第2の実施形態の成形機用金型の模式断面図。
図14】第2の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図15】第2の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図16】第2の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図17】第2の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図18】第2の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図19】第2の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図20】第2の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
図21】第2の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
なお、本明細書では、液圧の一例として、油圧を用いて説明する。例えば、液圧回路の一例として油圧回路、液圧アクチュエータの一例として油圧アクチュエータ、液圧装置の一例として油圧装置を用いて説明する。油圧にかえて、例えば、水圧を用いることも可能である。また、本明細書では、作動液の一例として、作動油を用いて説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の成形機用金型は、成形面と成形面に対向する支持面を有する本体部と、少なくとも一部が本体部に組み込まれた局部加圧装置と、を備え、局部加圧装置は、一端が本体部の成形面の側に露出する加圧ピンと、本体部の支持面の側に設けられ、加圧ピンを駆動するアクチュエータと、加圧ピンと本体部との間に加圧ピンを囲んで設けられ、一端が本体部の成形面の側に露出する圧力減衰部材と、圧力減衰部材と支持面との間に設けられた弾性体と、を含む。第1の実施形態の成形機用金型は、加圧ピンが後退限に位置する場合の加圧ピンの一端は、圧力減衰部材が前進限に位置する場合の圧力減衰部材の一端と面一か成形面の側に突出した位置にある。
【0023】
また、第1の実施形態の成形機は、上記構成の成形機用金型を備える。
【0024】
図1は、第1の実施形態の成形機の全体構成を示す模式図である。図1は、一部に断面図を含む側面図である。第1の実施形態の成形機は、ダイカストマシン100である。ダイカストマシン100は、コールドチャンバ式のダイカストマシンである。
【0025】
ダイカストマシン100は、型締装置10、押出装置12、射出装置14、金型18、制御ユニット20、ベース22、固定ダイプレート24、可動ダイプレート26、リンクハウジング28、及びタイバー30を備える。
【0026】
ダイカストマシン100は、金型18の内部(図1中の空洞Ca)に液状金属(溶湯)を射出して充填し、その液状金属を金型18内で凝固させることにより、ダイカスト品を製造する機械である。金属は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金、又は、マグネシウム合金である。
【0027】
金型18は、固定型18aと可動型18bを含む。金型18は、型締装置10と射出装置14との間に設けられる。
【0028】
固定型18aは、本体部40と局部加圧装置50を備える。固定型18aは、第1の実施形態の成形機用金型の一例である。
【0029】
固定ダイプレート24はベース22の上に固定される。固定ダイプレート24は、固定型18aを保持することが可能である。
【0030】
可動ダイプレート26は、ベース22の上に型開閉方向に移動可能に設けられる。型開閉方向とは、図1に示す型開方向及び型閉方向の両方向を意味する。可動ダイプレート26は、可動型18bを固定型18aに対向して保持することが可能である。
【0031】
リンクハウジング28は、ベース22の上に設けられる。リンクハウジング28には、型締装置10を構成するリンク機構の一端が固定される。
【0032】
固定ダイプレート24とリンクハウジング28は、タイバー30により固定される。タイバー30は、固定型18aと可動型18bに型締力が加えられている間は、型締力を支える。
【0033】
