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特開2022-102383ビールテイストアルコール飲料、ビールテイストアルコール飲料の製造方法及びビールテイストアルコール飲料の醸造感を増強する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022102383
(43)【公開日】2022-07-07
(54)【発明の名称】ビールテイストアルコール飲料、ビールテイストアルコール飲料の製造方法及びビールテイストアルコール飲料の醸造感を増強する方法
(51)【国際特許分類】
   C12C 5/02 20060101AFI20220630BHJP
【FI】
C12C5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020217078
(22)【出願日】2020-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉井 孝彰
(72)【発明者】
【氏名】藤田 陽平
(72)【発明者】
【氏名】松原 仁志
(72)【発明者】
【氏名】秦 悠斗
【テーマコード(参考)】
4B128
【Fターム(参考)】
4B128CP16
(57)【要約】
【課題】ビールらしい醸造感を有しており、収斂味が低減されたビールテイストアルコール飲料を提供すること。
【解決手段】原料中の麦芽の比率が0重量%を超え、50重量%未満であり、イソα酸を10~45ppm、エチルグルコシドを1~50ppm含む、ビールテイストアルコール飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料中の麦芽の比率が0重量%を超え、50重量%未満であり、
イソα酸を10~45ppm、
エチルグルコシドを1~50ppm含む、ビールテイストアルコール飲料。
【請求項2】
イソα酸を15~25ppm、
エチルグルコシドを10~25ppm含む、請求項1に記載のビールテイストアルコール飲料。
【請求項3】
原料中の麦芽の比率が0重量%を超え、50重量%未満であるビールテイストアルコール飲料が、イソα酸を10~45ppm、エチルグルコシドを1~50ppm含むように、イソα酸とエチルグルコシドの濃度を調整する、ビールテイストアルコール飲料の製造方法。
【請求項4】
原料中の麦芽の比率が0重量%を超え、50重量%未満であるビールテイストアルコール飲料に対して、イソα酸を10~45ppm、エチルグルコシドを1~50ppm含有させることにより、ビールテイストアルコール飲料の醸造感を増強する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールテイストアルコール飲料、ビールテイストアルコール飲料の製造方法及びビールテイストアルコール飲料の醸造感を増強する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の消費者の嗜好の多様化にともなって、様々な香味特徴をもつビールテイストアルコール飲料の開発が望まれている。
【0003】
特許文献1には、エチル-α-グルコシドを発泡酒へ添加・配合することにより発泡酒の苦味を抑制・緩和することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-27968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のように、エチル-α-グルコシドをビールテイストアルコール飲料(発泡酒)に配合した場合、エチル-α-グルコシドの含有量が高い場合に、エチルグルコシドに起因する収斂味が強く感じられる場合があることが問題となっていた。
【0006】
また、原料中の麦芽の比率が0重量%を超え、50重量%未満であるビールテイストアルコール飲料において、麦芽比率が50%以上であるビールに近い、ビールらしい醸造感を有することが望まれていた。
【0007】
上記のような要望を踏まえ、本発明は、ビールらしい醸造感を有しており、収斂味が低減されたビールテイストアルコール飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、以下のビールテイストアルコール飲料、ビールテイストアルコール飲料の製造方法、ビールテイストアルコール飲料の醸造感を増強する方法に関する。
