(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102274
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】冷却衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/002 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216918
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000130732
【氏名又は名称】株式会社サンエス
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大起
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 将平
【テーマコード(参考)】
3B011
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB01
3B011AC01
3B011AC02
3B011AC18
(57)【要約】
【課題】着用者が座った状態でも違和感を生じさせず、身体を冷却する冷却衣服を提供する。
【解決手段】冷却衣服1は、風発生装置3が取り付けられる取付孔4が服本体2に形成され、この取付孔4が、着用者の側胸部に対応する位置に形成されている構成をとり、着用者が座った状態でも違和感を生じさせず、効率的に身体を冷却する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風発生手段が取り付けられる取付孔が服本体に形成されている冷却衣服であって、
前記取付孔が、着用者の側胸部に対応する位置に形成されている、
ことを特徴とする冷却衣服。
【請求項2】
前記取付孔が、前記服本体の着丈方向において、袖ぐりの最下部から下側に3cmから5cm離れた位置から形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷却衣服。
【請求項3】
前記取付孔の直径が3cmから6cmである、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の冷却衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体を冷却する冷却衣服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高温環境下で作業する時に着用する衣服として、冷却衣服が使用されている。この冷却衣服は、例えば、服本体に取り付けられたファンによって、外部から空気を服本体の内部に取り込み、取り込まれた空気を襟元や袖元から外部に排出することで、身体が冷却される。特に、ファンが背面の腰部分に取り付けられている冷却衣服が多く開示されている(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
特許文献1に記載の冷却衣服は、ファンを装着する取付孔が腰部分に形成されている。そのため、この冷却衣服を使用する場合、着用者の腰部分にファンが配置され、着用者の身体が冷却される。一方、特許文献2に記載の冷却衣服は、ファンを装着する取付孔が背中部分に形成されている。そのため、この冷却衣服を使用する場合、着用者の背中部分にファンが配置され、身体が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-141259号公報
【特許文献2】登録実用新案第3226938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2に記載の冷却衣服は、腰部分や背中部分にファン(風発生装置)を取り付けて使用されるため、例えば、着用者が機械を操縦するために椅子に座った場合、椅子の背もたれと着用者との間にファンが介在し、ファンが腰部分や背中部分に当たるため、着用者には違和感が生じる。
【0006】
また、腰部分は、着用者の腕の可動領域であるため、腰部分にファンが装着されていると、着用者の作業の際、腕がファンにぶつかることがある。そのため、着用者は、ファンに注意を払いながら、作業を行わなければならず、作業時にストレスを感じるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、着用者が座った状態でも違和感を生じさせず、身体を冷却する冷却衣服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る冷却衣服は、風発生手段が取り付けられる取付孔が服本体に形成されているものであって、取付孔が着用者の側胸部に対応する位置に形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る冷却衣服は、取付孔が、服本体の着丈方向において、袖ぐりの最下部から下側に3cmから5cm離れた位置から形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る冷却衣服は、取付孔の直径が3cmから6cmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る冷却衣服は、取付部が着用者の側胸部に対応する位置に形成され、その取付部に風発生手段が取り付けられて使用される。そうすると、例えば、着用者が椅子に座って作業する場合でも、風発生手段が着用者の腰部分や背中部分に当たらないため、風発生手段が椅子の背もたれから力を受けることはなく、着用者に違和感を生じさせない。また、作業の際、着用者の腕が風発生手段にぶつかることがなくなるため、着用者は、風発生手段に注意を払いながら、作業を行う必要がなく、作業時のストレスが低減される。
【0012】
また、風発生手段が側胸部や脇のすぐ下側に取り付けられることで、風発生手段により取り込まれた空気は、脇下部分に直接吹き付けられ、脇下部分が冷却され、籠っていた熱が分散される。したがって、着用者は、汗による違和感を生じることなく、作業することができる。
【0013】