型締装置10は、金型18の開閉及び型締めを行う機能を有する。射出装置14は、金型18の空洞Caに溶湯を射出して、金型18の空洞Caの中に溶湯を充填し、溶湯を加圧する機能を有する。押出装置12は、製造されたダイカスト品を金型18から押し出す機能を有する。
【0034】
制御ユニット20は、制御装置32、入力装置34、表示装置36を含む。制御ユニット20は、型締装置10、押出装置12、射出装置14、及び局部加圧装置50を用いたダイカストマシン100の成形動作を制御する機能を有する。
【0035】
入力装置34は、オペレータの入力操作を受け付ける。オペレータは、入力装置34を用いて、ダイカストマシン100の成形条件等の設定が可能となる。入力装置34は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイを用いたタッチパネルである。
【0036】
表示装置36は、例えば、ダイカストマシン100の成形条件、動作状況等を画面に表示する。表示装置36は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0037】
制御装置32は、各種の演算を行って、ダイカストマシン100の各部に制御指令を出力する機能を有する。制御装置32は、例えば、成形条件等を記憶する機能を有する。制御装置32は、例えば、射出装置14の動作を制御する。制御装置32は、例えば、金型18の空洞Caの中への溶湯の充填状況に基づき、局部加圧装置50の動作を制御する。
【0038】
制御装置32は、例えば、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで構成される。制御装置32は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、半導体メモリ、及び半導体メモリに記憶された制御プログラムを含む。
【0039】
図2は、第1の実施形態の成形機用金型の模式断面図である。図2は、固定型18aと可動型18bとが接触した状態、言い換えれば、固定型18aと可動型18bとが型締めされた状態を示す。固定型18aと可動型18bで挟まれた領域が、空洞Caである。
【0040】
固定型18aは、本体部40と局部加圧装置50を含む。局部加圧装置50の少なくとも一部は、本体部40に組み込まれる。
【0041】
本体部40は、成形面40xと支持面40yを有する。支持面40yは成形面40xに対向する。成形面40xは、空洞Caの側の面である。支持面40yは固定ダイプレート24の側の面である。
【0042】
局部加圧装置50は、加圧ピン52、アクチュエータ54、圧力減衰部材56、第1のシール部材58、第2のシール部材60、皿ばね62(弾性体)、及び位置センサ64を含む。加圧ピン52は、第1の凸部52a(凸部)を有する。アクチュエータ54は、シリンダ54a、ピストン54b、位置センサ用ロッド54c、ロッド側室54x、キャップ側室54yを有する。圧力減衰部材56は、第2の凸部56aを有する。
【0043】
皿ばね62は、弾性体の一例である。第1の凸部52aは、凸部の一例である。
【0044】
加圧ピン52は、成形面40xから支持面40yに向かう方向に伸長する。加圧ピン52は、型開閉方向に伸長する。
【0045】
加圧ピン52は、一端が本体部40の成形面40xの側に露出する。加圧ピン52の一端は、空洞Caに突出可能に設けられる。加圧ピン52の他端は支持面40yの側に設けられる。加圧ピン52の他端は、例えば、アクチュエータ54のピストン54bに固定される。
【0046】
加圧ピン52は、例えば、円柱形状である。加圧ピン52の直径は、例えば、10mm以上30mm以下である。
【0047】
加圧ピン52の少なくとも一部は、圧力減衰部材56に囲まれる。加圧ピン52の少なくとも一部は、本体部40に囲まれる。加圧ピン52は、圧力減衰部材56に対して、摺動可能に設けられる。
【0048】
第1の凸部52aは、加圧ピン52の一部である。第1の凸部52aは、例えば、円環形状である。第1の凸部52aは、例えば、フランジ形状である。第1の凸部52aは、圧力減衰部材56の支持面40yの側の端部に接触可能に設けられる。
【0049】
第1の凸部52aは、例えば、加圧ピン52の後退限の位置を規定する。第1の凸部52aが本体部40に接することで、加圧ピン52の後退が止まる。
【0050】
加圧ピン52は、ダイカスト品の製造時に、空洞Caの中に充填された溶湯が凝固を開始してから、溶湯の一部を加圧する機能を有する。加圧ピン52は、例えば、製品領域の溶湯の一部を加圧する機能を有する。