〔1〕原料中の麦芽の比率が0重量%を超え、50重量%未満であり、イソα酸を10~45ppm、エチルグルコシドを1~50ppm含む、ビールテイストアルコール飲料。
〔2〕イソα酸を15~25ppm、エチルグルコシドを10~25ppm含む、〔1〕に記載のビールテイストアルコール飲料。
〔3〕原料中の麦芽の比率が0重量%を超え、50重量%未満であるビールテイストアルコール飲料が、イソα酸を10~45ppm、エチルグルコシドを1~50ppm含むように、イソα酸とエチルグルコシドの濃度を調整する、ビールテイストアルコール飲料の製造方法。
〔4〕原料中の麦芽の比率が0重量%を超え、50重量%未満であるビールテイストアルコール飲料に対して、イソα酸を10~45ppm、エチルグルコシドを1~50ppm含有させることにより、ビールテイストアルコール飲料の醸造感を増強する方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ビールらしい醸造感を有しており、収斂味が低減されたビールテイストアルコール飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のビールテイストアルコール飲料は、原料中の麦芽の比率が0重量%を超え、50重量%未満である。
麦芽の比率は好ましくは20重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上である。
ここで「麦芽の比率」とは、麦芽、米、トウモロコシ、コウリャン、バレイショ、デンプン、麦芽以外の麦、及び糖類など、水とホップ以外の原料中に占める麦芽の重量の比率をいう。ただし、酸味料、甘味料、苦味料、調味料、香料など、微量に添加され得る成分については上記比率の計算に含めない。
【0011】
本発明のビールテイストアルコール飲料は、アルコールを含有するビールテイスト飲料であり、アルコール濃度は1%(v/v)~10%(v/v)が好ましいが、特に限定されるものではない。さらに、該ビールテイストアルコール飲料に含まれるアルコール分の由来としては、醗酵、非醗酵に限定されるものではない。なお、ここでのアルコールはエタノールを指し、後記の脂肪族アルコールは含まれない。ビールテイスト飲料とは、ビール様の風味をもつ炭酸飲料をいう。
【0012】
イソα酸は、α酸がイソ化した成分である。
イソα酸としては、ホップに由来するものを使用してもよく、ホップからの抽出物を配合してもよいし、市販のイソα酸製剤を配合してもよい。市販のイソα酸製剤としては、ISOHOP(John I. HAAS社)などが挙げられる。
ホップの抽出手段としては公知の技術であれば何ら限定されず用いることができる。
【0013】
イソα酸の含有量は、EBC(European Brewery Convention)が発行している分析法の規定「Analytica-EBC」のMethod 7.7に従って測定することができる。
イソα酸の含有量は10~45ppmであり、10~25ppmであることが好ましく、15~25ppmであることがより好ましい。
【0014】
エチルグルコシドは、グルコースの1位の炭素のヒドロキシ基がエトキシ基で置換された構造の化合物である。エチルグルコシド中のグルコースは、D-グルコース、L-グルコースのいずれでもよいが、好ましくはD-グルコースである。エチルグルコシドとしては、エチル-α-グルコシド、エチル-β-グルコシドのいずれであってもよく、エチル-α-グルコシド及びエチル-β-グルコシドの組合せであってもよい。本発明において、エチルグルコシドは、エチル-α-グルコシド及び/又はエチル-β-グルコシドであってよい。好ましくは、エチルグルコシドはエチル-α-グルコシドである。
【0015】
飲料中のエチルグルコシドの含有量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC法)を用いて、以下の条件で測定することができる。
高速液体クロマトグラフィー:LC-2030C(島津製作所社製)
コロナ検出器:CORONA Ultra(サーモフィッシャー株式会社製)
カラム:COSMOSIL HILIC(ナカライテスク社製、内径4.6mm、長さ150mm)
移動相(A):水
移動相(B):アセトニトリル
流速:0.5mL/min
Bconc.:80%
オーブン温度:40℃
