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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102290
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】繊維製品処理剤
(51)【国際特許分類】
   D06M 13/00 20060101AFI20220630BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20220630BHJP
   C11B 9/00 20060101ALI20220630BHJP
【FI】
D06M13/00
C11D3/50
C11B9/00 J
C11B9/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020216944
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100136249
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 貴光
(72)【発明者】
【氏名】安達 侑里
(72)【発明者】
【氏名】澤田 奎太
【テーマコード(参考)】
4H003
4H059
4L033
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB19
4H003AC08
4H003AC12
4H003BA12
4H003DA01
4H003EB04
4H003EB06
4H003EB07
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB36
4H003ED02
4H003FA06
4H003FA26
4H003FA28
4H059BA15
4H059BA17
4H059BA19
4H059BA20
4H059BA22
4H059BA23
4H059BA30
4H059BA36
4H059BB44
4H059BB45
4H059DA09
4H059EA31
4H059EA36
4L033AB01
4L033AC02
4L033AC10
4L033BA00
(57)【要約】
【課題】過度の残香性を抑制しつつ、繊維製品へ消臭性を付与できる繊維製品処理剤を提供する。
【解決手段】香料組成物を含む繊維製品処理剤であって、
香料組成物が、ジヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドとを含み、
ジヒドロメチルジャスモネートの含量が、香料組成物の総質量に対して3質量%以上であり、
香料組成物の含量が、繊維製品処理剤の総質量に対して0.01~3質量%である、
ことを特徴とする繊維製品処理剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
香料組成物を含む繊維製品処理剤であって、
香料組成物が、ジヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドとを含み、
ジヒドロメチルジャスモネートの含量が、香料組成物の総質量に対して3質量%以上であり、
香料組成物の含量が、繊維製品処理剤の総質量に対して0.01~3質量%である、
ことを特徴とする繊維製品処理剤。
【請求項2】
環状構造を有し、かつClogP値が1以上5以下の香料成分(但し、ジヒドロメチルジャスモネート及びシクラメンアルデヒドを除く)を更に含む、請求項1に記載の繊維製品処理剤。
【請求項3】
環状構造を有し、かつClogP値が1以上5以下の香料成分の分子量が200以下である、請求項2に記載の繊維製品処理剤。
【請求項4】
環状構造を有し、かつClogP値が5超の香料成分を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維製品処理剤。
【請求項5】
環状構造を有し、かつClogP値が5超の香料成分が、アンブレットライド、ガラクソリド、トナリッド、ハバノライド、ヘルベトライド及びムセノンからなる群から選択される、請求項4に記載の繊維製品処理剤。
【請求項6】
液体柔軟剤である、請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維製品処理剤。
【請求項7】
洗剤である、請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維製品処理剤。
【請求項8】
繊維製品処理剤用の香料組成物であって、
ジヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドとを含み、
ジヒドロメチルジャスモネートの含量が、香料組成物の総質量に対して3質量%以上であり、
香料組成物を含む繊維製品処理剤が、繊維製品へ消臭性を付与する、
ことを特徴とする
【請求項9】
環状構造を有し、かつClogP値が1以上5以下の香料成分(但し、ジヒドロメチルジャスモネート及びシクラメンアルデヒドを除く)を更に含む、請求項8に記載の香料組成物。
【請求項10】
環状構造を有し、かつClogP値が1以上5以下の香料成分の分子量が200以下である、請求項9に記載の香料組成物。
【請求項11】
環状構造を有し、かつClogP値が5超の香料成分を更に含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の香料組成物。
【請求項12】
環状構造を有し、かつClogP値が5超の香料成分が、アンブレットライド、ガラクソリド、トナリッド、ハバノライド、ヘルベトライド及びムセノンからなる群から選択される、請求項11に記載の香料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維製品処理剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、繊維製品処理剤(洗剤や柔軟剤等)のうち消臭機能を訴求した製品の国内シェアは年々伸長している。
部屋干し臭を抑制する技術として、ノニオン界面活性剤とフェノール系抗菌剤と特定の第4級アンモニウム塩との併用(特許文献1)や、ビグアニド系抗菌剤の使用(特許文献2)や、特定の柔軟剤基剤と特定のエステルと特定の第4級アンモニウム塩との併用(特許文献3)等が知られている。
その他、繊維製品処理剤の香りを利用した消臭技術(香りによるマスキング)も存在するが、繊維製品に残る香り(残香性)が強すぎる(スメハラ)の懸念も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-105278号公報
【特許文献2】特許第5725662号公報
【特許文献3】特開2019-163579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、過度の残香性を抑制しつつ、繊維製品へ消臭性を付与できる繊維製品処理剤の提供を課題として設定した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を鋭意検討した結果、本発明者は、香料として公知のジヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドとを特定量で繊維製品処理剤へ配合すると、前記香料が持つ香りの特徴(香調)を過度に発現させることなくマスキング効果を発揮して、繊維製品へ消臭性(特に、部屋干し臭に対する消臭性)を付与できることを見出した。換言すれば、ジヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドの消臭剤としての用途が見出された。本発明は、この知見に基づいてなされたものである。
【0006】
すなわち、本発明は、以下の〔1〕~〔12〕に関するものである。
〔1〕香料組成物を含む繊維製品処理剤であって、
香料組成物が、ジヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドとを含み、
ジヒドロメチルジャスモネートの含量が、香料組成物の総質量に対して3質量%以上であり、
香料組成物の含量が、繊維製品処理剤の総質量に対して0.01~3質量%である、
ことを特徴とする繊維製品処理剤。
〔2〕環状構造を有し、かつClogP値が1以上5以下の香料成分(但し、ジヒドロメチルジャスモネート及びシクラメンアルデヒドを除く)を更に含む、前記〔1〕に記載の繊維製品処理剤。
〔3〕環状構造を有し、かつClogP値が1以上5以下の香料成分の分子量が200以下である、前記〔2〕に記載の繊維製品処理剤。
〔4〕環状構造を有し、かつClogP値が5超の香料成分を更に含む、前記〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の繊維製品処理剤。
〔5〕環状構造を有し、かつClogP値が5超の香料成分が、アンブレットライド、ガラクソリド、トナリッド、ハバノライド、ヘルベトライド及びムセノンからなる群から選択される、前記〔4〕に記載の繊維製品処理剤。
〔6〕液体柔軟剤である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の繊維製品処理剤。
〔7〕洗剤である、前記〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の繊維製品処理剤。
〔8〕繊維製品処理剤用の香料組成物であって、
ジヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドとを含み、
ジヒドロメチルジャスモネートの含量が、香料組成物の総質量に対して3質量%以上であり、
香料組成物を含む繊維製品処理剤が、繊維製品へ消臭性を付与する、
ことを特徴とする
〔9〕環状構造を有し、かつClogP値が1以上5以下の香料成分(但し、ジヒドロメチルジャスモネート及びシクラメンアルデヒドを除く)を更に含む、前記〔8〕に記載の香料組成物。
〔10〕環状構造を有し、かつClogP値が1以上5以下の香料成分の分子量が200以下である、前記〔9〕に記載の香料組成物。
〔11〕環状構造を有し、かつClogP値が5超の香料成分を更に含む、前記〔8〕~〔10〕のいずれか一項に記載の香料組成物。
〔12〕環状構造を有し、かつClogP値が5超の香料成分が、アンブレットライド、ガラクソリド、トナリッド、ハバノライド、ヘルベトライド及びムセノンからなる群から選択される、前記〔11〕に記載の香料組成物。
【発明の効果】
【0007】
後述の実施例で示されるように、本発明の繊維製品処理剤は、過度の残香性を抑制しつつ、繊維製品へ消臭性を付与できる。したがって、本発明は従来製品にはない付加価値を有する繊維製品処理剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔香料組成物〕
香料組成物は、ジヒドロメチルジャスモネート及びシクラメンアルデヒドを必須成分として含む。