本発明に係る冷却衣服は、取付孔の直径を3cmから6cmとすることができ、小型の風発生手段を取り付けることができる。そして、風発生手段を設けない場合でも、外観を維持しつつ通気性のある衣服として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る冷却衣服の正面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る冷却衣服の背面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る冷却衣服における取付孔の位置を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る冷却衣服の着用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態に係る冷却衣服を、
図1から
図4を参照し説明する。
【0016】
本実施形態に係る冷却衣服1は、
図1及び
図2に示すように、空調服である服本体(服地)2の側方に、風発生手段としての風発生装置3が取り付けるための取付孔4が形成されている。風発生装置3は、例えば、服本体2に脱着できるファンを使用する。
【0017】
服本体2は、着用者の上半身を覆う胴体部2Aと、胴体部2Aの左右の袖ぐり(アームホール)5部分と縫製することで胴体部2Aに結合された袖部2Bとを備えている。服本体2の素材は、冷却衣服1の使用態様によって、厚手の生地や、重量が軽い生地を使用する。
【0018】
服本体2には、円形状の取付孔4が形成されており、この取付孔4は、
図3及び
図4に示すように、着丈方向Yにおいて、左右両側の袖ぐり5の下側近傍にのみ形成されている。この取付孔4が形成されている位置は、着用者の側胸部に対応する位置である。具体的には、着丈方向Yにおける袖ぐり5の最下部Pから、3cmから5cm下側の位置に、取付孔4の周縁部4Aが形成されている。取付孔4の直径は、風発生装置3のサイズに応じて決定され、3cmから10cmである。小型の風発生装置3を取り付ける場合は、取付孔4の直径は、3cmから6cmとする。
なお、取付孔4の周縁には、円環状の補強部材が設けられており、この補強部材には、例えば、ポリプロピレンや熱可塑性ポリウレタンが使用される。
【0019】
風発生装置3は、服本体2の外部から空気を取り込むための空気取込口と、服本体2の内部に空気を送出するための空気送出口と、軸流ファンと、軸流ファンを駆動させるためのモータとを備えている。この風発生装置3は、例えば、風発生装置3に形成されたフランジと、固定リングとによって、取付孔4の周縁を服本体2の表側と裏側から挟み込むことで、服本体2に取り付けられる。
【0020】
次に、本実施形態に係る冷却衣服1の作用効果について、説明する。
【0021】
本実施形態に係る冷却衣服1では、風発生装置3から取り込まれた空気は、主として襟元部分や袖元部分から外部に排出され、着用者の身体を冷却する。
【0022】
本実施形態に係る冷却衣服1は、取付部4が着用者の側胸部に対応する位置に形成されている。そうすると、着用者が椅子に座って作業する場合、例えば、重機を操縦する場合でも、風発生装置3は着用者と椅子の背もたれとの間に介在しないため、風発生装置3が椅子の背もたれから力を受けることはなく、着用者に違和感を生じさせない。
そのため、着用者は作業に集中することができる。
【0023】
通常、脇下部分は、熱が籠りやすく、汗をかきやすい部位である。
本実施形態に係る冷却衣服1は、着丈方向Yにおける袖ぐり5の最下部Pから3cmから5cm下側の位置に、取付孔4の周縁部4Aが形成され、その位置に風発生装置3が取り付けられる。風発生装置3を稼働させると、風発生装置3から取り込まれた空気が、脇下部分に直接吹き付けられる。そうすると、脇下部分に籠っていた熱が分散され、脇下部分の汗も蒸発しやすくなる。したがって、着用者は、脇下の汗による違和感を生じることなく、作業することができる。
【0024】
冷却衣服に通常使用されている風発生装置(例えば、ファン)の直径は約9cmであるが、その風発生装置よりも小型のものを使用することもできる。
小型の風発生装置3を使用する場合、風発生装置3の直径(サイズ)に合わせて、取付孔4の直径を3cmから6cmとする。小型の風発生装置3を取り付けた場合、9cmのファンを取り付けた場合に比べ、作業者に生じる違和感はさらに低減される。
【0025】
また、本実施形態に係る冷却衣服1は、風発生装置3を取り付けない場合、脇の直ぐ下に孔が空いている衣服となる。例えば、取付孔4のサイズが3cmから6cmの場合、取付孔4はそれほど目立たない。また、取付孔4が形成されている位置が脇下のため、着用者の腕で隠れる。
そのため、風発生装置3を取り付けていない状態でも、外観を維持しつつ、脇下の通気性を確保した衣服として使用できる。つまり、2通りの仕様とすることができる。
【0026】
冷却衣服1では、取付孔4を外側から覆うようにメッシュ部材を設けることができる。このメッシュ部材を設けることで、風発生装置3が取り付けられている状態では、風発生装置3の落下を防止でき、風発生装置3が取り付けられていない状態では、取付孔4からのゴミ等の侵入を防止できる。
【0027】
以上、本実施形態について説明したが、これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0028】
本実施形態では、長袖の冷却衣服について説明したが、半袖型、ベスト型の冷却衣服とすることもできる。
また、冷却衣服1の服本体2の内側の腰部分に、空気漏れ防止部材として帯状部材を設けることもできる。この帯状部材は、服本体2の裾回りの長さよりも短く設計され、帯状部材の下端部には、身幅方向Xにかけてゴム部材が設けられている。着用者の腰回りや脇腹回りを、ゴム部材の伸縮力により、絞めつけることで、風発生装置3から取り込まれた空気は、裾部から外部に流出せず、襟元部や袖部から外部に流出し、着用者の身体を効率よく冷却できる。
【符号の説明】
【0029】
1 冷却衣服
2 服本体(空調服)
2A 胴体部
2B 袖部
3 風発生装置(風発生手段)
4 取付孔
4A 周縁部
5 袖ぐり(アームホール)
P 最下部
X 身幅方向
Y 着丈方向