【0051】
アクチュエータ54は、本体部40の支持面40yの側に設けられる。アクチュエータ54は、例えば、支持面40yに固定される。
【0052】
アクチュエータ54は、例えば、液圧装置である。アクチュエータ54は、例えば、油圧装置である。
【0053】
ピストン54bは、シリンダ54aの中を摺動可能に設けられる。ピストン54bの本体部40側には、加圧ピン52が固定される。ピストン54bの加圧ピン52と反対側には、例えば、位置センサ用ロッド54cが固定される。
【0054】
ロッド側室54x及びキャップ側室54yには、図示しない油圧回路を用いて作動油を供給することが可能である。また、図示しない油圧回路を用いて作動油を、ロッド側室54x及びキャップ側室54yから排出することが可能である。
【0055】
アクチュエータ54は、加圧ピン52を駆動する機能を有する。
【0056】
圧力減衰部材56は、加圧ピン52と本体部40との間に加圧ピンを囲んで設けられる。圧力減衰部材56は、一端が本体部40の成形面40xの側に露出する。圧力減衰部材56の一端は、成形面40xの空洞Caに露出する。加圧ピン52の他端は、例えば、加圧ピン52の第1の凸部52aに接触可能である。
【0057】
圧力減衰部材56は、例えば、円筒形状である。圧力減衰部材56の外周の直径は、例えば、30mm以上50mm以下である。
【0058】
圧力減衰部材56の少なくとも一部は、本体部40に囲まれる。圧力減衰部材56は、加圧ピン52及び本体部40に対して摺動可能に設けられる。
【0059】
第2の凸部56aは、圧力減衰部材56の一部である。第2の凸部56aは、例えば、フランジ形状である。第2の凸部56aの成形面40x側の端部は、例えば、本体部40に接触可能に設けられる。第2の凸部56aの支持面40y側の端部は、例えば、皿ばね62に接触する。
【0060】
第2の凸部56aは、圧力減衰部材56の前進限の位置を規定する。第2の凸部56aが本体部40に接触することで、圧力減衰部材56の前進が止まる。
【0061】
圧力減衰部材56は、ダイカスト品の製造時に、溶湯に生じるサージ圧を低減する機能を有する。
【0062】
加圧ピン52が後退限に位置する場合の加圧ピン52の空洞Ca側の一端は、圧力減衰部材56が前進限に位置する場合の圧力減衰部材56の空洞Ca側の一端と面一か成形面40xの側に突出した位置にある。
【0063】
第1のシール部材58は、圧力減衰部材56と本体部40との間に設けられる。第1のシール部材58は、圧力減衰部材56を囲む環状である。第1のシール部材58は、例えば、圧力減衰部材56に固定される。
【0064】
第1のシール部材58は、耐熱性の高い材料である。第1のシール部材58は、例えば、金属である。第1のシール部材58は、例えば、鋳鉄又はスチールを含む。第1のシール部材58は、圧力減衰部材56と本体部40との間に溶湯が侵入することを抑制する機能を有する。
【0065】
第2のシール部材60は、加圧ピン52と圧力減衰部材56との間に設けられる。第2のシール部材60は、加圧ピン52を囲む環状である。第2のシール部材60は、例えば、圧力減衰部材56に固定される。
【0066】
第2のシール部材60は、耐熱性の高い材料である。第2のシール部材60は、例えば、金属である。第2のシール部材60は、例えば、鋳鉄又はスチールを含む。第2のシール部材60は、加圧ピン52と圧力減衰部材56との間に溶湯が侵入することを抑制する機能を有する。
【0067】
皿ばね62は、圧力減衰部材56と支持面40yとの間に設けられる。皿ばね62は、圧力減衰部材56と本体部40との間に設けられる。皿ばね62は、第2の凸部56aと支持面40yとの間に設けられる。皿ばね62は、第2の凸部56aと本体部40との間に設けられる。
【0068】
皿ばね62は、例えば、直列に複数個が組み合わされる。皿ばね62は、ダイカスト品の製造時にたわむことにより、溶湯に生じるサージ圧を吸収する機能を有する。
【0069】
位置センサ64は、位置センサ用ロッド54cの近傍に設けられる。位置センサ64は、位置センサ用ロッド54cの位置を検出する機能を有する。位置センサ64は、位置センサ用ロッド54cの位置を検出することで、間接的に加圧ピン52の位置をモニタする。
【0070】
位置センサ64は、例えば、光学式又は磁気式のリニアエンコーダである。
【0071】
