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特開2022-102279LEDモジュール及びLEDモジュールを含む表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102279
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】LEDモジュール及びLEDモジュールを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/62 20100101AFI20220630BHJP
   H01L 33/48 20100101ALI20220630BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/48
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216923
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
(72)【発明者】
【氏名】浅田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】磯野 大樹
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA33
5F142CA11
5F142CB03
5F142CB11
5F142CB16
5F142CB23
5F142CD01
5F142CD02
5F142CD32
5F142DB24
5F142FA03
5F142GA02
(57)【要約】
【課題】マイクロLEDはチップサイズが微小であるため、電極間ショートが問題となる。
【解決手段】LEDモジュールは、第1の電極と、第1の電極と離隔して配置された第2の電極と、第1の電極上の第1のバンプと、第2の電極上の第2のバンプと、第1の電極及び第2の電極の間に設けられた突起部と、第1のパッド電極及び第2のパッド電極を有するLEDチップと、を有する。突起部は絶縁性を有し、LEDチップは、第1のパッド電極が第1の電極と対向し、第2のパッド電極が第2の電極と対向するように配置され、第1のパッド電極が第1のバンプを介して第1の電極と接続され、第2のパッドが第2のバンプを介して第2の電極と接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
前記第1の電極と離隔して配置された第2の電極と、
前記第1の電極上の第1のバンプと、
前記第2の電極上の第2のバンプと、
前記第1の電極及び前記第2の電極の間に設けられた突起部と、
第1のパッド電極及び第2のパッド電極を有するLEDチップと、
を有し、
前記突起部は絶縁性を有し、
前記LEDチップは、前記第1のパッド電極が前記第1の電極と対向し、前記第2のパッド電極が前記第2の電極と対向するように配置され、
前記第1のパッド電極が前記第1のバンプを介して前記第1の電極と接続され、前記第2のパッド電極が前記第2のバンプを介して前記第2の電極と接続されている、
ことを特徴とするLEDモジュール。
【請求項2】
前記突起部の上端は、前記第1の電極及び前記第2の電極の上面より突出する、請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項3】
前記突起部の上端が、前記第1のパッド電極と前記第1のパッド電極との間の領域に位置している、請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項4】
前記突起部の上端は、前記第1の電極及び前記第2の電極の上面より突出し、かつ前記LEDチップと接しない、請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項5】
前記突起部の上端は、前記第1の電極及び前記第2の電極の上面より突出し、かつ前記LEDチップと接する、請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項6】
前記第1の電極及び前記第2の電極は第1の厚さを有し、前記突起部の高さは、前記第1の厚さに相当する高さより大きい、請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項7】
前記第1の電極及び前記第2の電極は第1の厚さを有し、前記第1のパッド電極及び前記第2のパッド電極は第2の厚さを有し、
前記突起部の高さは、前記第1の厚さに相当する高さより高く、かつ前記第1の厚さと前記第2の厚さの合計厚さに相当する高さより高い、請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項8】