【0009】
〔ジヒドロメチルジャスモネート〕
ジヒドロメチルジャスモネート(Methyl[3-oxo-2-(2-pentenyl)cyclopentyl]acetateとも称される)は香料(香調:ミュゲ)として公知の物質であり、市場で容易に入手可能(例えば、商品名:ヘディオン)であるか、又は調製可能である。
ジヒドロメチルジャスモネートは幾何異性を有するが、シス体、トランス体、これらの混合物のいずれも本発明で使用できる。混合物中のシス体とトランス体との質量比は特に制限されない。
ジヒドロメチルジャスモネートの含量は、香料組成物の総質量に対して3質量%以上、好ましくは3.1~25質量%、更に好ましくは3.1~20質量%である。
【0010】
〔シクラメンアルデヒド〕
シクラメンアルデヒド(2-methyl-3-(p-isopropylphenyl)propionaldehydeとも称される)は香料(香調:ミュゲ)として公知の物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
シクラメンアルデヒドの含量は特に制限されないが、香料組成物の総質量に対して、好ましくは0.1~10質量%、更に好ましくは0.1~5質量%、特に好ましくは0.1~3質量%である。
【0011】
香料組成物におけるジヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドとの質量比(ジヒドロメチルジャスモネート/シクラメンアルデヒド)は、好ましくは0.01~300、更に好ましくは1~100、特に好ましくは5~30である。質量比が0.01~300であるとより高い配合効果が得られる。
【0012】
本発明は特定の理論に拘束されるものではないが、ジヒドロメチルジャスモネートは生臭いアミン系臭気を特にマスキングし、シクラメンアルデヒドはカビ臭を特にマスキングすると考えられる。アミン系臭気とカビ臭は部屋干し臭を構成しているので、本発明の繊維製品処理剤は部屋干し臭の抑制に好適である。
【0013】
〔香料組成物の任意成分〕
ジヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドの配合効果を損なわない範囲で、下記の任意成分を配合してもよい。
【0014】
〔追加香料成分〕
香料組成物には、ジヒドロメチルジャスモネート及びシクラメンアルデヒド以外の追加の香料成分を配合してもよい。追加香料成分は、繊維製品処理剤への香り付け、更には繊維製品処理剤による処理後の繊維製品への香り付けのために配合する。
追加香料成分は、繊維製品処理剤分野で公知の香料から適宜選択できる。使用可能な香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.I and II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「合成香料 化学と商品知識」,印藤元一著,化学工業日報社(1996)、「Perfume and Flavor Materials of NaturalOrigin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「香りの百科」,日本香料協会編,朝倉書店(1989)、「Perfumery MaterialPerformance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)、「Flower oils and Floral CompoundsIn Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
【0015】
繊維製品への吸着性を高めてより高い配合効果を得る観点から、追加香料成分は環状構造を有し、かつClogPが1以上5以下であることが好ましい。
環状構造の炭素数は5~20、好ましくは5~17である。環状構造は0~4個の不飽和結合を含んでいてもよい。また、環状構造は0~2個のヘテロ原子を含んでいてもよい。
追加香料成分は複数の環状構造を有する多環化合物であってもよい。
ClogP値は、化合物の1-オクタノール/水分配係数P(1-オクタノール中及び水中の平衡濃度の比)を、底10に対する対数logPの形態で表した値である。ClogP値は、f値法(疎水性フラグメント定数法)により、化合物の化学構造をその構成要素に分解し、各フラグメントの有する疎水性フラグメント定数・f値を積算して決定できる(例えば、Clog 3 Reference Manual DaylightSoftware 4.34,Albert Leo,David Weininger, Version 1,March 1994 参照)。
【0016】
「環状構造を有し、かつClogPが1以上5以下の香料成分」としては、α-ピネン、ターピノレン、ターピネオール、l-メントール、ボルネオール、フェニルエチルアルコール、チモール、オイゲノール、マイヨール、ローズオキサイド、アネトール、エストラゴール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン、α-ヨノン、β-ヨノン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、ダイナスコン、ジヒドロジャスモン、シスジャスモン、ラズベリーケトン、酢酸p-t-ブチルシクロヘキシル、酢酸トリシクロデセニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、クマリン、リラール、デュピカール、ヘキシルシンナミックアルデヒド、リリアール、αーイソメチルヨノン、βーイソメチルヨノン、β-メチルヨノンや、フルイテート等が挙げられる。
【0017】
より高い配合効果を得る観点から、「環状構造を有し、かつClogPが1以上5以下の香料成分」の分子量は200以下であることが好ましい。
「環状構造を有し、ClogPが1以上5以下であり、かつ分子量が200以下の香料成分」としては、ベンジルアセテート、ベンジルアセテート、α-ピネン、ターピノレン、ターピネオール、l-メントール、ボルネオール、フェニルエチルアルコール、チモール、オイゲノール、マイヨール、ローズオキサイド、アネトール、エストラゴール、ベンズアルデヒド、シンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン、エチルバニリン、α-ヨノン、β-ヨノン、α-ダマスコン、β-ダマスコン、δ-ダマスコン、ダイナスコン、ジヒドロジャスモン、シスジャスモン、ラズベリーケトン、酢酸p-t-ブチルシクロヘキシル(PTBCHA)、酢酸トリシクロデセニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトンや、クマリン等が挙げられる。
なかでも、フローラルの香調を有する香料成分(ベンジルアセテート、フェニルエチルアセテート、マイヨール、ターピネオール、βヨノン、PTBCHAやαダマスコン)や、パウダリーの香調を有する香料成分(クマリン、ヘリオトロピン、バニリンやエチルバニリン)が好ましい。
【0018】
より高い配合効果を得ること及び柔軟基剤に由来する臭気を抑制する観点からは、環状構造を有し、かつClogPが5超の追加香料成分が好ましい。
「環状構造を有し、かつClogPが5超の追加香料成分」としては、ムスクの香調を有する香料、例えば、アンブレットリド、ガラクソリド、トナリッド、ハバノライド、ヘルベトライド、ムセノン、シクロペンタデカノリド、エチレンブラシレート)等が挙げられる。
【0019】
その他の追加香料成分としては、リナロール、ゲラニオール、エチルマルトール、マルトール、アンブロキサン、セドリルメチルエーテル、ヘキシルアセテート、ヘキシルサリシレートや、イソイースーパー等が挙げられる。
【0020】
追加香料成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
追加香料成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
追加香料成分は、カプセル化して香料組成物へ配合してもよく、フリー香料として香料組成物に配合してもよい。複数種類の追加香料成分を用いる場合、その一部をカプセル化香料として、残りをフリー香料として香料組成物に配合してもよい。
追加香料成分の含量は、ジヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドの配合効果を損なわない範囲で適宜設定できるが、香料組成物の総質量に対して、好ましくは0~90質量%、更に好ましくは60~95質量%である。
【0021】
〔香料用溶剤〕
香料用溶剤としては、エタノール、アセチン(トリアセチン)、MMBアセテート(3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート)、スクロースジアセテートヘキサイソブチレート、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、ジブチルセバケート、デルチールエキストラ(イソプロピルミリステート)、メチルカルビトール(ジエチレングリコールモノメチルエーテル)、カルビトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)、TEG(トリエチレングリコール)、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、トリプロピレングリコール、アボリン(ジメチルフタレート)、デルチルプライム(イソプロピルパルミテート)、ジプロピレングリコール(DPG)、ファルネセン、ジオクチルアジペート、トリブチリン(グリセリルトリブタノエート)、ヒドロライト-5(1,2-ペンタンジオール)、プロピレングリコールジアセテート、セチルアセテート(ヘキサデシルアセテート)、エチルアビエテート、アバリン(メチルアビエテート)、シトロフレックスA-2(アセチルトリエチルシトレート)、シトロフレックスA-4(トリブチルアセチルシトレート)、シトロフレックスNo.2(トリエチルシトレート)、シトロフレックスNo.4(トリブチルシトレート)、ドゥラフィックス(メチルジヒドロアビエテート)、MITD(イソトリデシルミリステート)、ポリリモネン(リモネンポリマー)、1,3-ブチレングリコール、ジブチルヒドロキシトルエンや、ハーコリン等が挙げられる。
香料用溶剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
香料用溶剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
香料用溶剤の含量は香料の含量に応じて適宜設定できるが、香料組成物の総質量に対して、例えば0~70質量%、好ましくは0~30量%、更に好ましくは1~10質量%である。
【0022】
〔酸化防止剤〕