次に、第1の実施形態の局部加圧装置50の動作の一例について説明する。図3図4図5図6図7図8図9、及び図10は、第1の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図である。
【0072】
ダイカスト品の製造前は、固定型18aと可動型18bは離間した状態にある(図3)。加圧ピン52の第1の凸部52aは、例えば、本体部40に接している。加圧ピン52は後退限の位置にある。圧力減衰部材56は前進限の位置にある。
【0073】
次に、可動ダイプレート26を移動させ、可動ダイプレート26に固定された可動型18bを固定型18aに接触させる(図4)。可動型18bと固定型18aとの間に空洞Caが形成される。その後、型締装置10を用いて、可動型18bと固定型18aの型締めが行われる。
【0074】
次に、射出装置14を用いて、金型18の空洞Caの中に溶湯70を充填する(図5)。射出装置14により溶湯70に圧力が印加され、溶湯70の圧力が上昇する。
【0075】
溶湯70の圧力が上昇すると、溶湯70の圧力で圧力減衰部材56が後退する。皿ばね62がたわみ、溶湯70の圧力を吸収する。溶湯70の圧力と皿ばね62の弾性力とがつり合った時点で圧力減衰部材56の後退が止まる(図6)。
【0076】
その後、皿ばね62の弾性力により圧力減衰部材56が前進する。第2の凸部56aが本体部40に接した時点で圧力減衰部材56の前進が止まる(図7)。第2の凸部56aが本体部40に接した位置が圧力減衰部材56の前進限となる。
【0077】
次に、アクチュエータ54を用いて、加圧ピン52を前進させる(図8)。加圧ピン52により凝固を開始した溶湯70の一部が加圧される。
【0078】
加圧ピン52の前進を開始させるタイミングは、例えば、射出装置14の射出速度の変化と連動させる。加圧ピン52の前進を開始させるタイミングは、例えば、制御装置32が局部加圧装置50を制御することで、制御される。
【0079】
加圧ピン52の前進量は、例えば、加圧ピン52の位置を位置センサ64でモニタすることで制御可能である。加圧ピン52の前進量は、例えば、制御装置32が局部加圧装置50を制御することで、制御される。
【0080】
溶湯70が完全に凝固した後、型締装置10を用いて型開きが行われる。製造されたダイカスト品は、押出装置12を用いて可動型18bから押し出される。加圧ピン52は、例えば、アクチュエータ54を用いて、後退限まで後退させる(図9)。
【0081】
次に、例えば、アクチュエータ54を用いて、加圧ピン52を前進させる(図10)。加圧ピン52を、例えば、前進限まで前進させる。加圧ピン52の第1の凸部52aが圧力減衰部材56に接した位置が、加圧ピン52の前進限となる。
【0082】
例えば、圧力減衰部材56と本体部40との間に溶湯70が侵入し凝固することで、圧力減衰部材56が前進限まで戻っていなかった場合を考える。この場合でも、加圧ピン52により圧力減衰部材56を押すことにより、圧力減衰部材56を前進限まで戻すことが可能である。
【0083】
次に、第1の実施形態の成形機用金型及び成形機の作用及び効果について説明する。すなわち、第1の実施形態の固定型18a及びダイカストマシン100の作用及び効果について説明する。
【0084】
ダイカスト品の品質を向上させるために、ダイカスト品の内部の引け巣を抑制することが望まれる。第1の実施形態の固定型18aは、局部加圧装置50を備える。溶湯70が金型18内で凝固を開始してから、局部加圧装置50の加圧ピン52を溶湯70に押し込むことで、溶湯70を局部的に加圧することが可能である。
【0085】
溶湯70を局部的に加圧することで、引け巣を抑制することが可能となる。したがって、第1の実施形態の固定型18a及びダイカストマシン100によれば、ダイカスト品の品質を向上させることが可能となる。
【0086】
図11は、第1の実施形態の成形機の動作の一例を示すグラフである。横軸は時間である。図11では、時間が経過するほど、プロットされる点は紙面右側に位置する。紙面左側の縦軸は、射出速度、すなわち射出装置の射出プランジャの速度を示している。また、紙面右側の縦軸は、空洞Ca内の溶湯に加えられる圧力を示している。
【0087】
図11中、実線Cvは射出プランジャの速度である。図11中、点線Cp0及び実線Cp1は溶湯に加えられる圧力である。点線Cp0は比較例の成形機用金型を用いた場合、実線Cp1は第1の実施形態の成形機用金型を用いた場合である。比較例の成形機用金型は、局部加圧装置50を備えない点で、第1の実施形態の成形機用金型と異なる。