前記第1の電極及び前記第2の電極は第1の厚さを有し、前記第1のパッド電極及び前記第2のパッド電極は第2の厚さを有し、
前記第1のバンプは前記第1の電極と前記第1のパッド電極との間で第3の厚さを有し、
前記突起部の高さは、前記第1の厚さに相当する高さより高く、かつ前記第1の厚さ、前記第2の厚さ、及び前記第3の厚さの合計厚さに相当する高さより低い、請求項1に記載のLEDモジュール。
【請求項9】
前記突起部は、前記第1の電極と前記第2の電極とが離隔する領域を横断するように設けられている、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のLEDモジュール。
【請求項10】
前記第1のバンプと前記第2のバンプとは、前記突起部により絶縁されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のLEDモジュール。
【請求項11】
画素を形成する領域に設けられた第1の電極と、
前記第1の電極と離隔して配置された第2の電極と、
前記第1の電極上の第1のバンプと、
前記第2の電極上の第2のバンプと、
前記第1の電極及び前記第2の電極の間に設けられた突起部と、
第1のパッド電極及び第2のパッド電極を有するLEDチップと、
を有し、
前記突起部は絶縁性を有し、
前記LEDチップは、前記第1のパッド電極が前記第1の電極と対向し、前記第2のパッド電極が前記第2の電極と対向するように配置され、
前記第1のパッド電極が前記第1のバンプを介して前記第1の電極と接続され、前記第2のパッド電極が前記第2のバンプを介して前記第2の電極と接続されている、
ことを特徴とする表示装置。
【請求項12】
前記突起部の上端は、前記第1の電極及び前記第2の電極の上面より突出する、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記突起部の上端が、前記第1のパッド電極と前記第1のパッド電極との間の領域に位置している、請求項11に記載の表示装置。
【請求項14】
前記突起部の上端は、前記第1の電極及び前記第2の電極の上面より突出し、かつ前記LEDチップと接しない、請求項11に記載の表示装置。
【請求項15】
前記突起部の上端は、前記第1の電極及び前記第2の電極の上面より突出し、かつ前記LEDチップと接する、請求項11に記載の表示装置。
【請求項16】
前記第1の電極及び前記第2の電極は第1の厚さを有し、前記突起部の高さは、前記第1の厚さに相当する高さより大きい、請求項11に記載の表示装置。
【請求項17】
前記第1の電極及び前記第2の電極は第1の厚さを有し、前記第1のパッド電極及び前記第2のパッド電極は第2の厚さを有し、
前記突起部の高さは、前記第1の厚さに相当する高さより高く、かつ前記第1の厚さと前記第2の厚さの合計厚さに相当する高さより高い、請求項11に記載の表示装置。
【請求項18】
前記第1の電極及び前記第2の電極は第1の厚さを有し、前記第1のパッド電極及び前記第2のパッド電極は第2の厚さを有し、
前記第1のバンプは前記第1の電極と前記第1のパッド電極との間で第3の厚さを有し、
前記突起部の高さは、前記第1の厚さに相当する高さより高く、かつ前記第1の厚さ、前記第2の厚さ、及び前記第3の厚さの合計厚さに相当する高さより低い、請求項11に記載の表示装置。
【請求項19】
前記突起部は、前記第1の電極と前記第2の電極とが離隔する領域を横断するように設けられている、請求項11乃至18のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項20】
前記第1のバンプと前記第2のバンプとは、前記突起部により絶縁されている、請求項11乃至19のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)がベアチップの状態で実装されたLEDモジュールに関する。本発明の一実施形態は、発光ダイオードにより画素が形成された表示装置の画素構造に関する。
【背景技術】
【0002】