酸化防止剤としては、BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンE誘導体、エリソルビン酸ナトリウム、メトキシフェノール、二酸化硫黄、コーヒー豆抽出物(クロロゲン酸)、緑茶抽出物(カテキン)や、ローズマリー抽出物等が挙げられる。
酸化防止剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか又は調製可能である。
酸化防止剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
酸化防止剤の含量は、香料組成物の総質量に対して、好ましくは0.0001~10質量%、更に好ましくは0.001~5質量%である。
【0023】
〔香料組成物のカプセル化〕
香料組成物はカプセル化香料として使用してもよい。カプセル化香料は、芯物質と当該芯物質を覆う壁物質とから構成される。
芯物質は香料組成物である。
壁物質としては、繊維製品処理剤分野で公知の材料を特に制限なく使用できる。具体例としては、ゼラチンや寒天等の天然系高分子や、油脂やワックス等の油性膜形成物質や、ポリアクリル酸系、ポリビニル系、ポリメタクリル酸系、メラミン系、ウレタン系等の合成高分子物質等が挙げられる。
カプセル破壊時の機能発現の観点から、壁物質は、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂或いは尿素-ホルムアルデヒド樹脂からなるアミノプラストポリマー、ポリアクリル酸系或いはポリメタクリル酸系ポリマーが好ましい。特開2010-520928号公報に記載のアミノプラストポリマーが更に好ましい。具体的には、ポリアミン由来の部分/芳香族ポリフェノール由来の部分/メチレン単位、ジメトキシメチレン及びジメトキシメチレンを有するアルキレンおよびアルキレンオキシ部分からなるターポリマーが好ましい。
壁物質は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0024】
〔香料組成物の製法〕
香料組成物の製法は特に限定されず、常法で製造できる。例えば、各成分を香料用溶剤へ添加し、撹拌することで製造できる。
カプセル化香料の製法も特に限定されず、常法で製造できる。
【0025】
〔香料組成物の用途〕
香料組成物は繊維製品処理剤へ配合される。
香料組成物の含量は、繊維製品処理剤の総質量に対して0.01~3質量%、好ましくは0.1~2質量%、更に好ましくは0.2~1.5質量%である。
繊維製品処理剤は、繊維製品への消臭性付与を訴求するものであれば特に制限されない。具体例としては、液体柔軟剤、洗剤や、消臭剤等が挙げられる。なかでも、柔軟剤に対して好適に使用できる。
以下、香料組成物を含む液体柔軟剤及び洗剤を詳述する。
【0026】
〔液体柔軟剤〕
香料組成物の含量は、液体柔軟剤の総質量に対して0.01~3質量%、好ましくは0.1~3質量%、更に好ましくは0.2~1.5質量%である。
香料組成物がカプセル化香料である場合、その含量は、液体柔軟剤の総質量に対して0.05~5質量%、好ましくは0.05~2質量%、更に好ましくは0.1~1質量%である。
【0027】
液体柔軟剤には、香料組成物に加えて、液体柔軟剤へ配合可能な公知の成分を特に制限なく配合できる。以下、主剤としてのカチオン界面活性剤と任意成分を詳述する。
【0028】
〔カチオン界面活性剤〕
カチオン界面活性剤は柔軟基材であり、繊維製品へ柔軟性(風合い)を付与するために配合する。
カチオン界面活性剤としては、液体柔軟剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できる。好ましいカチオン界面活性剤は「エステル基(-COO-)及び/又はアミド基(-NHCO-)で分断されている、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物」である。
炭素数10~26の炭化水素基(以下、「長鎖炭化水素基」ともいう)の炭素数は、好ましくは17~26、更に好ましくは18~24である。炭素数が10以上であると繊維製品の柔軟性が良好であり、26以下であると液体柔軟剤のハンドリング性が良好である。
長鎖炭化水素基は飽和でも不飽和でもよい。長鎖炭化水素基が不飽和である場合、二重結合の位置はいずれの箇所にあっても構わないが、二重結合が1個の場合、その位置は長鎖炭化水素基の中央であるか、中央値を中心に分布していることが好ましい。
長鎖炭化水素基は、鎖状の炭化水素基であっても、構造中に環を含む炭化水素基であってもよく、好ましくは鎖状の炭化水素基である。鎖状の炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。鎖状の炭化水素基としては、アルキル基とアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
長鎖炭化水素基は、分断基によって分断されている。分断は1ヶ所でもよく、2ヶ所以上であってもよい。好ましくは1ヶ所である。
分断基はエステル基(-COO-)又はアミド基(-NHCO-)である。長鎖炭化水素基が分断基を2つ以上有する場合、各分断基は、同じであっても異なっていてもよい。
なお、分断基が有する炭素原子は、長鎖炭化水素基の炭素数にカウントする。
長鎖炭化水素基は、通常、工業的に使用される牛脂由来の未水添脂肪酸、不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸、パーム椰子、油椰子などの植物由来の未水添脂肪酸もしくは脂肪酸エステル、あるいは不飽和部を水添もしくは部分水添して得られる脂肪酸又は脂肪酸エステル等を使用して導入される。
「エステル基(-COO-)又はアミド基(-NHCO-)で分断されている、炭素数10~26の炭化水素基を分子内に1~3個有するアミン化合物(以下、「アミン化合物」ともいう)」における長鎖炭化水素基の数は1~3個である。好ましくは2個(2級アミン化合物)又は3個(3級アミン化合物)であり、より好ましくは3個である。
【0029】
アミン化合物としては、下記一般式(A1)で表される化合物が挙げられる。
【化1】
(式中、R1~R3はそれぞれ独立に、-CH2CH(Y)OCOR4(Yは水素原子又はCH3であり、R4は炭素数7~21の炭化水素基である)、-(CH2nNHCOR5(nは2又は3であり、R5は炭素数7~21の炭化水素基である)、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH(Yは水素原子又はCH3である)、又は、-(CH2nNH2(nは2又は3である)であり、
1~R3のうちの少なくとも1つは、-CH2CH(Y)OCOR4及び/又は-(CH2nNHCOR5である。)
一般式(A1)における基「-CH2CH(Y)OCOR4」中、Yとしては水素原子が好ましい。
4としては、炭素数15~19の炭化水素基が好ましい。一般式(A1)で表される化合物中にR4が複数存在するとき、該複数のR4は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
4の炭化水素基は、炭素数8~22の脂肪酸(R4COOH)からカルボキシ基を除いた残基(脂肪酸残基)であり、R4のもととなる脂肪酸(R4COOH)は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また、直鎖脂肪酸でも分岐脂肪酸でもよい。なかでも、飽和又は不飽和の直鎖脂肪酸が好ましい。柔軟処理した繊維製品に良好な吸水性を付与するために、R4のもととなる脂肪酸の飽和/不飽和比率(質量比)は、90/10~0/100が好ましく、90/10~40/60より好ましく、90/10~70/30が特に好ましい。
4が不飽和脂肪酸残基である場合、シス体とトランス体が存在するが、シス体/トランス体の質量比率は、40/60~100/0が好ましく、70/30~90/10が特に好ましい。
4のもととなる脂肪酸の例としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10~60)や、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10~60)などが挙げられる。なかでも、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、およびリノール酸から選ばれる2種以上を所定量ずつ組み合わせて、以下の条件(a)~(c)を満たすように調整した脂肪酸組成物を用いることが好ましい。
(a)飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の比率(質量比)が90/10~0/100、より好ましくは90/10~40/60、特に好ましくは90/10~70/30である。
(b)シス体/トランス体の比率(質量比)が40/60~100/0、より好ましくは70/30~90/10である。
(c)炭素数18の脂肪酸が60質量%以上、好ましくは80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸が2質量%未満であり、炭素数21~22の脂肪酸が1質量%未満である。
一般式(A1)における、基「-(CH2nNHCOR5」中、nは3が好ましい。
5としては、炭素数15~19の炭化水素基が好ましい。一般式(A1)で表される化合物中にR5が複数存在するとき、該複数のR5は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
5としては、R4と同様のものが具体的に挙げられる。
【0030】
一般式(A1)において、R1~R3のうち、少なくとも1つは-CH2CH(Y)OCOR4及び/又は-(CH2nNHCOR5)である。R1~R3のうち2つが、-CH2CH(Y)OCOR4及び/又は-(CH2nNHCOR5)であることが好ましい。
1~R3のうち、1つ又は2つが-CH2CH(Y)OCOR4及び/又は-(CH2nNHCOR5)である場合、残りの2つ又は1つは、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH(Yは水素原子又はCH3である)、又は、-(CH2nNH2(nは2又は3である)であり、炭素数1~4のアルキル基、-CH2CH(Y)OH、又は、-(CH2nNH2であることが好ましい。ここで、炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。-CH2CH(Y)OHにおけるYは、-CH2CH(Y)OCOR4中のYと同様である。-(CH2nNH2におけるnは、-(CH2nNHCOR5中のnと同様である。
【0031】
一般式(A1)で表される化合物の好ましい例として、下記一般式(A1-1)~(A1-7)で表される3級アミン化合物が挙げられる。
【化2】
((A1-1)~(A1-7)の各式中、R9はそれぞれ独立に、炭素数7~21の炭化水素基であり、(A1-6)~(A1-7)の各式中、R10はそれぞれ独立に、炭素数7~21の炭化水素基である。)
【0032】