【0088】
図11中点線Cxは、バリ吹き臨界曲線である。溶湯に加えられる圧力がバリ吹き臨界曲線を超えると、溶湯に加えられる圧力が型締力を上回りバリ吹きが発生するおそれがある。
【0089】
射出速度は、初期は溶湯への気体の巻き込みを抑制する観点から低速度である。射出速度は途中から、溶湯の空洞への充填時間を短縮するために高速度となる。
【0090】
特に、ダイカスト品の大型化や薄肉化に対応するためには、金型内の空洞に短時間で溶湯を充填することが要求される。このため、射出速度を高速化することが必要となる。
【0091】
しかし、射出速度を高速化すると、射出プランジャの慣性力によって溶湯に生じるサージ圧により、バリが吹きやすくなるという問題が生じる。例えば、比較例の場合、点線Cp0で示すように、溶湯に加えられる圧力がバリ吹き臨界曲線Cxを超え、バリ吹きが発生するおそれがある。
【0092】
バリ吹きが発生すると、例えば、ダイカスト品の品質が低下し不良品となる。また、例えば、安全上の大きな問題となり得る。
【0093】
第1の実施形態の成形機用金型、すなわち固定型18aは、局部加圧装置50を備える。局部加圧装置50は、圧力減衰部材56を備える。
【0094】
金型18の空洞Caに溶湯70が充填された際、溶湯に加えられる圧力が上昇すると圧力減衰部材56が後退し、溶湯に加えられた圧力が減衰する。したがって、実線Cp1で示すように、サージ圧が低減される。よって、第1の実施形態の成形機用金型を用いることにより、ダイカスト品の品質が向上する。
【0095】
局部加圧装置50は、第1のシール部材58を有することが好ましい。例えば、圧力減衰部材56と本体部40との間に溶湯70が侵入し凝固すると、圧力減衰部材56の移動が妨げられる。特に、溶湯70が皿ばね62が設けられた領域にまで侵入し凝固すると、圧力減衰部材56が全く機能しなくなる。
【0096】
第1のシール部材58を設けることで、圧力減衰部材56と本体部40との間に溶湯70が侵入することが抑制され、局部加圧装置50の動作の信頼性が向上する。
【0097】
また、加圧ピン52は第1の凸部52aを有することが好ましい。第1の凸部52aにより圧力減衰部材56を押すことが可能となる。例えば、圧力減衰部材56と本体部40との間に溶湯70が侵入し凝固することで、圧力減衰部材56が前進限まで戻っていない場合を考える。この場合でも、第1の凸部52aにより圧力減衰部材56を押すことにより、圧力減衰部材56を前進限まで戻すことが可能となる。よって、局部加圧装置50の動作の信頼性が向上する。
【0098】
また、第1の凸部52aを設けることで、圧力減衰部材56が前進限まで戻っていることを確認することが容易となる。
【0099】
局部加圧装置50は、第2のシール部材60を有することが好ましい。例えば、加圧ピン52と圧力減衰部材56との間に溶湯70が侵入し凝固すると、加圧ピン52及び圧力減衰部材56の移動が妨げられる。
【0100】
第2のシール部材60を設けることで、加圧ピン52と圧力減衰部材56との間に溶湯70が侵入することが抑制され、局部加圧装置50の動作の信頼性が向上する。
【0101】
局部加圧装置50の弾性体は、皿ばね62であることが好ましい。皿ばね62を用いることで、短い変位量で高い圧力を吸収することが可能となる。
【0102】
また、局部加圧装置50は、加圧ピン52を用いた局部加圧機構と、圧力減衰部材56を用いたサージ圧低減機構を一体化させることで、局部加圧機構とサージ圧低減機構の小型化を実現することが可能である。
【0103】
以上、第1の実施形態によれば、サージ圧を低減できる局部加圧装置を備えた成形機用金型及び成形機を実現することが可能となる。
【0104】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の成形機用金型は、加圧ピンが後退限に位置する場合の加圧ピンの一端は、圧力減衰部材が前進限に位置する場合の圧力減衰部材の一端よりも支持面の側にある点で、第1の実施形態の成形機用金型と異なる。また、第2の実施形態の成形機は、上記金型を備える点で第1の実施形態の成形機と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0105】