マトリクス状に配列される画素にマイクロLEDと呼ばれる微小な発光ダイオードが実装されたマイクロLEDディスプレイが知られている。マイクロLEDディスプレイは、画素が自発光型であるという点で有機エレクトロルミネセンス素子を用いた有機ELディスプレイと共通する。しかし、有機ELディスプレイが、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が作製されたバックプレーンと呼ばれる基板に有機エレクトロルミネセンス素子を直接形成するのに対し、マイクロLEDディスプレイはサファイア基板等に作製されたLEDチップをバックプレーンに実装する点で相違する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0145236号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクロLEDディスプレイでは、マイクロLEDがフェイスダウンでバックプレーンに実装される。マイクロLEDの実装には、塗布時に流動性のある導電性ペーストや半田が用いられる。このとき、導電性ペーストや半田の塗布位置及び塗布量を精密に制御する必要がある。しかし、マイクロLEDはチップサイズが微小であるため、電極間ショートが問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係るLEDモジュールは、第1の電極と、第1の電極と離隔して配置された第2の電極と、第1の電極上の第1のバンプと、第2の電極上の第2のバンプと、第1の電極及び第2の電極の間に設けられた突起部と、第1のパッド電極及び第2のパッド電極を有するLEDチップと、を有する。突起部は絶縁性を有し、LEDチップは、第1のパッド電極が第1の電極と対向し、第2のパッド電極が第2の電極と対向するように配置され、第1のパッド電極が第1のバンプを介して第1の電極と接続され、第2のパッド電極が第2のバンプを介して第2の電極と接続されている。
【0006】
本発明の一実施形態に係る表示装置は、画素を形成する領域に設けられた第1の電極と、第1の電極と離隔して配置された第2の電極と、第1の電極上の第1のバンプと、第2の電極上の第2のバンプと、第1の電極及び第2の電極の間に設けられた突起部と、第1のパッド電極及び第2のパッド電極を有するLEDチップと、を有する。突起部は絶縁性を有し、LEDチップは、第1のパッド電極が第1の電極と対向し、第2のパッド電極が第2の電極と対向するように配置され、第1のパッド電極が第1のバンプを介して第1の電極と接続され、第2のパッド電極が第2のバンプを介して第2の電極と接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態に係るLEDモジュールの構成を示し、(A)は平面図、(B)は断面図を示す。
図2】LEDチップの構造を例示する斜視図を示す。
図3】本発明の一実施形態に係るLEDモジュールの構成を示し、(A)及び(B)は断面図を示す。
図4】本発明の一実施形態に係るLEDモジュールの断面構造を示す。
図5】本発明の一実施形態に係るLEDモジュールの構成を示し、(A)及び(B)は断面図を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る表示装置の構成を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る表示装置における画素の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にa、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0009】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、断面視において、基板を基準としたときにLEDチップは基板の「上」又は「上方」にあるものとし、LEDチップを基準としたときに基板はLEDチップの「下」又は「下方」にあるものとする。
【0010】
本発明において、マイクロLEDとは、チップサイズが数μm以上100μm以下、ミニLEDとは、チップサイズが100μm以上のものをいうが、本発明の一実施形態はいずれのサイズのLEDも用いることができ、LEDモジュール及び表示装置の画素サイズに応じて使い分けることができる。
【0011】
[第1の実施形態]
図1(A)及び図1(B)は、本発明の一実施形態に係るLEDモジュール100の構成を示す。図1(A)はLEDモジュール100の平面図を示し、図1(B)はA1-A2線に対応する断面図を示す。
【0012】
LEDモジュール100は、絶縁表面105に設けられた第1の電極108と第2の電極110との上にLEDチップ104が実装された構造を有する。絶縁表面105は、絶縁性を有する基板によって形成される。絶縁表面105は、また、基板102上に設けられた第1の絶縁層106によって形成されてもよい。図1には示されないが、基板上にはLEDチップ104と接続される配線が形成されていてもよく、LEDチップ104の発光を制御する回路が形成されていてもよい。
【0013】