エチルグルコシドの含有量は1~50ppmであり、1~25ppmであることが好ましく、5~25ppmであることがより好ましく、10~25ppmであることがさらに好ましい。
【0016】
本発明のビールテイストアルコール飲料ではイソα酸の含有量とエチルグルコシドの含有量を所定の範囲に定めている。この2つの成分の含有量をこの範囲に定めることにより、ビールらしい醸造感を有しており、収斂味が低減されたビールテイストアルコール飲料を提供することができる。
【0017】
イソα酸の含有量が10ppm未満である場合は、エチルグルコシドの含有量に関わらず、ビールらしい醸造感が感じられにくくなる。
また、イソα酸の含有量が45ppmを超える場合、苦みが強くなるため、エチルグルコシドの含有量に関わらず、ビールらしい醸造感が感じられにくくなる。
イソα酸の含有量が10~45ppmの場合、ビールらしい醸造感を得られやすい傾向があり、さらにエチルグルコシドを1ppm以上含む場合に、ビールらしい醸造感が増強される。すなわち、イソα酸の含有量が10~45ppmであり、エチルグルコシドの含有量が1ppm以上である領域において、ビールらしい醸造感を有するビールテイストアルコール飲料とすることができる。
本明細書における「ビールらしい醸造感(単に醸造感ともいう)」とは、ビールらしい複雑な味わい、ビールらしい飲みごたえを感じることにより判断される指標である。
【0018】
エチルグルコシドは、イソα酸の含有量が10~45ppmの場合にビールらしい醸造感を増強する効果を有するが、エチルグルコシドの含有量が高くなると収斂味が強く感じられることがある。具体的にはエチルグルコシドの含有量が50ppmを超えると収斂味が強く感じられる。
そのため、本発明のビールテイストアルコール飲料ではエチルグルコシドの含有量を50ppm以下としている。
【0019】
このように、イソα酸の含有量が10~45ppmであり、エチルグルコシドの含有量が1~50ppmである領域において、ビールらしい醸造感を有しており、かつ、収斂味が低減されたビールテイストアルコール飲料とすることができる。
【0020】
また、イソα酸の含有量が15~25ppm、エチルグルコシドの含有量が10~25ppmである場合においては、ビールらしい醸造感に加えて、さらにビールらしいコクを増強させることができる。
【0021】
以下に、一般的なビールテイストアルコール飲料の製造工程を示す。
まず、麦芽等の麦の他、必要に応じて他の穀物、でんぷん、糖類、苦味料、又は着色料などの原料及び水を含む混合物に、必要に応じてアミラーゼなどの酵素を添加し、糊化、糖化を行なわせ、ろ過し、糖化液とする。必要に応じてホップや苦味料などを糖化液に加えて煮沸し、清澄タンクにて凝固タンパク質などの固形分を取り除く。この糖化液の代替として、麦芽エキスに温水を加えたものにホップを加えて煮沸してもよい。ホップは煮沸開始から煮沸終了前のどの段階で混合してもよい。糖化工程、煮沸工程、固形分除去工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。醗酵・貯酒工程などにおける条件は、知られている条件を用いればよい。得られた醗酵液を濾過し、得られた濾過液に炭酸ガスを加える。その後、容器に充填し殺菌工程を経て目的のビールテイストアルコール飲料を得る。ビールテイストアルコール飲料は、上記のような方法で製造されたビールテイストアルコール飲料に麦由来の蒸留酒(例えば、スピリッツや焼酎など)等の麦由来のアルコール飲料を添加して製造されたものであってもよい。
【0022】
非醗酵かつアルコールを含有するビールテイストアルコール飲料は、原料用アルコールなどを加えることにより最終製品のアルコール分を調整したものでもよい。原料用アルコールの添加は、糖化工程から充填工程までのどの工程で行ってもよい。
【0023】
本発明に係るビールテイストアルコール飲料のアルコール度数は、飲料中のアルコール分の含有量(v/v%)を意味し、公知のいずれの方法によっても測定することができるが、例えば、振動式密度計によって測定することができる。具体的には、飲料から濾過又は超音波によって炭酸ガスを抜いた試料を調製し、そして、その試料を直火蒸留し、得られた留液の15℃における密度を測定し、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)の付表である「第2表アルコール分と密度(15℃)及び比重(15/15℃)換算表」を用いて換算して求めることができる。アルコール度が1.0%未満の低濃度の場合は、市販のアルコール測定装置や、ガスクロマトグラフィーを用いても良い。