図12は、第2の実施形態の成形機用金型の模式断面図である。図12は、固定型18aと可動型18bとが接触した状態、言い換えれば、固定型18aと可動型18bとが型締めされた状態を示す。固定型18aと可動型18bで挟まれた領域が、空洞Caである。
【0106】
固定型18aは、本体部40と局部加圧装置50を含む。局部加圧装置50の少なくとも一部は、本体部40に組み込まれる。
【0107】
本体部40は、成形面40xと支持面40yを有する。支持面40yは成形面40xに対向する。成形面40xは、空洞Caの側の面である。支持面40yは固定ダイプレート24の側の面である。
【0108】
局部加圧装置50は、加圧ピン52、アクチュエータ54、圧力減衰部材56、第1のシール部材58、第2のシール部材60、皿ばね62(弾性体)、及び位置センサ64を含む。加圧ピン52は、第1の凸部52a(凸部)を有する。アクチュエータ54は、シリンダ54a、ピストン54b、位置センサ用ロッド54c、ロッド側室54x、キャップ側室54yを有する。圧力減衰部材56は、第2の凸部56aを有する。
【0109】
皿ばね62は、弾性体の一例である。第1の凸部52aは、凸部の一例である。
【0110】
図13は、第2の実施形態の成形機用金型の模式断面図である。図13は、加圧ピン52が後退限に位置する状態を示す。図13では、圧力減衰部材56は前進限に位置する状態を示す。
【0111】
加圧ピン52の後退限の位置は、第1の凸部52aが本体部40に接触する位置で規定される。圧力減衰部材56の前進限の位置は、第2の凸部56aが本体部40に接触する位置で規定される。
【0112】
図13に示すように、加圧ピン52が後退限に位置する場合の加圧ピン52の空洞Ca側の一端は、圧力減衰部材56が前進限に位置する場合の圧力減衰部材56の空洞Ca側の一端よりも支持面40yの側にある。言い換えれば、加圧ピン52の空洞Ca側の端部は、圧力減衰部材56の空洞Ca側の端部よりも、支持面40yの側にある。
【0113】
次に、第2の実施形態の局部加圧装置50の動作の一例について説明する。図14図15図16図17図18図19図20、及び図21は、第2の実施形態の局部加圧装置の動作の説明図である。
【0114】
ダイカスト品の製造前は、固定型18aと可動型18bは離間した状態にある(図14)。加圧ピン52の第1の凸部52aは、例えば、圧力減衰部材56と本体部40との間の位置にある。圧力減衰部材56は前進限の位置にある。
【0115】
次に、可動ダイプレート26を移動させ、可動ダイプレート26に固定された可動型18bを固定型18aに接触させる(図15)。可動型18bと固定型18aとの間に空洞Caが形成される。その後、型締装置10を用いて、可動型18bと固定型18aの型締めが行われる。
【0116】
次に、射出装置14を用いて、金型18の空洞Caの中に溶湯70を充填する(図16)。射出装置14により溶湯70に圧力が印加され、溶湯70の圧力が上昇する。
【0117】
溶湯70の圧力が上昇すると、溶湯70の圧力で圧力減衰部材56が後退する。皿ばね62がたわみ、溶湯70の圧力を吸収する。溶湯70の圧力と皿ばね62の弾性力とがつり合った時点で圧力減衰部材56の後退が止まる。
【0118】
また、溶湯70の圧力が上昇すると、溶湯70の圧力で加圧ピン52が後退する。例えば、キャップ側室54yの作動油が圧縮され、溶湯70の圧力を吸収する。溶湯70の圧力とキャップ側室54yの作動油の圧力とがつり合った時点で加圧ピン52の後退が止まる(図17)。
【0119】
その後、皿ばね62の弾性力により圧力減衰部材56が前進する。第2の凸部56aが本体部40に接した時点で圧力減衰部材56の前進が止まる。第2の凸部56aが本体部40に接した位置が圧力減衰部材56の前進限となる。
【0120】
また、アクチュエータ54を用いて、加圧ピン52を前進させる(図18)。加圧ピン52の前進を開始させるタイミングは、例えば、位置センサ64の測定結果に基づく。例えば、溶湯70の圧力による加圧ピン52の後退を位置センサ64で検知し、加圧ピン52の後退から所定の時間経過した後に、加圧ピン52を前進させる。加圧ピン52の前進を開始させるタイミングは、例えば、制御装置32が位置センサ64の測定結果に基づき局部加圧装置50を制御することで、制御される。
【0121】
次に、アクチュエータ54を用いて、加圧ピン52を更に前進させる(図19)。加圧ピン52により凝固を開始した溶湯70の一部が加圧される。加圧ピン52の前進を開始させるタイミングは、例えば、制御装置32が局部加圧装置50を制御することで、制御される。