第1の電極108及び第2の電極110は、絶縁表面105上で離隔して配置される。別言すれば、第1の電極108と第2の電極110とは、電気的に分離した状態で配置される。第1の電極108及び第2の電極110は、後述されるように、LEDチップ104の設けられた一対の電極(第1のパッド電極116、第2のパッド電極118)の間隔と整合するように配置される。
【0014】
第1の電極108及び第2の電極110を形成する材料に限定はないが、塗布又は滴下時に流動性を有する導電性材料とぬれ性の良い材料が選択される。第1の電極108及び第2の電極110は、例えば、金(Au)、銅(Cu)、銀(Ag)、錫(Sn)、アルミニウム(Al)などの導電性材料で形成される。第1の電極108及び第2の電極110は、0.5μm~2μm、0.8μm~1.5μmの厚さで形成される。また、第1の電極108及び第2の電極110との間隔は任意であるが、LEDチップ104がマイクロLEDである場合には10μm以下の間隔を有する。
【0015】
LEDチップ104は2端子型の素子であり、所謂フリップチップ実装が可能なように第1のパッド電極116及び第2のパッド電極118を有する。例えば、LEDチップ104は、基板102に実装するとき、第1の電極108及び第2の電極110に対向する面に、第1のパッド電極116及び第2のパッド電極118が設けられる。第1のパッド電極116及び第2のパッド電極118の一方はp型半導体層と接続され、他方はn型半導体層と接続される。このような接続の態様から、第1のパッド電極116及び第2のパッド電極118の一方はp電極、他方はn電極とも呼ばれる。流動性を有する導電性材料とぬれ性を良くするために第1のパッド電極116及び第2のパッド電極118は金属材料を用いて形成され、流動性を有する導電性材料とのぬれ性をよくするために、金(Au)、銀(Ag)等の金属表面を有していることが好ましい。このような第1のパッド電極116及び第2のパッド電極118は、1μm~5μm程度の厚さで形成される。
【0016】
LEDチップ104は、第1のバンプ112及び第2のバンプ114を用いて基板102上に実装される。第1のパッド電極116と第1の電極108とは第1のバンプ112で電気的に接続され、第2のパッド電極118と第2の電極110とは第2のバンプ114で電気的に接続される。
【0017】
第1のバンプ112及び第2のバンプ114は、初期状態(硬化処理をする前の状態)において流動性を有する導電性材料で形成される。例えば、第1のバンプ112及び第2のバンプ114として導電性ペーストが用いられる。導電ペーストとしては、銀ペースト、カーボンペースト、銀とカーボンが混合されたペースト等が用いられる。また、第1のバンプ112及び第2のバンプ114として、半田ペーストのように錫が用いられてもよい。例えば、第1のバンプ112及び第2のバンプ114として錫バンプが用いられてもよい。第1のバンプ112及び第2のバンプ114は、第1の電極108及び第2の電極110に滴下した状態で、1μm~10μm程度の高さを有する。
【0018】
導電ペーストは流動性を有し、対象物に滴下した後、焼成又は単に乾燥させることにより硬化する。導電ペーストを用いて第1のバンプ112及び第2のバンプ114を形成する場合、第1の電極108及び第2の電極110のそれぞれに対し、滴下する位置及び量を精密に制御する必要がある。導電性ペーストの滴下量が多すぎると広がってしまい、電極間のショートの原因となる。一方、導電性ペーストの滴下量が少なすぎると導通不良を生じさせ、LEDチップ104を固定する力(付着力)が低下して剥落することが問題となる。
【0019】
また、第1の電極108及び第2の電極110に導電性ペースト又は半田ペーストを滴下した後、その上にLEDチップ104を配置し押圧すると導電性ペーストが横方向に広がる現象がある。LEDチップ104を押圧する力がかり過ぎると、導電性ペーストの広がりが大きくなり、隣接する導電性ペースト同士が接触するようになってしまう。さらに、導電性ペースト又は半田ペーストの滴下量が多すぎると、導電性ペースト又は半田ペーストの広がりが大きくなり、第1の電極108と第2の電極110とが短絡する原因となる。第1のバンプ112及び第2のバンプ114を形成するために導電性ペースト、半田ペーストを用いる場合には、滴下量に精密な制御が求められる。しかし、LEDチップ104は微小なサイズであることから、導電性ペースト、半田ペーストの滴下量の精密な制御は困難である。
【0020】