9及びR10における炭素数7~21の炭化水素基としては、前記一般式(A1)のR4における炭素数7~21の炭化水素基と同様のものが挙げられ、好ましくは、炭素数15~17のアルキル基及びアルケニル基である。なお、一般式中にR9が複数存在するとき、該複数のR9は互いに同一であってもよく、それぞれ異なっていても構わない。
【0033】
カチオン界面活性剤は、アミン化合物の塩であってもよい。塩としては、3級アミン化合物の塩が好ましい。
アミン化合物の塩は、アミン化合物を酸で中和することにより得られる。中和に用いる酸は有機酸でも無機酸でもよく、例えば塩酸、硫酸や、メチル硫酸等が挙げられる。アミン化合物の中和は公知の方法により実施できる。
【0034】
カチオン界面活性剤は、アミン化合物の4級化物であってもよい。4級化物としては、3級アミン化合物の4級化物が好ましい。
アミン化合物の4級化物は、アミン化合物に4級化剤を反応させて得られる。4級化剤としては、例えば、塩化メチル等のハロゲン化アルキルや、ジメチル硫酸等のジアルキル硫酸などが挙げられる。これらの4級化剤をアミン化合物と反応させると、アミン化合物の窒素原子に4級化剤のアルキル基が導入され、4級アンモニウムイオンとハロゲンイオン又はモノアルキル硫酸イオンとの塩が形成される。4級化剤により導入されるアルキル基は、炭素数1~4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。アミン化合物の4級化は、公知の方法により実施できる。
【0035】
一般式(A1)及び(A1-1)~(A1-7)で表される化合物、その塩及びその4級化物は、市販のものを用いてもよく、公知の方法により製造したものを用いてもよい。
例えば、一般式(A1-1)で表される化合物(以下「化合物(A1-1)」という)及び一般式(A1-2)で表される化合物(以下「化合物(A1-2)」という)は、一般式(1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物、または該脂肪酸組成物における脂肪酸を該脂肪酸のメチルエステルに置き換えた脂肪酸メチルエステル組成物と、メチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、柔軟性付与を良好にする観点から、「化合物(A1-1)/化合物(A1-2)」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。その際、柔軟性付与の観点から「化合物(A1-1)の4級化物/化合物(A1-2)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
【0036】
一般式(A1-3)で表される化合物(以下「化合物(A1-3)」と言う)、一般式(A1-4)で表される化合物(以下「化合物(A1-4)」と言う)及び一般式(A1-5)で表される化合物(以下「化合物(A1-5)」と言う)は、一般式(1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物または脂肪酸メチルエステル組成物とトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、化合物(A1-3)、(A1-4)及び(A1-5)の合計質量に対する個々の成分の含有比率は、柔軟性付与の観点から、化合物(A1-3)が1~60質量%、化合物(A1-4)が5~98質量%、化合物(A1-5)が0.1~40質量%であることが好ましく、化合物(A1-3)が30~60質量%、化合物(A1-4)が10~55質量%、化合物(A1-5)が5~35質量%であることがより好ましい。
また、その4級化物を用いる場合には、4級化反応を十分に進行させる点で、4級化剤としてジメチル硫酸を用いることがより好ましい。化合物(A1-3)、(A1-4)、(A1-5)の各4級化物の存在比率は、柔軟性付与の観点から質量比で、化合物(A1-3)の4級化物が1~60質量%、化合物(A1-4)の4級化物が5~98質量%、化合物(A1-5)の4級化物が0.1~40質量%であることが好ましく、化合物(A1-3)の4級化物が30~60質量%、化合物(A1-4)の4級化物が10~55質量%、化合物(A1-5)の4級化物が5~35質量%であることがより好ましい。
なお、化合物(A1-3)、(A1-4)、(A1-5)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、「4級化物/4級化されていないエステルアミン」の比率は70/30~99/1の質量比率の範囲内であることが好ましい。
【0037】
一般式(A1-6)で表される化合物(以下「化合物(A1-6)」という)及び一般式(A1-7)で表される化合物(以下「化合物(A1-7)という」)は、一般式(1)のR4の欄で説明した脂肪酸組成物と、N-メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、J.Org.Chem.,26,3409(1960)に記載の公知の方法で合成したN-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチル-1,3-プロピレンジアミンとの縮合反応により合成できる。その際、「化合物(A1-6)/化合物(A1-7)」で表される存在比率が質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
4級化物を用いる場合、4級化剤として塩化メチルを用いることが好ましく、「化合物(A1-6)の4級化物/化合物(A1-7)の4級化物」で表される存在比率が、質量比で99/1~50/50となるように合成することが好ましい。
【0038】
(A)成分としては、
一般式(A1)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、
一般式(A1-1)~(A1-7)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がより好ましく、
一般式(A1-3)~(A1-5)で表される化合物、その塩及びその4級化物からなる群から選ばれる少なくとも1種がさらに好ましい。
【0039】
カチオン界面活性剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
カチオン界面活性剤は、単一種類を使用してもよく、複数種類を併用(例えば、一般式(A1-3)~(A1-5)で表される化合物の混合物)してもよい。
【0040】
カチオン界面活性剤の含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤の総質量に対して、好ましくは5~30質量%、更に好ましくは8~25質量%、特に好ましくは10~23質量%である。
【0041】
〔ノニオン界面活性剤〕
ノニオン界面活性剤は、油溶性成分の乳化分散安定性を向上させて、凍結復元性を液体柔軟剤へ付与するために配合する。
ノニオン界面活性剤としては、液体柔軟剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できる。例えば、アルコール又は脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物を使用できる。
アルコール及び脂肪酸の各炭素鎖部分は直鎖でも分岐鎖よく、不飽和基を含んでいてもよい。また、炭素鎖に分布があってもよい。炭素鎖の炭素数は、好ましくは6~20、更に好ましくは8~18である。炭素鎖が直鎖である場合、その炭素数は好ましくは6~14、更に好ましくは8~12、特に好ましくは10~12である。炭素鎖が分岐鎖である場合、その炭素数は好ましくは6~18、更に好ましくは9~18、特に好ましくは13である。
ノニオン界面活性剤の原料としては、エクソンモービル社製エクサール、BASF社製LUTENSOL(ルテンゾール)シリーズ、協和発酵工業製オキソコールや、Shell社製DOBANOLシリーズなどを使用できる。
ノニオン界面活性剤がアルコールのアルキレンオキサイド付加物である場合、1級アルコール及び2級アルコールのいずれも使用できる。炭素数13のアルコールは、例えばドデセンを原料として製造されるが、その出発原料はブチレンでもプロピレンでもよい。
炭素鎖が不飽和基を含む場合、その炭素数は18であるものが特に好ましい。不飽和基の立体異性体構造はシス体又はトランス体でも、両者の混合物であってもよいが、シス体/トランス体の比率が25/75~100/0(質量比)であることが好ましい。
アルキレンオキサイドはエチレンオキサイド(EO)が好ましいが、EOと共にプロピレンオキサイド(PO)又はブチレンオキサイド(BO)を付加してもよい。EOの平均付加モル数は好ましくは10~100モル、更に好ましくは20~80モル、特に好ましくは40~70モルである。EOと共に付加するPO又はBOの平均付加モル数は好ましくは1~5、更に好ましくは1~3モルである。この際、EOを付加した後にPO又はBOを付加してもよく、PO又はBOを付加した後にEOを付加してもよい。
【0042】
ノニオン界面活性剤の例としては、ノニルアルコールにEOを平均9モル及びPOを平均1モル付加した物、一級イソノニルアルコールの平均EO40モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、ラウリルアルコールの平均EO10~100モル(好ましくは20~30モル)付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO10~100モル(好ましくは60モル)付加物、トリデシルアルコールの平均EO50モル付加物や、ラウリン酸の平均EO20モル付加物等が挙げられる。市販品としては日本エマルジョン製エマレックスシリーズ、三洋化成製エマルミンシリーズ、ライオン化学製TDAシリーズ、日本触媒製ソフタノールシリーズや、BASF社製LUTESOLシリーズ等が挙げられる。
【0043】
ノニオン界面活性剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
ノニオン界面活性剤は、単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0044】
ノニオン界面活性剤の含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤の総質量に対し、好ましくは0.01~10質量%、更に好ましくは0.1~8質量%、特に好ましくは0.5~5質量%である。含量が10質量%以下であると使用性に優れた粘度が得られる。
【0045】
〔粘度調節剤〕
粘度調節剤は液体柔軟剤の使用性を向上するために配合する。
粘度調節剤の例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウムや、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも塩化カルシウムが好ましい。