【0122】
加圧ピン52の前進量は、例えば、加圧ピン52の位置を位置センサ64でモニタすることで制御可能である。加圧ピン52の前進量は、例えば、制御装置32が局部加圧装置50を制御することで、制御される。
【0123】
溶湯70が完全に凝固した後、型締装置10を用いて型開きが行われる。製造されたダイカスト品は、押出装置12を用いて可動型18bから押し出される。加圧ピン52は、例えば、アクチュエータ54を用いて後退させる(図20)。
【0124】
次に、例えば、アクチュエータ54を用いて、加圧ピン52を前進させる(図21)。加圧ピン52を、例えば、前進限まで前進させる。加圧ピン52の第1の凸部52aが圧力減衰部材56に接した位置が、加圧ピン52の前進限となる。
【0125】
例えば、圧力減衰部材56と本体部40との間に溶湯70が侵入し凝固することで、圧力減衰部材56が前進限まで戻っていなかった場合を考える。この場合でも、加圧ピン52により圧力減衰部材56を押すことにより、圧力減衰部材56を前進限まで戻すことが可能である。
【0126】
次に、第2の実施形態の成形機用金型及び成形機の作用及び効果について説明する。すなわち、第2の実施形態の固定型18a及びダイカストマシン100の作用及び効果について説明する。
【0127】
第2の実施形態の固定型18a及びダイカストマシン100によれば、第1の実施形態と同様、局部加圧装置50を備えることにより、引け巣を抑制することが可能となる。したがって、第2の実施形態の固定型18a及びダイカストマシン100によれば、ダイカスト品の品質を向上させることが可能となる。
【0128】
第2の実施形態の成形機用金型、すなわち固定型18aは、局部加圧装置50を備える。局部加圧装置50は、圧力減衰部材56を備える。
【0129】
圧力減衰部材56を備えることにより、第1の実施形態と同様、サージ圧が低減される。また、金型18の空洞Caに溶湯70が充填された際、溶湯に加えられる圧力が上昇すると、加圧ピン52も後退する。圧力減衰部材56に加え、加圧ピン52が後退することにより、更にサージ圧が低減される。よって、第2の実施形態の成形機用金型を用いることにより、ダイカスト品の品質が向上する。
【0130】
また、第2の実施形態によれば、加圧ピン52の前進を開始させるタイミングを、加圧ピン52の後退を位置センサ64で検知することで設定することが可能である。したがって、溶湯70を加圧するタイミングを、最適なタイミングに設定することが可能である。よって、第2の実施形態の成形機用金型を用いることにより、ダイカスト品の品質が更に向上する。
【0131】
以上、第2の実施形態によれば、サージ圧を低減できる局部加圧装置を備えた成形機用金型及び成形機を実現することが可能となる。
る。
【0132】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。実施形態においては、成形機用金型及び成形機などで、本発明の説明に直接必要としない部分については記載を省略したが、必要とされる、成形機用金型及び成形機などに関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0133】
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、本発明の成形機用金型が固定型18aである場合を例に説明したが、本発明の成形機用金型は可動型18bであっても構わない。すなわち、可動型18bが局部加圧装置50を備える構成であっても構わない。
【0134】
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、局部加圧装置50が空洞Caの製品領域を加圧する場合を例に説明したが、局部加圧装置50が空洞Caの非製品領域を加圧する構成とすることも可能である。非製品領域は、例えば、ランナー、オーバーフロー、エアベントなどである。
【0135】
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、弾性体が皿ばね62の場合を例に説明したが、弾性体は皿ばね62以外、例えば、コイルばねや板ばねであっても構わない。
【0136】
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、局部加圧装置50を成形機用金型に1個設ける場合を例に説明したが、成形機用金型に複数個の局部加圧装置50を設けることも可能である。