図2は、にLEDチップ200の一例を示す。LEDチップ200はGaAs等の半導体ウエハーを用いた基板、又はサファイア等の絶縁材料で形成された基板202の上に窒化ガリウム等で形成されるバッファ層204、窒化ガリウム系の化合物半導体で形成されるn型層206、窒化ガリウム系の化合物半導体で量子井戸構造が形成される活性層208、窒化ガリウム系の化合物半導体で形成されるp型層210、パッシベーション層214、第1のパッド電極116、第2のパッド電極118が設けられた構造を有する。LEDチップ200のサイズは、所謂マイクロLEDと呼ばれるものであって、縦幅Lが10μmから20μm、横幅Wが20μmから40μm、高さHが150μm程度のサイズを有する。したがって、第1のパッド電極116と第2のパッド電極118との間隔は10μm以下となる。ただし、LED200のサイズはマイクロLEDに限定されず、所謂ミニLEDと呼ばれるものであってもよい。
【0021】
このような微小な構造に対し、本実施形態に係るLEDモジュール100は、LEDチップ104とコンタクトを形成する第1の電極108及び第2の電極110との間に突起部120が設けられた構造を有する。突起部120は、絶縁表面105上で、第1の電極108及び第2の電極110が離隔する領域を横断するように設けられる。突起部120は絶縁性を有し、上端が第1の電極108及び第2の電極110の上面よりも高い位置にされる高さ(厚さ)を有する。このような突起部120は絶縁材料で形成される。また、突起部120は、導電性材料の表面が絶縁膜で覆われた形態を有していてもよい。
【0022】
突起部120は、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化アルミニウム(Al)などの無絶縁膜を用いて形成される。また、突起部120は、アクリル、エポキシなどの有機絶縁材料を用いて形成されてもよい。
【0023】
突起部120を設けることで、第1の電極108の上に第1のバンプ112を設け、及び第2の電極110の上に第2のバンプ114を設け、LEDチップ104を実装したときに、第1のバンプ112及び第2のバンプ114の一方又は両方が流動して、第1の電極108と第2の電極110とが短絡するのを防止することができる。別言すれば、基板102上にLEDチップ104を実装するときに、押圧によって第1のバンプ112及び第2のバンプ114が横方向に流動しても、突起部120によりその流動が阻害されてバンプ同士が接触するのを防止することができる。
【0024】
図3(A)に示すように、第1の電極108の厚さがT1(第2の電極110も同様とする)、第1のパッド電極116の厚さがT2(第2のパッド電極118も同様とする)、第1のバンプ112の厚さがT3(第2のバンプ114も同様とする)とし、突起部120の高さをL1とした場合、突起部120の高さL1は、第1の電極108の厚さT1より大きいことが好ましい。別言すれば、第1の電極108はT1の厚さを有し、突起部120の高さL1は厚さT1に相当する高さより大きいことが好ましい(L1>T1)。このような関係を有することにより、突起部120の上端を第1の電極108及び第2の電極110の上面より突出させることができ、また、突起部120の上端を第1のパッド電極116及び第2のパッド電極118の間の領域に位置させることができ、図示されるように第1のバンプ112及び第2のバンプ114が流動した場合であっても短絡を防ぐことができる。
【0025】
突起部の高さL1が、第1の電極108の厚さT1と第1のパッド電極116の厚さT2の合計より大きく、かつ、LEDチップ104と接しない高さを有していることが好ましい。また、突起部120の高さL1は、第1の電極108の厚さT1に相当する高さより高く、第1の電極108の厚さT1、第1のパッド電極116の厚さT2、及び第1のバンプ112の厚さT3の合計厚さに相当する高さよりも低いことが好ましい。突起部120の高さL1が、このような関係を満たすことにより、LEDチップ104との干渉を防ぎ、LEDチップ104を、第1のバンプ112及び第2のバンプ114により確実に第1の電極108及び第2の電極110に電気的に接続することができる。また、突起部120が高さL1を有することで、LEDチップ104を実装する際のずれを抑制することもでき、第1のバンプ112と第1の電極108と、第2のバンプ114と第2の電極110との実装時に多少の位置ずれが発生したとしても、突起部120が第1のバンプ108と第2のバンプ114に対するストッパとなり、過度な位置ずれを抑制し、LEDチップ104の実装時の不良を防止することができる。
【0026】
他の形態として、図3(B)に示すように、突起部120の高さL1は、上端がLEDチップ104と接する高さを有していてもよい。突起部120がこのような高さを有することで、第1のバンプ112と第2のバンプ114とが短絡するのを防ぐと共に、LEDチップ104と基板102との間隔を一定に保つスペーサとして用いることができる。
【0027】