粘度調節剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
粘度調節剤の含量は、液体柔軟剤の総質量に対して0.001~5質量%、好ましくは0.003~3質量%、更に好ましくは0.005~1質量%である。
【0046】
〔環状デキストリン化合物〕
環状デキストリン化合物は、繊維製品の消臭性を更に向上させるために配合する。
環状デキストリン化合物は、重合度(n)が5以上である環状構造を持ったグルカンである。例としては、α-シクロデキストリン(n=6)、β-シクロデキストリン(n=7)、γ-シクロデキストリン(n=8)等のグルコースが6~8個結合した一般的なシクロデキストリンや、内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有する高度分岐環状デキストリン)が挙げられる。
内分岐環状構造部分とはα-1,4-グルコシド結合とα-1,6-グルコシド結合とで形成される環状構造部分をいい、外分岐構造部分とは内分岐環状構造部分に結合した非環状構造部分をいう。
高度分岐環状デキストリンは、1つの内分岐環状構造に多数の非環状の分岐グルカン鎖(外分岐構造部分)が結合した重量平均重合度2500程度のデキストリンを主に含み、3万から100万程度の分子量を有する。
内分岐環状構造部分は10~100個程度のグルコースで構成される。
高度分岐環状デキストリンの重合度は、例えば50~5000である。
内分岐環状構造部分の重合度は、例えば10~100である。
外分岐構造部分の重合度は、例えば40以上である。
外分岐構造部分の各単位鎖の重合度は、例えば、平均で10~20である。
高度分岐環状デキストリンは、例えば、デンプンにブランチングエンザイムを作用させて製造できる。原料デンプンは、グルコースがα-1、4-グルコシド結合によって直鎖状に結合したアミロースと、α-1,6-グルコシド結合によって複雑に分岐した構造をもつアミロペクチンからなる。アミロペクチンはクラスター構造が多数連結された巨大分子である。ブランチングエンザイムは動植物や微生物に広く分布するグルカン鎖転移酵素であり、アミロペクチンのクラスター構造の継ぎ目部分に作用して、これを環状化する反応を触媒する。
高度分岐環状デキストリンの具体例としては、特開平8-134104号公報に記載の内分岐環状構造部分と外分岐構造部分とを有し、重合度が50から10000であるグルカンや、グリコ栄養食品株式会社の「クラスターデキストリン」(登録商標)が挙げられる。
環状デキストリン化合物は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
環状デキストリン化合物の含量は、配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤の総質量に対して、好ましくは0.01~10質量%、更に好ましくは0.1~5質量%、特に好ましくは0.1~2質量%である。
【0047】
〔水溶性溶剤〕
水溶性溶剤は、液体柔軟剤の安定性(特に凍結復元性)を向上させるために配合する。
水溶性溶剤としては、低級(炭素数1~4)アルコール、グリコールエーテル系溶剤、及び多価アルコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。具体的には、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び一般式(X)で表される化合物からなる群から選ばれるものが好ましい。
11-O-(C24O)y-(C36O)z-H ・・・(X)
一般式(X)中、R11は、炭素数1~6(好ましくは2~4)のアルキル基又はアルケニル基である。y及びzは平均付加モル数であり、yは1~10、好ましくは2~5、zは0~5、好ましくは0~2である。
水溶性溶剤としては、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
水溶性溶剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
水溶性溶剤の含量は、配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤の総質量に対して、好ましくは0~30質量%、更に好ましくは0.01~25質量%、特に好ましくは0.1~20質量%である。
【0048】
〔シリコーン化合物〕
シリコーン化合物は、繊維製品の消臭性を更に向上させるために配合する。
シリコーン化合物としては、液体柔軟剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できる。シリコーン化合物は直鎖状でも分岐状でもよく、架橋していてもよい。
シリコーン化合物は、1種以上の有機官能基で変性された変性シリコーン化合物であってもよい。
シリコーン化合物はオイルでもよく、乳化剤で分散されたエマルジョンでもよい。
シリコーン化合物の例としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーンや、アミノ変性シリコーン等が挙げられる。配合目的と汎用性の観点からは、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーンとジメチルシリコーンが好ましい。配合目的と製造時の取り扱いの観点からは、ポリエーテル変性シリコーンとアミノ変性シリコーンが好ましい。
ポリエーテル変性シリコーンの例としては、アルキルシロキサンとポリオキシアルキレンとの共重合体等が挙げられる。アルキルシロキサンのアルキル基の炭素数は好ましくは1~3であり、ポリオキシアルキレンのアルキレン基の炭素数は好ましくは2~5である。
ポリエーテル変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体等)との共重合体が好ましい。
【0049】
ポリエーテル変性シリコーンの例として、下記の一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。
【化3】
一般式(I)中、Rは水素又はアルキル基を表し、好ましくは水素又は炭素数1~4のアルキル基である。
M、N、a及びbは平均重合度を表す。
Mは、好ましくは10~10,000であり、更に好ましくは100~300である。
Nは、好ましくは1~1,000であり、更に好ましくは1~100である。
更に、M>Nであることが好ましい。
aは、好ましくは2~100であり、更に好ましくは2~50である。
bは、好ましくは0~50であり、更に好ましくは0~10である。
一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えば、ポリオキシアルキレンアリルエーテル等の炭素-炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを、白金触媒下で付加反応に供して製造される。そのため、ポリエーテル変性シリコーン中には未反応のポリオキシアルキレンアルキルエーテルやSi-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンがわずかに含まれる場合がある。Si-H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは反応性が高いため、ポリエーテル変性シリコーン中での存在量は30ppm以下(Si-Hの量として)であることが好ましい。
【0050】
ポリエーテル変性シリコーンの例としては、下記の一般的(II)で表される線状ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体も挙げられる。
【化4】
一般式(II)中、Rはアルキル基を表し、好ましくは炭素数1~5のアルキル基である。
R’は水素又はアルキル基を表し、好ましくは水素又は炭素数1~4のアルキル基である。
A、B、h及びiは、平均重合度である。
Aは好ましくは5~10,000であり、Bは好ましくは2~10,000であり、hは好ましくは2~100であり、iは好ましくは0~50である。
一般式(II)で表される線状ポリシロキサン-ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させて製造できる。この共重合体の粘度は、側鎖のポリオキシアルキレン鎖が長く、ポリシロキサン鎖の重合度が大きいものほど高くなるので、製造時の作業性改善及び水性組成物への配合を容易にするために、水溶性有機溶剤とのプレミックスの形で配合に供することが好ましい。水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、ジプロピレングリコール、ブチルカルビトール等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーンの市販品としては、東レ・ダウコーニング(株)製のSH3772M、SH3775M、FZ-2166、FZ-2120、L-720、SH8700、L-7002、L-7001、SF8410、FZ-2164、FZ-2203、FZ-2208や、信越化学工業(株)製のKF352A、KF615A、X-22-6191、X-22-4515、KF-6012、KF-6004や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のTSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4450、TSF4446、TSF4452、TSF4460等が挙げられる。
アミノ変性シリコーンは、ジメチルシリコーン骨格の末端又は側鎖へアミノ基を導入してなるシリコーンオイルであってもよい。また、アミノ基以外の置換基(水酸基、アルキル基、フェニル基等)で置換されていてもよい。
アミノ変性シリコーンはオイルでもよく、乳化剤(ノニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤)で分散されたエマルジョンでもよい。
好ましいアミノ変性シリコーンのオイル又はエマルジョンの基油オイルは、一般式(III)で表される構造を有する。
【化5】
一般式(III)中、R1及びR6は、互いに独立してメチル基、水酸基又は水素を表す。
2は、-(CH2n-A1、又は-(CH2n-NHCO-(CH2m-A1を表す。
1は、-N(R3)(R4)、又は-N+(R3)(R4)(R5)・X-を表す。
3~R5は、互いに独立して水素原子、炭素数1~12のアルキル基、フェニル基又は-(CH2n-NH2を表す。
-は、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン、硫酸メチルイオン又は硫酸エチルイオンを表す。
m及びnは、互いに独立して0~12の整数を表す。
p及びqはポリシロキサンの重合度を表す。pは0~20000、好ましくは10~10000であり、qは1~500、好ましくは1~100である。