【0137】
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、ダイカストマシンを成形機の例として説明したが、本発明を射出成形機等に適用することも可能である。
【0138】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての成形機用金型及び成形機は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲によって定義されるものである。
【符号の説明】
【0139】
40 本体部
40x 成形面
40y 支持面
50 局部加圧装置
52 加圧ピン
52a 第1の凸部(凸部)
54 アクチュエータ
56 圧力減衰部材
58 第1のシール部材
60 第2のシール部材
62 皿ばね(弾性体)
64 位置センサ
100 ダイカストマシン
Ca 空洞
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2022-06-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形面と前記成形面に対向する支持面を有する本体部と、少なくとも一部が前記本体部に組み込まれた局部加圧装置と、を備え、
前記局部加圧装置は、
一端が前記本体部の前記成形面の側に露出する加圧ピンと、
前記本体部の前記支持面の側に設けられ、前記加圧ピンを駆動するアクチュエータと、
前記加圧ピンと前記本体部との間に前記加圧ピンを囲んで設けられ、一端が前記本体部の前記成形面の側に露出し、溶湯に生じるサージ圧を低減する機能を有する圧力減衰部材と、
前記圧力減衰部材と前記支持面との間に設けられ、前記圧力減衰部材の前記機能を発揮する手段である弾性体と、
を含み、
前記加圧ピンは前記圧力減衰部材の他端に接触可能な環状の凸部を有することを特徴とする成形機用金型。
【請求項2】
前記局部加圧装置は、前記圧力減衰部材と前記本体部との間に前記圧力減衰部材を囲んで設けられた環状の第1のシール部材を、更に含むことを特徴とする請求項1記載の成形機用金型。
【請求項3】
前記第1のシール部材は鋳鉄又はスチールを含むことを特徴とする請求項2記載の成形機用金型。
【請求項4】
前記局部加圧装置は、前記加圧ピンと前記圧力減衰部材との間に前記加圧ピンを囲んで設けられた環状の第2のシール部材を、更に含むことを特徴とする請求項2又は請求項3記載の成形機用金型。
【請求項5】
前記加圧ピンの位置をモニタする位置センサを、更に備えることを特徴とする請求項1ないし請求項いずれか一項記載の成形機用金型。
【請求項6】
前記弾性体は皿ばねであることを特徴とする請求項1ないし請求項いずれか一項記載の成形機用金型。
【請求項7】
前記加圧ピンが後退限に位置する場合の前記加圧ピンの前記一端は、前記圧力減衰部材が前進限に位置する場合の前記圧力減衰部材の前記一端と面一か前記成形面の側に突出した位置にあることを特徴とする請求項1ないし請求項いずれか一項記載の成形機用金型。
【請求項8】
前記加圧ピンが後退限に位置する場合の前記加圧ピンの前記一端は、前記圧力減衰部材が前進限に位置する場合の前記圧力減衰部材の前記一端よりも前記支持面の側にあることを特徴とする請求項1ないし請求項いずれか一項記載の成形機用金型。
【請求項9】
前記請求項1ないし請求項いずれか一項記載の成形機用金型を備える成形機。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一態様の成形機用金型は、成形面と前記成形面に対向する支持面を有する本体部と、少なくとも一部が前記本体部に組み込まれた局部加圧装置と、を備え、前記局部加圧装置は、一端が前記本体部の前記成形面の側に露出する加圧ピンと、前記本体部の前記支持面の側に設けられ、前記加圧ピンを駆動するアクチュエータと、前記加圧ピンと前記本体部との間に前記加圧ピンを囲んで設けられ、一端が前記本体部の前記成形面の側に露出し、溶湯に生じるサージ圧を低減する機能を有する圧力減衰部材と、前記圧力減衰部材と前記支持面との間に設けられ、前記圧力減衰部材の前記機能を発揮する手段である弾性体と、を含み、前記加圧ピンは前記圧力減衰部材の他端に接触可能な環状の凸部を有する
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】