図4に示すように、LEDチップ104において第1のパッド電極116と第1のパッド電極116の高さが異なる場合(第1のパッド電極116と第1の電極108との距離D1が、第2のパッド電極118と第2の電極110との距離D2よりも大きい場合)においても、上述のように、突起部120の高さが第1の電極108及び第2の電極110の上面よりも高いことにより、第1のバンプ112と第2のバンプ114とが流動して接触することを防ぐことができる。
【0028】
突起部120は、図1(B)に示すように、第1の絶縁層106の上に別の絶縁層を設けることで形成されてもよい。また、突起部120は、図5(A)に示すように、第1の絶縁層106において、第1の電極108及び第2の電極110を形成する領域を選択的にエッチングすることで形成されてもよい。さらに、図5(B)に示すように第1の絶縁層106上に導電層122を形成し、その導電層122を覆うように絶縁膜124を設けることで形成されてもよい。
【0029】
[第2の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態に示すLEDモジュールの構成を有する表示装置を示す。
【0030】
図6は、本実施形態に係る表示装置300の構成を示す。表示装置300は、基板102上に、画素302aがマトリクス状に複数個配列された表示部304を有する。表示部304には、画素302aに走査信号を入力する走査信号線306と、映像信号を入力するデータ信号線308が配設される。走査信号線306とデータ信号線308は交差するように配設される。基板102の周縁部には、走査信号線306の入力端子部310aとデータ信号線308の入力端子部310bが設けられている。なお、図9では図示されないが、基板102には、画素302aを駆動するドライバICが実装されていてもよい。
【0031】
図7は、画素302aの断面構造の一例を示す。画素302aは、基板102側から第1の絶縁層106、第2の絶縁層126、第3の絶縁層128が積層され、第3の絶縁層128で形成される絶縁表面の上に突起部120が設けられた構造を有する。走査信号線306は、第1の絶縁層106と第2の絶縁層126の間に設けられ、データ信号線308は第2の絶縁層126と第3の絶縁層128との間に設けられる。表示部304は、走査信号線306とデータ信号線308との間に第2の絶縁層126が設けられることで、2つの信号線を交差するように配設することが可能とされている。
【0032】
第1の電極108は、第3の絶縁層128及び第2の絶縁層126を貫通するコンタクトホールと重なるように設けられ、走査信号線306と接続される。第2の電極110は、第3の絶縁層128を貫通するコンタクトホールに重なるように設けられ、データ信号線308と接続される。第1の電極108及び第2の電極110の上層側には、さらにパッシベーション層130が設けられていてもよい。
【0033】
LEDチップ104は、第1のパッド電極116が第1のバンプ112を介して第1の電極108と接続され、第2のパッド電極118が第2のバンプ114を介して第2の電極110と接続される。第1の電極108と第2の電極110との間に突起部120が設けられることにより、第1のバンプ112及び第2のバンプ114が流動化してもLEDチップ104の電極間の短絡が防止される。別言すれば、画素302の中に突起部120を有することで、第1のバンプ112及び第2のバンプ114を形成するときの工程にマージンを与えることができ、表示装置300の生産性の向上と歩留まりの向上を図ることができる。
【0034】
なお、本実施形態は、LEDモジュールによってパッシブマトリクス型の画素が構成される例を示すが、本実施形態はこれに限定されず、個々の画素の発光がトランジスタによる画素回路で制御されるアクティブマトリクス型の画素に適用することもできる。
【符号の説明】
【0035】
100・・・LEDモジュール、102・・・基板、104・・・LEDチップ、105・・・絶縁表面、106・・・第1の絶縁層、108・・・第1の電極、110・・・第2の電極、112・・・第1のバンプ、114・・・第2のバンプ、116・・・第1のパッド電極、118・・・第2のパッド電極、120・・・突起部、122・・・導電層、124・・・絶縁膜、126・・・第2の絶縁層、128・・・第3の絶縁層、130・・・パッシベーション層、200・・・LED、202・・・基板、204・・・バッファ層、206・・・n型層、208・・・活性層、210・・・p型層、214・・・パッシベーション層、300・・・表示装置、302・・・画素、304・・・表示部、306・・・走査信号線、308・・・データ信号線、310・・・入力端子部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7