【0024】
本発明に係るビールテイストアルコール飲料に、酒感を付与する観点から、脂肪族アルコールを添加してもよい。脂肪族アルコールとしては、公知のものであれば特に制限されないが、炭素数4~5の脂肪族アルコールが好ましい。本発明において、好ましい脂肪族アルコールとしては、炭素数4のものとして、2-メチル-1-プロパノール、1-ブタノール等が、炭素数5のものとして、3-メチル-1-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の組み合せで用いることができる。
炭素数4~5の脂肪族アルコールの含有量は好ましくは0.0002~0.0007質量%であり、より好ましくは0.0003~0.0006質量%である。本明細書において、脂肪族アルコールの含有量は、ヘッドスペースガスクロマトグラフ法を用いて測定することができる。
【0025】
本発明に係るビールテイストアルコール飲料に含まれる糖質とは、食品の栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)に基づく糖質をいう。具体的には、糖質は、食品から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、アルコール分及び水分を除いたものをいう。また、食品中の糖質の量は、当該食品の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量を控除することにより算定される。この場合に、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分及び水分の量は、栄養表示基準に掲げる方法により測定する。具体的には、タンパク質の量は窒素定量換算法で測定し、脂質の量はエーテル抽出法、クロロホルム・メタノール混液抽出法、ゲルベル法、酸分解法またはレーゼゴットリーブ法で測定し、食物繊維の量は高速液体クロマトグラフ法またはプロスキー法で測定し、灰分の量は酢酸マグネシウム添加灰化法、直接灰化法または硫酸添加灰化法で測定し、水分の量はカールフィッシャー法、乾燥助剤法、減圧過熱乾燥法、常圧加熱乾燥法またはプラスチックフィルム法で測定する。
【0026】
本発明に係るビールテイストアルコール飲料は、近年の低糖質嗜好に合わせて、低糖質であってもよい。従って、本発明に係るビールテイストアルコール飲料の糖質の含有量は、2.5g/100mL未満であってもよく、0.5g/100mL未満であってもよい。また、下限は特に設定されないが、通常、0.1g/100mL程度であり、例えば、0.15g/100mL以上であっても、0.2g/100mL以上であってもよい。
【0027】
本発明に係るビールテイストアルコール飲料においては、原料の一部にホップを用いることができる。
ホップを使用する際には、ビール等の製造に使用される通常のペレットホップ、粉末ホップ、ホップエキスを、所望の香味に応じて適宜選択して使用することができる。また、イソ化ホップ、還元ホップなどのホップ加工品を用いてもよい。本発明に係るビールテイストアルコール飲料に使用されるホップには、これらのものが包含される。また、ホップの添加量は特に限定されないが、典型的には、飲料全量に対して0.0001~1重量%程度である。
【0028】
本発明に係るビールテイストアルコール飲料は、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、その他の原料を用いてもよい。例えば、甘味料(高甘味度甘味料を含む)、苦味料、香料、酵母エキス、カラメル色素などの着色料、大豆サポニンやキラヤサポニン等の植物抽出サポニン系物質、コーンや大豆などの植物タンパク質およびペプチド含有物、ウシ血清アルブミン等のタンパク質系物質、食物繊維やアミノ酸などの調味料、アスコルビン酸等の酸化防止剤を、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて用いることができる。
【0029】
本発明に係るビールテイストアルコール飲料は、容器詰めとすることができる。容器の形態は何ら制限されず、ビン、缶、樽、またはペットボトル等の密封容器に充填して、容器入り飲料とすることができる。