アミノ変性シリコーンのオイルの25℃における動粘度は、好ましくは50~20000mm2/s、更に好ましくは100~10000mm2/sである。
アミノ変性シリコーンは商業的に入手可能なものを使用できる。
アミノ変性シリコーンオイルとしては、東レ・ダウコーニング株式会社からSF―8417、BY16-892、BY16-890として販売されているものや、信越化学工業株式会社からKF-864、KF-860、KF-8004、KF-8002、KF-8005、KF-867、KF-861、KF-880、KF-867Sとして販売されているものが挙げられる。
アミノ変性シリコーンエマルジョンとしては、東レ・ダウコーニング株式会社からSM8904、BY22-079、FZ-4671、FZ-4672として販売されているもの、信越化学工業株式会社からPolonシリーズで販売されているもの(PolonMF-14、PolonMF-29、PolonMF-14D、PolonMF-44、PolonMF-14EC、PolonMF-52)や、旭化成ワッカーシリコーン株式会社から、WACKER FC201、WACKER FC218として販売されているものが挙げられる。
ジメチルシリコーンの動粘度は特に制限されないが、好ましくは1~100,000,000mm2/s、更に好ましくは10~10,000,000mm2/s、特に好ましくは100~1,000,000mm2/sである。ジメチルシリコーンはオイルでもエマルジョンでもよい。
シリコーン化合物の含量は、配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤の総質量に対して、好ましくは0.001~10質量%、更に好ましくは0.005~5質量%、特に好ましくは0.01~5質量%である。
【0051】
〔染料及び/又は顔料〕
染料及び/又は顔料は、液体柔軟剤の外観を向上するために配合する。
染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)等に記載されている。
染料としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上が好ましい。
液体柔軟剤の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基及びアミド基からなる群から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料又は反応性染料が好ましい。
その他、特開平6-123081号公報、特開平6-123082号公報、特開平7-18573号公報、特開平8-27669号公報、特開平9-250085号公報、特開平10-77576号公報、特開平11-43865号公報、特開2001-181972号公報や、特開2001-348784号公報に記載されている染料も使用できる。
染料及び/又は顔料の含量は、配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤の総質量に対して、好ましくは1~50ppm、更に好ましくは1~30ppmである。
【0052】
〔防腐剤〕
防腐剤は、液体柔軟剤の防腐力や殺菌力を強化して、長期保存中の防腐性を保つために配合する。
防腐剤としては、液体柔軟剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できる。具体例としてはイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。
イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-n-ブチル-3-イソチアゾロン、2-ベンジル-3-イソチアゾロン、2-フェニル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4,5-ジクロロイソチアゾロン、5-クロロ-2-メチル-3-イソチアゾロン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンや、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンが好ましく、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンと2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンとの混合物がより好ましく、前者が約77質量%と後者が約23質量%との混合物やその希釈液(例えば、イソチアゾロン液)が特に好ましい。
ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン、2-メチル-4,5-トリメチレン-4-イソチアゾリン-3-オン、類縁化合物としてジチオ-2,2-ビス(ベンズメチルアミド)や、これらの混合物などが挙げられる。なかでも、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンが特に好ましい。
安息香酸類としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチルや、パラオキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
防腐剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
防腐剤の含量は、配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤の総質量に対して、好ましくは0.0001~1質量%である。
【0053】
〔紫外線吸収剤〕
紫外線吸収剤は、繊維製品を紫外線から防御するために配合する。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収して赤外線や可視光線等に変換して放出する物質である。
紫外線吸収剤の例としては、p-アミノ安息香酸、p-アミノ安息香酸エチル、p-アミノ安息香酸グリセリル、p-ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体;サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体;ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p-メトキシケイ皮酸エチル、p-メトキシケイ皮酸イソプロピル、p-メトキシケイ皮酸-2-エチルヘキシル、p-メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体;2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸、2、2'-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物や;4-t-ブチル-4'-メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0054】
〔抗菌剤〕
抗菌剤は、繊維製品上での菌の増殖を抑えて消臭性を更に向上させるために配合する。
抗菌剤の例としては、四級アンモニウム塩(塩化ベンザルコニウム)等のカチオン性殺菌剤、ダイクロサン、トリクロサン、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、8-オキシキノリン、ポリリジン等が挙げられる。
【0055】
〔機能性カプセル〕
機能性カプセルは、カプセル内に内包された芯物質に起因する様々な機能を液体柔軟剤へ付与するために配合する。
機能性カプセルは、芯物質と当該芯物質を覆う壁物質とから構成される。
【0056】
芯物質としては、液体柔軟剤分野でカプセル封入物質として一般的に用いられているものを特に制限なく使用できる。具体例としては、香料、精油、増白剤、虫除け剤、シリコーン、ワックス、香味料、ビタミン、スキンケア剤、酵素、プロバイオティクス、染料、顔料、香料前駆体、冷感剤、温感剤、フェロモン等の誘引剤、抗菌剤、漂白剤、香味料、甘味料、ワックス、薬剤、肥料や、除草剤等が挙げられる。
芯物質は、単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0057】
壁物質としては、液体柔軟剤分野で公知の材料を特に制限なく使用できる。具体例としては、ゼラチンや寒天等の天然系高分子や、油脂やワックス等の油性膜形成物質や、ポリアクリル酸系、ポリビニル系、ポリメタクリル酸系、メラミン系、ウレタン系等の合成高分子物質等が挙げられ、それら1種を単独又は2種以上を適宜併用できる。
【0058】
香料(但し、ジヒドロメチルジャスモネート、シクラメンアルデヒド及び追加香料成分を除く)を芯物質とするカプセル化香料の具体例としては、フィルメニッヒ社製のBLUEFLOWERPOP「FFMHN2814」;ジボダン社製のGREEN BREEZE CAPS、ORCHARD GARDEN CAPS、RAINBOW CAPS、VELVET CAPS、AURORACAPS及びCOSMICCAPSや;IFF社製のUNICAP101及びUNICAP503等が挙げられる。
冷感剤を芯物質とする冷感カプセルの具体例としては、SALVONA Technologies社製のMultiSal SalCool、HydroSal FreshCool、SalSphere SalCoolや、日華化学株式会社製のネオアージュAROMA-C等が挙げられる。
温感剤を芯物質とする温感カプセルの具体例としては、三木理研株式会社製のリケンレジンRMC-TOや、SALVONA Technologies社製のHydrosal Heat等が挙げられる。
他の具体例としては、三木理研株式会社製のリケンレジンNFHO-W(抗菌効果)や、リケンレジンRMC-HBP(防虫効果)及びRMC-PT(防虫効果)等が挙げられる。
【0059】
機能性カプセルの平均粒子径は10~30μmであることが好ましい。この粒子径を有する機能性カプセル、繊維製品への吸着性に優れ、かつ液体柔軟剤中に安定に分散することができる。
【0060】
機能性カプセルは単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
機能性カプセルの含量は配合目的を達成できる限り特に限定されないが、液体柔軟剤の総質量に対して、好ましくは0.0001~1質量%である。
機能性カプセルがカプセル化香料の場合、その含量はジヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドの配合効果を損なわない範囲で適宜設定できる。
【0061】
〔水〕
液体柔軟剤は、好ましくは水を含む水性組成物である。
水道水、精製水、純水、蒸留水、イオン交換水等を使用できるが、イオン交換水が好適である。
水の含量は特に限定されず、所望の成分組成を達成するために適宜配合できる。
【0062】
〔他の任意成分〕