【0030】
本発明のビールテイストアルコール飲料を製造する方法は、特に限定されるものではないが、必要に応じてイソα酸とエチルグルコシドの添加を行い、イソα酸とエチルグルコシドの含有量が所定範囲になるように調整すればよい。
【0031】
また、原料中の麦芽の比率が0重量%を超え、50重量%未満であるビールテイストアルコール飲料が、イソα酸を10~45ppm、エチルグルコシドを1~50ppm含むように、イソα酸とエチルグルコシドの濃度を調整する工程を含むビールテイストアルコール飲料の製造方法は、本発明のビールテイストアルコール飲料の製造方法である。
【0032】
また、原料中の麦芽の比率が0重量%を超え、50重量%未満であるビールテイストアルコール飲料に対して、イソα酸を10~45ppm、エチルグルコシドを1~50ppm含有させることにより、ビールテイストアルコール飲料の醸造感を増強する方法は、本発明のビールテイストアルコール飲料の醸造感を増強する方法である。
【0033】
本発明のビールテイストアルコール飲料の製造方法、及び、本発明のビールテイストアルコール飲料の醸造感を増強する方法において、イソα酸及びエチルグルコシドのより好ましい濃度範囲及びその他の好ましい態様は、本発明のビールテイストアルコール飲料における濃度範囲及びその他の好ましい態様と同様である。
【実施例0034】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。
【0035】
実施例では、エチルグルコシドとしてエチル-α-D-グルコシド(以下EGと表示することもある)を用いた。実施例において、水は、純水を使用した。
【0036】
市販の麦芽比率50%未満のビールテイストアルコール飲料に、必要に応じて、イソα酸の添加、エチルグルコシドの添加、純水による希釈等の処理を行い、イソα酸の含有量及びエチルグルコシドの含有量を所定の値に調整した試料を準備した。
各試料の醸造感及び収斂味について、官能評価に熟練したパネラー2名が官能評価を行った。官能評価では、試料10mLを口に含み5秒間味わった後、吐き出し、醸造感及び収斂味の強度を評価した。異なる試料を評価する際には、口の中の味がなくなるまで口を水でゆすいだ。
醸造感及び収斂味は、下記の評価基準1~5点で、0.5点刻みで評価した。その後パネラーの評点の平均値を求めた。
【0037】
醸造感
1点:エチルグルコシド無添加と比較して、ビールらしい醸造感が変わらない。
2点:エチルグルコシド無添加と比較して、ビールらしい醸造感がかすかに増強する。
3点:エチルグルコシド無添加と比較して、ビールらしい醸造感が増強する。
4点:エチルグルコシド無添加と比較して、ビールらしい醸造感をより強く感じる。
5点:ビールらしい醸造感をかなり強く感じる
【0038】
収斂味
1点:かなり強く感じる
2点:強く感じる
3点:感じる
4点:弱いが感じる
5点:全く感じない
【0039】
官能評価を実施するにあたり、事前にパネラーの間で討議を行い、基準点として、試料の調製に使用した純水(イソα酸とエチルグルコシドを共に含まない)の収斂味強度を1点とし、醸造感強度を1点とした。
【0040】
【表1】
【0041】
表1において四角で囲った領域、すなわち、イソα酸の含有量が10~45ppmであり、かつ、エチルグルコシドの含有量が1~50ppmである領域では、醸造感の評点は2.00以上、収斂味の評点は3.00以上となっており、いずれも高い評価となっていた。
この他の領域では、醸造感か収斂味のいずれかの評価が低くなっていた。
この結果から、イソα酸の含有量とエチルグルコシドの含有量の両方が所定の範囲に定められていることにより、ビールらしい醸造感を有しており、かつ、収斂味が低減されたビールテイストアルコール飲料とすることができた。
【0042】
また、この評価とは別に、ビールらしいコクの観点からの評価を行った。
その結果、イソα酸の含有量が15ppmから25ppmであり、エチルグルコシドの含有量が10ppmから25ppmである場合に、ビールらしいコクを強く感じることができるという効果がみられた。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、ビールらしい醸造感を有しており、かつ、収斂味が低減されたビールテイストアルコール飲料を提供することができる。