機能向上剤として、縮み防止剤、洗濯じわ防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、アイロン性向上剤、酸素漂白防止剤、増白剤、白化剤、布地柔軟化クレイ、帯電防止剤、移染防止剤、高分子分散剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、蛍光増白剤、染料固定剤、退色防止剤、染み抜き剤、繊維表面改質酵素、抑泡剤、絹の風合いや機能を付与する物質や、汚染防止剤等を配合できる。
【0063】
〔液体柔軟剤のpH〕
液体柔軟剤のpHは特に限定されないが、保存経日に伴うカチオン界面活性剤の分子中に含まれるエステル基の加水分解を抑制する観点から、25℃におけるpHを好ましくは1~6、更に好ましくは2~4に調整する。
pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N-メチルエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩や、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を使用できる。
【0064】
〔液体柔軟剤の粘度〕
液体柔軟剤の粘度は、その使用性を損なわない限り特に限定されないが、25℃における粘度が1000mPa・s未満であることが好ましい。保存経日による粘度上昇を考慮すると、製造直後の液体柔軟剤の25℃における粘度は、好ましくは800mPa・s未満、更に好ましくは500mPa・s未満である。この粘度範囲であると使用性(洗濯機への投入の際のハンドリング性等)が良好である。
液体柔軟剤の粘度は、B型粘度計(TOKIMEC社製)を用いて測定できる。
【0065】
〔液体柔軟剤の製造方法〕
液体柔軟剤は、公知の方法、例えば主剤としてカチオン界面活性剤を用いる従来の液体柔軟剤の製造方法と同様の方法により製造できる。
【0066】
〔液体柔軟剤の使用方法〕
液体柔軟剤の使用方法に特に制限はなく、一般の液体柔軟剤と同様の方法で使用できる。例えば、洗濯のすすぎ段階のすすぎ水へ液体柔軟剤を溶解させて繊維製品を柔軟処理する方法や、液体柔軟剤をたらいのような容器中の水に溶解させ、更に繊維製品を入れて浸漬処理する方法がある。
【0067】
〔洗剤〕
香料組成物の含量は、洗剤の総質量に対して0.01~3質量%、好ましくは0.1~3質量%、更に好ましくは0.2~1質量%である。
香料組成物がカプセル化香料である場合、その含量は、洗剤の総質量に対して0.05~1質量%、好ましくは0.05~0.5質量%、更に好ましくは0.1~0,2質量%である。
【0068】
洗剤には、香料組成物に加えて、繊維製品用洗剤へ配合可能な公知の成分を特に制限なく配合できる。以下、主剤としての界面活性剤と任意成分を詳述する。
【0069】
〔界面活性剤〕
界面活性剤は、繊維製品の汚れを洗浄するために配合する。
界面活性剤としては、繊維製品用洗剤分野で公知の物質を特に制限なく使用でき、例としてアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤や、半極性界面活性剤等が挙げられる。
【0070】
〔アニオン界面活性剤〕
アニオン界面活性剤としては、繊維製品用洗剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できる。好ましいアニオン界面活性剤としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩;α-オレフィンスルホン酸塩;直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩;アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩;α-スルホ脂肪酸エステル塩などが挙げられる。
アニオン界面活性剤の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8~16のものが好ましく、炭素数10~14のものが特に好ましい。
α-オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10~20のものが好ましい。
アルキル硫酸エステル塩としては、アルキル基の炭素数が10~20のものが好ましい。
アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10~20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均1~10モルのエチレンオキシドを付加したもの(すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩)が好ましい。
アルカンスルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数が10~20のものが好ましく、14~17のものがより好ましい。なかでも、アルキル基が2級アルキル基であるもの(すなわち、2級アルカンスルホン酸塩)が特に好ましい。
α-スルホ脂肪酸エステル塩としては、例えばα-スルホ脂肪酸エステルがRaCH(SO3M)COORb(式中、Ra及びRbは互いに独立して炭化水素基であり、Mは対イオンである)で表される化合物の場合、その脂肪酸残基(すなわち、Ra-C(H)-COOで表される基)の炭素数が10~20のものが好ましい。
これらの中でも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルカンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、及びα-オレフィンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも1種のアニオン界面活性剤がさらに好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が特に好ましい。
他のアニオン界面活性剤も使用できる。具体例としては、炭素数10~20の高級脂肪酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸塩、アルキル(又はアルケニル)アミドエーテルカルボン酸塩、アシルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤等が挙げられる。
アニオン界面活性剤は公知物質であり、市場で容易に入手可能であるか、又は調製可能である。
アニオン界面活性剤は、単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。
【0071】
アニオン界面活性剤として、SO3基又はSO4基を有するアニオン界面活性剤と、炭素数8~22の脂肪酸(高級脂肪酸)又はその塩(高級脂肪酸塩)を併用することが好ましい。
高級脂肪酸としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ベヘン酸等の単一脂肪酸や、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸等の混合脂肪酸等が挙げられる。
高級脂肪酸塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩や、アンモニウム塩、モノエタノールのアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、2-アミノ-2-メチルプロパノール塩、2-アミノ-2-メチルプロパンジオール等のアルカノールアミン塩、リジン、アルギニン等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。
【0072】
〔ノニオン界面活性剤〕
ノニオン界面活性剤としては、繊維製品用洗剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できる例としては、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、炭素数8~22の脂肪酸又は炭素数8~22のアミン等のアルキレンオキサイド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキサイド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキサイド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
洗剤が液体である場合、その粘度を適度に保持しつつ外観安定性を向上できるポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましい。
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤の例としては、一般式(b-1)で表される化合物(以下、「化合物(b1)」という。)、下記一般式(b―2)で表される化合物(以下、「化合物(b2)」という。)等が挙げられる。
51-CO-(OR52)m-OR53 ・・・(b-1)
54-O-[(EO)s/(PO)t]H ・・・(b-2)
式(b-1)中、R51は炭素数9~13の炭化水素基であり、R52は炭素数2~4のアルキレン基であり、R53は炭素数1~4のアルキル基である。mはOR52の平均繰り返し数を示し、5~25である。複数のR52は、互いに同一でも異なっていてもよい。複数のR52が異なる場合、それらはブロック状に付加していてもよく、ランダム状に付加していてもよい。
式(b-2)中、R54は炭素数10~22の炭化水素基であり、EOはオキシエチレン基であり、POはオキシプロピレン基である。sはEOの平均繰り返し数を示し、5~20であり、tはPOの平均繰り返し数を示し、0~4である。EOとPOとは、ブロック状に付加していてもよく、ランダム状に付加していてもよい。
皮脂汚れに対する洗浄力が高まることや、高濃度領域でゲル化しにくい等の点から、化合物(b1)及び(b2)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。化合物(b1)と(b2)との併用、又は化合物(b1)の単独使用が更に好ましい。
洗剤が液体の場合、高濃度領域でゲル化しにくい点から、化合物(b1)及び(b2)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。化合物(b1)と(b2)との併用、又は化合物(b1)の単独使用が更に好ましい。
【0073】
化合物(b1)としては、R52がエチレン基であるポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルが好ましく、なかでもR53がメチル基であるポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル(以下、「MEE」ともいう)が特に好ましい。
ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルを含有する液体洗剤は、水への溶解性が良く高い洗浄力が得られる。また、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルは高濃度で配合しても粘度の著しい増大(ゲル化)が生じにくいので、流動性の良好な濃縮型液体洗剤が得られる。その理由として以下の理由が考えられる。ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルは水への溶解性が高く、高濃度で良好な流動性を示す。そのため、液体洗剤を水中へ投入したとき、洗濯液中のポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルの濃度は素早く均一となり、洗浄初期から所定の濃度で繊維製品と接触できるため、高い洗浄力が発揮される。更にポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステル(特にMEE)は、水溶液系中で分子同士の配向性が弱く、そのミセルが不安定で、高濃度でもゲル化等が生じにくいので、単独で多量の配合が可能になる。
化合物(b2)としては、第1級アルコールに酸化エチレンを付加した第1級アルコールエトキシレートが特に好ましい。
【0074】
〔カチオン界面活性剤〕
カチオン界面活性剤としては、繊維製品用洗剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できる。具体例としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩の陽イオン性界面活性剤などが挙げられる。
カチオン界面活性剤の他の例として、カプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はこれらの塩や;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミドなどが挙げられる。
カチオン界面活性剤の分子量は、1000未満であることが好ましい。
【0075】
〔両性界面活性剤〕
両性界面活性剤としては、繊維製品用洗剤分野で公知の物質を特に制限なく使用できる。具体例としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型、リン酸型の両性界面活性剤などが挙げられる。
【0076】
界面活性剤は単一種類を使用してもよく、複数種類を併用してもよい。洗浄性能の高さからアニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤が好ましく、アニオン界面活性剤とノニオン界面活性剤との併用が更に好ましい。
界面活性剤の含量は、配合目的を達成できる限り特に限定されないが、洗剤の総質量に対して、好ましくは15~79質量%、更に好ましくは20~60質量%、特に好ましくは30~55質量%である。これらの含量範囲であると、配合効果に加えて、再汚染防止性向上が得られる。
アニオン界面活性剤の含量は、洗剤の総質量に対して、好ましくは1~30質量%、更に好ましくは5~20質量%、特に好ましくは7~15質量%である。これらの含量範囲であると、配合効果に加えて、香料組成物の溶解性向上と再汚染防止性向上とが得られる。
ノニオン界面活性剤の含量は、洗剤の総質量に対して、好ましくは10~50質量%、更に好ましくは10~40質量%、特に好ましくは15~30質量%である。これらの含量範囲であると、配合効果に加えて、香料組成物の溶解性向上と使用性向上とが得られる。
【0077】
〔任意成分〕
繊維製品用洗剤に配合可能な公知の成分を特に制限なく使用できる。具体例としては、カチオン性ポリマー、洗浄性ビルダー、色素、蛍光増白剤、漂白剤、漂白活性化剤、漂白活性化触媒、酵素、酵素安定剤、ポリマー類、ケーキング防止剤、消泡剤、防腐剤、還元剤、金属イオン捕捉剤(キレート剤)、粘土鉱物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、移染防止剤、再汚染防止剤、パール剤、ソイルリリース剤、ハイドロトロープ剤、pH調整剤、水や、有機溶剤などが挙げられる。
【0078】
〔洗剤の剤形及び物性〕
洗剤の剤形は固形でも液体でもよい。
固形洗剤としては、粒状(粉末、顆粒)洗剤、タブレット洗剤、ブリケット洗剤、バー状洗剤、粒状洗剤又はペースト状洗剤を水溶性フィルム、シートなどで個別包装した分包型洗剤等の各種剤型に調製したもの等が挙げられる。
液体洗剤のpHは特に限定されないが、25℃におけるpHを、好ましくは5~9、更に好ましくは6~8に調整する。
pH調整には、硫酸、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムや、アルカノールアミン等を使用できる。
【0079】
〔洗剤の製造方法〕
洗剤は、公知の方法に従い製造できる。
液体洗剤の製造方法の例としては、分散媒である水に、香料組成物、界面活性剤及び任意成分を加えて混合する方法などが挙げられる。
固形洗剤の製造方法の例としては、香料組成物、界面活性剤及び任意成分を水に分散・溶解した後に噴霧乾燥する方法や、界面活性剤及び任意成分を含む粒子群に香料組成物を噴霧する方法や、香料組成物、界面活性剤及び任意成分を捏和・押出、撹拌造粒、転動造粒等の装置に供し、さらに必要に応じて粉砕等する方法や、これらの方法により得られた粒状物を任意の剤形に成形する方法等が挙げられる。
【0080】
〔洗剤の使用方法〕
洗剤の使用方法に特に制限はなく、一般の繊維製品用洗剤と同様の方法で使用できる。例えば、洗剤を単独で又は漂白剤や柔軟剤と共に水に入れて洗浄液とし、この洗浄液へ繊維製品を入れて洗濯機で洗浄する方法や、洗浄液に繊維製品を一定時間漬け置きした後、洗濯機で洗浄する方法などが挙げられる。また、液体洗剤を繊維製品の汚れ部分へ塗布して適宜放置し、その後、洗濯機で洗浄してもよい。
繊維製品としては、例えば、衣料、布巾、シーツ、カーテン、枕カバーなどが挙げられる。繊維製品の素材は特に限定されず、綿、絹、羊毛等の天然繊維、ポリエステル、ポリアミド等の化学繊維等のいずれでもよい。
【実施例0081】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例及び比較例における各成分の配合量は全て質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0082】
〔香料組成物〕
表1に示す組成を有する香料組成物を使用した。表1中、各成分の数値の単位は、香料組成物の総質量に対する質量%である。また、表1中の「ジヒドロメチルジャスモネート/シクラメンアルデヒド」は、ヒドロメチルジャスモネートとシクラメンアルデヒドとの質量比を示す。
香料組成物は、各香料成分と香料用溶剤(DPG)とを混合して調製した。
【0083】
〔液体柔軟剤〕
下記の組成を有する液体柔軟剤を調製した。各成分の含量の単位は、液体柔軟剤の総質量に対する質量%である。
柔軟剤は、組成に従い各成分を混合することで調製した。
【0084】
【0085】
〔処理された繊維製品の残香性評価〕
液体柔軟剤で処理した繊維製品の残香性を評価した。
新品の市販綿タオル10枚(タオル1枚の重さ:約70g)を、市販合成洗剤(商品名:トップ、ライオン株式会社製)による洗浄処理(10分間の洗浄、続く3分間のためすすぎ(浴比20倍)を2回)に供した。2回目のすすぎ時に液体柔軟剤1gを加えて柔軟処理を行った。
柔軟処理後に脱水(1分間)し、更に室温下で放置(24時間)した後のタオルの香り立ちを下記の評価基準に従って評価した。液体柔軟剤組成物に配合したカプセル化香料が破壊されて内部から漏出した香料(芯物質)が評価結果に影響しないよう、香り立ちの評価はタオルに触れることなく実施した。評価は専門パネラー10名により行った。10名の平均点を小数点第0位まで算出した。結果を表1の「残香性」欄に示す。平均点が0点以上を合格とした。

<評価基準>
2:香りが感じられず、香りの特徴は捉えられない
1:香りはわずかに感じられるが、香りの特徴は捉えられない
0:香りは感じられるが、香りの特徴は捉えられない
-1:香りが感じられ、香りの特徴は捉えられる
【0086】
〔処理された繊維製品の部屋干し臭評価〕
液体柔軟剤で処理した繊維製品の部屋干し臭を評価した。
混紡Tシャツ(綿60%、ポリエステル40%)を、市販合成洗剤(商品名:トップ、ライオン株式会社製)と洗濯機(JW-Z23A型、ハイアール社製)とを用いた洗浄処理(洗剤25g/水道水30L、水温20℃、10分間)に供した。
次いで、混紡Tシャツを20~40代の男性10人が12時間着用した。
着用後の混紡Tシャツを、前記市販合成洗剤と洗濯機(JW-Z23A型、ハイアール社製)を用いた洗浄及び柔軟処理(通常コース、水温20℃、洗浄に用いた水の硬度3゜DH、浴比20倍)に供した。洗剤の投入量は10mL/水道水30Lであり、液体柔軟剤の投入量は10mL/洗濯物1.5kgであった。処理の際、浴比合わせの衣料として、新品の綿100%の肌シャツ(BVD製)を、全自動洗濯機(パナソニック株式会社製、NA-F70SD1)のおまかせコースで5回洗濯処理(水温約20℃、硬度約3゜DHの水道水を注水)したものを用いた。
柔軟処理後の混紡Tシャツを、室温(23℃)、相対湿度90%RHの室内に干して5時間乾燥(部屋干し)を行った。部屋干し後の混紡Tシャツの臭い(部屋干し臭)を下記の基準に従って官能評価した。評価は専門パネラー10名により行った。10名の平均点を小数点第0位まで算出した。結果を表1の「部屋干し臭抑制効果」欄に示す。平均点が0点以上を合格とした。

<評価基準>
2:臭気が感じられない
1:臭気がほとんど感じられず、基準に比べて抑えられている
0:臭気が感じられるが、基準に比べて抑えられている
-1:臭気が感じられ、基準と同等
【0087】
部屋干し臭とは、柔軟処理に供した繊維製品を室内(特に、高湿度下)で干した際、菌が増殖することで発生する不快な臭気をいう。部屋干しで乾燥させた繊維製品を着用中、汗等で濡れたときに部屋干し臭が再発生することもある。部屋干し臭を構成する主な臭気成分としては、硫黄系臭気(ジメチルジスルフィドや、ジメチルスルフィド)、アミン系臭気(トリメチルアミンやトリエチルアミン)、カビ臭(ジェオスミン、2-メチルイソボルネオール、2,4,6-トリクロロアニソール、1-オクテン-3-オールや6-メチル-5-ヘプテン-2-オン)がある。
【0088】
〔液体洗剤〕
下記の組成を有する液体洗剤を調製した。各成分の含量の単位は、液体洗剤の総質量に対する質量%である。
液体洗剤は、組成に従い各成分を混合し、pH調整剤でpH7へ調整することで調製した。
【0089】
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、繊維製品処理剤の分野で利用可能である。
【0091】
【表1-1】
【0092】
【表1-2】
【0093】
【表1-3】